インフィニット・ストラトス 流星に導かれて   作:橆諳髃

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5話 寄り道せずにかえりますから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束さんと別れてあれから2年の歳月が経った。篠ノ之家は、バラバラになって生活をする事を余儀なくされた。本当は僕も監視付きの1人暮らしになる予定ではあったんだけど、それだと寂しがり屋の箒さんが心配になってしまうので無理を言って箒さんとの2人暮らしを希望した。それでも監視は付いてきたけどね。

 

それにしても日本政府も酷な事をする。こんな年端もいかないいたいけな少女を1人暮らしにさせ、さらには知らない人から監視されるというのは……誰だって精神上参ると思う。だから僕は箒さんとの2人暮らしを希望した。

 

最初はやはりまだ寂しいのか、元気のない顔が続いた。でも僕がそのたんびに励まし続けた。それで今では時折笑う顔も見せてくれるから、励ました甲斐もあったと思う。それで中学1年に上がった時は、何故かいつもべったりくっついてきた。表面上は普通の凛々しい顔をしているのに、それとは逆に身体の方はというと、いつの間にか僕に抱きついてきたり、登下校中とかも手を握ったりと、そんな調子で日常が回ってる。

 

部活はというと、2人とも勿論剣道部に所属している。まぁ男女と別れてはいるけれど、それぞれの実力は先輩方をも上回ると周りは言っている。僕としては普通にやっているだけなんだけど、まぁ一応6年間してるからやり始めの人達より動きなどが良いと思っておくことにした。

 

それでこの前は新人戦というものがあったんだけど、男子の部では僕が、女子の部では箒さんが優勝した。これは地区の話で、その後には全国がある。だからその全国に臨むために、僕と箒さんは互いに切磋琢磨した。この前なんて、箒さんからの提案で僕と試合をしたいと言い始めたぐらいだ。まぁ結果は……ご想像にお任せするとしよう。まぁヒントを言うなら、試合後に箒さんが僕に凛々しい顔をしながら宣戦布告(剣道だけだけど)してきたって事かな。それで後は何事もなかったかのように、普段通りに立ち去っていった。

 

因みに後日談としては、家に帰った後憂さ晴らしされた事かな。学校では何ともないというのを装って、心の中ではとても悔しかったんだろうな。その日は箒さんが夕食とかの当番だったんだけど、僕がやる羽目になったんだ。その時の箒さんは頬を少し膨らませて、そっぽを向いていたんだ。何を言っても聞いてくれないし、仕舞いには僕の方にも顔を向けてくれない。だから仕方がなく僕がやる羽目になったんだ。まぁ夕食は美味しそうに食べてくれたけど、それでも食べ終わった瞬間にまた元の顔に戻っていたし……全く大人気ないとしか言いようがないな。

 

(そんな事は思ってはいるけど、僕も大概甘いな……)

 

その後は風呂に入って早めに寝た。勿論寝る部屋は別々だよ。それで僕は早めに眠りにつこうと目を閉じたんだ。それから数分後……足音が聞こえた。廊下を歩く音で、ゆっくりとこちらに向かってくる。それは箒さんの足音だなと分かる。もう2年は一緒に暮らしているわけだし、それぐらいは分かる。それに箒さんの寝室は向かい合っているしね。

 

しかしながらその後問題が起きた。それは……。

 

ガチャッ

 

「……」

 

なんと箒さんが僕の部屋に入ってきたのだ! なんということだろう……部屋を間違えているよと本人に言いたいところだけど、その当の本人は僕が眠っているものだと思い込んでいるらしく、僕の方に近づいてくる。僕を起こさないように配慮してか、足音を極力消してそろりそろりと近づく。そして僕の側まで来ると、そこで静かに正座をした。それから数分経った後、箒さんは僕の頭を優しく撫でた。

 

僕からすればいきなりのことだったから、驚いて跳ね上がりそうになったけどなんとか我慢した。箒さんはそんな中、僕の心の中の驚きを知らずに頭を優しく撫で続けながら言った。

 

「今日は……あんな態度を取ってごめんな。本当はあんな態度を取るつもりはなかったのだが……どうやら私は負けず嫌いなようで、それでいつの間にかあんな態度を取ってしまっていた。私はあの時から全く性格が変わってなくて……自分でも内心呆れているよ。でもそんな私を、逢魔は昔から変わらず接してくれたな。今日だって、私の態度に苦笑いしながらも文句を言わずに、私がするはずだった事をしてくれていた。本当に逢魔には……感謝しかない。それに比べて私は、姉として失格だな。逢魔が養子として私の家に来た時は、偶々私の方が生まれが早かったというだけで、義理ではあるが逢魔の姉という扱いにはなった。でも私は、逢魔には姉らしい事を何1つとしてやれてないって今でも思う」

 

僕はそれを静かに聞いていた。箒さんの方は独白なのかもしれないけど、僕としては起きてるから聞いていてなんだか恥ずかしく思う。

 

「それでな……私は、さっき逢魔にとった態度を後悔している。今日とった態度で、逢魔が私から離れてしまうのではないかと……確かに逢魔は、いつも優しく対応してくれるが、内心ではどうなのだろうなと。それでもし、今日とった態度で私から離れてしまったら……そう考えると私はいてもたってもいられなくなってしまって。謝ろうと思っても中々謝れずに……今に至っている。だから私は明日逢魔に謝りたい。だから……」

 

そして箒さんは僕の布団の中に入ってきた……えっ?

 

(な、なんで箒さんが僕の布団の中に入ってくるんですか⁈)

 

それで箒さんは布団の中に入ってきた後、何故か僕を抱き締めた。その状態でこんな事を言ってきたんだ。

 

「だから……私の側からいなくならないでくれ……。私はもう、大切な人が側からいなくなるのが嫌なんだ……」

 

その声は……泣いていたのか悲しげな声だった。多分鼻をすすった音がしたから泣きながらその言葉を口にしたんだろう。女の子を泣かせてしまうなんて……僕はまだまだだな。そう思って数分後、箒さんは僕を抱き締めながら眠ってしまった。この状況は恥ずかしいは恥ずかしい事なんだが……女の子を泣かせた罰としてこうなっておこう。

 

それにしても箒さんが心の中でそう思っていたんだな。僕は箒さんの負担にならないようにしてきたつもりだったんだけど、まさか逆に負担をかけさせてしまってたんだな。これは反省しないと……それと。

 

「さっき箒さんが言った言葉だけど、僕に謝る必要なんてないよ。それと、僕はお姉ちゃんと約束しているからね。まぁ約束してなくても、僕は箒さんの側を離れるつもりは無いよ。僕がどれだけ嫌われようと……ね。だから、安心して欲しい」

 

僕はその言葉を言い切った最後に、箒さんの頭を優しくひと撫でした。その後は、僕にも眠気が襲ってきたのでそれに逆らわず眠りについた。

 

そして翌日になり、僕は朝食の当番だから箒さんを起こさないようにして起きる。それで歯を磨いて朝食の準備をする。その時に箒さんも起きてきた。顔は少し赤くなっていて、そっぽを向きながらだけどおはようと言ってきた。僕もそれに笑顔で返して、準備に戻る。それで朝食が出来上がったから2人で卓を囲んで食べ始める。僕はいつも通りにしていたんだけど、箒さんは未だに昨日の事を引きずってか会話は少なめだった。そんな調子で食べ終わった頃、箒さんからこんな事を言われた。

 

「逢魔……今日学校が終わったら伝えたい事があるんだ。だから私は部活が終われば先に帰るぞ。それと、逢魔も寄り道せずに帰るんだぞ。良いな?」

「今伝える事は出来ないのかな?」

「それは……だな……」

 

僕がこう返すと、箒さんは口は動かすものの言葉が出なかった。それでぶつぶつと言い始める始末で、こちらとしては気になって仕方が無い。まぁ何を伝えたいかなんて昨日の時点で察してはいるんだけどね。だから僕はフォローしたんだ。

 

「まぁ今伝える事が出来ないっていうのだけは分かったよ。それと寄り道せずに帰ってくる事もね。それじゃ食器片付けるから、片付け終わったら学校に行こうよ」

「っ‼︎ あぁ! それじゃあ待っているぞ!」

 

そう言って箒さんは鞄を持って家から出て行った。

 

「全く……本当に昔の僕じゃ考えられないな。誰かをフォローするなんて」

 

そんな事を笑いながら言った。それで食器を片付けて僕も玄関から外に出る。そこには箒さんが待ってくれていた。

 

「よし! じゃあ今日も学校に行こうか‼︎」

 

そう言って僕の手を握って学校に行こうとする。

 

「ま、待って下さいよ! まだ鍵閉めてないんですから‼︎」

 

まぁそんな一幕があって今日も学校に行った。それで放課後になるのも早くて、部活もいつも通りに終わった。箒さんは先に帰ってるようで、下駄箱を覗いても靴は無かった。

 

「さて、僕も普通通りに帰るとしますか」

 

そう言って靴に履き替えて学校から出た。そして後はそのまま家に帰る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずではあったんだけど……。

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、篠ノ之束の居場所を喋って貰おうか」

 

はぁ……なんでこうなったんだろう……。

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