高二病でも恋がしたい   作:公ノ入

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第三話

 

 

モリサマー「貴方にこれを授けましょう」

 

八幡「いや昼飯喰いたいからどっか行ってくんない? あとなんでこの場所知ってんの?」

 

モリサマー「この書はマビノギオン」

 

八幡「尾行したの? ストーカー? 警察呼んでいいよねこれ」

 

モリサマー「私が精霊たちの囁きを書き記した、聖典の原本です」

 

八幡「すげぇなオイ、全くこっちの話聞いてねぇぞ。どんだけ神経図太いのお前」

 

 

モリサマー「さぁ、お受け取りなさい」

 

八幡「いや……」

 

モリサマー「さぁ」

 

八幡「邪魔臭いから要らないんだけど……」

 

モリサマー「……」

 

八幡「……」

 

モリサマー「…………今ここで朗読しますよ?」

 

八幡「どんな脅しだよ……」

 

モリサマー「第三章、一節。精霊の囁きと光と水の想いが――」

 

八幡「ああ、ハイハイ分かったよ受け取るっつの……。あと予言しとくけどな。その行いは数年後のお前自身を殺すからね?」

 

モリサマー「面白い。ソレが貴方の、呪いの言葉というわけですね」フフリ

 

八幡「ああ、うん。数年後に下唇噛み締めて悔いろ」

 

 

モリサマー「さて……」スッ

 

八幡「……何で座んの?」

 

モリサマー「……」カパッ

 

八幡「何で弁当箱を開けるの?」

 

モリサマー「いただきます」

 

八幡「聞けよオイ。ここは俺の――」

 

モリサマー「トイレ……」ボソッ

 

八幡「あ?」

 

モリサマー「……トイレで食べるのは……もう、嫌……」ボソボソ…

 

八幡「…………ソ、ソウカ」

 

 

 

 

…………………………

 

…………

 

 

 

 

 

――チュンチュン、チュンチュン……

 

 

丹生谷「…………よく考えたらアイツもマビノギオン持ってんじゃん」

 

 

 朝、私は深刻な絶望感とともに目を覚ました。

 

 

 

     ▽

 

 

 

【佐々木ゼミナール津田沼校】

 

 

――ワイワイガヤガヤ、ワイワイガヤガヤ…

 

 

八幡(冬になって少しは受験ムードになってるかと思ったけど……夏とあんま変わんねぇな)ボー

 

八幡(まぁ、今回もスカラシップ取れたし。講習受けれて金も貰えるってんだから、何も文句ねえけど――)

 

 

??「ほら六花早く! 講習始まるぞ!」

 

??「ううう……休みなのに……冬休みなのに……」

 

??「一緒の大学行きたいって言い出したの六花じゃないか。今のウチから頑張んないと、本気で追いつけやしないぞ」

 

 

八幡(……うん。前言撤回。カップルで冬期講習とか死ねばいいと思うよ)

 

 

??「お、ここ空いてるな」

 

??「ゆ、勇太、待ってほしい。そんなに前の席では、私の瞳の邪気にあてられ、講師に悪影響が……」

 

??「いいからさっさと座れッ」

 

 

八幡(ゲッ、よりによって隣に座る気かよコイツら……)チラッ

 

 

富樫「ちゃんと筆記用具とか持ってきてるよな?」

 

六花「勇太は私の事をなんだと思っているのか……。バカにし過ぎちゃう? 舐めすぎちゃう?」

 

 

八幡(あれ? コイツら昨日の……)

 

 

富樫「で? 消しゴムは?」

 

六花「…………忘れた」

 

富樫「……言い残すことはあるか?」

 

六花「なに、機関からの妨害を受けているだと!? クッ、すぐに緊急コードKTK(帰宅)を発動し痛い痛い痛い痛い」グリグリグリグリ

 

 

八幡(何これ死にたい。真横でイチャつくなよ、拷問だろコレ……。クソ、今からでも別の席に――)

 

 

――ガラララッ

 

 

富樫「っと、講師が来た。ほら六花、早く準備しろよ」

 

六花「ううぅ……」フラフラ

 

 

八幡(マジか……)ガクッ

 

 

 

     ▽

 

 

 

講師「で、ここの文法は……であるからして……ここの名詞にかかってくるわけで……」

 

 

――カリカリカリカリカリカリ……

 

 

丹生谷(……まさかアイツもこの講習受けてたとはね。丁度いいわ、講義が終わった後に……後に……どうしよう……どう切り出そう……)コソコソ…

 

川崎(何こいつ、何でノート立てて顔隠してんの……? 勉強する気無いならこんなとこ来るんじゃ無いよ、腹立つね……。あ、比企谷……やっぱアイツも講習受けてたんだ……)ソワソワ…

 

丹生谷(何この人、何で講義中に手鏡取り出してんの? なんか不良っぽいし……講義中に髪なんか気にしてんじゃないわよ、やる気ないなら来なきゃいいのに)

 

川崎(どうしよう、いやどうもしないけど。アイツが居ようと関係ないし……。あ、でもこないだのけーちゃんの写真、よく撮れてたからアイツに見せてやっても……。いや何で見せてやる必要があんのよ意味分かんないっての、あ、でも一応アイツが企画してたイベントなわけだし……)ソワソワソワソワ…

 

丹生谷(ってこんな不良のこと気にしてる場合じゃなかったわ。それよりマビノギオンよ、アイツから取り戻さないと……。いっそ尾行してアイツの部屋にこっそり……いや、さすがに犯罪よねそれは……)

 

 

丹生谷・川崎((ど……どうしよう……))コソコソ、ソワソワ…

 

 

 

     ▽

 

 

 

――キーンコーンカーンコーン…

 

 

講師「では、今日の講義はこれまでとします」

 

 

丹生谷(ええい……ッ)ダッ!!

 

川崎(当たって砕けろ……ッ)ダダッ!!

 

 

――ガツッ!!

 

 

丹生谷・川崎「「痛ったぁ!?」」

 

 

丹生谷「ちょ、アンタ何ぶつかって来てんのよ……!」

 

川崎「ハァ!? いきなり割り込んできたのはそっちでしょ……!」

 

丹生谷「ハ?」ヤンノカ?

 

川崎「ア゙?」ヤッタルヨッ

 

 

 

八幡(さて、と……。本屋でも寄ってくかな)ガタ

 

六花「あ」

 

八幡「ん?」

 

六花「…………ほわぁああう! のの、ノスフェラトゥ・キング!?」ガタタタ!

 

富樫「あ、昨日の」

 

六花「い、一体いつからそこに!?」

 

八幡「いや……アンタらが来る前からここに座ってたんだが……」

 

富樫・六花「「え゙?」」

 

 

八幡「…………」

 

富樫「…………」

 

六花「…………ちょっとタイム」スッ

 

八幡「はい?」

 

 

六花「…………勇太気付いてた?」コソコソ

 

富樫「いや、全く…………て言うか隣、人居たっけ……?」ボソボソ

 

六花「分からない。全く気配を感じなかった……」コソコソ

 

富樫「だよな……」ボソボソ

 

六花「でも、正直に『全く気付いてませんでした』と告げるのはとても残酷な事だと思うので、ここは中二的なネタで誤魔化そうと思う……」コソコソ

 

富樫「六花……お前も人並みに他人のことが気遣えるようになったんだな……」ホロリ…

 

 

八幡(……悪意が刃物だとしたら、優しさって鈍器だよね。致命傷になりにくいけど刺されるより超痛いの)トオイメ…

 

 

六花「さて……。フッ、流石は不死者の王! 存在定義を滲ませこの邪王真眼の目を欺くとは――」

 

八幡「いや、さっきの会話聞こえてたから。もう良いから」

 

六花「……そ、そうですか」

 

富樫「なんか、スマン……」

 

八幡「別に気にしてない。それじゃ、俺もう帰るから」

 

六花「あ、はい……」

 

富樫「さようなら……」

 

 

八幡「……」スタスタスタスタ…

 

 

富樫「…………変わった人だな」

 

六花「うん、超キャラ立ってる。マジ孤高キャラ」

 

 

 

     ▽

 

 

 

丹生谷「……」ガンクレ

 

川崎「……」メンチキリ

 

 

講師「君たち。もう教室閉めますよ?」

 

丹生谷・川崎「「へ……!?」」

 

 

 

     ▽

 

 

 

丹生谷(くっ……変なのに絡まれて時間無駄にしたわ……。て言うかあの女ずっと後ろ付いてきてるけど、偶然? まさか闇討ちしてきたりしないわよね……)チラッ…チラッ…

 

 

川崎「…………」スタスタスタスタ…

 

 

丹生谷(マビノギオン、どうしよ……。まぁ、次の講義の時に話すれば――)

 

――ウィーン

 

八幡(特に買いたい新刊も無かったな……。まぁいい、帰るか)

 

丹生谷「あ」

 

八幡「ん?」

 

丹生谷「……」

 

八幡「……よぉ」

 

丹生谷「ええ……」

 

八幡「…………じゃ」クルッ

 

丹生谷「ってオイ!」

 

八幡「なんだよ……?」

 

丹生谷「ナチュラルに帰ろうとすんじゃ無いわよッ」

 

八幡「いやだって、別に用とか無いだろ」

 

丹生谷「よ、用ならあるわよ……」

 

八幡「どんな?」

 

丹生谷「えっとその……」

 

八幡「……」

 

丹生谷「…………き、今日、アンタん家、行っていい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川崎「…………え?」

 

 

川崎「いや、えっと………………え?」

 

 

 

 

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