遊戯王~Truth of Satellite~ 作:鬼柳高原
・この小説は「遊☆戯☆王5D's」の設定を元にしていますが、殆ど別物です。
・遊☆戯☆王シリーズのキャラクターは一切出てきません。(モンスターは出ますが設定を変更しています)
・自作のオリカは使いませんが非OCGカード(公式オリカ?)は使用します。
・登場人物達のデッキは、実際のOCGから見れば実用的ではなく、ご都合的です。
・小説、二次創作どちらも初めてです。拙くて見苦しい点があるかもしれませんが、ご一読いただければ幸いです。
*この世界の
*12/25 台本形式はよろしくないみたいなので一話から出来る時に徐々に修正していきます。
*12/26 修正完了しました、台本を無理やり修正したのでちょっと読みづらいかな…
サテライトからシティまでトラックに揺られて数時間…
「おう!兄ちゃん着いたぜ!ここが内陸部だ!」
運転手が到着を知らせてくれる。
「ここが…」
見渡す限りの建物や暮す人々、もっと奥を見ればビルが立ち並んでいるのが見える。
サテライトじゃ見ることが出来ない景色だ。
「悪いが兄ちゃん、ここまでだ。もうそんなに遠くないから歩いていけるぜ!」
「ここまで本当にありがとうございました」
「おうよ! もうダイダロスブリッジ歩いて渡ろうとすんなよ!」
「…はい」
ダイダロスブリッジとは、シティとサテライトを結ぶ巨大なハイウェイの事。
なんとこの遊伸、ダイダロスブリッジを徒歩で渡ろうとしていたらしく、セキュリティに見つかって厳重注意を受けていたところ、それを見ていたこの運転手が遊伸を乗せてくれた、と言う訳である。
***
「この辺のはずなんだけどな…」
遊伸が探しているのはデュエルチームの一つ「マーシャル・レッド」の事務所、遊伸はそのチームに入るための面接を受けるために向かう。
デュエルチームとは―――
一昔前までは「デュエルギャング」と呼ばれ、決闘者達で徒党を組み、辺りを荒らし回ったり、ヤクザ紛いなことをするならず者集団であったが、現在では人々からデュエルに関する依頼を請け、解決し、報酬を受け取る、という事業を行う者の集団となった。
遊伸は夢の為、とにかく決闘者になりたい、しかしプロになるには実力と戦績が、セキュリティやアカデミア生になるには学力や財力が、サテライト住民である遊伸にはあらゆる物が足り無かった。
なので、遊伸はそういった物が必要ないアマチュア決闘者事業「デュエルチーム」に入ることにしたのだった。
「ここか…思ったより小さい事務所だなぁ……今になって緊張してきた」
尻込みをしていても仕方が無い、と遊伸はインターフォンを鳴らす。
「はいよ、どちらさん?」
「あの…! この前、ここの求人に応募した近衛遊伸です!」
「…ああ! はいはい聞いてるよ、入りな」
遊伸は事務所の扉を開け、中に入る。
事務所に入ると、目の前は応接間で、テーブルとソファーが置いてあり、そこには男が二人、向かい合うように座っている。
「よう! うちに入りたいんだってな!」
インターフォンを通して聞こえてきたのと同じ声。
先ほど応対したのはこの青年。
見た目はいかにも若者といった風貌で、不良というほどには見えないが、真面目そうにも見えない。
「まあ責任者は俺じゃなくて、そこのオッサンだから、詳しくはあっちな」
青年は向かいの男を指差す。
「だれがオッサンだ…と、近衛遊伸だな。サテライトからはるばるよく来た。俺はここのリーダーのグレイグだ」
グレイグと名乗った男は、大きな体格をしており、顔に大きな傷跡が付いている。
遊伸は彼を見て、故郷であるサテライトを思い出す。
「サテライトから来たなら、グレイグのこういう顔も見慣れてるだろ?どう見てもサテライトにいそうな顔だもんな、これも応募が集まらない原因なんだよな…」
「やかましい!! 給料下げられてぇのか?」
「悪かったよ、俺は
「よろしくお願いします!」
こうして面接が始まった。
鋼貴がグレイグと同じソファーに移動し、遊伸が向かい合うように座る。
「さて、それでは始めるが…実の所、君の採用はほぼ決まってると言ってもいい」
「そ…そうなんですか?」
思いも寄らぬ言葉に遊伸は拍子抜けする。
「ああ、うちのチームは俺を除いてたったの3人、しかも一人は決闘者ではない。こんな小さなチームでも依頼はくる、依頼によってはこの人数じゃ捌くのが厳しいものもある」
「とにかく人手が欲しい、ってことさ」
鋼貴が言う。
「そういうことだ。今日はまず実力を知るためにデュエルをして、その後少し話をして採用、という流れだ」
「何だ、実技試験もするのかよ?」
「実力を知るためだけだ、勝敗は関係ない。それに、デュエルは口以上にものを語る、伝説のデュエルキング、
「またそれかよ、好きだねぇ」
鋼貴がうんざりとした風に言う
「いいだろうが別に…っと、話が逸れたな、それじゃまずデュエルだ!」
「はい!」
遊伸は荷物からカードを取り出し、テーブルに置く。
「鋼貴、お前が相手してやれ」
「はいよ、それじゃ表出ようぜ!
「え?」
遊伸は固まる。
「いや、だから決闘盤だよ決闘盤! その荷物の中に入ってんだろ? それ出して表で俺とデュエルだ!」
「え? いや…あの…」
「決闘盤ってなんですか?」
遊伸からの思わぬ言葉に、二人は凍りつく。
「…は?」
「…おい…冗談だろ…」
グレイグが厳つい顔を険しくして遊伸に聞く。
「いや…その…本当に知らなくて…デュエルってここにカード並べてやるんじゃないんですか?」
遊伸はテーブルを指差す。
「ちょ…くっ…!…あーっはっはっはっはっ!!」
「………」
鋼貴は大声で笑い出し、グレイグは目を閉じ、無言のまま顔を天井に向けている。
「マジで!? 本当に知らねーの? 知らないで応募して来たのかよ! やべ、腹痛てー」
「笑い事じゃねーだろ…俺は頭が痛い」
「あ、あの…何かまずかったですか…?」
二人の反応に遊伸はオドオドしながら言う。
「まずい以前の問題だ…」
グレイグが溜息をつき、顔を下に向ける。
「ほら! これだよこれ! これが無いと仕事出来ないぜ?」
鋼貴が左手に装着している機械を遊伸に揺らしながら見せる。
円盤状の機械に、二つに分かれたプレートが円盤を挟むように取り付けられている。
「ええ!? そうなんですか!?」
「常識だ…サテライトにだってあるはずだぞ…」
グレイグは項垂れたまま言う。
「いえ…僕はいつも孤児院内の子供達とこれでやってましたから…決闘盤なんて初めて見ました」
遊伸はポケットから年季の入った布切れを出す。
遊伸お手製のデュエルシート、遊伸はいつもこれを持ち歩いている。
「お前…決闘盤を見かけないほどド田舎に住んでたのか?」
「そうみたい…です」
「…悪いがな、うちは実力が低くてもすぐに仕事に出れる「即戦力」が欲しいんだ…幾らデュエルが強かろうと、決闘盤が無ければ仕事は出来ない…今回は縁が無かったと諦めてくれ」
* * *
「はあ…」
採用されると思えた面接が不採用となってしまい、途方に暮れる遊伸。
現在、マーシャル・レッドを後にした遊伸はシティ沿岸部にある繁華街にいた。
休憩用のベンチに座り、これからのことを考え始める。
「これからどうするか…ん?」
遊伸は向かい側のカードショップに目を留める。
「…まずは決闘盤をなんとかしないと」
遊伸は店に向かう。
「いらっしゃいませ! 何をお求めですか?」
店員がすぐさま遊伸の前に来る。
「え…えーと…決闘盤…」
「はい決闘盤ですね! 新調ですか? それともデュエル初心者ですか?」
「え!? …はい、初心者です…」
店長の言葉で、決闘盤の所持が如何に当たり前なことかを、遊伸は痛感した。
そんなことも知らなかった遊伸には、とても自分が経験者だとは言い出せなかった。
「そうですか、それじゃあお値段ですが、今ならお買い得価格で五万七千三百円になります!」
「ご…五万…」
今の遊伸にはとても買えるものではなかった。
「も…もうちょっとまかりませんか? 仕事するのに必要なんですよ…」
「駄目駄目! これでもかなり安いんですよ!…それに」
さらに追い討ちをかけるように店長は言う。
「お客さん、デュエル事業をするんですか? それだともっとお金掛かりますよ」
「ええ!? これ以上に…?」
遊伸の顎が下がる。
「そうですよ、拘束装置つけなきゃなりませんからね」
「拘束装置?」
「デュエルで相手を捕まえる為の装置ですよ、機能は色々ありますが、一番主なのは止めの一撃の時にですね、実際のダメージが相手に伝わるようになっていて…出力を最大にすれば気絶させるほどのダメージを与えることができるんですよ」
「へえ…」
「元々はセキュリティだけが使えてたんですが、デュエルチームにも使用が許可されるようになったんですよ。ただ厳しい制限があって、それを破ると厳しい罰則がありますけどね」
「なるほど…確かにそれがなきゃ仕事出来ないや」
デュエルチームにくる大抵の依頼はデュエルによる物である。
時にはならず者をを相手にしなければならない。
その時の為の装置なのだろう。
* * *
店を出た遊伸、しばらく歩いていると、前の曲がり角から少年と少女が飛び出してくる。
「わっ!!」
「うわっ!!」
遊伸は少年と思い切りぶつかってしまう。
遊伸は持ちこたえたが、少年は尻餅をついてしまう。
「ご、ごめんなさい! 修ちゃん大丈夫?」
一緒にいた少女が心配して少年、修に声をかける。
「痛たた…す、すいません…」
「いや、こっちは大丈夫、だから気にしないで、君こそ大丈夫かい…あ!」
修が付けている決闘盤のデッキホルダーからデッキがこぼれてしまっている。
「き、君! カ…カードこぼれてるよ!」
「わ! 大変だ! 拾わなきゃ…」
修は急いで拾い集める。
「あれ? 無い…僕のとっておきが無い!」
修は血相を変えて辺りを見渡す。
「カード足りないの? 大変だ! いったい何処に…」
遊伸も辺りを見渡すと、歩道と車道の段差の下にカードが一枚落ちてるのを見つける。
「これか! …へえ、すごいカードだ」
修に駆け寄り、カードを渡す。
「はいこれ、見つかってよかったね!」
「あ! お兄ちゃんありがとう! 良かった~」
「それにしても、随分急いでたみたいだけど…それ見る限りデュエルしに行くんだよね?」
遊伸は修の決闘盤を指して問う。
「! …そうだった!! これから悪い奴をやっつけに行くんだ! 鈴ちゃん行こう! お兄ちゃん、どうもありがとう!」
修はまた勢いよく駆け出していく。
「あ! 修ちゃん! …すみません! 失礼しました!」
そう言うと少女、鈴も後に続いて行く。
「行っちゃった…悪い奴をやっつけにって…」
再び元の道を歩き始めたが、さっきのことが頭から離れなかった。
「(子供がああ言って出かけて行くのって、大抵危ないことしに行くんだよな)」
遊伸は踵を返して二人が向かった方へ走った。
* * *
シティ内陸部 中央広場
「いた…! でも女の子の方がいない…それにあっちの男は」
どうやらデュエルをしていて、その決着がついた後のようだ。
俯いている修に男が近寄っている。
「ううう…」
「フン! ガキが俺に勝とうなんざ100年早いんだよ! ガキがこんなカード持ってても仕方ねえから貰って置いてやるよ!」
「あ!! か…返せよ!!」
男が修の決闘盤にあるカードを一枚奪い取る。
「大変だ…! おい! やめろ!」
遊伸は駆け寄る。
「あん? なんだお前?」
「さ…さっきの…」
「その子のカードを返―――」
「見つけたぜ!!!」
遊伸の勇ましい台詞を大声で遮り、向かい側、男の背後から誰かが走ってくる。
「てめえだな! さあ大人しく捕まり…って遊伸! なんでお前こんなとこにいるんだ?」
やってきたのはマーシャル・レッドに所属する決闘者、藤堂 鋼貴だった。
「と…藤堂さん!? 藤堂さんこそどうしてここに?」
「仕事だ、この辺で、子供相手にカードをカツアゲする野郎が出没してるからとっ捕まえてくれ、って依頼が前から来ててな」
鋼貴は男を睨む。
「それでここら辺を探してたら、デュエルの爆発音が聞こえたもんでよ、来て見ればビンゴ、って訳だ」
「く…くそっ!」
鋼貴が依頼を受けて自分を捕まえに来たと知った男は、踵を返して逃げようとする。
「おっと! そうはいかねぇ! デュエルモード強制発動!」
鋼貴が決闘盤を展開すると、男の決闘盤が勝手に展開を始める。
「な…何だ!?」
「止まりな! それ以上逃げるとお前の決闘盤から警報がなるぜ! セキュリティに居場所を知られることになるかもな?」
「くそ…」
鋼貴の言葉に、男は足を止める。
遊伸は鋼貴の決闘盤を見て見当が付いた。
「(なるほど! 拘束装置か! ショップで聞いた以外の機能だな)」
「くそ! 決闘者が何だ! 叩き潰してやる!」
男は決闘盤を構える。
「へっ! すぐに片付けてやるよ! デュエ―――」
「こらぁぁぁーーーー!!!」
またしても人の台詞を遮る大声、今度はこちら側、遊伸の背後から竹刀を持った中年男性が物凄い勢いで向かってくる。
「貴様がぁぁーー例の不審者かぁぁーー!!! 天罰を受けろぉぉぉ!!!」
「何だ!?」
中年男性は竹刀を振り上げ思い切り――――鋼貴の脚に振り下ろした。
「だぁ…!…いってぇぇぇーーーー!!!」
鋼貴は崩れ落ち、地面に転がった。
「どうだ! 参ったか!」
「お…お父さん」
「おお! 鈴! もう大丈夫だぞ! お父さんがやっつけたからな!」
いつの間にか鈴が中年男性の後ろから現れていた。
どうやら修が男とデュエルをしている間に、父親を援軍として呼びに行っていたのだろう。
「お父さん…その人違う…」
「え?」
「おじさん、本当だよ。 その人は悪い奴を捕まえに来た決闘者で、悪い奴はあっちだよ」
修がそれぞれ指差しながら言う。
「……やややや! スマン! 君大丈夫か! 金髪でチャラチャラしてるからてっきり…」
「大丈夫に見えるかこれ…」
「はっはっは! 何だそりゃ! コントか?」
その様子に堪らず笑い出す男。
「くそ…早くデュエル始めねえと強制モードが解除されちまう…う…ってぇ、駄目だ! おい!遊伸!」
「な、なんですか?」
「お前がデュエルしろ!!」
この時が、近衛 遊伸の、決闘者としての第一歩であった。