遊戯王~Truth of Satellite~ 作:鬼柳高原
*タイトルにもありますが今回ゼアルからのナンバーズが登場します、設定は変更しています(ただの珍しいレアカードになってます)
*書いている時に作者のテンションがおかしく上がっていき、途中まではいつも通りだったのに途中からとっても臭う内容(いい風に言えばシリアス)になってしまいました。 それでも一生懸命書いたのでこのまま載せます。ご注意ください。
*タイトルにあるのでお分かりになるかも知れませんが、あるモンスターがボロクソ言われている場面があります。 また、使い手がやなやつです。 なのでそのモンスターが好きな人は物語の中だから、という広い心で見てくだされば幸いです。
13/1/4 ご指摘を受けて自分もそう思ったので、今頃ですが桐原の一部台詞を変更しました。
7月末 シティ沿岸部 デュエルスペース
「わあ! 賑わってるね!」
遊伸、鋼貴、空は今日開かれるデュエルチーム達の親睦会を兼ねたデュエル大会に来ていた。
「凄い、ここにこんな大人数がいるの初めて見たよ」
「確かにな。 …それにしても気合入れてんなー、客席まで作ってあるぜ」
デュエルスペースの16箇所、4×4で並んだ決闘場のうち、北出入口側と南出入口側から正面の4箇所、計8箇所に観客席を作り、間に挟まれた8箇所を今大会で使用する。
客席は既に人で溢れかえっていた。
「しかし何だこの盛況は、プロでもないデュエルチームのデュエルをそんなに見たいのか?」
「皆見てみたいんだよ、珍しいからね」
鋼貴が疑問を口にしているとカードショップの店長が後ろから答える。
「よお店長! 随分繁盛してるじゃないか、何が珍しいんだ?」
「こんにちは」
「こんにちは店長さん!」
鋼貴が店長に聞き返すと同時に遊伸と空も挨拶をする。
「やあこんにちは。 …プロはほぼ毎日観客の前でデュエルをするじゃないか? だけどデュエルチームもデュエルはするがそんなに人前ではやらないだろ? そういうことさ、珍しいんだ」
「何ていうか、皆暇だな~」
「まあまあ、そうだ! もうトーナメント張り出してるよ、もう少ししたら開会式だからちゃんと見ておいてね」
そう言うと店長はそそくさと行ってしまう、忙しいのであろう。
遊伸達がトーナメント表を確認しに行こうとすると、客席から聞き覚えのある声が遊伸を呼ぶ。
「おーい! 遊伸のお兄ちゃ~ん!」
遊伸達が振り返ると客席の最前列に修と鈴がいた。
視線が合うと修がこっちこっちと手招きし、鈴は頭を下げる。
「やあ! 修君達も来てたのか!」
「遊伸のお兄ちゃん! 鈴ちゃんから聞いたよ! 取り返してくれてありがとう!」
修は自分の事のように遊伸に感謝する。
「この大会デュエルチームだけでやるって聞いたから、遊伸のお兄ちゃんや鋼貴のお兄ちゃんも出ると思って、それで応援に来たんだ!」
「遊伸さん、鋼貴さん、頑張ってね!」
「ありがとう! 二人とも!」
遊伸が二人と話していると、遊伸の後ろから空がひょっこり顔を出す。
「この子達が遊伸の言ってた修君と鈴ちゃん? 可愛いね! こんにちは!」
「? このお姉ちゃんは?」
「私は西野 空! 遊伸と鋼貴と同じマーシャル・レッドのメンバーだよ! よろしくね!」
「そうなんだ! 空のお姉ちゃん、よろしくね!」
「こんにちは、空さん!」
空が自己紹介すると、二人もそれに応える。
「お姉ちゃん…か」
空が一瞬だけ寂しそうな顔をする。
「空?」
それを見た遊伸が心配して声をかける。
「! …ううん! 何でもないよ!」
空が慌てて手を振る。
「それならいいけど……それじゃあ僕らは行くね、応援頼むよ!」
「うん! 頑張ってね!」
そう言い合うと遊伸達は二人と別れ、トーナメント表に向かう。
今回の大会では一つのチームからは三人まで出場が可能になっている。
参加したチームは6チーム、そのうちの1チームは一人だけの参加なので、合計16人でのトーナメントとなった。
組み合わせはAブロック、Bブロックと8人ずつで分けられ、両ブロックで勝ち抜いてきた者同士で決勝戦を行う。
「俺と空はBブロックか」
「しかも上手い具合に準決勝で当たるね、遊伸は…BにいないからAだね」
「そうみたいだね、えーと…あった! 対戦者は…桐原 聡真」
「げ」
「やっぱり来てるんだ…」
鋼貴と空が露骨に嫌そうな顔をする。
「どうしたの二人とも? 知ってる人?」
「やあ! そこにいるのは鋼貴君に空君じゃないか!」
突然後ろから甲高い声が響く。
見ると立っているのは中々の美青年。
しかしその笑顔には何か嫌味な物を感じさせる。
「君達が来ているなんて驚きだよ、極小チームの君達がこんな所で大会なんて出てていいのかい? それとも仕事が無いのかい?」
「へっ! お生憎様、仕事は来てるよ! 今回は偶然この日がフリーなんでな! 悪いな、お前の優勝妨げちまってよ! いや、俺達がいなくてもお前はそんな強くはねーか!」
鋼貴はその青年と言葉を交わすなり、いきなり嫌味の言い合いとなった。
「空、この人は?」
「こいつはねぇ…」
空が説明をしようとすると青年が遊伸を目に留める。
「そこの見慣れない君は近衛 遊伸君だね!」
「ど、どうして僕の名前を…」
遊伸が驚くと青年は指を振って言う。
「情報が物を言う時代と仕事だからね、他チームの情報位集めておくものだよ……そうだ、自己紹介が遅れたね、僕の名前は
「プロ候補生って?」
遊伸の疑問に鋼貴が答える。
「アカデミア高等部を卒業した奴の中で、プロ決闘者の素質があると判断された奴がもう一年アカデミアに残って、プロになるための指導を受ける、それがプロ候補生だ。 …だけどホントにスゲー奴は高等部卒業後直ぐにプロになってんだ、だからプロ候補生なんて凄くもなんともねぇよ」
「実力的に一歩足りないって言われているようなもんだよね」
鋼貴と空の言葉に桐原が一瞬仰け反る。
どうやら痛いところを突いたようだ。
「…鋼貴君、口が達者なところは本当にアカデミアの時から変わってないね…」
「お互い様にな」
「(! 鋼貴ってデュエルアカデミアを卒業しているのか…通りで色々詳しいわけだ)」
遊伸はこの一ヶ月と二週間、鋼貴から色々なことを教わっていた。
遊伸が理解していなかった細かいルール、戦術、一人暮らしの基本から豆知識まで。
鋼貴は見た目に反して意外と教養がある。
「それにしても……マーシャル・レッドは余程人材に困ってると見える、そんなサテライトなんて所から来た素人を雇うなんてね…」
桐原が笑いを堪えながら言う。
「何だと! こいつを馬鹿にすんじゃねーぞ! こいつはお前なんかよりずっと強い! それにサテライトがなんだ! 時代遅れなんだよ!」
「そうよ! 遊伸に謝って!」
鋼貴と空が声を張り上げて桐原を非難する。
どうやら、桐原には今じゃ殆ど見られなくなったサテライトに対する差別意識があるようだ。
「大体マーシャル・レッドって言う名前もそうだ……勇敢な赤、名前負けしてるとは思わないのかい? それに君達が赤なんて……いいかい? 赤と黒はね、この世でもっとも素晴らしい色なのさ! 黒の様に美しく、赤の様に情熱的な僕にこそ相応しい色なんだよ、解る?」
「解らねぇし解りたくもねぇよ! 何だお前! そんなこと言いに来たんならさっさとどっか行け!」
「君達にわざわざ会いに来るほど暇じゃないさ、トーナメント表を見に来たんだ。 そこどいてくれないかな?」
「ならその必要はねぇ! お前の一回戦の相手はこの遊伸だ!」
鋼貴が遊伸を指差し叫ぶ。
「遊伸君が? おやおや、それは災難だったねぇ遊伸君、僕といきなり当たってしまうなんて…」
鋼貴が何か言おうとしたが遊伸が肩を掴んで止める。
「遊伸?」
「鋼貴、ここからは僕が……桐原さん、僕のことを馬鹿にするのはいいです、でもマーシャル・レッドを、皆を馬鹿にするのは許せない! この試合、僕が勝つ!」
遊伸が力強い声で言い、桐原を指差す。
「おやおや、威勢のいいことだ、ま、恥を掻く前に帰ることをお勧めするよ、それじゃあ後で」
そう言うと桐原は踵を返して向こうへと歩いて行く。
「遊伸、あんな奴大したことねぇ! 軽く片付けちまえ!」
「そうよ! やっつけちゃえ!」
「ありがとう、二人とも」
二人が遊伸を激励していると、今度は別の青年が近づいてくる。
「よう! 鋼貴」
鋼貴が振り向くと体格のいい青年が片手を上げている。
「なんだ高尾じゃねーか! 久しぶりだな!」
さっきのことでしかめっ面だった鋼貴の顔が笑顔になる。
「最近呼んでくれないじゃないか、仕事こないのか?」
「へへ! 仕事がねー訳じゃねーよ! ほら、新人が入ったんだ! ほら、遊伸」
鋼貴が遊伸を高尾に引き合わせる。
「高尾、こいつが新しく入った遊伸だ! 才能ある有望株だぜ!」
「オーバーだよ鋼貴……始めまして、近衛 遊伸です」
遊伸が照れた様に鋼貴に言うと高尾に自己紹介する。
「ああ、始めまして!
「助っ人家業?」
「デュエルの助太刀をするのさ、デュエルチームの仕事の手伝いをしたりね」
「うちもお前が来る前はよく高尾に手伝いを頼んでたんだ」
「そうなんだ、何か仕事をとったみたいで申し訳ないな…」
「気にするな! マーシャル・レッドだけから依頼を受けてる訳ではないし、それに依頼はデュエルチームからだけじゃない、そこまでの痛手じゃないんだ」
申し訳なさそうにする遊伸に高尾は笑いながら言う。
「そういえば高尾もこの大会出るのか?」
「ああ! 一応助っ人事業やるときも「デュエルチーム」ってことで申請したからな! 出てみようと思ったんだ、当たることがあったらよろしくな! …おっと、もう開会式始まるぞ、行こう!」
高尾に促されて遊伸達も向かう。
・
・
・
開会式が終わり、Aブロックの試合が行われようとしていた。
決闘場の一つで遊伸と桐原が対峙する。
「やれやれ、本当に挑みにくるとは…シティのデュエルと言う物を教えてあげよう」
「もう十分解っているよ! だから僕が勝つ!」
「遊伸のお兄ちゃーん! 頑張れー!」
「そんな奴敵じゃねーぞ!」
試合がBブロックである鋼貴と空は、修と鈴と共に客席にいた。
修と鋼貴が声を張り上げる。
「「デュエル!!!」」
先攻 桐原
「それじゃあいくよ、僕のターン! ドロー!」
桐原 手札:5+1
「僕は「黒竜の雛」を召喚!」
場に一つの卵が現れる。
それが割れると中から一頭のドラゴンの幼竜が出てくる。
全身黒く、眼は紅い。
ATK:800
「黒竜の雛のモンスター効果、このカードを墓地へ送り、手札から「
黒竜の雛が消えると場に今度は成体の黒い竜が現れる。
同じ様に紅い眼を持ち、その刺々しい黒色のフォルムは光沢を放ち、桐原が言うように美しささえも感じさせる。
ATK:2400
「いきなり最上級モンスターが…」
「すごい! あのドラゴンカッコイイ!」
「修ちゃん、遊伸さんの応援しないと…」
修が素直な感想を述べると桐原は鼻で笑う。
「子供は素直でいい、この「真紅眼の黒竜」の魅力を一身に感じることが出来るのだからね!」
そんな事を言うと、鋼貴が遊伸に向かって叫ぶ。
「見た目に騙されるな! そいつは最上級モンスターの攻撃力ラインも超えてない、効果も無い、手間だけがかかるめんどくせぇモンスターだ! 軽く片付けちまえ!」
鋼貴の言葉に桐原はまた一瞬仰け反る。
「…僕のレッドアイズを舐めない方がいいよ、カードは使い方次第さ……さあ遊伸君! これは挨拶代わりだ! 受け取りたまえ! 魔法カード「黒炎弾」を発動! 自分の場の「真紅眼の黒竜」1体の元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える!」
真紅眼の黒竜 ATK:2400
真紅眼の黒竜が炎弾を遊伸に向かって吐き出す。
「うわああ! い、いきなり2400も」
遊伸 LP:8000→5600
「ふふふ! どうだい? 無理することは無いよ! サレンダーしたらどうだい? カードを伏せてターンエンド!」
フィールド
― ― A ― ―
― ― S ― ―
LP:8000
手札:2
・A:真紅眼の黒竜
・S:伏せ
「相変わらずセコイことしやがって!」
鋼貴が毒づく。
「サレンダーなんかするもんか! 僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:5+1
「今から召喚するモンスターは相手の場にモンスターが存在し、 自分の場にはモンスターが存在しない場合、 レベル4モンスターとして手札から特殊召喚できる! 「レベル・ウォリアー」を特殊召喚!」
場に特撮ヒーローさながらの、星のマークを頭と胸に付けた戦士が現れる。
ATK:300
「そしてチューナーモンスター「X-セイバー エアベルン」を召喚!」
ATK:1600
「いくぞ! レベル4「レベル・ウォリアー」に、レベル3「X-セイバー エアベルン」をチューニング!!」
「集いし剣の輝きが、希望の活路を照らし出す、光差す道となれ! シンクロ召喚! 切り開け! 「セブン・ソード・ウォリアー」!」
光の柱から踊り出たのは金色の戦士。
両手に大剣を二本、腰に短剣を二本、両肩にショルダーシールドの様に取り付けた刃、背中の太刀一振り、合計7本。
セブン・ソード・ウォリアーである。
ATK:2300
「おやおや、そんなに武器を持ってても2300、それでどうやってレッド・アイズに対抗しようと…」
「さらに手札から装備魔法「
ATK:2300→2800
セブン・ソード・ウォリアーの首に黒いペンダントが掛けられると、セブン・ソード・ウォリアーは体から眩い光を放つ。
「うわっ! こ、こんなの大したことないね! 黒炎弾の三分の一じゃないか!」
桐原 LP:8000→7200
「わあ! セブン・ソード・ウォリアーペンダント貰って喜んでるよ!」
「よかったね! セブン・ソード・ウォリアー」
「…そうなの?」
喜んだから光輝いた、空にはそう見えたらしく、疑う修とは違い、鈴は子供らしい反応で返す。
「さらにセブン・ソード・ウォリアーのもう一つの効果発動! 1ターンに1度、このカードに装備された 装備カード1枚を墓地へ送る事ができる! そして装備された装備カードが墓地へ送られた時、 相手の場に表側表示モンスター1体を破壊する事ができる! 「イクイップ・ショット」!」
セブン・ソード・ウォリアーは手に持った大剣を地面に突き刺すと首のペンダントを外し、思い切りレッド・アイズに投げつける。
レッド・アイズにペンダントが直撃するとペンダントが爆発し、レッド・アイズを吹き飛ばす。
「僕のレッド・アイズがぁ~!」
桐原が頭を抱えて叫ぶ。
「な、投げ捨てちゃった!?」
「やっぱり気に入らなかったのかな…」
「黒いし趣味じゃなかったんだよ」
「そう言うことじゃねーだろ…」
修まで乗り始めた為、とうとう鋼貴が突っ込む。
「まだだ! 黒いペンダントの効果発動! このカードが場から墓地へ送られた時、 相手ライフに500ポイントダメージを与える!」
「ぬうう! ちょこちょこと…!」
桐原 LP:7200→6700
「次は大きいよ! バトル! セブン・ソード・ウォリアーで直接攻撃! 「セブン・ソード・スラッシュ」!」
セブン・ソード・ウォリアーが桐原に向かって大剣、短剣、ショルダーシールド全て、桐原を囲む様に投げつけて逃げ場を無くす。
「ひい!?」
最後は背中の太刀で桐原を一閃。
「ぎゃああ!」
桐原 LP:6700→4400
「カードを伏せてターンエンド!」
フィールド
― ― A ― ―
― ― S ― ―
LP:5600
手札:2
・A:セブン・ソード・ウォリアー
・S:伏せ
「凄いや遊伸のお兄ちゃん! 相手のお兄ちゃんメチャメチャビビッてたね!」
「おうよ、あいつはな、偉そうなことや嫌味を吐きまくってるわりには臆病なんだ、いいぞ遊伸! 押し切っちまえ!」
桐原が立ち上がると、意外にも余裕そうな顔をしている。
「僕のターン、ドロー!」
桐原 手札:2+1
「フフフ…」
「あ、あいつ何笑ってやがんだ?」
鋼貴が笑う桐原を訝しがる。
「教えてあげるよ遊伸君…レッド・アイズはね、それは由緒正しきレアカードなんだ」
「(何か話し始めた…)」
「このカードは僕のおじい様がかの伝説の決闘王、宝月 仁から譲り受けたカードでね、宝月 仁はおじい様に渡す時にこう言ったそうだ…「このカードは勝利をもたらすカードじゃない、可能性をもたらすカードだ」とね……いい言葉じゃないか!」
「(グレイグも知ってるかな?)」
空は密かに思った。
「そう、だから今! そのレッド・アイズの可能性を見せてあげようじゃないか! 僕は「黙する死者」を発動! 自分の墓地に存在する通常モンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する。 蘇生させるのは勿論「真紅眼の黒竜」!」
DEF:2000
「そして手札から魔法カード「融合」を発動! 手札の「沼地の魔神王」と場の「真紅眼の黒竜」を融合!」
桐原の場に歪みが出来ると中から巨大な竜が熱を発しながら現れる。
「融合召喚! 「メテオ・ブラック・ドラゴン」!」
現れた竜はレッド・アイズの面影を殆ど残していない、紫色のドラゴン。
体中にひび割れの様な線が入っていて、そこには赤い溶岩の様な物が見える。
ATK:3500
「攻撃力3500!?」
「どうだい? ちょっと僕の趣味に合わないけど。 効果を持たない代わりにこの攻撃力! 単純な君達には単純な力を、てね! あーははは!」
「(何を根拠に単純だと…)」
「さあ! バトル! メテオ・ブラック・ドラゴンでモンスターを攻撃! 「メテオ・ダイブ」!」
メテオ・ブラック・ドラゴンが炎を纏ってセブン・ソード・ウォリアーに突撃する。
セブン・ソード・ウォリアーは触れた瞬間、蒸発してしまった。
「うう…! セブン・ソード・ウォリアー…!」
遊伸 LP:5600→4400
「僕はこれでターン終了さ!」
フィールド
― ― A ― ―
― ― S ― ―
LP:4400
手札:0
・A:メテオ・ブラック・ドラゴン
・S:伏せ
「くそ! LP並ばれちまった! 遊伸! 巻き返せ!」
「解ってる! 僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:2+1
「僕はモンスターセット、カードを伏せてターンエンド」
フィールド
― ― S ― ―
― ― S S ―
LP:4400
手札:1
・S:セットモンスター
・S S:伏せ
「僕のターン! ドロー!」
桐原 手札:0+1
「僕は「洞窟に潜む竜」を召喚!」
場に地面を這い、少し眠そうにしている竜が現れる。
ATK:1300
「バトル! 洞窟に潜む竜でセットモンスターを攻撃!」
洞窟に潜む竜が風のブレスを吐くとセットモンスターが破壊される。
破壊されたモンスター
クリッター
「クリッターの効果発動! デッキから攻撃力1500以下のモンスター、「ターレット・ウォリアー」を手札に!」
遊伸 手札:1+1
「おや、破壊できるとはラッキーだね、それじゃあメテオ・ブラック・ドラゴンで直接攻撃! 「メテオ・ダイブ」!」
メテオ・ブラック・ドラゴンが炎を纏い、遊伸に向かって突進する。
「罠発動! 「波動再生」! 相手の直接攻撃宣言時、その攻撃モンスターのレベル以下の レベルを持つシンクロモンスター1体を自分の墓地から選択、 その時の戦闘ダメージは半分になり、そのダメージステップ終了時、 選択したシンクロモンスターを自分の墓地から特殊召喚する! 僕はレベル8メテオ・ブラック・ドラゴン以下のレベル7、セブン・ソード・ウォリアーを選択!」
そして攻撃が遊伸に命中する。
「うわああ! ……来い! セブン・ソード・ウォリアー!」
遊伸 LP:4400→2650
ATK:2300
「おや、体を張って頑張るね、僕はこれでターンエンド」
フィールド
― ― A A ―
― ― S ― ―
LP:4400
手札:0
・A:メテオ・ブラック・ドラゴン
・A:洞窟に潜む竜
・S:伏せ
「僕のターン、ドロー!」
遊伸 手札:2+1
「僕は戦士族、セブン・ソード・ウォリアーをリリースして、手札から「ターレット・ウォリアー」を特殊召喚!」
セブン・ソード・ウォリアーが光に包まれて、その光の中から新たに出てきたのは、ロボットにもゴーレムにも見えるが、歴とした戦士、旋回砲塔をイメージした戦士で、塔の様な両肩には砲台が付いている。
ATK:1200
「ターレット・ウォリアーの効果! 戦士族を一体リリースして特殊召喚することができる! この方法で特殊召喚したこのカードの攻撃力は、 リリースしたモンスターの元々の攻撃力分アップする!」
ATK:1200→3500
「な!? 僕のメテオ・ブラック・ドラゴンと並んだ!?」
「まだだ! 魔法カード「破天荒な風」! 次の自分のスタンバイフェイズ時までターレット・ウォリアー の攻守を1000ポイントアップする!」
ATK:3500→4500
「そして「X-セイバー アナペレラ」を召喚!」
ATK:1800
「いくぞ! ターレット・ウォリアーでメテオ・ブラック・ドラゴンを攻撃! 「リボルビング・ショット」!」
ターレット・ウォリアーが放った砲撃がメテオ・ブラック・ドラゴンの隕石体を打ち砕く。
メテオ・ブラック・ドラゴンは粉々になり消滅する。
「レ、レッド・アイズに続きメテオ・ブラックまでも…!」
桐原 LP:4400→3400
「アナペレラで攻撃! 「クロス・バイパー」!」
アナペレラの蛇腹剣が縦横無尽に動き回り、洞窟に潜む竜を斬り付け、破壊する。
「ぐはっ!」
桐原 LP:3400→2900
「僕はこれでターンエンド」
フィールド
― ― A A ―
― ― S ― ―
LP:2650
手札:0
・A:ターレット・ウォリアー
・A:X-セイバー アナペレラ
・S:伏せ
「おっしゃー! 遊伸が追い詰めたぜ! どうだ桐原!」
鋼貴がそう言って桐原を見るとまた桐原は笑っている。
「な…何笑ってやがんだ…切り札まで倒されてやがんのに…」
鋼貴が知る限り、桐原の切り札はメテオ・ブラック・ドラゴンであった。
「フ…フフフ…遊伸君、どうやら僕を本気にさせてしまったようだね」
「何だって…?」
「へっ! ハッタリだ!」
鋼貴が言うと桐原は指を振る。
「僕にはね、とっておきがあるんだよ、選ばれた者だけが使えるとっておきがね…」
「(まさか…)」
空はそれが何なのか感ずいた様子、しかし鋼貴は解らず、言葉を投げる。
「お前の切り札はメテオ・ブラック・ドラゴンだろうが! それ意外見たことがねえぞ!」
「まったく、頭が悪いねぇ、だからあるんだよ、見せたことが無い切り札が」
「何!?」
「見られるかもよ…? 僕を本気にさせたからね……僕のターン! ドロー!」
桐原 手札:0+1
「僕は罠カード「無謀な欲張り」を発動! 自分のデッキからカードを2枚ドロー! その後、自分のドローフェイズを2回スキップするよ」
桐原 手札:1+2
「来た…! 流石は僕だ…! 見せてあげるよ! 僕は魔法カード「思い出のブランコ」を発動! 自分の墓地の通常モンスター、「洞窟に潜む竜」を特殊召喚!」
ATK:1300
「レッド・アイズじゃない…!」
「そして僕は速攻魔法「地獄の暴走召喚」を発動! これは相手の場に表側表示モンスターが存在し、自分の場に 攻撃力1500以下のモンスター1体を特殊召喚に成功した時に発動できる魔法さ、そしてその効果は特殊召喚したモンスターと同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から 全て攻撃表示で特殊召喚できるのさ!」
「何だって!? レッド・アイズにしなかった理由はそういうことだったのか…」
「ただ、この便利なカードにも欠点があってね…それは相手にも同じ特殊召喚を許してしまうことさ、さあ遊伸君! ターレット・ウォリアーかアナペレラ、好きな方を可能な限り特殊召喚するといい、表示形式は自由だよ」
「(…アナペレラを含める僕のX-セイバーシリーズは一体ずつしかいない、なら…)僕のデッキにあるもう一体のターレット・ウォリアーを守備表示で特殊召喚!」
DEF:2000
「僕は洞窟に潜む竜をデッキから二体特殊召喚!」
ATK:1300
ATK:1300
「(同じモンスター……同じレベル……!?) 遊伸! 気を付けろ! エクシーズだ!!」
「え!?」
「おや、鋼貴君ご名答、それもただのエクシーズではないよ」
「何だと!」
「レベル4の洞窟に潜む竜をオーバーレイ! 三体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚!」
「(三体!? 鋼貴の時よりも多い!)」
三体の竜が緑の光に変わり、現れた穴に吸い込まれる。
鋼貴の時は赤い閃光だったが、その穴からは金色の閃光が放たれ、そこから一体の竜が飛び出す。
「僕の新たなる切り札!「
現れた竜は三停九似、細長い体の竜であり、青い体色をしている。
大きな口に長い髯、全身から常に放電しており、頭部に「91」と書かれている。
ATK:2400
「No.だと!? 何であいつが!」
「やっぱり…」
「ねえ、鋼貴のお兄ちゃん、ナンバーズって何? 普通のモンスター・エクシーズと何が違うの?」
鋼貴が驚き、空が納得していると、修が鋼貴に聞く。
「…モンスター・エクシーズが最近できたカードジャンルなのは知ってるよな? ナンバーズってのはモンスター・エクシーズを創る過程で出来た99枚の試作品のことだ。 試作品だから調整が上手くいってなくて、スゲー強力なカードもあるらしい。 で、創ったデュエル研究者達がモンスター・エクシーズのテストをする為、99枚のナンバーズを優秀な決闘者に一枚ずつ配ったって話だ」
鋼貴がここまで説明すると桐原が声を張り上げて言う。
「そう! その通りさ鋼貴君! 99枚のナンバーズ、99人の選ばれた決闘者! その栄えある決闘者の一人にこの僕! チーム「ブラック・ファイア」のエースにしてプロ候補生であるこの僕が選ばれた訳さ!」
知られてないも同然の、滅多に見れないレアカードの登場に会場は一気に盛り上がる。
「くそ…何であんな奴が…遊伸! そんな馬鹿でかい電気ウナギなんてお前の戦士達で下ろしちまえ!」
「出来るならやってみるがいいさ、 サンダー・スパーク・ドラゴン! 効果発動! オーバーレイ・ユニットを三つ取り除き、このカード以外の表側表示のモンスターを全て破壊する! 「サンダー・スパーク・ボルト」!」
サンダー・スパーク・ドラゴンが周りを漂っていた光球を全て飲み込むと、体中の電気を一気に放電する。
決闘場全体に激しい閃光が放たれると、もうそこにはサンダー・スパーク・ドラゴンのみがいるだけであった。
「僕のモンスターが…」
「アーハッハッハッハ! どうだ! これが「ナンバーズ」の力だ! さあ! サンダー・スパーク・ドラゴンで直接攻撃! 「スパーク・ブレイク」!」
サンダー・スパーク・ドラゴンが遊伸に向かって電撃を放つ。
「うわあああ!」
遊伸 LP:2650→250
「「遊伸!!!」」
「遊伸のお兄ちゃん!!!」
「遊伸さん…!!」
四人が一斉に叫ぶ。
「これでターンエンド」
フィールド
― ― A ― ―
― ― ― ― ―
LP:2900
手札:0
・A:
「ぐう…」
「アーハッハッハッハ! 見たか遊伸君! これが僕と君の生まれる前からの力の差さ!」
「何だって…?」
「そうだろう? 僕はエリートだ! トップスで生まれ、アカデミアで学び、そして今、優秀な決闘者としての証を持っている……サテライトで生まれて育った君みたいな下等な人間とは違うのだよ!」
「てめぇ! いい加減にしろ!!!」
「鋼貴待って!」
遊伸が観客席から乗り出そうとしている鋼貴を止める。
「止めんな遊伸! お前はここまで言われて悔しくないのかよ!」
「…桐原、君には自分の目の前で自分とデュエルしている相手について、考えたことは無いのかい? 自分より下の人をそうやって常に見下しているのかい? 自分より劣っていても、真剣にデュエルしている人たちに対して、少しも
「君には僕がそんなに傲慢に見えるのかい? 僕は強者として当たり前な考えだと思うけどね、尊敬されるならまだしも、どうして僕が尊敬する要素が無い奴にまで尊敬しなければならないのさ。 君の考えなんて解らないよ」
桐原をまっすぐ見つめていた遊伸は目を落とす。
「…そうか、解った。 桐原、君は僕にとって今まであった決闘者、いやデュエルをする人たちの中で一番凄くない奴だ!!」
遊伸は桐原の方に目を上げて言い放つ。
「す、凄くない奴? そこは最低、だとか最悪、とかじゃねえのか?」
鋼貴が頭を傾げる。
「ほう……どうして僕が凄くないんだい?」
桐原が言うと遊伸は答える。
「僕はこのシティに来てから、いろんな人とデュエルした、勝ったりもしたし、負けもした、でも! その最後には必ず得るものがあった!! 学ぶことがあったんだ!!」
遊伸はさらに声を張り上げる。
「鋼貴、空、燃次、冷次…皆強くて、いい人で、僕と真剣に向き合ってデュエルしてくれた! だから僕は学ぶことが出来た! …中にはデュエルで人からカードを奪う最低な奴もいた」
「「……」」
鈴と修は獏葉を思い出す。
「だけどそいつは……よくないやり方だけど、真剣にデッキを作って、僕にデュエルで勝とうとしたんだ!! 曲がりなりにも僕に対して真剣だったんだ!! だから学べることがあった!」
遊伸は一呼吸入れる。
「…君は「一番凄くない奴」だ……なぜなら」
遊伸はデッキの上のカードに指を掛ける。
「僕が君から学ぶことなんて一つも無いからだ!!! 僕のターン!! ドロー!!」
遊伸 手札:0+1
「僕は「貪欲な壷」を発動! 墓地から5体のモンスターをデッキに戻し、二枚ドロー!」
戻したカード
X-セイバー エアベルン
X-セイバー アナペレラ
レベル・ウォリアー
ターレット・ウォリアー
クリッター
遊伸 手札:0+2
「僕は魔法カード「エクストラ・フュージョン」を発動! エクストラデッキから融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、 その融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する! 僕は「スターダスト・ドラゴン」と「X-セイバー ウェイン」を墓地に送り、 「波動竜騎士 ドラゴエクィテス」を融合召喚する!!」
遊伸のデッキの上に歪みが現れる。
遊伸が決闘盤を前に突き出す。
「現れろ! 「波動竜騎士 ドラゴエクィテス」!!」
歪みから波紋が広がる、そこから光が飛び出し、 ドラゴエクィテスとなった。
ATK:3200
「馬鹿な! こ、こんなモンスターがぁぁ!?」
桐原はドラゴエクィテスを見上げ、腰を抜かす。
「さらに永続罠「輪廻独断」を発動! 種族を一つ宣言する! このカードが場に存在する限り、お互いの墓地のモンスターは宣言した種族となる! 僕が宣言するのはドラゴン族!」
遊伸が宣言すると輪廻独断が光る。
「そしてドラゴエクィテスの効果発動! 1ターンに1度、墓地に存在するドラゴン族のシンクロモンスター1体をゲームから除外し、 エンドフェイズ時までそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る! 僕はドラゴン族となったシンクロモンスター、セブン・ソード・ウォリアーを除外して名前と効果を得る! 「エフェクト・シンクロ」!」
ドラゴエクィテスの前にセブン・ソード・ウォリアーが現れ、粒子となる。
ドラゴエクィテスがそれを吸収する。
「
ATK:3200→3700
「そして
「うわあああ!」
桐原 LP:2900→2100
「
サンダー・スパーク・ドラゴンはその波動を受けると粒子となって消える。
「あああああ!? そ、そんな……証が…切り札がぁぁぁ!?」
桐原は取り乱すように喚く。
「止めだ!!
「く、くるなぁぁ!」
「う、うわああああああああ!!!」
桐原 LP:2100→0
桐原のLPが0となり、ソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴る。
「…桐原、君とはもっと楽しいデュエルがしたかったよ……」
ワァァァァァーーーーーーーー!!!!!!
その瞬間、大歓声が起こる。
「わっ!」
遊伸が驚いて周りを見渡すと、観客が遊伸に向かって称賛を送っている。
さらに他の決闘場でデュエルしていて先に終わっていた決闘者達も集まって観戦していた。
彼らも同様に称賛の声を送っている。
やっと怒りから我に返ると遊伸は困ったように見渡す。
後ろを向くと鋼貴達が立っていた。
「あ、ああ皆……勝ったよ」
頭が追いつかず、言葉が上手くでない遊伸。
「遊伸」
「遊伸!」
鋼貴は普段じゃ想像できないような真面目な顔つきで、空はいつも以上の笑顔で遊伸を見ている。
鋼貴が話始める。
「遊伸、何て言うか…んー、言いたいことは沢山あるんだけどよ…」
「恥ずかしいなら変わってあげようか?」
空が横槍を入れる。
「いや、俺が言う、一応こいつの教育係だからな」
鋼貴は咳払いをして遊伸に向き合う。
「沢山ありすぎてな、まあ一番短いやつ一言で済ますぞ、遊伸」
ありがとよ
まだ一回戦なのに…やりすぎた…
オリカ
漫画版5D'sより エクストラ・フュージョン
アニメGXより 輪廻独断