遊戯王~Truth of Satellite~ 作:鬼柳高原
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「いけ! スターダスト・ドラゴンで直接攻撃! 《シューティング・ソニック》!」
LP:1200→0
「負けたか…」
ソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴る。
第二回戦、遊伸は勝利を決め、準決勝へ駒を進めた。
項垂れている相手に遊伸は声をかける。
「ありがとうございました! 楽しいデュエルだったです!」
相手は顔を上げると笑いながら言う。
「いやこちらこそ、負けたけど楽しかったよ……俺から学べることはあった?」
「ア、アハハ…もちろんですよ(恥ずかしい…)」
第二回戦は一回戦を勝ち抜いた8人がそれぞれの相手と決闘場でデュエルを同時に行っていた。
遊伸は辺りを見渡すと、鋼貴は先に終わっていたらしく、空のデュエルを見ていた。
空が勝てば次に当たるのは自分だからである。
遊伸は鋼貴の元へ向かう。
「鋼貴」
「おう、遊伸! 勝ったみたいだな、こっちも勝ったぜ……こっちもな」
そう言うと鋼貴は空がデュエルしている決闘場を首で示す。
遊伸は示された方を見ると、既にソリッドビジョンは消え、終了のアラームが鳴っていた。
相手の男は悔しそうに地面を叩く。
「あっちの男な、ブラックファイアのリーダーだ」
「えっ!?」
遊伸は鋼貴の言葉に驚く。
ブラックファイアと言えば一回戦で戦った桐原が所属しているチームである。
そこのリーダーなのだから、桐原よりチーム内の格は上であり、実力も近いはず。
「お前は見れなかったがな、今のデュエル……空は1LPもくらってないんだぜ」
「……本当かい? それ…」
遊伸は言葉を失いそうになる。
遊伸は桐原にとても苦戦し、何とか勝利をもぎ取ったのである。
デュエルには運、デッキの相性、戦術の有無、様々な要素が絡んでくる。
それを勘定に入れても空の強さが分かる。
「俺な、実は空に勝ったことがねぇんだよ。 空は本当に強い、俺の感覚じゃ下手なプロよりもだ」
「そんなに…」
鋼貴は随分と空を高く評価している。
もしかしたら鋼貴は、遊伸が思っているよりも空との戦歴があるのかもしれない。
「だが俺だって負けてばかりじゃ男が廃るぜ、今回は俺が勝つ! そして決勝でお前にリベンジだ!」
そう言うと鋼貴は笑って遊伸に振り向く。
「その意気だよ、僕も見習って決勝に進まなきゃね」
二人が話していると、カードを片付け、決闘盤を収めた空が遊伸達に気付き、手を振りながら向かってくる。
「おーい! 二人とも勝った?」
「勝ったぞ、準決勝、お前とだ」
「僕も勝ったよ、それにしても今のデュエル凄かったらしいじゃないか、ノーダメージだなんて」
遊伸が称賛すると、空が笑顔で返す。
「ありがとう! 得意なタイプの人だったから、でも強かったよ! 結構時間掛かっちゃった!」
「ノーダメで強かった何て言われてもな…」
鋼貴が苦笑いをしながら言う。
「強かったよ、流石ブラックファイア、シティで一番規模が大きいチームだけあるね」
「…そういえば桐原は大丈夫かな?」
「お前、散々馬鹿にされた上、お前自身がぶっ倒したのにあんな奴の心配をするのか?」
一回戦の後、桐原は色んな意味のショックで倒れてしまった。
直ぐにチームメイトが休憩所に運んで行ったがその後どうしたのかは分からない。
鋼貴は桐原と聞いて、「ナンバーズ」のことを思い出す。
「それにしても何であんな奴に……それ以前に「ナンバーズ」ってアマチュアからもテストに選ばれるんだな、プロだけかと思ってたぜ」
「プロだけなんてことはないよ、アマチュアも多いし」
空が当たり前のように言う。
そんな空に鋼貴は疑問を感じる。
「…何でそんなに詳しいんだ?」
「だって私も持ってるもん、ナンバーズ」
空がしれっと言うと鋼貴と遊伸は意表を突かれたように驚く。
「な、何!? 嘘だろ!? だ、だってお前、使ってるとこ見たことないぞ!」
「使ってないもん、私のデッキじゃ必要が無いというか……強いカードなんだけどね」
「テ、テストを頼まれてるんだよね? 使わなくていいの?」
遊伸が尤もな事を聞く。
「月に一度報告するように言われてるけど、いつも適当に書いてるよ」
鋼貴は盛大に溜息をつく。
「…強けりゃ誰でもいいのかよ、ナンバーズ・テストプレイヤー……何時貰ったんだ? 何でアマチュアが多いんだ?」
「鋼貴に会う前だよ、中等部を首席で卒業したら校長室に呼ばれて、そこで校長先生が私にくれたの。 校長室を行き来するときに何人かの人とすれ違ったから、多分貰ったのは私だけじゃないよ」
どうやらデュエルアカデミアはデュエル研究に深く関わっているようで、おそらくテストプレイヤーの大半はアカデミア生、またはその卒業生に違いないだろう。
そう考えればアカデミアのプロ候補生である桐原が選ばれていたのにも納得がいく。
そんな事を話していると、スピーカーから店長の声が響く。
どうやら準決勝開始のアナウンスのようだ。
準決勝は一組ずつで行うようであり、最初はAブロックから行うという。
「まずは遊伸か、相手は?」
「高尾さんだよ」
遊伸がそう言うと鋼貴が意外そうな顔をする。
「マジか、戦術見直したのか…」
「何のこと? 高尾さん昔は強くなかったの?」
「ん~何というか……ムラがあるんだよな、あいつのデュエル」
鋼貴は高尾とのデュエルを思い出しながら話す。
高尾はアカデミア時代から、かなり戦術が偏ったデッキを使っていて、そのせいで勝率が不安定だったらしく、成績も上がったり下がったりを繰り返していたらしい。
鋼貴によると助っ人時代も一緒だという。
「あいつのデュエルで一番多かったのはカード枚数のガス欠だ。 特に手札。 攻め方が派手でよ、あいつの攻めはスゲーんだけど、その猛攻を耐えられて反撃に移られると、もう何も出来なくなってるって感じだ」
「それで鋼貴は高尾さんが上手く準決勝まで勝ち進んでいるのが不思議に思ったのかい?」
遊伸が鋼貴にそういうと鋼貴は頷く。
「一応ここに集まってるのはそれぞれのチームの中でも上位三人だろうからな、ごり押しの攻めが通用するのか? って思ってな」
「近衛君何やってんだい! 君の試合始まるよ! 決闘場に急いで!」
店長がスピーカーを通して遊伸を呼びつける。
「わっ! そうだった! 急ごう!」
遊伸達は決闘場へと走り出す。
・
・
・
「遅かったじゃないか」
「す、すいません!」
遊伸が到着すると既に高尾が待っていた。
「ま、いいさ……さて、俺のことは鋼貴からどれ位聞いてるかな?」
「…攻めの戦術が得意と……」
遊伸が気を使ってそう言うと、高尾が笑い出す。
「ハッハッハ! 気を使わなくてもいい! どう言われたか位は分かっているさ! …そうだな、デュエルする前に言っておこう、鋼貴の情報を鵜呑みにすると痛い目に遭うぞ」
「(鋼貴が言うように戦術を見直したのかな……っと、これも鋼貴の情報か…あれ?)」
思考が絡まった遊伸は置いておき、こちらは観客席、次試合の鋼貴と空は修と鈴のいる客席にいた。
「高尾のヤローめ、こんな事なら高尾の試合見とくんだったぜ」
「随分自信がありそうだったね」
「遊伸のお兄ちゃん! 頑張れー!」
「修ちゃんまだ早いよ……あ、始まる」
「「デュエル!!!」」
先攻 高尾
「俺のターン、ドロー!」
高尾 手札:5+1
「俺は[X-ヘッド・キャノン]を召喚!」
場に二門のキャノン砲を持つマシンが現れる。
そのマシンは逞しい腕とキャノンが取り付けられた上半身があるが、下半身はトゲの付いた小さい球体になっていて、ひどくアンバランスな機体となっている。
ATK:1800
「さらに永続魔法[凡骨の意地]を発動! ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、 そのカードを相手に見せる事で、自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。 まあ今は関係ないか。 カードを伏せてターンエンド」
LP:8000
手札:3
モンスター
・ X-ヘッド・キャノン
魔法・罠
・伏せ
「僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:5+1
遊伸はシティに来てから約1ヶ月と2週間、様々な相手とデュエルしてきたが、その中でも機械族とのデュエルの数は多く、それだけ遊伸の中には経験があった。
その経験の一つが遊伸に囁く。
あのモンスターを場に残してはいけない。
遊伸がデュエルしたある男の声が遊伸の中で蘇る。
いくぜぇ! 3体の
きやがれ! 俺の最終兵器! [ジャイアント・ボマー・
機械族
アンバランスで不自然な機体
名前の特徴
様々な要素を考え、導き出した答えは―――
「(あのモンスターは……大型モンスターの一部だ!)僕は[セイバーザウルス]を召喚!」
場に剣を生やしたトリケラトプス、セイバーザウルスが現れる。
体を紅潮させ、突進の構えを見せる。
ATK:1900
「いけ! セイバーザウルス! X-ヘッド・キャノンを攻撃! 《セイバークラッシュ》!」
セイバーザウルスがX-ヘッド・キャノン目掛けて突進しようとする、が。
「永続罠[グラヴィティ・バインド-超重力の網-]を発動! このカードがある限り、場のレベル4以上のモンスターは攻撃できない」
罠が発動した瞬間、セイバーザウルスがもがき始める。
何かに押さえつけられているようで、体に見えない網目の様な物が食い込んでいる。
「(攻撃自体封じられてしまった……しかしあれじゃあっちも攻撃できないぞ…)」
「僕は2枚伏せてターンエンド」
LP:8000
手札:3
モンスター
・セイバーザウルス
魔法・罠
・伏せ2枚
「俺のターン、ドロー!…とここで[凡骨の意地]の効果を発動! 俺が引いたのは通常モンスター[V-タイガー・ジェット]! 続けてドロー!」
高尾 手札:3+2
さらにドローした高尾はそのカードを見て笑みを浮かべる。
「通常モンスターではないが、いいカードを引いたな、ドローフェイズ中に速攻魔法[手札断殺]を発動! お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、 カードを2枚ドローする!」
高尾が墓地に送ったカード
シールド・ウォリアー
前線基地
遊伸が墓地に送ったカード
X-セイバー パロムロ
クリッター
高尾 手札:3+2
遊伸 手札:1+2
高尾が2枚ドローするとまたも笑う。
「いいぞ! 俺がドローしたのは通常モンスター、もう一体の[X-ヘッド・キャノン]! 続けてドロー! 」
高尾 手札:5+1
高尾が引いたカードを見ると、上がったテンションを一旦落とす。
「…まあここでまた来たらそれこそビックリだな、メインフェイズに入る」
やっと長いドローフェイズが終わる。
「俺は魔法カード[マジック・プランター]を発動! 自分の場に表側表示で存在する 永続罠カード1枚を墓地へ送ってデッキからカードを2枚ドローする! [グラヴィティ・バインド-超重力の網-]を墓地に送り2枚ドロー!」
高尾 手札:5+2
グラヴィティ・バインドが無くなった為、セイバーザウルスが開放される。
「(またドロー? そんなに手札に困っているのか?)」
遊伸がそう考えていると鋼貴と空は高尾の意図に気付いていた。
「…高尾さん、思い切ったことしたね」
「まったくだ、頑固というか一途というか、ごり押しもいいとこだ」
「何? どういうこと?」
事情を知らない修が聞くが、鋼貴は「見てりゃ解る」と言うだけであった。
「…よし、覚悟しろ! 遊伸! 手札から永続魔法[前線基地]を発動! 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札からレベル4以下のユニオンモンスター1体を特殊召喚する事ができる! 俺はユニオンモンスター[Y-ドラゴン・ヘッド]を特殊召喚!」
今度はドラゴンの形をしたマシンが現れる。
ATK:1500
遊伸は内心焦る。
遊伸の経験と予想ではパーツは3体、後1体で揃ってしまう。
さらに相手は大量にドローし、さらに通常召喚まで残している。
「そして[Z-メタル・キャタピラー]を通常召喚!」
場にキャタピラで走行するマシンが現れる。
このマシン単体で見るととても戦闘能力があるように思えない、丸めの機械にキャタピラをくっ付けただけのように見えるマシンである。
ATK:1500
「さあ! 揃ったぞ! X、Y、Z、の3体を合体!」
遊伸の悪い予想が当たってしまう。
高尾が場の3体をゲームから除外すると、エクストラデッキから1体の融合モンスターを召喚する。
それに合わせてソリッドビジョンの3体が動き始める。
Zの上にYが翼を収容して接続、さらにその上にXのトゲが付いた球体部分を接続する。
「合体完了! [XYZ-ドラゴン・キャノン]!!」
合体が完了し、1体の完全なマシンが現れる。
合体前の不自然さを、遊伸はもう感じなかった。
ATK:2800
「さあ! XYZ-ドラゴン・キャノンの力を見せてやろう、自分のメインフェイズ時、手札を1枚捨てる事で、 相手の場に存在するカード1枚破壊する! 俺は手札を3枚捨て、お前の場のカード全て破壊する! 《ハイパー・デストラクション》!!」
捨てたカード
V-タイガー・ジェット
W-ウィング・カタパルト
X-ヘッド・キャノン
ドラゴン・キャノンが機体中にある砲門全てを開くと、一斉に遊伸の場に目掛けて発射する。
破壊するカード
セイバーザウルス
伏せ2枚
「そんな…! …ただじゃやられないぞ! 永続罠[リミット・リバース]発動! 墓地の攻撃力1000以下のモンスターを特殊召喚する! 僕は[クリッター]を特殊召喚!」
砲撃が届く前に場に三つ目の毛深くて丸い悪魔が現れる。
ATK:1000
砲撃がそれぞれのターゲットに直撃し破壊する。
破壊したカード(破壊は上から順に)
セイバーザウルス
ミラクルシンクロフュージョン
リミット・リバース
「破壊された[ミラクルシンクロフュージョン]の効果発動! 相手のカードの効果によって破壊され墓地へ送られた時、自分はデッキからカードを1枚ドローする!」
遊伸 手札:3+1
「リミット・リバースが場から離れた時、このカードで特殊召喚したモンスターを破壊する!」
リミット・リバースが破壊されるとクリッターも消滅する。
「クリッターの効果発動! このカードが場から墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を手札に加える! 僕は[ターレット・ウォリアー]を手札に!」
遊伸 手札:4+1
「だが場はがら空きだ! XYZ-ドラゴン・キャノンで直接攻撃! 《X・Y・Z ハイパー・キャノン》!!」
今度は遊伸に全ての砲門を向けると、一斉に発射する。
全て同じ標的に向かう砲撃は途中で一つとなり、遊伸を襲う。
「うわぁぁぁ!」
遊伸 LP:8000→5200
「ぐっ…(そうか、大量ドローはこの為か…)」
「俺はカードを伏せてターンエンド」
LP:8000
手札:0
モンスター
・XYZ-ドラゴン・キャノン
魔法・罠
・凡骨の意地
・伏せ1枚
「遊伸のお兄ちゃんのカードが一気に破壊されちゃった…」
修が心配そうに呟くと鋼貴が言う。
「解ったか? あれがあいつが選んだ戦い方だ」
「選んだ?」
修が聞き返すと鋼貴が続ける。
「あいつは昔っからあのモンスターでの攻め一辺倒でな、効果も召喚もコストが馬鹿にならないからアカデミアではすぐガス欠起こしては毎回先公に言われてたよ、戦術を見直せ、ってな。 俺も問題なくあいつが勝ち上がってきた時、流石に見直したのかと思ったが、逆だった、あいつは”
「う、うーん…つまりあっちのお兄ちゃんはあのロボットの効果をいっぱい使いたいからいっぱいドローしてるの?」
「それだけじゃねえが、まあそうだな」
鋼貴がそう答えると空が話しを引き継ぐ。
「でもこの戦術には問題があるよ。 デュエルにはカードの数だけ戦術があるけど、デッキに入る戦術には限りがあるの。 だから私達はデッキに無理なく入れられるだけ戦術をつめるでしょ? だけど高尾さんはこの戦術の為に多くのドローソースを入れてるから、それだけ他に入れられる戦術が狭まる事になるの」
空は自分のデッキを決闘盤から取り出し、手の中で広げて見る。
「だから、それだけ高尾さんはあの戦術にこだわりを持ってるってことなのかな?」
「遊伸、これが俺の戦術だ。 …どうしてこんな面倒くさくて、コストがかかることをしてまで俺がこの戦術を使うか解るか?」
「?」
「遊伸、大艦巨砲主義って解るか? 簡単に言えば、とにかく凄い兵器で派手に戦うのがいいって言う考えだ。俺も昔からこの考えで、デュエルもそうであるべきと考えている。 お前も男なら一度は思ったことはないか?」
遊伸は頷く。
「そうだろう! そして俺にとってその象徴がこの[VWXYZシリーズ]なんだ」
高尾はXYZ-ドラゴン・キャノンを指差す。
「そう、こいつ達は俺のロマンなんだ! …しかし、大きな欠点があった」
高尾が自分の左手を見る。
さっきまで7枚あった手札も、今では1枚も無い。
「そのせいで俺のデュエルは不安定だった、負けた事の方が多いかもしれない、アカデミアの教諭達も皆言っていた、戦術を見直せと、俺も一時は悩んだ……でも!」
高尾はXYZ-ドラゴン・キャノンに振り返る。
「俺は諦めることが出来なかった! こいつ等を…この戦術を…ロマンを! だから俺はこのスタイルを突き詰めることにした」
高尾は再び遊伸に向き合う。
「遊伸、最初にあった時は言わなかったが、俺がこの大会に出たのは、俺のこの信念がどこまで通用するのかを確かめる為だ、お前にこんな話を始めたのも、お前と桐原のデュエルを見て、お前は俺の信念を全力でぶつけるに値する男だと見込んでのことだ」
遊伸は黙ったまま高尾の話を聞いている。
「俺は見てみたい! この信念を貫き通した先に何があるのか! どんなに馬鹿にされても構わない! 俺はこいつ達と戦い続ける! 俺は……」
「無理を通してみせる!!!」
遊伸は最初、高尾のことを昔の自分の様な決闘者だと思っていた。
とにかく何も考えず、ガムシャラに攻めることをする様な、そんなイメージを持っていた。
だが違った、遊伸は彼を昔の自分と重ねたことを恥ずかしく思った。
自分は何も考えず、ただガムシャラにデュエルをするだけだった。
しかし高尾は悩み、考え、その結果、今の戦術を選んだのだ。
遊伸は思った。
自分はこの決闘者を見習わなければならないと。
遊伸は以前に誓ったことを思い出す。
カードを信頼し、デュエルを考え、カード達に信頼されるような「決闘者」になること。
「(これが僕の信念だ……高尾さんの様に、貫き通さなきゃならない…信念だ!)」
「高尾さん、このデュエル、僕にとっても大きなものになりそうです! 僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:5+1
「僕は[切り込み隊長]を召喚! そしてその効果で手札からチューナーモンスター[X-セイバー エアベルン]を特殊召喚!」
場に切り込み隊長が踊り出ると、その後ろからエアベルンも飛び出す。
ATK:1200
ATK:1600
「さらに戦士族の切り込み隊長をリリース! 手札から[ターレット・ウォリアー]を特殊召喚!」
切り込み隊長が光に包まれると、その光の中からターレット・ウォリアーが現れる。
切り込み隊長をリリースして特殊召喚された為、 ターレット・ウォリアーはオーラを湧き出してパワーアップする。
ATK:1200→2400
「…いくぞ!! レベル5 [ターレット・ウォリアー]に、レベル3[X-セイバー エアベルン]をチューニング!!」
エアベルンが自身を3つの輪に変え、ターレット・ウォリアーを囲い、5つの光に、そして光の柱へと変える。
「集いし願いが、新たに輝く星となる。光さす道となれ! シンクロ召喚! 飛翔せよ! [スターダスト・ドラゴン]!!」
光の柱から勢いよくスターダスト・ドラゴンが飛び出す。
光の粒子を撒き散らし、相手に向かって咆哮する。
ATK:2500
「シンクロか! だが攻撃力が届いてないぞ!」
「バトル! スターダスト・ドラゴン! 《シューティング・ソニック》!!」
スターダスト・ドラゴンが放った衝撃波がXYZ-ドラゴン・キャノンを直撃するが、ひるんだだけで破壊できない。
「届かないなら届かせます! ダメージステップ時に速攻魔法[イージーチューニング]を発動! 墓地からチューナー1体除外! 除外したチューナーの攻撃力分、場のモンスター1体の攻撃力をアップする! 墓地のエアベルンを除外してスターダスト・ドラゴンの攻撃力を1600ポイントアップ!」
スターダスト・ドラゴンの前に透明なエアベルンが現れると3つの輪に変わり、スターダスト・ドラゴンを囲う。
そのまま3つの輪はスターダスト・ドラゴンに吸収され、放ち続けていた衝撃波が勢いを増す。
ATK:2500→4100
「こ、攻撃力4100!?」
流石にここまでのパワーアップだと余裕を保っていた高尾も驚く。
XYZ-ドラゴン・キャノンは耐え切れなくなり、メシメシと音を立て始める。
「だが破壊はさせんぞ! 墓地から[シールド・ウォリアー]の効果発動! 戦闘ダメージ計算時、自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外することで、自分の場に存在するモンスターはその戦闘では破壊されない! ……うおおお!」
高尾 LP8000→6700
XYZ-ドラゴン・キャノンの前にシールド・ウォリアーが現れると、衝撃波を弾き、消え去る。
その弾いた衝撃波の余波が高尾に当たった。
「仕留められない…!? 」
高尾はXYZ-ドラゴン・キャノンによる破壊戦術にこだわってはいるが、それにのめり込みすぎて弱点をそのまま放置している訳でもない。
先程のグラヴィティバインドのように、矛盾しているようだが、攻める為に守る準備をしている。
XYZ-ドラゴン・キャノンはその効果とステータスにより、凄まじい攻撃を行うことは出来るが、破壊耐性はない。
崩されない様に守らなければならない。
攻撃は最大の防御とは言い切れないのだ。
「僕はカードを2枚伏せてターンエンド」
LP:5200
手札:0
モンスター
・スターダスト・ドラゴン
魔法・罠
・伏せ2枚
「俺のターン! ドロー!」
高尾 手札:0+1
「凡骨の意地の効果発動! 引いたカードはもう1枚の[V-タイガー・ジェット]! さらにドロー!」
高尾 手札:1+1
高尾はスターダスト・ドラゴンを見上げる。
「幾ら攻撃力が高かろうとこいつの前では無意味だ! XYZ-ドラゴン・キャノン効果発動! 手札を捨てスターダスト・ドラゴンを破壊する! 《ハイパー・デストラクション》!!」
捨てたカード
V-タイガー・ジェット
XYZ-ドラゴン・キャノンがスターダスト・ドラゴンに砲身を向ける。
「スターダスト・ドラゴンはその上を行く! スターダスト・ドラゴンは場のカードを破壊する効果を持つカードが発動した時! このカードをリリースしてその発動を無効にし破壊する! 《ヴィクテム・サンクチュアリ》!」
スターダスト・ドラゴンが砲撃される前にXYZ-ドラゴン・キャノンに組み付き、共に光の粒子となって消える。
破壊するはずだったのが逆に破壊されてしまい、高尾は動揺する。
「な、何!? そんな能力が……だが結果的にはスターダスト・ドラゴンを除去は出来たな」
「いいえ! スターダスト・ドラゴンはこの効果を使用したターンのエンドフェイズに場に特殊召喚されます!」
「そんなのアリか…? 俺の戦術にとっては怖いカードだな」
しかし、そう言う割には落ち着いてる高尾。
「だがいいことを聞いた、戻ってくるなら、ゲームから退場してもらう! 伏せていた魔法カード[魂の解放]を発動! お互いの墓地のカードを合計5枚まで選択し、そのカードをゲームから除外する! お前の墓地からは[スターダスト・ドラゴン]と[クリッター]を、俺の墓地から[XYZ-ドラゴン・キャノン]、[V-タイガー・ジェット]、[W-ウィング・カタパルト]をゲームから除外する!」
「そ、そんな!?」
今までこの様にスターダスト・ドラゴンを封じられたことが無かった遊伸。
動揺を見せるが、それ以前に気になることがあった。
「(僕のモンスターはともかく、自分のモンスターを除外…? それもXYZ-ドラゴン・キャノンを…)」
「カードを伏せ、俺はこれでターンエンド」
LP:6700
手札:0
モンスター
・なし
魔法・罠
・凡骨の意地
・伏せ1枚
「僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:0+1
「カードを伏せてターンエンド」
スターダスト・ドラゴンを思わぬ形で除去されてしまった遊伸。
壁モンスターがいない今、カードを伏せるしかない。
LP:5200
手札:0
モンスター
・なし
魔法・罠
・伏せ3枚
「俺のターン、ドロー!」
高尾 手札:0+1
「遊伸、お前は強い、もはやお前に勝つことで俺の信念の証明になるような気さえする。 だから俺は全力でお前を倒す! 覚悟はいいか!」
高尾に問われると遊伸は答える。
「はい!! こっちも負けません!! この勝負、僕が勝つ!!」
「ならばいくぞ! 罠カード[異次元からの帰還]をLPを半分払って発動! 自分の場に除外されている自分のモンスターを可能な限り特殊召喚する! 俺が特殊召喚するのは[XYZ-ドラゴン・キャノン]、[V-タイガー・ジェット]、[W-ウィング・カタパルト]、[X-ヘッド・キャノン]、[Y-ドラゴン・ヘッド]! この5体だ!!」
高尾 LP:6700→3350
高尾の場の上空にひびが入り、割れると高尾が選択したモンスター全てが現れる。
XYZ-ドラゴン・キャノン ATK:2800
V-タイガー・ジェット ATK:1600
W-ウィング・カタパルト ATK:1300
X-ヘッド・キャノン ATK:1800
Y-ドラゴン・ヘッド ATK:1500
遊伸も使用しているカードであり、その強力さはよく解っている。
「(一斉攻撃するつもりか?)」
「俺はVとWを合体させる!」
「!? しまった! まだ合体モンスターが!」
高尾が場に特殊召喚された2体のモンスターを除外して、エクストラデッキから1体召喚する。
高尾の場のトラを模したジェット機が、青い飛行機に上から合体する。
「合体完了! [VW-タイガー・カタパルト]!!」
ATK:2000
遊伸は新たな合体モンスターの登場に様々な思考をめぐらせるが、それは遊伸の想像を上回る形で砕かれる。
「さあ見ろ遊伸!! これが俺のVWXYZの最終形態だ! 合体しろ!」
高尾がVW-タイガー・カタパルトとXYZ-ドラゴン・キャノンを除外し、エクストラデッキから1体召喚する。
VW-タイガー・カタパルトとXYZ-ドラゴン・キャノンが一旦バラバラになるとそれぞれが再び合体を始める。
先の2体のような単純な合体ではなく、人型になるように5体が組みあがっていく。
合体が完了したそれは、今までの合体モンスターとは比べ物にならないほどの威圧感を放っている。
「合体完了!! これが俺の信念の結晶! 最終形態! [
ATK:3000
「何だありゃ!? あんなの俺も見たことねぇぞ!」
「カード合計7体、こんな合体モンスターがいるなんて…」
「すごい! 人型のロボットになっちゃった!」
はしゃぐ修、鋼貴と空は驚くばかりである。
「そしてもう1体の[Z-メタル・キャタピラー]を通常召喚!」
ATK:1500
「さあ! [
遊伸の伏せカードに向かって
「対象となった罠発動! [トゥルース・リインフォース]! デッキからレベル2以下の戦士族1体を特殊召喚する! 来い! [X-セイバー パシウル]! 守備表示だ!」
遊伸の場に光の柱が現れると、その中からパシウルが現れる。
膝をつき、大剣を構える。
DEF:0
パシウルは戦闘では破壊されないモンスターである。
パシウルがいれば高尾の攻撃を全て防ぐことが出来る。
1ターンに1度だけの効果を使い終わり、遊伸は無傷でこのターンを凌げるように見えたが、高尾の切り札、信念の結晶の力をこの程度で防げるはずも無かった。
「いくぞ!
ATK:100
「!? 駄目だパシウル!!」
「さあ! いくぞ! 《VWXYZ-アルティメット・デストラクション》!!!」
肩の砲身から、高出力のエネルギー砲が放たれる。
「くぅ! 罠発動! [ガード・ブロック]! ダメージを0にして1枚ドロー!」
遊伸 手札:0+1
パシウルの前に障壁が現れ、ダメージが通るのを防ぐが、まだパシウルに照準をつけているマシンがいた。
「防がれたか! だがこれは防げまい! X、Y、Z一斉攻撃!」
3体のマシンがそれぞれ砲撃を始める。
X-ヘッド・キャノンが肩の砲身からレーザーを、Y-ドラゴン・ヘッドは口から電磁砲を、 Z-メタル・キャタピラーがキャタピラに収納してある砲身を開け、レーザーを放つ。
砲撃でパシウルは破壊されないが、ダメージは全て遊伸に通る。
「うわああああ! …うう」
遊伸 LP:5200→700
「これでバトルフェイズ終了! そしてこの3体を再び合体! [XYZ-ドラゴン・キャノン]!!」
場のX、Y、Zが再び合体し、 XYZ-ドラゴン・キャノンが完成する。
ATK:2800
「これで[異次元からの帰還]のデメリット、エンドフェイズに特殊召喚したモンスターが除外される効果の心配が無くなった、ターンエンド! どうだ遊伸! これが俺の全力だ! これでも俺を倒せるか!!」
LP:3350
手札:0
モンスター
・
・XYZ-ドラゴン・キャノン
魔法・罠
・凡骨の意地
遊伸は自分のデッキを見る。
「(…頼む、僕のデッキ、僕の信念に……答えてくれ!!)僕のターン!!」
遊伸は全ての力を込めるようにカードを引く。
「ドロー!!!」
遊伸 手札:1+1
遊伸は引いたカードを確認すると、まっすぐ高尾を見据える。
「高尾さん、これが……僕の信念です!! 手札から速攻魔法[異次元からの埋葬]を発動! 除外されているモンスターを3体まで持ち主の墓地に戻す! 僕は[スターダスト・ドラゴン]、[X-セイバー エアベルン]、[クリッター]の3体を戻す!」
「そして魔法カード[星屑のきらめき]を発動! 自分の墓地に存在するドラゴン族のシンクロモンスター1体を選択! そのモンスターのレベルと同じレベルになるように、選択したモンスター以外の自分の墓地に存在するモンスターをゲームから除外し、 選択したモンスターを墓地から特殊召喚する! 僕はレベル5 [ターレット・ウォリアー]とレベル3[X-セイバー エアベルン]をゲームから除外してレベル8[スターダスト・ドラゴン]を特殊召喚!」
遊伸の場に光の粒子が降り注ぐ。
するとその粒子が集まり、スターダスト・ドラゴンとなる。
ATK:2500
「そして! これが最後のカード! 伏せていた魔法カード[ミニマム・ガッツ]を発動! 自分の場のモンスター1体をリリースし、相手の場に表側表示で存在するモンスター1体を選択! 選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで0になる! パシウルをリリースし、対象は
遊伸が宣言すると、パシウルがドラゴン・カタパルトキャノンの胸部に飛びつき、大剣を突き刺した後に消滅する。
ドラゴン・カタパルトキャノンは電流を機体に走らせた後、機能を停止する。
ATK:3000→0
「何だと!?」
「いけ! スターダスト・ドラゴン! 《シューティング・ソニック》!!」
スターダスト・ドラゴンが衝撃波を放つ。
機能を停止したドラゴン・カタパルトキャノンは抵抗も無いままパーツである5体がバラバラに弾けとぶ。
「うおおお!! …
高尾 LP:3350→850
「[ミニマム・ガッツ]の効果発動! 選択したモンスターが戦闘によって破壊され、相手の墓地へ送られた時、 そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!」
弾けとんだパーツが爆発を起こし、高尾を巻き込んだ。
「うおおおおーー!!!」
高尾 LP:850→0
ソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴った。
作中で本来一枚ずつ捨てて発動するXYZ-ドラゴン・キャノンの効果をいっぺんにやっています。
一回ずつやってるとテンポがさらに悪くなると思うので。
なので実際にはこういう手順で破壊しています。
手札を捨てる
↓
セイバーザウルス破壊
↓
手札を捨てる
↓
ミラシン破壊、ドロー
↓
手札を捨てる
↓
リミリバ発動クリッター復活そして破壊