遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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*今回原作オリカを使用しています。 ご了承ください。
*今回いつもより短めです


第12話 対決 ~機甲部隊と一陣の風~

「決まりましたぁー! Aブロック準決勝、勝者は近衛 遊伸!!」

 

店長が叫ぶと歓声が沸き起こる。

 

遊伸は決闘盤を収め、高尾へと近づく。

 

「高尾さん、ありがとうございました……本当に、楽しいデュエルでした」

 

高尾は顔を上げる。

 

「何故だろうな……俺のデッキはこれ以上ないくらい、俺の信念に答えてくれたのに、それでも俺は負けた……でもそれ以上に解らないのが、負けたのにこの充足感はなんだ? 前までの様な情けない負け方でなく、正真正銘の、実力での負けなのに……遊伸」

 

高尾は右手を差し出す。

 

「ありがとう、俺も楽しかったよ! ……俺は諦めなくてよかった! これからもこの信念を貫く! お前も、その信念を忘れないでくれよ!」

 

遊伸は握手に応じると、再び歓声があがる。

 

「それでは! 続けてBブロック! 藤堂 鋼貴対西野 空を行います! 両者とも、同じ決闘場に出てきてください!」

 

アナウンスがなると鋼貴と空が立ち上がる。

 

「…さて、次は俺達だな」

 

「負けないよ!」

 

「二人とも頑張ってね!」

 

「(どっち応援すればいいんだろう…どっちもかな?)」

 

鋼貴と空が決闘場へと向かう。

その途中、戻ってきた遊伸と会う。

 

「よお遊伸、いいデュエルだったな!」

 

「決勝戦おめでとう!」

 

「ありがとう、二人とも」

 

鋼貴と空が遊伸を称賛する。

 

「あれ? そういえば高尾さんは?」

 

「充足感が消えないうちにデュエルを振り返りたいって、休憩場に行ったよ」

 

「そうか、じゃ、俺達はいくぜ」

 

 

 

 

鋼貴と空がそれぞれ決闘場につき、ディスクを構える。

遊伸は修と鈴のいる席にたどり着いた。

 

「あ! 遊伸のお兄ちゃん! 凄かったね! あんなロボット倒しちゃうなんて! 僕のThe big SATURNとどっちが強かった?」

 

「おめでとう、遊伸さん」

 

二人も遊伸に称賛を送る。

 

「ありがとう二人とも、どっちも強かったよ」

 

遊伸は席に座ると鋼貴達のいる決闘場を見る。

鋼貴と空のデュエルを見るのは初めてである。

期待を膨らませながら開始を待った。

 

「いくぞ空! 今日こそ俺が勝つ!!」

 

「負けてあげないからね!」

 

 

「「デュエル!!!」」

 

 

先攻 空

 

「いくよ! 私のターン! ドロー!」

 

空 手札:5+1

 

「私はモンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

LP:8000

手札:3

モンスター

・セット

魔法・罠

・伏せ2枚

 

「俺のターン! ドロー!」

 

鋼貴 手札:5+1

 

鋼貴は考える。

どうしたら空に勝てるのか。

空がマーシャル・レッドに入ったのは今から3ヶ月と2週間前、遊伸より2ヶ月早い。

その間、空とは何度もデュエルしたが、まだ勝利を収めていない。

鋼貴はまだ伸び代があるとはいえ、アカデミアを卒業した一端の決闘者である。

自分より4つも年下で、まだアカデミア生である空に負け続けて悔しくない訳がない。

あまり表に出してはいなかったが、今回の大会中、空にどうしたら勝つことが出来るか、常に考えていた。

 

「(俺のタクティクスは空に劣る……いつも最後にはその差が出て負けちまう……なら! その差が出る前に倒す!) 魔法カード[抹殺の使徒]を発動! 裏側表示で存在するモンスター1体を選択して破壊! そしてゲームから除外する! そのセットモンスターを破壊、そして除外する!」

 

空の場のセットモンスターに1本の剣が突き刺さり、そのままモンスターごと消滅する。

 

「カムイ!? …破壊されたのは[ガスタの希望 カムイ]だよ…」

 

「リバースモンスターだな! 対象がリバースモンスターだった場合、お互いのデッキを確認し、 同名カードを全てゲームから除外する!」

 

「…私のデッキにカムイは1体だけだよ」

 

「俺のデッキには当たり前だが無い」

 

鋼貴と空はお互いのデッキに無いことを確かめるため、決闘盤の機能の一つ、「デッキリスト展開」を起動する。

お互いのデッキのリストがソリッドビジョンで目の前に現れる。

すると鋼貴はあることに気付く。

 

「ん? 話には聞いてたが、本当にお前[ガスタシリーズ]を1枚ずつしかデッキに入れてねえんだな」

 

「(だって皆がいるカードはそのカードだけだったんだもん)」

 

「続けるぞ! 俺は[マシンナーズ・ギアフレーム]を召喚!」

 

場にマシンナーズ・ギアフレームが現れる。

ギアフレームは召喚と同時にモーター音を上げ始める。

 

ATK:1800

 

「効果発動! デッキから[マシンナーズ・フォートレス]を手札に加える!」

 

鋼貴 手札:4+1

 

「そして手札からこいつ自身と[マシンナーズ・スナイパー]を墓地に送り、墓地から特殊召喚だ! 来い! [マシンナーズ・フォートレス]!」

 

鋼貴のエース、マシンナーズ・フォートレスが現れる。

キャタピラを力強く回し、キャノン砲を構える。

 

ATK:2500

 

「そしてギアフレームのユニオン効果! フォートレスに装備!」

 

ギアフレームが自身を分解すると、マシンナーズ・フォートレスの装甲に張り付く。

 

「いくぞ! バトル! フォートレスで直接攻撃!  《マシンナーズ・キャノン》!!」

 

鋼貴の考えた必勝の策、それは[1ターンキル]であった。

鋼貴の手札には[リミッター解除]、そして[コンビネーション・アタック]がある。

リミッター解除は自分の場の機械族の攻撃力を2倍にする速攻魔法。

コンビネーション・アタックは攻撃を行ったユニオンを装備しているモンスターのユニオン装備を解除し、もう一度攻撃が出来るようにする速攻魔法である。

これにより空のLPを1ターンで削りきる作戦である。

全て通れば合計ダメージ量は11800ポイント。

手札からの速攻魔法は奇襲性があり、警戒されにくい。

ここまで考えた鋼貴の策は成るように思えたが―――

 

「私は手札から罠カード[女教皇の錫杖]を発動!」

 

「手札からだぁ!?」

 

「このカードは自分の場にモンスターが存在しない場合、手札から発動する事ができるよ! そして効果はモンスターの攻撃を無効にしバトルフェイズを終了! モンスターの攻撃を無効とされたプレイヤーのLPに500ポイントのダメージを与えるよ!」

 

空のカードから波動が出ると、その波動はフォートレスの動きを止め、鋼貴にも降りかかる。

 

「うお!(まじかよ……止められちまった)」

 

鋼貴 LP:8000→7500

 

鋼貴は急いで考えをまとめる。

 

「(くそ……だが速攻魔法どころかギアフレームでさえ失ってねぇ、…次のターンで仕切りなおしだ! 絶対に勝つ!)」

 

「俺はカードを伏せてターンエンド!」

 

LP:7500

手札:2

モンスター

・マシンナーズ・フォートレス

魔法・罠

・マシンナーズ・ギアフレーム

・伏せ1枚(リミッター解除)

 

「私のターン! ドロー!」

 

空 手札:2+1

 

「…鋼貴、もしかして今のターンで決着つけようとした?」

 

「!?」

 

鋼貴は思わず反応してしまう。

デュエルではポーカーフェイスが大事だというのに。

 

「やっぱり! 危なかったんだね、私。 …一気にLPを削ろうとするなんて思い切った戦術だけど……鋼貴」

 

空は鋼貴に言う。

 

「そういう戦術は、大きな隙が出来るよ! 私は魔法カード[ワン・フォー・ワン]を発動! 手札からモンスター1体を墓地へ送って、手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する! 私は手札から[ガスタ・グリフ]を墓地に送ってデッキから[ヴァイロン・スフィア]を特殊召喚するよ!」

 

空の場に現れたのは丸い機械の球体。

機体には金色のパーツと青い目の様な部分、小さい2本のアームが付いている。

 

ATK:400

 

「そして墓地に送った[ガスタ・グリフ]の効果発動! 手札から墓地へ送られた場合、 デッキから「ガスタ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できるよ! 私は[ガスタの疾風 リーズ]をデッキから特殊召喚!」

 

手に大きな杖を持ち、風を巻き起こしながら現れたのはウィンダとは違った少女。

長い髪を高い位置で二つに分けて縛り、露出の高い服装をしている。

リーズは空に振り返ると、なにやら空に話しかけ、空は小声でそれに答えている。

 

ATK:1900

 

「やっぱり…」

 

それを見ていた遊伸は自分がデュエルしていた時に見たものが気のせいでないことを確信する。

 

「どうしたの? 遊伸のお兄ちゃん?」

 

修が遊伸の反応を見て聞く。

 

「二人とも、空のモンスターはどんな風に見える?」

 

「え? …風属性が多い?」

 

「さっきも見てたけど…かわいいモンスターが多いと思うの」

 

「うーん、そうじゃなくて……今出てきたリーズ、今何してる?」

 

リーズはまだ空に向き合って話をしていた。

 

「何って普通にしてるよ、鋼貴のお兄ちゃんの方見てる」

 

「…鈴ちゃんもそう見える?」

 

「うん…杖を構えて立ってる」

 

「(僕以外見えないのか? 一体あれはなんだ? どういう仕組みなんだ?)」

 

遊伸が頭を悩ませてるとようやくリーズが鋼貴の方へ向く。

 

「おまたせ! さあいくよ! レベル5[ガスタの疾風 リーズ]に、レベル1[ヴァイロン・スフィア]をチューニング!」

 

ヴァイロン・スフィアが変形し始め、アーマーの様になる。

ヴァイロン・スフィアがリーズの前に来るとリーズの髪留めがはずれる。

その瞬間、突風が周りを吹き荒れ、2体が見えなくなる。

 

 

「偉大なる一族の疾風よ! 大いなる光の力を制し、己の使命を果せ! シンクロ召喚! ガスタの光、[ダイガスタ・スフィアード]!!」

 

風が止み、現れたのはまさしくリーズ。

しかしその体にはヴァイロン・スフィアが装着されている。

 

ATK:2000

 

「何だ? 俺もこいつは見たことがないぞ…」

 

「ダイガスタ・スフィアードの効果発動! このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地に存在する「ガスタ」と名のついたカード1枚を選択して手札に戻す事ができるよ! 私は[ガスタ・グリフ]を手札に!」

 

空 手札:1+1

 

「さらに装備魔法[リボーン・リボン]をダイガスタ・スフィアードに装備!」

 

ダイガスタ・スフィアードがばらけた髪をリボーン・リボンで結ぶ。

 

「さあ! 鋼貴いくよ! バトル! ダイガスタ・スフィアードでマシンナーズ・フォートレスを攻撃!」

 

「何!? (…いや、強化だ、強化する気だ! なら問題ねぇ! こっちにはリミッター解除が…)」

 

だが鋼貴の予想は大きく外れる。

 

「罠カード[ゼロ・スプライト]を発動! このカードは装備カードになる罠だよ!  自分の場に存在するモンスター1体に装備して、装備モンスターの元々の攻撃力を0に!」

 

ダイガスタ・スフィアード ATK:2000→0

 

「0ぉ!? 何考えてんだ!」

 

ダイガスタ・スフィアードが杖をマシンナーズ・フォートレスに構えると、マシンナーズ・フォートレスが先手を取り、ダイガスタ・スフィアードへキャノン砲を放つ。

 

「ダイガスタ・スフィアードのもう2つの効果を発動! まずスフィアードは戦闘では破壊されないよ! そして表側表示で存在する限り、 自分の場に表側表示で存在する 「ガスタ」と名のついたモンスターの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける! つまり! この戦闘でのダメージ、2500ポイントのダメージは鋼貴が受けるよ! 《ダイガスタ・リフレクション》!!」

 

ダイガスタ・スフィアードがマシンナーズ・フォートレスの放ったキャノン砲のエネルギー弾を結界を張り、鋼貴の方へ跳ね返す。

 

「うおおおお! まじかよくそっ!!」

 

鋼貴 LP:7500→5000

 

「まだだよ! ゼロ・スプライトは装備モンスターの攻撃力を0にするだけじゃなくて、さらにもう1回攻撃を出来るようにするよ! もう1回《ダイガスタ・リフレクション》!!」

 

「やめろ!! 撃つなフォートレス!!」

 

鋼貴は命令するも虚しく、フォートレスはまた砲撃し、跳ね返される。

 

「うおおお…ぐっ! だがまだLPは…」

 

鋼貴 LP:5000→2500

 

「これで止め! 罠カード[イクイップ・シュート]を発動! 自分の場の攻撃表示で存在するモンスターに装備された装備カード1枚を、相手の場に存在する攻撃表示のモンスター1体に装備! そして装備カードを元々装備していた自分のモンスターと、 選択した相手モンスターで強制的にバトルするよ! 私はダイガスタ・スフィアードに装備されている[リボーン・リボン]をマシンナーズ・フォートレスに移して攻撃! 3回目の《ダイガスタ・リフレクション》!!!」

 

ダイガスタ・スフィアードが結んであったリボンを杖に結び直し、投擲する。

杖は見事フォートレスの装甲の間に突き刺さり、フォートレスは誤作動を起こし、勝手に砲撃する。

ダイガスタ・スフィアードはそれを結界で鋼貴に跳ね返す。

 

「うおおおおお!」

 

鋼貴 LP:2500→0

 

ソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴る。

 

「決まりましたーーー! 何と! 7500ものLPを1ターンで削りきり! 西野 空が勝利だーー!」

 

随分と興奮した店長が叫ぶと、歓声が沸き上がった。

 

「……」

 

まさか自分が1ターンで決めようとしていたのに、逆に1ターンで決められてしまった鋼貴。

その場で力なく項垂れている。

空が決闘盤を収め、声を掛ける。

 

「ごめんね、でも私はデュエルで手は抜きたくないの」

 

「俺も同じさ……俺の負けだ、決勝戦、頑張れよ。 遊伸は本当に強くなったぞ」

 

鋼貴にそういわれると、空は笑顔で答える。

 

「うん! 鋼貴の分まで頑張るよ!」

 

「それではこれより、決勝戦! 近衛 遊伸対西野 空を行います! 近衛君は決闘場に出て来てください!」

 

アナウンスが鳴ると鋼貴は客席へと移動する。

その途中、遊伸と会う。

 

「よう、負けちまった。 空は強いぞ、頑張れよ」

 

「鋼貴、悪いけど一つだけ言わせて貰ってもいいかい?」

 

「何だ?」

 

遊伸は鋼貴の目を見て言う。

 

「あんな風にデュエルをしてちゃ、空には勝てないよ…」

 

「…結構自信あったんだけどな、何でだ?」

 

「戦術のことじゃなくて、僕には鋼貴が”空に勝つこと”だけを見てデュエルしている様に見えたんだ。 …勝つことに集中しちゃって、楽しそうにデュエルをしている様には見えなかったんだ。」

 

鋼貴は思う。

確かに自分は勝とうとしてただけで、空と”デュエル”をしていなかったかもしれないと、楽しんでいなかったと。

 

「これは僕の持論…いや、僕がデュエルして来て思ったことなんだけど、幾ら戦術が凄くても、相手と真剣に向き合って、相手を尊敬(リスペクト)しなきゃ…カードは答えてくれないよ……生意気いってごめん」

 

「いや、お前の言う通りだ。 …何度もお前のデュエルを見てきたはずなのに、すっかり頭からとんでたよ……俺もまだまだだな! 遊伸、頑張れよ!」

 

「うん! 頑張るよ!」

 

 

遊伸は空が待つ決闘場へと向かった。

 

 

 

 




ヒロインなのに何となく空の影が薄いような気がしたので、強く見せようとしたらちょっとやりすぎたかも。
二回連続ノーダメとか。

今回のオリカ
アニメ5D'sより
・女教皇の錫杖
アニメGXより
・ゼロ・スプライト
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