遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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*LP8000 OCGルールで行います。
 プレイングミス、ルールミスなどありましたらご指摘ください。

ここで使用しているフィールド状況図(下は例)


フィールド() ←フィールド魔法を発動すると()内にその名称

― S A D ― ←モンスターゾーン
― T S M ― ←魔法・罠ゾーン

LP:8000  ←ライフ
手札:2    ←手札枚数

左から
・セットモンスター ←場のモンスター名称
・アイツ  
・コイツ  
   

    
・血の代償     ←場の魔法・罠名称
・伏せ一枚      
・ドミノ


A:攻撃表示
D:守備表示
S:セット状態
M:表側魔法
T:表側罠


第2話 初決闘 ~十の剣と竜の騎士~

「ぼ…僕が…?」

 

「そうだよ!! 早くこっちこい!!」

 

そう言いながら、鋼貴は腕から決闘盤を外し、決闘盤からデッキも外す。

 

「お前が俺の決闘盤でデュエルするんだ! 時間がねぇ! 決闘盤付けてやるからお前はデッキセットしろ!」

 

鋼貴に促されると遊伸は駆け寄りながらデッキを取り出す。

 

「えっと…確かここだ…よし!」

 

「よっしゃ! サイズも問題ねぇ! デュエル開始だ! 叫べ!」

 

「よ、よ~し! 行くぞ!」

 

「くそ! 間に合いやがったか! まあいい…」

 

 

 

 

 

「「デュエル!!!」」

 

 

 

 

 

その掛け声に反応し、決闘盤が起動する。

遊伸の決闘盤から、短い電子音がなる。

 

「よし! お前が先攻だ! いけ!」

 

「ドロー! …え~と」

 

遊伸 手札:5+1

 

「いいか! よく聞け! ディスク部分の側面に付いてるプレート! その上がモンスターゾーン! その下のスロットが魔法・罠ゾーンだ! LPメーターの下が墓地! 一番右のボタン押すと出でくる延長プレートがフィールドゾーンだ! 後のボタンは下の表示見りゃわかる! わかったか!!」

 

「な…なんとか!」

 

鋼貴が勢いよく言った早口の説明を何とか理解する遊伸。

 

「なんだよ! 素人か! こりゃ楽勝だな!」

 

「デュエルは経験者だ! …よし、僕は「セイバーザウルス」を召喚!!…え!?」

 

遊伸が決闘盤にカードを置くと目の前に、置いたカードに描かれているモンスターが現れる。

そのモンスターは出現と同時に咆哮をあげ、鼻息を噴出す。

体が紅潮し、頭、肩、尻尾に立派な刃を持ったトリケラトプスの様なモンスターだ。

 

ATK:1900

 

「モ…モンスターガジッタイカシタ!?」

 

遊伸は驚きのあまりカタコトになっている。

 

「どうだ? 驚いたろ? これが立体映像技術、ソリッドビジョンシステムでのデュエル、「本場」のデュエルだ」

 

「す…すごい…!」

 

遊伸はデュエル中だということを忘れて見入っていた。

 

「おい! 何してんだよ! もう終わりか?」

 

男がイラつきながら遊伸を現実に引き戻す。

 

「…あ! か…カードを一枚伏せてターンエンド!」

 

遊伸が魔法・罠ゾーンにカードをセットすると、目の前に伏せられた巨大なカードが現れる。

 

「魔法・罠カードまで…」

 

 

フィールド

 

― ― A ― ― 

― ― S ― ― 

 

LP:8000

手札:2

 

・セイバーザウルス           

 

・伏せ                

 

 

「フン! 攻撃力が高ければ安全だと思ってんのか? 俺のターン! ドロー!」

 

男 手札:5+1

 

「俺は「サイクロン」を発動! お前の魔法・罠カードを一枚破壊する!」

 

男が発動したカードのソリッドビジョンから、大きな竜巻が現れ、遊伸の伏せたカードのソリッドビジョンを粉々にしてしまう。

 

伏せカード:聖なるバリア-ミラーフォース-

 

「ああ!?」

 

「さらに魔法カード「ハンマーシュート」を発動! そのモンスターを破壊だ!」

 

今度は大きな木槌が現れ、セイバーザウルスを叩き潰す。

 

「僕のモンスターが…」

 

「おい! がら空きじゃねーか! どうすんだ!」

 

堪らず鋼貴が叫ぶ。

 

「それじゃあ遠慮なく攻めるぜ! 俺は「メカ・ハンター」を召喚だ!」

 

男の場に、緑の球体にエンジンがついた翼と、7本のアーム、そんな見た目のロボットが現れる。

 

 

ATK:1850

 

 

「メカ・ハンターで直接攻撃(ダイレクトアタック)!」

 

メカ・ハンターが七本のアームを遊伸目掛けて突き出す。

 

「うわぁ!? …あ、あれ?」

 

遊伸 LP:8000→6150

 

 

「ソリッドビジョンだからな、体をすり抜けるぜ…だけどソリッドビジョンってやたら重量感があるからな、解ってても攻撃されるとビビるぜ…」

 

攻撃されて竦む遊伸に対して鋼貴が言う。

 

「へっ! 俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ、素人なんてこんなもんだな!」

 

フィールド

 

― ― A ― ―  

― ― S ― ― 

 

LP:8000

手札:2

 

・メカ・ハンター 

          

・伏せカード             

 

 

「お兄ちゃん!! 頑張れーー!!」

 

修が声を張り上げ叫ぶ。

 

「(落ち着け…いつものデュエルを思い出せ…)…僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:4+1

 

「僕は手札から魔法カード「ワン・フォー・ワン」を発動! 手札のモンスターカードを墓地に送ることで、デッキからレベル1のモンスターを特殊召喚する! 来い!「X-セイバー パロムロ」!」

 

墓地へ送ったカード:セイバービートル

 

遊伸の場に、一振りの細剣を持った―――爬虫類が現れた。

全身緑色、手足に白い防具を着け、腕には黄色い模様が混じった鱗が見える。

そんな二本足で立つトカゲの様な戦士はじっと相手の方を見据えている。

 

ATK:200

 

「 X-セイバー…? 見たことも聞いたこともねえカードだな…」

 

「そして、手札から「X-セイバー アナペレラ」を通常召喚!」

 

続いて遊伸の場に、赤と黒の革鎧を着た女戦士が、長い金髪を靡かせながら現れる。

手には蛇腹剣を持ち、腰に盾を提げている。

 

ATK:1800

 

「オオ…! いいねぇ…!いいモンスターだ遊伸…へへ」

 

鋼貴がどこをみて言っているのかはさておき、アナペレラは美しく、それでいて冷たい瞳で、パロムロと同様に相手を見据えている。

 

「はっはっは! どっちもメカ・ハンター以下じゃねーか! どうするつもりだよ素人が!」

 

男の嘲笑に、遊伸は口元に笑みを浮かべて返す。

 

「…それ以上にするまでさ! レベル4 「X-セイバー アナペレラ」に、レベル1「X-セイバー パロムロ」をチューニング!」

 

「何!? そっちのトカゲはチューナーか!」

 

パロムロが光の輪に変わり、アナペレラを囲う。

すると、アナペレラの体に4つの光が浮き上がり、光の柱となる。

 

「十の剣に名を連ねし銃士よ! 我が敵を討ち、勝利の号砲を上げよ! シンクロ召喚!荒野の英雄、「 X-セイバー ウェイン」!!」

 

光の柱から一人の戦士が踊り出る。

赤いスカーフにテンガロンハット、青い肩当てと胸甲の下にロングコート、そして二丁銃剣。

遊伸のシンクロモンスター、「 X-セイバー ウェイン」である。

 

ATK:2100

 

「メ、メカ・ハンターを上回りやがった…!」

 

「やったー! カッコイイ!」

 

新たな戦士の登場に男は驚き、修は興奮を見せる。

 

「ウェインのモンスター効果発動!! シンクロ召喚に成功した時、手札からレベル4以下の戦士族モンスターを一体、特殊召喚することが出来る! 僕は手札から「 X-セイバー ガラハド」を特殊召喚する!! 「セイバーズ・テキサス」!!」

 

ウェインが空に向かって号砲を上げると、遊伸の場に槍を持った―――魚類が現れた。

冗談の様に思えるが、この戦士は魚に手足と髪を生やし、金色の鎧を着せた風貌である。

 

 

ATK:1800

 

 

「こ…今度のは微妙…」

 

「正直だね…修ちゃん」

 

興奮が冷めた修に鈴が言う。

 

「バトルだ! ガラハドでメカ・ハンターを攻撃! 「クロス・ランス」!」

 

ガラハドが槍を構え、メカ・ハンターに突進する。

 

「…! 馬鹿め! メカ・ハンターの方が上だ! 返り討ちだァ!」

 

「ダメージステップ時にガラハドのモンスター効果発動! ガラハドがモンスターを攻撃をする場合、ダメージステップの間だけ攻撃力を300ポイントアップする!」

 

ATK:1800→2100

 

ガラハドはメカ・ハンターのアームを全て槍で防ぎ、隙を突いて槍を繰り出す。

メカ・ハンターは槍で貫かれ、爆散する。

 

 

「ぐお…!」

 

男 LP:8000→7750

 

「続けてウェインで直接攻撃! 「クロス・バレット」!」

 

ウェインが仮面の下の眼光を光らせ、男に狙いを定める。

二丁銃剣が火を噴き、狂い無く男に命中した。

 

 

「ぐお!! …やりやがったな!」

 

男 LP:7750→5650

 

「おし! 巻き返したぜ! そのまま押し切っちまえ遊伸!」

 

鋼貴が言うと遊伸も笑みと返事で返す。

 

「はい! …僕はカードを一枚伏せてターンエンド!」

 

 

フィールド

 

― ― A A ―  

― ― S ― ―

 

LP:6150

手札:0

 

左から

・ X-セイバー ウェイン      

・ X-セイバー ガラハド      

 

・伏せ一枚

 

 

「素人だと油断したぜ…見てろ! 目に物見せてやる! ドロー!」

 

男 手札:2+1

 

 

「魔法カード「おろかな埋葬」を発動だ! 俺のデッキからモンスターを一体墓地へ送る! 俺は「リボルバー・ドラゴン」を墓地へ!」

 

「(自分から墓地に…蘇生か?)」

 

「さらに! 手札から「沼地の魔神王」を墓地に捨てて効果発動! デッキから「融合」を手札に加える!」

 

「(融合? 素材のモンスターもいないのに…)」

 

遊伸が男の行動に内心疑問を感じていると、男が笑いながら言う。

 

「出来もしないのに「融合」…そう思ってんだろ?」

 

「!?」

 

「これだから素人は…あるんだよ、融合素材ならここに」

 

男は墓地を指差す。

 

「…しまった!? 「フュージョン」か!」

 

「フュージョン…って、なに…?」

 

修が鋼貴に訊ねる。

 

「…融合召喚の素材に、場のモンスターだけじゃなく、墓地のモンスターも使う、融合戦術の上等手段だ…くそ! 奴の墓地には…」

 

鋼貴の言葉に男が答える。

 

「そうよ! 俺の狙いはこれだ! 魔法カード「オーバーロード・フュージョン」を発動!! 墓地から「リボルバー・ドラゴン」と「沼地の魔神王」を除外して、「ガトリング・ドラゴン」を融合召喚だ!!」

 

男の場が一瞬、捻じ曲がるように歪むと、歪みの中心から戦車の様な物が出てくる。

よく見ると竜の頭の様なガトリング砲が三門付いており、それぞれが独立して動いてる。

 

ATK:2600

 

「く…! X-セイバー達より攻撃力が高い…」

 

「おっと! 驚くのはそこじゃねえよ、ガトリング・ドラゴンのモンスター効果!」

 

ガトリング・ドラゴンの三つ首が遊伸のモンスター達へと向き、空中にコインが三つ現れる。

 

 

「これからあのコインが回転して止まる、そして表の数だけフィールド上のモンスターを破壊する! 下手したら俺もドカンだが…勝負だ!」

 

コインが回転し、止まる。

 

 

「…! 俺の勝ちだァー!! 表が二枚! お前のモンスター二体を破壊する! 連発砲撃(ガトリング・キャノン・ショット)!」

 

「!!」

 

ガトリング・ドラゴンの左右の首の砲身から弾丸の嵐が放たれる。

弾丸の嵐を前にウェインとガラハドは瞬く間に粉砕されてしまう。

 

「 X-セイバー達が…」

 

「おらまだ終わりじゃねえぞ! ガトリング・ドラゴンで直接攻撃!」

 

ガトリング・ドラゴンが全速力で突進してくる。

 

「…! 罠カード「ガード・ブロック」発動!  相手からの戦闘ダメージを0にして、カードを一枚ドローする!」

 

ガトリング・ドラゴンが遊伸に迫ると、突如見えない壁に阻まれ、動きが止まる。

 

遊伸の手札:0+1

 

「ちっ! ターンエンドだ!」

 

フィールド

 

― ― A ― ―  

― ― S ― ―

 

LP:5650

手札:1(融合)

 

・ガトリング・ドラゴン         

                    

・伏せ一枚

 

「…またひっくり返っちまった…しかも遊伸はがら空きで、手札は次のドロー入れても二枚…まずいぞこれは」

 

遊伸の劣勢に鋼貴が憂う。

 

「僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札;1+1

 

「(だめだ…今の手札じゃ…)…カードを一枚セットしてターンエンド…」

 

フィールド

 

― ― ― ― ―  

― ― S ― ―

 

LP:6150

手札:1

 

・伏せ一枚            

                               

 

「おいおい! モンスターも出せないのかよ! 俺のターン! ドロー!」

 

男 手札:1+1

 

「ガトリング・ドラゴンで直接攻撃!」

 

再びガトリング・ドラゴンの突撃。

 

「うわぁ!!!」

 

LP:6150→3550

 

「遊伸!?」

 

「お兄ちゃん!?」

 

大ダメージに鋼貴と修が叫ぶ。

 

「もう諦めな! 一枚伏せてターンエンド!」

 

フィールド

 

― ― A ― ―  

― ― S S ―

 

LP:5650

手札:1(融合)

 

・ガトリング・ドラゴン        

                    

・伏せ二枚

 

「冗談じゃない! 僕は…最後まで諦めないぞ! ドロー!」

 

遊伸 手札:1+1

 

「…来た! 僕は手札から魔法カード「死者蘇生」を発動! 自分の墓地から「X-セイバー ウェイン」を特殊召喚する! 蘇れ! ウェイン!」

 

遊伸の場に再びウェインが舞い戻る。

 

「そして手札から チューナーモンスター「X-セイバー エアベルン」を通常召喚!」

 

場に現れたのは人型の獣。

両腕に鉄爪を装着していて、唸り声を上げながら両爪を構える。

 

ATK:1600

 

「チュ…チューナーだと!?」

 

「…いくぞ!! レベル5 「X-セイバー ウェイン」に、レベル3「X-セイバー エアベルン」をチューニング!!」

 

エアベルンが咆哮と共に三つの光輪となると、三つ全ての輪がウェインを囲む。

ウェインの体に五つの光が現れると、そのまま光の柱となる。

 

「集いし願いが、新たに輝く星となる。光さす道となれ!シンクロ召喚!飛翔せよ!「スターダスト・ドラゴン」!!」

 

光の柱から現れたのは、青白く輝く竜。

その大きな翼を羽ばたかせる度に、光の粒子が舞い上がる。

 

ATK:2500

 

「す…すごい…」

 

「…綺麗!」

 

修と鈴はその輝きに目を奪われる。

 

「…バトル!  スターダスト・ドラゴンでガトリング・ドラゴンを攻撃!「シューティング・ソニック」!!」

 

「は! 自棄になったか! 返り討ちだ! ガトリング・ドラゴン!」

 

スターダスト・ドラゴンが口から衝撃波を撃ち出すと、ガトリング・ドラゴンも連発砲撃を繰り出す。

 

「ダメージステップ時に罠カード「シンクロ・ストライク」を発動!! シンクロ召喚に使用した素材モンスター一体につき、シンクロモンスターの攻撃力を500ポイントアップする! 使用したシンクロ素材は二体! スターダスト・ドラゴンの攻撃力は1000ポイントアップする!」

 

ATK:2500→3500

 

「なんだと!?」

 

スターダスト・ドラゴンの シューティング・ソニックは、ガトリング・ドラゴンの弾丸を全て撃ち落し、そのままガトリング・ドラゴンを粉砕する。

 

「ぐおお!!」

 

男 LP:5650→4750

 

「やった!!」

 

「よし! いいぞ!」

 

鋼貴と修が喝采を上げる。

 

「ならテメーもだ!! 罠発動! 「道連れ」! そのドラゴンも破壊だ!」

 

「スターダスト・ドラゴンのモンスター効果発動! このカードをリリースすることで、フィールド上のカードを破壊する効果を無効にし、その効果のカードを破壊する! 「ヴィクテム・サンクチュアリ」!」

 

スターダスト・ドラゴンが粒子となって消えると、男が発動したカードが破壊される。

 

「僕はこれでターンエンド! この時、自身の効果でリリースされていた場合、自分の場に特殊召喚することができる! 舞い戻れ! スターダスト・ドラゴン!」

 

 

再び遊伸の場に粒子が集まり、スターダスト・ドラゴンが出来上がる。

 

フィールド

 

― ― A ― ―  

― ― ― ― ―

 

LP:3550

手札:0

 

・ スターダスト・ドラゴン         

                     

 

「お…お前のエンドフェイズ時に速攻魔法「終焉の焔」を発動、黒焔トークンを二体生成する…」

 

男の場に黒い炎の悪魔が二体現れる。

 

DEF:0

 

「ん? 随分元気が無くなったじゃねーか? もしかして手が尽きたのかよ!」

 

鋼貴が挑発すると男は歯を食いしばる。

 

「ぐぐぐ…! ド…ドロー! …!!」

 

男 手札:1+1

 

男がドローしたカードを確認した瞬間、男の顔色が変わった。

 

「くっくっく…! アーッハッハッハ!!」

 

「こ…今度は元気になっちゃったよ?」

 

修が不安な声を出す。

 

「おいまさか…」

 

「勝った!! 勝利の女神は俺に微笑んだぞ!! 俺は黒焔トークン二体をリリース! 手札から、「The big SATURN」をアドバンス召喚!!」

 

「あ!!」

 

その名を聞いた修は驚きの声を出す。

 

黒焔トークン二体が消えると、男の場に巨大なロボットが現れる。

その名の様に、丸い体を大きな帯状の輪が囲っている。

 

ATK:2800

 

「ぼ…僕のカード!」

 

「何!? 何でお前のカードが…」

 

鋼貴が修に聞こうとすると、男が先に言う。

 

「あの時デッキに仕舞って正解だったぜ! さあ!  The big SATURNのモンスター効果発動! 手札を一枚捨てることで、エンドフェイズまで攻撃力を1000ポイントアップする!」

 

ATK:2800→3800

 

捨てたカード:融合

 

「さあお返しだ!!  The big SATURNで スターダスト・ドラゴンを攻撃!」

 

The big SATURNが拳を振り上げる。

スターダスト・ドラゴンは応戦するも空しく、The big SATURNに破壊されてしまう。

 

「うわぁ…くっ!! スターダスト・ドラゴン…!!」

 

遊伸 LP:3550→2250

 

「どうだ! 見たか! 俺はターンエンド! さあお前の最後のターンだ!」

 

フィールド

 

― ― A ― ―  

― ― ― ― ―

 

LP:4750

手札:0

 

・ The big SATURN          

                   

 

「カードが手札にもなきゃ場にもねぇ、絶対絶命、万事休す、か…」

 

「僕のカードのせいで…」

 

絶体絶命のピンチに沈む鋼貴と修。

 

「大丈夫だよ」

 

「え?」

 

遊伸は落ち着いた声で続ける。

 

遊伸「…このデュエルは、僕がこの都市で、決闘者としての…最初の仕事なんだ。だから絶対に成し遂げたい! 最初から躓きたくない! 諦められない! …それに、諦めなければ、カードが答えてくれる! ドロー!!」

 

遊伸 手札:0+1

 

「魔法カード「貪欲な壺」を発動! 自分の墓地のモンスターカードを五枚選択し、デッキに戻す。その後、デッキから二枚ドローする!」

 

遊伸が戻すカード

 ・X-セイバー エアベルン

 ・X-セイバー ガラハド

 ・X-セイバー アナペレラ

 ・セイバー・ビートル

 ・セイバーザウルス

 

 

「悪足掻きだ!」

 

「二枚ドロー!!」

 

遊伸は男を無視してドローする。

 

遊伸 手札:0+2

 

「…」

 

「もう気が済んだろ? とっととラストターンにしようや」

 

遊伸の口が僅かに吊り上る。

 

「……そうだね、ラストターンだ……このターンで終わらせる!!」

 

 

「!」

 

「マジかよ!?」

 

「ハッタリを抜かすな!! たった二枚で何が出来る!!」

 

この場にいる全員が耳を疑う。

 

「二枚どころか、一枚で戦況は覆せる…それを示したのはお前だ!」

 

「な…何!? まさか!!」

 

「そう! このデュエルの勝利の一手…その答えはこれだ! 手札から魔法カード「ミラクルシンクロフュージョン」を発動!! 自分の墓地の 「スターダスト・ドラゴン」と、「 X-セイバー ウェイン」をゲームから除外!!」

 

遊伸の場に「オーバーロード・フュージョン」の時の様な歪みが現れる。

 

「融合召喚!! 「波動竜騎士 ドラゴエクィテス」!!」

 

歪みから波紋が広がると、その中心から一体の竜が現れる。

その竜は鎧の様な外殻と、大きな翼を持ち、自身の背丈よりも巨大な槍を携えている。

 

 

ATK:3200

 

 

「 The big SATURNを上回るだと!?」

 

「この土壇場でやりやがったぜアイツ!! 行け! 遊伸!」

 

鋼貴が叫ぶ。

 

「(くそ…だがまだ俺のライフに余裕がある…その間に体制を…)」

 

「The big SATURNがやられてもまだライフがある、その間に体制を…そう考えてたんじゃないかな?」

 

「!? テ、テメェ!」

 

先程の男の様に考えを言い当てる遊伸。

 

「言ったはずだ…これが最後のターンだと! 魔法発動! 「地砕き」! 相手の一番守備力が高いモンスターを破壊する!! The big SATURNを破壊!!」

 

「!? 駄目だ! お兄ちゃん!!」

 

修の言葉に鋼貴が反論を言う。

 

「何でだ? 地砕きで破壊してダイレクト決めりゃ…」

 

宙に浮いているThe big SATURNが、頭上からの強い力で地面に叩きつけられ、地面が砕ける。

 

「…ハァーッハッハッハ! 本当にラストにしやがった! 馬鹿め!  The big SATURNの最後の効果発動!!」

 

The big SATURNが高温を発しながら赤くなっていく。

 

「このモンスターが相手のカード効果により破壊され、墓地に送られた時、お互いにこいつの攻撃力分のダメージを受ける!」

 

ATK:2800

 

「嘘だろ! そんなもん食らったら遊伸のライフは…」

 

「そう! 0よ! そして俺のライフは残る! 自分から幕を引いちまったなぁ! さあ! 吹き飛べ!!」

 

The big SATURNが大爆発を起こし、爆風が遊伸に迫る。

 

「お兄ちゃん!!」

 

遊伸は笑みを浮かべて答える。

 

「そのとおり…僕はこのデュエルに幕を引く! …僕の勝利で!!」

 

ドラゴエクィテスが左手を前にかざす。

 

「 ドラゴエクィテスのモンスター効果発動! このカードが攻撃表示で存在する限り、相手のカード効果によって発生する自分へのダメージは、全て相手が受ける!! お前は僕とお前自身が受けるダメージ、合計5600ポイントのダメージを受け

る!!」

 

「そ、そんな馬鹿な!!」

 

「跳ね返せ! 「ウェーブ・フォース」!!」

 

ドラゴエクィテスが左手から波紋状の衝撃波を繰り出すと、爆風が全て押し返されて男へと向かっていく。

 

「イ…イヤだぁーーー!! うわぁーーーーー!!!」

 

男 LP4750→1950→0

 

男は自分に向かっていた爆風と、ドラゴエクィテスが跳ね返した爆風に飲まれる。

デュエル終了のアラームが鳴ると、ドラゴエクィテスを初めとする全てのソリッド・ビジョンが消える。

 

「やったー!お兄ちゃんの勝ちだーー!」

 

「よかった…!」

 

「よくやった!! お前に任せて正解だったぜ!」

 

修、鈴、鋼貴が遊伸の下へ駆け寄る。

 

「ありがとう、…さて」

 

遊伸は男に近寄る。

 

「ぐ…ぐぐ…」

 

男は仰向けの状態で、無様に倒れている。

男の決闘盤からThe big SATURNを取り、修に渡す。

 

「はいこれ、取り戻せてよかったよ」

 

「ありがとう! …こいつを破壊した時、こいつの効果を解ってたんだね…どうして解ったの?」

 

「さっきぶつかった時に一緒に探しただろ? で、見つけた時に、ね」

 

「そっか…あ!! そうだ! 鈴ちゃんのカード…」

 

遊伸達が話している後ろでは、鋼貴とここまで完全に空気だった鈴の父親が、男を挟んでその処遇について話をしていた。

 

「こいつめ! セキュリティに突き出してやる!」

 

「待ってくれよ、その前に依頼主にとっ捕まえた証拠を…」

 

その時、突然男が身を起こし、地面に何かを投げつける。

投げられたそれは割れると中から煙が噴出してきた。

 

「うわ! 煙幕かこりゃ!」

 

「な、何も見えん…鈴! 大丈夫か!」

 

「逃げられちゃう!」

 

「何でこんな物を…」

 

しばらくして、煙が晴れると男の姿は何処にも無かった。

 

 

「くそっ! 拘束装置の出力もっと上げとくんだったぜ! タフな野郎だ!」

 

「ああ…そんな…」

 

「もういいよ、修ちゃん。 皆が無事ならそれで…」

 

鋼貴が憤慨している横で、落ち込む修を鈴が慰めている。

 

「どうしたんだい? …もしかしてまだ盗られたカードが!」

 

 

修の話によると、事の始まりは鈴が他の友達とデュエルをして遊んでいたらあの男が現れたらしく、

カードを奪われてしまったそうだ。

それを聞いた修が取り返そうと、あの男に挑んだが―――

 

「…返り討ちに遭っちまったって訳か」

 

「うん…」

 

鋼貴の言葉に修は面目なさそうに俯く。

 

「…そのカード、何て名前?」

 

「え…?」

 

「今度あいつを見つけたら僕が取り返すよ」

 

遊伸が鈴にそう言うが…

 

「だ…駄目! 危ないよ…」

 

自分のカードよりも、遊伸の身を案じる鈴。

 

「でもそのカード、大事なカードなんだろう?」

 

「でも…」

 

渋る鈴に遊伸は自分の胸を叩いて言う。

 

「大丈夫さ! 僕は絶対に負けないよ! …僕を信じて、ね?」

 

「「エンシェント・フェアリー・ドラゴン」…」

 

「「エンシェント・フェアリー・ドラゴン」だね、わかった! 必ず取り返してみせるよ!」

 

「…うん!」

 

鈴は今まで怯えたような様子であったが、ここで初めて笑顔を見せた。

 

 

* * *

 

 

修達と別れた後、遊伸と鋼貴は広場のベンチに腰掛けていた。

 

「今回の依頼は失敗、貰ったのは脚に一発、ダイレクトってね。 でも、まあ…」

 

鋼貴は立ち上がる。

 

「貴重な新戦力を発掘できたことでよしとするか!」

 

「え…!」

 

遊伸は鋼貴を見上げる。

 

「「マーシャル・レッド」に来いよ、遊伸! グレイグにも俺から言って置くし、決闘盤も何とかしてやるからよ」

 

「本当ですか!!」

 

「ああ、正直こんなに出来るとは思わなかったし、それにお前、デュエル中に自分のこと「決闘者」っていったろ?」

 

「あ! …言いました…つい」

 

「諦められねーんだろ? そんだけ気持ちがつえーならやる気も有るんだろ! 大歓迎だ!」

 

「藤堂さん…」

 

「おっと、俺に対してはタメ口でいいぜ。 多分年同じ位だろ? 後、呼び名は下にしてくれ。苗字で呼ばれるのはあまり好きじゃないんだ」

 

「うん、わかったよ! 鋼貴!」

 

「ああ! よろしくな!」

 

二人は握手を交わす。

 

こうして、遊伸は「決闘者」となり、様々な事件と遭遇していく。

遊伸の歩みはまだ、始まったばかりであった…

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