遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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第30話 決闘王 ~テオドール・ハイドフェルド~

「アルカディア・ムーブメント……決闘王……」

 

目の前の男の衝撃的な素性を知った遊伸の脳裏に記憶が駆け巡る。

アルカディア・ムーブメントと言えば、光円寺 陽子がデュエル研の襲撃後、突如存在を消したサテライトの開発事業会社、及びサイコ・デュエリストの養成機関である。

セキュリティや治安維持局は、光円寺 陽子がアルカディア・ムーブメントから派遣されたという事、そして突如存在を消した事から、デュエル研襲撃事件の黒幕として捜査を続けていた。

 

そして決闘王、 テオドール・ハイドフェルド。

遊伸はこの名を一度だけ聞いた事がある。

 

 

世の中は決闘王と言えば宝月 仁や君臨期間が長かったアーノルド・フラナガンを挙げるが、俺は違う! 俺は幻の決闘王、「テオドール・ハイドフェルド」を尊敬している!

 

 

デュエルチーム、ブラックファイアのリーダーが言っていた名前である。

 

「な、何で元決闘王がアルカディア・ムーブメントにいて……こんな事を……?」

 

遊伸は驚きが収まらないままテオドールに尋ねる。

 

「フッ……”決闘王”か……小僧、お前は”決闘王”の称号とはどの様な物だと考える?」

 

「え…? それは……一番強い、プロ決闘者の中で一番の……誰よりも強い決闘者です」

 

問いを問いで返すテオドールに、遊伸は困惑しながらも返す。

 

「その通りだ、世界数多に存在する決闘者の頂点、”決闘王”……俺は今から13年程前、雑魚を蹴散らし、当時の決闘王を下し、その王座に就いた……だが!」

 

テオドールの顔が険しくなる。

 

「そこにあったのは、愉悦感でも、達成感でもない……虚無感だけだったのだ! …相応しいはずがない……いとも簡単に手に入る王座など……俺が座る王座などではない!」

 

「(コ、コイツ……マジかよ……全決闘者の夢の称号、”決闘王”じゃ自分に不足だって言いてぇのか…!?)」

 

鋼貴だけではない、遊伸や空、雪江も同じ様に思っている事であろう。

 

「そして俺は気付いたのだ、もっと相応しい王座がある事をな……」

 

「そ……それは…?」

 

遊伸は緊張を浮かべながら問いかける。

 

「それは……この世界だ! デュエルだけではない! 国も人も何もかも、全てを俺に跪かせる”決闘王”となるのだ! アルカディア・ムーブメントはその為の足掛かりだ」

 

「ちょっと待てよ! さっきから黙って聞いてりゃ子供みたいな事ほざきやがって! そんな事出来る訳無ぇだろ!」

 

鋼貴が堪りかねて口を開く。

 

「出来るのだ、お前の様な小僧には出来なくとも、この俺にはな」

 

不敵な笑みを浮かべ、テオドールは言い返す。

テオドールから感じ取れる風格と、自分に対する絶対的な自信により、妙な説得力がある。

はっきり言い切られた鋼貴は一瞬怯むが、それでも反論する。

 

「こ、根拠はあるのかよ!」

 

「これだ、この”ファントム・オブ・カオス”こそが、それを可能にする”大いなる力”の欠片だ。 これを集めること、それが我々の目的だ。 実験もその為の準備に過ぎん」

 

テオドールは黒いガラスの板をかざす。

 

「大いなる力…? それに欠片って…?」

 

遊伸の新たな問いに対して、テオドールは鼻を鳴らす。

 

「知ったところでお前の様な小僧に理解出来きまい、ここまでだ。 何者か、目的、ファントム・オブ・カオスとは、お前に聞かれた質問には全て答えた、ありがたく思え」

 

「あらら、殆ど教えちゃったわね、いいのかしら?」

 

「テオドール様の意向に間違えなど無い!」

 

光円寺 月子に男が言い切る。

今までの態度からして、この男は光円寺姉妹と違ってテオドールに忠実の様だ。

 

「さあ、実験も済んだ、”目的”の物も手に入れた、引き上げるぞ」

 

テオドールが踵を返そうとすると、鋼貴が大声で呼び止める。

 

「おい! 今言った”目的”の物って何だよ!」

 

「おーい!」

 

突然遊伸達の後方から聞き覚えのある呼び声が聞こえてくる。

遊伸達が振り向くと、高尾がこちらに走って来ていた。

 

「高尾! どうしてここに?」

 

鋼貴がそう尋ねると、高尾は息を整えてから話す。

 

「探したぞ3人共! 大変だ! ナンバーズ展示会で強盗があったんだ!」

 

「何だって!?」

 

遊伸達が驚く中、高尾が続ける。

 

「俺も展示会を見ようと会場の体育館に向かったんだ、そしたらセキュリティやデュエル研のお偉いさん、来場者が皆眠らされていて、何事かと中に入っていったら原物展示のオーバーハンドレッドナンバーズが1枚消えていて……もしかしてそこにいるのが……」

 

高尾はテオドール達を睨む。

 

「…いい勘してるぜ高尾、こいつらだ」

 

鋼貴も一緒になってテオドール達を睨む。

 

「その通りだ、ここに最新鋭のドラゴンが持ち込まれると聞いたのでな、俺の僕として使ってやろうという訳だ」

 

「何が使ってやろうだ! お前なんかに使われて堪るか! 勝負しろ! とっ捕まえてやる!」

 

鋼貴が決闘盤を構える。

 

「鋼貴! 僕も」

 

遊伸も決闘盤を構える。

それを見た男がテオドールの前に出る。

 

「テオドール様、お下がりを、この様な相手、私達僕で十分です」

 

「いや、お前が下がれ、新しい僕を試して見たいのでな」

 

「…はっ!」

 

テオドールがそう命じると、男は大人しく下がる。

 

「遊伸! 遊伸はさっきまで命がけのデュエルをしてたんだから無理しちゃ駄目だよ! 私が出るよ!」

 

そう言って遊伸の後ろにいた空が前に出る。

テオドールが空に目をやると、驚いた様に目を見開く。

 

「お前は…!?」

 

「え!? な、何?」

 

テオドールは暫く空を睨み付けた後、懐から何かを取り出す。

テオドールは確認する様にそれと空を交互に見る。

何を取り出したかは遊伸達の立ち位置では分からない。

テオドールは何かを確信した様子を見せると、突然笑い出す。

 

「…フッフッフ……ハーッハッハッハッハ!!!」

 

「な、何だ!? もしかして”アレ”が取り付いたんじゃねーだろうな!?」

 

鋼貴はファントム・オブ・カオスを使った時の獏葉を思い浮かべる。

 

「何なのあの人! 人の事見て笑ったりして! 失礼しちゃう!」

 

空は自分が馬鹿にされたと思い、怒る。

 

「クックック……これは運命……いや、”因縁”と言うべきかな? 西野 空……」

 

「!? ど、どうして私の名前を…」

 

遊伸の場合、獏葉がしつこくフルネームで連呼していたので、知られていてもおかしくは無い。

しかし空の場合は違う、空は獏葉とは会った事がなく、この場でフルネームでは呼ばれていない。

勿論テオドールとも面識は無い。

何故テオドールが空の姓名を知っているのか。

 

「俺はよく知っている、西野 空……西野 七海の妹、違うか?」

 

「お姉ちゃんを知ってるの!?」

 

姉の名前を聞き、空は驚きつつ、姉について聞こうとする。

 

「ああ、知ってるとも……西野 七海、10年前、俺に楯突き……」

 

 

 

                 死んだ女だ

 

 

 

「……え…?」

 

時が止まった様に場が静寂する。

静寂を破ったのは―――遊伸。

 

「何を……何を言い出すんだ!!! でたらめを言うな!!! どうして……どうして七海さんが死ななきゃいけないんだ!!!」

 

遊伸は激昂してテオドールに叫ぶ。

 

「でたらめなどではない、あの女はアルカディア・ムーブメントに所属するサイコ・デュエリストでありながら俺に逆らった、だから死んだのだ」

 

「何故「嘘よ!!!」

 

遊伸が再び叫ぼうとすると、空のそれ以上の声にかき消される。

 

「遊伸の言う通りよ!! でたらめ言わないで!! お姉ちゃんは死んでなんか無い!! だって……だって約束したもん!! 必ず帰って来るって!!」

 

「ほう、未だに帰ってくるはずの無い姉の帰りを待っているのか、健気、そしてご苦労な事だ。 …そうら、これを返してやろう、お前の姉が死に際に落として行った物だ」

 

テオドールが空に目掛けて懐から取り出した物を放り投げると、曲線を描き、空の手の中に落ちる。

 

「あ……ああ……」

 

手にあるのは風車の様なマークが入った翡翠色のロケットペンダント。

空は震える手でそれを開ける。

その中に入っていたのは、幼い自分と思い出の中の姉が写った写真、そして姉へと宛てたメッセージが書いてあった。

 

 

七海お姉ちゃんお誕生日おめでとう! 大好き!  空より

 

 

「ああ……お姉ちゃんにあげた……ロケット……」

 

空は写真を見つめながら大量の涙を流す。

そしてそのまま俯き、体を震わせると、その場に倒れる。

 

「空!!?」

 

倒れる空を後ろにいた遊伸が受け止める。

 

「空!! しっかりして! 空!」

 

「「「空!?」」」

 

遊伸が空に呼びかけ、鋼貴や雪江、高尾も駆け寄る。

空はあまりのショックに気絶してしまった。

 

「……雪江さん、空を」

 

遊伸は空の体を雪江に預ける。

 

「空! お願いしっかりして!」

 

雪江は目尻に涙を浮かべ、尚も空に呼びかける。

遊伸はゆっくりとテオドールへと向き直る。

顔に怒りを現し、テオドールに向かって指を突きつける。

 

「テオドール……僕は絶対にお前を許さないぞ!!! 僕とデュエルしろ!!!」

 

怒りに満ちた遊伸の声、おそらく遊伸自身も始めて出した声。

 

「いいだろう、決闘王のデュエル、見せてやる。 …夜霧(よぎり)、俺の決闘盤を渡せ」

 

「はっ!」

 

男――夜霧はテオドールの横に置いてあるケースから決闘盤を取り出すと、テオドールに渡す。

遊伸も決闘盤を展開すると、鋼貴が隣に立ち、同じ様に決闘盤を展開する。

鋼貴は遊伸が何かを言う前に口を開く。

 

「遊伸、お前は事情が解ってるみたいだな、俺はまったく解らん、空に姉ちゃんがいたのも初耳だ。 …だが二つだけ解ってる事がある、それは…」

 

鋼貴は険しい表情でテオドールを睨み付ける。

 

「こいつはぜってぇに許しちゃいけねぇ奴で! ぜってぇにぶっ飛ばさなきゃならねぇ奴だ!!! 遊伸! 俺も一緒に戦う! 真剣勝負だから下がれ、何て言うなよ!」

 

「ああ!」

 

遊伸もテオドールを睨みながら頷く。

 

「面白い、いいだろう、二人纏めて相手してやる……来い」

 

 

「「「デュエル!!!」」」

 

 

幻の決闘王、テオドールとのデュエルが始まった。

順番はテオドール、遊伸、テオドール、鋼貴の順に繰り返す変則タッグデュエル方式である。

 

 

「俺のターン、ドローだ」

 

テオドール 手札:5+1

 

「くそ……俺もデッキさえあれば……」

 

高尾は歯痒さを感じている。

高尾は後輩の手伝いに来ており、作業の邪魔になる為、デッキを決闘盤ごとロッカーに置いて来てしまっていた。

展示会の強盗も急な事で焦っていた為、デッキを取りに行かずにマーシャル・レッドの面々に伝えに来てしまった、という訳である。

 

「(だが相手は一人、遊伸と鋼貴の二人にとても対抗出来るとは思えない……よほど自信家なのか? 何者なんだ…)」

 

遊伸達の相手が何者なのか知らない高尾はそう考える。

 

「俺は《アックス・ドラゴニュート》を召喚」

 

テオドールの場に両刃斧を持ったドラゴンの戦士が現れる。

アックス・ドラゴニュートは殺気を放ち、遊伸達を睨み付ける。

 

ATK:2000

 

「げっ……下級モンスターの癖に2000もあるのかよ……」

 

鋼貴が苦い顔をする。

 

「カードを2枚伏せターンエンドだ」

 

LP:8000

手札:3

モンスター

・アックス・ドラゴニュート

魔法・罠

・セット

・セット

 

「僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:5+1

 

「遊伸! やっちまえ!」

 

「ああ!」

 

鋼貴の言葉に遊伸は気合の入った声で返す。

 

「(絶対に……負けない!) 僕は《XX-セイバー ボガーナイト》を召喚!」

 

遊伸の場にボガートの騎士、ボガーナイトが現れる。

 

ATK:1900

 

「ボガーナイトの効果発動! 召喚に成功した時、手札からレベル4以下の《X-セイバー》と名のついた モンスター1体を自分の場に特殊召喚する事が出来る! 僕は手札からチューナーモンスター《XX-セイバー フラムナイト》を特殊召喚!」

 

ボガーナイトがレイピアで隣を指し示すと、そこにフラムナイトが現れる。

フラムナイトは相手のアックス・ドラゴニュートを見据え、構える。

 

ATK:1300

 

「そして、このカードは場に2体以上《X-セイバー》がいる時、特殊召喚する事が出来る! 来い! 《XX-セイバー フォルトロール》!」

 

続けて遊伸の場にフォルトロールが現れる。

ゴーグルを光らせ、剣を振り上げ構える。

 

ATK:2400

 

「行くぞ! レベル4《XX-セイバー ボガーナイト》に、レベル3《XX-セイバー フラムナイト》をチューニング!」

 

フラムナイトが自身を3つの光輪に変えると、ボガーナイトを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。

 

「十の剣に名を連ねし剣士よ、双剣を振るい、己の力を示せ! シンクロ召喚! 無双の剣《X-セイバー ソウザ》!!」

 

光の柱から現れたのはソウザ。

不気味な笑みを浮かべ、両手の双剣を構える。

 

ATK:2500

 

「ここでフォルトロールの効果発動! 1ターンに1度、自分の墓地からレベル4以下の《X-セイバー》と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する事が出来る! 墓地から《XX-セイバー フラムナイト》を特殊召喚! 《セイバー・リライブ》!」

 

フォルトロールが地面に大剣を突き刺すと、隣にXの文字が現れ、そこからフラムナイトが現れる。

 

ATK:1300

 

「ソウザの効果発動! 自分の場に存在する《X-セイバー》と名のついたモンスター1体をリリースする事で、二つの効果から1つを選択してエンドフェイズ時まで得る…僕はフラムナイトをリリース!」

 

ソウザの効果によりフラムナイトが消えると、ソウザからオーラが湧き上がる。

 

「僕はソウザに[罠カードの効果では破壊されない]効果を選択! エンドフェイズまでソウザは罠では破壊されない! バトル! ソウザで攻撃! 《双剣十字斬》!」

 

「よっしゃあ! これで罠も怖くはねぇ! やっちまえ遊伸!」

 

鋼貴の声と同時にソウザはアックス・ドラゴニュートに斬りかかる。

 

「…王の前だ、跪け!! 罠カード《重力解除》を発動! 自分と相手の場に表側表示で存在する全てのモンスターの表示形式を変更する」

 

テオドールが罠を発動すると、ソウザ、フォルトロール、そしてアックス・ドラゴニュートの体が一瞬浮き上がり、その瞬間、地面に叩きつけられる。

 

X-セイバー ソウザ        DEF:1600

XX-セイバー フォルトロール  DEF:1800

 

アックス・ドラゴニュート       DEF:1200

 

「くそっ! 表示形式の変更じゃソウザの効果の意味がねぇ!」

 

鋼貴が悔しそうに叫ぶ。

 

「…僕はカードを3枚伏せてターンエンド」

 

LP:8000

遊伸 手札:0

鋼貴 手札:5

モンスター

・XX-セイバー フォルトロール

・X-セイバー ソウザ

魔法・罠

・セット

・セット

・セット

 

「俺のターン、ドロー」

 

テオドール 手札:3+1

 

「チューナーモンスター《デルタフライ》を召喚」

 

テオドールの場に一体のワイバーンが現れる。

 

ATK:1500

 

「チューナーモンスター!? 何か来るのか!」

 

遊伸が警戒を強くする。

 

「デルタフライの効果発動、1ターンに1度、このカード以外の自分の場に表側表示で存在するモンスター1体を選択、レベルを1つ上げる事が出来る……アックス・ドラゴニュートのレベルを一つ上げる」

 

アックス・ドラゴニュート レベル4→5

 

「さあ見せてやろう! 我が僕を! レベル5となった《アックス・ドラゴニュート》に、レベル3《デルタフライ》をチューニング!」

 

デルタフライが自身を3つの光輪に変えると、アックス・ドラゴニュートを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。

 

「王者の鼓動、今ここに列をなす……天地鳴動の力を見るがいい! シンクロ召喚! 我が前に姿を現せ! 紅蓮魔竜! 《レッド・デーモンズ・ドラゴン》!」

 

光の柱から現れたのは、その名の如く、赤い悪魔の様な竜。

その恐ろしい姿はあらゆるものを畏怖させる。

”暴君”、まさにその言葉を体現したドラゴンである。

息を吐き出すのと同時に口から火が吹き出し、その直後に咆哮を上げる。

 

ATK:3000

 

「(こ……これは……何て威圧感だ、これだけなら光円寺 陽子のブラック・ローズ・ドラゴン以上……それ程の”力”を感じる)」

 

「(ソ、ソリッドビジョンが……こんなにも恐ろしく感じたのは初めてだぜ……)」

 

遊伸と鋼貴はレッド・デーモンズ・ドラゴンのあまりの威圧感に声も出ない。

 

「さあ行くぞ……レッド・デーモンズ・ドラゴンでX-セイバー ソウザを攻撃! 《アブソリュート・パワーフォース》!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴンが右腕に炎を纏うと、ソウザに向かって右腕を打ち付ける。

ソウザは一瞬で焼失してしまう。

 

「ソウザ!?」

 

「まだだぞ小僧、レッド・デーモンズ・ドラゴンの効果を発動! 相手の場に守備表示で存在するモンスターを攻撃した場合、そのダメージ計算後に相手の場に守備表示で存在するモンスターを全て破壊する! 《デモン・メテオ》!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴンが放った《アブソリュート・パワーフォース》がソウザを葬った勢いで地面に打ち付けると炎が拡散し、隣にいたフォルトロールをも焼き尽くす。

 

「フォ、フォルトロール!? そんな……X-セイバー達が……」

 

「王者に楯突くという事がどういう事か、身を持って教えてやろう……罠カード《破壊伸の系譜》を発動! 相手の場に守備表示で存在するモンスターを破壊したターン、自分の場に表側表示で存在するレベル8のモンスター1体はこのターン、2回攻撃をする事が出来る!」

 

「な…!?」

 

「何だとぉ!?」

 

遊伸と鋼貴は驚愕する。

一体だけで遊伸のモンスターを全滅させただけではなく、さらに遊伸自身に攻撃するという。

怒りでテオドールを倒す事しか考えていなかった遊伸達は、ここでテオドールが”決闘王”である事を思い知らされた。

 

「さあその身に受けろ! 《灼熱のクリムゾン・ヘルフレア》!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴンが口から火炎を遊伸に向けて放つと、火炎はあっという間に遊伸を包み込む。

 

「うわぁぁぁーーーー!!!」

 

遊伸・鋼貴 LP:8000→5000

 

「「遊伸!!!」」

 

鋼貴と高尾が同時に叫ぶ。

火炎が消えると、遊伸はその場に両手両膝を付いてしまう。

 

「遊伸!? しまった! アイツが光円寺の親玉ならアイツはそれ以上の”サイコ・デュエリスト”じゃねーか! くそ! 遊伸大丈夫か!?」

 

鋼貴が呼びかけると、遊伸は何とか立ち上がる。

 

「だ、大丈夫……僕は一回経験してるから……それに……空が受けた痛みに比べれば……」

 

「ほう……耐えたか、大抵は今のを受けるだけで沈むのだがな……これは楽しめるかもしれんな、俺はカードを伏せターンエンド」

 

LP:8000

手札:2

モンスター

・レッド・デーモンズ・ドラゴン

魔法・罠

・セット

 

「な、何ていう強さだ……遊伸の布陣をいとも容易く……それに遊伸の様子……一体何が…」

 

高尾はテオドールの実力と、遊伸の異変に驚く。

 

「遊伸! 少し休んでろ! 俺のターン! ドロー!」

 

鋼貴 手札:5+1

 

「こいつは相手の場にモンスターがいて、自分にいない時、手札から特殊召喚出来る! 俺は《アンノウン・シンクロン》を特殊召喚!」

 

鋼貴の場にアンノウン・シンクロンが現れる。

 

ATK:0

 

「続けて行くぜ! 魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動! 手札からモンスター1体を墓地へ送り、手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚するぜ! 来い! 《チューニング・サポーター》!」

 

墓地に送ったカード

カードガンナー

 

鋼貴の場にマフラーを巻き、中華なべにもフライパンにも見える調理器具を被った小さなロボットが現れる。

 

ATK:100

 

「チューナー……鋼貴はシンクロモンスターで対抗する気か? だが鋼貴のシンクロモンスターでは……」

 

高尾が心配する様に、鋼貴の使うシンクロモンスター、《A・O・J(アーリー・オブ・ジャスティス)》は闇属性以外、主に光属性に対して力を発揮するシリーズカテゴリである。

レッド・デーモンズ・ドラゴンは闇属性、A・O・Jでは太刀打ち出来ない。

 

「おう高尾! 大体考えてる事は解るぜ! だが高尾、何もチューナーだからシンクロモンスターに使わなきゃいけないなんて事はないんだぜ! 2体のモンスターをリリース!」

 

鋼貴の場の2体が姿を消す。

 

「《パーフェクト機械王》をアドバンス召喚!」

 

リリースされた2体の代わりに現れたのは巨大ロボット、機械王。

もはや通常の機械王の面影もない程見た目が変わっており、子供から大人までの心を鷲掴みするその格好良いデザインはまさに”パーフェクト”と言ったところか。

 

ATK:2700

 

「遊伸、伏せカード借りるぜ! 永続罠《リミット・リバース》発動! 墓地の攻撃力1000以下のモンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚するぜ! 俺は《カードガンナー》を特殊召喚だ!」

 

続けて鋼貴の場にロボットが現れる。

下半身はキャタピラ、両腕は砲身、頭部は透明な円蓋の中にあり、中の眼がライトの様に光る。

 

ATK:400

 

「そしてここからが本番だ! パーフェクト機械王のモンスター効果! 場に存在するこいつ以外の機械族1体につき、こいつの攻撃力を500ポイントアップする!」

 

ATK:2700→3200

 

「よし! 上回った! 鋼貴、頼んだよ!」

 

ここまでずっと険しい顔をしていた遊伸に笑みが戻る。

 

「おう、任せろ! カードガンナーの効果発動! 1ターンに1度、自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送り、エンドフェイズまで墓地へ送ったカードの枚数×500ポイント攻撃力をアップする! 俺は3枚墓地に送り、攻撃力を1500ポイントアップさせる!」

 

墓地に送ったカード

ブライ・シンクロン

レッド・ガジェット

機甲部隊の最前線

 

「行くぜ! バトル―――」

 

「罠発動! 《威嚇する咆哮》! このターン、お前は攻撃宣言を行う事が出来ん! 王者の前に再び跪け!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴンが凄まじい咆哮を上げると、鋼貴のロボット達が全て動きを止めてしまう。

 

「な!? …く、くそっ! カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

LP:5000

遊伸 手札:0

鋼貴 手札:0

モンスター

・パーフェクト機械王

・カードガンナー

魔法・罠

・リミット・リバース

・セット(遊伸)

・セット(遊伸)

・セット(鋼貴)

・セット(鋼貴)

 

「すまねぇ遊伸、だが大丈夫だ、必ずお前に繋ぐ!!」

 

「ああ! 僕も鋼貴を信じてる、頼んだよ!」

 

鋼貴の言葉に遊伸は力強く頷く。

 

「俺のターン、ドロー」

 

テオドール 手札:2+1

 

「魔法カード《精神操作》を発動、相手のモンスター一体のコントロールをエンドフェイズまで得る。 

貴様の僕を我が僕に! 来い、《パーフェクト機械王》!」

 

テオドールが宣言すると、パーフェクト機械王は勝手に動き出し、テオドールの場へと移動する。

 

「あ!? テメェ汚ぇぞ!!」

 

「小僧、この俺を呪う前に、僕を易々と俺に奪われた自分の不甲斐無さを呪うがいい」

 

「くそ……」

 

デュエルにおいてコントロールを奪う事は反則ではなく、戦術の一つである。

基本的に奪われる方が悪い。

鋼貴もそれを解っているので、それ以上何も言えなかった。

 

「さて……いい機会だ、”新しい僕”を試すとしよう……」

 

「”新しい僕”……強奪したカードの事か!?」

 

遊伸が鋼貴の後ろから叫ぶ。

 

「その通りだ、光栄に思うがいい、最初の餌食がお前達のどちらかかもしれんぞ?」

 

「(一体何がくるってんだ? だが関係ねぇ! 俺は遊伸に繋ぐ! 必ずな!)」

 

鋼貴は決意を固めてテオドールに構える。

 

「レベル8の《レッド・デーモンズ・ドラゴン》と《パーフェクト機械王》をオーバーレイ……2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」

 

「俺のパーフェクト機械王を素材に!?」

 

鋼貴が叫ぶのと同時に、 レッド・デーモンズ・ドラゴン、パーフェクト機械王はそれぞれ紫、オレンジ色の光となり、地面に現れた穴に吸い込まれる。

 

「宇宙を貫く雄叫びよ、遥かなる時をさかのぼり、銀河の源よりよみがえれ! エクシーズ召喚!」

 

その穴から金色の閃光が放たれ、1体の竜が現れる。

 

「顕現せよ! そして我を勝利へと導け! 《No.107 銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン)》!」

 

現れたのは紫色に発光する、機械竜と思わせるフォルムをしたドラゴン。

頭部の右側に”107”の数字が刻まれているのが見える。

 

ATK:3000

 

遊伸はこのドラゴンに刻まれた番号を見てある事を思い出す。

 

「このドラゴン……オーバーハンドレッドナンバーズ……しかも友河さんが言ってた気合の一作、”107番目”のカードだね」

 

遊伸が後ろから鋼貴に確認する。

 

「ああ……納得だな、確かに友河さんが関わってるぜ、どう見ても機械竜だろこれ」

 

遊伸と鋼貴は会話しながらも、このドラゴンから伝わってくる恐ろしい程の”力”をひしひしと感じていた。

 

「さあ行くぞ……バトルフェイズに銀河眼の時空竜の効果を発動、オーバーレイ・ユニットを一つ取り除く事で、場に表側表示で存在するこのカード以外のモンスター全ての効果は無効化され、 その攻撃力・守備力は元々の数値になる! 《タキオン・トランスミグレイション》!」

 

取り除いたカード:レッド・デーモンズ・ドラゴン

 

銀河眼の時空竜が周りに漂っていた光球を一つ取り込むと、光を放ち一瞬消えると、再び姿を現す。

 

「へん! ビビんなくてもお前が困る効果なんてカードガンナーには無ぇよ、ま、俺に得する効果はあるがな」

 

鋼貴が挑発する様に言うが、テオドールは相変わらず不敵な笑みを浮かべている。

 

「小僧、覚悟はいいな……銀河眼の時空竜でカードガンナーを攻撃! 《殲滅のタキオン・スパイラル》!」

 

銀河眼の時空竜が口からカードガンナー目掛けて光線を撃ち出す。

 

「へっ! 低攻撃力のモンスターを放置しとくかよ! 罠カード《ガード・ブロック》を発動! ダメージを0にして1枚ドロー!」

 

鋼貴 手札:0+1

 

光線がカードガンナーに直撃する。

鋼貴への衝撃はガード・ブロックが作り出した障壁で防がれたが、カードガンナーは粉々に吹き飛んでしまう。

 

「さらにカードガンナーの効果発動! 破壊され墓地に送られた時、カードを1枚ドローする!」

 

鋼貴 手札:1+1

 

「どうだ! 逆に手札を稼がせて貰ったぜ! 勝負は―――」

 

「小僧」

 

鋼貴が言おうとしていた言葉、これからだ、をテオドールが遮る。

 

「引いてしまったな……自らの(LP)に向いている銃の”引き金”を」

 

「な、何を……」

 

突然の言葉に鋼貴は動揺する。

 

「《タキオン・トランスミグレイション》の発動中に相手がカード効果を発動する度にこのカードの攻撃力を1000ポイント上げ、このバトルフェイズの間に2度目の攻撃を行う事が出来る」

 

「な!? 馬鹿な!? …という事は……」

 

「そう、お前が発動したカード効果、ガード・ブロックで1回、カードガンナーで2回、よって銀河眼の時空竜の攻撃力は……」

 

ATK:3000→5000

 

「な……あ……」

 

「小僧、これが”王”の前で小細工を弄した結果だ……消えろ、《殲滅のタキオン・スパイラル》!」

 

銀河眼の時空竜が再び、しかし先程よりもさらに強大な光線を鋼貴に向けて放つ。

 

「まずい!? これが通れば鋼貴達のLPが!? 鋼貴! 遊伸!」

 

高尾が思わず叫ぶ。

迫り来る光線に、鋼貴は顔に恐怖を浮かべてしまう。

しかし鋼貴はそれを振り払い―――覚悟を決める。

 

「遊伸すまねぇ! 悔しいが……俺じゃ無理だった……だがお前なら何とか出来る! 頼んだぞ! 速攻魔法《非常食》を発動! こいつ以外の自分の場の魔法・罠カードを任意の数墓地に送り、その枚数×1000ポイントLPを回復する! 俺は遊伸の伏せた《ミラクルシンクロフュージョン》と《身剣一体》を墓地に送り、2000ポイント回復する!」

 

遊伸・鋼貴 LP:5000→7000

No.107 銀河眼の時空竜 ATK:5000→6000

 

 

「うおぉぉぉーーー!!!」

 

LP:7000→1000

 

 

光線が鋼貴に直撃、鋼貴は衝撃で後方に吹き飛ばされる。

 

「鋼貴!!?」

 

遊伸は吹き飛ばされた鋼貴を受け止めるも抑え切れず、一緒に吹き飛ばされる。

 

「がはっ……ぐ……鋼貴……鋼貴!?」

 

遊伸は鋼貴を庇うように背中から地面に叩きつけられるが、自分の事よりも鋼貴の無事を確かめる。

あの攻撃をまともに受けた鋼貴は気を失ってしまっていた。

 

「鋼貴! 鋼貴! しっかりしてくれ!」

 

遊伸が必死に呼びかけるも、鋼貴は目を覚まさない。

 

「ハッハッハッハ! 見事な力だ! 俺の僕に相応しい力だ!」

 

テオドールが銀河眼の時空竜の力に歓喜していると、遊伸が鋼貴をその場に横たわらせ、鋼貴に変わって前へ出る。

 

「ほう? まだ続けるつもりか? そこの小僧はデュエル続行不可能だ、この俺と一人で挑むつもりか?」

 

「言ったはずだ! お前を絶対に許さないと! 僕は諦めない! デュエルを続けろ!」

 

「ふっ……なら好きなだけ足掻くがいい、バトルフェイズ終了時、銀河眼の時空竜の攻撃力は元に戻る……ターンエンド」

 

ATK:6000→3000

 

LP:8000

手札:2

モンスター

・No.107 銀河眼の時空竜

(オーバーレイ・ユニット:パーフェクト機械王)

魔法・罠

・無し

 

「僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:0+1

 

「僕は魔法カード《貪欲な壺》を発動! 墓地からモンスターを5体デッキに戻しシャッフル、そして2枚ドローする!」

 

デッキに戻したカード

XX-セイバー フォルトロール

XX-セイバー ボガーナイト

XX-セイバー フラムナイト

ブライ・シンクロン

チューニング・サポーター

 

遊伸 手札:0+2

 

「…行くぞ! このカードは相手の場にモンスターが存在し、自分の場に存在しない時、手札からレベル4として特殊召喚出来る! 《レベル・ウォリアー》を特殊召喚!」

 

遊伸の場にレベル・ウォリアーが頭部と胸部の星を光らせ現れる。

 

ATK:300

 

「そして鋼貴のチューナーモンスター《ブライ・シンクロン》を召喚!」

 

続けて場にブライ・シンクロンが現れる。

 

ATK:1500

 

「レベル4《レベル・ウォリアー》に、レベル4《ブライ・シンクロン》をチューニング!」

 

ブライ・シンクロンが自身を4つの光輪に変えると、レベル・ウォリアー を囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。

 

「集いし願いが、新たに輝く星となる……光さす道となれ! シンクロ召喚! 飛翔せよ! 《スターダスト・ドラゴン》!!」

 

光の柱からスターダスト・ドラゴンが現れ、舞い上がる。

 

ATK:2500

 

「ほう……見事なドラゴンだ、あの状況からここまで持ってくるとはな」

 

「ブライ・シンクロンの効果発動! シンクロ素材として墓地へ送られた場合、エンドフェイズ時までこのカードをシンクロ素材としたシンクロモンスターの効果を無効化する代わりに攻撃力は600ポイントアップする!」

 

ATK:2500→3100

 

「バトル!  スターダスト・ドラゴンで銀河眼の時空竜を攻撃! 《シューティング・ソニック》!!」

 

スターダスト・ドラゴンが口から衝撃波を放つと、銀河眼の時空竜を吹き飛ばし、破壊する。

 

「ここに来て俺に傷をつけたか、褒めてやろう」

 

テオドール LP:8000→7900

 

「僕はこれでターンエンド!」

 

ATK:3100→2500

 

LP:1000

手札:0

モンスター

・スターダスト・ドラゴン

魔法・罠

・無し

 

「(よし! LPに差はあるけど形勢を逆転したぞ! このまま一気に!)」

 

「俺のターン、ドロー」

 

テオドール 手札:2+1

 

「小僧、お前の土壇場での引きには驚かされたぞ……だが覚えておけ、お前がどの様な奇跡を起こそうとも、結局はこの”王”の掌で踊っているに過ぎぬという事を!  魔法カード《死者蘇生》を発動! 蘇れ! 《レッド・デーモンズ・ドラゴン》!」

 

テオドールの場に地獄の底から轟く様な咆哮を上げ、再びレッド・デーモンズ・ドラゴンが姿を現す。

 

ATK:3000

 

「そ、そんな!?」

 

「バトル! レッド・デーモンズ・ドラゴンでスターダスト・ドラゴンを攻撃! 《灼熱のクリムゾン・ヘルフレア》!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴンが火炎を吐き出すと、スターダスト・ドラゴンは遊伸と共に炎に包まれ、焼失する。

 

「うわぁぁぁ!!!」

 

遊伸 LP:1000→500

 

「カードを伏せ、ターンエンド……どうだ小僧、まだやるつもりか?」

 

LP:7900

手札:1

モンスター

・レッド・デーモンズ・ドラゴン

魔法・罠

・セット

 

「ぼ……僕は諦めないぞ……絶対に……お前を倒すんだ!!! ドロー!!!」

 

遊伸 手札:0+1

 

「魔法カード《死者蘇生》を発動! お前の墓地から《No.107 銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン)》を僕の場に特殊召喚!」

 

何と遊伸の場に銀河眼の時空竜が現れる。

レッド・デーモンズ・ドラゴンと対峙すると、お互いに咆哮を上げる。

 

ATK:3000

 

「…ハッーハッハッハッハッハ! 俺の僕を奪ってまでこの俺に喰らいつくか! 面白い! 面白いぞ小僧!」

 

テオドールは愉快そうに笑う。

 

「行けぇ!!! バトル!!! 銀河眼の時空竜でレッド・デーモンズ・ドラゴンを攻撃!」

 

銀河眼の時空竜が光線をレッド・デーモンズ・ドラゴンに放つ。

 

「罠発動! 《スキル・サクセサー》! レッド・デーモンズ・ドラゴンの攻撃力を400ポイント上げる! 捻り潰せ! 《アブソリュート・パワーフォース》!」

 

ATK:3000→3400

 

レッド・デーモンズ・ドラゴンが右腕に炎を纏い、その右腕で銀河眼の時空竜の光線を掻き消しながら突っ込んでくる。

レッド・デーモンズ・ドラゴンはそのまま銀河眼の時空竜の頭部を潰し、破壊する。

 

「うわぁ!!! …ぐあ……」

 

遊伸 LP:500→100

 

遊伸はここまでのダメージにより膝をつく。

 

「何という事だ……遊伸がここまで圧倒的に……」

 

高尾は驚愕する。

遊伸の驚くべき引きの強さ、これを持ってしてもテオドールを破ることが出来ない。

遊伸の手札、場にカードは無い、そしてテオドールの場にはレッド・デーモンズ・ドラゴン。

今、勝負が決した。

 

「…ここまでだ」

 

テオドールがそう言うと、突然ソリッドビジョンが消える。

テオドールのサイコ・パワーにより、強制終了させたのだ。

 

「な……何を……」

 

遊伸は近づいて来るテオドールを見上げる。

 

「小僧、これは俺からの慈悲だ……解ったな? これがただの”小僧”であるお前と、”王”である俺との差だ」

 

テオドールは遊伸を見下ろし、指をつき付ける。

遊伸は歯を食いしばり、テオドールを見上げ睨み付ける。

 

「まだ俺に対して楯突こうという気があるのか? 先程といい、今といい……気に入ったぞ、その闘争心! …お前にチャンスをやろう」

 

「チャンス……だって…?」

 

「そうだ……もう一度俺と戦うチャンスをやろう、だが今もう一度戦ったところで結果は見えている。 そこでだ……お前にこの俺から”3つの試練”を与えよう」

 

そう言うとテオドールはファントム・オブ・カオスの入った黒いガラスを取り出し、倒れている獏葉に目をやる。

 

「明日、このアカデミアにあの男と同じ様に、ファントム・オブ・カオスを取り憑かせた人間を放つ。 お前はそれを倒して見せろ、これが”第1の試練”だ」

 

「な!?」

 

「俺と再び戦いたければ精々奮闘する事だな」

 

テオドールはそう言うと遊伸に背を向け歩き出す。

 

「ま、待て……」

 

「さらばだ」

 

テオドールの言葉と同時に夜霧が遊伸達に向かって何かを投げつける。

それが地面にぶつかると大量の煙が噴出す。

暫くして煙が晴れると、既にテオドール達3人の姿は無かった。

遊伸は膝を付いたままテオドールがいた場所を見詰めていた。

 

「遊伸…」

 

高尾が遊伸の側に近づく。

 

「遊伸……一体何なんだ? 今の男達といい……」

 

高尾は辺りを見渡す。

見渡す視線の先には気を失って倒れている空と鋼貴と獏葉、視線が辺りを一周して戻った場所にはダメージでボロボロな遊伸。

 

「お前達のこの様子といい、俺には解らない事だらけだ……遊伸?」

 

遊伸は俯き、小刻みに震えている。

そして顔を上げ―――――――-

 

 

 

……クッソォォォォォーーー!!!

 

 

 

デュエル・アカデミアの一角で、近衛 遊伸は咆哮を上げた。

 




気付けば30話、読んでくださる皆さんのおかげでここまでやって来れました。
本当にありがとうございます。
これからも頑張って更新していきます。
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