遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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*20話で今回に関する設定の重大なミスを見つけましたOTL なので勝手ながら20話を修正させて頂きました。 詳しくは後書きに。

*闇のデュエルの描写忘れてたので修正しました。


第34話 グレイグVS ~進撃の帝王~

前回から6日後  シティ内陸部  治安維持局前

 

「…それでは気をつけてな」

 

藤堂長官が遊伸達に見送りの言葉を言う。

遊伸達は”第2の試練”に挑む為、サテライト未開発地区、”B.A.D地区”へと向かうところであった。

 

「それでは行って参ります、長官」

 

鋼牙が藤堂長官に敬礼をする。

 

「ああ、吉報を待っているぞ……気をつけてな」

 

「ああ、必ず全員で帰ってくる、待っててくれ親父」

 

最後に親子へと戻り、笑い合う。

そこへ駆けて来る人影が見えた。

 

「おお! よかった! 間に合った!」

 

「遊伸君!」

 

「マイルさん! 友河さん! どうしてここに?」

 

やって来たのはマイルと友河、マイルは何かのファイルを持っている。

 

「いやね、私は6日前、役に立たなかっただろ? だからせめて、って事で……友河君!」

 

マイルに呼ばれた友河は遊伸の前に出る。

 

「やあ遊伸君、はい、これは君の為に作ったカードだよ」

 

友河は遊伸に数十枚のカードの束を渡す。

 

「え? 僕の為って…?」

 

遊伸の問いにマイルが答える。

 

「実は私達は遊伸君の為にカードを作って来たんだ! マーシャル・レッドの諸君……特に遊伸君には本当に世話になった、だから私達は戦いに赴く君にと思って、この6日で作って来たんだ! 遠慮なく受け取ってくれ!」

 

「ええ~!?」

 

「おう、よかったな遊伸」

 

「見せて見せて!」

 

驚いている遊伸をよそに鋼貴や空達がカードを見に遊伸に群がる。

 

「お! これあのドラゴンじゃないか!」

 

鋼貴が見たのは友河が持っていたデザインのドラゴン。

それについてマイルが答える。

 

「ああ、それはもっと早く出来ていたんだけど、渡すタイミングを逃しちゃってて、今一緒に渡すことにしたんだよ」

 

「すごーい! あ、これX-セイバー? でも何だろう? …M.X(ミッシングエックス)-セイバー?」

 

空が見つけたのは、本来はもう無いはずのX-セイバー、しかもフレームが黒い、モンスターエクシーズである。

 

「本当だ……これ、友河さんが?」

 

「いや、これは所長がデザインしたんだよ、所長は所長でありながら戦士族を専門にするデザイナーでもあるからね」

 

「いやぁ、所長としての仕事が忙しいから殆どデザインの仕事は出来てないけどね! 因みにホープは私がデザインしたんだよ!」

 

「ねぇマイルさん、”M.X(ミッシングエックス)-セイバー”ってどういう意味なの?」

 

空がマイルに尋ねる。

遊伸も知りたかったところだったので、マイルに顔を向けて頷く。

 

「いい質問だね、”Missing”とは失われた、行方不明という意味なんだ、そこから転じて”もういないはず”のX-セイバー、という訳さ! バックストーリーをつけるなら、いなくなったはずの昔のメンバー、ってところかな、それならX-セイバー達の設定と矛盾しないだろ!」

 

「成る程……」

 

遊伸は納得した様な顔でそのカードを見る。

 

「他にも沢山あるね! スターダスト・ドラゴンが描いてあるカードとか、あ! これ…」

 

見た事の無いカードに空ははしゃいでいる。

 

「とても嬉しいですけど、でも本当に貰っていいんですか?」

 

遊伸がマイルと友河に聞くと、友河が答える。

 

「貰ってもらわなきゃ困るね、私達はそのカードを今日までに仕上げる為、他の仕事をキャンセルしたんだから、使ってくれなきゃ呪うよ」

 

「え、ええ~!!? ぜ、ぜ、是非使わせていただきます!」

 

遊伸が必死に頭を下げてそう言うと、友河は笑う。

 

「いや、ごめんごめん! 呪うなんて事はしないよ! でも、私達はそれ位君には感謝しているんだ、遠慮なく使ってくれると嬉しいよ」

 

「友河さん……はい! ありがとうございます!」

 

遊伸は友河とマイルに再び頭を下げる、先程の様に必死にではなく、丁寧なお辞儀である。

 

「いいな~遊伸、カード貰えて……」

 

燃次がそう零すと、マイルが笑いながら持ってきていたファイルを手に持ち、燃次の前に出る。

 

「ハッハッハ! 大丈夫! 流石に遊伸君だけにカードをあげるのは不公平だからね! 残りの皆には好きなナンバーズを一枚ずつ進呈しよう!」

 

「マジかよ!」

 

「す、好きなのでいいんですか?」

 

燃次と冷次が早速食いつく。

 

「ああ! その代わり、絶対無事に帰ってきて報告書書いてくれよ! はいどうぞ!」

 

マイルはファイルを開けると、今現在残っているナンバーズが収められていた。

 

「おお! スゲー! どれにしようかな?」

 

燃次は食い入るようにファイルを見ているが、中々決められない。

 

「うーん、やっぱりアカデミアで展示会見ておきたかったな~、そうすればいい物に目星を―――」

 

「マイルさん、これをお願いします」

 

燃次が迷っている間に冷次が決める。

 

「お! お目が高い! それはいいカードだよ!」

 

「ええ~! お前もう決まったのかよ! …う~ん」

 

燃次がページを捲っていくと、とうとう最終ページに辿り着く。

 

「…あ! これ! これにする! やっと見つけたぜ炎属性!」

 

「んん!?」

 

マイルが燃次の選んだナンバーズを見ると、番号が3桁、”オーバーハンドレッドナンバーズ”である。

 

「(しまった……同じファイルに入れっぱなしだった……オーバーハンドレッドナンバーズはナンバーズのテストが終わってからの予定だったけど……まあいいか) 一応聞いておくけど、これはカテゴリシリーズの1枚だよ? 単体じゃ少し使いづらいかもしれないけど?」

 

「いいって! 使えない事はないんだろ? 他に炎属性無かったし、これにする!」

 

「解った、オーケー、持って行っていいよ!」

 

マイルは二人からファイルを受け取ると、次は鋼貴と空の前に行く。

 

「さあ、二人もどうぞ!」

 

「わぁ~! どれにしようかな?」

 

「よ~く見極めねぇとな……外れは引きたくないぜ……」

 

二人はファイルを捲っていく。

 

「あれ~? マイルさん、風属性ってもうないの?」

 

「う~ん……売り切れだね」

 

「う~ん……あ、そうだ! あれにしよう! 展示会の時いいな、って思ってたの!」

 

空はページを捲り、目的のナンバーズを取り出すと、マイルに見せる。

 

「お、いいね! 流石優秀な決闘者は目の付け所がいい!」

 

「空はもう決めたか、俺は……ちょいと出すのは難儀だが、これにしよう」

 

鋼貴も1枚取り出すとマイルに見せる。

 

「解った! 一応それもカテゴリシリーズだけど、単体でも十分使えるよ!」

 

鋼貴と空からファイルを受け取ると、今度は高尾の前へ行く。

 

「それじゃあ次は君だ、どうぞ!」

 

「…ありがたい話ですが、俺は辞退します。 俺には俺の譲れない戦術がありますから、貰っても活かす事は出来ないと思います……そうだ! 俺が貰った物を他の誰かに譲渡してもいいですか? きっとその方が戦力の向上になると思います」

 

「ふむ、成る程! それじゃあ誰に君の分のナンバーズを譲渡するんだい?」

 

「まあそれは後に、まだ全員貰ってませんから」

 

「おっと、そうだったね!」

 

マイルはファイルを鋼牙に渡す。

 

「藤堂隊長、どうぞ! …そういえば藤堂隊長は前にテストを頼んだ時は辞退してましたな?」

 

「ええ、あの時はランディを追うので忙しかったので、今はありがたく頂きます……これを」

 

鋼牙は選んだナンバーズを取り出し、マイルに見せる。

 

「はい! 了解しました! …最後にグレイグさんどうぞ!」

 

マイルはグレイグにファイルを渡そうとするが、グレイグは受け取らなかった。

 

「悪いな、俺はどうも古い決闘者でな、モンスター・エクシーズっていうのも解らんし、使おうとも思えんのよ、ま、高尾の理由と近いもんだ、俺の分も他の奴に譲渡してくれ」

 

「うーん……そうですか、それじゃあ二人分ナンバーズが余ってるけど……誰か欲しい人いるかい?」

 

「言って置くが、本当に自分に必要かどうか考えてから立候補しろ! 貴重な戦力なんだからな! さあ欲しい奴手を挙げろ!」

 

グレイグがそう言うと一人だけ、恐る恐る手を挙げた。

 

「おう、冷次か……本当に必要なんだな?」

 

「はい、それ用のコンボも思いつきました、無駄にはしません」

 

「よし、それじゃあマイルさん」

 

マイルが冷次にファイルを渡す。

 

「これを」

 

冷次は早々とカードを見つけ、マイルに見せる。

 

「ほう、これか! さっきのとで悩んだろうね! いいよ!」

 

「他に欲しい奴は?」

 

グレイグが声を掛けるが、誰も手を挙げない。

 

「何だお前等、意外と欲がないんだな……どうするか」

 

するとまた恐る恐る手が挙がる―――冷次だ。

 

「おいこら冷次! 欲張りすぎだろ!」

 

燃次が冷次に突っかかり、胸倉を掴む。

 

「だ、誰も手を挙げないからいいと思って……それに何故かナンバーズは強い水属性が多いんだ……使いこなす自信はある……勿論欲張ってる自覚はあるから、皆の許可を得たい……そろそろ離せ……」

 

燃次は手を離し、皆を見渡す。

 

「まあ、俺はこれ以上持ってても仕方無いって感じだしな、使える自信のある奴がもってた方がいいぜ」

 

鋼貴がそう言うと、他の者も頷く。

 

「……まあお前が強化されれば俺も強化されるのと同じだしな、いいぜ、冷次」

 

「恩に着る…」

 

「それじゃ冷次君、どうぞ」

 

冷次はまた素早く目的のナンバーズを見つけ、マイルに見せる。

 

「はい、了解! いやぁ、ナンバーズを3枚も所有したのは君が初めてだよ! 報告書、頑張ってね!」

 

「あ…」

 

「ちゃんと書けよ!」

 

忘れていた、そんな顔をする冷次に燃次が笑いながら背を叩く。

 

「じゃあ確かにカードは渡したよ! それじゃあ健闘を祈るよ!」

 

「気をつけて!」

 

藤堂長官に続いて、マイルと友河からの見送りを受けた一行はサテライトへと向かった。

 

 

* * *

 

 

サテライト  湾岸  ダイダロス・ブリッジ前バス停

 

「やっとついたな!」

 

鋼貴が背筋を伸ばす。

 

「へぇー! ここがサテライト、遊伸の故郷ね! 思ったより綺麗だね!」

 

「いや、綺麗なのはシティ寄りの場所だけなんだよ、奥はまだまだボロボロなんだ」

 

遊伸がサテライトの奥を指差しながら空に言う。

遊伸達はバスを貸切り、中で貰ったカードの為にデッキを調整しながら、ここへと辿り着いた。

ここからは地図を頼りに歩いて行く。

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

サテライト   B.A.D地区境界

 

「ここだ……」

 

遊伸達はB.A.D地区に辿り着く。

アルカディア・ムーブメントが会社として消滅した為、誰も見張っていない関所を通ると、そこには辺り一帯、完全に瓦礫だらけ、一部整備されて道はアルカディア・ムーブメントが作ったのだろうか。

 

「お待ちしておりました」

 

突然の声に遊伸達が振り向くと、そこには男が立っていた。

白衣を羽織り、顔には笑みを浮かべている。

 

「私はアルカディア・ムーブメントの開発責任者兼、セブンスターズの一人、安藤 創介(あんどう そうすけ)と申します。 開発と言ってもサテライトではありません、貴方達も御覧になられたと思いますが、”闇のカード”、あれの開発を担当させて頂きました」

 

「!? 闇のカードはテメェが作ったのか!」

 

鋼貴が安藤を指差して叫ぶ。

 

「今そう言ったではありませんか、まあ今は関係ありませんね、私はテオドールさんから第2の試練の案内役を任されています。 案内しますのでこちらへ……後、道中での質問は受けませんので」

 

そう言って歩き始めた安藤に遊伸達は付いて行く。

整備された道を暫く歩くと、地下へ続くトンネルの様な物が見えてくる。

 

「こちらです……そういえば、全部で”8人”いますね、こちらでの指定は”7人”のはずでしたが?」

 

「(やっぱり言われたよ……)」

 

鋼貴がそう思っていると、グレイグが答える。

 

「こっちの二人はタッグ専門、二人で一人だ、計7人、別にいいだろ?」

 

グレイグが燃次と冷次を指差して言う。

 

「ええ、いいですよ」

 

「ちょ、ちょっと待て!? いいのかよ! 俺が言うのも何だがよ!」

 

笑顔で即答した安藤に鋼貴が突っ込む。

 

「ええ、問題はありません、何せ私達セブンスターズも実は”8人”なんですよ」

 

「はぁ!?」

 

思わぬ返答に鋼貴は大口を開ける。

 

「同じ様に二人で一人のメンバーがいるんですよ、貴方達と会ったことがありますから、見当は付きそうですが」

 

「(多分、光円寺姉妹のことだろうな…)」

 

遊伸はそう予想する。

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

「まだ着かないのかよ~!」

 

燃次が安藤に文句を言う。

地下トンネルに入って大分経つが、まだ目的地に辿り着かない。

 

「質問は受け付けないと言ったはずですが……見えてきましたよ」

 

ようやく見えてきた出口、トンネルを抜けると、そこには広い空間があった。

床には決闘場、そして遊伸達と決闘場を挟んだ向かい側に黒いフードを被った七人が椅子に座っている。

 

「な、何だここ!?」

 

「試練場……と言ったとこか」

 

燃次と冷次は辺りを見渡している。

 

「ならあそこの七人がその相手か」

 

高尾が黒いフードの集団を見る。

 

「その通りです、それでは説明しましょう。 この第2の試練では、あそこにいる七人とそれぞれ一対一でデュエルをし、全員倒していただきましょう。 全員倒せば第2の試練は合格です」

 

「全員……一人でも負けた場合はどうなるんです?」

 

遊伸が安藤に尋ねる。

 

「一人負けた場合、そうですね、例えば貴方達の内、四人勝って、三人負けたとしましょう、その場合、勝った四人の内から三人選び、こちらの勝ったメンバーと再戦する……ですからそちらの大半が敗れても、最終的にこちらを全て倒せば試練は合格となります」

 

「逆に俺達が全員やられた時が俺達の負け、って事だな?」

 

「その通りです」

 

グレイグの確認に安藤は頷く。

 

「それと、貴方達の対戦相手ですが、全員”ファントム・オブ・カオス”を憑依させていますので、負けると死にますよ、気をつけてください」

 

「な、何だとぉ!? くそっ! 結局一度でも負けたら終わりかよ!」

 

「(? その割には大人しくないか……)」

 

驚きの声を上げる鋼貴に対して、遊伸は対戦相手に違和感を覚える。

 

「それでは始めましょう、最初にやる方、出て来てください」

 

「おし、俺がいってくる!」

 

グレイグが決闘場へと出る。

 

「…まあグレイグが強いのは分かったけどよ、やっぱり直接見てねぇから心配になるぜ……」

 

「鋼貴、グレイグさんがどうして親父と親しいか知っているか?」

 

心配している鋼貴に鋼牙が声を掛ける。

 

「え? 何を突然……」

 

「まだ親父が長官になる前、セキュリティ機動部隊の隊長だった頃にな、グレイグさんはその部下だったんだ」

 

「はぁ!? グレイグが!? セキュリティ!? 馬鹿言うなよ! グレイグはデュエルギャングでその後デュエルチームだろうが!」

 

「その間はセキュリティだったんだ、デュエルギャングが廃れて、やる事を無くしたグレイグを当時争っていたセキュリティ隊長の親父がスカウトしたんだ。 …だがすぐに合わないと言って辞めてったらしいがな。 親父は今でも惜しいと言っていたぞ」

 

「マジかよ……」

 

鋼貴は信じられないといった顔でグレイグを見る。

 

「さあ始めようぜ、出て来いよ!」

 

グレイグが声を掛けると、一番左端に座っていた者が立ち上がり、フードを取る。

その姿は大柄の男、グレイグと同じ位であろうか。

だが様子がおかしい、目が虚ろなのである。

確実にその目は目の前のグレイグを見ていない。

 

「おい、どうした……様子がおかしいぞ」

 

「話しかけても無駄ですよ、今彼の”感情”は眠らせてあるのです」

 

「眠らせる…?」

 

グレイグが訝しげに安藤を睨む。

 

「ええ、ファントム・オブ・カオスを憑依させる、それ自体問題はないんですが、言う事を聞かないんですよ、煩いですしね。 ですから言う事を聞く様に、色々試しましたところ、”感情”を眠らせれば、ファントム・オブ・カオスの強さをそのままに操る事が出来る事が分かったんです。 …最初は”感情”を消していたんですがね、それだとファントム・オブ・カオスが憑依を解いてしまうんですよ、ですから眠らせる事にしたんです、この事の理由はまだ―――」

 

「喧しい!!! テメェが糞野郎だってのは解った! とっととその口を閉じろ!!!」

 

グレイグが顔を怒らせて怒鳴る。

 

「おお、失礼しました、研究の事になるとつい……それじゃあ始めましょうか」

 

安藤が手招きすると、男はフラフラと決闘場へと歩き出す。

 

「こ、こんな事……人を何だと思っているんだ……!」

 

遊伸も流石に怒りを隠しきれない。

 

「思い出した! あの人はプロ決闘者のアドガンだ!」

 

高尾が突然声を上げる。

 

「知ってるんすか? 高尾さん」

 

燃次が聞くと、高尾はアドガンについて話始める。

アドガン・ダイメル、嘗てはプロ決闘者として上位ランクに入る実力者であったが、数年前、突然プロの世界から姿を消し、消息不明となっていた。

 

「何故彼がこんな所に……!」

 

高尾はそう言って安藤を睨む。

 

「さあ、私も知りませんねぇ、他のセブンスターズの方が連れてきたんで、その方にあったら聞いてください……あ、後伝えておく事が1つ、この七人の中には私の作った”闇のカード”を持たせている者もいますから……それでは始めてください」

 

 

「デュエル!!!」

「…デュエル」

 

 

この瞬間、黒い炎が決闘場を囲む。

 

先攻 グレイグ

 

「俺のターン! ドローだ!」

 

グレイグ 手札:5+1

 

「…あんたとは魂ぶつけ合ってデュエルしてみたかったが、待ってろ! 俺が目を覚まさしてやる! 行くぞ! フィールド魔法《万魔殿(パンディモニウム)-悪魔の巣窟-》を発動!」

 

グレイグがフィールド魔法を発動すると、辺りが一変する。

それはある建造物の屋上、何かの儀式を行う場所にも見える。

グレイグやアドガンはその上にいた。

 

「おお~! いい決闘場じゃねぇか、こんなにリアルに、そして広範囲にフィールドのソリッドビジョンが出来るとは」

 

グレイグは自分の出したフィールド魔法を見て感心した声を出す。

 

「な、何だここ!? 気味悪ぃ……」

 

鋼貴は驚きながら回りを見渡す。

 

「ここは地獄の一丁目……そして俺の縄張りよ! 俺は《ジェネラルデーモン》を召喚!」

 

グレイグの場に現れたのは剣を持った悪魔。

その堂々とした態度、風格はまさに”将軍”と呼ぶに相応しい。

 

ATK:2100

 

「カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

 

LP:8000

手札:2

モンスター

・ジェネラルデーモン

魔法・罠

・セット

・セット

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「俺のターン……」

 

アドガン 手札:5+1

 

「俺は魔法カード《デビルズ・サンクチュアリ》を発動……《メタルデビル・トークン》を特殊召喚」

 

アドガンの場に奇妙な悪魔のトークンが現れる。

 

ATK:0

 

「メタルデビル・トークンをリリース……《雷帝ザボルグ》をアドバンス召喚……」

 

メタルデビル・トークンが消え、その場から現れたのは鎧を纏った巨人。

そしてその姿は―――

 

「遊伸見て! 雷様!」

 

「ほ、本当だ……何かの本で見た事あるよ……雷様だ」

 

空は指差して笑い、遊伸はその見た目に少し困惑している。

鋼貴に至っては後ろで声を殺しながら笑っている。

 

「た、確かに愉快な姿をしているが、あれはアドガンが使う《帝》の内の1体なんだぞ! そしてアドバンス召喚時に強力な効果を持っているんだぞ!」

 

高尾は真剣な表情でザボルグを見る。

 

ATK:2400

 

「ザボルグの効果発動……アドバンス召喚に成功した時、場のモンスターを1体破壊する……《ジェネラルデーモン》を破壊……《デス・サンダー》……」

 

ザボルグが腕から雷撃を放つと、 ジェネラルデーモンに直撃し、破壊する。

 

「何!? だがタダではやられねぇ! 万魔殿の効果発動! 戦闘以外で《デーモン》という名のついたモンスターが破壊され、墓地へ送られた時、そのモンスターのレベル未満の《デーモン》という名のついたモンスターをデッキから1枚選択して手札に加える事が出来る! 俺はレベル4のジェネラルデーモン未満のレベル3《デスルークデーモン》を手札に!」

 

グレイグ 手札:2+1

 

「グレイグのモンスターを破壊しちゃった!?」

 

「見た目の割にはやるぞこいつ!」

 

空も鋼貴も笑うのを止めて驚く。

 

「解ったか? あれが《帝》……アドガンが持つ7体の上級モンスターだ! それぞれが今の様な強力な効果を持っている! 次は攻撃、グレイグさんは大丈夫か?」

 

高尾は心配してグレイグを見る。

 

「バトル……ザボルグで直接攻撃……《ローリング・サンダー》……」

 

ザボルグが背中の輪から電撃を放つと、グレイグに直撃する。

 

「ぐおぉ……」

 

グレイグ LP:8000→5600

 

「グレイグさん!」

 

遊伸が心配して叫ぶ。

 

「(これが100%の”闇のデュエル”か……効くじゃねぇか……) 罠カード《フリッグのリンゴ》を発動! 自分の場にモンスターが存在せず、自分が戦闘ダメージを受けた時、自分が受けた戦闘ダメージの数値分だけ自分のライフポイントを回復し、自分の場に《邪精トークン》1体を特殊召喚する! このトークンの攻守はこの効果で自分が回復した数値と同じになる!」

 

グレイグ LP:5600→8000

 

グレイグの場にも、これまた奇妙な悪魔のトークンが現れる。

 

ATK:2400

 

「……カードを伏せてターンエンド」

 

LP:8000

手札:3

モンスター

・雷帝ザボルグ

魔法・罠

・セット

 

「凄い! ダメージを帳消しにしただけじゃなくて、攻撃力の高いモンスターまで!」

 

「本当に強かったんだな……」

 

遊伸と鋼貴がグレイグの戦術に驚く。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:3+1

 

「行くぞ! 《邪精トークン》をリリース! 《迅雷の魔王-スカル・デーモン》をアドバンス召喚!」

 

邪精トークンが消えると、その場に強大な力を感じさせる上級悪魔が現れる。

その骨鎧で覆われた体から電気を発し、凄まじい咆哮を上げる。

 

ATK:2500

 

「バトルだ!  スカル・デーモンでザボルグを攻撃! 《怒髪天昇撃》!!!」

 

スカル・デーモンが先程の様に凄まじい咆哮を上げると同時に体から大量の電撃を放ち、ザボルグを消し炭へと変える。

 

アドガン LP:8000→7900

 

「フン! ”帝”とやらの電撃も大したもんだったが、”魔王”の電撃と張り合うにはちょいとパワーがたりなかったな!」

 

「……罠発動……《道連れ》……自分のモンスターが墓地に送られた時……場のモンスターを破壊する……」

 

突然スカル・デーモンの側に大きな穴が現れると、穴の中からザボルグが飛び出し、スカル・デーモンを引きずり込もうとする。

 

「往生際が悪いぞ! スカル・デーモンの効果発動!」

 

グレイグが宣言すると、スカル・デーモンの頭上に火の玉のルーレットが現れる。

 

「こいつが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、 その処理を行う時にこのルーレットを回す! そして1・3・6が出た場合、その効果を無効にし破壊する! 地獄に行くのは俺とか! お前だけか! 勝負!」

 

ルーレットが回り、そして止まる、結果は―――

 

「……3だ! 道連れの効果は無効! よって地獄に落ちるのはテメェだけだ! 落ちろ!」

 

スカル・デーモンが自身を掴んで離さないザボルグに拳を叩き込むと、ザボルグはそのまま穴に落下して行く。

 

「俺はこれでターンエンドだ!」

 

LP:8000

手札:2

モンスター

・迅雷の魔王-スカル・デーモン

魔法・罠

・セット

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「すげぇ! 何すかそのモンスター!」

 

燃次が興奮した様子でグレイグに尋ねる。

 

「俺の長年の相棒だ、勿論《帝》の効果だって防げる! さあどうするよ!」

 

「……俺のターン……ドロー」

 

アドガン 手札:3+1

 

「魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動……手札のモンスターを墓地へ……そしてデッキから《黄泉ガエル》を特殊召喚……」

 

墓地に送ったカード

ネクロ・ガードナー

 

アドガンの場に天使の様な羽と輪を持ったカエルが現れる。

 

ATK:100

 

「黄泉ガエルをリリース……《光帝クライス》をアドバンス召喚……」

 

黄泉ガエルが消えると、その場に黄金に輝く鎧とマントを纏った巨人が現れる。

2体目、光の帝、光帝クライスである。

 

ATK:2400

 

「光帝クライスの効果発動……召喚、特殊召喚に成功した時……場に存在するカードを2枚まで破壊する事が出来る……《迅雷の魔王-スカル・デーモン》と《万魔殿-悪魔の巣窟-》を破壊……《破壊の宝札》……」

 

「させん! スカル・デーモンの効果発動!」

 

再びスカル・デーモンの頭上のルーレットが回り始める。

止まった数字は6.

 

「よし、無効だ! 消し飛ばせ! スカル・デーモン!」

 

スカル・デーモンが電撃を放つと、クライスを破壊する。

 

「よっしゃー! ついてるぜ!」

 

「流れはグレイグさんにあるぞ!」

 

鋼貴がガッツポーズをし、高尾はグレイグの勝利を近く感じた。

 

「……ターンエンド」

 

LP:7900

手札:1

モンスター

・無し

魔法・罠

・無し

 

「さあこのまま行くぞ! 俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:2+1

 

「スタンバイフェイズ……俺の一部のデーモンは大食らいでな、このスカル・デーモンは維持コストとして俺のスタンバイフェイズ毎に500LPを払わねばならん、だがフィールド魔法《万魔殿-悪魔の巣窟-》がある限り、俺はこのコストを払わずにすむ!」

 

スカルデーモンは万魔殿からエネルギーを吸収する。

 

「俺は《マッド・デーモン》を召喚!」

 

グレイグの場に恐ろしげな悪魔が現れる。

腹部は大きな顎となっており、中には人間の頭蓋骨が見える。

 

ATK:1800

 

「バトル! マッド・デーモンで直接攻撃! 《ボーン・スプラッシュ》!」

 

マッド・デーモンが腹部の顎で中の頭蓋骨を噛み砕くと、破片をアドガンへ吐き出す。

 

「…」

 

アドガン LP:7900→6100

 

「続けてスカル・デーモン! 《怒髪天昇撃》!!!」

 

「…この時、墓地の《ネクロ・ガードナー》を除外して効果発動……相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする……」

 

スカル・デーモンが電撃を溜めているところに、ネクロ・ガードナーの効果が発動されると、スカルデーモンは電撃を溜めるのを止め、急に大人しくなる。

 

「通らんか……俺はカードを伏せターンエンド!」

 

LP:8000

手札:1

モンスター

・迅雷の魔王-スカル・デーモン

・マッド・デーモン

魔法・罠

・セット

・セット

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「俺のターン……ドロー」

 

アドガン 手札:1+1

 

「スタンバイフェイズ……俺の魔法・罠ゾーンにカードが無い時……墓地から《黄泉ガエル》を特殊召喚……」

 

アドガンの場に先程クライスのリリース素材となったカエルが現れる。

 

ATK:100

 

「何!? ならこいつは毎回帝を出すのに困らないじゃねぇか! 何てカード使いやがる!」

 

「《黄泉ガエル》をリリース……《風帝ライザー》をアドバンス召喚……」

 

黄泉ガエルが消えると、その場に緑の鎧とマントを纏った巨人が風を巻き起こし、現れる。

3体目の帝、風の帝、風帝ライザーである。

 

ATK:2400

 

「あ! 何かダイガスタ・エメラルみたい! カッコイイ!」

 

「空! そんな暢気な事言っている場合じゃないぞ! あれが一番厄介だ!」

 

ライザーの登場に高尾が慌てる。

 

「ライザーの効果発動……アドバンス召喚に成功した時、場のカードを1枚持ち主のデッキトップに戻す……《迅雷の魔王-スカル・デーモン》をデッキトップへ……《トルネード・バック》」

 

「スカルデーモン! 効果発動!」

 

ルーレットが回りだし、止まる、結果は―――

 

「…2!? くそ! 流れが変わっちまった!」

 

スカルデーモンはライザーが発生させた竜巻に巻き込まれ、姿を消す。

 

「バトル……ライザーでマッド・デーモンを攻撃……《トルネード・ブロウ》……」

 

「マッド・デーモンの効果発動! 攻撃表示のこいつが攻撃対象に選択された時、守備表示に変更する!」

 

ライザーが迫ると、マッド・デーモンは勝手に防御体勢を取る。

 

DEF:0

 

ライザーの風を纏った拳を受け、マッド・デーモンは破壊される。

 

「……ターンエンド」

 

LP:6100

手札:1

モンスター

・風帝ライザー

魔法・罠

・無し

 

「俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:1+1

 

「また逢ったな、相棒…」

 

グレイグは引いたスカル・デーモンを見てそう言う。

 

「俺はモンスターをセットしてターンエンドだ!」

 

LP:8000

手札:1

モンスター

・セット

魔法・罠

・セット

・セット

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「俺のターン……ドロー……」

 

アドガン 手札:1+1

 

「スタンバイ……《黄泉ガエル》を墓地から特殊召喚……」

 

再び黄泉ガエルが場に現れる。

 

ATK:100

 

「《黄泉ガエル》をリリース……《地帝グランマーグ》をアドバンス召喚……」

 

黄泉ガエルが消えると、その場に黄土色の鎧を纏った巨人が現れる。

この巨人はとにかく大きい、先程までの帝達より2倍以上の背丈を誇る。

4体目の帝、地の帝、地帝グランマーグである。

 

ATK:2400

 

「グランマーグの効果発動……アドバンス召喚に成功した時、場にセットされているカードを1枚破壊する……セットモンスターを破壊……《クラッシャー・ロック》……」

 

グランマーグがセットモンスターに近づくと、拳を振り上げ、一気に振り下ろし、破壊する。

 

セットモンスター:デスルークデーモン レベル3

 

「この時万魔殿の効果発動! デッキからレベル2の《ヘルポーンデーモン》を手札に!」

 

グレイグ 手札:1+1

 

「バトル……グランマーグで直接攻撃……《バスター・ロック》……」

 

グランマーグがグレイグの目の前に移動すると、その拳を振り下ろす。

 

「ぐおぉ!! ……ぐっ…」

 

グレイグ LP:8000→5600

 

「次……ライザー……《トルネード・ブロウ》……」

 

ライザーが腕に風を纏い、グレイグに迫る。

 

「掛かりやがったな! 罠カード《コンフュージョン・チャフ》を発動! 1度のバトルフェイズ中に2回目の直接攻撃が宣言された時、その相手モンスターは直接攻撃した1体目の相手モンスターと戦闘しダメージ計算を行う! さあどっちの方が偉いか、帝同士戦って決めな!」

 

グレイグの罠が発動した瞬間、ライザーが方向転換し、グランマーグに対して突っ込む。

突然の事に対応出来なかったグランマーグはそのままライザーに腹部を拳で貫かれ、前屈みになって倒れると、ライザーは押し潰されてしまう。

 

「フン! どっちも木偶か!」

 

「……ターンエンド」

 

LP:6100

手札:1

モンスター

・無し

魔法・罠

・無し

 

「俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:2+1

 

「…俺はモンスターをセット、カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:5600

手札:1

モンスター

・セット

魔法・罠

・セット

・セット

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「防戦に入っちまってるじゃねーか! グレイグしっかりしろー!」

 

「流れがさっきとは逆だ……」

 

こうなってしまったら鋼貴も高尾もさっきとは反応が正反対である。

 

「俺のターン……ドロー……」

 

アドガン 手札:1+1

 

「スタンバイ……《黄泉ガエル》を墓地から特殊召喚……」

 

ATK:100

 

「《黄泉ガエル》をリリース……《炎帝テスタロス》をアドバンス召喚……」

 

黄泉ガエルが消えると、その場にピンクの鎧と表裏それぞれ青と赤のマントを纏った巨人が現れる。

5体目の帝、炎の帝、炎帝テスタロスである。

 

ATK:2400

 

「テスタロスの効果発動……アドバンス召喚に成功した時、相手の手札をランダムに1枚捨て、捨てたカードがモンスターカードだった場合、そのモンスターのレベル×100ポイントダメージを相手ライフに与える……その手札を墓地へ……《インフェルノ・ハンデス》……」

 

テスタロスが両腕から炎を放つと、グレイグの手札のスカル・デーモンを襲う。

 

捨てたカード

迅雷の魔王-スカル・デーモン レベル6

 

「相棒!? …テメェ……覚えておけよ!」

 

グレイグ LP:5600→5000

 

「バトル……テスタロスで攻撃……《フレイム・ナックル》……」

 

テスタロスが両腕に炎を纏うと、その拳でセットモンスターを殴りつける。

 

セット・モンスター:ヘルポーンデーモン

 

「ターンエンド……」

 

LP:6100

手札:1

モンスター

・炎帝テスタロス

魔法・罠

・無し

 

「(とうとう帝への対抗手段だったスカル・デーモンまで……グレイグさん、どう出るんだろう?)」

 

グレイグさんなら何とか出来る、根拠はない、だが自分達のリーダーであるという信頼感からなのか、遊伸はそう信じていた。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:0+1

 

「…俺は伏せていた永続魔法《デーモンの宣告》を発動! 1ターンに1度、500LP払い、カード名を宣言する事が出来る! その場合、自分のデッキトップを捲り、宣言したカードだった場合手札に加える! 違った場合は墓地へ送る! 俺は《死者蘇生》を宣言! さあ行くぞ!」

 

グレイグ LP:5000→4500

 

グレイグがカードを勢いよく引き、確認する。

 

「……引いたカードは《ジェノサイドキングデーモン》、墓地へ送る」

 

「ちくしょ~! とうとう神頼りかよ~!」

 

「鋼貴、俺は神頼りなんてしてないぞ、死者蘇生が欲しかったのは本当だがな」

 

「え? どういう事だよ?」

 

「今の効果はついでだ、当たればラッキー、棚から牡丹餅だ。 俺は”これ”が場にありゃいいんだ」

 

グレイグはデーモンの宣告を指差す。

 

「? だからどういう事だよ!」

 

「今教えてやる……おい炎帝! 帝なんてかったるいだろ? 俺のところは給料も良いし、楽だぞ!」

 

「は、はぁ!? グレイグ何言ってんだよ……」

 

「だからよ……こっちに来いよ! 装備魔法《堕落(フォーリン・ダウン)》! 《炎帝テスタロス》に装備だ!」

 

その瞬間、テスタロスは脱力して頭を下げると、再び頭を上げ、グレイグの場へと移る。

 

「な、何だ!? どうなってんだ!? まさか本当にグレイグに説得されたんじゃ……」

 

「アホ! そんな訳あるか!  堕落は装備させた相手モンスターのコントロールを奪う事が出来る、だが制約があってな、場に《デーモン》と名の付くカードが無ければこいつは破壊される」

 

「成る程、デーモンの宣告を発動したのはその為か」

 

冷次が納得して頷く。

 

「さてと……さっきはやりやがったな! バトル! テスタロスで攻撃!」

 

テスタロスが両腕に炎を纏うと、その拳でアドガンを殴りつける。

 

「…」

 

感情を眠らされているアドガンは一切反応をしない。

 

アドガン LP:6100→3700

 

「これでターンエンドだ!」

 

LP:4500

手札:0

モンスター

・炎帝テスタロス

魔法・罠

・デーモンの宣告

・セット

・堕落(炎帝テスタロス)

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「俺のターン……ドロー……」

 

アドガン 手札:1+1

 

「スタンバイ……《黄泉ガエル》を墓地から特殊召喚……」

 

ATK:100

 

「こっちも効果発動だ、堕落は相手のスタンバイフェイズ、自分に800ダメージ負わせる、くそっ! 本当に良い給料だな! 払う身はきついぞ!」

 

グレイグ LP:4500→3700

 

「《黄泉ガエル》をリリース……《闇帝ディルグ》をアドバンス召喚……」

 

黄泉ガエルが消えると、その場に黒い鎧と灰色のマントを纏った巨人が現れる。

6体目の帝、闇の帝、闇帝ディルグである。

 

ATK:2400

 

「くそっ! こいつのデッキどうなってんだ! 帝が途切れねぇ!」

 

「ディルグの効果発動……召喚、特殊召喚に成功した時、相手の墓地に存在するカードを2枚までゲームから除外する事が出来る……さらに除外した数だけ相手のデッキトップからカードを墓地へ送る……お前の墓地にある《迅雷の魔王-スカル・デーモン》と《ジェノサイドキングデーモン》を除外……デッキから2枚墓地へ……《輪廻断絶》……」

 

「!? くそったれ! 相棒に恨みでもあんのか!」

 

「あると思うよ……」

 

空がグレイグに正論で突っ込む。

 

墓地に送られたカード

タルワール・デーモン

ミストデーモン

 

「ディルグは召喚、特殊召喚されたターンに攻撃出来ない……ターンエンド」

 

LP:3700

手札:1

モンスター

・闇帝ディルグ

魔法・罠

・無し

 

「俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:0+1

 

「(これ以上ダメージは受けたくねぇ……仕方無い!) バトル! テスタロスでディルグを攻撃!」

 

テスタロスがディルグに飛びかかり、殴り倒して破壊するがその直後、テスタロスはディルグが残した闇の穴に引きずり込まれていった。

 

「俺はカードを伏せてターンエンド!」

 

LP:3700

手札:0

モンスター

・無し

魔法・罠

・デーモンの宣告

・セット

・セット

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「俺のターン……ドロー……」

 

アドガン 手札:1+1

 

「スタンバイ……《黄泉ガエル》を墓地から特殊召喚……」

 

ATK:100

 

「(もう6体出たぞ……流石にもう途切れるだろ……)」

 

グレイグは内心そう願う。

 

「魔法カード《闇の誘惑》……2枚ドローし……手札の闇属性をゲームから除外する……」

 

アドガン 手札:1+2

 

除外したカード

ファントム・オブ・カオス

 

「あれ!? ファントム・オブ・カオスを除外しちまった……何でだ?」

 

「燃次、よく考えてみろ、帝はアドバンス召喚時、または召喚、特殊召喚時に効果を発揮する。 帝に姿を変えても真似出来るのは名前と攻撃力位だ、メリットは少ない」

 

冷次が横にいる燃次に解説する。

 

「ああ……でも意外だなぁ、憑依されたらあれが切り札じゃないのか?」

 

「(もしかすると、他に切り札があるのかもしれんな……)」

 

鋼牙が横で話を聞きながらそう考える。

 

「《黄泉ガエル》をリリース……《氷帝メビウス》をアドバンス召喚……」

 

黄泉ガエルが消えると、その場に白い鎧と青のマントを纏った巨人が冷気を発しながら現れる。

7体目の帝、氷の帝、氷帝メビウスである。

 

ATK:2400

 

「畜生! 結局帝がきやがった!」

 

「メビウスの効果発動……アドバンス召喚に成功した時、場の魔法・罠カードを2枚まで選択して破壊出来る……伏せカードを2枚破壊……《フリーズ・バースト》……」

 

メビウスが力を溜め、体から一気に冷気を発する。

 

「タダじゃやられねぇぞ! 罠をチェーン発動! まずは《和睦の使者》! 発動ターン、相手から受ける 全ての戦闘ダメージは0になる! そしてこれにチェーンして永続罠《正統なる血統》を発動! 墓地から通常モンスターを攻撃表示で特殊召喚! 来い! 《タルワール・デーモン》!」

 

グレイグの場にサーベルを2本持った上級悪魔が現れる。

 

ATK:2400

 

「メビウスの効果でどっちも破壊される! この時、正統なる血統の効果で特殊召喚されたタルワール・デーモンも破壊されるぞ!」

 

正統なる血統が破壊されると、 タルワール・デーモンが苦しみだし、破壊される。

 

「伏せカードを警戒してこいつを破壊しなかったのは失敗だったな!  万魔殿の効果! 俺は2体目の《ジェネラルデーモン》を手札に!」

 

グレイグ 手札:0+1

 

「……ターンエンド」

 

LP:3700

手札:1

モンスター

・氷帝メビウス

魔法・罠

・無し

 

「俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:1+1

 

「おう! 流れが戻って来やがった! 魔法カード《地割れ》発動! 相手の場の攻撃力が一番低いモンスターを1体破壊する! いるのはそいつだけだ! 《氷帝メビウス》!」

 

グレイグの魔法が発動すると、メビウスの足元の床が割れ、万魔殿の奥底へと落下していく。

 

「そして《ジェネラルデーモン》を召喚!」

 

グレイグの場にジェネラルデーモンが再び現れる。

 

ATK:2100

 

「バトル! ジェネラルデーモンで直接攻撃!」

 

ジェネラルデーモンがアドガンを剣で斬りつける。

 

「…」

 

アドガン LP:3700→1600

 

「これでターンエンドだ!」

 

LP:3700

手札:0

モンスター

・ジェネラルデーモン

魔法・罠

・デーモンの宣告

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「よし! これで7体撃破だ! 帝は全て倒したぞ!」

 

高尾がそう言うと、安藤が静かに笑う。

 

「それはどうでしょうかねぇ……」

 

「何…?」

 

「俺のターン……ドロー……」

 

アドガン 手札:1+1

 

「スタンバイ……《黄泉ガエル》を墓地から特殊召喚……」

 

ATK:100

 

「《黄泉ガエル》をリリース……」

 

「何!?」

 

この時、遊伸は不快ば気配を感じ取った。

以前にも感じた事のある気配―――

 

「これは……ファントム・オブ・カオス!?」

 

「ゆ、遊伸何言ってんだよ! あれはアイツが除外したじゃねーか! なあ!」

 

燃次が同意を得ようと周りを見渡すと、鋼貴、空、鋼牙、直接ファントム・オブ・カオスを目撃した面々は遊伸同様、緊張が顔に表れている。

 

「燃次、マジだ……お前も感じるだろ? この嫌な感じ……」

 

鋼貴にそう言われると、燃次は黙った。

燃次もこの不快感をしっかりと感じているからだ。

 

「《邪帝ガイウス》をアドバンス召喚……」

 

黄泉ガエルが消えると、その場にディルグと同様、黒い巨人が現れる。

しかし、その邪悪さ、感じる力の強大さはこれまでの帝を遥かに凌いでいる。

存在しないはずの8体目の帝、邪悪の帝、邪帝ガイウスである。

 

ATK:2400

 

「な、何だ!? こんな帝見た事がない!? 闇のカードか!?」

 

「それはそうでしょう、本来存在しないカードですからね。 あ、闇のカードでもありませんよ」

 

驚愕する高尾に安藤がそう言う。

 

「何だって!? どういう事なんだ! あの帝からファントム・オブ・カオスと同じ気配がするのと関係があるのか!」

 

遊伸が安藤に問い詰める。

 

「おや、この事はご存知無かったようですね、教えてあげましょう。 …皆さんはファントム・オブ・カオスが他のモンスターの姿を”模倣”する事はご存知ですね?」

 

「獏葉の闇のカードになったやつだろ! それがどうしたんだ!」

 

安藤の問いに鋼貴が答える。

ファントム・オブ・カオスは墓地のモンスターを取り込み、1ターンだけその姿と力を得る事が出来る能力を持つ。

 

「それでは、テオドールさんから”大いなる力”の事は聞いてますか?」

 

「…ファントム・オブ・カオスはその欠片だって聞いている……それ以上は知らない」

 

今度は遊伸が安藤の問いに答える。

 

「そうですか、ご存知の通り、ファントム・オブ・カオスは姿を”模倣”し、その対象の力を得ます。 しかし、欠片であるファントム・オブ・カオスは”そこまで”です。 ファントム・オブ・カオスの本体である”大いなる力”はそれ以上の力を持ちます」

 

「…その力とは?」

 

遊伸は緊張して体に力が入る。

 

「その力とは、対象を”模倣”し、そこに自身の力を加え、強化して自分の物とする事が出来ます」

 

「!? コピーした上で強化を……」

 

「その通りです、そして”大いなる力”はファントム・オブ・カオスを通し、アドガンのデッキの《帝》を”模倣”……そして強化してアドガンに与えたのがあの《邪帝ガイウス》です。 さあ、まずはその力を御覧ください」

 

「ガイウスの効果発動……アドバンス召喚に成功した時、場のカードを1枚除外する……《ジェネラルデーモン》を除外……《ディメンション・ホール》……」

 

ガイウスが腕に黒いエネルギーの球体を作り出すと、ジェネラルデーモンに向けて放つ。

ジェネラルデーモンはその球体に取り込まれる。

 

「何!? 破壊ではなく除外だぁ!? くそ! これじゃ万魔殿が使えん!」

 

「……除外したモンスターが闇属性だった場合……1000ポイントのダメージを相手に与える」

 

ジェネラルデーモンを取り込んだ黒い球体が一瞬膨張すると、そのまま破裂し、その時出来た衝撃波がグレイグを襲う。

 

「ぐおぉ!」

 

グレイグ LP:3700→2700

 

「バトル……ガイウスで直接攻撃……《グラビトン・ボール》……」

 

ガイウスが黒い球体を作り出すと、グレイグに放つ。

 

「ぐおぉぉぉーーー!!!」

 

グレイグ LP:2700→300

 

「「グレイグ!!!」」

 

「グレイグさん!!!」

 

マーシャル・レッドの3人は同時に叫ぶ。

 

「これが”大いなる力”です、素晴らしいでしょう?」

 

「うるせぇ! ふざけんな! くそぉ! グレイグしっかりしろ!」

 

鋼貴が必死に叫ぶ。

暫く胸を押さえて唸っていたグレイグはようやく落ち着く。

 

「バトル終了……永続魔法《進撃の帝王》を発動……このカードが場に存在する限り、自分の場のアドバンス召喚したモンスターはカードの効果の対象にならず、カードの効果では破壊されない……ターンエンド」

 

LP:1600

手札:0

モンスター

・邪帝ガイウス

魔法・罠

・進撃の帝王

 

「…”大いなる力”が何だのかんだの、俺には関係ねぇよ……俺はここで死ぬつもりはない……マーシャル・レッドの底力! 見せてやる! 俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:0+1

 

「魔法カード《貪欲な壺》を発動! 墓地からモンスターを5体デッキに戻しシャッフル! 2枚ドロー!」

 

デッキに戻したカード

ジェネラルデーモン

マッド・デーモン

デスルークデーモン

ヘルポーンデーモン

ミストデーモン

 

グレイグ 手札:0+2

 

「…本当に強い”決闘者”にはな、どんなに流れが悪かろうが……最後の最後に”勝利”を掴むんだよ!!! 魔法カード《死者蘇生》を発動! 俺の墓地から《タルワール・デーモン》を特殊召喚!」

 

グレイグの場に再びタルワールデーモンが現れる。

 

ATK:2400

 

「そしてチューナーモンスター《ヘル・セキュリティ》を召喚!」

 

続けてグレイグの場にパトランプ、警棒、メガホンを持った小悪魔が現れる。

 

ATK:100

 

「行くぞ! レベル6《タルワール・デーモン》に、レベル1《ヘル・セキュリティ》をチューニング!」

 

ヘルセキュリティが自身を光輪へ変えると、 タルワール・デーモンを囲い、6つの光、そして光の柱へと変える。

 

「新たなる悪魔の脈動! 混沌の内より出でよ! シンクロ召喚! 誇り高き《デーモン・カオス・キング》!」

 

光の柱から現れたのは最上級悪魔。

髪と背中の翼、両腕の刃には炎が点いており、その悪魔が声を上げるとそれらの炎が一気に燃え上がる。

 

ATK:2600

 

「バトル! デーモン・カオス・キングでガイウスを攻撃! この時デーモン・カオス・キングの効果発動! 攻撃宣言時、相手の場の全てのモンスターの攻守をバトルフェイズ終了時まで入れ替える! 《カオス・スワップ》!!!」

 

邪帝ガイウス ATK:2400→1000

 

「これで止めだ! 《ファイアソード》!!!」

 

デーモン・カオス・キングが両腕の刃でガイウスを切り裂くと、ガイウスは体のエネルギーが暴発し、爆散する。

 

「……!」

 

アドガン LP:1600→0

 

黒い炎とソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴った。

 




今回のガイウスの設定は前々から考えていたんですけど……20話で一般カードとして出てきちゃってたんですよねOTL うっかりしてました。 なので勝手ながら20話のガイウスの部分をディルグに変更させてもらいました。 以後気を付けますm(_ _)m
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