遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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*時間を挟んで見直ししてきました、もう…誤字はないはず!


第37話 鋼牙VS ~大砲の一撃~

「うっしゃー! 勝ったぜ! いいとこ持ってかれちまったが!」

 

「痛い目に遭ってたの俺だけだったからな、当然の権利だ」

 

燃次と冷次は腕を組み合わせ、勝利を喜び合うと、遊伸達の元へ戻ってくる。

霧島は他の二人と同様に、何処かへと運ばれて行く。

 

「二人とも、また僕は二人に教えられたよ、タッグデュエルの奥深さを! 再戦、楽しみにしてるよ!」

 

「おうよ! そして俺達が勝つぜ!」

 

遊伸と燃次はお互いに笑い合う。

 

「冷次、大丈夫か?」

 

「はい、やってる最中はちょっときつかったですけど、今は大丈夫です」

 

高尾が冷次を心配して声を掛ける。

 

「まさかの3人抜き、見事です、それでは4戦目を始めましょう」

 

安藤が手招きすると、4人目が立ち上がり、フードを脱ぐ。

脱いだ姿は無精髭を生やした男性。

他の3人と同様、虚ろな目をしている。

 

「あの人は!?」

 

「またプロ決闘者? 高尾さん」

 

驚いている高尾に空が聞くと、高尾は頭を振る。

 

「いや、違う……あの人はさすらいの決闘者、重砲 弾(じゅうほう だん)、各地を歩き回り、プロからアマチュアまで名のある決闘者に挑みまわっている決闘者だ。 大火力が自慢の大砲デッキを使い撃墜(たお)してきた決闘者は数知れず、下手なプロよりずっと強いとの噂だ」

 

「高尾、何でそんな詳しいんだ……」

 

鋼貴は高尾の思わぬ詳しさに少し呆気に取られている。

 

「面白いじゃないか、なら次は俺が行かせて貰おう」

 

鋼牙が前に出る。

 

「兄貴、気をつけろよ」

 

「ああ、任せておけ」

 

鋼牙は鋼貴の言葉に手を振り、決闘場へと上がる。

 

「さて……自慢の高火力とやらを見せて貰うぞ!」

 

 

 

「デュエル!!!」

 

「……デュエル」

 

 

 

この瞬間、黒い炎が決闘場を囲む。

 

先攻 重砲

 

「俺のターン……ドロー……」

 

重砲 手札:5+1

 

「……永続魔法《神の居城-ヴァルハラ》を発動……」

 

重砲が永続魔法を発動すると、背後に大きな城が現れる。

 

「神の居城-ヴァルハラ……大分イメージと違うもんが出てきたな」

 

「鋼貴、あのカードはどんなカードなんだい?」

 

遊伸が鋼貴に尋ねる。

神の居城-ヴァルハラとは、自分の場にモンスターが存在しない場合、手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する事が出来るという非常に強力なカードで、召喚制限さえ無ければ高レベルの天使族をノーコストで特殊召喚が出来る。

 

「高レベルの天使族使いには必需品とも言えるカードだな、霧島が使ってこなかったのが不思議な位だぜ、運がよかったなお前等」

 

鋼貴が燃次と冷次に振り返って言う。

 

「あ、あっても勝った!」

 

「……その通りだ」

 

二人は強がっているが、少し顔が青ざめている。

 

「……俺は神の居城-ヴァルハラの効果により…《コイツ》を特殊召喚……」

 

重砲の場に大きな紙飛行機が飛んで来る。

その上には頭から爪先まで青い全身タイツで覆われた人の様な生き物が逆立ちしている。

 

ATK:200

 

「な、何だ…? ねえ鋼貴、あのモンスターは何ていうモンスターなんだい?」

 

あまりに奇抜なモンスターの登場に驚く遊伸は、鋼貴にそのモンスターの詳細を求める。

 

「……《コイツ》だ」

 

「え? だから何ていう……」

 

「だから《コイツ》だ! あいつは《コイツ》っていう名前なんだ!」

 

「鋼貴! 《アイツ》は《コイツ》じゃなくて《アイツ》だよ!」

 

「ややこしくすんな空! 解ってやってるだろ!」

 

訳が解らず遊伸は目を回し始める。

 

「あー! もういい! とにかく《コイツ》だ! だがますます解らん! 《コイツ》はレベル10っつうとてつもなく重いモンスターで、《アイツ》がいないと機能しない低攻撃力モンスターなんだぞ!」

 

「鋼貴、あいつって―――」

 

「聞くな遊伸! またややこしくなる! とにかく、あれじゃ何処が”高火力が自慢の大砲デッキ”なのかがまったく解らんぞ!」

 

鋼貴は少し腹を立てながら腕を組んで重砲を見る。

 

「……《タイム・ボマー》を召喚……」

 

重砲の場に奇妙な模様をした球体の時計が現れる。

 

ATK:200

 

「……魔法カード《星に願いを》を発動……自分の場のモンスターを1体選択……選択したモンスターと同じ攻撃力…または同じ守備力を持つ自分の場のモンスターのレベルはエンドフェイズ時まで選択したモンスターと同じになる……《コイツ》を選択……同じ攻撃力200のタイム・ボマーのレベルを10に……」

 

コイツ      レベル10

タイム・ボマー レベル2→10

 

「……レベル10の《コイツ》と《タイム・ボマー》をオーバーレイ……2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築……」

 

コイツとタイム・ボマーがそれぞれ青と赤の光球となると、地面に現れた穴に吸い込まれ、赤い閃光を放つ。

 

「エクシーズ召喚……《超弩級砲塔列車グスタフ・マックス》……」

 

赤い閃光を放ち、穴から出て来たのは自身よりも2倍以上長い砲身を持った列車砲塔。

その長い砲身を動かし、鋼牙へと向ける。

 

ATK:3000

 

「攻撃力3000!? それにランク10のモンスター・エクシーズ……」

 

「凄い……私も初めて見た……」

 

遊伸と空はこれまでにないスケールのモンスター・エクシーズ、グスタフ・マックスの登場に驚いている。

 

「《コイツ》からこんなもんが出てくるなんて滅茶苦茶もいいとこだぜ!?」

 

「成る程……全てはこの”大砲”の為か…!」

 

鋼貴と高尾は重砲の召喚戦術に驚く。

 

「……グスタフ・マックスの効果発動……1ターンに1度…このカードのオーバーレイ・ユニットを1つ取り除き……相手LPに2000ポイントダメージを与える……《発射オーライ・ビッグ・キャノン》……」

 

取り除いたユニット

コイツ

 

グスタフ・マックスがユニットを一つ機体に取り込むと、砲撃を一発、鋼牙へと放つ。

 

「ぐおぉぉぉ!!!」

 

鋼牙 LP:8000→6000

 

「兄貴!?」

 

鋼牙への初ターンからの大ダメージ、思わず鋼貴は叫ぶ。

 

「……カードを伏せてターンエンド……」

 

LP:8000

手札:1

モンスター

・超弩級砲塔列車グスタフ・マックス

(オーバーレイ・ユニット:タイム・ボマー)

魔法・罠

・神の居城-ヴァルハラ

・セット

 

「いきなりのダメージに攻撃力3000の大型モンスター……鋼牙さんは大丈夫なのか?」

 

「へっ! 兄貴なら余裕だ! 見てろ冷次!」

 

鋼貴は自身有り気に冷次に言う。

勝ったとはいえ、鋼貴の中で鋼牙が”尊敬する強い兄”である事は変わらない。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

鋼牙 手札:5+1

 

「……それがお前の”高火力”か? …だとしたら拍子抜けだ! 本当の”高火力”を見せてやる! このカードは自分の場にモンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚出来る! 《太陽風帆船(ソーラー・ウインドジャマー)》を特殊召喚!」

 

鋼牙の場に一隻の宇宙船が現れる。

その船体には上下に帆船の帆が付いている。

 

ATK:800→400

 

「この方法で特殊召喚された場合、攻守は半分となる。 次に《アーマード・サイバーン》を召喚!」

 

続けて鋼牙の場に機械翼竜、アーマード・サイバーンが現れる。

 

ATK:0

 

「魔法カード《タンホイザーゲート》を発動! 自分の場の攻撃力1000以下で同じ種族のモンスター2体を選択! 選択した2体のモンスターはその2体のレベルを合計したレベルになる! 俺はレベル5《太陽風帆船》と、レベル4《アーマード・サイバーン》を選択! よってこの2体のレベルは―――」

 

太陽風帆船       レベル5+4→9

アーマード・サイバーン レベル4+5→9

 

「行くぞ! レベル9の《太陽風帆船》と《アーマード・サイバーン》をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」

 

太陽風帆船とアーマード・サイバーンがそれぞれ黄色と緑の光球となると、遥か高く、この空間の天井付近の空中に現れた穴に吸い込まれ、金色の閃光を放つ。

 

「エクシーズ召喚! 未来の英知と技術の結晶! 《No.9 天蓋星ダイソン・スフィア》!」

 

金色の閃光を放ちながら現れたのは巨大な建造物。

宇宙ステーションにも見えるそれは花が咲く様に展開し、その中心にはエネルギー源である恒星が収められている。

その恒星を包む黄色いフレームの側面に”9”の数字が見える。

 

ATK:2800

 

「す、すげぇ……さっきの大砲なんて目じゃねぇよ……でかすぎだろ!」

 

「ランクや攻撃力は劣るが……モンスターとしてのスケールが違いすぎるな……」

 

燃次や冷次はその大きさに驚き、呆気に取られている。

 

「こ、これが兄貴のナンバーズ……」

 

「ひゃ~でっかい! こんなに大きいモンスターっているんだね……」

 

「一体どんな力が……」

 

鋼貴、空、遊伸の3人も、このナンバーズがどの様な力を持っているのか、期待を膨らませながらダイソン・スフィアを見上げる。

 

「……驚いているところで悪いが、まだ俺のメインフェイズは終わっていない! 魔法カード《パワー・ボンド》を発動! このカードで機械族融合モンスターの融合召喚を行う事が出来る! 手札の《サイバー・ドラゴン》2体を融合! 来い! 《サイバー・ツイン・ドラゴン》!!」

 

鋼牙の場が歪むと、その歪みの中心から双頭の機械龍、サイバー・ツイン・ドラゴンが現れる。

 

ATK:2800

 

「パワー・ボンドでの融合召喚をした事で、サイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃力は倍となる!」

 

ATK:2800→5600

 

「天蓋星ダイソン・スフィアの効果発動! ダイソン・スフィアの攻撃力より高い攻撃力を持つモンスターが相手の場に存在する場合、自分のメインフェイズ1にオーバーレイ・ユニットを1つ取り除く事でこのターン、ダイソン・スフィアは相手に直接攻撃が出来る!」

 

取り除いたユニット

アーマード・サイバーン

 

ダイソン・スフィアの中に収められている恒星の中にユニットの一つが入ると、大きな起動音が鳴る。

 

「バトル! ダイソン・スフィアで直接攻撃! 《オーバーレイ・テンペスト》!」

 

ダイソン・スフィアから無数のレーザーが撃ち出されると、嵐の様に重砲を襲う。

 

「…」

 

重砲 LP:8000→5200

 

「サイバー・ツイン・ドラゴンでグスタフ・マックスを攻撃! 《エヴォリューション・ツイン・バースト》!!」

 

サイバー・ツイン・ドラゴンが光線を放射しようと、口にエネルギーを溜める。

 

「……永続罠《安全地帯》を発動……選択したモンスターは相手の効果の対象にならず…戦闘及び相手の効果では破壊されない……《超弩級砲塔列車グスタフ・マックス》を選択……」

 

「関係無い! これで終わりだ! くらえ!」

 

サイバー・ツイン・ドラゴンの口から、同時に光線がグスタフ・マックスに向けて放たれる。

二つの光線がグスタフ・マックスごと重砲を包み込む。

 

「…」

 

重砲 LP:5200→2600→0

 

黒い炎とソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴った。

 

「…こんなモノか」

 

鋼牙はカードと決闘盤を収め、遊伸達の元へと戻る。

 

「勝ったぞ鋼貴……ん?」

 

鋼牙が見ると、グレイグ以外全員、鋼牙を見たまま呆然としている。

誰一人、口が開いたまま声を発さない。

 

「何だ、他の皆の様に出迎えてくれないのか?」

 

そう言った鋼牙の前にグレイグが進み出る。

 

「鋼牙さんよ、小僧共は皆驚いて声も出ねぇんだよ、正直俺も驚いた……だが今のはちょいと危ないプレイングだったんじゃねぇか? ミラフォとかだったらどうするつもりだったんだ?」

 

「0とは言いませんが、それは無かったと予想してました。 あの男のデッキはグスタフ・マックスを召喚する事に力を注いでいました。 つまり、グスタフ・マックスが戦術の要であり、あの男はグスタフ・マックスを守ろうとする……グスタフ・マックスは高い攻撃力を備えています、ですから戦闘破壊よりも効果除去を警戒する、そう考えて伏せカードは”グスタフ・マックスを効果除去から守るカード”……そう予想して攻撃を仕掛けました」

 

「成る程……安全地帯……概ね当たり、ってとこだな、大したもんだ……おい鋼貴! 他の奴らも何時まで呆けてんだ!」

 

グレイグが大声で呼びかけると、全員がようやく我へと返る。

 

「な、何だよグレイグ……」

 

「お前、一回勝った位で気を抜くなよ、じゃないと次デュエルした時にああなるのはお前だ」

 

グレイグは他の三人と同様に何処かへと連れて行かれる重砲を指差す。

 

「そうだぞ鋼貴、近々お前に挑戦するつもりだからな、覚悟しておけよ!」

 

鋼牙はそう言って笑う。

 

「お……おう! ま、負けねぇぞ!」

 

「声が上擦ってるよ鋼貴」

 

動揺しながら虚勢を張る鋼貴に遊伸が突っ込む。

 

「いやはや、”ファントム・オブ・カオス”、”大いなる力”、”闇のカード”……何れも使わせずに勝利するとは驚きましたな」

 

安藤が軽い拍手をする。

口では驚いたと言うが、顔はそうは言ってない、笑ったままである。

顔には出さないタイプなのだろうか。

 

「それでは5戦目に参りましょう」

 

そう言って安藤は5人目に手招きをした。

 




鋼牙は作中でも最強クラスの決闘者のはずなのに負けてばかり……なので今回は強さを思い出す為に1キルしました。たまにはこんなのも…という感じで。

手抜きではありません決してm(_ _)m
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