遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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追記
ここ数話、オーバーレイ・ユニット関連を入れ忘れてましたのでそれぞれに追加しました。


第38話 空VS ~進化する武装竜~

安藤の手招きによって立ち上がり、フードを脱いだ姿は―――

 

「……アカデミアの制服!? 今度はアカデミア生か!?」

 

高尾が自分も少し前に着ていた馴染みある青い制服を見て驚く。

 

「あれ!? (つるぎ)先輩!? どうしてここに……」

 

空が相手の顔を見て驚く。

 

「空の知り合いかい?」

 

遊伸がそう聞くと、空は頭を振る。

 

「ううん、直接会った事は無いけど、アカデミアじゃ有名人だから」

 

「へぇ、じゃあ首席か何かか?」

 

鋼貴が空に尋ねる。

 

「うん、3年生の。 噂じゃ凄い優秀な人で、先生達の評判も凄くよかったの! プロ入りももう決まってて、”NとTの再来”だって先生達の間で言われてたよ!」

 

「NとTって?」

 

遊伸が首を傾げながら空に意味を尋ねる。

 

「Tが藤堂、鋼牙さんの事」

 

「俺か、まだ俺の事覚えてる教諭がいるんだな」

 

鋼牙が意外そうな顔をする。

 

「(自分がどれだけ学校に影響があったかも知らないのかよ)」

 

鋼貴は呆れたような顔をする。

鋼貴はアカデミアにおける鋼牙の存在を、在学中に嫌と言う程実感してきた。

 

「じゃあNは?」

 

「Nはね……ふふっ! 西野 七海! お姉ちゃん!」

 

空は嬉しそうに、そして誇らしげに姉の名前を言う。

 

「へぇ! 七海さんはアカデミアでも優秀だったんだね」

 

「うん! 昔からいる先生はお姉ちゃんが高等部に進まない事を凄く残念だったって言ってたよ。 事情は解ってるけど、それでも引き止めたかったって…」

 

空は少し申し訳無さそうな表情をする。

 

「なあ空、その姉ちゃんって今幾つなんだ?」

 

「え? えーと、私と同じ誕生日だから……今25歳のはずだけど」

 

「兄貴と同い年じゃねーか、じゃあ兄貴とは同級生か?」

 

鋼貴は鋼牙に振り向く。

 

「……早生まれなんだろう、学年は俺より一つ上だ……まあ、噂は聞いていたな」

 

鋼牙は素っ気なく答える。

 

「…まあ話が楽しいのは解るが、そろそろ誰が行くのか決めろ、相手が待ち惚けてるぞ」

 

グレイグが決闘場を指差す。

既に剣が決闘場に立ってる。

 

「あ、じゃあ私行くよ! ちょっとだけ情報あるし!」

 

空が手を挙げる。

 

「おお、そういえば有名人だったな、デッキの内容とかか?」

 

鋼貴が手を叩きながら空にその情報が何なのか尋ねる。

 

「うん、確か”アームド・ドラゴン”だったかな?」

 

「アームド・ドラゴンだって!?」

 

高尾が驚いた様に声を上げる。

 

「…高尾さん何でも知ってるね、雲太郎もびっくり……高尾さん、私は名前だけ聞いた事があるんだけど、どういうカードなの?」

 

「俺も詳しくは知らないが、”伝説のレベルモンスター”と言われているカードだ」

 

「高尾さん、レベルモンスターって何ですか?」

 

「お前は逆に知らねぇんだな……レベルモンスターは自身のレベルを上げ、成長する事でさらに強力な力を得るモンスターの事だ、最初は大した事ねぇが、ほっとくと厄介だぞ」

 

遊伸が高尾に尋ねると、代わりにグレイグが遊伸に説明する。

 

「レベルモンスターね……うん解った! 行ってきます!」

 

空はそう言うと、決闘場に上がる。

 

「よーし……行くよ!」

 

 

「デュエル!!!」

 

「……デュエル」

 

 

この瞬間、黒い炎が決闘場を囲む。

 

先攻 空

 

「私のターン! ドロー!」

 

空 手札:5+1

 

「私はモンスターをセット! カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

LP:8000

手札:3

モンスター

・セット

魔法・罠

・セット

・セット

 

「俺のターン……ドロー……」

 

剣 手札:5+1

 

「……《アームド・ドラゴン LV3》を召喚……」

 

剣の場に黄色いドラゴンの幼竜が現れる。

 

ATK:1200

 

「あれがレベルモンスター……まだ強そうには見えないな……これから強くなるのか」

 

遊伸はアームド・ドラゴンを見ながら呟く。

 

「……カードを2枚伏せてターンエンド……」

 

LP:8000

手札:3

モンスター

・アームド・ドラゴン LV3

魔法・罠

・セット

・セット

 

「(攻撃してこない……まだ攻撃力が低いから用心したのかな?) 私のターン! ドロー!」

 

空 手札:3+1

 

「私はセットモンスター、《ドラゴンフライ》を反転召喚!」

 

空の場に巨大なトンボのモンスターが現れる。

 

ATK:1400

 

「そして《ガスタの神官 ムスト》を召喚!」

 

続けて空の場にムストが現れる。

ムストは空に丁寧に礼をすると、アームド・ドラゴンに対して身構える。

 

ATK:1800

 

「(まずは”進化”を止めないと……墓地は蘇生の可能性あり! なら!) レベル4の《ドラゴンフライ》と《ガスタの神官 ムスト》をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」 

 

空の場のドラゴンフライとガスタの神官 ムストが緑の光球になると、現れた穴に吸い込まれる。

その穴から赤い閃光が放たれ、飾られた一振りの刀が現れる。

 

「エクシーズ召喚! 現れて! 《電光千鳥》!」

 

現れた刀に青い雷が落ちる、その雷が刀を覆うと雷は大きな鳥の姿に変わる。

 

ATK:1900

 

「電光千鳥の効果発動! エクシーズ召喚に成功した時、相手の場にセットされたカード1枚を選択して持ち主のデッキの一番下に戻す! 私は左の伏せカードを戻すよ!」

 

電光千鳥が剣の伏せカードに電撃を放つ。

 

「……チェーン発動……罠カード《亜空間物質転送装置》を発動……自分の場に表側表示で存在するモンスター1体を選択し…このターンのエンドフェイズ時までゲームから除外する……《アームド・ドラゴン LV3》を除外……」

 

罠が発動すると、アームド・ドラゴンが現れた異次元ゲートの中に入り、姿を消す。

 

「!?(これじゃアームド・ドラゴンをデッキに戻せないよ……) …バトル! 電光千鳥で攻撃! 《電光一閃》!」

 

電光千鳥は自らの雷を纏って剣へと突進し、電撃を浴びせる。

 

「…」

 

剣 LP:8000→6100

 

「私はこれでターンエンド!」

 

「…エンドフェイズに《アームド・ドラゴン LV3》が帰還する……」

 

再び異次元ゲートが開くと、中からアームド・ドラゴン LV3が現れる。

 

ATK:1200

 

LP:8000

手札:3

モンスター

・電光千鳥

(オーバーレイ・ユニット:ドラゴンフライ、ガスタの神官 ムスト)

魔法・罠

・セット

・セット

 

「俺のターン……ドロー……」

 

剣 手札:3+1

 

「スタンバイフェイズ……アームド・ドラゴン LV3の効果発動……場に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事で…手札またはデッキから《アームド・ドラゴン LV5》1体を特殊召喚する……」

 

アームド・ドラゴン LV3が消えると、場に大きな竜の成体が現れる。

先程までのアームド・ドラゴンとは違い、力強い容姿、黒と赤の体色、体の至る所のトゲや刃など、見るからに凶暴そうであり、場に現れた瞬間、腕を振り回して咆哮を上げる。

 

ATK:2400

 

「こ、これがレベル5のアームド・ドラゴン……さっきまでとはまったく違う!」

 

「まさかこれ程とは……」

 

遊伸と高尾はアームド・ドラゴンのあまりの変貌に驚く。

 

「……バトル……アームド・ドラゴン LV5で電光千鳥を攻撃……《アームド・バスター》……」

 

アームド・ドラゴン LV5が両腕を回転させながら電光千鳥へと突っ込む。

 

「カウンター罠《攻撃の無力化》を発動! 攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させるよ!」

 

空が罠を発動させると、アームド・ドラゴン LV5が動きを止める。

 

「(よし、防げた! 後は電光千鳥で戻しちゃえば……)」

 

「……アームド・ドラゴン LV5の効果発動……手札からモンスター1体を墓地へ送る事で…そのモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ相手の場に表側表示で存在するモンスター1体を選択して破壊する……手札から攻撃力2800の《闇より出でし絶望》を墓地に送り…電光千鳥を破壊する……《デストロイド・パイル》……」

 

アームド・ドラゴンが肩のトゲを全て発射すると、全て電光千鳥へと向かって飛んでいく。

そのトゲが電光千鳥に命中し、電光千鳥は破壊される。

 

「嘘!? そんな能力が……」

 

「……ターンエンド」

 

LP:6100

手札:3

モンスター

・アームド・ドラゴン LV5

魔法・罠

・セット

 

「私のターン! ドロー!」

 

空 手札:3+1

 

「…よし! とっておきを見せちゃうぞ! 私は《ガスタ・サンボルト》を召喚!」

 

空の場にガスタ・サンボルトが現れる。

サンボルトはアームド・ドラゴンに向かって果敢に吠える。

 

ATK:1500

 

「そして墓地から風属性モンスターを除外して《風の精霊 ガルーダ》を特殊召喚!」

 

除外したモンスター

ドラゴンフライ

 

続いて空の場にガルーダが現れる。

 

ATK:1600

 

「レベル4の《ガスタ・サンボルト》と《風の精霊 ガルーダ》をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」 

 

空の場のガスタ・サンボルトとガルーダが緑の光球になると、地面に現れた穴に吸い込まれる。

その穴が大きく広がり、その中から金色の閃光が放たれると、一隻の船が穴から浮上してくる。

 

「エクシーズ召喚! 出航! 《No.50 ブラック・コーン号》! ヨーソロー!」

 

完全に浮上したのは黒い船。

船底は巨大な黒いトウモロコシであり、全体を見ると縦に割ったトウモロコシの断面上に船底の無い船をくっ付けている様に見える。

船のデッキの上には右方向に向いた大砲が一門、帆には”50”の数字が見える。

 

ATK:2100

 

「ふ、船だ……空の奴、何でこんなナンバーズを貰ったんだ?」

 

「さあ……ん?」

 

鋼貴と遊伸が驚いていると、遊伸が船の上に何かいるのを見つける。

 

「…ど、どうしてあんなとこにウィンダが……」

 

何とブラック・コーン号の船首辺りにウィンダが立っている。

ウィンダだけではない、後ろの甲板にはウィンダールとカーム、大砲の上にはカムイ、見張り台にはリーズ、船尾にはスクイレル、そして鳥獣族のガスタが船の周りを飛びまわっている。

 

「…鋼貴、あの上に何かいない?」

 

遊伸が船首を指差す。

そこにいるウィンダが遊伸に気付くと手を振る。

 

「あ? ……何も見えないぞ? 何かいたのか?」

 

「いや、勘違いかも(やっぱり精霊か……空の遊び心だな)」

 

遊伸は小さく息を噴出し、笑う。

 

「永続魔法《強者の苦痛》を発動! 相手のモンスターの攻撃力はそのモンスターのレベル×100ポイントダウンするよ!」

 

アームド・ドラゴン LV5 ATK:2400→1900

 

「おし! アームド・ドラゴンの攻撃力を上回ったぞ!」

 

鋼貴が握り拳を作ってガッツポーズをする。

 

「いいカードだ、レベルモンスターは強くなる度にレベルを上げる……あの魔法はよく刺さるぞ」

 

グレイグは感心した様子で空の永続魔法を見る。

 

「ここでブラック・コーン号の効果発動! 取舵一杯!」

 

ブラック・コーン号が左を向き、船体の右側を相手に向ける。

 

「1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、ブラック・コーン号の攻撃力以下の攻撃力を持つ相手の場のモンスター1体を選択! 選択したモンスターを墓地へ送り、相手LPに1000ポイントダメージを与えるよ!」

 

取り除いたユニット:ガスタ・サンボルト

 

見張り台に立っていたリーズが周りを漂っているユニットを一つ捕まえると、それを大砲の上にいるカムイに投げ渡す。

さらにアームド・ドラゴンが突然緑の光球へ変わると、ブラック・コーン号へと飛んでいく。

カムイは二つの光球を受け取り、合わせて一つの光球にすると、大砲の中へと入れる。

ウィンダールが大砲の照準を剣に合わせ、砲撃を放つ。

砲撃の衝撃は強く、上に乗っていたカムイが転げ落ちる。

 

「…」

 

剣 LP:6100→5100

 

「この効果を発動したターン、ブラック・コーン号は攻撃出来ないよ! これでターンエンド!」

 

LP:8000

手札:1

モンスター

・No.50 ブラック・コーン号

(オーバーレイ・ユニット:風の精霊 ガルーダ)

魔法・罠

・セット

・強者の苦痛

 

「成る程……強者の苦痛があれば大抵の奴を弾丸に出来る……タッグコンビといい、鋼牙といい、ナンバーズをしっかり使いこなしてやがる、心配は無用だったな……後はお前か」

 

グレイグは鋼貴を見る。

 

「俺も心配いらねぇよ! この後見てろ!」

 

鋼貴が胸を張って答える。

 

「俺のターン……ドロー……」

 

剣 手札:3+1

 

「……俺は《俊足のギラザウルス》を特殊召喚……」

 

剣の場に1体の恐竜が現れる。

 

ATK:1400

 

「このカードは手札から特殊召喚する事が出来る……その代わり…相手は相手の墓地からモンスターを特殊召喚出来る……」

 

「な、何だって!? 馬鹿かあいつ!」

 

「ど、どうして空にそんなチャンスを……」

 

「あの恐竜……そこまでして出す価値があるとは思えないが……」

 

鋼貴、遊伸、高尾は剣の不可解な行動に動揺する。

 

「そこまでして出す価値……あるとしたら、あれは間違いなく猛反撃への布石だろうな」

 

グレイグは真剣な顔で剣を見る。

 

「……私は《ガスタ・サンボルト》を特殊召喚」

 

空は警戒して、リクルーターであるサンボルトを特殊召喚する。

 

DEF:1200

 

「……俺は俊足のギラザウルスをリリースし、《アームド・ドラゴン LV5》をアドバンス召喚……」

 

俊足のギラザウルスが消えると、アームド・ドラゴン LV5が再び現れる。

 

ATK:2400→1900(強者の苦痛により)

 

「2体目!? あの恐竜はリリース素材だったのか……成る程、さっきの効果を使えば2体とも倒せるという事か…」

 

遊伸は剣の戦術を予想し、納得する。

 

「……魔法カード《レベルアップ!》を発動……場に表側表示で存在する《LV》を持つモンスター1体を墓地へ送り、そのカードに記されているモンスターを召喚条件を無視して手札またはデッキから特殊召喚する……場の《アームド・ドラゴン LV5》を墓地に送り、デッキから《アームド・ドラゴン LV7》を特殊召喚……」

 

アームド・ドラゴン LV5が消えると、そこにLV5よりも強大な竜が現れる。

その姿はまさに武装した竜(アームド・ドラゴン)、頭部や腹部を装甲で覆い、LV5の頃からある特徴も全てがより強力な物となっている。

 

ATK:2800→2100

 

「LV7!? とうとう最終形態となったぞ!」

 

高尾が進化したアームド・ドラゴンを見て叫ぶ。

 

「本当か高尾!? くそ! やべぇぞ空! 気をつけろ!」

 

鋼貴が空に向かって叫ぶ。

 

「……アームド・ドラゴン LV7の効果発動……手札からモンスター1体を墓地へ送る事で…そのモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ相手の場に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する……手札から墓地に送るのは《アームド・ドラゴン LV7》……攻撃力2800以下の相手モンスターを破壊……《ジェノサイド・カッター》……」

 

アームド・ドラゴン LV7が腹部の刃をチェーンソーの様に回転させ、無数の斬撃を放つ。

その斬撃によってブラック・コーン号は大破、サンボルトは破壊される。

 

「わわわ!? 退避退避!」

 

空はブラック・コーン号の上にいるガスタ達に呼びかけると、ガスタ達は姿を消し、ブラック・コーン号は元の穴へと沈んでいく。

 

「……バトル……アームド・ドラゴン LV7で直接攻撃……《アームド・ヴァニッシャー》……」

 

アームド・ドラゴン LV7が空に向かって突撃し、目の前まで来ると腕を回転させて空を殴ろうとする。

その時、空の前にダイガスタ・エメラルが現れ、両腕の盾で”闇のデュエル”のダメージを防ぐ。

 

「ダイガスタ・エメラル! ありがとう!」

 

空 LP:8000→5900

 

「(おや? 変ですね……ダメージが見えない)」

 

安藤は空が”闇のデュエル”のダメージを受けていない事に気付く。

 

「空! 大丈夫か!?」

 

鋼貴が心配して声を掛けると、空は笑って手を振る。

 

「あ、あれ? 大丈夫そうだな……」

 

「空は大丈夫なんだよ、お守りを持っているからね」

 

「お守り? そんな便利なもんがあるのか?」

 

「うん、空にだけ効果があるお守りがね」

 

「???」

 

遊伸はダイガスタ・エメラル、精霊達について考える。

精霊という存在がいる事は解った。

それが大事な”絆”の象徴である事も、だが未だに解らない事はまだある。

今のダイガスタ・エメラルの事もその一つだ。

どうしてダイガスタ・エメラルは空をダメージから守る事が出来るのか、どうしてあの時自分も守ってくれたのか。

 

「(何時か解るといいな……)」

 

 

空はダイガスタ・エメラルがダメージを防ぎ、再び消えようとするのを引き止める。

 

「(待って……守ってくれてありがとう。 …この前の遊伸の様に、皆を守る事は出来る?)」

 

空はダイガスタ・エメラルに尋ねる。

ダイガスタ・エメラルは他の精霊と違い、空を守る時だけ姿を現す。

空は何度もデュエル外で話かけてみたが、ダイガスタ・エメラルは姿を現さなかった。

なのでこの現れる瞬間に、今一番の頼みをしようと空は考えた。

 

「(…)」

 

しかしダイガスタ・エメラルは言葉を発さず、力なく首を横に振るとそのまま姿を消す。

 

「(…もしかして、私がすぐ側にいなければ無理なのかな……)」

 

「……ターンエンド……」

 

LP:5100

手札:0

モンスター

・アームド・ドラゴン LV7

魔法・罠

・セット

 

「私のターン! ドロー!」

 

空 手札:1+1

 

「私はカードを伏せてターンエンド!」

 

LP:5900

手札:1

モンスター

・無し

魔法・罠

・セット

・強者の苦痛

・セット

 

「俺のターン……ドロー……」

 

剣 手札:0+1

 

「……バトル……アームド・ドラゴン LV7で攻撃……《アームド・ヴァニッシャー》……」

 

「罠カード《ガード・ブロック》を発動! ダメージを0にして1枚ドロー!」

 

空 手札:1+1

 

アームド・ドラゴン LV7が空に拳を振り下ろすが、ガードブロックの障壁に遮られる。

 

「……ターンエンド」

 

LP:5100

手札:1

モンスター

・アームド・ドラゴン LV7

魔法・罠

・セット

 

「私のターン! ドロー!」

 

空 手札:2+1

 

「魔法カード《ガルドスの羽根ペン》を発動! 自分の墓地の風属性を2体デッキに戻して、場のカードを1枚持ち主の手札に戻すよ! 《アームド・ドラゴン LV7》を手札に!」

 

デッキに戻した風属性

風の精霊 ガルーダ

電光千鳥

 

アームド・ドラゴンを風が包むと、アームド・ドラゴンの姿が消える。

 

「よし! LV7はそうそう再召喚出来るモンスターじゃない! 今がチャンスだ! 頑張れ空!」

 

やってきたチャンス、遊伸は空に声援を送る。

 

「うん! 《ガスタの静寂 カーム》を召喚!」

 

空の場にカームが現れる。

カームは空に振り向き、笑いかけると相手に向き直る。

 

ATK:1700

 

「カームで攻撃! 《サイレント・ウインド》!」

 

カームが杖を構え、静かに詠唱すると、剣の周りに静かな風が吹き始める。

詠唱が終わり、カームが目を見開き、杖を相手につき付けると、風が剣を切り刻む。

 

「…」

 

剣 LP:5100→3400

 

「私はカードを伏せてターンエンド!」

 

LP:5900

手札:0

モンスター

・ガスタの静寂 カーム

魔法・罠

・セット

・強者の苦痛

・セット

 

「俺のターン……ドロー……」

 

剣 手札:2+1

 

「……召喚」

 

剣の場に現れたのは”黒い何か”、ファントム・オブ・カオスである。

 

ATK:0

 

「来た…!」

 

空はファントム・オブ・カオスに対して身構える。

剣は墓地からカードを取り出してファントム・オブ・カオスに向かって投げる。

ファントム・オブ・カオスがそれを取り込むと、姿を変形させる。

目の前に現れたのは黒い《アームド・ドラゴン LV7》。

 

ATK:2800→2400

 

「……ファントム・オブ・カオス(アームド・ドラゴン LV7)をリリース……《アームド・ドラゴン LV10》を特殊召喚……」

 

ファントム・オブ・カオス(アームド・ドラゴン LV7)が消えると、現れたのはLV7よりも強大な力を持ったアームド・ドラゴン。

さらに巨大化した体、さらに強力になった武装、これこそが本当のアームド・ドラゴン最終形態、 アームド・ドラゴン LV10である。

 

ATK:3000→2000

 

「馬鹿な!? アームド・ドラゴンはLV7までのはず!?」

 

高尾が驚きの声を上げる。

 

「この感じ……”闇のカード”!?」

 

遊伸がそう叫んで安藤を見る。

 

「ご名答です、私もアームド・ドラゴンの噂は聞いていました。 ですから持ち主の彼が連れて来られた時に少し研究させて貰ったんですよ、そして研究の結果、作り上げたのがこの《アームド・ドラゴン LV10》です。 このデュエルはその実験も兼ねています」

 

「テメェ……人の魂のカードを……!」

 

鋼貴は怒りに震え、今にも安藤に掴みかかりそうな勢いである。

 

「おっと、乱暴はよしてくださいね? 貴方も決闘者の端くれなら、こっちで勝負してください」

 

安藤は左腕を胸の前で構える。

決闘盤を構えた時と同じ構えである。

 

「テメェが決闘者を語るんじゃねーよ!!」

 

鋼貴はそう怒鳴ってから怒りの矛先を一旦下げる。

 

「……アームド・ドラゴン LV10の効果発動……手札を1枚墓地に送る事で、相手の場の表側表示モンスターを全て破壊する……《ジェノサイド・ビッグ・カッター》……」

 

墓地に送ったカード

アームド・ドラゴン LV7

 

アームド・ドラゴン LV10がジェノサイド・カッターよりも凄まじい斬撃の嵐を放つと、それに巻き込まれたカームは跡形も無く消えてしまった。

 

「カーム!?」

 

「……バトル……アームド・ドラゴン LV10で直接攻撃……《アームド・ビッグ・バニッシャー》……」

 

アームド・ドラゴン LV10が空を押しつぶそうと突進し、腕を振り上げ、下ろす。

ダイガスタ・エメラルが再び現れると、盾で”闇のデュエル”と”闇のカード”のダメージを防ぐ。

 

「ありがとう! エメラル!」

 

空 LP:5900→3900

 

「……ターンエンド……」

 

LP:3400

手札:0

モンスター

・アームド・ドラゴン LV10

魔法・罠

・セット

 

「アームド・ドラゴン LV10……攻撃力が1000も下げられているのに、恐ろしいモンスターだ…」

 

「だが倒すなら今だ! あの伏せカードも罠じゃねぇみたいだし、攻撃力が下がっている! 空ならやれるぜ!」

 

アームド・ドラゴン LV10の恐ろしい力に驚愕している高尾に鋼貴が笑う。

 

「私のターン! ドロー!」

 

空 手札:0+1

 

「私は罠カード《リビングデッドの呼び声》を発動! 墓地の《ガスタの静寂 カーム》を特殊召喚!」

 

空の場に再びカームが現れる。

 

ATK:1700

 

「カームの効果発動! 1ターンに1度、自分の墓地に存在する《ガスタ》と名のついたモンスター2体をデッキに戻す事でカードを1枚ドロー! 《静寂の風》!」

 

デッキに戻したカード

ガスタ・サンボルト

ガスタの神官 ムスト

 

空 手札:1+1

 

「よし! 《スピッド・バード》を召喚!」

 

空の場に翼竜によく似た鳥獣が現れる。

 

ATK:1200

 

「もう一回!  レベル4の《ガスタの静寂 カーム》と《スピッド・バード》をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」 

 

空の場のガスタの静寂 カームとスピッド・バードが緑の光球になると、現れた穴に吸い込まれる。

その穴から赤い閃光が放たれ、再び飾られた一振りの刀が現れる。

 

「エクシーズ召喚! 《電光千鳥》!」

 

再び電光千鳥が場に現れる。

 

ATK:1900

 

「電光千鳥の効果発動! エクシーズ召喚に成功した時、相手の場にセットされたカード1枚を選択して持ち主のデッキの一番下に戻す! 私はその伏せカードを戻すよ!」

 

電光千鳥が剣の伏せカードに電撃を放つ。

 

「……チェーン発動……罠カード《無謀な欲張り》を発動……この後2ターン…ドローが出来なくなる代わりに2枚ドロー……」

 

剣 手札:0+2

 

「またチェーン発動……なら今度はこっち! もう一つの効果発動! 1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて相手の場に表側表示で存在するカード1枚を選択して持ち主のデッキの一番上に戻す! 私が選択するのは《アームド・ドラゴン LV10》! 」

 

取り除いたユニット:ガスタの静寂 カーム

 

電光千鳥は周りを漂っているユニットを一つ体に取り込むと、強力な電撃をアームド・ドラゴン LV10に放つと、アームド・ドラゴンは電撃に包まれ、そのまま消え去る。

 

「惜しい! さっきの無謀な欲張りが無ければ、相手が次にドローするカードはアームド・ドラゴン LV10、相手は何も出来なくなり、空の勝利が確定していた……」

 

高尾は悔しそうに言う。

 

「バトル! 電光千鳥で攻撃! 《電光一閃》!」

 

電光千鳥は最初と同じ様に、剣に電撃を浴びせる。

 

「…」

 

剣 LP:3400→1500

 

「これでターンエンド!」

 

LP:3900

手札:1

モンスター

・電光千鳥

(オーバーレイ・ユニット:スピッド・バード)

魔法・罠

・セット

・強者の苦痛

・リビングデッドの呼び声

 

「俺のターン……無謀な欲張りの効果によりドローは出来ない……」

 

「問題はあの時何を引いたかだ……何を引いた?」

 

グレイグは剣を渋い顔で睨む。

 

「魔法カード《おろかな埋葬》を発動……デッキからモンスター1体を墓地へ送る……《ヘル・ドラゴン》を墓地へ……」

 

この瞬間、空の前に3枚の闇属性モンスターのカードのソリッド・ビジョンが展開される。

 

「!? これ、燃次達の時にも……」

 

「……自分の墓地の闇属性が3体のみの場合……特殊召喚する事が出来る……現れよ……《ダーク・アームド・ドラゴン》……」

 

剣の場に現れたのはアームド・ドラゴン LV7。

しかし突如アームド・ドラゴンの下から”黒い何か”が飛び出すと、アームド・ドラゴンを覆ってしまう。

”黒い何か”がアームド・ドラゴンを完全に覆うと、そこには漆黒のアームド・ドラゴンが立っていた。

先程ファントム・オブ・カオスが変形した姿の黒いアームド・ドラゴンが現れたが、それよりも圧倒的な”力”を、このアームド・ドラゴンは感じさせる。

 

ATK:2800→2100

 

「”大いなる力”…!?」

 

遊伸はダーク・アームド・ドラゴンを見て感じ取る。

前に現れたガイウス、堕天使ゼラートと同じ”気配”を。

 

「おお、どうやら”大いなる力”もアームド・ドラゴンに興味を持ったようですね。 先程の2体よりも力の入れようが違う気がします」

 

安藤がダーク・アームド・ドラゴンを見ながら笑う。

 

「……ダーク・アームド・ドラゴンの効果発動……自分の墓地の闇属性1体をゲームから除外する事で場のカード1枚を選択して破壊する……《ダーク・ジェノサイド・カッター》……」

 

剣が墓地の闇属性全てを除外すると、ダーク・アームド・ドラゴンが斬撃を3発放つ。

何れも空のカードを切り裂き、破壊する。

 

破壊した順番

電光千鳥

強者の苦痛

セット《イクイップ・シュート》

 

「嘘!? 私のカードが!?」

 

「バトル……ダーク・アームド・ドラゴンで直接攻撃……《ダーク・アームド・ヴァニッシャー》……」

 

ATK:2100→2800

 

ダーク・アームド・ドラゴンが空に突進し、黒いオーラを纏った拳を振り下ろす。

ダイガスタ・エメラルがそれを防ぎ、空を守るが、力が今まで以上に強かったからなのか、防ぎきった後、膝を付いて消えてしまう。

 

「ダイガスタ・エメラル!? ごめんね……」

 

空 LP:3900→1100

 

「……ターンエンド……」

 

LP:1500

手札:0

モンスター

・ダーク・アームド・ドラゴン

魔法・罠

・無し

 

「やばいぞ!? このままじゃ!」

 

「空…」

 

鋼貴と遊伸が顔に焦りを浮かべて空を見る。

その時、空が遊伸達に振り向く。

 

「コラ! 何でそんな顔してるのかなっ!」

 

「そ、空?」

 

空の突然の言葉に遊伸は驚く。

 

「大丈夫、私……絶対に諦めない! LPとカードがある限り、だから……私を信じて!」

 

「空……よし! 空! ラストターンだ!」

 

「うん!」

 

空は剣に向き直る。

 

「私のターン! ドロー!!!」

 

空 手札:1+1

 

「…私は魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動! 手札からモンスターを1体墓地に送る事で、手札、デッキからレベル1モンスターを1体特殊召喚するよ! 私は手札の《ガスタ・グリフ》を墓地に送って、デッキからチューナーモンスター《ヴァイロン・スフィア》を特殊召喚!」

 

空の場にヴァイロン・スフィアが現れる。

 

ATK:400

 

「そして墓地に送られた《ガスタ・グリフ》の効果発動! 手札から墓地へ送られた場合、デッキから《ガスタ》を1体特殊召喚出来るよ! 私はデッキから《ガスタの疾風 リーズ》を特殊召喚!」

 

空の場にリーズが現れる。

久々の出番に気合十分、杖を振り回し、構える。

 

ATK:1900

 

「行くよ! レベル5《ガスタの疾風 リーズ》に、レベル1《ヴァイロン・スフィア》をチューニング!」

 

ヴァイロン・スフィアが変形し、リーズの前に来ると、突風が周りに吹き荒れ、2体が見えなくなる。

 

「偉大なる一族の疾風よ! 大いなる光の力を制し、己の使命を果せ! シンクロ召喚! ガスタの守護戦士《ダイガスタ・スフィアード》!!」

 

突風が止むと、そこにはダイガスタ・スフィアードが立っていた。

ダイガスタ・スフィアードはダーク・アームド・ドラゴンに対して杖を構える。

 

ATK:2000

 

「ダイガスタ・スフィアードの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、自分の墓地の《ガスタ》と名のついたカード1枚を選択して手札に戻す事が出来るよ! 私は《ガスタ・グリフ》を手札に! そして召喚!」

 

空の場にガスタの鳥獣族、ガスタ・グリフが現れる。

 

ATK:800

 

「ダイガスタ・スフィアードのモンスター効果! 表側表示で存在する限り、自分の場の《ガスタ》の戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける! これで最後! 《ガスタ・グリフ》でダーク・アームド・ドラゴンを攻撃! 《ダイガスタ・リフレクション・ダッシュ》!!!」

 

ダイガスタ・スフィアードが呪文を詠唱し、ガスタ・グリフに術をかけると、光輝く風を纏ってガスタ・グリフがダーク・アームド・ドラゴンに突進する。

ダーク・アームド・ドラゴンが黒いオーラを纏った拳で迎え撃つが、ガスタ・グリフと激突した瞬間、ダーク・アームド・ドラゴンを覆っていた”黒い何か”が掻き消され、アームド・ドラゴン LV7へと戻る。

アームド・ドラゴンはフラフラと後退すると、後ろにいる剣に向かって倒れる。

 

「……!」

 

剣 LP:1500→0

 

黒い炎とソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴った。

 

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