遊戯王~Truth of Satellite~ 作:鬼柳高原
カードの効果を勘違いしていたのでその部分を修正しました
「皆! やったよ!」
空はカードと決闘盤を収めると、遊伸達の元へと走って戻る。
「空、凄かったよ!」
遊伸が空に称賛を送る。
「ありがとう! ガスタ達はしっかり答えてくれたし、遊伸や皆が信じてくれたから勝てたよ!」
「お、おい……空、本当に何ともないのか…?」
鋼貴の言葉に空が振り向くと、遊伸以外のメンバーが不思議そうな目で空を見ている。
”闇のデュエル”の激戦を行ったのに、まったくの無傷の様子で帰って来たのだ、不思議に思って当然であろう。
「あれはやせ我慢で何とかなる様なものじゃないぞ……」
冷次が痛みを思い出したかの様に自分の胸を撫でる。
「空、無理して無いよな?」
高尾が心配して空に声を掛ける。
「(うーん……さっきお守りとか言っちゃったけど、皆納得しないよなぁ……何て説明すればいいかな……)」
遊伸が一人悩んでいると、空が笑いながら口を開く。
「私にもよく解んないけど……もしかして私もサイコ・デュエリストだったりして!」
「え!?」
遊伸も含めて皆驚く。
「ま、まさかそんな事あるのか? あいつ等みたいな力が空に? まさか~!」
燃次は信じていない様子。
「いや、ありえるぞ! 姉ちゃんがそうだからな! 空がそうでもおかしくない!」
鋼貴は空の嘘に納得した様子。
空は事情を知らない者達に姉の七海がサイコ・デュエリストだった事を話すと、皆”空がダメージを受けないのはサイコ・パワーで防いでるから”という事で納得した。
「空、今のは?」
小声で遊伸が空に尋ねる。
「精霊って言ってもすぐには信じて貰えないよ、それに今皆にとって訳の解らない事を増やしちゃうのは良くないと思うし……でも、何時かは本当の事を話そうと思ってるよ、今は皆デュエルに集中しなきゃ」
「成る程……空はしっかり考えてるなぁ」
遊伸は感心した様に頷く。
「(”闇のデュエル”のダメージはサイコ・パワーでも防げるものではない……一体何者なんでしょうね、彼女……)」
安藤は空の力に興味を覚えたが、今は言い渡された役目を優先する。
「今度は逆に”ファントム・オブ・カオス”、”大いなる力”、”闇のカード”……全てを破って勝利するとは、見事です、見ていて飽きませんね。 それでは6戦目を始めましょう」
安藤が手招きすると、6人目が立ち上がり、フードを脱ぐ。
女性であった。
彼女も他と同様、目は虚ろである。
「おおお! 美人だ!」
鋼貴が真っ先に叫ぶ。
「高尾さん、あの人は?」
空が物知りの高尾に尋ねる。
「いや……知らないな、プロではないと思うが……」
「高尾さんでも分からないの!?」
空は口を掌で覆って驚く。
「いや、驚きすぎだろ……俺にだって分からない事はあるさ……」
「彼女はデュエルアカデミアの教師だと私は聞いていますね」
高尾が難しい顔をしていると、安藤が教えてくれる。
「アカデミアの? 俺は知らないな……若いし、今年入った教師じゃないのか?」
そう言って高尾は空を見る。
「う~ん……あ! 思い出した! あの人教育実習生の人だよ! 始業式で見た気がする!」
「そういう事か……(それにしても、プロ、サイコ・デュエリスト、元プロ、強豪アマ、アカデミア生、教師見習い……バラバラだな、どういう基準で選んでいるんだ? 全員強いというのが共通しているが……)」
高尾は七人のメンバー構成に疑問を覚える。
「よし遊伸! 俺に行かせてくれ! お前はある意味大将だし、ここは俺が出た方がいいと思うんだが?」
「う、うん……じゃあよろしく頼むよ鋼貴……」
遊伸は鋼貴の勢いに押されながら承諾する。
「よっしゃー! 行って来るぜ!」
鋼貴は喜び勇んで決闘場に入る。
「まったくあいつは……」
「いや、鋼牙さんは少し見習った方がいいと思うぞ、もう25だろ? そろそろいい人を探したらどうだ? あんたなら一人や二人、簡単に見つけられると思うぞ」
「グレイグさん、親父やお袋みたいな事言わんでください……今自分はデュエルに生きているので……」
鋼牙は少しだけ顔を顰める。
「どうも!」
鋼貴が声を掛けても実習生の女性は反応しない。
「(ああ……そういえば感情を眠らされてんだった……でも無表情も……いやいや! 許しちゃおけんぞ!) 今俺が助けますよ!」
「デュエル!!!」
「……デュエル」
この瞬間、黒い炎が決闘場を囲む。
先攻 鋼貴
「俺のターン! ドロー!」
鋼貴 手札:5+1
「《マシンナーズ・ギアフレーム》を召喚!」
鋼貴の場にマシンナーズ・ギアフレームが現れる。
場に現れたギアフレームは目を光らせ、効果を使用する時の起動音を鳴らす。
ATK:1800
「ギアフレームの効果発動! 召喚に成功した時、自分のデッキから《マシンナーズ・ギアフレーム》以外の《マシンナーズ》と名のついたモンスター1体を手札に加える事が出来る! 俺は《マシンナーズ・フォートレス》を手札に!」
鋼貴 手札:5+1
「カードを2枚伏せターンエンド!」
LP:8000
手札:4
モンスター
・マシンナーズ・ギアフレーム
魔法・罠
・セット
・セット
「私のターン……ドロー……」
実習生 手札:5+1
「……《人造人間7号》を召喚」
場に人工的に造られた機械人間が現れる。
ATK:500
「んん!? 随分と似合わないカード使うな……しかも弱い」
「……魔法カード《
続いて場に現れたのは体中に布を巻いた馬。
布の隙間から青い炎の様な物が体を覆っている。
ATK:500
「またそんなカード……(ホントに実習生なのか?)」
「……このカード達は相手の場にモンスターがいても相手に直接攻撃が出来る……バトル……2体で攻撃……」
人造人間7号とナイトメア・ホースが鋼貴を攻撃する。
「ぐお! ぐあ! ……ダメージは小さくても連続は効くな……」
鋼貴 LP:8000→7500→7000
「バトル終了……レベル2の《人造人間7号》と《ナイトメア・ホース》をオーバーレイ……2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築……」
2体が紫の光球に変わると、地面に現れた穴に吸い込まれ、赤い閃光を放つ。
「エクシーズ召喚……《ガチガチガンテツ》……」
赤い閃光を放ちながら現れたのは筋骨隆々な大男。
岩石の様な体を丸めて防御体勢をとる。
DEF:1800
「……ガチガチガンテツの効果……このカードが場に表側表示で存在する限り…自分の場のモンスターの攻守はこのカードのオーバーレイ・ユニットの数×200ポイントアップする……」
ガチガチガンテツ DEF:1800→2200
「カードを3枚伏せてターンエンド……」
LP:8000
手札:0
モンスター
・ガチガチガンテツ
(オーバーレイ・ユニット:人造人間7号、ナイトメア・ホース)
魔法・罠
・セット
・セット
・セット
「(成る程ね、さっきの弱いモンスターはエクシーズ素材か、全体強化は厄介だし、早々に片付けてやる! ……それにしても、使うモンスターと本人のイメージが反比例してるな……)」
鋼貴は目の前のガチガチガンテツと実習生の女性を見比べる。
「俺のターン! ドロー!」
鋼貴 手札:4+1
「手札から《マシンナーズ・フォートレス》の効果発動! 合計レベル8になるように機械族を捨てて手札、または墓地から特殊召喚する! 《マシンナーズ・ディフェンダー》と《マシンナーズ・フォートレス》を捨てて、墓地から《マシンナーズ・フォートレス》を特殊召喚!」
鋼貴の場に鋼貴のエースモンスター、マシンナーズ・フォートレスが現れる。
その青いボディを輝かせ、キャノン砲を構える。
ATK:2500
「行くぜ! バトル! マシンナーズ・フォートレスで攻撃!」
「…永続罠《グラヴィティ・バインド-超重力の網-》を発動……場のレベル4以上のモンスターは攻撃出来ない……」
場の全体に見えない網が掛かり、鋼貴のモンスターは全て動きが止まる。
「げっ……くそ! バトル終了! 永続罠《リビングデッドの呼び声》を発動! 墓地から《マシンナーズ・ディフェンダー》を特殊召喚!」
鋼貴の場にマシンナーズ・ディフェンダーが現れる。
ATK:1200
「レベル4が攻撃出来ねぇならランク4だ! レベル4の《マシンナーズ・ギアフレーム》と《マシンナーズ・ディフェンダー》をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」
マシンナーズ・ギアフレームとマシンナーズ・ディフェンダーがオレンジ色の光球に変わり、地面に現れた穴に吸い込まれ、赤い閃光を放つ。
「エクシーズ召喚! 来い! 《ギアギガント X》!」
穴から赤い閃光が放たれると、ギアギガント Xが全身の歯車を回転させ、現れる。
ATK:2300
「ギアギガント Xの効果発動! 1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて自分のデッキ・墓地からレベル4以下の機械族1体を選んで手札に加える! 俺はデッキから《マシンナーズ・ピースキーパー》を手札に!」
取り除いたユニット:マシンナーズ・ディフェンダー
鋼貴 手札:3+1
「カードを伏せてターンエンド!」
LP:7000
手札:3
モンスター
・マシンナーズ・フォートレス
・ギアギガント X
(オーバーレイ・ユニット:マシンナーズ・ギアフレーム)
魔法・罠
・セット
・リビングデッドの呼び声
・セット
「私のターン……ドロー……」
実習生 手札:1+1
「……私はチューナーモンスター《復讐の女戦士ローズ》を召喚……」
実習生の女性の場に復讐の女戦士ローズが現れる。
遊伸も使用した戦士族チューナーである。
ATK1600
「永続罠《アポピスの化神》を発動……このカードはモンスターとして場に特殊召喚される……」
続いて現れたのは蛇に人間型の体がくっついた奇妙な罠モンスターが現れる。
ATK:1600
「罠モンスター……鋼貴も使っていたな……場にはチューナー、なら次に来るのは……」
遊伸は実習生の女性のその次の行動を予想する。
シンクロか、エクシーズか。
「……レベル4《アポピスの化神》に、レベル4《復讐の女戦士ローズ》をチューニング……」
「シンクロか!」
復讐の女戦士ローズが自身を4つの光輪に変えると、 アポピスの化神を囲い、4つの光に変わった途端、それらが黒くなり、漆黒の柱へと変わる。
「心の闇より生まれし者……今…魂と引き替えに降臨するがいい……シンクロ召喚……脈動せよ……《ブラッド・メフィスト》……」
漆黒の柱から現れたのは奇術師の様な格好をした幽霊の様な悪魔。
青白い肌をし、頭にはシルクハット、肩にはボロボロのマント、手には髑髏の付いた杖を持っている。
ATK:2800→3200(ガチガチガンテツの効果により)
「こいつは……闇のカード!?」
鋼貴はフィッツジェラルドと対峙した時を思い出す。
「……ターンエンド」
LP:8000
手札:0
モンスター
・ガチガチガンテツ
(オーバーレイ・ユニット:人造人間7号、ナイトメア・ホース)
・ブラッド・メフィスト
魔法・罠
・セット
・グラヴィティ・バインド-超重力の網-
「(……遊伸の話じゃ”闇のデュエル”と”闇のカード”のダメージが同時に起こるとやべぇらしいが……何て事はねぇ! 自分の罠で動けなくなってるじゃねぇか!) 俺のターン! ドロー!」
鋼貴 手札:3+1
「相手のスタンバイフェイズ……相手の場に存在するカード1枚につき相手LPに300ポイントダメージを与える事が出来る……カードは5枚……1500ポイントのダメージを与える……」
ブラッド・メフィストが鋼貴に向けて黒いエネルギーの球体を放つ。
「うわぁぁぁ!!!」
鋼貴 手札:7000→5500
鋼貴に球体が命中すると、鋼貴は衝撃で後ろに吹っ飛ばされる。
「鋼貴!?」
遊伸が驚いて叫ぶ。
「うおぉ……ぐっ……平気だ……テオドールの時と比べりゃ……」
鋼貴はよろよろと立ち上がる。
「あの”闇のカード”の効果も恐ろしい物だが、それ以上危険なのは効果ダメージでも戦闘と同様の”闇のカード”のダメージが入る事だ! このままあのブラッド・メフィストを残しておけばデュエル以前に鋼貴が危険だ!」
高尾が驚愕した顔でブラッド・メフィストを見る。
「鋼貴! 何としてもブラッド・メフィストを除去しろ!」
鋼牙が鋼貴に叫ぶ。
「解ってらぁ! (だがグラヴィティ・バインドのせいでフォートレスは攻撃出来ない……ギアギガントの攻撃力じゃブラッド・メフィストを倒せねぇ……ならまず厄介な全体強化……) ギアギガント Xでガチガチガンテツを攻撃! 《ギガント・ナックル》!」
ギアギガント Xがガチガチガンテツを殴りつけるが、ガチガチガンテツが自身の周りを漂っていたユニットを一つ取り込むと、ギアギガント Xの拳を弾く。
取り除いたユニット
ナイトメア・ホース
「何!?」
「ガチガチガンテツの効果……このカードが破壊される場合、代わりにこのカードのオーバーレイ・ユニットを1つ取り除く事が出来る……」
ブラッド・メフィスト ATK:3200→3000
ガチガチガンテツ DEF:2200→2000
「くそ……バトル終了、カードを伏せて……」
「ブラッド・メフィストの効果発動……相手が魔法・罠をセットした時、相手LPに300ポイントダメージを与える……」
ブラッド・メフィストが小さいエネルギー体を鋼貴に向かって放つ。
「ぐあっ! ぐう……マジかよ……」
鋼貴 LP:5500→5200
「セットの時までダメージがあるのかよ! 与えるダメージ量といい、陰湿なカードだぜ!」
燃次が怒りながらブラッド・メフィストを非難する。
「ターンエンド!」
LP:5200
手札:3
モンスター
・マシンナーズ・フォートレス
・ギアギガント X
(オーバーレイ・ユニット:マシンナーズ・ギアフレーム)
魔法・罠
・セット
・リビングデッドの呼び声
・セット
・セット
「私のターン……ドロー……」
実習生 手札:0+1
「この瞬間! 罠カード《強制脱出装置》を発動! 場のモンスターを1体持ち主の手札に戻す! 《ブラッド・メフィスト》! 手札に戻りやがれ!」
「……カウンター罠《魔宮の賄賂》を発動……魔法・罠の発動を無効にして破壊……相手はカードを1枚ドローする……」
カウンター罠が発動すると、鋼貴の強制脱出装置が効果を発動出来ず、消滅する。
「くそっ! 板垣みたいな事を……」
鋼貴 手札:3+1
「……カードを伏せてターンエンド」
LP:8000
手札:0
モンスター
・ガチガチガンテツ
(オーバーレイ・ユニット:人造人間7号)
・ブラッド・メフィスト
魔法・罠
・グラヴィティ・バインド-超重力の網-
・セット
「このまま鋼貴をバーンで嬲る気か……確かに燃次の言う通りだな」
冷次が険しい顔でブラッド・メフィストを睨む。
「それよりも鋼貴のスタンバイフェイズになったらまたあの効果で鋼貴が……(エメラル、どうしても無理なの?) …鋼貴ー!」
空が叫ぶと、鋼貴が先程の空の真似をして振り向く。
「コラ! なんつー顔してんだ!」
「だって……」
「この鋼貴様はあの程度で沈むか! 今度は覚悟が出来ている! 俺のターン! ドロー!」
鋼貴 手札:4+1
「相手のスタンバイフェイズ……カードは5枚……1500ポイントのダメージを与える……」
再びブラッド・メフィストが鋼貴に向けて黒いエネルギーの球体を放つ。
「うおぉぉぉ!!!」
鋼貴 LP:5200→3700
鋼貴は押されつつも、立ったまま衝撃に耐える。
「鋼貴! 大丈夫か!」
鋼牙が呼び掛ける。
「へへ……覚悟しとけば意外と何とか……ぐっ…」
鋼貴はよろけながらも元の位置へと戻る。
「それによ……引いたぜ! 速攻魔法《サイクロン》を発動! 場の魔法・罠1枚破壊する! 《グラヴィティ・バインド-超重力の網-》を破壊! これで突破だ!」
「……永続罠《宮廷のしきたり》をチェーン発動……お互いにこのカード以外の永続罠を破壊する事は出来ない……」
宮廷のしきたりの効果により、サイクロンでグラヴィティ・バインドを破壊する事が出来ず、サイクロンは消滅する。
「く、くそ……バトル! ギアギガント Xでガチガチガンテツを攻撃! 《ギガント・ナックル》!」
「……ガチガチガンテツの効果発動……」
ギアギガント Xが再び殴りつけるが、ガチガチガンテツはまたユニットを取り込んで攻撃を弾く。
ブラッド・メフィスト ATK:3000→2800
ガチガチガンテツ DEF:2000→1800
「…ターンエンド!」
LP:3700
手札:4
モンスター
・マシンナーズ・フォートレス
・ギアギガント X
(オーバーレイ・ユニット:マシンナーズ・ギアフレーム)
魔法・罠
・セット
・リビングデッドの呼び声
・セット
「おいおい! 突破出来ねぇのか!? くそう! あの伏せカードどうにかなんねぇのかよ!」
燃次が焦りながら鋼貴の伏せカードを見て言う。
鋼貴の場のカードを減らせればスタンバイフェイズのダメージを減らせるからである。
「おそらくあの伏せカードはフリーチェーン以外、または永続罠だろう、発動して減らしたくても出来ないんだ……!」
高尾は悔しそうに言う。
高尾の予想通り、鋼貴の伏せカードは次元幽閉、聖なるバリア-ミラーフォース-、どちらも攻撃反応型の強力なカードだが、相手が攻撃して来なければ発動も出来ない。
「私のターン……ドロー……」
実習生 手札:0+1
「……魔法カード《デス・メテオ》を発動……相手に1000ポイントのダメージを与える……」
鋼貴の頭上に大きな火球が現れると、鋼貴目掛けて落下する。
「うおぉ!! …ぐあ……」
鋼貴 LP:3700→2700
「ターンエンド……」
LP:8000
手札:0
モンスター
・ガチガチガンテツ
・ブラッド・メフィスト
魔法・罠
・グラヴィティ・バインド-超重力の網-
・宮廷のしきたり
「鋼貴のLPがさらに減った……くそ! これで次のターンのスタンバイフェイズにLPは1200、次のターンで何とかしなければ鋼貴の負けだ!」
高尾が拳を握り締める。
状況は絶望的、鋼貴のLPは2700、場にはカードが多数あるが、殆ど使い物にならない。
攻撃出来るのはギアギガント Xのみ。
さらに相手は無傷のLP8000、しかも場には毎ターンダメージを与える大型モンスター、ブラッド・メフィストがいる。
「……鋼貴!」
鋼牙が鋼貴に声を掛ける。
「お前の力はこんな物ではないはずだ! 思い出せ! 俺に勝った時の事を! あの時のお前なら勝てる!」
「……解ってるぜ兄貴! 俺は勝つ! 何せ……兄貴に勝ったんだからな! 俺のターン! ドロー!」
鋼貴 手札:4+1
「来い!」
鋼貴はブラッド・メフィストに身構える。
「相手のスタンバイフェイズ……カードは5枚……1500ポイントのダメージを与える……」
再びブラッド・メフィストが鋼貴に向けて黒いエネルギーの球体を放つ。
「うおぉぉぉーーー!!!」
鋼貴 LP:2700→1200
鋼貴は先程の様に攻撃に耐えるが、受けきった後に膝と肘を地面につく。
遊伸達は声を発さずに鋼貴が立ち上がる事を祈る。
「ぐ……ぐう……」
鋼貴は力を振り絞り、立ち上がる。
「鋼貴……よかった……」
遊伸が安心して声を出す。
「さあ……これが……ラストターンだ! 魔法カード《打ち出の小槌》を発動! 自分の手札を任意の数デッキに戻しシャッフル! そして戻した分だけドローする! 俺は3枚戻し、3枚ドロー!」
鋼貴 手札:1+3
「…俺はここで止まる訳にはいかねぇ! 俺は……勝つ! 《督戦官コヴィントン》を召喚!」
鋼貴の場に軍人の様な人型ロボットが現れる。
マシンナーズの指揮官、督戦官コヴィントンである。
ATK:1000
「そしてギアギガント Xの効果発動! ユニットを取り除いてデッキから《チューニング・サポーター》を手札に! そして魔法カード《
続けて鋼貴の場にチューニング・サポーターが現れる。
ATK:100
「魔法カード《タンホイザーゲート》を発動! 自分の場の攻撃力1000以下で同じ種族のモンスター2体を選択! 選択した2体のモンスターはその2体のレベルを合計したレベルになる! 俺はレベル1《チューニング・サポーター》と、レベル4《督戦官コヴィントン》を選択! よってこの2体のレベルは―――」
チューニング・サポーター レベル1+4→5
督戦官コヴィントン レベル4+1→5
「タンホイザーゲート…! 俺も使ったカード……なら次に来るのは! 行け! 鋼貴!」
鋼牙には鋼貴が何を出そうとしているのかは分からない、だが兄弟として、全力をぶつけ合った決闘者として、鋼牙は鋼貴の勝利の予感を感じ取った。
「レベル5の《チューニング・サポーター》と《督戦官コヴィントン》をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」
チューニング・サポーターと督戦官コヴィントンがそれぞれ黄色とオレンジ色の光球へと変わると、この空間の天井付近に現れた穴に吸い込まれ、その穴から金色の閃光が放たれる。
「エクシーズ召喚! 《No.33
金色の閃光を放ちながら現れたのは巨大な建造物。
円形状の土台を中心に、その上にも下にも多くの遺跡が建てられており、その土台の中心部にはエネルギー源だろうか、青い光を放つ巨大な球体が見える。
下部の巨大な柱には”33”の数字が見える。
ATK:2400
「これが鋼貴の新しいナンバーズ……」
遊伸は驚きながらマシュ=マックを見上げる。
「へ! やっぱり兄弟だな! 似たようなナンバーズを選んでやがる!」
グレイグはマシュ=マックを見て笑う。
「魔法カード《ミニマム・ガッツ》を発動! 自分のモンスター1体をリリースし、相手の表側表示で存在するモンスター1体を選択! 選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで0になる! 俺は《ギアギガント X》をリリースし、《ブラッド・メフィスト》を選択! 攻撃力を0に!」
ギアギガント Xが消滅すると、ブラッド・メフィストの力が失われ、浮いていたブラッド・メフィストは地面に落ちる。
ATK:2800→0
「マシュ=マックの効果発動! 1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、相手の場に表側表示で存在するモンスター1体を選択! 選択したモンスターの攻撃力とその元々の攻撃力の差分のダメージを相手LPに与え、与えたダメージの数値分だけこのカードの攻撃力をアップする! くらえ! 《インフィニティ・キャノン》!」
マシュ=マックの上下を分けている円形状の土台の側面部から無数の大砲が現れ、実習生の女性に対して一斉に発射する。
「…」
実習生 LP:8000→5200
ATK:2400→5200
「止めだ! マシュ=マックでブラッド・メフィストを攻撃! 《ヴリルの火》!」
マシュ=マックの中心部にある巨大なエネルギー体から巨大な光線が放たれると、ブラッド・メフィストは跡形もなく吹き飛ぶ。
「……!」
実習生 LP:5200→0
黒い炎とソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴った。
鋼貴のデッキって他のメンバーに比べるとガチカードが多いですね。
まあ殆ど無効にされますが。