遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

41 / 58
*今回は第3の試練の説明回です。 デュエルはありません。 ご了承ください。


第41話 第3の試練 ~セブンスターズ~

遊伸と桐原の決着と同時刻  シティ内陸部  治安維持局  デュエルモンスターズ研究所

 

「遊伸君達、無事でしょうか……」

 

友河が不安そうにマイルに尋ねる。

 

「心配は要らんさ! 彼らにはナンバーズ、遊伸君には君のドラゴン、私達が作り上げた”秘密兵器”がある! …それと少々不安だが……”煌く星の竜”もある」

 

「”煌く星の竜”……セイヴァー・スター・ドラゴンの事ですね」

 

「ああ……それにしても、私達にこれを提供した”不届き者”は一体何者なんだろうな?」

 

マイルは一冊のスケッチブックを手に持つ。

それを捲ると、描かれているのは救世竜 セイヴァー・ドラゴン、そしてセイヴァー・スター・ドラゴン。

 

「ええ、あの時は本当に驚きましたよ、数日前、突然”僕の仕事部屋の開けてある窓に向かって外から放り込まれた”んですからね」

 

友河は胸を押さえている。

相当驚いたようだ。

 

「襲撃事件以来、防犯設備を強化したはずなのに、一体どうやって入り込んだんだ……正直、君がそれをカードにしたいと言った時は驚いたよ、そんな怪しい物を……」

 

マイルはその時の事を思い出し、苦笑いする。

 

「ですが所長、スケッチブックにはデザインだけでなく、名前からテキストまで全て書いてありました……これ、何処かであった事ではありませんか?」

 

「……XX-セイバーの事か、成る程、セイヴァー・スター・ドラゴンは遊伸君だけが持つスターダスト・ドラゴンをシンクロ素材としている事から、おそらく遊伸君と近しい人物によるもの……そう考えて、これをカードにしようと思ったのかい?」

 

「……はい、どうして投げ込んだ人が姿を現さないのかは解りませんが、きっと遊伸君の為にした事のはずです……遊伸君の力になるはずです」

 

友河は窓の外を見る、その方角の先にはサテライト、友河はその方角に向かって遊伸達の無事を祈った。

 

 

* * *

 

 

サテライト  B.A.D地区  第2の試練場

 

「…遊伸、もう大丈夫か?」

 

「はい……すいませんでした……もう大丈夫です、グレイグさん」

 

遊伸達は現在、決闘場で円を作るように立っている。

 

「うし! それじゃあ”情報整理ゲーム”始めるぞ」

 

「またやるのかよ……しかもそんな名前だったのか……」

 

鋼貴がウンザリそうな顔をしてグレイグに言う。

 

「いいじゃねぇか、それに今回は少ないから全員にすら回らん、行くぞ! テーマは”現在の状況”! 一つ目! 遊伸!」

 

グレイグが遊伸を指差す。

 

「……僕等は全員で勝利して、”第2の試練”を突破しました」

 

「その通りだ、次二つ目! 空!」

 

グレイグは頷いた後、空を指差す。

 

「遊伸が勝ってから10分位たったね」

 

空は自身の決闘盤に内臓されている時計機能を使って時間を見る。

 

「そうだな、次最後! 鋼貴!」

 

グレイグは鋼貴に振り向いて指差す。

 

「安藤の野郎が何時の間にかいなくなってやがった、俺達を放りっ放し……何で司会進行がいなくなってんだよ!」

 

鋼貴が怒って叫ぶ。

 

[心配しなくても大丈夫ですよ]

 

突然、何処かにあるスピーカーから安藤の声が聞こえてくる。

 

「あ! おいテメェ! どこ行きやがったんだよ!」

 

[準備ですよ、”第3の試練”の為のです。 前のモニターを御覧ください]

 

安藤がそう言うと、上からモニターが下りてくる。

そこの映っているのは―――

 

「テオドール!?」

 

[また会ったな、小僧……いや、第2の試練を突破した事を評して”近衛 遊伸”と呼ばせて貰おう]

 

テオドールが何時もの不敵な笑みを浮かべる。

 

「テオドール! 第2の試練は突破した! 第3の試練は何だ!」

 

[慌てるな、説明は安藤がする……お前達のデュエル、見させて貰った。 精々、第3の試練も奮闘する事だな……だが近衛 遊伸、”第3の試練”を行わずとも、お前と俺は再び戦う運命にあるようだ……]

 

「何だって!? どういう事だ!」

 

遊伸はテオドールの思わせ振りな言葉を問い質そうとする。

 

[知りたければ勝ち抜いて見せろ]

 

そう言ってモニターのテオドールは姿を消す。

 

[という訳で、第3の試練の説明をさせて頂きます、まずは皆さん、奥のエレベーターにお乗りください]

 

安藤がそう言うと、何かが起動する様な音がする。

するとこの空間の相手側後方の壁が開き、そこはエレベーターとなっていた。

 

「おい、この上は何処に繋がってんだ? 俺達はここまでかなり歩いて来た、さっきの入り口じゃないだろ?」

 

グレイグが安藤に尋ねる。

 

[ええ、その通りです。 そのエレベーターは”第3の試練”の場へ上がる為の物です]

 

「……解った、それじゃあ中で説明して貰おうか」

 

グレイグがそう言うと、遊伸達は全員エレベーターへ乗り込む。

エレベーターが起動し、上へ上がり始める。

 

[第3の試練は第2の試練同様、7対7の総力戦です]

 

「じゃあまた同じ様な7人がこの上で待ってんのか?」

 

鋼貴がウンザリして安藤に尋ねる。

 

[それは違います、第3の試練は我々、”セブンスターズ”がお相手させて頂きます]

 

「マジかよ! へへっ、ようやくテオドールに近づいて来たじゃないの!」

 

鋼貴の顔にやる気が広がる。

 

[詳しいルールは到着後に……っと、着きましたね]

 

エレベーターが止まると、扉が開く。

遊伸達がエレベーターから出ると、そこはドームの様な建物の中、目の前の出口には扉が無く、外には大量の瓦礫が見える。

どうやらまだ B.A.D地区の中にいる様だ。

 

「何だここ! 誰もいねぇじゃねーか!」

 

「隠れているのか?」

 

燃次と冷次が辺りを見渡す。

 

[皆さん、外に出てみてください]

 

安藤が遊伸達を促す。

遊伸達はそれに従い、外に出る。

 

「!?」

 

遊伸達が外に出ると、驚くべき物が見えた。

自分達が出てきたドームのすぐ側に、巨大な穴が空いていた。

 

「な、何なんだこれは……こんな大きな穴……見た事がない……」

 

「隕石が落ちたみたい……」

 

遊伸と空は大穴を見ながら驚く。

 

[そこにある大きな穴は”ゼロ・リバース”の発生地……かつて”モーメント”があった場所です]

 

「モーメントがあそこに!?」

 

遊伸は再び目の前の大穴を見る。

 

「で、どうしろって言うんだ? まさかあそこでやるとか言いだすんじゃないだろうな?」

 

グレイグが親指で大穴をを指差す。

 

[いえいえ、あれは単なる目印です、どうぞ中へお戻りください、モニターで説明します]

 

「出ろだの戻れだの面倒な事させやがって……」

 

鋼貴が愚痴を言いながらドームへ戻っていく。

全員がドームに戻ると、ドーム内に取り付けられているモニターに地図が表示される。

 

[よろしいですか? まずこの中心部の大半を占めているのが先程の”ゼロ・リバースによって出来た大穴”、その北側の小さい隣接した施設がこのドームです。 そして”大穴”を中心とした8方位の離れた位置にある決闘場、ここに我々”セブンスターズ”が一人ずつ配置に就いています]

 

「読めたぞ、俺達もバラバラに分かれてデュエルしに行くんだな」

 

グレイグが安藤の声が聞こえてくるスピーカーを指差す。

 

[ご名答です、ただ注意点を2つ程、我らが王、テオドールさんの居城は北にあります。 しかしその扉は硬く閉ざされています]

 

「あ! 解った! 他の6人を倒さなきゃ開かない! でしょ?」

 

空が自信有り気に答える。

 

[またまたご名答です、王であるテオドールさんを除く我々6人がその扉を開ける為の”鍵”を持っています。 その鍵とは……これです]

 

モニターの地図が消え、そこに1枚のカードが表示される。

しかし、イラストは何も描かれておらず、名前もテキストも書かれていない。

ただフレームの色が白いカードがそこに映されていた。

 

「シンクロモンスター…?」

 

遊伸がそう呟く。

カードのフレームが白い物はシンクロモンスター、遊伸達も愛用している馴染みの深いカードである。

 

[はい、我らが王のテオドールさんはドラゴン族使い、そしてテオドールさんに仕える我ら6人も、それぞれドラゴン族のシンクロモンスターを1枚ずつ所持しています]

 

「つまり、お前等を倒してそれをぶんどれって事か?」

 

[その通りです、グレイグさん、でしたね? 貴方は理解が早くてよろしい]

 

「そりゃどうも」

 

グレイグは素っ気なく返す。

 

[そして二つ目は―――]

 

「おいちょっと待て! ちょいと気になったんだけどよ……」

 

鋼貴が安藤の言葉を遮る。

 

「8方位……って言ったけどよ、今の話だと6組ずつ戦うんだよな? 光円寺の奴らも燃次と冷次みたいに二人で一人何だろ? つまりそれだと……場所と決闘者が一つと一人余るじゃねーか!」

 

[今その事を言おうと思ってたところですよ、この試練、一箇所だけ”ハズレ”があります。 そこには誰もいません]

 

「何でそんなもんがあるんだよ……」

 

[その方が面白そうじゃないですか]

 

「(ケッ! 舐めやがって……こちとら命懸けだってんのに、向こうは余裕こきやがる!)」

 

鋼貴は安藤の声が流れるスピーカーを睨む。

 

[それでは皆さん、モニターの側にある箱を開けてください]

 

遊伸達がモニター周辺に目をやると、少し大きめの箱が置かれている。

遊伸がそれを開くと、中に色の違うPDAが7つ入っていた。

 

「何だコリャ?」

 

「PDAだ……画面にはさっきの地図が表示されているな。 後はよく解らない表示が幾つか」

 

鋼貴と高尾が幾つか取り出して見る。

 

[皆さん、お好きな色をお選びください]

 

「なあ冷次、俺達は二人で一つか?」

 

「二人で一人だからな、当然だ」

 

遊伸達はそれぞれPDAを手に取る。

燃次と冷次の分は冷次が持った。

 

[全員手にしましたね? それは見ての通り、ここの地図です]

 

「私達がいるドームに集中してる七色の点は何なの?」

 

空が安藤に質問する。

 

[それは貴方達の現在位置です。 PDAの色を見てください、自分のPDAの色と同じ色の点、それが自分の現在位置です]

 

「右上にある7つの白い星は?」

 

次は鋼牙が質問する。

 

[それは我々の反応ですね、セブンスターズの一人を倒すと、そこの星が一つ消えます]

 

「成る程! ここの星全部消せば俺等の勝ち、って訳だ!」

 

鋼貴は自分のPDAの星の部分を指で叩く。

 

[ここで重要な事を二つ、まず一つ、我々はファントム・オブ・カオスを使用しません。 さっきの桐原君みたいになるのは嫌ですし、使わなくても強いですからね]

 

「じゃあ皆が死んじゃう事はもう無いのね! よかった……」

 

空が胸を撫で下ろす。

 

[ええ、死にはしないと思いますよ、無事でも済まないでしょうがね]

 

「(確かに……)」

 

遊伸は光円寺 陽子戦、そしてテオドール戦を思い出す。

 

[二つ目、貴方達が”敗北”した場合、PDAに現れている反応が消えます。 なので我々に挑みに行った方の反応が消えるのは、その方の”敗北”を意味します]

 

「…つまり、そうなっちまったら他の手が空いてる奴が代わりに倒しに行く、って事か」

 

[その通りですグレイグさん……これで説明は以上です。 因みに我々セブンスターズ側は貴方達が分かる情報を一切知る事が出来ません。 誰が自分の所に向かっているのか分からない様になってます。 一体誰が私の所に来るのか、楽しみにしてますよ……おっと、忘れるところでした、タッグのお二人]

 

安藤が燃次と冷次に声を掛ける。

 

[光円寺さん達に貴方達の事は伝えてあります、貴方達が彼女達とデュエルしない理由は無いと思うので、彼女達のいる決闘場をお教えしましょう、彼女達は東の決闘場にいます、それでは……]

 

そう言って安藤の通信が切れる。

 

「…お前等、今の説明、解ったな?」

 

グレイグが確認をとり、全員がそれに頷く。

 

「それじゃ、誰が何処に行く?」

 

グレイグが燃次と冷次以外に聞く。

 

「何処に行くっつっても、俺等は光円寺とテオドール以外の奴のデュエルを見た事ないぜ、ここはクジでいいだろ?」

 

「待って鋼貴! 誰が何処に行くか決める前に、皆のPDAの色を覚えておこうよ! じゃないと誰が何処にいるのかが分からなくなっちゃう!」

 

空が自分のPDAを鋼貴に向かって翳す。

最もなので、遊伸達はお互いに自分の色を教え合う。

その後に鋼貴の提案通り、籤引きを行った。

結果―――

 

東北→空

東→燃次・冷次

東南→遊伸

南→グレイグ

西南→鋼貴

西→高尾

西北→鋼牙

 

「くっそ……一番遠いじゃねぇか」

 

グレイグが面倒そうに呟く。

 

「グレイグさん、そういえばさ、もし自分が勝って、負けた奴がいなかったり、まだデュエルやってたり……助けに行く必要が無かったらどうしてればいいんだ?」

 

燃次がグレイグに尋ねる。

 

「その時はここを目指せ、ここにいれば何かあった時にすぐに救援に向かえる。 …よし、お前等! 必ず勝てよ! 解散!」

 

グレイグが号令を掛けると、遊伸達は各々の相手の場所を目指して駆け出した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。