遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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*タイトルと細かい部分の修正、そしてあとがきを書いていないものを間違えて先に2つも投稿していました。 申し訳ありませんOTL こちらが正しい42話です。


第42話 大勝負 ~最強の闇のカード~

グレイグ  ドームから出発して約数十分

 

「くそ! 何でこんな障害物が多いんだ!」

 

グレイグは積まれている瓦礫を乗り越え、とにかく真っ直ぐ進む。

南への道はまるで整備されておらず、まともな道を探していては日が暮れてしまう、そう判断したグレイグは無理やり真っ直ぐ、瓦礫を乗り越えながら南に進む事にした。

一見無茶に見える行動だが、見事に目的地へと近づいていた。

 

「おしおし! 上手くいってるぞ! …しかし年は取りたくないもんだ! 昔だったらもっと早くついてたぞ……あれか」

 

グレイグが目指している先に大きなドームが見えてくる。

おそらく、あの中が決闘場になっているのであろう。

 

「やっとついた……一番遠かったからな、とばして来たが……さて、他の奴等はどうしているか…」

 

グレイグはPDAの地図を全体図へと切り替える。

 

「もう全員辿りついて…!?」

 

グレイグは自分の眼を疑い、もう一度よく見る。

眼に映ったのは画面右上の、6つの白い星。

 

「だ、誰かが一人倒してやがる……随分と早いじゃねーか……俺が遅かっただけか?」

 

グレイグは全員の位置を確かめる。

自分以外、6つの反応の内、2つの反応が出発地点のドームを目指していた。

 

「……空と高尾……二人? ああ、そういえば”ハズレ”があるって話だったな……という事は、このどちらかが相手を倒し、どちらかがハズレだったって事か……まあいい、今は自分の事だ」

 

グレイグは地図をしまい、ドームへと入っていった。

しかしこの瞬間、また一つ白い星が消えた事を、グレイグは知る由も無かった。

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

ドーム内  南の決闘場

 

「おや、貴方でしたか」

 

グレイグを決闘場で待ち構えていたのは安藤であった。

 

「お前か、まったく知らない奴よりかはマシだな……しかしお前、こんな遠い所から俺達と会話してたのか? 大体あの短時間でどうやってここまで移動したんだ?」

 

「便利ですよ、バラバラバラ、って飛んで、ここまであっという間ですよ」

 

安藤は指で空中を掻き回す様にする。

 

「……ヘリ何て便利なもんがあるなら乗せてけってんだ」

 

グレイグが恨めしそうに安藤を睨む。

 

「まあまあ、私を睨んでないで、やる事があるでしょう?」

 

「……その通りだな」

 

お互いに決闘場に立ち、決闘盤を構える。

 

「実は私、戦闘員じゃないんですよね」

 

「ああ? お前の仲間がアカデミアでセキュリティ襲撃したって言ってたじゃねぇか、あの時4人無事帰還とか言っていたが、お前はいなかったのか?」

 

「月子さんを入れて4人、と言ってなかったですか? 私は基本、遠征はしないんですよ。 カードの研究が私の役目ですからね、技術を買われて、セブンスターズという席に座っているんですよ」

 

「……じゃあお前は7人の中じゃ弱い方か?」

 

グレイグは少し残念そうな顔をする。

こんな状況だが、決闘者の本能なのであろう、常に強者と戦いたいという願望がグレイグにはある。

 

「それはどうでしょうかね? …ああ、そうだ、この決闘場について説明しましょう」

 

安藤が決闘場を見渡す。

 

「この決闘場……いえ、”第3の試練”を行う決闘場には特殊な仕掛けが施してあります。 それは”サイコ・デュエル”及び”闇のカード”のダメージが極力抑えられるというものです」

 

「……何だと? 意味が解らん、それらがお前等の強みだろうが」

 

グレイグは舐められていると思い、ムッとした表情をする。

 

「そうですね、ですがそれには色々理由がありまして……それに仕掛けはまだあるんです」

 

安藤がにやりと笑う。

 

「……どういう事だ」

 

「抑えられた分のダメージはこの決闘場に蓄積されていきます。 そしてデュエルが終了すると、その蓄積された分のダメージは全て敗者に与えられるのです」

 

「…何だと!?」

 

グレイグは驚く、グレイグはサイコ・デュエル及び”闇のカード”のダメージを体験した事は無い、しかし実際に受けた鋼貴などの様子を見れば危険な事は解る。

それを敗北後に一気に受けるというのだ。

 

「安心してください、蓄積されるダメージには制限がありますから、やはり死には至りません(死なれるのは困りますしね)、ですが相当の痛みを受ける事にはなります……どうです? ここまで聞いてもこのデュエルを行いますか?」

 

「……お前、やっぱり弱い奴だろ」

 

グレイグが安藤を睨み付ける。

 

「そんな事でこのグレイグ様がビビるか! 本当にビビってるのは、そんな話を持ちかけて勝負を無くそうとしたお前じゃないのか! ええ!」

 

グレイグが安藤にそう言うと、安藤は静かに笑う。

 

「…フフ……失礼しました、ここまで来て覚悟が無いなんて事はありませんでしたね……それでは始めましょう」

 

 

「デュエル!!!」

 

「デュエル」

 

 

先攻 グレイグ

 

「俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:5+1

 

グレイグは安藤を見る。

グレイグの予想では、安藤自体は大した事が無い、そう考えている。

だが安藤の様子、焦りも緊張も無い、涼しげな顔をしている。

 

「(自信があるって事か)」

 

グレイグは安藤と最初に会った事を思い出す。

 

 

貴方達も御覧になられたと思いますが、”闇のカード”、あれの開発を担当させて頂きました。

 

 

「(持ってるに違いねぇ、自分が創ってんだからな)」

 

安藤の自信の理由、グレイグは”強力な闇のカードの所持”、そう考えた。

 

「(だがな、強力なカードだけで勝てる程デュエルは甘くねぇよ、ドクター)」

 

グレイグは手札からカードを取り出し、”縄張り”を展開する。

 

「フィールド魔法《万魔殿(パンディモニウム)-悪魔の巣窟-》を発動!」

 

グレイグがフィールド魔法を発動すると、辺りが一変する。

地獄の一丁目、万魔殿である。

 

「《ジェネラルデーモン》を召喚!」

 

グレイグの場にジェネラルデーモンが現れる。

 

ATK:2100

 

「カードを伏せてターンエンドだ!」

 

LP:8000

手札:3

モンスター

・ジェネラルデーモン

魔法・罠

・セット

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「第2の試練の時と殆ど変わらない初手ですね。 私のターン、ドロー」

 

安藤 手札:5+1

 

「私は魔法カード《手札断殺》を発動、お互いに手札を2枚墓地に送り、2枚ドローします」

 

安藤が墓地に送ったカード

バッド・エンド・クイーン・ドラゴン

平和の使者

 

安藤 手札:3+2

 

グレイグが墓地に送ったカード

デスルークデーモン

タルワール・デーモン

 

グレイグ 手札:1+2

 

「魔法カード《簡易融合(インスタントフュージョン)》を発動、1000LPを払う事で、レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚します。 私は《バロックス》を融合召喚しますよ」

 

安藤 LP:8000→7000

 

安藤の場の空間が歪むと、そこから大きな口と長い腕を持った獣の様な悪魔が現れる。

 

ATK:1380

 

「そしてチューナーモンスター《ダーク・リゾネーター》を召喚します」

 

安藤の場に音叉を持った悪魔が現れる。

 

ATK:1300

 

「チューナー……ご自慢の闇のカードか?」

 

「ご名答です。 レベル5《バロックス》に、レベル3《ダーク・リゾネーター》をチューニング」

 

ダーク・リゾネーターが音叉を振動させると、自身が3つの光輪へと変わる。

その光輪がバロックスを囲うと、5つの光に変わった途端、それらが黒くなり、漆黒の柱へと変わる。

 

「漆黒の帳下りし時、冥府の瞳は開かれる……闇よ、今こそここへ……シンクロ召喚、来なさい、《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》」

 

漆黒の柱から現れたのは漆黒のドラゴン。

場に現れた瞬間、体中至る所についている眼が一斉に開き、咆哮を上げる。

 

ATK:3000

 

「げっ! 何だそいつは!? 気持ち悪い!?」

 

「酷い事を言いますね、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン……私の一番のお気に入りです、これだけは自らテストしようと思っていました」

 

安藤は笑みを浮かべながらワンハンドレッド・アイ・ドラゴンを見詰める。

 

「……まあ人の趣味にとやかく言うつもりは無ぇよ」

 

グレイグはワンハンドレッド・アイ・ドラゴンを微妙な顔で見ている。

 

「解ってもらえないのは残念ですが、まあいいでしょう。 ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンの効果発動、1ターンに1度、自分の墓地に存在するレベル6以下の闇属性効果モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードはこのターンのエンドフェイズ時まで除外したモンスターと同名のカードとして扱い、同じ効果を得ます。 《バッド・エンド・クイーン・ドラゴン》を除外して、その名前と効果を得ます」

 

安藤が墓地のカードを除外すると、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンの胸部にある一番大きい眼にバッド・エンド・クイーン・ドラゴンのカードが映し出される。

 

「何だと!? その効果は!?」

 

グレイグは驚愕して叫ぶ。

 

「流石はグレイグさん、察しが早い。 我々は考えたのですよ、”ファントム・オブ・カオスを人工的に作り出せないか”と、そして創り上げたのがこの”ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン”なのですよ」

 

そう言った時、安藤の顔に一瞬影が差す。

 

「(悔しいのは、これの基盤を創り上げたのが私ではないという事ですね……)」

 

安藤はすぐに元の表情に戻り、バトルフェイズに入る。

 

「バトル、 ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン(バッド・エンド・クイーン・ドラゴン)で攻撃、《インフィニティ・サイト・ストリーム》」

 

ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンが全身の眼を見開き、紫の光を放つと、口から光線をジェネラルデーモンに向けて放つ。

それを受けたジェネラルデーモンは耐え切れず、消滅する。

 

「ぐおぉ! …ちっ、これで”極力抑えられる”かよ……」

 

グレイグ LP:8000→7100

 

「抑えられると言っても”闇のカード”と”私のサイコ・パワー”分がありますからね、どうしても威力が大きくなってしまうんですよ。 さて、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン(バッド・エンド・クイーン・ドラゴン)の効果発動、このカードの攻撃によって相手LPに戦闘ダメージを与えた時、相手は手札を1枚選んで墓地へ送り、自分はデッキからカードを1枚ドローします」

 

安藤 手札:3+1

 

グレイグが墓地へ送ったカード

迅雷の魔王-スカル・デーモン

 

「カードを2枚伏せてターンエンドです」

 

LP:7000

手札:2

モンスター

・ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン

魔法・罠

・セット

・セット

 

「俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:2+1

 

「やりやがったな! 今度は俺の番だ! 永続罠《リビングデッドの呼び声》発動! 墓地の《迅雷の魔王-スカル・デーモン》を特殊召喚! 来い相棒!」

 

グレイグの場に自身のエースモンスター、 迅雷の魔王-スカル・デーモンが現れる。

スカル・デーモンは体から電気を放ちながら咆哮する。

 

ATK:2500

 

「装備魔法《デーモンの斧》をスカル・デーモンに装備! 攻撃力を1000ポイントアップさせるぞ!」

 

スカル・デーモンが目の前に現れた恐ろしげな斧を手に取る。

 

ATK:2500→3500

 

「おや、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンを上回ってしまいましたね」

 

「余裕こいてる場合じゃないぞ! バトル! スカル・デーモンで攻撃! 《怒髪天昇撃》!!!」

 

スカル・デーモンが雷撃をワンハンドレッド・アイ・ドラゴンに浴びせると、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンは消滅する。

 

「容赦ありませんね、それではワンハンドレッド・アイ・ドラゴン、もう一つの効果発動、破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから《地縛神》と名のついたモンスター1体を手札に加えます。 私は《地縛神 Ccapac Apu(コカパク アプ)》を手札に加えます」

 

安藤 LP:7000→6500

 

安藤 手札:2+1

 

「(地縛神? 何だそりゃ……) ターンエンドだ!」

 

「貴方のエンドフェイズ時に速攻魔法《終焉の焔》を発動、私の場に《黒焔トークン》を2体、守備表示で特殊召喚しますよ」

 

安藤の場に2体の黒い炎の悪魔が現れる。

 

DEF:0

DEF:0

 

LP:7100

手札:2

モンスター

・迅雷の魔王-スカル・デーモン

魔法・罠

・リビングデッドの呼び声(迅雷の魔王-スカル・デーモン)

・デーモンの斧(迅雷の魔王-スカル・デーモン)

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「(…さっきの地縛神とかいうモンスターは大型モンスターか?)」

 

終焉の焔は獏葉も使用したトークン生成カードで、発動したターンは召喚、反転召喚、特殊召喚が出来なくなる。

なのでリリース素材として使うのなら相手のターンで発動しておく必要がある。

獏葉もそうして大型モンスターをアドバンス召喚していた。

安藤もその為にこのタイミングで発動したのだ。

 

「私のターン、ドロー」

 

安藤 手札:3+1

 

「行きますよ、 黒焔トークン2体をリリース、《地縛神 Ccapac Apu(コカパク アプ)》をアドバンス召喚します」

 

安藤の場の黒焔トークン2体が消えると、突然地響きが起こる。

 

「な、何だこの揺れは!?」

 

すると安藤の背後から黒い体に青いラインの模様が入った巨人が現れる。

その大きさはドームの天井まで届きそうな位大きく、その大きな手は軽くグレイグの場を覆う程。

これまでの”闇のカード”とは段違いの威圧感を放ち、その巨人はグレイグを見下ろす。

 

ATK:3000

 

グレイグは驚愕しながら、この巨人を見上げていた。

 

「(こいつは予想外だ……とんでもないのが出て来やがった……攻撃力はこっちの方が上、だが解る! こいつはヤバイ!)」

 

「どうですか? これが闇のカード最高傑作、《地縛神》です。 非常に強力なカードに仕上がったのですが、幾つか問題も残ってまして……」

 

安藤は後ろの巨人について語り始める。

 

「まず、その力が大きすぎて《地縛神》という(カード)だけでは力が溢れてしまい、自壊してしまうのです。 そこで私はある(カード)に一旦その力を流し、《地縛神》との間で循環させる……そうする事で自壊を防ぐ事に成功しました。 その(カード)とは―――」

 

安藤は手を大きく横に広げる。

 

「フィールド魔法です、フィールド魔法はデュエルにおいて、自分と相手、どちらが発動しようと両方の場に影響を与えます。 つまり、場への影響力が強いので闇のカードの力が干渉しやすいのです」

 

「……つまり、俺はお前の切り札を呼ぶのを、まんまと手伝わされていた、って訳か」

 

グレイグは自分のフィールド魔法、万魔殿を見ながら苦い顔をする。

 

「ご名答です、それともう一つ、先程言った決闘場の仕掛けを施した理由の一つがこの《地縛神》です。 《地縛神》の力は非常に強力です、それ故《地縛神》が攻撃を行うと、そのダメージがコントローラーであるこちらにも飛び火するのですよ」

 

「それで力を抑える装置をつけた、って訳か。 フン! お前等がビビッてただけかよ!」

 

グレイグが笑いながら安藤を指を差す。

 

「誰だって痛いのは嫌ですよ、バトル」

 

「何!?」

 

グレイグは安藤が攻撃を仕掛けようとするのに驚く。

Ccapac Apuの攻撃力は、現在のスカル・デーモンを下回る。

グレイグの中で考えられたのは一つ、強化である。

 

「(自己強化能力、または魔法による強化!)」

 

そう思ってグレイグは構えるが、相手の行動はグレイグの考えを越えるものであった。

 

「地縛神 Ccapac Apuでグレイグさんに直接攻撃」

 

「何だと!?」

 

Ccapac Apuが腕を振り上げると、思い切りグレイグを叩き潰す。

 

「ぐおぉぉぉーーー!!!」

 

グレイグ LP:7100→4100

 

あまりの衝撃にグレイグは膝をつく。

 

「ふむ、力を抑えられていてこの威力、十分合格ですね」

 

安藤はCcapac Apuの力に笑みを浮かべる。

 

「ターンエンドです」

 

LP:6500

手札:3

モンスター

・地縛神 Ccapac Apu

魔法・罠

・セット

 

グレイグは何とか立ち上がると、デッキに指を掛ける。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:2+1

 

「効いたぞ……確かに強力なカードだ、だが俺のモンスターを残したのが失敗だったな! バトル!  スカル・デーモンで攻撃! 《怒髪天昇撃》…!?」

 

グレイグが攻撃宣言を行うが、スカル・デーモンは動かない。

 

「どうした相棒!? 何故動かん!」

 

「残念ながら、《地縛神》を攻撃対象にする事は出来ません」

 

「な、何だと!?」

 

「これは私の方でも思わぬ事だったのですが、どうやらフィールド魔法と力を循環させているせいで、《地縛神》は半分フィールド魔法となっているのですよ。 《地縛神》はモンスターとしてこの場に存在する、しかしフィールド魔法をモンスターで攻撃する事が出来ない……だから貴方のモンスターは《地縛神》を攻撃する事が出来ない……そういう事みたいですね」

 

「ふざけんな! そんな無茶苦茶通って堪るか!」

 

「そう言われましてもねぇ、これは一種の”バグ”みたいな物なので、私にもよく解らないのです」

 

安藤は困った様な笑みを浮かべて肩をすくめる。

 

「まあ、この様な都合の良い”バグ”によって、《地縛神》が最高傑作になったのは確かですね」

 

「くそっ! 俺はカードを伏せてターンエンド!」

 

LP:4100

手札:2

モンスター

・迅雷の魔王-スカル・デーモン

魔法・罠

・リビングデッドの呼び声(迅雷の魔王-スカル・デーモン)

・デーモンの斧(迅雷の魔王-スカル・デーモン)

・セット

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「私のターン、ドロー」

 

安藤 手札:3+1

 

「バトル、地縛神 Ccapac Apuで直接攻撃」

 

Ccapac Apuが再び腕を振り上げる。

 

「何でフィールド魔法が攻撃してやがんだ! 罠カード《ガード・ブロック》発動! ダメージを0にして1枚ドロー!」

 

Ccapac Apuが腕を振り下ろすが、ガード・ブロックにより弾き返される。

 

グレイグ 手札:2+1

 

「半分だけだからじゃないですか? ターンエンドです」

 

LP:6500

手札:4

モンスター

・地縛神 Ccapac Apu

魔法・罠

・セット

 

「俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:3+1

 

「……《地縛神》、無茶苦茶なカードだな」

 

「フフ……だからこそ”闇のカード”なのですよ」

 

安藤は静かに笑い、グレイグの言葉に答える。

 

「だったらよ、俺も無茶苦茶をやらせて貰う! 装備魔法《堕落(フォーリン・ダウン)》! 《地縛神 Ccapac Apu》に装備だ!」

 

「そのカードは…!? …してやられましたね」

 

ここに来て安藤の顔に焦りが浮かぶ。

 

「お前も知っての通り、堕落は俺の場に《デーモン》が存在する限り、装備させた相手モンスターのコントロールを奪う事が出来る……さあ! こっちに来いよ《地縛神》!」

 

グレイグがそう言うと、Ccapac Apuが場を跨いでグレイグの後ろにつく。

 

「さあお待ちかね! バトルだ! 地縛神 Ccapac Apuで直接攻撃!」

 

Ccapac Apuが安藤に向かって腕を振り下ろす。

 

「うわぁぁぁ…! …こ、これは効きますね……」

 

安藤 LP:6500→3500

 

「おいおい、サイコ・デュエリストならこれ位のダメージ防いでみろよ! うちの空みたいによ」

 

グレイグが呆れた様に安藤に言う。

 

「(それは彼女が特殊なんですよ……サイコ・パワー……”闇のカード”のダメージは同じ力で軽減出来る……今私もそうした……しかし、普通はあそこまで完璧に防げはしない……本当に彼女は何者なんでしょうかね)」

 

安藤は空の力が気に掛かったが、今はデュエルに集中する事にする。

 

「これで終わりだ!  スカル・デーモンで直接攻撃! 《怒髪天昇撃》!!!」

 

スカル・デーモンが安藤に電撃を放つ。

 

「速攻魔法、2枚目の《終焉の焔》を発動、私の場に《黒焔トークン》を2体、守備表示で再び特殊召喚しますよ」

 

安藤の場に再び2体の黒い炎の悪魔が現れる。

 

DEF:0

DEF:0

 

「ちっ! なら1体を攻撃だ!」

 

スカル・デーモンが黒焔トークン1体に電撃を放ち、破壊する。

グレイグは惜しくも勝機を逃す事となった。

 

「俺はカードを伏せターンエンドだ!」

 

LP:4100

手札:2

モンスター

・迅雷の魔王-スカル・デーモン

・地縛神 Ccapac Apu

魔法・罠

・リビングデッドの呼び声(迅雷の魔王-スカル・デーモン)

・デーモンの斧(迅雷の魔王-スカル・デーモン)

・堕落(地縛神 Ccapac Apu)

・セット

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「私のターン、ドロー」

 

安藤 手札:4+1

 

「お前のスタンバイフェイズ、堕落の効果で俺は800のダメージを受ける」

 

グレイグ LP:4100→3300

 

「…《地縛神》の強さ、自分で受けてみてよく解りました……敵に回すと恐ろしいですね、なので……対処させて貰いますよ、魔法カード《地割れ》を発動。 貴方の場の一番攻撃力が低いモンスターを破壊します。 《地縛神 Ccapac Apu》を破壊」

 

地割れが発動すると、グレイグの後ろにいたCcapac Apuがみるみる沈んでいき、姿が見えなくなる。

 

「おう悪いな、俺のデーモンが強すぎるからよ」

 

グレイグとしては相手の場にCcapac Apuが戻らなかっただけで十分な結果である。

 

「さあこれでお前の《地縛神》は倒れたぞ! どうする気だ?」

 

グレイグが安藤に問いかけると、安藤はまた静かに笑っている。

 

「…何が可笑しいんだ?」

 

「…グレイグさん、何時私が”《地縛神》は1体”と言いました?」

 

「…何?」

 

安藤は再び余裕のある表情に戻っていた。

 

「私は《ジェスター・コンフィ》を特殊召喚します」

 

安藤の場に太ったピエロが現れる。

 

ATK:0

 

「このカードは攻撃表示限定ですが、無条件で手札から特殊召喚する事が出来ます……さあグレイグさん、第2ラウンドと行きましょうか、 黒焔トークンとジェスター・コンフィをリリース、《地縛神 Ccarayhua(コカライア)》をアドバンス召喚」

 

黒焔トークンとジェスター・コンフィが消えると、Ccapac Apuが現れた時の様に地響きが起こる。

 

「…」

 

しかし、グレイグは先程とは打って変わって完全に落ち着き払っている。

そして地響きと共に安藤の背後から黒い体に緑のラインの模様が入った巨大なトカゲが現れる。

Ccapac Apu同様、桁外れの威圧感を放ち、その大きな眼を上下左右に動かす。

 

ATK:2800

 

「第2ラウンドだぁ?」

 

 

 

 

「そんなもんお断りだ! 罠カード《奈落の落とし穴》を発動! 相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時、その攻撃力1500以上のモンスターを破壊し除外する!」

 

現れたばかりのCcarayhuaの下に大きな穴が現れると、Ccarayhuaはそのまま沈んでいく。

 

「……せっかく召喚したのに、これはあんまりじゃないですか?」

 

「フン! これも戦術よ! ドクター、実践が少ないだろうから教えてやる、デュエルってのはな、何が起こるか分からないもんなんだよ! こういう風にな!」

 

グレイグが首だけしか見えなくなっているCcarayhuaを指差す。

 

「……成る程、ではグレイグさん、そのお言葉、そのままそっくりお返しします。 …デュエルは何が起こるか分からないものですよ?」

 

安藤がグレイグに向かってにやりと笑う。

 

「…何?」

 

「Ccarayhuaの効果発動、このカードがカード効果によって破壊された時、場のカードを全て破壊します」

 

Ccarayhuaが完全に穴に落ちる前に凄まじい大咆哮を上げると、グレイグの場のカードが全て吹き飛び、破壊される。

 

この効果で破壊されたカード

迅雷の魔王-スカル・デーモン

リビングデッドの呼び声

デーモンの斧

万魔殿-悪魔の巣窟-

 

万魔殿が破壊された事により、決闘場が最初の背景に戻る。

 

「お、俺の場のカードが全滅だと!?」

 

グレイグは驚愕と同時に己を恥じる。

さっきまでの自分には”油断”が確実にあった。

自分の驚き様から解る。

 

「さて、私はこれでターンエンドです、せっかく出した《地縛神》を破壊されてしまいましたからね」

 

LP:3500

手札:2

モンスター

・無し

魔法・罠

・無し

 

「…俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:2+1

 

グレイグの手札

血の刻印

ディスカバード・アタック

 

引いたカード

ジェノサイドキングデーモン

 

「(くそ! 召喚出来るモンスターがいねぇ…) カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:3300

手札:2

モンスター

・無し

魔法・罠

・セット(血の刻印)

 

「私のターン、ドロー」

 

安藤 手札:2+1

 

「(あのカード、前から持っていたカードでしたね……攻めて問題ないでしょう) フィールド魔法《死皇帝の陵墓》を発動します」

 

フィールド魔法が発動されると、再び背景が変化する。

決闘場の側面、グレイグと安藤の間の位置に死皇帝が眠る墓が現れる。

足元を完全に霧が覆い、恐ろしい雰囲気を感じさせる。

 

「フィールド魔法…!? だがリリース素材が無ぇようだが?」

 

グレイグが安藤に尋ねると、安藤は自分の心臓辺りを指差す。

 

「ここですね、 死皇帝の陵墓の効果発動、お互いにアドバンス召喚に必要なリリースモンスターの数×1000LPを払う事で、リリースなしでそのモンスターを通常召喚出来ます、私は2000LPを払い……」

 

安藤 LP:3500→1500

 

「《地縛神 Chacu Challhua(チャク チャルア)》を召喚します」

 

また地響きが起こるとグレイグは身構えるが、それは一向に起こらない。

その代わり、何かが勢いよく近づいて来る気配をグレイグは感じた。

その瞬間、安藤の背後から黒い体に紫のラインの模様が入った巨大なシャチが水面から跳び出す様に霧の中から跳び出し、水面に入る様にまた霧の中に潜って行く。

 

ATK:2900

 

「今度はイルカか何かか!? どうやって泳いでやがる! この下は地面だぞ!」

 

グレイグは霧で覆われた足元の地面を蹴る。

 

「ソリッド・ビジョンの遊び心ですよ、バトル、Chacu Challhuaで直接攻撃」

 

Chacu Challhuaが霧から跳び出し、そのままグレイグに体当たりする。

 

「うおぉぉぉーーー!!! …ぐう……」

 

グレイグ LP:3300→400

 

グレイグはダメージにより再び地面に膝をつく。

 

「バトル終了、私は永続魔法《フィールドバリア》を発動します、このカードが場に存在する限り、お互いにフィールド魔法を破壊出来ず、 フィールド魔法の発動も出来ません、これでターンエンドです……貴方のLPでは死皇帝の陵墓の効果を使う事が出来ません、どうやら勝負は決したようです。 グレイグさん、貴方は《地縛神》のテストには良い相手でした、感謝していますよ」

 

安藤はそう言って静かに笑う。

 

LP:1500

手札:0

モンスター

・地縛神 Chacu Challhua

魔法・罠

・フィールドバリア

フィールド

・死皇帝の陵墓

 

「……安藤」

 

グレイグが立ち上がり、口を開く。

その顔には笑みが浮かんでいた。

 

「解ってねぇな……もう一度だけ言ってやる……デュエルってのはな、何が起こるか分からないもんなんだよ! 俺のターン! ドロー!」

 

グレイグ 手札:2+1

 

「……こんな風にな! 《戦慄の凶皇-ジェネシス・デーモン》を召喚!」

 

グレイグの場に現れたのは巨大な剣を持った巨大なデーモン。

その大きさはChacu Challhuaにも負けずとも劣らず、それ故とてつもない”威圧感”を放つ。

 

ATK:1500

 

「こいつは本来リリース2体でアドバンス召喚する最上級モンスターだ。 だがこいつは元々の攻守半分に、そしてエンドフェイズに破壊されるというデメリットを負う事でリリース無しで召喚出来る」

 

「そうですか、せっかく高い攻撃力を半分にしてまで……どうするつもり何ですか?」

 

安藤は表情を崩さない―――次の瞬間までは。

 

「半分ありゃ十分だ、本命はこっち! ジェネシス・デーモン効果発動! 1ターンに1度、自分の手札・墓地の《デーモン》と名のついたカード1枚をゲームから除外し、場のカード1枚を選択して破壊する! 破壊するのは《地縛神 Chacu Challhua》だ!」

 

「!? まさかそんな!?」

 

手札から除外したカード

ジェノサイドキングデーモン

 

ジェネシス・デーモンが霧の中を睨み、剣を構え、Chacu Challhuaを探す。

ジェネシス・デーモンが眼を光らせると、霧の中へ剣を投げると、Chacu Challhuaの断末魔の悲鳴が上がる。

 

「何ていう事です……《地縛神》が……”最強の闇のカード”が敗れるとは……」

 

「最後に言わせて貰う、デュエルの勝敗を決めるのはカードじゃねぇ! ”決闘者”自身だ! 闇のカードに頼り切っているお前には負けねぇよ、バトル! ジェネシス・デーモンで攻撃!」

 

ジェネシス・デーモンが安藤の側に立ち、足を上げてそのまま踏み潰す。

 

「うわぁぁぁーーー!!!」

 

安藤 LP:1500→0

 

ソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴った。

安藤はその場に倒れる。

 

「気絶でもしたか……?」

 

グレイグがカードと決闘盤を収めると、安藤に近づく。

 

「残念ながらまだ起きてますよ……」

 

安藤が倒れたまま口を開く。

 

「うお! しぶてぇ野郎だ!」

 

「言ったでしょう……私は”闇のカード”の開発を担当したと……闇のカード全部にサイコ・パワーを込めているのも私です……サイコ・パワーだけなら自信あるんですよ……テオドールさんにも引けをとらないと自負してます……」

 

「成る程、じゃあお前はやれる方だったんだな」

 

グレイグは内心思う、”今ここでこいつを倒せてよかった”と。

 

「(とにかく《地縛神》はやべぇカードだったからな、他の奴等で対応出来るかどうか……)」

 

「…フフ……”《地縛神》をここで倒せてよかった”……そう考えてますね」

 

安藤がグレイグの内心を言い当てる。

 

「……何の事だ?」

 

「フフ……一つお教えしましょう、私が創作した《地縛神》は……全部で”7体”です……」

 

「何!?」

 

グレイグが驚いて眼を見開く。

 

「メンバー分……創りました……テオドールさんと……光円寺さん達には……必要ないと言われ……私が3人分所持していましたが……残りは……他のメンバーに」

 

「何てこった……おい! 本当に後4枚…!」

 

グレイグが話しかけた時には、既に安藤は気を失っていた。

 

「……ちっ! もうちょっと根性出して喋りやがれってんだ!」

 

グレイグは安藤の墓地とエクストラデッキを漁る。

エクストラデッキは空であった。

 

「という事は、こいつが鍵か」

 

グレイグは墓地からワンハンドレッド・アイ・ドラゴンを取り出し、自分の決闘盤にしまう。

 

「……さて他の奴等はどうなった? 負けたりしてねぇだろうな……」

 

グレイグはPDAを取り出し、全体図で確認する。

 

「……何だこれは……どうなってやがる……」

 

グレイグはそれを見て驚愕する。

 

「……白い星が2つ……それはいい、6人中5人倒したって事だ……だが何でだ!」

 

 

何故俺達の反応が”2つ”消えている!?

 




この作品での地縛神は”ナスカの地に縛られていた邪神”ではなくただの”強くて危ないカード”なので、この様な設定にさせて頂きました。
遊戯王御馴染みの無茶苦茶理論のご都合的設定です(汗)

安藤の最初の地縛神の説明をもう少し詳しく言うならば、”地縛神を召喚した時、込められたサイコ・パワーが強すぎて決闘盤にエラー発生、破壊判定の誤作動を起こさせてしまい、自壊してしまう”……という感じです。

グレイグが決闘場に辿り着いたのも、デュエルが終わったのも他のメンバーより後です。
他のメンバーはどうなったのか? 負けたのは? 勝ったのは? 次回をお待ちくださいm(_ _)m
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