遊戯王~Truth of Satellite~ 作:鬼柳高原
グレイグが到着する少し前 高尾
「くっ! この! この程度で俺の”信念”を止められると思うな!」
高尾はグレイグと同様、瓦礫の山を乗り越えながら、西に一直線に進んでいた。
「どわ! …く、くそ!」
しかし大分苦労している様である。
グレイグは若い頃にシティやサテライト、様々な場所を思うがままに駆け回っていた。
それに比べて高尾は今までシティ育ちだったのである。
この様な場所を駆けるのが下手でも仕方が無い。
だが高尾はグレイグより目的地への距離を先行していた。
テオドールの居城が近いからなのか、北側は南側よりも瓦礫が整備され、通り安くなっている。
スタート地点からの距離と、方角での道の険しさの違いにより、高尾は手間取っていたにも関わらず、グレイグよりも先に目的地に辿り着く事が出来たのである。
「! 見えてきた……ん?」
高尾は進む先に建物の様な物を見つけるが、よく見ると外見はボロボロであり、中を覗けば荒れ放題、とてもデュエル出来る状態ではなかった。
「誰もいない……もしかして……俺が”ハズレ”か……」
高尾は手を膝について落胆する。
ここまでの苦労はなんだったのか、と。
「…とりあえず、ドームに戻るか……皆はもうデュエルに入っているかな」
高尾は地図を全体図に変えて仲間の状態を確かめ―――グレイグと同様に驚く。
「な、何!? もう勝った奴がいるのか!? ……俺はそんなに遅かったか? いや、でもグレイグさん以外はまだ皆決闘場にいる……グレイグさんは向かってる最中だ……遅かった訳では無い様だが……」
高尾は考えても仕方無いとし、誰かが勝ったという喜びを胸に、ドームを目指して駆け出した。
* * *
グレイグが到着する少し前 空
「どーおー? ……まだかぁ」
空は瓦礫を乗り越えたりせず、通れる道を進み、東北の決闘場を目指していた。
空は小柄でしかも女性であるので、進行は遅くなっているものだと思われた。
しかし空には心強い味方がいた、ガスタである。
ガスタ・ガルドが空中を飛び、空に正しい道へ誘導する。
これに加えてテオドールの居城に近い東北の決闘場への道はかなり整備されており、殆ど捻くれた道も無い為、休憩を挟んでも他のメンバーに殆ど遅れをとらず、グレイグよりも先に到着出来た程であった。
「え、着いた? あ、ホントだ! やったぁーゴール!」
空は目の前のドームに駆け寄る。
グレイグが安藤とデュエルした決闘場とほぼ一緒の様である。
「…よく考えたらゴールじゃなくてスタートだよね、よし! 頑張るぞ! …っと、その前に皆は大丈夫かな」
空はPDAを取り出し、全体図にして確認し、グレイグと高尾同様に驚く。
「誰か勝ってる!? 早くない? 誰が勝ったのかな………遊伸かなっ!」
空はそう言って腕に止まっていたガルドに笑いかける。
空はあまり深く考えず、すぐに自分のデュエルの為に頭を切り替える。
「よーし! たのもーーー!!!」
空は気合を入れてドーム内に入る―――が。
「あ、あれ?」
奥を見ると、一人の男性が大の字になって倒れている。
「え、えーと……セブンスターズの人? 何で寝てるのかな……?」
空はその男に近づく。
男は完全に気絶しており、白目をむいている。
さらによく見ると、男の手の決闘盤は展開しており、その周りにはカードが散乱している。
「これって……デュエルした後? え?」
空は段々混乱してきた。
男の決闘盤のモンスターゾーンにはモンスターが1体、そのイラストには黒い体に黄色いラインの模様が入った猿の様なモンスターが描かれている。
「えーと……地縛神……きゅ…く、くしる? くしるか……ってこんな事してる場合じゃないよ!」
空が両拳を握り、叫ぶ。
「この人もうやられちゃってるよーーー!!!」
空の叫びが、木霊の矢となり
「何々? どういう事!? この人がやられちゃってるって事は……私の勝ち? さっき勝ってたの私? 私はどうやって勝ったの? それとも他の人が倒したの? 誰? 遊伸? 鋼貴?」
空の混乱も最高潮、危ないと思ったのか精霊達が一斉に現れ、空を正気へと引き戻す。
「ハッ! …ごめん皆、取り乱しちゃって……」
空がガスタ達に謝る。
するとウィンダが床に落ちているカードを指差す。
そのカードは他のカードとは離され、丁寧に分かりやすい位置に置かれていた。
「このカードがどうしたの?」
空がそれを拾い上げると、そのカードのフレームは白、そしてドラゴン族。
「
空は考えるのを止める事にした、幾ら考えても無駄だと判断したのである。
「(とりあえずドームに戻って……皆に聞いてみよう!)」
空はドームへと戻る為に駆け出した。
* * *
グレイグ、高尾、空が到着する少し前 遊伸
「……こんなとこにもあるなんてなぁ」
遊伸は現在、整備された道も、瓦礫の上も通ってなかった。
…
……
…………
………………
……………………
先月 サテライト 近衛家焼け跡前
これは遊伸がサテライトへ帰省し、自身の家の隠し部屋からXX-セイバーのデザインを見つけ、持ち帰る帰りの出来事であった。
「じゃ、俺等は帰るぜ!」
「うん、今日はありがとう!」
遊伸は燃次と冷次に礼を言う。
「…ここから港までか、もうゴロツキに遭わないといいんだが……」
冷次が心配そうな顔で帰り道を見る。
「あ、じゃあ今日のお礼にいい事教えてあげるよ!」
「いい事?」
燃次と冷次が首を傾げる。
・
・
・
「…まさかこんな地下通路があるなんてな……」
冷次が辺りを見回しながら呟く。
「サテライトにはこういう地下通路が一杯あるんだ、昔からあるのとか、誰かが勝手に作った通路とか、移動には便利だよ。 追剥のゴロツキは興味本位でここに来た、君達みたいなシティからの旅行者を狙ったりするんだ。 こういう通路を知っているのは大抵地元の人位だから、知っておけば近道出来るし、狙われ難くなるよ」
「へぇ! 面白いじゃん! 港に着くまでもっと教えてくれよ!」
燃次が遊伸に話を催促する。
「うん、いいよ!」
……………………
………………
…………
……
…
「アルカディア・ムーブメントがここを本拠地にしているなら、きっと移動に便利な通路があるんじゃないかなって思って探してみたら……本当にあるなんて」
そう、遊伸は現在地下通路を進んでいた。
遊伸は出発地点付近で思いつき、探してみたところ、この通路を見つけたのである。
ここは遊伸の予想通り、アルカディア・ムーブメントの者が移動する為の地下通路である。
遊伸が見つけた出入り口は見え難くはなっていたものの、特に入れないようにはされておらず、さらに遊伸がこの地下通路に入った途端、地図がその地下通路のものに変わった事から、この地下通路を使用する事はテオドール達も許容している、遊伸はそう考えた。
「もうちょっと早く思いついてたら皆にも教えられたのになぁ……燃次と冷次には前に教えたから、二人も探し出してるかもしれないな……と、ここか」
遊伸は自身が向かっている東南の決闘場付近の出口に辿り着く。
地下通路は数回の分岐があった以外は殆ど一本道だったので、早く着いたと予想出来る。
遊伸は地上への梯子を上り、蓋を開ける。
「よっ…と……着いた」
遊伸が地上に出ると、目の前には大きなドームが建っている。
「ここが決闘場か……間違いないな」
遊伸はPDAを確認して確かめる。
遊伸はふと仲間の事が気になったので、地図を全体図に切り替える。
「(僕以外に辿り着いてるのは燃次達と……今鋼牙さんが辿り着いた! 早いなぁ…) ん!?」
遊伸は6つに減っている白い星に目を止める。
「だ、誰かが一人倒している!? は、早過ぎないか!?」
空が戦うはずだった相手は、この時既に倒されている様である。
「……今辿り着いてるのは燃次達と鋼牙さん……という事は燃次達が光円寺を倒したのか? こんなに早く……よし! 僕も続くぞ!」
遊伸はPDAをしまうと、ドームの中へと入っていった。
* * *
ドーム内 東南の決闘場
「……俺の相手は貴様か、近衛 遊伸!」
「夜霧……」
遊伸の相手はテオドールの側近、夜霧。
夜霧は獲物を狙う様な鋭い眼で遊伸を睨む。
「近衛 遊伸、お前はテオドール様に敗れたのにもかかわらず、愚かにもテオドール様に再び牙を向き、ここまで来た……俺はテオドール様に楯突く者には容赦はせん!」
遊伸は夜霧の放つ気迫を受け、感じる―――この男の、テオドールへの忠誠による”信念”を。
強き”信念”はカードに呼びかけ、デュエルを動かす、遊伸自身もよく知っている事だった。
この男は強い、遊伸はそう感じた。
「……僕だって、引く訳にはいかない! 僕は……あの男を倒さなければならない!」
遊伸も言葉に”信念”を乗せて言い放つ。
「…いいだろう、この俺に敗れ、テオドール様の足元にも及ばぬ事を知るがいい! 来い、この第3の試練の説明をしてやろう!」
遊伸は決闘場に立ち、グレイグが安藤から聞いたデュエル場の説明を夜霧から聞く。
「…解った、始めよう!」
「来い! 近衛 遊伸!」
「「デュエル!!!」」
先攻 遊伸
「僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:5+1
「僕はモンスターをセット! カードを2枚伏せてターンエンド!」
LP:8000
手札:3
モンスター
・セット
魔法・罠
・セット
・セット
「俺のターン! ドロー!」
夜霧 手札:5+1
「近衛 遊伸、油断すればその首を俺が取る! 覚悟しろ! 永続魔法《黒い旋風》を発動! そして《
夜霧の場に1体の鳥人が現れる。
黒い羽毛と羽を持つその鳥人は根を光らせると、手に持った刀剣を遊伸へと向ける。
ATK:1300
「!……(ブラックフェザー……カテゴリシリーズのようだけど、一体どんな力が……)」
遊伸は見た事も無いシリーズに警戒心を強める。
「ここで黒い旋風の効果を発動! 自分の場に《BF》と名のついたモンスターが召喚された時、 そのモンスターの攻撃力より低い攻撃力を持つ《BF》と名のついたモンスター1体をデッキから手札に加える事が出来る! 俺は《BF-極夜のダマスカス》より攻撃力が低い《BF-そよ風のブリーズ》を手札に!」
夜霧 手札:4+1
「今手札に加えた《BF-そよ風のブリーズ》の効果発動! カードの効果によって自分のデッキから手札に加わった場合、このカードを手札から特殊召喚出来る!」
続けて夜霧の場に現れたのは先程のダマスカスとは正反対の姿をした鳥人。
オレンジ色の羽毛と黄色い翼を持つ、愛らしい顔つきをした鳥人である。
ATK:1100
「自分の場にこのカードと同名以外の《BF》と名のついたモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚出来る! 来い! 《BF-黒槍のブラスト》!」
夜霧はさらにモンスターを召喚する。
現れたのは大きい黒槍を持った鳥人。
眼を光らせ、翼を羽ばたかせると、黒槍を構え、突撃の姿勢を見せる。
ATK:1700
「(一気に3体も……展開力ならXX-セイバーに匹敵するかもしれない……)」
遊伸が《BF》の力を測っていると、夜霧が手札を1枚取り出し、発動する。
発動したカードは何と―――
「罠カード《デルタ・クロウ-アンチ・リバース》を手札から発動!」
「手札から!?」
遊伸は不意を衝かれた様に夜霧を見る。
「自分の場に《BF》と名のついたモンスターが3体のみの場合、このカードは手札から発動出来る! 自分の場に《BF》と名のついたモンスターが存在する場合、相手の場にセットされた魔法・罠を全て破壊する!」
夜霧が発動した罠から爆風が放たれ、遊伸の伏せカードを全て吹き飛ばす。
破壊されたカード
聖なるバリア-ミラーフォース-
ミラクルシンクロフュージョン
「く……破壊された中の1枚は《ミラクルシンクロフュージョン》! 相手によって破壊された場合、自分は1枚ドロー出来る!」
遊伸 手札:3+1
「ミラーフォースにセットモンスター……そんな戦術で俺を止められると思うな! レベル3《BF-極夜のダマスカス》に、レベル3《BF-そよ風のブリーズ》をチューニング!」
ブリーズが自身を3つの光輪に変えると、ダマスカスを囲み、3つの光、そして光の柱へと変える。
「漆黒の力! 大いなる翼に宿りて神風を巻きおこせ! シンクロ召喚! 吹きすさべ! 《BF-アームズ・ウィング》!」
光の柱から現れたのは手に長い銃剣を持った黒い鳥人。
旋風を巻き起こしながら回転 、大量の黒羽を撒き散らし、止まった時には銃口を遊伸に向けていた。
ATK:2300
「バトル! アームズ・ウィングでセットモンスターを攻撃! 《ブラック・チャージ》!」
アームズ・ウィングが空高く舞い上がり、そのままセットモンスターに向かって急降下、手に持った銃剣を乱射しながら突撃する。
遊伸のセットモンスター:XX-セイバー エマーズブレイド DEF:800
「アームズ・ウィングの効果発動! 守備表示モンスターを攻撃するダメージステップの間、 このカードの攻撃力は500ポイントアップする! さらにその守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手LPに戦闘ダメージを与える!」
ATK:2300→2800
アームズ・ウィングが乱射した弾がエマーズブレイドに命中し、さらにアームズ・ウィングが銃剣で突き刺し破壊する。
「うわぁ!!! ……くっ! エマーズブレイドの効果発動!」
遊伸 LP:8000→6000
決闘場の装置のおかげで肉体へのダメージは大分抑えられているが、LPの四分の一を持っていかれてしまった。
夜霧の言う通り、油断をすればすぐに
遊伸はエマーズブレイドの効果発動と同時に気を引き締める。
「戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキからレベル4以下の《X-セイバー》と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事が出来る! 来い! 《X-セイバー アナペレラ》!」
遊伸の場にアナペレラが現れる。
アナペレラは槍を構えているブラストを睨み、鞭の様な蛇腹剣を地面に打つ。
ATK:1800
「攻撃力は向こうの方が上か、ならばバトル終了! カードを伏せてターンエンド!」
LP:8000
手札:1
モンスター
・BF-黒槍のブラスト
・BF-アームズ・ウィング
魔法・罠
・黒い旋風
・セット
「僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:4+1
「僕はチューナーモンスター《X-セイバー エアベルン》を召喚!」
遊伸の場にエアベルンが現れる。
ATK:1600
「シンクロ召喚にはシンクロ召喚だ! レベル4《X-セイバー アナペレラ》に、レベル3《X-セイバー エアベルン》をチューニング!」
エアベルンが自身を3つの光輪へと変えると、アナペレラを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。
「十の剣に名を連ねし剣士よ、双剣を振るい、己の力を示せ! シンクロ召喚! 無双の剣《X-セイバー ソウザ》!!」
光の柱から現れたのはソウザ。
双剣を抜き放ち、目の前の鳥人達に向かって構える。
ATK:2500
「フン! そんな安易な考えで俺を倒せると思うな!」
夜霧がそう言うが、遊伸は一切気にせず、攻撃を始める。
「バトル! ソウザでBF-アームズ・ウィングを攻撃! 《双剣十字斬》!」
ソウザがアームズ・ウィングに向かって斬りかかる。
「言ったはずだ! 油断をすれば首を取ると! ダメージステップ時に罠カード《BF-アンカー》を発動! 《BF》と名のついたモンスター1体をリリースし、自分の場に表側表示で存在するシンクロモンスター1体を選択、選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで、リリースしたモンスターの攻撃力分アップする! 《BF-黒槍のブラスト》をリリースし、《BF-アームズ・ウィング》にその攻撃力を与える!」
ブラストが場から消滅すると、アームズ・ウィングをオーラが包む。
ATK:2300→4000
「僕はここで止まる訳にはいかない! 僕は絶対に勝つ! 手札から速攻魔法《イージーチューニング》をチェーン発動! 自分の墓地のチューナー1体をゲームから除外し、自分の場のモンスター1体を選択、選択した自分のモンスターの攻撃力は除外したチューナーの攻撃力分アップする! 僕は墓地から《X-セイバー エアベルン》を除外して《X-セイバー ソウザ》の攻撃力をその攻撃力分、1600ポイントアップする!」
ソウザの体を3つの光輪が囲むと、ソウザの体からオーラが湧き起こる。
ATK:2500→4100
「何だと!?」
ソウザが素早く間合いを詰め、左手の剣でアームズ・ウィングの銃剣を叩き落とし、本体を右手の剣で斬り裂く。
「ぬう……」
LP:8000→7900
「カードを伏せてターンエンド!」
LP:6000
手札:2
モンスター
・X-セイバー ソウザ
魔法・罠
・セット
「(不覚……油断があったのは自分か) 俺のターン! ドロー!」
夜霧 手札:1+1
この1ターンで完全に形勢を逆転された夜霧。
だが今の彼の顔には焦りも動揺も無く、再び鋭い眼で遊伸を睨む。
「成る程、どうやら俺も同様の立場らしい……伊達にテオドール様に楯突こうという訳ではない様だな……だが俺は敗れん! 行くぞ! 《BF-蒼炎のシュラ》を召喚!」
夜霧の場に大きな黒い翼を持った鳥人が現れる。
ATK:1800
「黒い旋風の効果発動! デッキから《BF-蒼炎のシュラ》より低攻撃力の《BF-疾風のゲイル》を手札に!」
夜霧 手札:1+1
「《BF-疾風のゲイル》は黒槍のブラストと同様の条件で特殊召喚出来る! チューナーモンスター《BF-疾風のゲイル》を特殊召喚!」
続けて現れたのは紫の翼を持った鳥人。
その丸い眼に、遊伸は恐ろしげな”何か”を感じた。
ATK:1300
「疾風のゲイルの効果発動! 1ターンに1度、相手の場のモンスター1体を選択、選択した相手モンスターの攻守を半分にする! 《X-セイバー ソウザ》の攻守を半分に!」
ゲイルがその眼を光らせると、ソウザが急に力が抜けた様に膝をつく。
ATK:4100→2050
「ソウザの攻撃力が!? そしてチューナー……」
「その通りだ! レベル4《BF- 蒼炎のシュラ》に、レベル3《BF- 疾風のゲイル》をチューニング!」
ゲイルが自身を3つの光輪に変えると、シュラを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。
「黒き旋風よ、天空へ駆け上がる翼となれ! シンクロ召喚! 《BF-アーマード・ウィング》!」
光の柱から現れたのは鎧を纏った鳥人。
その翼までもが強固な鎧の様である。
BF-アーマード・ウィングはその大きな一つ目で遊伸を見据える。
ATK:2500
「バトル! アーマード・ウィングで攻撃! 《ブラック・ハリケーン》!」
アーマード・ウィングがソウザに向かって突撃する。
「ダメージステップ時に罠カード《シンクロ・ストライク》を発動! シンクロ召喚したモンスター1体の攻撃力はエンドフェイズ時までシンクロ素材にしたモンスターの数×500ポイントアップする! ソウザの攻撃力を素材分、合計1000ポイントアップする!」
ATK:2050→3050
ソウザが向かってきたアーマード・ウィングを返り討ちにしようと剣を振るうが、アーマード・ウィングはそれをあっさりと受け止める。
「何だって!? どうして……」
驚く遊伸に、夜霧が笑みを浮かべる。
「BF-アーマード・ウィングは戦闘では破壊されず、この戦闘で俺が受ける戦闘ダメージは0となる! …そして!」
アーマード・ウィングがソウザの腹部に拳を打ち付け、離れる。
「ソウザ!? …何だ? ソウザの鎧に何かが……」
遊伸がソウザの殴られた位置を見ると、尖った黒い金属がソウザの鎧に刺さっているのが見える。
「ダメージステップ終了後、攻撃したモンスターに楔カウンターを乗せる事が出来る……俺はこれでターンエンド!」
X-セイバー ソウザ
楔カウンター:1
ATK:3050→2050
LP:7900
手札:1
モンスター
・BF-アーマード・ウィング
魔法・罠
・黒い旋風
「(楔カウンター……今のところは何も影響は無いみたいだけど……) 僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:2+1
戦闘耐性を持ち、ダメージも通らず、まだ能力を隠し持っている可能性がある最上級シンクロモンスター、BF-アーマード・ウィング。
遊伸としては一刻も早く対処したいモンスターであるが―――
「(手札に《X-セイバー》がいない……)」
遊伸の場にいるX-セイバー ソウザは他のX-セイバーをリリースする事で効果を得る。
その得られる効果の中には、戦闘を行う事で相手を”効果破壊”出来るというものがある。
しかしリリース出来るX-セイバーは存在せず、今はその効果を発動する事は出来ない。
「…僕はソウザを守備表示へと変更、モンスターをセット、カードを伏せてターンエンド!」
DEF:1600
LP:6000
手札:1
モンスター
・X-セイバー ソウザ
・セット
魔法・罠
・セット
「守りに入ったな……思い知らせてやろう、《BF》の力を! 俺のターン! ドロー!」
夜霧 手札:1+1
「魔法カード《黒羽の宝札》を発動! 手札の《BF》と名のついたモンスター1体をゲームから除外しデッキからカードを2枚ドローする! その代わりこのターンは特殊召喚が出来ない! 俺は手札の《BF-追い風のアリゼ》を除外して2枚ドロー!」
夜霧 手札:0+2
「続けて魔法カード《アゲインスト・ウィンド》を発動! 自分の墓地に存在する《BF》と名のついた モンスター1体を選択、自分はそのモンスターの攻撃力分のダメージを受け、そのモンスターを手札に加える! 俺は1700のダメージを受け、《BF-黒槍のブラスト》を手札に! ぐ…!」
夜霧 LP:7900→6200
夜霧 手札:1+1
「そして《BF-黒槍のブラスト》を召喚!」
夜霧の場に再びブラストが現れる。
ATK:1700
「黒い旋風の効果発動! デッキから《BF-黒槍のブラスト》より低攻撃力の《BF-月影のカルート》を手札に!」
夜霧 手札:1+1
「ここでアーマード・ウィングの効果を発動! 相手モンスターに乗っている楔カウンターを全て取り除き、楔カウンターが乗っている全てのモンスターの攻守をエンドフェイズ時まで0にする!」
「何だって!?」
遊伸の場のソウザが楔を打ち込まれた部分を押さえ、苦しみ出す。
DEF:1600→0
「バトル! 黒槍のブラストでソウザを攻撃! 《デス・スパイラル》!」
ブラストが黒槍を構え、回転しながらソウザに突っ込む。
「罠カード《ガトムズの緊急指令》を発動! 場に《X-セイバー》と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、墓地に存在する《X-セイバー》と名のついたモンスター2体を選択、選択したモンスター2体を自分の場に特殊召喚する! 《XX-セイバー エマーズブレイド》と《X-セイバー アナペレラ》を特殊召喚!」
遊伸の場にエマーズブレイド、アナペレラの2体が現れ、防御体勢をとる。
XX-セイバー エマーズブレイド DEF:800
X-セイバー アナペレラ DEF:1100
「モンスターを増やしたか、だが標的は変わらん! 貫けブラスト!」
ブラストが黒槍でソウザを貫き、破壊する。
「うわぁ!!」
遊伸 LP:6000→4300
「(さて……残りは3体……)」
夜霧は考える。
遊伸の場にはエマーズブレイド、アナペレラ、そしてセットモンスター。
まずエマーズブレイドは対象外、リクルーターである事は分かっている。
戦闘破壊すれば後続を呼ばれ、遊伸のチャンスを作るだけである。
次にセットモンスター、得体の知れない分、残して置くのは危険な場合がある。
だが夜霧は狙わない、あのセットモンスターは防御体勢に入った時に伏せた物、攻撃すればエマーズブレイドの様に遊伸にチャンスを、またはこちらに損害を与えるカードである可能性がある。
「(奴の戦術は《X-セイバー》の展開、そこからのシンクロ、エクシーズ召喚、または強化……《X-セイバー》を場に残すのは得策ではないな) アーマード・ウィングでアナペレラを攻撃! 《ブラック・ハリケーン》!」
アーマード・ウィングがアナペレラに向かって突撃し、拳で殴りつけ、破壊する。
「ターンエンド!」
LP:6200
手札:2
モンスター
・BF-アーマード・ウィング
・BF-黒槍のブラスト
魔法・罠
・黒い旋風
「近衛 遊伸! これが《BF》の力だ! 俺がテオドール様の敵を阻む”壁”ならば、この《BF》はその敵を貫く”槍”! お前は俺という壁に阻まれ、《BF》という”槍”に貫かれるのだ!」
「(……”壁”)」
遊伸の脳裏に浮かぶ”壁”、さっきまでは光円寺とテオドールしか見えなかった”壁”には何時の間にか夜霧も見えるようになっていた。
「(……ここで立ち止まれない、まだ越えなきゃならない”壁”が沢山ある! 僕は……目の前の”壁”を越えて見せる!) 僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:1+1
「僕はカードを伏せる! そして場のリバースモンスター《メタモルポット》を反転召喚! お互いの手札を全て捨て、お互いにデッキからカードを5枚ドローする!」
遊伸が捨てたカード
トラパート
遊伸 手札:0+5
「何!? そのカードは!?」
遊伸が反転召喚させたメタモルポットは多くの手札を補充出来るが、相手にも5枚ドローさせてしまうという欠点を持つ。
しかし夜霧が動揺したのはドロー効果にではなく、もう一つの効果。
「(…追撃に使っておくべきだったな……)」
夜霧が捨てたカード
BF-天狗風のヒレン
BF-月影のカルート
夜霧 手札:0+5
夜霧が先程、黒い旋風によって手札に加えたBF-月影のカルートは、”《BF》が戦闘を行うダメージステップ時、手札から墓地へ送る事でそのモンスターの攻撃力をエンドフェイズ時まで1400ポイントアップする”という効果を持つ。
夜霧はこれをもしもの時のカウンターに使うつもりだったようであり、遊伸は知らずの内に夜霧の戦術を一つ潰していた。
「メタモルポットをリリース! 《サルベージ・ウォリアー》をアドバンス召喚!」
メタモルポットが消えると、その場にサルベージ・ウォリアーが現れる。
ATK:1900
「サルベージ・ウォリアーの効果発動! アドバンス召喚に成功した時、手札または自分の墓地からチューナー1体を特殊召喚する事が出来る! 墓地から《トラパート》を特殊召喚!」
サルベージ・ウォリアーが遊伸の墓地に鎖を投げ込み、少し待つと、鎖が引かれた様に動く。
その瞬間、サルベージ・ウォリアーが勢いよく鎖を引き上げると、その鎖には上半身が上下にくっつき合った人形が掴まっていた。
ATK:600
「レベル5 《サルベージ・ウォリアー》に、レベル2《トラパート》をチューニング!!」
トラパートが自身を2つの光輪へと変え、サルベージ・ウォリアーを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。
「集いし剣の輝きが、希望の活路を照らし出す、光差す道となれ! シンクロ召喚! 切り開け! 《セブン・ソード・ウォリアー》!」
光の柱からセブン・ソード・ウォリアーが現れる。
金色の剣と鎧を輝かせ、場に躍り出ると二本の大剣を構える。
ATK:2300
「手札から装備魔法《神剣-フェニックスブレード》をセブン・ソード・ウォリアーに装備! そしてセブン・ソード・ウォリアーの効果発動! 1ターンに1度、装備カードが装備された時、 相手のLPに800ポイントダメージを与える!」
セブン・ソード・ウォリアーがフェニックスブレードを手に取ると、それに反応するようにセブン・ソード・ウォリアーが体から閃光を放つ。
「!……それがどうした! アーマード・ウィングを倒すことは出来まい!」
夜霧 LP:6200→5400
「倒してみせる! セブン・ソード・ウォリアー2つ目の効果発動! 1ターンに1度、このカードに装備された 装備カード1枚を墓地へ送る事が出来る! そして装備された装備カードが墓地へ送られた時、 相手の場の表側表示モンスター1体を破壊する事が出来る! 破壊するのは《BF-アーマード・ウィング》! 《イクイップ・ショット》!」
セブン・ソード・ウォリアーがフェニックスブレードをアーマード・ウィング目掛けて投げつける。
フェニックスブレードがアーマード・ウィングの鎧で覆っていない腹部に突き刺さるとそのまま倒れ、破壊される。
「何だと!? アーマード・ウィングが!?」
「僕はエマーズブレイドを攻撃表示に変更! バトル!」
ATK:1300
「セブン・ソード・ウォリアーで攻撃! 《セブン・ソード・スラッシュ》!」
セブン・ソード・ウォリアーがブラストに斬りかかり、槍ごと真っ二つにする。
「ぬう…!」
夜霧 LP:5400→4800
「エマーズブレイドで直接攻撃! 《ダブルクロス・ホッパー》!」
エマーズブレイドが高く跳び上がり、腕のブレードで夜霧に襲い掛かる。
「させん! 手札から《BF-熱風のギブリ》の効果発動! 相手が直接攻撃を宣言した時、このカードを手札から特殊召喚する事が出来る!」
夜霧の場に赤と黒が混じった6枚の翼を持った鳥獣が現れる。
DEF:1600
「くっ! 攻撃を中止!」
エマーズブレイドはギブリの目の前に着地してから再び元の場へと跳躍する。
「僕はカードを伏せてターンエンド!」
LP:4300
手札:2
モンスター
・XX-セイバー エマーズブレイド
・セブン・ソード・ウォリアー
魔法・罠
・セット
・セット
「ぐうぅ……おのれ! 俺のターン! ドロー!」
夜霧 手札:4+1
「《BF-極北のブリザード》を召喚!」
夜霧の場に水色の羽毛をした鳥獣が現れる。
ATK:1300
「ここで極北のブリザードの効果が発動するが、その前に黒い旋風をチェーン発動! デッキから《BF-極北のブリザード》より低攻撃力の《BF-銀盾のミストラル》を手札に!」
夜霧 手札:4+1
「そして極北のブリザードの効果発動! 召喚に成功した時、自分の墓地からレベル4以下の《BF》と名のついたモンスター1体を選択し、表側守備表示で特殊召喚出来る! 来い! 《BF-極夜のダマスカス》!」
ブリザードが夜霧の決闘盤を嘴で突くと、墓地からダマスカスが飛び出し、防御体勢をとる。
DEF:700
「レベル3《BF-熱風のギブリ》と、レベル3《BF-極夜のダマスカス》に、レベル2《BF-極北のブリザード》をチューニング!」
ブリザードが自身を2つの光輪へと変え、ギブリとダマスカスを囲み、合計6つの光、そして光の柱へと変える。
「吹き荒べ嵐よ! 鋼鉄の意志と光の速さを得て……その姿を昇華せよ! シンクロ召喚! 《BF-孤高のシルバー・ウィンド》!」
光の柱から現れたのは、マントの様な銀色の翼と、自身の背丈程ある長い長剣を持った鳥人。
孤高の騎士、 BF-孤高のシルバー・ウィンドである。
ATK:2800
「さ、3体目のシンクロ召喚…!?」
「孤高のシルバー・ウィンドの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、このカードの攻撃力よりも低い守備力を持つ場のモンスターを2体まで選択して破壊出来る! お前の場の《セブン・ソード・ウォリアー》と《XX-セイバー エマーズブレイド》を破壊する! 《パーフェクト・ストーム》!」
シルバー・ウィンドが長剣を振り上げると凄まじい嵐が吹き荒れ、《セブン・ソード・ウォリアー》と《XX-セイバー エマーズブレイド》がそれに巻き込まれて破壊される。
「僕のモンスターが……」
「効果を発動したターン、自分はバトルフェイズを行えない。 カードを伏せてターンエンド!」
LP:4800
手札:4
モンスター
・BF-孤高のシルバー・ウィンド
魔法・罠
・黒い旋風
・セット
「僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:2+1
「(大丈夫だ! カード達は答えてくれる! 怯むな!) 魔法カード《貪欲な壺》を発動! 墓地からモンスターを5体戻しシャッフル! そして2枚ドロー!」
デッキに戻したカード
X-セイバー ソウザ
メタモルポット
サルベージ・ウォリアー
XX-セイバー エマーズブレイド
セブン・ソード・ウォリアー
遊伸 手札:2+2
《XX-セイバー ボガーナイト》を召喚!」
遊伸の場にボガーナイトが現れる。
ATK:1900
「ボガーナイトの効果発動! 召喚に成功した時、手札からレベル4以下の《X-セイバー》と名のついたモンスター1体を自分の場に特殊召喚する事が出来る! 僕は手札からチューナーモンスター《XX-セイバー フラムナイト》を特殊召喚!」
ボガーナイトがレイピアで隣を指し示すと、そこにフラムナイトが現れる。
ATK:1300
「魔法カード《セイバー・スラッシュ》を発動! 自分の場に攻撃表示で存在する《X-セイバー》と名のついたモンスターの数だけ、場に表側表示で存在するカードを選んで破壊する! 僕の場には攻撃表示の《X-セイバー》が2体! 僕は《BF-孤高のシルバー・ウィンド》と《黒い旋風》を破壊する!」
「何だと!?」
遊伸の場の2体のX-セイバーがそれぞれ剣撃を放ち、シルバー・ウィンドと黒い旋風を破壊する。
「レベル4《XX-セイバー ボガーナイト》に、レベル3《XX-セイバー フラムナイト》をチューニング!」
フラムナイトが自身を3つの光輪へと変え、ボガーナイトを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。
「十の剣に名を連ねし無法の戦士よ! 双剣を振るい、己の力を刻み込め! シンクロ召喚! 荒ぶる剣! 《X-セイバー ウルベルム》!」
光の柱から現れたのはウルベルム、双振りの長剣を背から抜き放ち、構える。
ATK:2200
「フィールド魔法《セイバー・ヴォールト》を発動!」
遊伸が発動したフィールド魔法により、決闘場の背景がX-セイバーの聖域へと変わる。
「セイバー・ヴォールトの効果! 表側表示で存在する《X-セイバー》と名のついたモンスターは攻撃力がそのレベル×100ポイントアップし、守備力がそのレベル×100ポイントダウンする! ウルベルムのレベルは7! よってウルベルムの攻撃力は―――」
ATK:2200→2900
「バトル! ウルベルムで直接攻撃! 《クロス・セイバー》!」
ウルベルムが双剣で夜霧を斬りつける。
「ぐおぉ!! …ここで墓地のチューナーモンスター《BF-天狗風のヒレン》の効果発動! 相手モンスターの直接攻撃によって自分が2000ポイント以上の戦闘ダメージを受けた時、自分の墓地に存在する《BF》と名のついたレベル3以下のモンスター1体を選択、選択したモンスターとこのカードを墓地から特殊召喚する! 来い! 《BF-天狗風のヒレン》! 《BF-熱風のギブリ》!」
夜霧 LP:4800→1900
夜霧の場に天狗の様な出で立ちをした鳥人と、ギブリが同時に現れ、防御体勢をとる。
BF-天狗風のヒレン DEF:2300
BF-熱風のギブリ DEF:1600
「僕もウルベルムの効果発動! 相手の手札が4枚以上の場合、このカードが相手LPに戦闘ダメージを与えた時、相手の手札をランダムに1枚選んで持ち主のデッキの一番上に戻す! 《セイバー・リターン》!」
「何!? 俺の手札を!?」
夜霧 手札:4-1
「僕はこれでターンエンド!」
LP:4300
手札:0
モンスター
・X-セイバー ウルベルム
魔法・罠
・セット
・セット
フィールド
・セイバー・ヴォールト
「俺のターン! ドロー!」
夜霧 手札:3+1
「…俺の3体の《BF》が倒されるとはな……だがこれで終わりではない! 俺の切り札を見せてやる! レベル3《BF-熱風のギブリ》に、レベル5《BF-天狗風のヒレン》をチューニング!」
ヒレンが自身を5つの光輪へと変え、ギブリを囲み、3つの光、そして光の柱へと変える。
「黒き疾風よ! 秘めたる力をその翼に現出せよ! シンクロ召喚! 最後の黒羽よ! 舞い上がれ! 《ブラックフェザー・ドラゴン》!」
光の柱から現れたのは白と黒が混じった翼を持つ黒い竜。
その名の通り姿はBFに酷似している。
ブラックフェザー・ドラゴンはウルベルムに対して怪鳥の様な甲高い咆哮を上げる。
ATK:2800
「ブラックフェザー・ドラゴン…!? まさかこれは……」
遊伸はこのドラゴンが自分が求めている”鍵”である事に気づく。
「その通り! これがテオドール様の居城の扉を開ける為の鍵の一つだ! …貴様はこのドラゴンを手にする事は出来ない! このドラゴンに倒されるからだ! 伏せていた魔法カード《アゲインスト・ウィンド》を発動!」
「そのカードは……」
アゲインスト・ウィンド、墓地から選択した《BF》の攻撃力分のダメージを受ける事で選択した《BF》を手札に加えるカード、先程も夜霧が使用したカードである。
「俺は《BF-そよ風のブリーズ》を選択、ダメージを受けるが……この時ブラックフェザー・ドラゴンの効果発動! 自分がカードの効果によってダメージを受ける場合、代わりにこのカードに黒羽カウンターを1つ置く! このカードの攻撃力は、このカードに乗っている黒羽カウンターの数×700ポイントダウンする……ダメージが無効になった為、アゲインスト・ウィンドは不発に終わる」
ブラックフェザー・ドラゴンに黒羽カウンターが置かれると、羽の白い部分の一部が赤く変色していく。
ブラックフェザー・ドラゴン ATK:2800→2100
黒羽カウンター:1
「(!? どうしてこんな事を……)」
遊伸には訳が解らなかった。
夜霧は自分で発動した魔法カードを自分で不発させ、さらにブラックフェザー・ドラゴンの攻撃力を大幅に下げてしまったからである。
「訳が解らない……そんな顔をしているな、ならば教えてやろう! ブラックフェザー・ドラゴンの効果発動! 1ターンに1度、このカードに乗っている黒羽カウンターを全て取り除く事で、相手の場に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、その攻撃力を取り除いた黒羽カウンターの数×700ポイントダウンし、ダウンした数値分のダメージを相手LPに与える! 黒羽カウンター一つを取り除き、ウルベルムの攻撃力を700ポイントダウンさせ、700ポイントダメージをお前に与える! 《ブラック・バースト》!」
ブラックフェザー・ドラゴンが口から波動をウルベルムに向かって放つと、ウルベルムに命中する。
X-セイバー ウルベルム ATK:2900→2200
ブラックフェザー・ドラゴン ATK:2100→2800
「ぐうぅ! …ウルベルムの攻撃力が!? これが狙いだったのか!?」
遊伸 LP:4300→3600
「バトル! ブラックフェザー・ドラゴンでウルベルムを攻撃! 《ノーブルストリーム》!」
ブラックフェザー・ドラゴンが口から黒い光線を放つと、ウルベルムは跡形も無く吹き飛ばされる。
「うわぁ!! …ウ、ウルベルム……」
遊伸 LP:3600→3000
「俺はモンスターをセットしてターンエンド! さあ手札0のお前にブラックフェザー・ドラゴンが倒せるか!」
LP:1900
手札:3
モンスター
・ブラックフェザー・ドラゴン
・セット
魔法・罠
・無し
「倒してみせる! じゃないと先へ進めない! 僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:0+1
「《X-セイバー ガラハド》を召喚!」
遊伸の場にガラハドが現れる。
巨大なブラックフェザー・ドラゴンに対して勇敢にも槍を向け、構える。
ATK:1800→2200(セイバー・ヴォールトにより)
「墓地にある装備魔法《神剣-フェニックスブレード》の効果発動! 墓地の戦士族2体を除外してこのカードを手札に加える!」
除外したカード
X-セイバー アナペレラ
X-セイバー ウルベルム
遊伸 手札:0+1
「そして《X-セイバー ガラハド》に装備! このカードは装備対象の攻撃力を300ポイントアップさせる!」
フェニックスブレードがガラハドの手に握られる。
ATK:2200→2500
「罠カード《ギブ&テイク》を発動! 自分の墓地に存在するモンスター1体を相手の場に守備表示で特殊召喚し、そのレベルの数だけ自分の場に表側表示で存在するモンスター1体のレベルをエンドフェイズ時まで上げる! 僕は《トラパート》をお前の場に特殊召喚し、ガラハドのレベルを2つ上げる!」
夜霧の場にトラパートが防御体勢で特殊召喚される。
DEF:600 レベル2
X-セイバー ガラハド レベル4→6
ATK:2500→2700(セイバー・ヴォールトにより)
「攻撃力を上げてきたか、だが惜しかったな、僅かに足りん! これで解ったか? お前はテオドール様には辿り着けはしない! アカデミアの時の様にな!」
「……夜霧、解ってないのはお前だ! ”決闘者”は成長するんだ! 勝ちも負けも、デュエルを通して吸収し、強くなる! テオドールに負けて……2つの試練を乗り越えて……僕はあの時より強くなった! 僕は……テオドールに辿り着いてみせる! バトル! ガラハドでブラックフェザー・ドラゴンを攻撃! 《クロス・ブレード》!」
ガラハドが跳び上がり、ブラックフェザー・ドラゴンに斬りかかる。
「自棄になったか! 返り討ちにしろ! 《ノーブルストリーム》!」
「ガラハドの効果! 相手モンスターに攻撃する場合、ダメージステップの間、攻撃力が300ポイントアップする! 行けぇ!」
ATK:2700→3000
ブラックフェザー・ドラゴンのノーブルストリームが撃ち出される前に、ガラハドがブラックフェザー・ドラゴンの首を落とす。
「ば、馬鹿な!?」
夜霧 LP:1900→1700
「僕はこれでターンエンド!」
X-セイバー ガラハド ATK:2700→2500
レベル6→4
LP:3000
手札:0
モンスター
・X-セイバー ガラハド
魔法・罠
・セット
・神剣-フェニックスブレード(X-セイバー ガラハド)
フィールド
・セイバー・ヴォールト
激戦の攻防の末、再び優位を取った遊伸。
夜霧は愕然とした表情をした後、すぐに顔を引き締める。
覚悟を決めた様な顔であった。
「俺のターン! ドロー!」
夜霧 手札:3+1
「……認めてやる、お前は強い……お前は……必ずテオドール様の脅威となる! だから何としてでも! お前をここで倒す!!!」
夜霧は1枚のカードを手札から取り出す。
「……まさかこのカードを使う事になるとは思わなかったぞ……セットモンスター《BF-銀盾のミストラル》と貴様が寄越した《トラパート》をリリース! 《地縛神
2体のモンスターが消えると、突然、夜霧の後方で竜巻が起こり始める。
「な、何だ!? 一体何が……」
そして竜巻の中から黒い体にオレンジ色のラインの模様が入った巨大なハチドリが現れる。
ATK:2500
「な、何なんだこのモンスターは!? この感じ……闇のカードに似てるけど……それよりもずっと強大な力を感じる!?」
遊伸はAslla piscuを見上げて驚愕する。
「これぞセブンスターズ最後の切り札! 《地縛神》だ! さあ受けてみろ! バトル! 《地縛神》は直接攻撃を行う事が出来る! 近衛 遊伸に攻撃!」
Aslla piscuが遊伸に尾を向けるとそれを伸ばし、突いてくる。
「くっ! 罠カード《ガード・ブロック》を発動! ダメージを0にして1枚ドロー!」
遊伸 手札:0+1
「しぶとい! 俺はターンエンド!」
LP:1700
手札:3
モンスター
・地縛神 Aslla piscu
魔法・罠
・無し
「僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:1+1
「(とてつもないモンスターだ、でも今のガラハドなら……)」
「一つ言っておく、《地縛神》は攻撃対象にはならん! 残念だったな」
「!? そんな……まだだ! まだ諦めない! モンスターをセット! カードを伏せてターンエンド!」
LP:3000
手札:0
モンスター
・X-セイバー ガラハド
・セット
魔法・罠
・神剣-フェニックスブレード(X-セイバー ガラハド)
・セット
フィールド
・セイバー・ヴォールト
「足掻くな! すぐに止めを刺してやる……俺のターン! ドロー!」
夜霧 手札:3+1
「(このターンでは止めまで行けないか……) バトル! Aslla piscuで直接攻撃!」
Aslla piscuが再び尾を伸ばして遊伸を襲う。
「うわぁーーー!!!」
遊伸 LP:3000→500
遊伸はあまりの衝撃に後ろへ飛ばされる。
「ぐわっ! ……な、何て力だ……」
「モンスターをセットしてターンエンド! さあ、お前のラストターンだ!」
LP:1700
手札:3
モンスター
・地縛神 Aslla piscu
・セット
魔法・罠
・無し
夜霧は用心深く、さらに布陣を固める。
遊伸は何とか立ち上がり、デッキを見る。
「(…凄いピンチだけど、負ける訳にはいかないんだ……頼む、僕のデッキ、この”鉄壁”を乗り越える為の……”その先”に辿り着く為のカードを僕に……)」
遊伸はデッキに指を掛ける。
「届け! 僕のターン! ドロー!!!」
遊伸 手札:0+1
「……《XX-セイバー ガルセム》を反転召喚!」
遊伸がセットしていたモンスター、ガルセムが姿を現す。
ATK:1400→1800(セイバー・ヴォールトにより)
「ガルセムのモンスター効果! このカードの攻撃力は自分の場に表側表示で存在する《X-セイバー》と名のついたモンスターの数×200ポイントアップする! 場のX-セイバーは2体、よって現在のガルセムの攻撃力は400ポイントアップする!」
ATK:1800→2200
「そして魔法カード《地砕き》を発動! 相手の場の一番守備力が高いモンスターを破壊する! 《地縛神 Aslla piscu》を破壊する! (これでセットモンスターを戦闘破壊出来れば僕の勝ちだ!)」
Aslla piscuが地面を砕く程の勢いで叩きつけられる。
「…フッフッフ……近衛 遊伸、お前なら必ずAslla piscuを破壊するカードを引き当てると思っていたぞ……やはりお前は脅威だ」
「な、何を……」
遊伸はAslla piscuを破壊されたのに余裕の表情―――勝利を確信した様な顔をしている夜霧を不気味に感じる。
「終わりだ、近衛 遊伸……地縛神 Aslla piscuの効果発動! このカードが場から離れた時、 相手の場に表側表示で存在するモンスターを全て破壊し、 破壊したモンスターの数×800ポイントダメージを相手LPに与える! 破壊するモンスターは2体、よってお前は1600ポイントのダメージを受けLPは0! 俺の勝ちだ!!! 《地縛旋風》!!!」
Aslla piscuが消滅すると同時にAslla piscuが現れた時の様な竜巻が遊伸の場を襲う。
その竜巻の中、遊伸が叫ぶ。
「夜霧! 僕は止まらない! お前を越えてその先へ行く! 罠カード《スターライト・ロード》を発動! 自分の場のカードを2枚以上破壊する効果が発動した時、その効果を無効にし破壊する!」
竜巻の中心部から一筋の光―――光の道が飛び出すと、竜巻が掻き消される。
「ば、馬鹿な!? こ、こんな事が……」
「バトル! ガラハドでセットモンスターを攻撃! 《クロス・ブレード》!」
セットモンスター:BF-二の太刀のエテジア DEF:1600
ガラハドがセットモンスター、BF-二の太刀のエテジアを破壊する。
「止めだ! ガルセムで直接攻撃! 《ダブルクロス・ホーンソード》!!!」
ガルセムが夜霧を剣で斬り裂く。
「ぐおぉぉぉーーー!!!」
夜霧 LP:1700→0
ソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴った。
決闘場の仕掛けにより、大きなダメージを一度に受けた夜霧、力を振り絞り、何とか倒れずにその場にしゃがみ込む。
「……申し訳ありません……テオドール様……」
「夜霧……」
遊伸が夜霧に近付く。
「近衛 遊伸……受け取れ……」
夜霧はブラックフェザー・ドラゴンを差し出す。
遊伸は無言で受け取る。
「それを持って……我が王に八つ裂きにされて来い……フッフッフ……」
夜霧はそう言うと倒れる。
「夜霧……こんな事言うのもおかしいかもしれないけど……楽しいデュエルだったよ……」
遊伸にとって、夜霧はテオドールに心酔し、テオドールの野望を助ける許せない男である。
しかし遊伸はこの時、夜霧に感謝した。
夜霧の”信念”はテオドールへの忠義から来ている。
夜霧はその”信念”を貫く為、遊伸に”壁”として立ち塞がった。
夜霧は遊伸を脅威と見て、全力でぶつかった、遊伸も同様である。
夜霧とのデュエルはお互いの”魂”が―――”信念”がぶつかり合ったデュエルであった。
この時は善悪関係なく、彼らは”決闘者”であったのだ。
”闇のデュエル”や桐原とのデュエルじゃ絶対に得られなかった充足感を、遊伸は感じていた。
「(デュエルって、これが当たり前のはずなのに……テオドール、お前は必ず僕等が倒す!)」
遊伸はブラックフェザー・ドラゴンをしまうと、PDAを取り出して状況を確認する。
そして遊伸も、グレイグと同じ状況を目の当たりにするのであった。
今回は大変でした。
BF強すぎですよ(汗)ちょっと構成ミスるとすぐ遊伸が負けちゃうんです(笑)
作者がBFを扱った事が無いというのもありますが、そのせいで今回の相手のプレイングは経験者の方から見れば大分甘めになっていたと思います。 手札も大分あまっちゃってましたし。 申し訳ありませんが明らかなルールミスと大きな戦術ミス以外は見逃してくださいm(_ _)m
後最後のスタロも投稿間際にミスっていたのに気付き、修正したものです。無効対象が場にいてスタロで破壊しないと呼べないのね、スタダ……