遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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*今回原作オリカを使用しています。 ご了承ください。


第46話 姉妹 ~太陽と月が混じわる時~

南の決闘場  ドーム内  グレイグ

 

「何てこった……まさか負けちまう奴が出ちまうとはな」

 

グレイグはPDAの全体図を見ながら呟く。

 

「(燃次と冷次……鋼牙……そして敵の数……どっちかが負けて、どっちかが引き分け……引き分けって共倒れ扱いか? 考えても仕方が無いか……)」

 

グレイグは他のメンバーの動きを見る。

まず東の燃次達の元へ向かってるのは遊伸、そしてドームへ向かう途中で気付いたのか、空が方向を変えて向かっている。

そして西北の鋼牙の元へ向かっているのは鋼貴、そして空と同様に途中で気付いた高尾が向かっている。

 

「(俺はどっちへ向かうべきだ? …とりあえず出発点のドームへ行くか、そこへ向かえばどっちがまた危なくなってもすぐ向かえる)」

 

グレイグはドームを出て出発点を目指す。

 

 

* * *

 

 

東の決闘場付近  遊伸

 

遊伸は自身がいた東南の決闘場の隣、東の決闘場を目指して進んでいた。

燃次と冷次、そして鋼牙の反応が消えた事に驚き、東南の決闘場を飛び出して一目散に駆け出した。

 

「(まさか燃次達や鋼牙さんが負けてしまったなんて……信じられないよ!)」

 

幸いにも隣り合った位置だったという事、そしてサテライト育ちというのもあり、地下道を使わずとも早く辿り着く事が出来た。

 

「(ここか……中に光円寺達が……よし!)」

 

遊伸がドーム内に入る為に歩を進めようとすると、何かか遊伸の前を横切る。

 

「わっ! ガ、ガスタ・イグル!?」

 

その正体は空の精霊、ガスタ・イグル。

イグルは何かを遊伸に伝えようとしている。

 

「イグルがここにいるって事は……空が近くにいるのかい!?」

 

遊伸がそう言うと、イグルは遊伸の前で激しく羽ばたき頷く。

遊伸はPDAを取り出し、確認する。

 

「本当だ! もう少しで着く! 空がいれば心強い! もうちょっと待ってみよう……」

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

数分後、空がやって来るのが見えてきた。

 

「空!」

 

「遊伸! よかった! 無事だったんだね!」

 

逢って早々、遊伸と空はお互いの情報交換をする。

 

「そうか……あんなに早く倒されていたのはそういう訳だったのか、一体誰が……」

 

「私にも分からないの……それにしても遊伸凄い! 夜霧ってテオドールの横にいた強そうな人でしょ?」

 

「うん、強かったよ……でも、僕等は止まる訳にはいかないからね……テオドールを倒すまで」

 

遊伸は東の決闘場のドームを見る。

 

「うん! そうだね! 行こう!」

 

遊伸と空はドーム内へと入っていった。

 

 

* * *

 

 

東の決闘場  ドーム内

 

「あら、次が来たわね、しかもあの坊や」

 

「そしてもう一人は王様と因縁がある子ね」

 

奥を見ると光円寺姉妹が丸いテーブルを挟んで椅子に座っている。

 

「光円寺! 燃次と冷次は!」

 

遊伸が二人の安否を光円寺姉妹に聞く。

 

「あそこで眠ってるわ」

 

陽子が指し示した先を見ると、燃次と冷次が決闘場の上で倒れている。

 

「燃次!? 冷次!?」

 

遊伸と空が駆け寄る。

 

「貴方達がここへ来たという事は、誰かしらを倒してきたという事かしら?」

 

陽子が椅子から立ち上がり、決闘場へと歩き出す。

 

「…ああ」

 

遊伸は燃次達の様子を見ながら素っ気なく答える。

 

「だったらこの試練のルールは知ってるわね? その子達は死んではないわ、今日一日は寝たきりでしょうけどね」

 

月子も立ち上がり、陽子の後に続く。

遊伸と空は燃次と冷次を離れに寝かせ、自分達も決闘場に立つ。

 

「光円寺 陽子……あの時の様にはいかない! このデュエル、僕達が勝つ!」

 

遊伸が決闘盤を展開させる。

 

「気が早いわ坊や、その前に聞かせてちょうだい……貴方達はあの時より大分強くなった様ね、一体誰を倒してきたのかしら?」

 

陽子が遊伸達に質問をする。

 

「私は……えーと、不戦勝……かな? 名前も分かんない……」

 

「僕は夜霧とデュエルして勝った」

 

空と遊伸がそれぞれ答えると、光円寺姉妹は遊伸の答えに眼を見開く。

 

「夜霧に……」

 

「…驚いたわね」

 

光円寺姉妹はお互いに眼を見合わせる。

 

「(結構驚いてる…? やっぱり強いんだ、夜霧って)」

 

空は何時も余裕そうな表情の光円寺姉妹の様子と、夜霧という強敵を倒した遊伸に内心で驚く。

 

「次はお前達だ! お前達を倒して、テオドールを倒す! その為に僕等はここへ来た!」

 

遊伸がそう言うと、光円寺姉妹が静かに笑う。

 

「ねえ、坊や? 一つ話があるの、聞いてくれないかしら?」

 

陽子が妖艶な笑みを浮かべて遊伸に話を持ちかける。

大抵の男はこれだけで落ちるだろう。

だが遊伸は大抵の男ではなかった。

遊伸は敵意を剥き出して答える。

 

「何だ!」

 

「どう? 私達と手を組まない?」

 

思いがけない言葉、遊伸と空は面食らう。

 

「……え?」

 

「ちょ、ちょっと! 遊伸にテオドールの仲間になれって言うの!」

 

空が遊伸を庇う様に前に立つ。

 

「フフ……違うわお嬢ちゃん、”私達”と手を組まないか、って聞いてるの」

 

「貴女達と? 貴女達はテオドールの手下じゃない!」

 

空が指差して言うと、光円寺姉妹は再び笑う。

 

「私達が? フフ……どうして私達があんな”坊や”の手下にならなきゃいけないのかしら?」

 

月子が笑いを収めずにそう言う。

 

「え? だってさっき”王様”って……」

 

「私達から……いえ、誰が見たってアレは”坊や”よ、世界征服なんて……お嬢ちゃん達の仲間の坊やが言っていた通りよ」

 

月子が言っているのはおそらく鋼貴の事だろう、初めてテオドールと会い、テオドールの野望を聞いた時に鋼貴はそれを”子供みたいな事”と言った。

 

「私達はテオドールを倒したいの、それに協力して貰えないかしら?」

 

陽子が再び遊伸に問う。

 

「……二つ聞かせてくれ、まずはどうして僕なんだ?」

 

「簡単な事よ、坊やは強くて、私達は坊やに感謝してるからよ」

 

「感謝?」

 

身に覚えの無い遊伸に月子が説明する。

 

「坊やが倒した夜霧はね、私達にとって一番の障害だったのよ。 強い上に私達の事を信用しないでずっと睨んでいたの、何時もテオドールテオドール言っているから、夜霧は”アレ”なんじゃないかと思った程よ」

 

「やだ、月子ったら」

 

笑い合う二人、遊伸は最後の意味が解らなかったが、夜霧を倒した自分を評価して仲間に誘っているのは解った。

 

「それじゃもう一つ、テオドールを倒してどうするつもりなんだ?」

 

遊伸が陽子に向かって問う。

 

「決まっているわ、”大いなる力”を頂くのよ」

 

「……頂いてどうする気だ」

 

「決まってるじゃない、好きな様に使うのよ。 私達はテオドールの様にちやほやされたり、恐れられたり……」

 

「威張ったり、尊敬されたりしたい訳じゃないの……”力”があれば何だって出来るわ」

 

「欲しい物、やりたい事……私達は”世界”なんて要らないわ、私達姉妹が好きな様に、何でも出来る”力”があればいいの」

 

光円寺姉妹は交互に遊伸の問いに答える。

 

「勿論手を組んで手伝ってくれたら坊やにも”力”を分けてあげるわ、どう?」

 

陽子が再び遊伸に問いかける。

 

「……僕はお前達の仲間になんかならない! 僕からも言わせて貰う! お前達もテオドールも僕から見れば”同じ”だ! どちらも倒さなきゃならない相手だ! 僕は……お前達もテオドールも絶対に倒す! 勝負だ!」

 

遊伸は光円寺姉妹を睨みながら決闘盤を構える。

空も遊伸同様、戦う意志を顔に表し、決闘盤を展開する。

 

「……交渉決裂、ね……残念だわ坊や」

 

月子が溜息をつく。

 

「それならそれでいいわ、でも坊や、前にそこのお嬢ちゃんを含める坊やの仲間に伝言頼んでおいたはずよね? ”もう二度とそうなりたくなければ粋がるのはよしなさい”って……その覚悟はあるのかしら?」

 

陽子がそう言うと、月子と同時に決闘盤を展開する。

 

「前のようにはならない! 勝つのは僕達だ! 行くぞ!」

 

 

「「デュエル!!!」」

 

「「デュエル」」

 

 

順番は陽子、空、月子、遊伸の順。

 

「私のターン、ドロー」

 

陽子 手札:5+1

 

「私はチューナーモンスター《赤蟻アスカトル》を召喚」

 

陽子の場に巨大な赤蟻、アスカトルが現れる。

遊伸は忘れはしない、このチューナーから呼び出された龍を。

 

ATK:700

 

「赤蟻アスカトル……」

 

「負けた時の事を思い出しちゃったかしら? 速攻魔法《フォトン・リード》を発動、手札からレベル4以下の光属性1体を表側攻撃表示で特殊召喚する……手札から《アポカテクイル》を特殊召喚」

 

続いて陽子の場に鋤を持った動く像が現れる。

 

ATK:1800

 

「アポカテクイルは場にチューナーがいる時、レベルが5になるわ……レベル5《アポカテクイル》に、レベル3《赤蟻アスカトル》をチューニング」

 

赤蟻アスカトルが3つの光輪へと姿を変え、アポカテクイルを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。

 

「太陽昇りし時……全ての闇を照らし出す……降り注げ、光よ! シンクロ召喚! さあ、現れなさい! 《太陽龍インティ》!」

 

光の柱から現れたのは四頭の龍の首を持った輝く太陽。

デュエル研で遊伸を破った陽子の”お気に入り”、 太陽龍インティである。

 

ATK:3000

 

「いきなり来たか……」

 

遊伸は負けた時の事を思い出すが、それと同時にその時から歩んできた”自分の道”も思い出す。

 

「(僕はあの時とは違う……今は昔より強くて、揺ぎ無い”信念”が……それに答えてくれるデッキが……そして仲間がいる! 恐れる事なんて無い!)」

 

遊伸は真っ直ぐインティを見上げながら決闘盤を構える。

 

「カードを伏せてターンエンド」

 

LP:8000

陽子 手札:2

月子 手札:5

モンスター

・太陽龍インティ

魔法・罠

・セット

 

「空! 気をつけて!」

 

「うん! 任せて!」

 

ターンプレイヤーが代わり、空が前に出る。

不向きな後攻、だが遊伸は自身のデッキを信じる様に、空を信じていた。

 

「私のターン! ドロー!」

 

空 手札:5+1

 

「私は速攻魔法《手札断殺》を発動! お互い手札を2枚墓地に送って2枚ドロー!」

 

空が墓地に送ったカード

ガスタ・グリフ

ガスタ・ファルコ

 

空 手札:3+2

 

陽子が墓地に送ったカード

ブルーローズ・ドラゴン

キラー・トマト

 

陽子 手札:0+2

 

「そして墓地に送られた《ガスタ・グリフ》の効果発動! 手札から墓地へ送られた場合、デッキから《ガスタ》を1体特殊召喚出来るよ! 私はデッキから《ガスタの疾風 リーズ》を特殊召喚!」

 

空の場にリーズが現れる。

空に軽く手を振ると、相手に向き直り杖を構える。

 

ATK:1900

 

「さらに《ガスタ・イグル》を召喚!」

 

続けて空の場にイグルが現れる。

空は何故かイグルに頭を下げ、リーズも申し訳無さそうな顔をしている。

 

ATK:200

 

「…リーズの効果発動! 1ターンに1度、手札を1枚デッキの一番下に戻し、 相手の場のモンスター1体と自分の場の《ガスタ》と名のついたモンスター1体を選択、選択したモンスターのコントロールを入れ替えるよ! 私は《ガスタ・イグル》と《太陽龍インティ》を選択!」

 

空 手札:4-1

 

「(そうか、だから謝ってたんだ……でもこれは凄いぞ! 一気に攻めるチャンスだ!)」

 

遊伸は後ろで空の戦術に驚く。

このままインティのコントロールを奪い一斉攻撃、そしてリクルーターであるイグルを戦闘破壊すれば、さらにこちらの戦力が増える。

空の見事な”攻めの戦術”。

 

「(後攻が不利なんて考えは改めた方がいいな)」

 

遊伸がそう考えていると、リーズが詠唱を始める―――が。

 

「残念だけど、私のお気に入りは渡せないわね……手札から《エフェクト・ヴェーラー》を墓地に送って効果発動……相手モンスターの効果をエンドフェイズ時まで無効にするわ」

 

陽子がそう言うと、リーズの詠唱が急に止まる。

リーズは空に振り向き、お手上げの身振りをする。

 

「え~! そんなぁ……なんてね! まだ手はあるよ! 魔法カード《ガスタの交信》を発動! 自分の墓地の《ガスタ》と名のついたモンスター2体と、相手の場のカード1枚を選択、選択した墓地のモンスター2体をデッキに加えてシャッフル! その後選択した相手のカード1枚を破壊するよ! 《太陽龍インティ》を破壊!」

 

デッキに戻したカード

ガスタ・グリフ

ガスタ・ファルコ

 

空の魔法が発動されると、ガスタ達の力がインティに向かって放出され、インティを破壊する。

 

「あら、結局除去されてしまったわね」

 

しかし陽子は余裕の表情のまま、笑みすら浮かべている。

遊伸はそれを見て不気味に感じる。

 

「(インティにはまだ何かあるっていうのか…?)」

 

「バトル! リーズとイグルで攻撃!」

 

リーズが素早く詠唱し、杖から突風を放つ。

イグルも陽子に飛びかかり、爪で攻撃する。

 

「!……お嬢ちゃんもやるわね、どう? 手を組まない?」

 

光円寺 LP:8000→6100→5900

 

「お断りっ! カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:8000

空   手札:1

遊伸 手札:5

モンスター

・ガスタの疾風 リーズ

・ガスタ・イグル

魔法・罠

・セット

 

「また振られちゃった……それじゃ月子、任せたわ」

 

「ええ、姉さん……私のターン、ドロー」

 

月子 手札:5+1

 

光円寺 月子、陽子とは双子で妹、彼女のデッキについては”お気に入りの龍”しか遊伸達は知らない。

 

「相手の場のみモンスターが存在する時、このカードは手札から特殊召喚が出来る……《太陽の神官》を特殊召喚」

 

月子の場に以前陽子が使用した半上級モンスター、太陽の神官が現れる。

 

DEF:2000

 

「そしてチューナーモンスター《スーパイ》を召喚」

 

続けて月子の場に怪しげな仮面が現れる。

 

ATK:300

 

「チューナー……まさか!?」

 

「フフ……坊や、気付いた様ね、(インティ)が沈み、次に顔を出すのは……レベル5《太陽の神官》に、レベル1《スーパイ》をチューニング」

 

スーパイが1つの光輪へと姿を変え、太陽の神官を囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。

 

「闇に月満ちる時……魔の囁きが聞こえ出す……死へと誘え! シンクロ召喚! さあ、現れなさい! 《月影龍クイラ》!」

 

光の柱から現れたのはインティ同様、四頭の龍の首を持った輝く月。

遊伸達はソリッドビジョンで1度見た事がある月子の”お気に入り”、月影龍クイラである。

 

ATK:2500

 

「(あの時僕等に見せた龍……インティよりは攻撃力が低いみたいだけど……油断は禁物だな)」

 

遊伸は姿以外未知なモンスター、クイラを後ろで警戒する。

 

「月影龍クイラでガスタの疾風 リーズを攻撃、《ライト・オブ・ムーンライズ》!」

 

クイラがリーズに向かって眩い光線を放つ。

 

「きゃ! ……リーズ!」

 

空達が目を開けると、そこにはもうリーズはいなかった。

 

MR LP:8000→7400

 

「(ホントだ、遊伸が言ってた通り、これ位のダメージは殆ど決闘場に吸収されてる……エメラルが出て来てないくらい)」

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

LP:5900

陽子 手札:1

月子 手札:2

モンスター

・月影龍クイラ

魔法・罠

・セット(陽子)

・セット(月子)

・セット(月子)

 

「遊伸! 頑張ってね!」

 

「ああ! クイラは僕が倒す!」

 

遊伸がそう言って前に出る。

 

「僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:5+1

 

遊伸はクイラを見上げ、予想する。

光円寺姉妹と同じ様に、インティとそっくりなモンスター、おそらくインティと同様、戦闘破壊時に何かしらの効果があるに違いない、遊伸はそう考えた。

 

「(それなら……) 僕は《XX-セイバー ボガーナイト》を召喚!」

 

遊伸の場にボガーナイトが現れる。

 

ATK:1900

 

「ボガーナイトの効果発動! 召喚に成功した時、手札からレベル4以下の《X-セイバー》と名のついたモンスター1体を自分の場に特殊召喚する事が出来る! 僕は手札からチューナーモンスター《XX-セイバー フラムナイト》を特殊召喚!」

 

ボガーナイトがレイピアで隣を指し示すと、そこにフラムナイトが現れる。

 

ATK:1300

 

「そして、このカードは場に2体以上《X-セイバー》がいる時、特殊召喚する事が出来る! 来い! 《XX-セイバー フォルトロール》!」

 

続けて遊伸の場にフォルトロールが現れる。

ゴーグルを光らせ、剣を振り上げて構える。

 

ATK:2400

 

「行くぞ! レベル4《XX-セイバー ボガーナイト》に、レベル3《XX-セイバー フラムナイト》をチューニング!」

 

フラムナイトが自身を3つの光輪に変えると、ボガーナイトを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。

 

「十の剣に名を連ねし剣士よ、双剣を振るい、己の力を示せ! シンクロ召喚! 無双の剣《X-セイバー ソウザ》!!」

 

光の柱から現れたのはソウザ。

不気味な笑みを浮かべ、両手の双剣を構える。

 

ATK:2500

 

「ここでフォルトロールの効果発動! 1ターンに1度、自分の墓地からレベル4以下の《X-セイバー》と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する事が出来る! 墓地から《XX-セイバー フラムナイト》を特殊召喚! 《セイバー・リライブ》!」

 

フォルトロールが地面に大剣を突き刺すと、隣にXの文字が現れ、そこからフラムナイトが現れる。

 

ATK:1300

 

「ソウザの効果発動! 自分の場に存在する《X-セイバー》と名のついたモンスター1体をリリースする事で、2つの効果から1つを選択してエンドフェイズ時まで得る……僕はフラムナイトをリリース!」

 

ソウザの効果によりフラムナイトが消えると、ソウザからオーラが湧き上がる。

 

「僕は[モンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する]効果を選択! これでインティの様な効果は発動出来ない! バトル! ソウザで攻撃! 《双剣十字斬》!」

 

ソウザがクイラに向かって斬りかかる。

 

「坊や、勘違いしてるようだから言っておくわ、双子は姿形は似ているけど、”違う存在”なのよ、人とはそういうもの……月影龍クイラの効果発動、攻撃対象に選択された時、攻撃モンスターの攻撃力の半分の数値分だけ自分のLPを回復する……坊やのモンスターの攻撃力の半分、1250LPを回復、《癒しの月光》」

 

光円寺 LP:5900→7150

 

「しまった!? 攻撃自体が引き金……だけど戦闘は問題なく行える!」

 

ソウザが双剣を振るって龍の首を切り落とし、最後に月の本体を真っ二つにする。

 

「フフフ……」

 

先程の陽子の様に、クイラが破壊されたというのに笑っている月子。

 

「何が可笑しい!」

 

「坊や、月が沈むと上がってくるのは何かしら? 月影龍クイラの効果発動、場のこのカードが破壊された場合、自分の墓地の《太陽龍インティ》1体を選択して特殊召喚出来る……さあ日の出よ! 《太陽龍インティ》!」

 

クイラが完全に消えると、月子の後方からインティが日の出の様にゆっくりと上がってくる。

 

ATK:3000

 

「な!? インティが!?」

 

「どう坊や? これが私達姉妹の戦術……光が無い世界なんて無いわ、闇もだけどね」

 

月子が姉と同じ様に妖艶な笑みを浮かべる。

 

「(な、何て事だ……ならインティを破壊して出てくるのは……)」

 

遊伸は考えたくも無い予想をしてしまう。

 

「(…日が沈めば月が上がるのは当たり前……だけどこれはデュエルなんだ! 攻略法はある!) 僕はガスタ・イグルを守備表示へと変更! カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

LP:7400

空   手札:1

遊伸 手札:1

モンスター

・ガスタ・イグル

・XX-セイバー フォルトロール

・X-セイバー ソウザ

魔法・罠

・セット(空)

・セット(遊伸)

・セット(遊伸)

 

「私のターン、ドロー」

 

陽子 手札:1+1

 

「それじゃ攻めさせて貰おうかしら……墓地から光属性、闇属性をそれぞれ1体ずつ除外して《カオス・ソーサラー》を特殊召喚」

 

除外したカード

アポカテクイル

キラー・トマト

 

陽子の場に現れたのは一人の魔術師。

遊伸はその魔術師から奇妙な”迫力”を感じる。

”闇のカード”でもなく、”大いなる力”でもない、普通のカードには間違いないが、”只”のカードでもない、それだけは解った。

 

ATK:2300

 

「嘘!? カオス・ソーサラー!?」

 

空が遊伸の後ろで驚きの声を上げる。

 

「ど、どうしたんだい空! あのモンスターを知ってるの!?」

 

「…授業で聞いた事があるの……カオス・ソーサラー、伝説のレアカードって言われてる《カオス・モンスター》の内の1体だよ、世界でも複数あるかどうかって位のカード……どうしてこの人達が……」

 

空がそう言うと、光円寺姉妹が二人で静かに笑う。

 

「テオドールを倒す為に手に入れたカードの一つよ。 苦労したわ、世界中探し回って……デュエル研を襲撃したのも、《カオス・モンスター》があるかもしれないと思ってやったんだけど、ナンバーズなんて色物しかなくてガッカリしたわ」

 

陽子が首を緩々と横に振る。

次に後ろにいる月子が口を開く。

 

「《カオス・モンスター》……正に私達姉妹の為にあるカードだと思わない? …光と闇、本来は混じわる事のない物が一つとなる……さっき言った通り、人というのはそれぞれ違う”一つ”の存在、混じわる事はないわ……だけど私達は違う、私達は個々の存在だけど、デュエルによって二人で一人になれる……」

 

陽子が話を引き継ぐ。

 

「二人なら夜霧にも……テオドールさえも凌ぐ事が出来る、そして私達にはインティやクイラ……《カオス・モンスター》という最強のカードもある……坊や、お嬢ちゃん、私達の誘いを断った事を後悔させてあげるわ……カオス・ソーサラーの効果を発動、1ターンに1度、場に表側表示で存在するモンスター1体を選択してゲームから除外出来る……《X-セイバー ソウザ》を除外」

 

カオス・ソーサラーが手に闇の力と光の力の球体を作り出すと、それを合わせて一つの混沌の球体を作り出すと、ソウザに向かって放つ。

ソウザはその球体に当たると、次元の彼方へと飛ばされる。

 

「ソウザ!? コスト無しでモンスターを除去するなんて……」

 

「その代わり、この効果を使用したターン、カオス・ソーサラーは攻撃出来ない……バトル、インティでXX-セイバー フォルトロールを攻撃……《フレイム・オブ・サンライズ》!」

 

インティの龍の首がフォルトロールに向かって火炎を吐き出す。

 

「罠カード《聖なるバリア-ミラーフォース-》を発動! 相手の攻撃宣言時、相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

 

「月子が伏せた速攻魔法《月の書》を発動、表側表示で存在するモンスター1体を裏側守備表示に……私は《カオス・ソーサラー》を裏側守備表示に」

 

遊伸の発動したミラーフォースがインティの火炎を撥ね返し、インティを逆に破壊するが、 カオス・ソーサラーは突然姿を消し、火炎をかわすと、その場にカードのソリッドビジョンが現れる。

 

「かわされた!?」

 

「残念だったわね坊や、私はこれでターンエンド」

 

LP:7150

陽子 手札:1

月子 手札:2

モンスター

・セット(カオス・ソーサラー)

魔法・罠

・セット(陽子)

・セット(月子)

 

「私のターン! ドロー!」

 

空 手札:1+1

 

「お嬢ちゃんのスタンバイフェイズ、破壊されたインティの効果発動、《月影龍クイラ》を墓地から特殊召喚」

 

陽子がそう宣言すると、陽子の後ろからクイラがゆっくりと上がってくる。

 

ATK:2500

 

「やっぱりクイラを蘇生させる能力を持っていたか!?」

 

遊伸が苦い顔でクイラを見上げる。

 

「遊伸! あの人達悪い人だけど、姉妹の”絆”は凄く強いよ! 燃次と冷次のタッグを倒しちゃう程だもん……でも遊伸、私達の”絆”だって負けてないよ! だから大丈夫! 勝てるよ!」

 

空が遊伸に振り向き、笑顔でそう言う。

 

「…ああ! そうだね! 僕等なら勝てる! 頼んだよ!」

 

「うん! フォルトロールの効果発動! 墓地から《XX-セイバー フラムナイト》を特殊召喚! 《セイバー・リライブ》!」

 

フォルトロールの効果により再びフラムナイトが場に現れる。

 

ATK:1300

 

「そしてフラムナイトをリリース! 《ガスタの賢者 ウィンダール》をアドバンス召喚!」

 

フラムナイトが消えると、その場にウィンダールが現れる。

ウィンダールは空に一瞥し、杖を構える。

 

ATK:2000

 

「レベル6《ガスタの賢者 ウィンダール》に、レベル1《ガスタ・イグル》をチューニング!」

 

ガスタ・イグルが自身を一つの光輪で囲うと、ウィンダールが詠唱を始める。

詠唱が終わると、杖の先から6つの光をイグルに飛ばし、イグルがそれを取り込んで光の柱となる。

 

「偉大なる一族の賢者よ! 大いなる翼を御して、長としての責を全うせよ! シンクロ召喚!」

 

光の柱から現れた巨大なイグルにウィンダールが飛び乗る。

 

「ガスタの守護神鳥《ダイガスタ・イグルス》!」

 

ATK:2600

 

「バトル! ダイガスタ・イグルスでセットモンスターに攻撃! 《ダイガスタ・ウインド》!」

 

ダイガスタ・イグルスが羽ばたき、突風を起こす。

 

「月子が伏せたカウンター罠《攻撃の無力化》を発動……お嬢ちゃんの攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させるわ」

 

陽子が罠を発動させると、ダイガスタ・イグルスが起こした突風が掻き消される。

 

「(止められちゃった…でも!) 私はカードを伏せてターンエンド! ここでダイガスタ・イグルスの効果発動! 自分の墓地の風属性を一体除外して相手のセットされたカードを破壊するよ! 墓地から《ガスタの疾風 リーズ》を除外! 対象はセットモンスターの《カオス・ソーサラー》! 《闇払いの風》!」

 

ダイガスタ・イグルスの上のウィンダールが詠唱し、掌に風を集中、それをセットされているカオス・ソーサラーに向けて放つと、 カオス・ソーサラーを風が切り刻み、破壊する。

 

LP:7400

空   手札:0

遊伸 手札:1

モンスター

・XX-セイバー フォルトロール

・ダイガスタ・イグルス

魔法・罠

・セット(空)

・セット(遊伸)

・セット(空)

 

「よし! カオス・ソーサラーを破壊したぞ! 流石は空だ!」

 

遊伸が空を称賛する。

 

「またお嬢ちゃんにしてやられちゃったわ、月子、頼んだわよ」

 

「ええ姉さん、任せて……私のターン、ドロー」

 

月子 手札:2+1

 

「私は墓地から光属性、闇属性をそれぞれ1体ずつ除外して《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》を特殊召喚」

 

除外したカード

ブルーローズ・ドラゴン

太陽の神官

 

月子の場に現れたのはとてつもない威圧感を放つ戦士。

”大いなる力”や”闇のカード”だからではない、そのモンスターが単純に”強力”なのである。

強者こそが放つ威圧感、カオス・ソルジャー -開闢の使者-はそれを持っていた。

 

ATK:3000

 

「こ、これは……!?」

 

「カオス・ソルジャーまで……!?」

 

遊伸と空もカオス・ソルジャーの放つ威圧感に気圧されている。

 

「そして《アポカテクイル》を召喚」

 

月子の場に陽子も召喚したモンスター、 アポカテクイルが現れる。

 

ATK:1800

 

「バトル、クイラでダイガスタ・イグルスを攻撃」

 

「え!?」

 

月子は攻撃力がダイガスタ・イグルスより低いクイラで攻撃を仕掛けてくる。

 

「…まさか!?」

 

遊伸は月子の意図に気付く。

クイラが光を放とうとする前に、ダイガスタ・イグルスが突風を巻き起こし、クイラを逆に破壊する。

 

光円寺 LP:7150→7050

 

「フフ……クイラの効果発動、破壊された事によって、墓地から《太陽龍インティ》を特殊召喚」

 

月子の後方からインティがゆっくりと上がってくる。

 

ATK:3000

 

「攻撃力が高くて厄介なインティを出す為に自爆特攻を…!?」

 

「その通りよお嬢ちゃん、続けてカオス・ソルジャーで攻撃……《開闢双破斬》!」

 

カオス・ソルジャーがダイガスタ・イグルスに跳びかかり、凄まじい速さで剣を繰り出す。

ダイガスタ・イグルスは受けきれず、破壊される。

 

「イグルス!?」

 

MR LP:7400→7000

 

「カオス・ソルジャーの効果発動、モンスターを戦闘破壊した場合、もう1度だけ続けて攻撃出来るわ……《時空突刃》!」

 

カオス・ソルジャーはフォルトロールの方を向くと、先程の様に剣を繰り出す。

フォルトロールは対抗出来ず、倒され、破壊される。

 

「フォルトロールまで…!?」

 

MR LP:7000→6400

 

「インティで直接攻撃……《フレイム・オブ・サンライズ》!」

 

インティが空に火炎を放つ。

インティ程の攻撃力ならばダメージは必然。

空の前にダイガスタ・エメラルが現れ、火炎を防ぐ。

 

「うう……ありがとう!」

 

MR LP:6400→3400

 

「!(ダメージが通らない……あの子、サイコ・デュエリストかしら) 続けてアポカテクイルで攻撃」

 

アポカテクイルが鋤を振るって空に殴りかかるが、ダイガスタ・エメラルがサイコ・デュエルによるダメージを防ぐ。

 

「凄く削られちゃった……」

 

MR LP:3400→1600

 

「これでターンエンド……お嬢ちゃん、貴女はサイコ・デュエリストなのかしら?」

 

「え!? あー……そうだよ」

 

精霊、と正直に言っても信じては貰えないであろう。

空は月子の問いに頷く。

 

LP:7050

陽子 手札:1

月子 手札:1

モンスター

・カオス・ソルジャー -開闢の使者-

・アポカテクイル

・太陽龍インティ

魔法・罠

・セット(陽子)

 

「僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:1+1

 

「さあ坊や、”あの時”以上の劣勢よ……どうするつもりかしら?」

 

陽子が遊伸に声をかける。

 

「…今更だけど、言わせて貰う……僕は”坊や”じゃない! ”近衛 遊伸”だ! 魔法カード《死者蘇生》発動! お前達の墓地にある《カオス・ソーサラー》を僕等の場に特殊召喚!」

 

遊伸の場にカオス・ソーサラーが現れる。

 

ATK:2300

 

「効果発動! 《太陽龍インティ》を除外する!」

 

カオス・ソーサラーが混沌の球体をインティに放つと、インティは次元の彼方へと消え去る。

 

「…私達のインティ・クイラを倒し、同時に蘇生ループを止める方法が私達の《カオス・モンスター》を利用する事……成る程、上手くやったわね、でもこっちにはまだカオス・ソルジャーがいるわ……せっかくインティ・クイラを封じても、私達には勝てないわよ?」

 

月子が笑みを浮かべながら遊伸に言う。

 

「僕も空もあの時とは違う! 勝つのは僕らだ! 罠カード《シンクロ・スピリッツ》を発動! 自分の墓地のシンクロモンスター1体をゲームから除外し、除外したシンクロモンスターのシンクロ召喚に使用したモンスター一組を自分の墓地から場に特殊召喚する! 僕は《ダイガスタ・イグルス》を除外して《ガスタの賢者 ウィンダール》と《ガスタ・イグル》を特殊召喚!」

 

遊伸の場にウィンダールとイグルが現れる。

 

ガスタの賢者 ウィンダール ATK:2000

ガスタ・イグル       ATK:200

 

「(空、ガスタ達……そして友河さん! 僕に力を!) レベル6《カオス・ソーサラー》に、レベル1《ガスタ・イグル》をチューニング!」

 

イグルが自身を1つの光輪へと変えると、カオス・ソーサラーを囲い、6つの光、そして光の柱へと変える。

 

「世界の平和を守るため! 勇気と力をドッキング! シンクロ召喚! 来てくれ! 愛と正義の使者! 《パワー・ツール・ドラゴン》!!」

 

光の柱から現れたのは友河から託された機械竜、パワー・ツール・ドラゴン。

 

ATK:2300

 

「パワー・ツール・ドラゴン! 遊伸、やっちゃえ!」

 

パワー・ツール・ドラゴンの登場により、空が後ろで歓声を上げる。

 

「フフフ……坊やにお似合いのモンスターね、攻撃力は2300、それでどうやってカオス・ソルジャーを倒すつもりかしら?」

 

月子はパワー・ツール・ドラゴンを見て笑う。

 

「パワー・ツール・ドラゴンの効果発動! 1ターンに1度、デッキから装備魔法を3枚選んで相手に見せ、相手はその中からランダムに1枚選ぶ! そして相手が選んだカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードをデッキに戻す! 《パワー・サーチ》!」

 

月子の目の前に3枚のカードのソリッドビジョンが現れる。

 

「僕が選ぶのはこの3枚!」

 

ニトロユニット

ビッグバン・シュート

シンクロ・ヒーロー

 

3枚のカードが裏になると一瞬消え、再び月子の前に現れる。

 

「さあ! 選べ!」

 

「右のカード」

 

月子が宣言するとソリッドビジョンが消え、遊伸のデッキから1枚のカードが選び出され、遊伸はそれを手札に加える。

 

遊伸 手札:1+1

 

「(今の装備カード……どれを加えてもカオス・ソルジャーを倒せない……坊やはどうするつもりなのかしら…)」

 

「空が伏せた永続罠《エンジェル・リフト》を発動! 自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する! レベル1の《ガスタ・イグル》を特殊召喚!」

 

遊伸の場に再びイグルが現れる。

 

ATK:200

 

「パワー・ツール・ドラゴンには”力”が眠っている! 今こそ真の姿に! レベル7《パワー・ツール・ドラゴン》に! レベル1《ガスタ・イグル》をチューニング!」

 

イグルが自身を1つの光輪へと姿を変えると、パワー・ツール・ドラゴンを囲み、7つの光をパワー・ツール・ドラゴンの体面に浮き上がらせ、光の柱でパワー・ツール・ドラゴンを包む。

 

「世界の未来を守るため! 勇気と力がレボリューション! シンクロ召喚! 進化せよ! 《ライフ・ストリーム・ドラゴン》!!!」

 

光の柱が消えると、パワー・ツール・ドラゴンの機械の装甲にひびが入る。

それが弾けると、中からパワー・ツール・ドラゴンに似た竜が現れる。

 

ATK:2900

 

「これ……友河さんから貰った”ドラゴンのデザイン”の……凄い」

 

空がライフ・ストリーム・ドラゴンを見上げて驚く。

 

「ライフ・ストリーム・ドラゴンの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、自分のLPを4000にする事が出来る!」

 

MR LP:1600→4000

 

「(LPの回復……問題はそこじゃない……攻撃力2900、ニトロユニット以外の装備魔法ならカオス・ソルジャーを上回る…!?)」

 

ここに来て常時余裕な様子であった月子の顔に焦りが浮かぶ

 

「まだだ! 魔法カード《破天荒な風》を発動! 自分のモンスター1体の攻撃力を次の自分のスタンバイフェイズ時まで1000ポイントアップする!」

 

遊伸が魔法を発動させると、ライフ・ストリーム・ドラゴンの周りに風が吹き始める。

 

ATK:2900→3900

 

「別の強化魔法…!? ならさっきの装備魔法は……」

 

「装備魔法《ニトロユニット》をカオス・ソルジャーに装備! このカードを装備したモンスターを戦闘によって破壊し墓地へ送った時、装備モンスターの攻撃力分のダメージを相手LPに与える!」

 

遊伸が装備魔法を発動すると、カオス・ソルジャーの体にニトロユニットが取り付けられる。

 

「バトル! ライフ・ストリーム・ドラゴンでカオス・ソルジャーを攻撃! 《ライフ・イズ・ビューティーホール》!」

 

ライフ・ストリーム・ドラゴンが口から金色の光線を放つと、カオス・ソルジャーを吹き飛ばし、装備されたニトロユニットを起爆させる。

 

「ああ!!!」

 

光円寺 LP:7050→6150→3150

 

「月子!?」

 

陽子が思わず叫ぶ。

 

「続けてウィンダールでアポカテクイルを攻撃!」

 

ウィンダールが詠唱し、掌に風を集中させ、アポカテクイル目掛けて一気に放つ。

アポカテクイルは風に切り刻まれ、破壊される。

 

「!……」

 

光円寺 LP:3150→2950

 

「ウィンダールの効果発動! 戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、墓地のレベル3以下の《ガスタ》を1体表側守備表示で特殊召喚出来る! 来てくれ! 《ガスタ・イグル》!」

 

ウィンダールは再び詠唱し、隣を杖で指し示すと、そこにイグルが現れる。

 

DEF:400

 

「バトル終了! レベル6《ガスタの賢者 ウィンダール》にレベル1《ガスタ・イグル》をチューニング!」

 

イグルが自身を1つの光輪へと変えると、ウィンダールを囲い、6つの光、そして光の柱へと変える。

 

「聖なる守護の光……今交わりて永久の命となる! シンクロ召喚! 降誕せよ! 《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》!」

 

光の柱から現れたのは妖精を模した竜、エンシェント・フェアリー・ドラゴン。

パワー・ツール・ドラゴンやライフ・ストリーム・ドラゴンのように、元の持ち主からの思いが込められ、遊伸に託されたものである。

 

DEF:3000

 

「(鈴ちゃんは元の持ち主へ返すという”約束”の為、友河さんは尊敬する人に”感謝を伝える”為、僕を認めてくれて、この”思い”の詰まったドラゴン達を僕に託してくれた……僕はそれに答えたい! この試練を乗り越えて、テオドールを倒し……彼らとの約束を果たす為にまた”道”を進む!) ターンエンド!」

 

LP:4000

空   手札:0

遊伸 手札:0

モンスター

・ライフ・ストリーム・ドラゴン

・エンシェント・フェアリー・ドラゴン

魔法・罠

・セット(空)

 

「ごめんなさい姉さん……油断したわ」

 

「いいのよ月子、強いと解っていてあの坊やを侮っていたのは私も同じ……私のターン、ドロー」

 

陽子 手札:1+1

 

「罠カード《強欲な瓶》を発動、1枚ドローするわ」

 

陽子 手札:2+1

 

「坊や、強くなったわね……だけどここまでよ、《太陽の神官》を特殊召喚」

 

陽子の場に再び太陽の神官が現れる。

 

ATK:1000

 

「チューナーモンスター《ナイトエンド・ソーサラー》を召喚」

 

続けて陽子の場にウサギの様な耳がついた魔法使いの少年が現れる。

 

ATK:1300

 

「レベル5《太陽の神官》に、レベル2《ナイトエンド・ソーサラー》をチューニング」

 

ナイトエンド・ソーサラーが2つの光輪へと姿を変え、太陽の神官を囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。

 

「冷たい炎が世界の全てを包み込む……漆黒の華よ、開け! シンクロ召喚! 咲き乱れよ! 《ブラック・ローズ・ドラゴン》!」」

 

光の柱から現れたのはブラック・ローズ・ドラゴン。

以前遊伸がデュエルした時に現れ、遊伸の場を吹き飛ばした破壊の竜。

ブラック・ローズ・ドラゴンは目の前の2体の竜に向かって咆哮を上げる。

 

ATK:2400

 

「そんな……ここに来てブラック・ローズ・ドラゴンだなんて……」

 

空が悔しそうに声を震わせる。

 

「坊や、後は解っているわね? ブラック・ローズ・ドラゴンの効果発動……シンクロ召喚に成功した時、場のカードを全て破壊することが出来る! 吹き飛びなさい! 《ブラック・ローズ・ガイル》!」

 

ブラック・ローズ・ドラゴンが翼を勢いよく広げると風が一気に広がり、場の全体で吹き荒れる。

その風は決闘場全てを包み込む。

その風の中からブラック・ローズ・ドラゴンとエンシェント・フェアリー・ドラゴンの断末魔が聞こえてくる。

 

「”思い”の力は……断ち切れはしない! ライフ・ストリーム・ドラゴンの効果! 場に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、代わりに自分の墓地に存在する装備魔法1枚をゲームから除外する事が出来る! 《ニトロユニット》を除外! 《デストラクション・シャッター》!」

 

効果を発動したライフ・ストリーム・ドラゴンが自身を光で包み、身を守る。

風が止むと、他に何も無くなった場に1体、ライフ・ストリーム・ドラゴンが佇んでいた。

 

遊伸の破壊されたカード

エンシェント・フェアリー・ドラゴン

セット(手札抹殺)

 

「!? 何ですって……」

 

今までこれを防がれた経験が無いのか、陽子はこれまでに無い程に動揺を見せる。

 

「凄い! ライフ・ストリーム・ドラゴン!」

 

後ろで空が跳び跳ねる。

 

「……私はカードを伏せてターンエンド」

 

LP:2950

陽子 手札:0

月子 手札:1

モンスター

・無し

魔法・罠

・セット

 

「私のターン! ドロー!」

 

空 手札:0+1

 

「スタンバイフェイズにライフ・ストリーム・ドラゴンの攻撃力が元に戻るよ」

 

ATK:3900→2900

 

「バトル! ライフ・ストリーム・ドラゴンで直接攻撃!」

 

ライフ・ストリーム・ドラゴンが陽子に向かって光線を放つ。

 

「罠カード《波動再生》を発動! 相手の直接攻撃宣言時、その攻撃モンスターのレベル以下の レベルを持つシンクロモンスター1体を自分の墓地から選択、そしてその時の戦闘ダメージは半分になり、そのダメージステップ終了時に選択したシンクロモンスターを自分の墓地から特殊召喚する……私は《月影龍クイラ》を選択!」

 

ライフ・ストリーム・ドラゴンの光線が陽子に直撃する。

 

「姉さん!?」

 

「!……《月影龍クイラ》を特殊召喚」

 

光円寺 LP:2950→1500

 

陽子の場に再びクイラが現れる。

 

ATK:2500

 

「またクイラが……カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:4000

空   手札:0

遊伸 手札:0

モンスター

・ライフ・ストリーム・ドラゴン

魔法・罠

・セット(空)

 

「月子……繋いだわ、頼んだわよ」

 

「姉さん、ありがとう、十分よ……私のターン、ドロー!」

 

月子 手札:1+1

 

「魔法カード《貪欲な壺》を発動、墓地からモンスターを5体デッキに戻してシャッフル、そして2枚ドロー」

 

墓地からデッキに戻したカード

エフェクト・ヴェーラー

アポカテクイル

ナイトエンド・ソーサラー

太陽の神官

ブラック・ローズ・ドラゴン

 

月子 手札:1+2

 

「このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚出来る……《ジェスター・コンフィ》を特殊召喚」

 

月子の場に安藤も使用したピエロ、ジェスター・コンフィが現れる。

 

ATK:0

 

「そしてチューナーモンスター《ハネワタ》を召喚」

 

月子の場に綿の様な天使が現れる。

 

ATK:200

 

「姉さん、”あれ”を使うわ」

 

「ええ」

 

「「レベル6《月影龍クイラ》と、レベル1《ジェスター・コンフィ》に、レベル1《ハネワタ》をチューニング!」」

 

姉妹が声を合わせてシンクロ召喚を行う。

ハネワタが自身を1つの光輪へと変え、クイラとジェスター・コンフィを囲み、合計7つの光、そして光の柱へと変える。

 

「冥府の扉に光差す時……」

 

「大いなる闇が蘇る……」

 

「「光と闇! 今ここに混じわれ! シンクロ召喚! 《カオス・ゴッデス-混沌の女神-》!」」

 

光の柱から現れたのは、黒と白のドレスを身に纏った女神が現れる。

手には杖を持ち、背中にある翼は片翼が白く、もう片翼が黒くなっている。

 

ATK:2500

 

「嘘! 新しいカオスモンスター!?」

 

「そうよお嬢ちゃん、カオス・ゴッデス……私と姉さんの象徴……最後の切り札……効果発動!」

 

月子が宣言すると、カオス・ゴッデスが杖を掲げる。

 

「1ターンに1度、手札から光属性1体を墓地へ送り、自分の墓地のレベル5以上の闇属性1体を選択、選択したモンスターを特殊召喚するわ……手札から光属性《カオスエンドマスター》を墓地に送り、闇属性レベル6の《カオス・ソーサラー》を特殊召喚」

 

カオス・ゴッデスが杖で隣を指し示すと、そこに穴が現れ、そこからカオス・ソーサラーが現れる。

 

ATK:2300

 

「そんな!? カオス・ソーサラーまで!?」

 

「もうやる事は解るわね? …カオス・ソーサラーの効果発動、《ライフ・ストリーム・ドラゴン》をゲームから除外するわ」

 

カオス・ソーサラーが混沌の球体を作り出し、ライフ・ストリーム・ドラゴンに放つと、次元の彼方へと消え去ってしまう。

 

「ライフ・ストリーム・ドラゴン!?」

 

「フフ……”思い”が断ち切れちゃったわね……バトル、カオス・ゴッデスで直接攻撃! 《混沌の神罰》!」

 

カオス・ゴッデスが杖を構えると、その先から光と闇が混ざった様な球体を空に向かって放つ。

ダイガスタ・エメラルが現れ、サイコ・デュエルのダメージを防ぐが、ダイガスタ・エメラルは衝撃により弾き飛ばされてしまう。

 

「エメラル!?」

 

サイコ・パワーはその本人のサイコ・デュエリストとしての技量、カードの強さは勿論の事、その本人がカードに懸ける”思い”がその力を左右する。

インティのダメージを防ぎ切るダイガスタ・エメラルを弾き飛ばしたという事は、光円寺姉妹はこのカードに相当な”思い入れ”をしているという事である。

 

「ターンエンド……形勢逆転ね、どうするのかしら?」

 

LP:1500

陽子 手札:0

月子 手札:0

モンスター

・カオス・ゴッデス-混沌の女神-

・カオス・ソーサラー

魔法・罠

・無し

 

「ごめんね遊伸、 ライフ・ストリーム・ドラゴンが……」

 

「気にしないで、空……おそらくこれがラストターン……空、見ててくれ! 僕は勝つ!」

 

「…うん!」

 

遊伸は笑って空と入れ替わる。

 

「(あの時は痛かった、悔しかった……そうだろう?)」

 

遊伸は自分のデッキを見る。

 

「(今度こそ勝とう! その為に……答えてくれ!) 僕のターン! ドロー!!!」

 

遊伸 手札:0+1

 

「”思い”が断ち切れたのなら、また繋いで見せる! 魔法カード《貪欲な壺》を発動! 墓地からモンスターを5体デッキに戻しシャッフル! 2枚ドロー!」

 

墓地からデッキに戻されたカード

XX-セイバー ボガーナイト

XX-セイバー フラムナイト

パワー・ツール・ドラゴン

ガスタの賢者 ウィンダール

ガスタ・イグル

 

遊伸 手札:0+2

 

「空が伏せた速攻魔法《異次元からの埋葬》を発動! ゲームから除外されているモンスターを3体まで選択し、墓地に戻す!」

 

墓地に戻されたカード

ライフ・ストリーム・ドラゴン

ダイガスタ・イグルス

X-セイバー ソウザ

 

「自分の墓地に《X-セイバー》と名のついたモンスターが2体以上存在し、自分の場にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚する事が出来る! 墓地にはフォルトロールとソウザの2体! 来い! 《XX-セイバー ガルドストライク》!」

 

遊伸の場にガルドストライクが現れる。

 

ATK:2100

 

「バトル! ガルドストライクでカオス・ゴッデスを攻撃! そしてこれが最後だ!」

 

遊伸は最後の手札を取り、発動する。

 

「速攻魔法《イージーチューニング》を発動! 墓地からチューナーを1体除外し、そのチューナーの攻撃力分だけ自分の場のモンスターの攻撃力をアップする! そして墓地のライフ・ストリーム・ドラゴンはシンクロモンスターであり、チューナーモンスターでもある! ライフ・ストリーム・ドラゴンを除外! よって攻撃力は―――」

 

ATK:2100→5000

 

ガルドストライクの体を現れた8つの金色に光る輪が囲う。

 

「!? 攻撃力5000……」

 

月子はそれ以降の声が出ない。

愕然としながら口元を押さえている。

 

「行け! ガルドストライク! 《ストライク・ストリーム》!!!」

 

ガルドストライクが口からライフ・ストリーム・ドラゴンと同様、金色の光線をカオス・ゴッデスへと放つ。

光線はカオス・ゴッデスを吹き飛ばし、そのまま光円寺姉妹へと向かう。

 

「「あああ!!!!!」」

 

光円寺 LP:1500→0

 

ソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴った。

遊伸達はカードと決闘盤を収め、姉妹に近づく。

どうやらタッグデュエルだと敗北時に前に立っていた者よりも後ろに控えていた者の方がダメージが低いらしく、月子は完全に気絶してしまっていたが、陽子は意識を保ち、地面に腕をついて月子に寄り添うように座っている。

 

「フフ……負けちゃったわね」

 

陽子は苦しそうな顔で笑う。

 

「……受け取りなさい坊や、これが鍵よ……」

 

陽子は貪欲な壺の効果により月子のエクストラデッキに戻った”ブラック・ローズ・ドラゴン”を月子の決闘盤から取り出し遊伸に渡す。

 

「ねえ坊や……坊やは一体何者なの? 突然強くなったり……私達の思い通りにならなかったり……私達が今まで会って来た男の中で一番解らないわ……」

 

遊伸は”ブラック・ローズ・ドラゴン”をしまうと、真っ直ぐ陽子を見ながら問いに答える。

 

「…デュエル中にも言ったよ……僕は”近衛 遊伸”……決闘者の”近衛 遊伸”だ!」

 

「……フフ……」

 

陽子はそれを聞くと、少しだけ笑う。

 

「……もう行きなさい、”近衛 遊伸”……姉妹揃って気絶してるなんて、無様な姿は見せたくないの」

 

「……ああ」

 

遊伸は踵を返し、寝かせてある燃次と冷次の元へ行く。

空に手伝って貰い、二人を同時に背負うが、流石にきつかったのか落としそうになるところを空が後ろから支える。

 

「フフ……格好のつかない坊や……」

 

陽子はヨタヨタと決闘場を後にする遊伸達の後ろ姿を笑いながら見送り、その後気絶した。

 




今回使用したオリカ
アニメ5dsより
・シンクロ・スピリッツ
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