遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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第48話 因縁 ~七海とテオドール~

七海とテオドールのデュエルが始まった。

 

先攻 七海

 

「私のターン! ドロー!」

 

七海 手札:5+1

 

「魔法カード《手札抹殺》を発動! お互いに手札を全て捨て、捨てた枚数分だけドロー!」

 

七海の捨てたドロー

メンタルシーカー

ファイナルサイコオーガ

テレキアタッカー

ブライト・フューチャー

サイコ・ヒーリング

 

七海 手札:0+5

 

「小賢しい真似を…!」

 

テオドールの捨てたカード

アックス・ドラゴニュート

仮面竜

次元幽閉

スタンピング・クラッシュ

救世竜 セイヴァー・ドラゴン

 

テオドール 手札:0+5

 

「チューナーモンスター《サイ・ガール》を召喚!」

 

七海の場に大きな杖を持った少女が現れる。

その容姿から魔法使い族にも見えるが、この少女はサイキック族である。

 

ATK:500

 

「続けて速攻魔法《緊急テレポート》を発動! 自分の手札、またはデッキからレベル3以下のサイキック族1体を特殊召喚する! 私はデッキから《メンタルプロテクター》を特殊召喚!」

 

七海の場に大きな手を持ったロボットの様なモンスターが突然現れる。

 

ATK:0

 

「レベル3《メンタルプロテクター》に、レベル2《サイ・ガール》をチューニング!」

 

サイ・ガールが自身を2つの光輪に変えると、メンタルプロテクターを囲み、3つの光、そして光の柱へと変える。

 

「心の深淵から湧き上がる生命の炎よ! 希望の光となりて世界を照らせ! シンクロ召喚! 来なさい! 《マジカル・アンドロイド》!」

 

光の柱から現れたのは女性の人造人間。

特徴的な剣と盾を持ち、テオドールに対して構える。

 

ATK:2400

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド! エンドフェイズ時にマジカル・アンドロイドの効果を発動! 自分の場に表側表示で存在するサイキック族の数×600LP回復する」

 

七海 LP:8000→8600

 

LP:8600

手札:1

モンスター

・マジカル・アンドロイド

魔法・罠

・セット

・セット

 

「これが七海さんのデッキか……《サイキック族》、そういえば空の《ガスタ》にも《サイキック族》がいるね」

 

遊伸が横にいる空に尋ねる。

 

「うん! お姉ちゃんとっても強いんだよ! …でもさっきの女の子のカードとか、私も見た事ないカードが何枚かあったよ。 お姉ちゃんのデッキ、この10年間で大分変わったのかも」

 

空は決闘場に立つ七海を見詰める。

 

「俺のターン! ドロー!!」

 

テオドール 手札:5+1

 

「捻り潰してくれる! 相手のみにモンスターが存在する時、このカードは攻守を半分にして特殊召喚出来る! 来い! 《バイス・ドラゴン》!」

 

テオドールの場にバイス・ドラゴンが現れる。

 

ATK:2000→1000

 

「チューナーモンスター《炎龍(マグナ・ドラゴ)》を召喚!」

 

続けてテオドールの場に赤いドラゴンが火を吹きながら現れる。

 

ATK:1400

 

「レベル5《バイス・ドラゴン》に、レベル2《炎龍》をチューニング!」

 

炎龍が自身を2つの光輪に変えると、バイス・ドラゴンを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。

 

「王者の叫びが木霊する! 勝利の鉄槌よ、大地を砕け! シンクロ召喚! 羽ばたけ! 《エクスプロード・ウィング・ドラゴン》!」

 

光の柱から現れたのは立派な襟巻を持った黒いドラゴン。

異様な程盛り上がった背中に翼が生えており、その翼を羽ばたかせ、マジカル・アンドロイドに向かって咆哮をあげる。

 

ATK:2400

 

「バトル! エクスプロード・ウィング・ドラゴンでマジカル・アンドロイドを攻撃! 《キング・ストーム》!!」

 

エクスプロード・ウィング・ドラゴンが口から火炎を放つとマジカル・アンドロイドは炎に包まれる。

 

「エクスプロード・ウィング・ドラゴンの効果発動! このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つモンスターとこのカードが戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊! そしてその攻撃力分のダメージを相手LPに与える!」

 

火炎がマジカル・アンドロイドを消滅させ、七海を襲う。

 

「お姉ちゃん!?」

 

空は思わず叫ぶ。

 

「…! …こんな物かしら?」

 

七海はその炎を受けても怯みはするが、サイコ・デュエルのダメージを受けている様には見えない。

 

七海 LP:8600→6200

 

「何!? サイコ・デュエルのダメージが通らないだと!?」

 

「簡単な事よテオドール、私が貴方のサイコ・パワーを上回る力で防いだから……それだけよ」

 

サイコ・デュエルによるダメージは本人が持つサイコ・パワーで防ぐ事が出来る。

七海は自身の力を使い、テオドールからのダメージを防いだのだ。

 

「ちぃ! 力を上げたようだな、忌々しい! カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

LP:8000

手札:2

モンスター

・エクスプロード・ウィング・ドラゴン

魔法・罠

・セット

・セット

 

「そうかしら? 私から見れば貴方が弱くなった様に感じるわ」

 

七海は静かな笑みを浮かべる。

 

「貴様ァーーー!!!」

 

七海の一言に激昂するテオドール。

だが七海の言葉は本当の事である。

サイコ・デュエリストの力は自身の”感情”……”思い”が強ければ強い程、比例して強くなっていく。

今のテオドールは激しく怒り、サイコ・パワーが強くなっているはず―――だがそうではなかった。

現在のテオドールは自分にとってありえない事が立て続けに起こった為、その心は乱れに乱れている。

怒りの為、その乱れを収める事も出来ない。

この様な精神状態では集中出来ず、本来の力は出せないのである。

 

「私のターン! ドロー!」

 

七海 手札:1+1

 

「罠カード《サイコ・トリガー》を発動! LPが相手よりも下の場合、自分の墓地に存在するサイキック族2体をゲームから除外し、自分のデッキからカードを2枚ドローする!」

 

除外したカード

サイ・ガール

ファイナルサイコオーガ

 

七海 手札:2+2

 

「魔法カード《サイコ・フィール・ゾーン》を発動! ゲームから除外されている自分のサイキック族チューナー1体とチューナー以外のサイキック族1体を墓地に戻し、そのレベルの合計と同じレベルのサイキック族シンクロモンスター1体をエクストラデッキから表側守備表示で特殊召喚する!  サイコ・トリガーの効果で除外した2体を墓地に戻し、その2体の合計はレベル7! レベル7のサイキック族シンクロモンスター《サイコ・ヘルストランサー》をエクストラデッキから特殊召喚!」

 

七海の場に体の半分が機械となっている女性が現れる。

 

DEF:2000

 

「サイコ・ヘルストランサーの効果発動! 1ターンに1度、自分の墓地のサイキック族1体をゲームから除外し、自分は1200LP回復する! 墓地の《テレキアタッカー》を除外!」

 

サイコ・ヘルストランサーが七海の墓地に機械の左手をかざし、 テレキアタッカーの力を吸収すると、それを右手から光として七海へ放つ。

 

七海 LP:6200→7400

 

「そしてサイコ・ヘルストランサーをリリース! 《マックス・テレポーター》をアドバンス召喚!」

 

サイコ・ヘルストランサーが消えると、その場に特徴的な長い前髪とゴーグルを付けた男性が現れる。

 

ATK:2100

 

「マックス・テレポーターの効果発動! 2000LPを払う事で自分のデッキからレベル3のサイキック族2体を自分の場に特殊召喚する! 私はデッキからチューナーモンスター《サイコ・コマンダー》と《静寂のサイコウィッチ》を特殊召喚!」

 

七海 LP:7400→5400

 

マックス・テレポーターが両手を光らせ、それを両隣に素早くかざすと、その両隣に一瞬にしてサイキック族が現れる。

1体は戦車の様な砲身が付いたUFOに乗った軍人風のモンスター、もう1体は桃色の髪の女性で、音も立てずに、ただ静かにその場に佇んでいる。

 

サイコ・コマンダー   ATK:1400

静寂のサイコウィッチ  ATK:1400

 

「すげぇ! 上級モンスターを召喚した上にさらにモンスターを並べちまった! 流石兄貴と並べられるだけの事はあるぜ!」

 

「2000は大きいコストだが、それに見合う価値があるな……流石だ」

 

鋼貴と高尾は七海を称賛する。

 

「レベル6《マックス・テレポーター》に、レベル3《サイコ・コマンダー》をチューニング!」

 

サイコ・コマンダーが自身を3つの光輪に変えると、マックス・テレポーターを囲み、6つの光、そして光の柱へと変える。

 

「心の深淵から湧き上がる強き思いよ! 信念の矢となりて道を開け! シンクロ召喚! 来なさい! 《ハイパーサイコガンナー》!」

 

光の柱から現れたのは両腕が念動砲となった人造人間。

このモンスターは先程までのシンクロモンスター達とは段違いの”力”を放っている。

それは紛れも無い七海の”信念”の表れであった。

 

ATK:3000

 

「あ! お姉ちゃんのエースモンスター!」

 

「あれが……凄い”力”を感じる……七海さんの”思い”だ……」

 

空が指差した七海のエースモンスター、ハイパーサイコガンナーを見て遊伸はその”力”の元を感じ取る。

 

「バトル!  ハイパーサイコガンナーでエクスプロード・ウィング・ドラゴンを攻撃! 《ハイパー・サイコ・キャノン》!」

 

ハイパーサイコガンナーが両腕の念動砲を放つと、エクスプロード・ウィング・ドラゴンを消し飛ばす。

 

「ぬおぉ! (600でこの威力だと…!?)」

 

テオドール LP:8000→7400

 

「続けて静寂のサイコウィッチで直接攻撃! 《サイレント・ウェーブ》!」

 

静寂のサイコウィッチが音も立てずに波動を放つ。

 

「ぐおぉ!」

 

テオドール LP:7400→6000

 

「カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:5400

手札:1

モンスター

・ハイパーサイコガンナー

・静寂のサイコウィッチ

魔法・罠

・セット

・セット

 

「おのれぇ!! よくもこの俺に…! 俺のターン! ドロー!!!」

 

テオドール 手札:2+1

 

「魔法カード《調和の宝札》を発動! 手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨て2枚ドロー!」

 

捨てたカード

インフルーエンス・ドラゴン

 

テオドール 手札:1+2

 

「罠カード《ロスト・スター・ディセント》を発動! 自分の墓地からシンクロモンスターのレベルを1つ下げ、攻撃力を0にし、守備表示で特殊召喚する! 来い! 《エクスプロード・ウィング・ドラゴン》!」

 

テオドールの場に再びエクスプロード・ウィング・ドラゴンが現れ、防御体勢をとる。

 

DEF:1600→0

レベル7→6

 

「魔法カード《精神操作》を発動! 相手のモンスター一体のコントロールをエンドフェイズまで得る! 来い! 《ハイパーサイコガンナー》!」

 

「!?」

 

ハイパーサイコガンナーがテオドールの場に移動する。

 

「お姉ちゃんのハイパーサイコガンナーが!?」

 

「心配ねぇよ空! 精神操作は攻撃も出来なきゃリリースも出来ない! それにハイパーサイコガンナーはそうそうシンクロやエクシーズに使えるレベルじゃねぇよ!」

 

心配する空に鋼貴が笑いながら言う。

 

「チューナーモンスター《デブリ・ドラゴン》を召喚!」

 

続けてテオドールの場にスターダスト・ドラゴンによく似たドラゴンが現れる。

 

ATK:1000

 

「ち、ちっちゃいスターダスト・ドラゴン!?」

 

「な、何でそんなもんをあいつが持ってんだ?」

 

空と鋼貴が意外なモンスターの登場に首を傾げる。

 

「(多分あれはスターダスト・ドラゴンとレッド・デーモンズ・ドラゴンをサポートする為に創られたカードだ……僕も持っている。 それだけじゃない……星屑のきらめきとか、テオドールと僕のデッキは共通するカードが多い……やっぱり、父さんが”アルカディア・ムーブメント”のカードを持っていたんだ……一体どうして…)」

 

遊伸が考えに耽っている間もデュエルは進む。

 

「デブリ・ドラゴンの効果発動! 召喚に成功した時、自分の墓地の攻撃力500以下のモンスター1体を選択して攻撃表示で特殊召喚出来る! 《救世竜 セイヴァー・ドラゴン》を特殊召喚!」

 

テオドールの場にセイヴァー・ドラゴンが現れる。

 

ATK:0

 

「!? まさか次はレッド・デーモンズ・ドラゴンか!?」

 

鋼貴は”セイヴァー・デモン・ドラゴン”が現れるのを危惧する。

 

「レベル6《エクスプロード・ウィング・ドラゴン》に、レベル4《デブリ・ドラゴン》をチューニング!」

 

デブリ・ドラゴンが自身を4つの光輪に変えると、エクスプロード・ウィング・ドラゴンを囲み、6つの光、そして光の柱へと変える。

 

「強大なる竜の暴君よ! 己が誇る紅蓮の業火で全てを焼き尽くせ! シンクロ召喚! 薙ぎ払え! 《トライデント・ドラギオン》!!!」

 

光の柱から現れたのは三つ首の巨竜。

それぞれ頭が全て七海を見下ろし、一斉に七海に向けて咆哮を上げる。

 

ATK:3000

 

「な、何だ!? 僕等の時にはこんなドラゴンは見なかった!」

 

遊伸はトライデント・ドラギオンを見上げながら驚く。

 

「トライデント・ドラギオンの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、このカード以外の自分の場のカードを2枚まで選択して破壊出来る! 《ハイパーサイコガンナー》と《救世竜 セイヴァー・ドラゴン》を破壊する!」

 

トライデント・ドラギオンが再び咆哮を上げると、ハイパーサイコガンナーとセイヴァー・ドラゴンが破壊される。

 

「これが狙いか!? くそ! …だが自分の場のカードを破壊してどうすんだ?」

 

鋼貴がトライデント・ドラギオンを訝しそうに見る。

 

「そしてこのターン! このカードは通常の攻撃に加え! この効果で破壊したカードの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃出来る!」

 

「…3回攻撃…!?」

 

「その通りだ! これで消え去れ! バトル! トライデント・ドラギオンで静寂のサイコウィッチを攻撃! 《トライデント・インフェルノ》!!!」

 

トライデント・ドラギオンの右の首が静寂のサイコウィッチに向かって火炎を放つと、静寂のサイコウィッチは一瞬で焼失する。

 

「く……静寂のサイコウィッチの効果発動! 場に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから攻撃力2000以下のサイキック族1体をゲームから除外する事が出来る! 《寡黙なるサイコプリースト》をデッキから除外! そして次のスタンバイフェイズ時、この効果で除外したモンスターを特殊召喚する!」

 

七海 LP:5400→3800

 

「無駄だ! 2撃目!!!」

 

今度は左の首が七海に向かって火炎を放つ。

 

「罠カード《ガード・ブロック》を発動! ダメージを0にして1枚ドロー!」

 

七海 手札:1+1

 

「おのれぇ!!! 3撃目!!!」

 

中心の首が火炎を放つ。

 

「うぅ!!! く…!」

 

七海 LP:3800→800

 

テオドールの調子が安定してきたのか、七海はダメージを防ぎきれなかった。

 

「お姉ちゃん!?」

 

それを見て空が叫ぶ。

 

「ハッハッハッハッハッハ! お前には俺は倒せん! カードを伏せターンエンドだ!」

 

LP:6000

手札:0

モンスター

・トライデント・ドラギオン

魔法・罠

・セット

・セット

 

「お姉ちゃん! 大丈夫!?」

 

空が再度七海に声を掛ける。

 

「ええ、大丈夫よ空……心配しないで、私は必ず勝つから」

 

「…うん!」

 

空が笑顔で返事をすると、七海も笑い、デッキに指を掛ける。

 

「私のターン! ドロー!」

 

七海 手札:2+1

 

「スタンバイフェイズに静寂のサイコウィッチの効果により除外した《寡黙なるサイコプリースト》を特殊召喚!」

 

七海の場に静寂のサイコウィッチと同様の雰囲気を持った男が現れる。

男は大きな杖を静かに構える。

 

DEF:2100

 

「寡黙なるサイコプリーストの効果発動! 1ターンに1度、手札を1枚墓地へ送る事で自分の墓地に存在するサイキック族1体を選択してゲームから除外する!」

 

墓地に捨てたカード

サイキック・ブロッカー

 

除外したカード

ハイパーサイコガンナー

 

「罠カード《サイコ・チャージ》を発動! 墓地のサイキック族を3体デッキに戻し、シャッフル! その後に2枚ドロー!」

 

戻したカード

静寂のサイコウィッチ

サイコ・ヘルストランサー

サイコ・コマンダー

 

七海 手札:2+2

 

「速攻魔法《念動収集機》を発動! 自分の墓地からレベル2以下のサイキック族を任意の数だけ選択して特殊召喚する! その後、自分はこの効果で特殊召喚したモンスターの レベルの合計×300ポイントダメージを受ける……墓地から《サイ・ガール》を特殊召喚!」

 

七海の場に再びサイ・ガールが現れる。

 

ATK:500

レベル2

七海 LP:800→200

 

「そして《沈黙のサイコウィザード》を召喚!」

 

続けて七海の場に静寂のサイコウィッチ、寡黙なるサイコプリーストと同様の雰囲気を持った魔術師が現れる。

 

ATK:1900

 

「沈黙のサイコウィザードの効果発動! 召喚に成功した時、自分の墓地に存在するサイキック族1体を選択してゲームから除外する事が出来る! 《マジカル・アンドロイド》を除外! ……覚悟しなさい、テオドール! レベル3《寡黙なるサイコプリースト》と、レベル4《沈黙のサイコウィザード》に、レベル2《サイ・ガール》をチューニング!」

 

サイ・ガールが自身を2つの光輪に変えると、寡黙なるサイコプリーストと沈黙のサイコウィザード を囲み、合計7つの光、そして光の柱へと変える。

 

「心の深淵から湧き上がる無限の思いよ! その溢れ出る力を今! 解き放て! シンクロ召喚! 来なさい! 《メンタルオーバー・デーモン》!」

 

七海の場にグレイグが使用する悪魔、デーモンの姿をしたサイキック族モンスター、メンタルオーバー・デーモンが現れる。

メンタルオーバー・デーモンは電気の様な念を体から放出し、咆哮を上げる。

 

ATK:3300

 

「トライデント・ドラギオンを上回るだと!?」

 

「それだけじゃないわ! 寡黙なるサイコプリーストと沈黙のサイコウィザードの効果発動! 場から墓地へ送られた時、これらのカードの効果で除外したモンスターを特殊召喚する! 《ハイパーサイコガンナー》と《マジカル・アンドロイド》を特殊召喚!」

 

七海の場にハイパーサイコガンナーとマジカル・アンドロイドが現れる。

メンタルオーバー・デーモンと並ぶと、2体はトライデント・ドラギオンに対して身構える。

 

ハイパーサイコガンナー ATK:3000

マジカル・アンドロイド   ATK:2400

 

「シンクロモンスターを3体並べた!? これが七海さんの戦術か……」

 

遊伸達は七海のデュエルタクティクスに驚く。

 

「メンタルオーバー・デーモンの効果発動! 1ターンに1度、自分の墓地に存在するサイキック族1体を選択してゲームから除外する事が出来る! 《寡黙なるサイコプリースト》を除外! …バトル! メンタルオーバー・デーモンで攻撃! 《サイキック・オーバー・ブレイク》!」

 

メンタルオーバー・デーモンが電撃の様な念動波をトライデント・ドラギオンに放ち、破壊する。

 

「おのれぇ!!!」

 

テオドール LP:6000→5700

 

「続けてマジカル・アンドロイドで攻撃!」

 

「罠カード《ピンポイント・ガード》を発動! 相手の攻撃宣言時! 自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を選択! 選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する! このターン、この効果で特殊召喚したモンスターは戦闘及びカードの効果では破壊されない! 《アックス・ドラゴニュート》を特殊召喚!」

 

テオドールの場にアックス・ドラゴニュートが現れ防御体勢をとる。

 

DEF:1200

 

「マジカル・アンドロイドの攻撃を中止! ハイパーサイコガンナーで攻撃! 《ハイパー・サイコ・キャノン》!」

 

ハイパーサイコガンナーが両腕の念動砲を放つと、放たれた波動がアックス・ドラゴニュートごとテオドールを包む。

 

「うおぉ!!! 何だとぉぉぉ!!!」

 

テオドール LP:5700→3900

 

「ハイパーサイコガンナーの効果! 守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていればその数値だけ相手LPに戦闘ダメージを与える! そしてダメージステップ終了時、その数値だけ自分のLPを回復する!」

 

七海 LP:200→2000

 

アックス・ドラゴニュートは無傷、しかしテオドールはかなりのダメージを負った様子。

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド! エンドフェイズ時にマジカル・アンドロイドの効果発動! 場のサイキック族は3体! 1800ポイント回復!」

 

七海 LP:2000→3800

 

LP:3800

手札:0

モンスター

・メンタルオーバー・デーモン

・ハイパーサイコガンナー

・マジカル・アンドロイド

魔法・罠

・セット

・セット

 

「す、すげぇ……逆転だけじゃなくLPの差も埋めちまった……空、お前の姉ちゃんとんでもねぇな……」

 

「えへん!」

 

鋼貴の言葉に誇らしげに胸を張る空。

 

「ぐおおおお!!! 俺のターン! ドロー!!!」

 

テオドール 手札:0+1

 

テオドールの怒りは最高潮。

時に激しい感情はデュエルを動かす。

 

「魔法カード《貪欲な壺》を発動!! 墓地からモンスターを5体戻してシャッフル!! 2枚ドロー!!!」

 

墓地からデッキに戻したカード

仮面竜

インフルーエンス・ドラゴン

デブリ・ドラゴン

エクスプロード・ウィング・ドラゴン

トライデント・ドラギオン

 

テオドール 手札:0+2

 

「《デルタフライ》を召喚!!!」

 

テオドールの場にデルタフライが現れる。

 

ATK:1500

 

「効果発動!! 1ターンに1度、このカード以外の自分の場に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、レベルを1つ上げる事が出来る! 《アックス・ドラゴニュート》のレベルを上げる!!!」

 

アックス・ドラゴニュート レベル4→5

 

「レベル5《アックス・ドラゴニュート》に! レベル3《デルタフライ》をチューニング!」

 

デルタフライが自身を3つの光輪に変えると、アックス・ドラゴニュートを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。

 

「王者の鼓動! 今ここに列をなす! 天地鳴動の力を見るがいい! シンクロ召喚!! 我が前に姿を現せ! 紅蓮魔竜! 《レッド・デーモンズ・ドラゴン》!!!」

 

光の柱から現れたのは紅蓮魔竜、レッド・デーモンズ・ドラゴン。

 

ATK:3000

 

「レッド・デーモンズ・ドラゴン!? お姉ちゃん! 気をつけて!」

 

空が七海に呼び掛ける。

 

「解ってるわ、空……忘れはしない……レッド・デーモンズ・ドラゴン…!」

 

七海はレッド・デーモンズ・ドラゴンを睨む。

 

「バトル!!! レッド・デーモンズ・ドラゴンでメンタルオーバー・デーモンを攻撃! 《アブソリュート・パワーフォース》!!!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴンが腕に炎を纏い、メンタルオーバー・デーモンへと迫る。

 

「手札から速攻魔法《突進》を発動! レッド・デーモンズ・ドラゴンの攻撃力を700ポイントアップする!!! 叩き潰せぇぇぇ!!!」

 

ATK:3000→3700

メンタルオーバー・デーモンが反撃しようとした瞬間、レッド・デーモンズ・ドラゴンの動きが速くなり、その拳をメンタルオーバー・デーモンへと叩き込む。

メンタルオーバー・デーモンは一瞬で炎に包まれ、消滅する。

 

「く…! メンタルオーバー・デーモンの効果発動! 場から墓地へ送られた時、このカードの効果で除外したモンスターを可能な限り自分の場に特殊召喚する! 《寡黙なるサイコプリースト》を特殊召喚!」

 

七海 LP:3800→3400

 

DEF:2100

 

「これが! これが”王者”の力だ!!! 罠カード《バスター・モード》を発動!!!」

 

テオドールが罠を発動すると、レッド・デーモンズ・ドラゴンが炎に包まれる。

その炎は鎧となり、レッド・デーモンズ・ドラゴンに装着される。

 

「レッド・デーモンズ・ドラゴンをリリースし、デッキから《レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスター》を特殊召喚!!!」

 

テオドールが持つレッド・デーモンズ・ドラゴンのもう一つの姿にしてテオドールの切り札、 レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターが現れる。

 

ATK:3500

 

「こ、こいつは!? 俺達が最後に相手した!?」

 

「まずいぞ!? こいつの効果は!」

 

鋼貴と高尾が同時に叫ぶ。

 

「レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターでマジカル・アンドロイドを攻撃! 《エクストリーム・クリムゾン・フォース》!!!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターが腕から強大な炎の光線を放つ。

光線はマジカル・アンドロイドを一瞬で消滅させる。

 

「!? …うう…!」

 

七海 LP:3400→2300

 

テオドールの怒りが余程高まったのか、精神が安定してきたのか、七海はダメージを防ぎきれない。

 

「お姉ちゃん!?」

 

空が姉の身を案じる。

 

「レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターの効果発動! このカードが攻撃した場合、ダメージ計算後にこのカード以外の場のモンスターを全て破壊する!!! 消え去れ!!! 《クリムゾン・ジ・エンド》!!!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターが咆哮を上げ、体から大火炎を決闘場全体に放つと、ハイパーサイコガンナーと寡黙なるサイコプリーストを一瞬で蒸発させる。

 

「ハッハッハッハッハ!!! 俺は負けん! 俺は”王者”だ!!!」

 

LP:3900

手札:0

モンスター

・レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスター

魔法・罠

・無し

 

「そんな……七海さんの次の手(寡黙なるサイコプリースト)まで……!」

 

遊伸は悔しそうにレッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターを見上げる。

 

「お姉ちゃん……(ううん! 私が信じなきゃ!) お姉ちゃん! 頑張って!」

 

空が七海に声援を送ると、七海は空に振り向き、優しい笑みを浮かべる。

 

「!…遊伸! お姉ちゃん大丈夫だよ!」

 

「うん! 笑っていたね! 信じよう、七海さんを!」

 

「私のターン! ドロー!」

 

七海 手札:0+1

 

「永続罠《リビングデッドの呼び声》を発動! 墓地から《ハイパーサイコガンナー》を特殊召喚!」

 

七海の場にハイパーサイコガンナーが現れる。

 

ATK:3000

 

「無駄だ!!! どう足掻こうが”王者”の俺に敵う訳がないんだよ!!!」

 

テオドールが七海に怒鳴る。

 

「テオドール……愚かな男……”王”である自分に溺れ、”力”に溺れ……”決闘者”としての誇りを忘れた貴方は一生”あの人”に勝てはしないわ」

 

「黙れ黙れ黙れ!!! 俺は誰よりも強い”王”だ!!!」

 

テオドールの叫びに合わせてレッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターが咆哮をあげる。

その咆哮にはテオドールの暴発したサイコ・パワーが混じっていた。

 

「!」

 

七海は眼を見開くと、ハイパーサイコガンナーが波動を発する。

七海のサイコ・パワーを込めた波動がテオドールのサイコ・パワーと相殺する。

 

「……これで終わりよ! 罠カード《バスター・モード》を発動!!!」

 

七海が罠を発動すると、突然装甲が現れ、ハイパーサイコガンナーに装着されていく。

現れた全ての装甲が装着されると、背中の翼が展開される。

 

「ハイパーサイコガンナーをリリースし、デッキから《ハイパーサイコガンナー/バスター》を特殊召喚!!!」

 

ハイパーサイコガンナーのもう一つの姿、 ハイパーサイコガンナー/バスターである。

 

ATK:3500

 

「バスター・モードだと!? 何故レッド・デーモンズ・ドラゴン以外の/バスターが存在する!?」

 

「これは貴方を倒す為に私が得た力……装備魔法《サイコ・ソード》をハイパーサイコガンナー/バスターに装備! 自分のLPが相手より下の場合、その数値だけ装備モンスターの攻撃力がアップする……差は1600! 1600ポイントアップ!」

 

ATK:3500→5100

 

「な、何!?」

 

「これで……決着よテオドール!!! バトル!  ハイパーサイコガンナー/バスターで攻撃! 《H・P・B(ハイパー・サイコ・バスター)キャノン》!!!」

 

ハイパーサイコガンナー/バスターが両腕の念動砲を放つと、レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターごとテオドールに直撃する。

 

「ぐおぉぉぉーーーーー!!!」

 

テオドール LP:3900→2300

 

「ハイパーサイコガンナー/バスターの効果発動! 戦闘を行ったダメージステップ終了時、その相手モンスターの守備力分のダメージを相手LPに与え、その攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する! レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターの守備力は2500! 2500のダメージを与える!」

 

ハイパーサイコガンナー/バスターが出力最大、フルパワーで砲撃する。

 

「ば……馬鹿なァァァ―――――――!!!」

 

テオドール LP:2300→0

七海     LP:2300→5800

 

ソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴った。

テオドールが、”幻の決闘王”が今、倒れた。

 

「……やったよ……”おじさん”……」

 

七海はそう呟くと、涙を一筋流した。

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

「ほ、本当にこれで大丈夫なのか?」

 

鋼貴が訝しげに七海に尋ねる。

 

「体のダメージがかなり大きいから時間は掛かるけど、大丈夫よ。 動くには辛いかもしれないけど、意識は取り戻すわ」

 

「もう! 鋼貴ったら! もっとお姉ちゃんを信用してよ!」

 

テオドールを倒した後、七海は意識不明の鋼牙をサイコ・パワーで治療していた。

掌を鋼牙の額に当て、ゆっくりと力を流す。

 

「まさか藤堂君がセキュリティの隊長になってるなんてね……」

 

「そういえばお姉ちゃんは鋼牙さんの事知ってるの? 鋼牙さんは噂でしかお姉ちゃんを知らないって言ってたけど」

 

空が七海に鋼牙の事を尋ねる。

 

「あら、そう言ったの? 嫌われちゃってたかしら」

 

「え? どうして?」

 

「あれはアカデミア中等部の3年だった時だったかしら……当時2年生の鋼牙君が私に挑戦しに来たの」

 

 

あんたが西野 七海だな! ナンバーワンはこの俺だ! 勝負しろ!

 

 

「…って」

 

「…それでどうなったの?」

 

「私が勝ったわ、そしたら彼、固まっちゃって……あの時はどうしたらいいのか分からなかったわ」

 

その時の事を思い出したのか、七海は少し笑っている。

 

「あ、兄貴にもそんな時代があったんだな……若かったんだな、兄貴も」

 

兄が隠していた秘密の時代を知ってしまい、鋼貴は微妙な顔をする。

 

「……ねえお姉ちゃん、終わったんだよね? お姉ちゃん、もう帰ってくるんだよね?」

 

空が七海を見詰める。

 

「…ええ、長い……長い私の戦いは終わったわ……これで、空のところへ帰れる……」

 

「お姉ちゃん!」

 

空が七海に抱きつく。

 

「空ったら、これじゃ藤堂君の治療が出来ないでしょ」

 

そう言いながらも七海は嬉しそうに笑う。

 

「(本当によかった……辛い戦いばかりだったけど、これだけで全てが報われるように感じる)」

 

遊伸は笑いながら姉妹を見る。

 

「ねえお姉ちゃん、今度こそ聞かせてくれる? この10年間、お姉ちゃんに何があったのか……」

 

「…そうね、空には知る権利があるわ、話すわ……それと遊伸君」

 

「? はい」

 

「あなたにとっても大事な話なの……聞いてちょうだい」

 

「僕にとっても……?」

 

遊伸は突然の事に首を傾げる。

 

「あ、そういや何で七海さんは遊伸の事知ってんだ? 最初から知ってるみたいに話してたけど」

 

鋼貴が七海に尋ねる。

 

「…その事についても話すわ」

 

10年前の七海の失踪、一体彼女に何があったのか。

七海は遊伸達に話し始めた。

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