遊戯王~Truth of Satellite~ 作:鬼柳高原
*展開、物語の都合上、一部効果を変更しているカードがあります。 それ程大きな変化ではないとは思いますが、ご了承ください
「(……う…ここは……)」
不思議な感覚の中、宝月は目を覚ます。
暖かい何かに包まれているような感覚であった。
「(…私はモーメントの暴走に巻き込まれて……もしかすると、これが”死”か?)」
宝月は全てを受け入れ、再び目を閉じようとした瞬間、突然大きな咆哮が鳴り響く。
その咆哮は恐ろしい物ではなく、力強い勇ましさを感じさせる物であった。
「(今のは……知っている……私は知っているぞ……この”声”を!)」
宝月は決闘場の上でこの”声”を何度も聞いた。
この”声”が決闘場に轟く時、宝月に必ず勝利がもたらされてきた。
宝月の最強の”切り札”にして、最愛の”相棒”の”声”であった。
「(…これは…! この感覚は……死んでない! 私は死んでなんかない! 私は生きている!)」
そう自覚した瞬間、急に目の前が眩く光ると、宝月は思わず目を閉じる。
暫くして宝月が目を開けると、目の前にはまったく知らない世界が広がっていた。
「何だ……ここは……」
宝月の目の前に広がるのは荒れ果てた世界。
焼けた地面、散らばる建物の残骸、見渡すかぎりその様な光景が広がっていた。
一体何があったらこんな事になるのか。
「……ここは……ここは!」
宝月は後ろを振り返る。
そこには信じられない程の大穴が開いているのが見えた。
「……ネオ童実野シティ…! モーメントの暴走により吹き飛んだ……ネオ童実野シティだ…!」
宝月は膝と両手を地面につく。
宝月が恐れていた光景が目の前に広がってしまっていた。
「(一体どれ程の被害が出たんだ…! クソォ!)」
宝月は右拳を地面に打ち付ける。
拳から鋭い痛みを感じると、血が流れ出てくる。
それを見て宝月はハッと気付く。
「何で……何で私は生きているんだ!? 一番間近で暴走に巻き込まれたはずなのに……何故!?」
宝月が取り乱していると、再び”声”が頭上から聞こえてくる。
宝月が見上げると、そこには”相棒”の姿があった。
「!? (決闘盤を起動させるどころかカードすら置いていないのに……)」
”相棒”は宝月を見下ろし、じっと見詰める。
「…まさか、お前が私を生かしたのか…? 何故! 私は何一つ守れない男だ! 無力で情けない”お遊びの王”だ……! 何故……生かしたのだ…!」
宝月が問いかけるも”相棒”は答えず、大穴に顔を向ける。
宝月も釣られて大穴に顔を向けた瞬間―――忘れはしない、あの”異様な気配”を感じ取る。
「(これは!? ”融合体”の……いや、それ以上……比べ物にならない程の気配を感じる…! これは……もしや”大いなる力”!?)」
宝月は悟った。
生き残ったのは自分だけではない。
いや、”生き残った”ではない、”生き返った”のだ。
「(暴走したエネルギーで吹き飛ぶどころかそれすら吸収し、蘇ったんだ……”大いなる力”が…!)」
宝月は再び”相棒”へと顔を向ける。
”相棒”も再び宝月を見詰めていた。
「……そうか、解ったよ。 私に……いや、”決闘者”である俺にしか出来ない事なんだな?」
”相棒”は最初と同じ様に咆哮―――”声”を上げると、姿を消す。
宝月はデッキから”相棒”のカードを抜き出し、語りかける。
「俺は倒さなければならない……この惨劇によって蘇った”怪物”を…! それが生き残った……俺の”使命”なんだな?」
”相棒”からの返答は無い。
だが宝月に迷いは無かった。
”相棒”のカードをデッキにしまうと、大穴へと走り出す。
「(”戦いの覇者”……古代最古の”決闘王”……勝てるのか…? モーメントやネオ童実野シティを守れず、もはや”決闘王”ですらない俺に……いや、勝たなければならない! 俺のデッキよ……もう一度俺と共に戦ってくれ!)」
宝月は浮かんできた弱気を打ち消す。
自分が倒さなければならない。
”真実”を知る生き残った者として。
・
・
・
「着いたぞ……深いな、どうやって下りるか……!?」
宝月が考えを巡らせていると、宝月のデッキトップにある”相棒”のカードが七色に光始める。
そしてカードから七色の光が伸びると、カードから光が切り離され、大穴の底まで続く道となる。
「……お前は一体何者なんだい? 相棒よ……ともかく、ありがとう!」
宝月は七色の光の道を慎重に下りて行った。
* * *
大穴 最深部 モーメント
宝月は光の道を渡りきり、大穴の底へと下り立つ。
下り立った宝月の視線の先に、一人の人間が背を向けて立っているのが見えた。
「(!? 俺以外にも生き残りが……いや、違う!? この感じ……人間じゃない! ”奴”だ!)」
宝月はその人物から”大いなる力”の気配を感じ取る。
見ると、逞しい筋骨隆々な体格をした若い男性であるのが分かる。
宝月が男に近づくと、男は気が付き、宝月に振り向く。
その男の顔を見て、宝月は驚きの声を上げた。
「な!? 天馬会長!?」
若返っているが、間違いなく天馬の顔であった。
だがその若さと体格は明らかに彼のものではない。
一体何があったのか、宝月が混乱していると、目の前の男が口を開く。
「…お前は何者だ?」
「え…?」
「我は儀式を行い、成功したはず……その証に漲るこの”力”……そして奪い取った体……我は手に入れたのだ……永遠に失う事のない”力”を!」
男はそう言って高らかに笑う。
”勝者”の笑いだった。
「だがここは何処だ? 明らかに”儀式の祭壇”ではない……そして儀式に立ち会わせた魔術師達もいない……いるのはお前と……我が奪ったこの体だけだ」
宝月は目の前の男の話を聞き、確信する。
目の前の男は天馬ではない。
天馬の体を乗っ取った”大いなる力”―――”戦いの覇者”であると。
「…”戦いの覇者”よ、ここはお前が支配した時代じゃない」
「何…?」
「お前は儀式に”半分だけ”失敗し、長い眠りについた……そして数千年の時を越え、その男の手によって目覚めた」
宝月は天馬の体を指差す。
「ほお……そうか。 ならばこの男には感謝せねばな」
”戦いの覇者”は乗っ取った天馬の体を撫でる。
「さて……予定は狂ったが、儀式は済んだ……時代が変わったから何だと言うのだ? ”最強”は我だ。 今の世界に”王”がいるならば、それを葬ればいい」
「待て!」
”戦いの覇者”が大穴から出ようと歩き始めるのを宝月が呼び止める。
「…再び世界を支配してどうするつもりだ?」
「…そんな事も解らないのか? どうするも何も無かろう。 ”強者”が”弱者”を支配する……それが当然の事だ。 そして我こそが”強者”……”弱者”を葬り、全てを手にする”王”なのだ」
揺ぎ無い絶対的な自信―――”戦いの覇者”はそれを感じさせる笑みを浮かべる。
「…ならばこの俺を倒して行け!」
宝月は決闘盤を展開し、構える。
「…何だそれは? もしやお前は我に”戦いの儀”を挑んでいるのか? …フフフ……ハッハッハッハッハ!」
”戦いの覇者”は突然笑い出す。
面白い冗談を聞いたときの様な笑い、正にそう感じているのだろう。
「…お前は我の事を知っているようだな……解っていながら戦いを挑んでくるとは、お前は何者だ?」
「俺は……宝月 仁。 …”遊戯王”の宝月 仁だ!」
相手は”王”、それなりの立場でなければ相手にもされないであろう。
だが自分はもう”決闘王”ではない。
宝月は天馬に付けられた”王”という名の蔑称を名乗った。
「(なんだ……悪くない響きじゃないか。 ”遊戯王”……気に入りましたよ、天馬会長…)」
宝月は目の前の”天馬”に内心で礼を言う。
「”ユウギオウ”……”王”……そうか、貴様が今の”頂点”か」
「”頂点”なんて大層な者じゃないさ……だが、一番”強い”のは俺だ」
”戦いの覇者”と同様に、自信が満ち溢れた笑みを浮かべる宝月。
”決闘王”の称号こそ返上したものの、”決闘王”としてのプライドは未だに健在であった。
「フ……そうか、ならばここでお前を葬り、”王”として返り咲く事にしよう!」
”戦いの覇者”が”力”を解放すると、突然宝月達が立っている地面から祭壇の様な舞台がせり上がってくる。
「な、何だこれは!? もしや……決闘場か!」
宝月の予想通り、それは古代で”戦いの儀”に使われた決闘場であった。
「さあ、”戦いの儀”を始めよう……そう言いたいところだが、我の僕は我と一体の”力”となり、”形”を失っている、このままでは”戦いの儀”を行えん……そこでだ、貴様の僕の”形”を貰うぞ」
”戦いの覇者”は腕から形容し難い”黒い何か”を放つと、宝月の決闘盤に纏わりつく。
「な、何だ!? 離れろ……あ!?」
宝月はそれを振り払おうとするが、振り払うまでもなく”黒い何か”はあっさりと離れた。
離れた”黒い何か”が”戦いの覇者”の左腕に纏わりつくと、そのまま決闘盤へと姿を変える。
「デュ、決闘盤に変わった……どうなっているんだ」
「ほう、これが今の世の”武具”か。 石版も小さな札になっている……面白いではないか」
ありえないような現象が続き、動揺する宝月だったが、すぐに落ち着きを取り戻し、真っ直ぐ相手を見据える。
「行くぞ! この勝負、絶対に勝つ!」
「来るがいい”遊戯王”よ。 永遠の”力”の最初の生贄だ……光栄に思うがいい」
「デュエル!!!」
「ディアク!!!」
世界の命運を賭けた”王”達のデュエルが始まった。
先攻は宝月。
「俺のターン! ドロー!」
宝月 手札:5+1
「永続魔法《宝玉の樹》を発動!」
宝月の場に葉も実も付けていない一本の樹が現れる。
「《宝玉獣 サファイア・ペガサス》を召喚!」
宝月の場に蒼く輝く大きなサファイアの結晶が現れると砕け散り、中から一頭の白いペガサスが現れる。
ユニコーンの様な角を持ち、両翼にはサファイアが埋め込まれている。
ATK:1800
”宝玉獣”―――宝月が愛用するカテゴリシリーズ。
宝月は現役時代、この宝玉獣達とデュエルの”道”を駆けて来た。
「サファイア・ペガサスの効果発動! 召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、自分の手札、デッキ、または墓地から《宝玉獣》1体を永続魔法扱いとして自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で置く事が出来る! デッキから《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》を置く! 《サファイア・コーリング》!」
サファイア・ペガサスが両翼のサファイアを光らせ、嘶きながら蹄を鳴らす。
すると宝月の魔法・罠ゾーンに紅く輝く大きなルビーの結晶が現れる。
この時、ルビーの輝きに反応して宝玉の樹が輝く果実を一つ実らせる。
「《宝玉の樹》の効果! 《宝玉獣》と名のついたモンスターが魔法・罠ゾーンに置かれる度に、このカードにジェムカウンターを1つ置く!」
宝玉の樹 ジェムカウンター:1
「ターンエンド!」
LP:8000
手札:4
モンスター
・宝玉獣 サファイア・ペガサス
魔法・罠
・宝玉の樹(カウンター:1)
・宝玉獣 ルビー・カーバンクル
「ターン、ドロー、ターンエンド……成る程、言葉も変わったものだ……我のターン! ドロー!」
戦いの覇者 手札:5+1
「まずは”舞台”を整えるとしよう……
この瞬間、宝月達は黒い炎に囲まれる。
後に遊伸達が行った”闇のデュエル”と同じ炎である。
「(これは……フィールド魔法か。 一体どんな戦術を……)」
「フフ……行くぞ、《
現れたのは黒ずんだ大きいトパーズの結晶。
それが砕けると中からホワイトタイガーが現れる。
頭に刃の様な角を持ち、足にはそれぞれ黒い刃が取り付けられている。
トパーズ・タイガーが咆哮を上げると、首の側面に埋め込まれている黒ずんだトパーズが妖しく光る。
ATK:1600
「馬鹿な!? 《宝玉獣》だと!? 何故それを―――」
持っている、そう続けようとした宝月はデュエル前のやり取りを思い出す。
貴様の僕の”形”を貰うぞ
「(あの時……そうか……)」
続けて蘇るのは天馬の言葉。
自分以外の”力ある者”の”力”を”模倣”し、盗んで自分の物とした。
「そういう事か……」
「フフフ……”形”は同じ、後はお前の”力”と我の”力”、どちらが上か……行くぞ、トパーズ・タイガーで攻撃! 《トパーズ・ダーク・バイト》!」
トパーズ・タイガーがサファイア・ペガサスに跳び掛かる。
「お前の僕の姿だ。 その能力は知っているな?」
「…トパーズ・タイガーは相手モンスターに攻撃する場合、ダメージステップの間、攻撃力が400ポイントアップする…!」
ATK:1600→2000
トパーズ・タイガーがサファイア・ペガサスの喉元に食らいつくと、サファイア・ペガサスは悲鳴を上げ、破壊される―――が、破壊され粒子となった体が宝月の魔法・罠ゾーンに集まり、大きなサファイアの結晶となる。
「《宝玉獣》はモンスターゾーンで破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法扱いとして自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で置く事が出来る……」
宝月 LP:8000→7800
宝玉の樹 ジェムカウンター:1→2
「カードを伏せ、ターンエンド」
LP:8000
手札:3
モンスター
・A 宝玉獣 トパーズ・タイガー
魔法・罠
・セット
フィールド
・アドバンスド・ダーク
「俺のターン! ドロー!」
宝月 手札:4+1
「それがお前の”力”か……だが俺は負けはしない! 《宝玉の樹》の効果発動! このカードを墓地に送る事で、乗っていたジェムカウンターの数だけデッキから《宝玉獣》を永続魔法扱いとして自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で置く! カウンターの数は2、よってデッキから《宝玉獣 トパーズ・タイガー》、《宝玉獣 アンバー・マンモス》の2体を魔法・罠ゾーンへと置く!」
宝月の魔法・罠ゾーンにそれぞれ黄色とオレンジに輝く2つの結晶が現れる。
「魔法カード《宝玉の契約》を発動! 自分の魔法・罠カードゾーンに存在する《宝玉獣》と名のついたカード1枚を選択して特殊召喚する! 来い! 《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》!」
魔法・罠ゾーンにあったルビーが輝き、砕け散ると中から愛くるしい小動物が飛び出す。
ルビーの様な紅い目と、尻尾の先端に付けられた本物のルビーを輝かせ、場に降り立ち防御体勢を取る。
DEF:300
「ルビー・カーバンクルの効果発動! 特殊召喚に成功した時、自分の魔法・罠ゾーンから《宝玉獣》と名のついたカードを可能な限り特殊召喚出来る! 《ルビー・ハピネス》!」
宝月の魔法・罠ゾーンに向かってルビー・カーバンクルが尻尾のルビーから紅い波動を放つと、置かれていた結晶が一斉に砕け、中から《宝玉獣》達が飛び出す。
サファイア・ペガサス、そしてトパーズ・タイガー。
”戦いの覇者”がコピーしたものとは違い、全体的に明るく、装飾も白い。
首の側面に埋め込まれたトパーズが黄色く輝かせると咆哮を上げる。
そして最後に現れたのは額に琥珀―――アンバーを埋め込んだマンモス。
4本の牙を振り回し、高らかに咆哮を上げる。
宝玉獣 サファイア・ペガサス ATK:1800
宝玉獣 トパーズ・タイガー ATK:1600
宝玉獣 アンバー・マンモス ATK:1700
「ほう……一度にこれだけの僕を並べたか、いいぞ、こうでなくてはな」
宝月の戦術に”戦いの覇者”は笑みを浮かべる。
「そんな悠長に構えている場合かな? サファイア・ペガサスの効果発動! デッキから《宝玉獣 エメラルド・タートル》を魔法・罠ゾーンに置く! 《サファイア・コーリング》!」
再びサファイア・ペガサスがサファイアを輝かせ、嘶き蹄を鳴らすと魔法・罠ゾーンに翠に輝くエメラルドの結晶が現れる。
「さらに《宝玉獣 コバルト・イーグル》を召喚!」
宝月の場に藍色の輝きを放つ大きなコバルト・スピネルの結晶が現れ、砕けると中から一羽の鷲が現れる。
コバルト・スピネルを埋め込んだ両翼を広げて空中を飛びまわり、”戦いの覇者”を威嚇する。
ATK:1400
「バトル! トパーズ・タイガーでお前のトパーズ・タイガーを攻撃! 《トパーズ・バイト》!」
本来ならありえないトパーズ・タイガー同士の戦い。
宝月のトパーズ・タイガーが黒い装飾のトパーズ・タイガーの喉に食らいつく。
ATK:1600→2000
「我が領域、《アドバンスド・ダーク》の効果発動! 《A宝玉獣》が戦闘を行うダメージ計算時、デッキから《A宝玉獣》1体を墓地へ送る事でその戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージを0にする……我はデッキから《A宝玉獣 エメラルド・タートル》を墓地へ送る」
宝月のトパーズ・タイガーが黒いトパーズ・タイガーを仕留めるものの、ダメージが”戦いの覇者”に届く事はなかった。
「ここで罠《宝玉の双璧》を発動! 自分の場に存在する《宝玉獣》と名のついたモンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから《宝玉獣》と名のついたモンスター1体を永続魔法扱いとして自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で置く……我は《A宝玉獣 ルビー・カーバンクル》を置く」
”戦いの覇者”の魔法・罠ゾーンに黒ずんだルビーの結晶が現れる。
「くっ…!」
「ハハハ! それだけ”僕”がいて何も出来んとはな」
”戦いの覇者”が発動した罠カード《宝玉の双璧》にはもう一つの効果がある。
それは発動ターンに自分が受ける戦闘ダメージを全て0にするというもの。
つまり、宝月が幾らモンスターを並べようとも”戦いの覇者”にダメージを与える事が出来ないのだ。
「…カードを伏せてターンエンド」
LP:7800
手札:2
モンスター
・宝玉獣 ルビー・カーバンクル
・宝玉獣 サファイア・ペガサス
・宝玉獣 トパーズ・タイガー
・宝玉獣 アンバー・マンモス
・宝玉獣 コバルト・イーグル
魔法・罠
・宝玉獣 エメラルド・タートル
・セット
「…一つ言っておく、俺はこいつらを”僕”だなんて思った事は一度も無い。 そしてそれが俺とお前の勝敗を分ける事となるぞ」
「訳の解らない事を……我のターン! ドロー!」
戦いの覇者 手札:3+1
「《A宝玉獣 サファイア・ペガサス》を召喚!」
場に黒ずんだサファイアの結晶が現れ、妖しい光を放つと砕け、中から同様に黒ずんだサファイア・ペガサスが現れる。
黒い装飾に荒れた鬣、鋭く尖った角に瞳が見えない目など、恐ろしげな姿をしている。
ATK:1800
「効果発動! デッキから《A宝玉獣 アンバー・マンモス》を魔法・罠ゾーンに置く! 《サファイア・ダーク・コーリング》!」
黒いサファイア・ペガサスが両翼に埋め込まれた黒ずんでいるサファイアを妖しく光らせ、嘶き蹄を鳴らすと、魔法・罠ゾーンに黒ずんだアンバーの結晶が置かれる。
「魔法《レア・ヴァリュー》を発動! 自分の魔法・罠ゾーンの《宝玉獣》と名のついたカード1枚を相手が選んで墓地へ送り、自分のデッキからカードを2枚ドローする! さあ選ぶがいい!」
自分自身も使っているカード、そんな事は百も承知、宝月は迷わず指差す。
「《A宝玉獣 ルビー・カーバンクル》を墓地に!」
黒ずんだルビーの結晶が場から消えると、”戦いの覇者”はカードを2枚ドローする。
戦いの覇者 手札:2+2
「魔法《宝玉の契約》を発動! 来るがいい! 《A宝玉獣 アンバー・マンモス》!」
黒ずんだアンバーが妖しく光り、砕けると中から黒ずんだアンバー・マンモスが現れる。
ATK:1700
「さあ”力”を受けよ! 《宝玉の解放》をアンバー・マンモスに!」
宝玉の解放、《宝玉獣》専用の装備魔法であり、攻撃力を800ポイントアップさせるカード。
黒いアンバー・マンモスは黒ずんだアンバーを強烈に光らせ、興奮したように暴れ出す。
ATK:1700→2500
「2500…!」
「フフフ……それにしてもお前の手勢は貧弱だ。 たった7種類な上、こうして強化してやらねばこの程度の力も出せぬのだからな……これでよく”王”などになれたものだ」
宝月は”戦いの覇者”の言葉に引っ掛かるものを感じた。
「(7種類……もしかして俺の”切り札”を知らないのか?)」
「まあいい、お前を倒すにはこれで十分だ。 バトル! アンバー・マンモスでトパーズ・タイガーを攻撃! 《アンバー・ダーク・スタンプ》!」
黒いアンバー・マンモスがトパーズ・タイガー目掛けて突進するが、急に方向を変える。
「アンバー・マンモスの効果発動! 《宝玉獣》が攻撃対象に選択された時、 このカードに攻撃対象を変更出来る!」
2体のアンバー・マンモスがぶつかり合うが、強化されている黒いアンバー・マンモスによって宝月のアンバー・マンモスは押しつぶされ破壊されてしまう。
破壊されたアンバー・マンモスは魔法・罠ゾーンに移り、アンバーの結晶となった。
「ぐうっ!」
宝月 LP:7800→7000
「ならばサファイア・ペガサス! 《サファイア・ダーク・ホーン》!」
黒いサファイア・ペガサスが角にパワーを集中させ、トパーズ・タイガー目掛けて突っ込む。
喉元を貫かれたトパーズ・タイガーは破壊され、結晶となる。
「く……!」
宝月 LP:7000→6800
「カードを2枚伏せる……これでターンエンドだ」
LP:8000
手札:0
モンスター
・A宝玉獣 サファイア・ペガサス
・A宝玉獣 アンバー・マンモス
魔法・罠
・宝玉の解放
・セット
・セット
フィールド
・アドバンスド・ダーク
「(成る程、”天才”か……初めて使うはずの《宝玉獣》をここまで使いこなすとはな……だが)」
宝月に焦りは無かった。
宝月は感じていた、”相棒”の―――”最強の切り札”の鼓動を。
「…”戦いの覇者”よ! お前に聞きたい事がある! お前は”力”に拘っているが、”戦いの儀”においてその中でも特に重要な”力”とは何だと思っている?」
宝月の唐突な質問、”戦いの覇者”は呆れたように鼻で笑う。
「フッ……何を言い出すかと思えば……”重要な力”だと? そんな物は無い! ”力”とは弱者を葬り、全てを手に入れ、自らを”勝者”とする為のもの……唯それだけ、それが”全て”だ」
「…いや、俺はそうは思わない。 確かにお前が言う”力”は必要かもしれない……だけど、それ以上に重要な”力”がある。 それは俺が持っていて、お前が持っていない”力”だ」
「…何?」
自分は最強の”王”―――誰にも負けない、誰よりも強い、”老いによる衰え”すら克服したのだ。
そんな自分が持っていない”力”―――そんなものがあるはずが無い、そう考える”戦いの覇者”は宝月の言葉を聞き流す事が出来なかった。
「…言ってみろ、我に無い”力”とは?」
「…俺はこいつらと……《宝玉獣》達と一緒に”デュエルの道”を走り続けてきた……子供の頃から、今までずっと。 苦楽を共にし、勝って、時には負けて……だけどその都度一緒に成長して……そして今、”王”を名乗れるほどになった」
宝月は思い出していく―――走って来た道のりを。
「いや、こいつらだけじゃない! 今まで出会って俺を支えてくれた人達、そして俺と競い、高め合った
宝月は声を張り上げ、堂々とした姿勢で言い放つ。
その姿にはテオドールとも、アーノルドとも、目の前の”王”とも違う”王者の風格”を感じさせた。
「”絆”の繋がりを感じる度に湧き上がって来る熱い思い……これこそが俺の”力”となる!」
「……くっくっく……ハーッハッハッハッハ!!!」
”戦いの覇者”は大声で笑い始める。
何度かあった事だが、今までで一番大きい笑いだった。
「いるわいるわ、何時の時代にも、お前の様な”阿呆”が」
”戦いの覇者”は笑いを収めると、宝月を見下す様な眼で話し始める。
最初に多少はあった”王”への敬意はもはや無い。
「いいか? ”強者”というのは生まれ持って才能を持ち、常に”力”を求めて生きるからこそ”強者”となりえるのだ! ”絆の力”だと? だから何だ! そんなものが何になる!」
「才能なんか無くったって強くなれる! 幾ら時間が掛かろうとも……成長することが出来る! 俺はそうして来た! ”絆”と共に! …俺は証明してみせる……”絆の力”を! 俺のターン! ドロー!」
宝月 手札:2+1
「…強い”絆”に……カードは必ず答えてくれる! 《宝玉獣 アメジスト・キャット》を召喚!」
宝月の場に紫に輝くアメジストの結晶が現れ、砕けると中から何処か気品を感じさせる猫が現れる。
胸に付けられたアメジストを輝かせ、威嚇する。
ATK:1200
この瞬間、宝月の場の《宝玉獣》4体の宝玉、そして魔法・罠ゾーンにある3つの結晶が眩い程の輝きを放つ。
「今俺の場に7体の《宝玉獣》が揃った! …このカードは自分の場と墓地に7体の《宝玉獣》が揃った時のみ、特殊召喚する事が出来る”究極の《宝玉獣》”だ!」
「何だと!? お前のデッキにいる《宝玉獣》は7種のはずだ! ハッタリを抜かすな!」
「ハッタリ何かじゃないさ、お前が知りえない俺の”切り札”を見せてやる!」
宝月の最愛の”相棒”にして最強の”切り札”が決闘盤に置かれる。
「もう一度……俺に力を貸してくれ! 現れよ! 《究極宝玉神 レインボー・ドラゴン》!!!」
宝月の場から七つの光が飛び出すと、纏まって七色に輝く柱となる。
その中から一体の竜が姿を現す。
大きな翼と長い胴体はダイヤモンドの様に白く輝き、首に3つ、胴体に4つずつ、七色の宝玉が埋め込まれている。
その宝玉を一斉に輝かせ、力強い咆哮を上げる。
この竜こそ宝月 仁の切り札、 究極宝玉神 レインボー・ドラゴンである。
ATK:4000
「何だと!? これ程の”力”が……これ程のものが我の目を掻い潜っていただと!?」
「行くぞ! バトル! レインボー・ドラゴンでアンバー・マンモスを攻撃! 《オーバー・ザ・レインボー》!!!」
レインボー・ドラゴンが体の宝玉を光らせると、口から虹色の光線を放つ。
光線は黒いアンバー・マンモスを飲み込み、跡形も無く吹き飛ばす。
「ちぃ! 《アドバンスド・ダーク》の効果! デッキから《A宝玉獣 コバルト・イーグル》を墓地に送りダメージを0に! アンバー・マンモスはそのまま墓地へ! そして宝玉の解放の効果発動! デッキから《宝玉獣》と名のついたモンスター1体を永続魔法扱いとして自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で置く! 《A宝玉獣 アメジスト・キャット》を置く!」
”戦いの覇者”の魔法・罠ゾーンに黒ずんだアメジストの結晶が現れる。
「続けてサファイア・ペガサスで攻撃! 《サファイア・トルネード》!」
サファイア・ペガサスが翼で突風を起こすと、黒いサファイア・ペガサスも同じ様に突風を起こす。
お互いに吹き飛ばされ、消滅する。
「すまないサファイア・ペガサス……俺はこのまま墓地へ送る!」
「我もだ!」
お互いにサファイア・ペガサスを墓地に送る。
むやみに置けば自分の首を絞めることになりかねない。
置かない事も戦術なのだ。
「続けてコバルト・イーグル! アメジスト・キャット! 直接攻撃だ!」
コバルト・イーグルが上空、アメジスト・キャットが真正面から襲い掛かる。
「フン……」
大いなる覇者 LP:8000→6600→5400
「これでターンエンド!」
LP:6800
手札:1
モンスター
・宝玉獣 ルビー・カーバンクル
・宝玉獣 コバルト・イーグル
・究極宝玉神 レインボー・ドラゴン
・宝玉獣 アメジスト・キャット
魔法・罠
・宝玉獣 エメラルド・タートル
・セット
・宝玉獣 アンバー・マンモス
・宝玉獣 トパーズ・タイガー
ここに来て宝月が完全に逆転する。
だが”戦いの覇者”は笑みすら浮かべていた。
「成る程……それがお前が”王”である証か……」
”戦いの覇者”は小さく笑うと、腕をレインボー・ドラゴンへとかざす。
「大した竜だ……だが俺の前に出てきたのは失敗だったな……その”力”を寄越せ!」
すると腕から”黒い何か”が発せられ、レインボー・ドラゴンを包み込もうとする。
「レインボー・ドラゴン!?」
レインボー・ドラゴンは咆哮を上げながら身をよじり、逃れようとする。
「頑張れレインボー・ドラゴン! 大丈夫だ! 俺が付いている!」
宝月は決闘盤に置かれているレインボー・ドラゴンに手を重ね、力を籠める。
「俺だけじゃない! 宝玉獣も付いている! だから負けないでくれ! レインボー・ドラゴン!」
宝月の言葉に反応するように、”黒い何か”に殆ど包み込まれていたレインボー・ドラゴンは眼光を光らせると、体から七色の光を発し、”黒い何か”を振り払う。
「何!?」
「よくやったな……信じていたぞ!」
”戦いの覇者”は振り払われた”黒い何か”を吸い寄せ、再び自身の中に入れる。
「我の”力”を振り払うとは……まあいい、十分だ。 我のターン! ドロー!」
戦いの覇者 手札:0+1
「まずは下準備だ……伏せていた魔法《ダブル・サイクロン》発動! 自身と相手の魔法・罠を一枚ずつ破壊する! 我の永続魔法である《A宝玉獣 アメジスト・キャット》と、お前の伏せカードを破壊する!」
場に二つのサイクロンが起こると、お互いの魔法・罠ゾーンのカードを吹き飛ばす。
セットカード:虹の引力
「ほう、”お前も”伏せていたか」
「…何!?」
その言葉に宝月は嫌な予感を感じた。
「あの時、無事に逃れたとでも思っていたのか? …最初にこのカードは捨石のつもりで伏せた。 訳の解らないカードだったからな……行くぞ! 罠《虹の引力》を発動! 自分の場及び墓地に《宝玉獣》と名のついたカードが7種類存在する場合、デッキまたは墓地に存在する《究極宝玉神》を1体を召喚条件を無視して特殊召喚する!」
突如”戦いの覇者”の墓地から暗い七色の光が放たれる。
「我の墓地に《A宝玉獣》が7種類! さあいでよ! 《究極宝玉神 レインボー・ダーク・ドラゴン》!」
墓地から放たれた光から漆黒に染まったレインボー・ドラゴンが現れる。
黒い大きな翼を羽ばたかせ、黒ずんだ7つの宝玉を妖しく光らせると、レインボー・ドラゴンと対峙する。
ATK:4000
「馬鹿な…!? レインボー・ドラゴンまで…! レインボー・ドラゴンはお前の”力”を振り払ったはずなのに…」
「その通り……おかげで半分程しかモノに出来なかったぞ。 奪えなかった半分を我の”力”で補い、形にしたのがこれだ……残りの半分、お前を葬って頂くとしよう……レインボー・ダーク・ドラゴン効果発動!」
その瞬間、”戦いの覇者”の墓地から暗い七色の光が再び飛び出すと、レインボー・ダーク・ドラゴンがそれを吸収する。
「自身以外の自分の場及墓地の闇属性を全てゲームから除外する事で、攻撃力を除外したカードの数×500ポイントアップさせる……《A宝玉獣》は《アドバンスド・ダーク》の効果により闇属性となっている……この7体を除外する事により、レインボー・ダーク・ドラゴンの攻撃力は―――」
ATK:4000→7500
「何!?」
「行くぞ……レインボー・ダーク・ドラゴンでレインボー・ドラゴンを攻撃! 《レインボー・リフレクション》!」
レインボー・ダーク・ドラゴンが自身の宝玉が放つ光と同様の光線をレインボー・ドラゴンへと放つ。
「(ここで効果を使っても越える事が出来ない…! すまない……レインボー・ドラゴン)」
レインボー・ドラゴンは応戦して光線を放つも、レインボー・ダーク・ドラゴンの圧倒的な力により押し返され、光線を受けて消滅する。
「うわぁぁぁ!!!」
宝月 LP:6800→3300
「フハハハ! どうだ? これで解っただろう? お前が”王”となったのは”絆”などという下らんものではない! この凄まじい”力”によってだ! そしてこれからは我の”力”の一部となる! 光栄に思うがいい! ターンエンドだ!」
LP:5400
手札:1
モンスター
・究極宝玉神 レインボー・ダーク・ドラゴン
魔法・罠
・無し
フィールド
・アドバンスド・ダーク
「…俺のターン! ドロー!」
宝月 手札:1+1
宝月がドローした瞬間、宝月の墓地が光る。
宝月だけが解る”相棒の声”だった。
「…大丈夫さ、”相棒”! 俺の中の”希望”は消えちゃいない……俺は必ず勝つ! 全てのモンスターを守備表示に変更!」
元々防御体勢だったルビー・カーバンクルを除く2体が防御体勢をとる。
宝玉獣 コバルト・イーグル DEF:800
宝玉獣 アメジスト・キャット DEF:400
「カードを伏せてターンエンド!」
LP:3300
手札:1
モンスター
・宝玉獣 ルビー・カーバンクル
・宝玉獣 コバルト・イーグル
・宝玉獣 アメジスト・キャット
魔法・罠
・宝玉獣 エメラルド・タートル
・宝玉獣 アンバー・マンモス
・宝玉獣 トパーズ・タイガー
・セット
「…まだ戦う気でいるとはな。 我のターン! ドロー!」
戦いの覇者 手札:1+1
「我は魔法《異次元からの埋葬》を発動! 除外した《A宝玉獣》を3体墓地へと戻し……再びレインボー・ダーク・ドラゴンの効果を発動!」
”戦いの覇者”の墓地から3つの光が飛び出すと、それをレインボー・ダーク・ドラゴンが吸収する。
ATK:7500→9000
「さあ、さらに”力”を増したぞ……レインボー・ダーク・ドラゴンでアメジスト・キャットを攻撃! 《レインボー・リフレクション》!」
レインボー・ダーク・ドラゴンの光線により、アメジスト・キャットは跡形も無く吹き飛ばされてしまう。
もはや粒子すら残さずに。
「《アドバンスド・ダーク》は我がレインボー・ダーク・ドラゴンに”力”を与える。 その”力”とはバトルフェイズの間だけ攻撃対象の効果を無効化するというものだ……《究極宝玉神》のいないお前にはもう勝ち目など無い。 ターンエンドだ」
LP:5400
手札:1
モンスター
・究極宝玉神 レインボー・ダーク・ドラゴン
魔法・罠
・無し
フィールド
・アドバンスド・ダーク
「…それはどうかな? 俺とレインボー・ドラゴンの”絆”は断ち切れてはいない! エンドフェイズ時に罠カード《
宝月 LP:3300→1650
「我の墓地だと……まさか!?」
「そう! 除外する罠は《虹の引力》だ! 来い! 《究極宝玉神 レインボー・ドラゴン》!!!」
宝月の場、墓地から光が発せられ、七色の柱となると、中から再びレインボー・ドラゴンが現れる。
ATK:4000
「…驚いたぞ、まだ抗う力があったか。 だがもう遅い。 このレインボー・ダーク・ドラゴンを越える事は出来ん!」
「越えて見せる! 行くぞレインボー・ドラゴン! 俺のターン! ドロー!!!」
宝月 手札:1+1
宝月のドローと同時に、宝月の声に応える様にレインボー・ドラゴンが咆哮を上げる。
「魔法カード《レア・ヴァリュー》を発動! さあ選べ!」
「…トパーズ・タイガーを墓地に送れ」
宝月の魔法・罠ゾーンからトパーズの結晶が消えるのを確認すると、宝月は2枚ドローする。
宝月 手札:1+2
「レインボー・ドラゴンの効果発動! 自分の場の《宝玉獣》を全て墓地へ送る事で、攻撃力を墓地へ送ったカードの数×1000ポイントアップする! 《レインボー・オーバードライブ》!!!」
場のルビー・カーバンクルとコバルト・イーグルが光へと姿を変え、レインボー・ドラゴンはそれを吸収する。
ATK:4000→6000
「無駄な事を……」
「無駄なんかじゃない……見せてやる! 俺と、《宝玉獣》達……そしてレインボー・ドラゴンとの”絆の力”を! 魔法カード《宝玉の恵み》を発動! 墓地から2体まで《宝玉獣》を魔法・罠ゾーンへと置く事が出来る! 《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》と《宝玉獣 トパーズ・タイガー》を置く!」
宝月の魔法・罠ゾーンに2つの結晶が置かれる。
「速攻魔法《E・フォース》を発動! 魔法・罠ゾーンにある《宝玉獣》を一体特殊召喚する! 来い! 《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》!」
ルビーの結晶が砕けると中からルビー・カーバンクルが現れる。
ATK:300
「ルビー・カーバンクルの効果発動! 残り全ての《宝玉獣》も特殊召喚!」
ルビー・カーバンクルが尻尾のルビーから紅い波動を発し、全ての結晶から仲間を呼び出す。
トパーズ・タイガー、アンバー・マンモス、そしてエメラルドの結晶から沢山のエメラルドが埋め込まれた甲羅を背負った老亀、エメラルド・タートルが現れる。
宝玉獣 エメラルド・タートル ATK:600
宝玉獣 アンバー・マンモス ATK:1700
宝玉獣 トパーズ・タイガー ATK:1600
「行くぞレインボー・ドラゴン! 《セカンド・オーバードライブ》!!!」
場に現れた4体の《宝玉獣》が光に変わると、再びレインボー・ドラゴンが吸収し、輝きを増していく。
ATK:6000→10000
「馬鹿な!? レインボー・ダーク・ドラゴンの……我の”力”を越えただと!?」
「これが最後だ! 魔法カード《フォース》を発動! レインボー・ダーク・ドラゴンの攻撃力の半分をレインボー・ドラゴンに与える! 限界を超えろ! 《ファイナル・オーバードライブ》!!!」
レインボー・ダーク・ドラゴンから虹色の光が放たれると、レインボー・ドラゴンはそれを吸収する。
光を吸収されていくレインボー・ダーク・ドラゴンは”形”が崩れ始め、もはや竜なのか分からない様な異形のモンスターとなってしまった。
レインボー・ドラゴンが奪われた自身の”力”を全て吸収した為、”形”を失った”戦いの覇者の力”のみが残されたのである。
究極宝玉神 レインボー・ドラゴン ATK:10000→14500
究極宝玉神 レインボー・ダーク・ドラゴン ATK:9000→4500
「馬鹿な…!? こんな事が…!? 全てを超越し、永遠の”力”を手に入れた我が……負けるだと!?」
「バトル!!! レインボー・ドラゴンで攻撃! 《リミット・オーバー・ザ・レインボー》!!!」
レインボー・ドラゴンがこれまでに無い威力の光線を残された”戦いの覇者の力”に向けて放つ。
光線は一瞬で”戦いの覇者の力”を消し飛ばし、”戦いの覇者”を飲み込む。
「ぐわぁぁぁーーーー!!! 消えて―――消えて堪るかァァァーーーー!!!」
戦いの覇者 LP:5400→0
ソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴った。
決闘場も消滅し、元の穴の底へと戻る。
「……勝った」
宝月は脱力して膝をつく。
複雑な思いはあるが、それを霞ませるほどの達成感が胸を満たした。
「……今まで俺を支えてきてくれた人達……俺と競い合ったライバル達……そして、俺のカード達よ」
宝月は今だ展開したままの決闘盤に置かれた”相棒”に眼を落とす。
その上に涙が一つ落ちた。
「皆のおかげで……俺はここまで強くなれました……本当に……ありがとう……」
宝月はそう言った後、涙を拭き、立ち上がる。
自分の使命はまだ終わってはいないのだ。
「(残りの人生、この都市の為に尽くそう……それが俺に出来るせめてもの償いだ……)」
宝月は辺りを見渡す。
天馬の姿が見えない、”戦いの儀”のルールにより消滅してしまったのだ。
「天馬会長………!?」
突然の事であった。
宝月の体を駆け抜ける不快感、感じる異様な気配。
「嘘だ……そんな……」
宝月は恐る恐る気配のする方へと顔を向ける。
そこには最初に見た小さく萎んだ”融合体”程の大きさの形容し難い”黒い何か”が渦巻いていた。
「間違いない……”戦いの覇者”の……”大いなる力”だ…!」
信じたくは無い、だが自分の全てが認めてしまっている。
これは”奴”だと。
「(このままにはしておけない…!)」
宝月はその”黒い何か”に手を伸ばす―――が。
「うわあ!?」
触れた瞬間、宝月は手を引き、飛び退く。
体には強烈な疲労感があった。
「(奪われた……何かは解らない……だけど確実に”何か”を!)」
そして宝月は確信する。
”奴”はまだ生きていると、そしてこのままにしておけば必ず復活すると。
「何て事だ……このままでは……どうすればいい……!」
その時、宝月の後ろに”相棒”―――レインボー・ドラゴンが現れる。
「レインボー・ドラゴン……」
レインボー・ドラゴンは”黒い何か”を睨み、唸り声を上げるといきなり食らい付き、それを飲み込む。
「レインボー・ドラゴン!? 何をするんだ! そんな事をしたら―――」
宝月の予想通り、レインボー・ドラゴンは苦しみ出すと、体が黒く染まり始める。
「馬鹿野郎! 何で…!?」
レインボー・ドラゴンは黒く染まりつつあったが、急にそれが止まり、逆に今度は元の様に白くなっていく。
完全に元に戻ると、レインボー・ドラゴンは光を放ち始める。
宝月は光によって直視出来なかったが、レインボー・ドラゴンの体が少しずつ消えていくのが分かった。
「レ、レインボー・ドラゴン!? 相棒―――」
眩い閃光が大穴全体を照らした。
宝月はようやく目を開けると、そこには虹色のガラスの様な箱に入れられた”黒い何か”があった。
「あ、ああ……」
宝月はその箱を拾い上げる。
何かを奪われる感覚は無い。
あるのは極小の”異様な気配”、そして”相棒”の静かな気配だけであった。
「……そうか、お前が……こいつを止めていてくれるんだな?」
宝月は決闘盤を見る。
”相棒”のカードは無くなっていた。
「……今までありがとう……必ず……必ず決着を付けてみせる……だから……見ていてくれよ」
宝月は悟る。
もう二度と”相棒”と一緒にデュエルが出来ない事を。
宝月は箱を抱え込み、”相棒との絆”を感じながら、静かに涙を流した。
今回の効果の変更点
・アドバンスド・ダーク
1、テキストの「宝玉獣」「究極宝玉神」の部分を「A宝玉獣」「究極宝玉神 レインボー・ダーク・ドラゴン」に変更。 OCG通りでやると宝月のまでダーク化しちゃうので。
今回の話はいろいろ疑問点があるかも知れませんが、それぞれ次回にて。
次回で解決されなければ多分作者のミスですのでどうぞご指摘くださいm(_ _)m
今回のオリカ
アニメGXより
・A宝玉獣
・E・フォース
アニメゼアルより
・罠蘇生