遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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*今回原作オリカを使用しています。 ご了承ください。


第53話 出会い ~赤いデュエル・ギャング~

現在  サテライト  B.A.D地区  宝月 仁の隠れ家

 

「グレイグさん、私は貴方に嘘をつきました……”相棒”のカードはもう存在しません……貴方に見せた”相棒”は只の絵、決闘盤にも反応しない”肖像画”なのです。 …私がこの様に老いても”相棒”の姿を忘れぬようにと……」

 

「…今更疑う事なんてありませんよ。 宝月さん、俺は信じていましたぜ!」

 

ここまでの話を聞き終えたグレイグは今まで見せた事の無い晴れやかな表情をし、興奮しながら宝月の手をとる。

こんなグレイグはマーシャル・レッドの3人も見た事がない。

 

「一部のくそったれな奴が貴方を嗤った事がありました……」

 

 

史上最高とか言われる決闘王がゼロ・リバースとは言え”事故”で死ぬなんてあっけないよな。

 

死んでねぇよ。

 

へぇ? なら逃げたんだ! もしかして決闘王を引退したのも怖気―――

 

 

「……その瞬間ぶっ飛ばしてやりましたよ、”そんな訳あるか!”って。 俺は信じてましたよ。 そして……それは間違いじゃなかった! 貴方は正しく”決闘王”だった! こんなに嬉しい事は無い!」

 

「……ありがとう」

 

思わず目に涙を溜めるグレイグ。

宝月は微笑みながらその手を握り返す。

 

「へぇ~、珍しいもん見ちまったな。 グレイグがここまで入れ込んでたなんてよ……あ、そうだ! 宝月さん、ちょっといいですか?」

 

鋼貴が宝月に向かって呼びかける。

 

「何かな?」

 

「宝月さんはその”大いなる力”とデュエルしたんすよね? …そん時は体は大丈夫だったんですか? 話を聞くと結構くらってたんで……」

 

「鋼貴!!!」

 

突然グレイグが振り返り、鋼貴に怒鳴りつける。

鋼貴もよく知るグレイグに戻っていた。

 

「うわっ! な、何だよ……」

 

「お前は今までの情報を聞いていたのか! お前だけ”情報整理ゲーム”やるか?」

 

「ええ!? ゆ、遊伸、解るか?」

 

鋼貴は遊伸に縋る様に助け舟を求めた。

 

「鋼貴、”大いなる力”が復活して、それを宝月さんと宝玉獣、そしてレインボー・ドラゴンが倒した事でまた”力”……”エネルギー”でしょうか?」

 

遊伸が宝月に確認をとる様に振り向くと、宝月は力強く頷く。

 

「”エネルギー”を失った……これは解るよね?」

 

「ああ、そりゃ解るよ」

 

「そして”大いなる力”は失った”エネルギー”の代わり……なのかな? その為に僕らの”デュエル・エナジー”を吸収していた……ですね?」

 

再び遊伸が確認の為に振り向くと、今度はフレデリックが頷く。

 

「そう! そうだよ! それのダメージ! 宝月さんは大丈夫だったのかよ?」

 

「成る程……鋼貴、心配するな。 俺達とは状況が違う」

 

高尾が納得したような顔をしながら鋼貴の肩を叩く。

 

「へ? 状況って……」

 

「復活してただろ? ”大いなる力”」

 

「もういらねぇよな、”エネルギー”」

 

冷次と燃次の横からの言葉に鋼貴はようやく気付く。

宝月が戦ったのは完全な状態の”大いなる力”。

既に”エネルギー”は必要無く、遊伸達の様に宝月から”デュエル・エナジー”を奪う必要が無かったのである。

鋼貴は顔を赤くして頭を抱える。

 

「…チクショ~、不覚だ! まさか冷次や燃次に遅れをとるとは…!」

 

「失礼な」

 

「俺達だって何時も驚いてる役な訳じゃないぞ!」

 

鋼貴の言い草に腹を立てる二人。

そんな様子を見ていた七海がふと空に目を向ける。

 

「…空?」

 

見ると空は俯いている。

泣くのを堪えている様に見えた。

遊伸達も空の様子に気付き振り向く。

遊伸が何事かと聞こうとした瞬間、空は顔を上げて宝月に尋ねる。

 

「宝月さん……レインボー・ドラゴンは何処へ行っちゃったの?」

 

「おいおい空、話聞いてたか? レインボー・ドラゴンは”大いなる力”を押さえる為に箱に……!」

 

この瞬間、鋼貴だけでなく、遊伸達も気付く。

自分達が”大いなる力”を前にした時、レインボー・ドラゴンの姿が無かった事を。

 

「(そ、そうだ……復活するはずが無い……レインボー・ドラゴンが押さえていたのだから……だけど、そのレインボー・ドラゴンがいなかった!?) 宝月さん! 一体何があったんです!?」

 

遊伸が宝月に問いかけると、宝月は溜息をついた後、遊伸達を真っ直ぐ見詰める。

 

「…皆さん、もう少しだけ私の話に付き合ってください……これから話すのはあの日から私が……いや、私達が歩んできた”長い道のり”です……」

 

 

……

…………

………………

……………………

 

あの後、シティからやって来た調査隊により保護され帰還した宝月は忙しかった。

まずは自身の存在の抹消。

 

「私を行方不明扱いにしてください……何があっても、私の存在を表に出さないように」

 

治安維持局に対して宝月はそう持ちかけた。

理由は一つ、今後縛られる事なく活動する為である。

自分は責任をとらなくてはならない、それは解っている。

だが今縛られる訳にはいかない、”相棒”が待っている、一刻も早く”大いなる力”を消滅させる方法を見つけたかった。

元々長官と宝月は親しく、長官の方は宝月を裏切った負い目があったので、この件を了承した。

 

次に元フォーチュンエリア、現B.A.D地区を封鎖し、自分以外の立ち入りを禁止にした。

これは長官に賄賂を渡し、認めさせた事である。

宝月には父から継いだ物、そしてプロ決闘者時代に稼いだ物を合わせた莫大な財産があった。

宝月はそれらの一部を賄賂として使ったのである。

誰にも邪魔されず、迷惑もかけず、因縁のあるこの地で”大いなる力の研究”がしたい、宝月はそう考えていた。

 

”大いなる力”を倒す為、未来を守る為、”相棒”を助ける為、宝月は研究に没頭した。

 

 

   ・

   ・

   ・

 

サテライト  B.A.D地区  宝月の研究所

 

それから40年後、宝月は未だに明確な解決法を見つける事が出来ないでいた。

時にはB.A.D地区を出て、”大いなる力”の情報を求めて世界の遺跡を回ったりもした。

天馬の身内と密かに取引して天馬の研究データを手に入れもした。

だが簡単にはいかない。

世界を回っても有益な情報は得られず、天馬の研究データにもそれらしい方法は記されていなかった。

 

「そりゃ消し去ろう何て考えるわけ無いか……必死で求めた物なんだからな」

 

宝月は研究所の一室でそう呟いた。

今年で66歳、もはや昔の様な体力は残されておらず、宝月の中で徐々に諦めの気持ちが現れる事が多くなってきていた。

 

「駄目だ! 諦めるな! ”相棒”はまだ戦っているんだぞ!」

 

そう言って自分を叱咤し、横に置かれた箱に目をやる。

中に”黒い何か”を閉じ込めた虹色に輝く箱。

時々夢を見てしまう、中の”大いなる力”が”相棒”を破り、再び復活を果たす―――そんな悪夢を。

 

「くそっ…!」

 

宝月は焦っていた。

40年かけても”大いなる力”を消滅させる方法を見つけられない事に、そして老いていく自分に。

 

「何て事だ……今になって”奴”の気持ちが解ってしまうなんて」

 

宝月は自嘲気味に呟く。

 

「……”相棒”、私はどうしたらいい?」

 

宝月が虹色の箱にそう呟いても、返事が返ってくる事はなかった。

 

 

* * *

 

サテライト  住居地

 

宝月は暗い気持ちを静める為、気晴らしにサテライトの街を歩いていた。

ゼロ・リバースから数年後、その災害によってシティから切り離された区域、”サテライト”にも人が住むようになったが、その大半が犯罪者や貧窮者である。

犯罪者や貧窮者はサテライトへ送られる、そんな階層社会がネオ童実野シティに出来上がってしまった。

30数年続いているそんな現状に心を痛める宝月。

 

「(…この世界を作ってしまったのは私だ……私は諦めてはいけない! 二度とこんな事を起こさせない為にも……止まる訳にはいかないのだ!)」

 

沈んだ気持ちを振り払い、決意を新たにした宝月は踵を返し、 B.A.D地区へと戻った。

 

 

* * *

 

 

サテライト  B.A.D地区境界  関所前

 

「!? どうした! 何があった!」

 

宝月が戻ると雇っていた門衛2人が関所の前で倒れていた。

宝月がその内の一人を助け起こして声を掛ける。

門衛が呻き声を上げながら意識を取り戻す。

 

「デュ、デュエルギャングが……数人……ここを通ろうとしたので……止めようとしたのですが……返り討ちに……」

 

「デュエルギャングが……ふん、この分厚い塀の向こうに宝でもあると思ったか」

 

宝月は高くて分厚いコンクリートの塀を見上げながら鼻で笑った。

 

「私が探してくる。 動けるようになったらセキュリティに連絡しておいてくれ」

 

「き、危険です! セキュリティをお待ちになったほうが……」

 

若い門衛達を容易く蹴散らすデュエルギャングを老人一人で捕まえに行くのはどう考えても無謀である。

門衛が宝月を引き止めたのもそう考えての事であったが、宝月は首を振る。

 

「心配するな、私とてここ(サテライト)にいて長い。 荒くれ者の相手は慣れている……秘密兵器もあるしな」

 

そう言って宝月はB.A.D地区へと入って行った。

宝月の胸中にある思いは一つ。

 

 

デュエル・ギャング―――久々にデュエルが出来そうだ。

 

 

使命を忘れた訳ではないが、やはり宝月は”決闘者”であった。

 

 

* * *

 

 

サテライト  B.A.D地区

 

「……まったく見つからないな。 意外と少人数なのか?」

 

「よお、そこの爺さん!」

 

探し回る事約1時間、宝月は一度足を休めようと腰を下ろす場所を探していると、突然後ろから声をかけられる。

宝月が振り向くと積まれた瓦礫の山の上から一人の少年が宝月を見下ろしていた。

少年は器用に瓦礫の山を下りて宝月の前に立つ。

年は15か16と言ったところ、何故か背中に赤いマントを身に付けている。

 

「あんたがここの持ち主か?」

 

「…そう言うお前はデュエル・ギャングか? 思っていたよりも若いな」

 

宝月は表情を変えずに少年を見据える。

少年は笑みを浮かべると大きな声で名乗りを上げる。

 

「俺をそこ等のデュエル・ギャングと一緒にするなよ! 俺はチーム”マーシャル・レッド”の切り込み隊長で”ディー”と呼ばれている。 覚えとけ!」

 

「マーシャル・レッド? ディー?」

 

聞き覚えの無い名前に首を傾げる宝月。

それを見た少年は短く笑い声を上げる。

 

「ハハ! 知らないのも無理は無いぜ! ”マーシャル・レッド”はシティのデュエル・ギャングだからな!」

 

「…なら何でここにいる?」

 

ここはサテライト、シティのデュエル・ギャングがいるはずが無い。

宝月は当然の疑問を投げかける。

 

「爺さんは知らないだろうけどな、俺達”マーシャル・レッド”はシティ制覇を成し遂げた強いチームなんだ! だから次はこのサテライト、って訳さ」

 

「そうか……私から言う事は一つ、自分達の自己満足の為に他人に迷惑を掛けるな。 シティもサテライトもお前達が好き勝手暴れ回っていい場所ではない」

 

宝月の顔に嫌悪感が浮かぶ。

デュエル・ギャングがサテライトに流れて来るのは珍しい事ではない。

宝月は何度もデュエル・ギャングを見てきた。

大抵はデュエルで弱者を甚振り、暴力を振るって物を奪う、ゴロツキと何ら変わりの無い連中、それが宝月にとってのデュエル・ギャングの印象であった。

宝月の言葉と表情に少年は困ったような顔をする。

 

「何か勘違いしてるな~…言ったろ? そこ等のデュエル・ギャングと一緒にするなよって。 俺達は他人に迷惑なんかかけてないよ、悪い事もしてない。 俺達はただ”一番”になりたいだけなんだ!」

 

そう言って少年は懐から一枚の紙を取り出して宝月に見せる。

どうやら地図のようだ。

シティからサテライトまで、ネオ童実野シティ全体が書かれた地図であった。

その地図を見渡すと、海とサテライトのある部分を除いて真っ赤に塗られていた。

 

「凄いだろ? この赤い部分にいたデュエル・ギャングは全部俺達が倒したんだ! 俺達はネオ童実野シティにあるデュエル・ギャングの一番になる為にな!」

 

「…ならここにはもう用は無いな。 この地区にはデュエル・ギャングはいない、ここ以外のデュエル・ギャングを全て倒したのならそれで終わりだ。 おめでとう」

 

「ところがそうじゃないんだよな。 まだここ、白いままだろ?」

 

少年は地図に書かれたサテライトの白い部分、 B.A.D地区を指差した。

 

「なら赤く塗ればいいじゃないか。 ここにいるデュエル・ギャングは君達だけだ」

 

「解ってないな~、俺達はデュエルに勝ってこの地図を塗りつぶしてきたんだ。 だったら最後だってデュエルに勝って塗りつぶしたいんだよ」

 

少年は宝月の顔に地図を近づけ、白いままのB.A.D地区を指で叩く。

宝月は深く溜息をつき、地図を軽く少年に押し返す。

 

「…さっき言っただろう? ここにデュエル・ギャングはいないと」

 

「爺さんの言う通り、デュエル・ギャングはいないかもしれない……でも”決闘者”はいる。 爺さん、あんたがそうだろ?」

 

少年は宝月の左腕の決闘盤を見る。

 

「俺とデュエルしてくれよ! ここは爺さんの土地で間違いないだろ? なら爺さんを倒してここを制覇する事にするぜ!」

 

宝月が少年の眼を見ると、その中に燃え上がる前の静かな闘志が見えた。

紛れも無い”決闘者”の眼であった。

それを見た宝月は胸に熱い”何か”が湧いてくるのを感じた。

 

「…君の言う通り、私も”決闘者”だ。 挑まれたデュエルは受ける。 だが幾つか聞かせてくれ」

 

「何さ?」

 

これからすぐにデュエルだと意気込んでいたのか、少年は不満気に答える。

 

「君は”決闘者”のようだが、嘘つきでもあるな。 君はさっき”他人に迷惑なんかかけてないよ、悪い事もしてない”、そう言ったな? だが君達はここの門衛を殴り、ここに侵入して私に迷惑をかけている。 これについてどう説明する?」

 

「う…」

 

少年は痛い所を突かれたように顔をしかめるが、すぐに表情を戻して答える。

 

「門衛については悪かったよ……何言っても通してくれなかったからさ、ちょっと頭に血が上って……で、でもそんなに殴ったりはしてなかっただろ? 一発お見舞いして眠らせただけさ!」

 

少年の言う通り、門衛達には目立つ外傷は見られなかった。

宝月は溜息をついて質問を続ける。

 

「(これも若さか…)では私に迷惑をかけたのは?」

 

「へへ! 言ったろ? ”他人に迷惑なんかかけてないよ”! ”決闘者”は皆兄弟でライバルさ! 他人じゃないぜ!」

 

少年は自信満々に、胸を張って答える。

宝月はその屁理屈に思わず噴出してしまう。

 

「ハハハ…! 面白い少年だ」

 

宝月はそう言って決闘盤を展開させると少年から距離を取る。

 

「俺の呼び名は”ディー”だ! 少年じゃないぜ!」

 

少年―――ディーも同じ様に決闘盤を展開し、構える。

 

「いくぜ爺さん!」

 

「来い!」

 

 

 

「「デュエル!!!」」

 

 

 

先攻 ディー

 

 

「俺のターン! ドロー!」

 

ディー 手札:5+1

 

「魔法カード《調律》を発動! デッキから《シンクロン》と名のついたチューナー1体を手札に加えてデッキをシャッフル! その後デッキの上からカードを1枚墓地へ送る! 俺は《ジャンク・シンクロン》を手札に!」

 

ディー 手札:5+1

墓地に送られたカード:リトルトルーパー

 

「(よし!)チューナーモンスター《ジャンク・シンクロン》を召喚!」

 

ディーの場に戦士に属する小柄なロボットが現れる。

凹みが見える鉄の帽子に白いマフラー、背中にはエンジンを背負っている。

 

ATK:1300

 

「ジャンク・シンクロンの効果発動! 召喚に成功した時、自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚出来る! 調律で墓地に送られたレベル1モンスター、《リトルトルーパー》を特殊召喚!」

 

ジャンク・シンクロンが右手を隣の場にかざすと、全身鎧を纏った小さいペガサスに跨った全身鎧の子供が現れる。

その手には赤い旗が握られている。

 

DEF:500

 

「自分の墓地に存在するモンスターの特殊召喚に成功した時、こいつを手札から特殊召喚する事が出来る! 来い! 《ドッペル・ウォリアー》!」

 

続けてディーの場にボウガンを持った黒い戦士が現れる。

 

ATK:800

 

「行くぜ! レベル2《ドッペル・ウォリアー》とレベル1《リトルトルーパー》にレベル3《ジャンク・シンクロン》をチューニング!」

 

ジャンク・シンクロンが背中のエンジンをかけると、自身を3つの光輪へと変える。

光輪はドッペル・ウォリアーとリトルトルーパーを囲み、2つと1つの光、そして光の柱へと変える。

 

「疾風の使者に鋼の願いが集う時……その願いは鉄壁の盾となる! 光さす道となれ! シンクロ召喚! 現れろ! 《ジャンク・ガードナー》!」

 

光の柱から現れたのは鋼鉄に覆われた緑の戦士。

両腕のプレートを体の前で合わせてシールドとし、不動の構えを見せる。

 

DEF:2600

 

「2600……硬いな」

 

”相棒”のいない宝月のデッキにとっては大きな壁である。

宝月が思考を巡らせている間にもディーはデュエルを進める。

 

「ドッペル・ウォリアーの効果発動! シンクロ召喚の素材として墓地へ送られた場合、自分の場に《ドッペル・トークン》2体を攻撃表示で特殊召喚する事が出来る!」

 

ディーの場に2体の小さなドッペル・ウォリアーが現れる。

 

ATK:400

ATK:400

 

「カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:8000

手札:3

モンスター

・ジャンク・ガードナー

・ドッペル・トークン

・ドッペル・トークン

魔法・罠

・セット

 

「私の……俺のターン! ドロー!」

 

宝月 手札:5+1

 

「速攻魔法《手札断殺》を発動! お互い手札を2枚墓地へ送り、2枚ドローする!」

 

宝月が墓地へ送ったカード

宝玉獣 コバルト・イーグル

E・フォース

 

宝月 手札:3+2

 

「へへ! 2枚な!」

 

ディーが墓地へ送ったカード

不死武士

一刀両断侍

 

ディー 手札:1+2

 

「(厄介なカードを送ったな……)《宝玉獣 サファイア・ペガサス》を召喚!」

 

宝月の場にサファイア・ペガサスが現れる。

翼のサファイアを光らせ、嘶きを上げて蹄を鳴らす。

 

ATK:1800

 

「サファイア・ペガサスの効果発動! 召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、自分の手札、デッキ、または墓地から《宝玉獣》1体を永続魔法扱いとして自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で置く事が出来る! デッキから《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》を置く! 《サファイア・コーリング》!」

 

サファイア・ペガサスが嘶き、両翼に埋め込まれたサファイアを光らせた後に蹄を鳴らすと、宝月の場にルビーの結晶が現れる。

《宝玉獣》を見てディーは首を傾げた。

 

「ん~? どっかで聞いた事があるような……」

 

「無理も無い、大昔のカードだからな。 だが決して楽に勝てる相手ではないぞ! バトル!」

 

宝月はディーの場を見渡す。

ジャンク・ガードナーは守備力は高いが攻撃力は1400、恐れる数値ではない。

そして攻撃力たったの400の無防備なドッペル・トークンが2体。

 

「(あの伏せカードは罠だろうが……何もしない訳にはいかん)サファイア・ペガサスでドッペル・トークンを攻撃! 《サファイア・トルネード》!」

 

サファイア・ペガサスがドッペル・トークンに向かって突風を起こそうとした瞬間、突然サファイア・ペガサスの動きが止まり、その場にしゃがみこんでしまう。

 

「どうしたサファイア・ペガサス……!」

 

その時、宝月はサファイア・ペガサスに向けられている威圧感に気付く。

 

「あのモンスターか…!」

 

宝月はディーの場でサファイア・ペガサスを威圧しているジャンク・ガードナーに目をやる。

 

「その通り! ジャンク・ガードナーは1ターンに1度、相手のモンスター1体の表示形式を変更する事が出来る! サファイア・ペガサスを守備表示に変更だ!」

 

「…このターンの攻撃は無理だな。 カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:8000

手札:3

モンスター

・宝玉獣 サファイア・ペガサス

魔法・罠

・宝玉獣 ルビー・カーバンクル

・セット

 

「俺のターン! ドロー!」

 

ディー 手札:3+1

 

「チューナーモンスター《復讐の女戦士ローズ》を召喚!」

 

ディーの場にローズが現れる。

ローズが座り込んでいるサファイア・ペガサスを睨み付けると、サファイア・ペガサスは竦み上がったように体を硬直させる。

 

ATK:1600

 

「レベル1《ドッペル・トークン》2体にレベル4《復讐の女戦士ローズ》をチューニング!」

 

ローズが自身を4つの光輪へと変えると、ドッペル・トークン達を囲み、2つの光、そして光の柱へと変える。

 

「正義の使者に鋼の願いが集う時……その願いは鉄腕の拳となる! 光さす道となれ! シンクロ召喚! 現れろ! 《マイティ・ウォリアー》!」

 

光の柱から現れたのは逞しい青い戦士。

鋼鉄で出来た機械の右腕を振り上げ、そのまま大地に撃ち付ける。

 

ATK:2200

 

「新しいシンクロモンスターか……」

 

「呑気に見てる場合じゃないぜ! ジャンク・ガードナーを攻撃表示に変更!」

 

ATK:1400

 

「そして効果発動! サファイア・ペガサスを攻撃表示に!」

 

ジャンク・ガードナーが守りの構えを解くとそのまま跳び上がり、地響きを鳴らすと、座り込んでいたサファイア・ペガサスは驚いて立ち上がる。

 

ATK:1800

 

「バトル! マイティ・ウォリアーでサファイア・ペガサスを攻撃! 《マイティ・ナックル》!」

 

マイティ・ウォリアーが鋼鉄の右腕を振り上げ、サファイア・ペガサス目掛けて振り下ろすと、サファイア・ペガサスは粉砕され粒子となった後、サファイアの結晶となる。

 

「ぬう…! サファイア・ペガサス……」

 

宝月 LP:8000→7600

 

「まだ終わりじゃないぜ! マイティ・ウォリアーの効果発動! 戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える! 《ロケット・ナックル》!」

 

マイティ・ウォリアーは素早く拳を振り上げ、宝月を撃ち付ける。

宝月はそれを防ぐ様に、両腕で顔を覆う様にして構える。

 

「ぐお…!」

 

宝月 LP:7600→6700

 

「どうした爺さん? やられっぱなしじゃないか! このまま押し切っちまうぞ! ジャンク・ガードナーで攻撃! 《スクラップ・スタンプ》!」

 

ジャンク・ガードナーが宝月を踏み潰そうと高く跳躍する。

宝月は両腕を下ろし、顔を上げる。

その顔には笑みが浮かんでいた。

 

「確かに……このままやられてやる訳にはいかんな! 罠カード《G・フォース》を発動! 自分の手札から《宝玉獣》1体を表側攻撃表示で自分の場に特殊召喚する! 来い! 《宝玉獣 トパーズ・タイガー》!」

 

宝月が軽く後方へ下がると、宝月がいた位置にトパーズの結晶が現れ、砕け散ると中からトパーズ・タイガーが現れる。

 

ATK:1600

 

「げ! 攻撃を―――」

 

「そうはいかん! 《G・フォース》は特殊召喚された《宝玉獣》と攻撃モンスターを強制戦闘させる! 行け! トパーズ・タイガー!」

 

トパーズ・タイガーは落下してきたジャンク・ガードナーを軽くかわすとすぐさま跳びかかり、ジャンク・ガードナーの喉元に食らいつく。

何かが砕ける音が鳴り、トパーズ・タイガーが離れるとジャンク・ガードナーは仰向けに倒れ消滅する。

 

「ジャ、ジャンク・ガードナー……」

 

ディー LP:8000→7800

 

ジャンク・ガードナーが消滅すると同時に、トパーズ・タイガーもその姿を消す。

 

「《G・フォース》の効果により、特殊召喚された《宝玉獣》はダメージステップ終了時に手札へと戻る……」

 

「くそう……ターンエンド」

 

LP:8000

手札:3

モンスター

・マイティ・ウォリアー

魔法・罠

・セット

 

「俺のターン! ドロー!」

 

宝月 手札:3+1

 

「再び《宝玉獣 トパーズ・タイガー》を召喚!」

 

宝月の場に、再び結晶を砕いて現れたトパーズ・タイガー。

反撃の狼煙と言わんばかりの咆哮を上げる。

 

ATK:1600

 

「装備魔法《宝玉の解放》をトパーズ・タイガーに装備! トパーズ・タイガーの攻撃力を800ポイントアップさせる!」

 

トパーズ・タイガーの首に埋め込まれたトパーズが眩い程の光を放つ。

 

ATK:1600→2400

 

「!? マイティ・ウォリアーの攻撃力を上回った……」

 

「バトル! トパーズ・タイガーでマイティ・ウォリアーを攻撃! 《トパーズ・バイト》!」

 

トパーズ・タイガーはジャンク・ガードナーと同様にマイティ・ウォリアーの喉元に食らいつく。

 

「トパーズ・タイガーはモンスターへの攻撃時、ダメージステップの間だけ攻撃力を400ポイントアップする!」

 

ATK:2400→2800

 

トパーズ・タイガーはさらに牙を食い込ませると、マイティ・ウォリアーは叫びを上げて倒れ、消滅する。

 

「く、くそう……」

 

ディー LP:7800→7200

 

これでターンエンド! …少年よ、俺を侮ったな? 鋼鉄の拳で敵を撃ち、鋼鉄の盾で身を守る……それが君の戦術だったはずだ」

 

LP:6700

手札:2

モンスター

・宝玉獣 トパーズ・タイガー

魔法・罠

・宝玉獣 ルビー・カーバンクル

・宝玉獣 サファイア・ペガサス

・宝玉の解放

 

「マイティ・ウォリアーは強力な追撃能力を持つ……だがその攻撃力は決して高くない。 それをカバーするのがジャンク・ガードナーであったはずだ。 だが君は俺を侮り、守りを捨てた……そのおかげで易々と君の布陣を破る事が出来た訳だが……」

 

ディーはハッと気付いたような表情をした後、顔を顰め、俯く。

実質デュエル・ギャングの頂点に立っていた事、そしてさっきまでデュエルの流れが完全に自分にあった事、これらによって自分の中で”慢心”が生まれていた事に、ディーは気付いたのである。

 

「いい腕前だ。 ネオ童実野シティを制覇をしたのも頷ける。 だが……”決闘者”としてはまだまだだったな」

 

宝月の言葉に、ディーは俯いたまま目を閉じる。

暫くしてディーは顔を上げる。

その表情に陰りは無い。

 

「…爺さんの言う通りだ……俺、完全制覇を前にして天狗になってたよ……へへ! 何だ! そんなに大した事じゃなかったな」

 

ディーは納得した様に頷く。

 

「デュエル・ギャングの頂点なんてよ……俺は全然低い所にいたんだな、あんたとデュエルして解ったよ……上には上がいる」

 

「それが解ったのは大きな一歩だ。 まだまだ長いぞ、この”道”は……」

 

二人は顔を合わせ、笑い合うとディーがデッキトップに指を掛ける。

 

「爺さん! あんたはやっぱり只の決闘者じゃなかったな! それもデュエルに生きている本物の”決闘者”だ!」

 

「……昔はともかく、残念ながら今はそうではない」

 

宝月は寂しそうに言うと、ディーは大声で笑う。

 

「ハハハ! あんたも俺の事言えないじゃないか! 嘘つくなよ! あんたは絶対にデュエルに生きてる! だって―――」

 

ディーは笑いを収めずに宝月の顔を指差す。

 

「最初に見た時よりもあんた、若返って見えるぜ! もうこれ完全にデュエルで生きてるって!」

 

宝月は驚いた表情を見せた後、笑みを浮かべる。

 

「…そうだな。 感じる、実感出来る。 俺は……デュエルで生きている!」

 

「そうこなくっちゃ! 行くぜ! 俺のターン! ドロー!」

 

ディー 手札:3+1

 

「俺の全身全霊を見せてやる! まずはスタンバイフェイズ! 自分の場にモンスターが存在せず、墓地にも戦士族以外のモンスターが存在しない場合、墓地の《不死武士》を特殊召喚出来る!」

 

ディーの場の地面から恐ろしげな落武者が這い出してくる。

条件さえ揃えば何度でも復活する戦士、不死武士である。

 

ATK:1200

 

「魔法カード《貪欲な壺》を発動! 墓地からモンスター5体をデッキに戻してシャッフル! そして2枚ドロー!」

 

デッキに戻したカード

ジャンク・シンクロン

リトルトルーパー

一刀両断侍

復讐の女戦士ローズ

マイティ・ウォリアー

 

手札:3+2

 

「永続罠《ウィキッド・リボーン》を発動! 800LPを払う事で自分の墓地のシンクロモンスター1体を攻撃表示、効果無効、そして攻撃不可にして特殊召喚する! 来い! 《ジャンク・ガードナー》!」

 

ディー LP:7200→6400

 

ディーの場に再びジャンク・ガードナーが現れる。

最初に現れた時とは違い、堂々とした姿勢で胸を張る。

 

ATK:1400

 

「チューナーモンスター《トラパート》を召喚!」

 

続けて戦士族専用チューナー、トラパートが現れる。

 

ATK:600

 

「レベル6《ジャンク・ガードナー》に、レベル2《トラパート》をチューニング!」

 

トラパートが自身を2つの光輪に変えると、ジャンク・ガードナーを囲み、6つの光、そして光の柱へと変える。

 

「集いし心が、更なる響きを轟かす! シンクロ召喚! 打ち砕け! 《ギガンテック・ファイター》!」

 

光の柱から現れたのはギガンテック・ファイター。

場に降り立つと右拳を地面に叩き込み、衝撃波を発生させる。

 

ATK:2800

 

「おお……懐かしいな。 何十年経とうとギガンテック・ファイターは健在か」

 

宝月はギガンテック・ファイターを見て目を細める。

シンクロモンスター最初期の時代を生きた宝月にとっては馴染み深いモンスターであった。

 

「知ってるなら話は早いな! ギガンテック・ファイターの効果により墓地の戦士の数だけ攻撃力を100ポイントアップさせる! 俺の墓地の戦士は3体、よって300ポイントアップだ!」

 

ATK:2800→3100

 

「さらに魔法カード《二重召喚》を発動! 俺はもう一度通常召喚を行う! 《復讐の女戦士ローズ》召喚!」

 

来伸の場に再びローズが現れる。

 

ATK:1600

 

「もう一押し! レベル3《不死武士》に、レベル4《復讐の女戦士ローズ》をチューニング!」

 

ローズが自身を4つの光輪に変えると、不死武士を囲み、3つの光、そして光の柱へと変える。

 

「強き思いの閃光が、戦場に轟く迅雷となる! 光さす道となれ! シンクロ召喚! 現れろ! 《ライトニング・ウォリアー》!」

 

光の柱から現れたのは、赤いマフラーに腰巻、そして白い鎧を纏った戦士。

場に降りると、雷の様な猛々しい髪を逆立て、全身から電気を発する。

 

ATK:2400

 

ギガンテック・ファイター ATK:3100→3300

 

 

「さらに永続魔法《一族の結束》を発動! 自分の墓地に存在するモンスターの元々の種族が1種類のみの場合、自分の場に存在するその種族のモンスターの攻撃力は800ポイントアップする! 俺の墓地には戦士族のみ! よって俺の場の戦士族の攻撃力を800ポイントアップさせる!」

 

ギガンテック・ファイター ATK:3300→4100

ライトニング・ウォリアー   ATK:2400→3200

 

「これが……君の本気か!」

 

目の前の強大なモンスターと対峙しているのにも関わらず、宝月の表情は明るい。

 

「ああ! 行くぞ爺さん! ”決闘者”として勝負だ! ギガンテック・ファイターで攻撃! 《ギガンテック・フィスト》!」

 

ギガンテック・ファイターが拳を振り上げ、トパーズ・タイガーを叩き潰して破壊すると、トパーズ・タイガーはトパーズの結晶となる。

 

「うお…! …トパーズ・タイガーに装備されていた《宝玉の解放》の効果発動! デッキから《宝玉獣》1体を魔法・罠ゾーンに置く……《宝玉獣 アンバー・マンモス》を魔法・罠ゾーンに」

 

宝月の場から眩い光が放たれると、その場にアンバーの結晶が現れる。

 

宝月 LP:6700→5000

 

「ライトニング・ウォリアー! 《ライトニング・パニッシャー》!」

 

続けてライトニング・ウォリアーが腕に電気を纏い、それを宝月に撃ちつける。

 

「ぐう……!」

 

宝月 LP:5000→1800

 

「これでターンエンド!」

 

LP:6400

手札:1

モンスター

・ギガンテック・ファイター

・ライトニング・ウォリアー

魔法・罠

・ウィキッド・リボーン

・一族の結束

 

 

「どうだ爺さん! これが俺のデュエルだ!」

 

そう言ったディーに対して、宝月は微笑を向ける。

 

「ああ、最高だ。 こんなデュエルは何十年ぶりだろうな……君は”決闘者”の心を持っている。 それを磨き、そして忘れずに走り続ければ、何れは”決闘王をも越える決闘者”になれるはずだ」

 

「な、何だよ急に持ち上げて……」

 

宝月の唐突な称賛にはディーははにかんだ様に頭を掻く。

 

「だが勝負は譲らんぞ! 俺のターン! ドロー!」

 

宝月 手札:2+1

 

「そうだ爺さん! 来い!」

 

ディーの心に”慢心”は既に無い。

あるのは宝月という”決闘者”とデュエル出来た事への喜びと、宝月に勝ちたいと言う思いだけであった。

ディーの場には攻撃力3000を越す強大なシンクロモンスターが2体、その内の1体は戦闘破壊に強いギガンテック・ファイター。

ディーの思いにデッキは十分に答えたと言ってもいいだろう。

だがそれは―――宝月も同じであった。

 

「魔法・罠ゾーンにある4体の《宝玉獣》を墓地に送り、魔法カード《宝玉の氾濫》を発動! 場のカードを全て墓地に送る!」

 

宝月の場にあった4つの結晶が一斉に光を放つと、その光は場を縦横無尽に駆け巡る。

 

「うわっ!?」

 

ディーは思わず目を閉じて両腕で顔を覆う。

光が消えたのを感じて顔を上げると、自分の場のカードが全て消えていた。

 

「そ、そんな……俺のカードが……」

 

「そしてこの効果で墓地に送った相手のカード1枚につき自分の墓地から《宝玉獣》を1体特殊召喚する事が出来る! 墓地に送ったカードは4枚! 4体の《宝玉獣》を特殊召喚する!」

 

宝月は順に宝玉獣達の名前を呼ぶと、それに答えるように宝玉獣達が姿を現す。

 

宝玉獣 サファイア・ペガサス ATK:1800

宝玉獣 トパーズ・タイガー   ATK:1600

宝玉獣 アンバー・マンモス  ATK:1700

宝玉獣 コバルト・イーグル   ATK:1400

 

「マジかよ……」

 

あまりの事に呆然とするディー。

一瞬で状況がひっくり返ってしまったのだから無理も無い。

 

「サファイア・ペガサスの効果発動! デッキから《宝玉獣 アメジスト・キャット》を魔法・罠ゾーンへと置く! 《サファイア・コーリング》!」

 

《サファイア・コーリング》により宝月の場にアメジストの結晶が現れる。

 

「バトル! 《宝玉獣》で一斉攻撃だ!」

 

宝玉獣がディーに向かって襲い掛かると、宝玉獣達の前に突然ロボットが現れて動きを阻む。

頭部に大きな両腕が取り付けられた様な外見であり、どう見てもロボットなのだが戦士族なのである。

 

「負けて堪るか! 相手の直接攻撃宣言時、《ジャンク・ディフェンダー》を手札から特殊召喚する事が出来る!」

 

DEF:1800

 

「何!? …だが破れない壁じゃない! 行け! サファイア・ペガサス! 《サファイア・トルネード》!」

 

サファイア・ペガサスがジャンク・ディフェンダー目掛けて突風を起こす。

 

「(同じ数値……何か手があるのか!?)ジャンク・ディフェンダー効果発動! エンドフェイズまで守備力を300ポイントアップする!」

 

ジャンク・ディフェンダーは両腕を体の前で重ね合わせ、防御体勢をとると、突風を正面から受け止める。

 

DEF:1800→2100

 

「ならばこちらも! ダメージステップ時に速攻魔法《M・フォース》を発動! 《宝玉獣》1体の攻撃力をエンド・フェイズまで500ポイントアップし、守備モンスターを攻撃した時、その攻撃力が守備力を超えていれば その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える! サファイア・ペガサスを選択!」

 

ATK:1800→2300

 

サファイア・ペガサスのサファイアが一層輝くと、サファイア・ペガサスはさらにもう一度突風を起こす。

ジャンク・ディフェンダーは受けきれず、吹き飛ばされ、突風の余波がディーを襲う。

 

「ぐうぅ……!」

 

ディー LP:6400→6200

 

「これで壁は無くなった! 一斉攻撃!」

 

サファイア・ペガサスの後ろに控えていた宝玉獣達が再びディーに襲い掛かる。

 

「うわぁ!!!」

 

ディー LP:6200→4500→2900→1500

 

「ターンエンド……《宝玉の氾濫》を耐え切ったのは君が初めてだ」

 

宝月は驚きの表情でディーを見ていた。

 

LP:1800

手札:1

モンスター

・宝玉獣 サファイア・ペガサス

・宝玉獣 トパーズ・タイガー

・宝玉獣 アンバー・マンモス

・宝玉獣 コバルト・イーグル

魔法・罠

・宝玉獣 アメジスト・キャット

 

「へへ……そして勝つのも俺だぜ! 俺のターン! ドロー!」

 

ディー 手札:0+1

 

「スタンバイフェイズに墓地から《不死武士》を特殊召喚!」

 

ディーの場に再び不死武士が地の底から這い出てくる。

 

ATK:1200

 

「チューナーモンスター《共闘するランドスターの剣士》を召喚!」

 

ディーの場に剣と盾を持った小さな妖精剣士が現れる。

現れた瞬間は不安そうな表情を浮かべていたが、隣に不死武士がいるのに気付くと不安が消え、自信に満ちた顔を見せる。

 

ATK:500

 

「こいつで勝負を決める! レベル3《不死武士》に、レベル3《共闘するランドスターの剣士》をチューニング!」

 

共闘するランドスターの剣士が自身を3つの光輪に変えると、不死武士を囲み、3つの光、そして光の柱へと変える。

 

「事象の地平より推参せよ! 重力の闘士! 《グラヴィティ・ウォリアー》!!!」

 

光の柱から現れたのは獣の姿をした機械の戦士。

眼を光らせ、咆哮を上げると宝玉獣達は何かに押さえつけられたように動かなくなる。

 

ATK:2100

 

「ここで新しいシンクロモンスターだと…!?」

 

「そうだ! そしてこいつが勝利の道を拓く!  グラヴィティ・ウォリアーの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、攻撃力を相手の表側表示モンスターの数×300ポイントアップする! 爺さんの場に4体! よって1200ポイントアップ! 《蛮勇引力(パワー・グラヴィテーション)》!!!」

 

グラヴィティ・ウォリアーが再び咆哮を上げると、宝玉獣達はさらに強く押さえつけられる。

コバルト・イーグルは地面に落ち、アンバー・マンモスに至っては足場を陥没させている程だ。

 

ATK:2100→3300

 

「攻撃力3300…!?」

 

「爺さん! 俺の勝ちだ! グラヴィティ・ウォリアーでコバルト・イーグルを攻撃! 《超重力十字爪(グランド・クロス)》!!!」

 

グラヴィティ・ウォリアーがコバルト・イーグルに跳び掛かる。

LP:1800の宝月がこの攻撃を受ければLPは0となってしまう。

 

「させん! アンバー・マンモスの効果発動! 《宝玉獣》が攻撃対象となった時、攻撃対象をアンバー・マンモスへと変更する!」

 

アンバー・マンモスがコバルト・イーグルを庇う様に前に出ると、グラヴィティ・ウォリアーはアンバー・マンモスを大きく鋭い爪で十字に切り裂き、切り裂かれたアンバー・マンモスはアンバーの結晶となる。

 

「うおお!!!」

 

宝月:1800→200

 

「し、凌がれた……ターンエンド!」

 

LP:1500

手札:0

モンスター

・グラヴィティ・ウォリアー

魔法・罠

・無し

 

「(ここまで追い込まれるとは……私も老いたか? …いや、あの少年を褒めるべきだ)」

 

宝月はディーの眼を見る。

お互いにギリギリの状態、だがディーの眼に焦りは無い。

その眼はあと一歩の所にある勝利を見据えている。

 

「(この少年は間違いなく、デュエル・モンスターズ界の”道”を先導して走る”決闘者”になる……そんな決闘者とデュエルが出来て本当によかった……だけど)」

 

宝月は自分の場の宝玉獣達に眼をやり、次に決闘盤越しに墓地にいるルビー・カーバンクルを、その次に手札にあるエメラルド・タートルを見る。

 

「(宝玉獣達よ……俺達の時代は終わったのかもしれない。 だけどそれじゃあ悔しいよな? 勝ちたいよな? ”相棒”がいなければ勝てないなんて無いよな?)」

 

宝月は宝玉獣達、そして自分に問いかけるように内心で呟く。

 

「(勝ちたいね! 負けたくないさ! 行くぞ皆!)」

 

宝月は眼を見開くと、デッキトップに指を掛ける。

 

「まだ負けん! 俺のターン! ドロー!!!」

 

宝月 手札:1+1

 

その瞬間、宝月の頭上で輝きを放つ3つのアルファベットが浮かんでいた。

 

「な、何だ? ジー、イー…エム?」

 

「墓地にある《G・フォース》、《E・フォース》、《Mフォース》、この3枚のカードを除外して魔法カード《GEM(ジェム)バースト》を発動! 効果により手札から《宝玉獣》を可能な限り魔法・罠ゾーンへと置く! 手札から《宝玉獣 エメラルド・タートル》を置く!」

 

宝月の場にエメラルドの結晶が置かれると、宝月の場にある結晶が一斉に光り始める。

 

「そして魔法・罠ゾーンの《宝玉獣》1体につき500ポイントのダメージを相手に与える! 置かれた魔法・罠ゾーンの《宝玉獣》は3体! よって1500ポイントのダメージを与える! 行け! 《GEMバースト》!!!」

 

結晶から光が矢の様に飛び出し、ディーを貫く。

 

「うわあああ!!!」

 

ディー LP:1500→0

 

 

ソリッドビジョンが消え、デュエル終了のアラームが鳴った。

ディーはその場で倒れてしまっている。

 

「何故”拘束装置”が!? 誤作動か!?」

 

宝月は急いでディーの元に走り寄る。

 

「大丈夫か!?」

 

「いてて…! な、何だ今の……」

 

ディーは顔を顰めながら決闘盤を見る。

 

「出力が低目になっていたとは言えよく意識を保ったな……大した物だ」

 

宝月が言っていた秘密兵器―――”拘束装置”はこの時代に発明されていた。

もっとも、現在程の性能ではなく、問題点も多かった。

後に改良され、一般に普及される事となる。

 

「こ、これやったの爺さんか…?」

 

「すまないな。 こういう物を持っていなければならないほどここ(サテライト)は物騒でね」

 

宝月はそう言って倒れているディーに右手を差し出す。

 

「楽しいデュエルだった、ありがとう」

 

「…こっちこそ! 負けたっていうのに、これ以上無いくらい楽しかったぜ! 今度は俺が勝つからな!」

 

そう言ってディーが宝月の腕を掴もうとした時、突然瓦礫の山の上から声が聞こえてきた。

 

「来伸! 大丈夫か!」

 

宝月とディーが瓦礫の山を見上げると、そこには赤いスカーフを首に巻いた青年が立っていた。

名前を呼ばれたディー―――来伸はその声の主に声を掛ける。

 

 

「大地さん! 何処行ってたんだ?」

 

 




投稿ペースがどんどん遅くなってきていますねOTL
頑張ります。

今回のオリカ
アニメGXより
・G・フォース
・E・フォース
・M・フォース
・GEMバースト
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