遊戯王~Truth of Satellite~ 作:鬼柳高原
「……テオドール……どうしてお前がここに!?」
「そうだぜ! 来れるはずがねぇ! 城からここまではメチャクチャ遠いし、ここの入り口は見つからない様になってるし……そもそもお前は逃げられない様に柱に括りつけておいたはずだぞ! どうやって抜け出しやがった!」
遊伸と鋼貴が問いかけるが、テオドールは不敵な笑みを浮かべたまま何も答えない。
「ち、違う!?」
「わっ!? どうしたんだよ宝月さん!」
宝月の突然な叫びに、鋼貴が驚いて飛び退く。
見ると宝月の顔は驚愕に染まっていた。
「お前は……お前はテオドールではない…ッ!」
「ええ!? どこからどう見てもテオドールじゃんか? 信じられないのは解るけどよ……!?」
鋼貴がまじまじとテオドールを見ていると、突然”異様な不快感”を感じる。
鋼貴だけではない、ここにいる全ての人間が、目の前の男に戦慄を覚える。
そして次の男の発言により、その正体を確信する。
「70年ぶりだな、”遊戯王”……」
「”戦いの覇者”……ッ!」
世の中何が起こるか分からない、それがほんの先の未来でも。
誰もが思いもしなかった―――既に”大いなる力”が、”戦いの覇者”が復活していたなどと。
「何でだ! 阻止したはずなのに! まだ”エネルギー”が足りないはずなのに!」
遊伸の叫びに、”戦いの覇者”は自分を―――テオドールを指差す。
「お前達が上質なエネルギー源を我の側に置いていったではないか? …流石は”王”を名乗るだけの事はある。 不足したエネルギーを補うには十分すぎる”デュエル・エナジー”だ」
「天馬会長から体を奪ったように、テオドールからも奪ったのか……」
「その通りだ”遊戯王”。 この男は完全に我が取り込み、我の”力”の一部と化した。 つまり、この男は死んだ。 …もう一度拍手を送ろう。 敗者に生は無い、第3の試練、お前達の完全勝利だ」
”戦いの覇者”は掌を打ち、高らかに笑う。
テオドールとまったく同じ顔と声で―――
「ちょっと待て! お前今第3の試練っつったか? ついさっき復活した奴が何で”試練”を知ってやがる! …いや、ちげぇな、”何時から起きて”やがった?」
グレイグが”戦いの覇者”に問いかけと、”戦いの覇者”は鼻で笑って答える。
「最初からだ。 ”遊戯王”に敗れたあの時から、我には意識があった」
「何だと…!?」
”永遠の力”となった”戦いの覇者”。
自由は無くとも、70年間、あの姿で”生きて”いたのだ。
「テオドール・ハイドフェルド……我に利用されていた事にも気付かない、強欲で、愚かで、我が”力”を求め続けた”道化の王”……我に”力”を与える事だけに存在した哀れな人間だ。 そして、お前達もだ」
”戦いの覇者”は遊伸達一人一人を見渡し、話始める。
70年前、”戦いの覇者”は宝月に敗れた。
だが”戦いの覇者”は消えなかった。
”力”だけの存在となった”戦いの覇者”に、”死”は無かったのだ。
「我は待つ事にした。 何れ訪れる復活の日を。 ”遊戯王”を打倒し、再び世を支配する日を! …だが我も馬鹿ではない。 このまま復活を果たしたところで、”遊戯王”を倒す事など出来ぬ」
”戦いの覇者”は考えた。
どうすれば宝月以上の”力”を得る事が出来るか―――
「…簡単な事だ。 今までもそうしてきた」
単純にして明快、誰もが出来る当たり前の能力―――”学習”。
「……誰もが持つ基本にして最大の能力、”学習”……我の”力”も元はそれを突き詰めたものだからな」
言われてみれば、”大いなる力”は相手の能力を模倣し、さらに強力にして自分の”力”とするもの―――正に”学習”そのものである。
「我は現在の戦いを知る為に、そして復活の為の糧を集める為に、虹の竜の呪縛から逃れし時に7つの分身を放った」
”戦いの覇者”は12年間、あらゆる事を学んだ。
ファントム・オブ・カオスを通じ、時には見て、時には実際に動かし、現在の進化したデュエルを研究し続けた。
「そして今! 新たな”知識”と最強の”力”が我が下に揃った! 今こそが逆襲の時! …だが」
”戦いの覇者”は椅子に座っている老いた”遊戯王”に眼をやる。
「悲しいものだな、宝月 仁。 今のお前では以前の我にすら及ばん」
「…老いて衰えようとも、私は戦う…!」
宝月は椅子から立ち上がり、傍らの決闘盤に手を伸ばすが、体勢が崩れてよろけてしまう。
「もういい、お前の時代は終わったのだ……安心しろ、既に新たな”遊戯王”がここにいる」
そう言って”戦いの覇者”が指差した人物は―――近衛 遊伸。
「…ぼ、僕が……”遊戯王”……」
「そうだ、この12年間であらゆるデュエルを見てきたが、特にお前達のデュエルは興味深かったぞ。 おかげで我の”デッキ”も完成した」
突然上から大量のカードが現れて舞い落ち、”戦いの覇者”の手にデッキとなって収まる。
「そしてその中でも偉才を放っていた近衛 遊伸、お前の成長の速さには我も驚かされた。 たった数日でこの男を上回ってしまう程なのだからな」
”戦いの覇者”は自分の―――テオドールの体を撫でる。
「近衛 遊伸、お前こそが次の”遊戯王”だ。 我と世界を賭けた戦いをしようではないか!」
その瞬間、”戦いの覇者”の姿が消え、遊伸達の頭に声が響く。
70年前の決戦の地、”モーメント跡地”で待っているぞ。
声が聞こえなくなると、暫くの間、部屋が静寂に包まれる。
七海は自分の懐にある黒いガラスカースを取り出す。
「何時の間に……」
その中の”ファントム・オブ・カオス”は既に無くなっていた。
遊伸は目を閉じて考える様にしていたが、やがて目を開け、全員に呼びかける。
「皆さん! 僕は……”戦いの覇者”と戦います!」
「…ああ! 遊伸に売られた喧嘩だし、どの道一番強いのは遊伸だしな!」
「でも鋼貴、お姉ちゃんだってテオドールより強いよ?」
「いいのよ空、テオドールには勝てるかもしれないけど、私じゃ”大いなる力”には勝てないわ。 …遊伸君」
七海は自分のデッキからカードを1枚取り出し、遊伸に渡す。
「七海さん、これって……”バスター・モード”……」
「元々は”スターダスト”の為の物よ、そして―――」
七海が眼で促すと、今度はフレデリックが遊伸に歩み寄り、カードを渡す。
そのカードには青い鎧を纏ったスターダスト・ドラゴンが描かれていた。
「…遅くなって申し訳ありませんでした。 これが最後の”スターダスト”です」
「これが……ありがとうございます!」
遊伸が二人に対して頭を下げると、二人は遊伸に宝月の前に行くように眼で促す。
遊伸が宝月の前まで行くと、宝月も1枚のカードを持っている。
「遊伸、これを……」
「これは……”白いカード”!?」
宝月から手渡されたのは、来伸が最後に創り上げたフレームだけの白いカード。
「…来伸は何時も考えていた。 ”大いなる力”に対抗するにはどうすればいいのか……一つが同じ”模倣”と”強化”で挑むこと。 ”セイヴァー”や”バスター”、試作品のドラゴエクィテスがそれにあたる……そして、もう一つの考え―――」
宝月は白いカードを見詰める。
その眼には限りない”希望”が映っている様に見えた。
「それは”模倣”するのではなく、”創造する力”……”大いなる力”が持たない”新たな力”……このカードは七海にも、フレデリックにも……私にも扱う事が出来なかった」
宝月は真っ直ぐな眼で遊伸を見詰める。
「奴が君を”遊戯王”に指名したのも、きっと君には”何か”があるからだ。 …君なら、きっと来伸の思いに応えることが出来る! 頼んだぞ、遊伸……」
「……はい! …皆!」
遊伸は再び皆に声をかける。
するとおもむろに自分の決闘盤からデッキを取り出し、前に掲げる。
「皆さんにお願いがあるんです! 僕と……僕と一緒にデッキを組んで欲しいんです!」
遊伸の言葉に皆が驚く。
「お、おい遊伸、いいのかよ? この土壇場でデッキを組み直すなんて!」
「いいんだ……鋼貴、僕はこのままじゃ”戦いの覇者”には勝てないと思っている」
「そ、そんな弱気なんてらしくないぞ! 熱くいこうぜ!」
燃次が不安げな表情で遊伸を励ます。
遊伸は笑って燃次の肩を叩く。
「弱気になんかなってないよ。 ただ、僕だけじゃ勝てないんだ」
「……そのココロは?」
冷次が首を傾げて尋ねると、遊伸は足元の床を軽く払い、腰を下ろしてから答える。
「”戦いの覇者”はとても”強い力”を持っています。 だけど持っていない”力”もある……宝月さんや父さんが、そして僕も信じている力……”絆”です」
遊伸は自分の懐からお手製のデュエルシートを取り出すと、床に敷く。
「僕が勝つには”戦いの覇者”が持たない”力”で対抗するしかありません! だから皆さん……僕に”力”を貸して下さい!」
「…いいのか? こだわりのデッキを俺達が弄っちまって?」
「いいんですグレイグさん! 皆で作る事、それが今の”こだわり”です! …だから皆さん! お願いします!」
遊伸はそう言うと、自分のデッキをシートの上に広げ、再び皆に頭を下げる。
「おう! 任せろ! 最強のデッキにしようぜ!」
「俺達の”信念”……”絆”を見せてやろう!」
鋼貴と高尾が並んで座り込む。
「お姉ちゃん!」
「ええ……お邪魔するわね、遊伸君」
続けて空と七海。
「俺達じゃタッグのデッキにならないか?」
「いいんだよ! その為に皆で作るんだろ!」
冷次、燃次。
この7人で円陣ができる。
「遊伸、俺はデッキ作りには少々うるさいぞ?」
「おいおい、手持ちのカードだけで大丈夫なのか?」
円陣の後ろに鋼牙とグレイグが立つ。
「…フレデリック…っと、仕事が速いな」
「皆さん、この隠れ家には大量のカードが保管してあります。 これからどんどん持ってくるので、自由に使ってください」
カードが足りなさそうなのを見た宝月がフレデリックに命じようとすると、フレデリックは既に大量のカードバインダーを抱えて来ていた。
「ありがとうございます! よーし、作るぞ!」
・
・
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「……出来た!」
遊伸は出来上がったデッキを決闘盤にセットすると、周りの者が拍手を送る。
「おっしゃ! これだけのスゲー決闘者達が集まって作った最強のデッキだ! テオドールだろうが”戦いの覇者”だろうがイチコロだぜ!」
「うん! とってもいいデッキ! 私達の”絆”のデッキ!」
「ありがとう鋼貴、空! …それじゃあ皆さん、行って来ます」
遊伸が一人で出て行こうとすると、鋼貴が引き止める。
「おいおい! 指名されたからって、一人で行くこたぁねーだろ! 俺達も行くぜ! 見届けてやるよ!」
「そうですよ遊伸君。 ヘリで大穴の前まで送ります」
フレデリックが笑いながらヘリコプターのキーを見せる。
「…そうですね! お願いします!」
・
・
・
ヘリに乗り込んだのはフレデリック、遊伸、鋼貴、空、七海、高尾の6名。
「行きたいが、ダメージでまともに動けない俺達は、何かあったときに足手纏いになる」
そう言って鋼牙、燃次、冷次の3人は隠れ家へと残った。
グレイグは―――
「俺は止めとくぜ。 俺が行っても出来る事なんて無いだろうからな」
「本当は宝月さんと一緒にいたいだけなんじゃないの~?」
「喧しい空! 悪いか!」
―――という理由で残った。
暫くして大穴の近くに辿り着いた。
ヘリはゆっくりと大穴の前に降下し、着陸する。
「皆さん、気をつけて!」
ヘリの見張りにフレデリックを残し、5人は大穴へと向かった。
鋼貴が目の前に広がる穴を見渡す。
「相変わらずデケェ穴だな」
「あ、フレデリックさんが言ってた階段ってあれじゃない!」
空が大穴の下まで伸びている階段を見つける。
宝月が向かった時には無かったが、後に調査の為に下まで下りられる階段が付けられたのだ。
「よっしゃ! 行こうぜ……ん?」
階段を目指して歩き出すと、突然4人の男がこちらへ走ってきた。
その中の一人が前に進み出て、決闘盤を構える。
「我々はアルカディア・ムーブメントに所属するサイコ・デュエリスト部隊だ! テオドール様のご命令により、ここは通さん!」
「テオドールだぁ!? もうそいつは倒したぜ!」
鋼貴が呆れたように言うと、男の一人が鼻で笑う。
「フン! 騙されんぞ! 何故なら我々は先程テオドール様にあって指令を受けたのだからな!」
どうやら”戦いの覇者”がテオドールを装って差し向けてきたらしい。
それに気付いた遊伸達は仕方なく決闘盤を展開させようとするが―――
「遊伸君、先に行きなさい。 ここは私が食い止めるから」
「お姉ちゃん!?」
七海が男達の前に進み出て、決闘盤を構える。
そしてもう一人―――
「七海さん、一度に4人はキツイでしょう、2人受け持ちますよ。 第2の試練以降デュエルしてないんだ、これで役に立てる」
高尾も七海に倣い、決闘盤を構える。
「高尾まで!? 俺達も戦うぞ!」
「鋼貴、お前は遊伸のチームメイトで先輩だろ? なら見届けてやれ! こんな雑魚は俺達で十分だ!」
「お姉ちゃん…」
「空、あなたもよ。 遊伸君についててあげなさい」
「「デュエル!!!」」
七海達がデュエルを始めると同時に遊伸達は一気に階段へと駆け出す。
「行かせん!」
サイコ・デュエリストの一人が飛び出して遊伸達に拘束装置を使用するが、七海によって阻止され、逆に七海とのデュエルに引き込まれる。
「七海さん! 高尾さん! ありがとう!」
遊伸達は急いで階段を下りて行った。
* * *
「くっそ! 遊伸と戦いてぇんじゃねーのかよ! 何邪魔しに来てんだ!」
鋼貴は腹を立てながら階段を下りる。
「ホントにね……あ! ついたよ!」
遊伸達は長い階段を下り切り、穴の底へと辿り着く。
穴の底には調査の為か電灯が備え付けられていた為、穴の中は明るい。
「…また階段かよ!」
鋼貴が目の前にある、さらに下に続く階段を見てウンザリといった顔。
「心配ないよ鋼貴、この下だ。 …何となく分かる」
遊伸は真剣な表情で階段を見据えると、後ろの二人に振り向く。
「今更だけど、今ここにいるのは僕達マーシャル・レッドだけだね」
「そうだね、グレイグがいないけど」
「あのオッサンは留守番ばっかしてるから何時もいないだろ? これが何時ものメンバーだ。 …遊伸、いよいよか……大丈夫か?」
鋼貴がそう言うと、遊伸は笑顔で決闘盤を構える。
「大丈夫! 何も心配はないさ! 何たって僕は……”遊戯王”だからね!」
遊伸の言葉に、二人は一瞬固まった後、盛大に噴出して笑う。
「アッハッハッハ! お前! 何時もは臆病に見える程謙虚なのに! 一体どうした?」
「可笑しい事はないさ鋼貴、僕には皆との”絆”がある、絶対に負けないさ!」
「そうだよね! 絶対勝つもんね! 頑張って! ”遊戯王”!」
「ありがとう、空……さあ行こう!」
三人は力強く頷き合うと、更に下に続く階段を下りる。
この時遊伸に恐怖や不安が無かった訳ではない。
だがそれを上回る自信や希望が遊伸の中にあった。
「(父さん……母さん……宝月さん……皆……僕に力を!)」
* * *
「これは…」
「す、すげぇ……ここ地下だよな?」
「綺麗……」
階段を下りた先、遊伸達を出迎えたのは無限に広がる星空―――宇宙。
だが空気もあり、重力もある不思議な空間。
遊伸達が立っているのは限りなく広い宇宙空間に浮かぶ小さな小島。
その小島には古代遺跡を思わせる装飾が施されている。
小島の中心には決闘場、そしてその奥の玉座に目を閉じて座っている人物―――
「…来たな」
「”戦いの覇者”……」
テオドールの姿の”戦いの覇者”は目を開けると、3人を見渡す。
「…二人も残ったか……セブンスターズ以外の手下では力不足のようだな」
「おい! あれは遊伸じゃなくて俺達に対する刺客だったのかよ!」
「当然だ、我が選んだのは近衛 遊伸……余計な傍観者は好ましくないのでな。 …だが、いいだろう。 ここまで来たのだ、見ているがいい……」
”戦いの覇者”は玉座から立ち上がると、決闘場の上の星空に映像が映し出される。
遊伸達が見上げると、そこには若い男性二人が相対していた。
「こ、これは一体……」
「これは我の記憶……宝月 仁との戦いの記憶だ」
その若い男性とは宝月と”戦いの覇者”に体を奪われた天馬会長。
今正にデュエルを始めようとする所で映像が途切れた。
その瞬間、今度は無数の映像が星空のスクリーンに映し出される。
見たことの無い人間、場所、デュエル―――それらが映し出された後に映し出された映像を見て、遊伸達は驚く。
「!? 僕達だ!」
映し出されたのは自分達とその仲間達、全員デュエルをしている映像である。
そしてその対戦相手―――
「獏葉、チームBF、桐原、夜霧、光円寺、テオドール……全員”ファントム・オブ・カオス”と、”試練”の関係者だ……」
「ここは”記憶の間”……ここにいる者の記憶を映し出す。 今のは全て我の記憶だ」
”戦いの覇者”は前に進み出て決闘場に立つ。
「我が覇権を失ってから70年、この時をどれだけ待ちわびた事か……さあ、”戦いの儀”を始めようではないか、”遊戯王”!」
”戦いの覇者”の呼びかけに応え、遊伸も決闘場に立つ。
「行け! 遊伸!」
「私達がついてるから!」
遊伸は二人の声援に振り向いて笑顔を浮かべた後、真剣な顔付きで”戦いの覇者”を見据える。
「……我は究極の”力”を得て生まれ変わったのだ! ”遊戯王”よ! 新たな我が名を聞け!」
”戦いの覇者”の後方の星空に映像が映し出される。
そこに映っていたのは―――地球。
「我が名は”シンオウ”! ”新”たに生まれし”真”の王! 世界を支配するのは我だ!」
「そんな事はさせない! 行くぞシンオウ!」
「「デュエル!!!」」
70年の時を越え、再び世界を賭けた決闘が始まる。
先攻は遊伸。
「僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:5+1
「自分の場にモンスターが存在しない場合、このモンスターを特殊召喚出来る! 来い! 《フォトン・スラッシャー》!」
空間を裂いて遊伸の場に現れたのは、青い光の戦士。
赤い一つ目を光らせ、手に持った剣を構える。
ATK:2100
「さらにチューナーモンスター《デルタフライ》を召喚!」
続けて現れたのはテオドールも使用したドラゴン族チューナー。
どちらも遊伸のデッキに新たに加わったカードである。
ATK:1500
「デルタフライの効果発動! 《フォトン・スラッシャー》のレベルを一つ上げる!」
フォトン・スラッシャー レベル4→5
「行くぞ! レベル5《フォトン・スラッシャー》に、レベル3《デルタフライ》をチューニング!」
デルタフライが自身を3つの光輪に変えると、 フォトン・スラッシャーを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。
「集いし願いが、新たに輝く星となる……光さす道となれ! シンクロ召喚! 飛翔せよ! 《スターダスト・ドラゴン》!!」
遊伸の先鋒はスターダスト・ドラゴン。
光の柱から現れ、舞い上がる。
ATK:2500
「(”スターダスト・ドラゴン”……近衛 来伸がテオドールから守り抜いたカード……そして近衛 遊伸のエースモンスター……フフ……)」
「永続魔法《強欲なカケラ》を発動! カードを2枚伏せてターンエンド!」
LP:8000
手札:1
モンスター
・スターダスト・ドラゴン
魔法・罠
・強欲なカケラ
・セット
・セット
「やった! スターダスト・ドラゴンが出てきたよ!」
空がスターダスト・ドラゴンを見て跳びはねる。
驚いた鋼貴がその理由を尋ねた。
「ど、どうした? その喜びようは?」
「だって初手にスターダスト・ドラゴンだよ? 遊伸は初手にスターダスト・ドラゴンを出したデュエルで負けた事が無いもの! 今回も勝てるよ!」
「よく覚えてんな……(そもそも遊伸が負ける事自体少ないが……それを言うのは野暮だな。 このジンクス……信じてみっか!)」
鋼貴は笑みを浮かべて遊伸を見る。
心なしか、遊伸も空と同様、心が躍っている様に見えた。
「我のターン、ドロー!」
シンオウ 手札:5+1
「戦いの場よ、今ここに! フィールド魔法《
シンオウがフィールド魔法を発動した瞬間、足場も、宇宙も、遊伸達を除く全てが赤紫に染まっていく。
「な、何だ…!? このフィールド魔法は!?」
「永続魔法《フィールドバリア》を発動。 ……”Sin World”とは、我々の決闘の場……そして”真なる王”に逆らう罪深き者への断罪の場でもある」
「断罪だぁ!? 偉そうにしやがって! 遊伸! 只の見せ掛けだ! 怯むなよ!」
鋼貴の言葉に頷く遊伸。
だがシンオウは静かに笑う。
「…宝月 仁とのデュエル、そして70年の時を経て、我は”最強の力”の”形”を見出した……今それを見せてやろう……」
その瞬間、シンオウの後方の宇宙に映像が映し出される。
そこに映っていたのは悲劇の決闘王、アーノルド・フラナガン。
高台の決闘場に立ち、ランディ・ベルタンと対峙している彼は、胸を押さえて息を荒くしている。
「こ、これは……まさか一年前の!?」
アーノルドは力を振り絞り、場に存在する白竜に乗った聖騎士をリリースすると、場に一体の龍が現れる―――
「デッキから《
シンオウの場に現れたのは青い目を持った、白く輝く巨竜。
だがその頭部と翼には白と黒で配色された装甲の様な物で覆われている。
ATK:3000
「そんな……嘘でしょ!?」
「何でテメェがそれを持ってやがる!?」
「こ、このカードは……僕でも知っている……”青眼の白龍”…!」
遊伸達は驚愕した。
”青眼の白龍”―――デュエルモンスターズを代表するドラゴンにして、最上級ドラゴンの始祖。
”決闘者”ではなくとも知らない者はいないと言われる”伝説のカード”。
当時その強さが圧倒的過ぎた為、4枚のみ創られた後に生産を中止、創られた4枚中1枚は代々海馬コーポレーションの社長の証として受け継がれ、残りの3枚は海馬コーポレーションの社長が認めた”決闘者”に譲られるのが慣わしであった。
一年前、3枚の”青眼の白龍”を譲り受けていた決闘者こそ、 アーノルド・フラナガンなのである。
シンオウはランディ・ベルタン、そしてそれに取り憑く”ファントム・オブ・カオス”を通して見た”青眼の白龍”を模倣し、自分の”力”としたのだ。
「”ドラゴン”……人間が想像し、語り継がれてきた”恐怖”と”力”の象徴……これこそが我が僕に相応しい! …行くぞ」
シンオウはバトル・フェイズへと移り、 Sin 青眼の白龍は攻撃体勢をとる。
「”青眼の白龍”……伝説の龍にして”勝利を齎す龍”……先陣を切り、我を勝利へと導け……スターダスト・ドラゴンを攻撃! 《滅びの
Sin 青眼の白龍の口内が光で溢れると、そこから滅びを齎す光を放つ。
その光は瞬く間にスターダスト・ドラゴンを飲み込み―――
「―――罠発動!!!」
その後ろにいる遊伸さえも飲み込んだ。
「「遊伸!!!」」
「スターダスト……呆気ないものだ……何!?」
その時、スターダスト・ドラゴンと遊伸を飲み込んだ光が増大する。
否、増大したのではなく、光の内側から別の光が放たれたのである。
滅びの光が新たな光に掻き消されると、光の中から青く輝く鎧を纏ったスターダスト・ドラゴンが飛び出す。
遊伸も無傷であり、前には罠カードが展開されていた。
「…罠カード《バスター・モード》を発動! 《スターダスト・ドラゴン》をリリースし、デッキから《スターダスト・ドラゴン/バスター》を特殊召喚!」
ATK:3000
攻撃対象がリリースされ、新たなモンスターが召喚された事により、攻撃が巻き戻される。
「ほう……完成していたのか。 …攻撃を中止する。 カードを伏せてターンエンド」
LP:8000
手札:2
モンスター
・Sin 青眼の白龍
魔法・罠
・フィールドバリア
・セット
フィールド
・Sin World
「カッコイイ!」
「よっしゃ! ”レッド・デーモンズ”や”ハイパーサイコガンナー”があれだけ強力だったんだ! こいつもすげぇモンスターに違いねぇ!」
空と鋼貴がスターダスト・ドラゴン/バスターに喝采を送る。
だがシンオウは遊伸の強力なモンスターと相対しているにも関わらず、涼しい顔のままであった。
「(まだ青眼の白龍がいるから余裕か)僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:1+1
「ドロー時に永続魔法《強欲なカケラ》にカウンターを一つ乗せる!」
強欲カウンター:1
「バトル! スターダスト・ドラゴン/バスターで攻撃! 《アサルト・ソニック・バーン》!」
スターダスト・ドラゴン/バスターがシューティング・ソニック以上の衝撃波を、Sin 青眼の白龍に向けて放つ。
攻撃力は互角、この後遊伸が取る行動、一つは/バスターの共通効果による”通常体”での追撃、もしくは―――
「ダメージステップ時に罠カード《スキル・サクセサー》を発動! 攻撃力を400ポイントアップ!」
ATK:3000→3400
衝撃波がSin 青眼の白龍を飲み込むと、そのまま跡形も無く消し飛ばす。
シンオウ LP:8000→7600
「やはり強化カードを伏せていたな……罠カード《道連れ》を発動。 場のモンスターが自分の墓地に送られた時、場のモンスターを1体を破壊する。 《スターダスト・ドラゴン/バスター》を破壊だ」
「そうはさせない! スターダスト・ドラゴン/バスターの効果発動! 魔法・罠・モンスター効果が発動した時、このカードをリリースする事でその発動を無効にし破壊する!」
スターダスト・ドラゴン/バスターが体を粒子に変え、シンオウの発動したカードを包み込むと、共に消滅する。
「すげぇ! 効果全部かよ! これなら恐いもんはねぇ!」
「…果たしてそうかな?」
鋼貴の言葉に、シンオウは不敵な笑みを浮かべる。
「(何だ…?)ターンエンド! そしてエンドフェイズにスターダスト・ドラゴン/バスターの効果発動! 無効化効果を発動する為にリリースされて墓地に存在するこのカードを自分の場に特殊召喚する事が出来る! 舞い戻れ! 《スターダ―――!?」
この瞬間、突然遊伸の目の前に一羽のカラスが現れ、墓地から取り出したスターダスト・ドラゴン/バスターを掴み盗り、そのまま姿を消してしまう。
「な…なん……!?」
呆然とする遊伸を見て、シンオウは静かに笑う。
「…手札から《D.D.クロウ》を墓地へ捨て効果発動。 相手の墓地のカード1枚を選択し、ゲームから除外する……《スターダスト・ドラゴン/バスター》をゲームから除外だ」
遊伸は声も出ない。
新しいスターダスト・ドラゴンは、あまりにも呆気なく消え去った。
「言ったはずだ、”学習した”とな。 …”スターダストの力”を我が知らぬとでも思ったか?」
「嘘だろ……そりゃねぇよ……」
「私も……すっかり忘れてた……スターダスト・ドラゴンが一番無防備になる瞬間……」
遊伸達は痛感する。
目の前の相手は初めて相対する相手ではなく、何度も戦ってきた”ファントム・オブ・カオス”―――”大いなる力”だという事を。
LP:8000
手札:2
モンスター
・無し
魔法・罠
・強欲なカケラ
「呆けている時ではないぞ……我のターン! ドロー!」
シンオウ 手札:1+1
この時、シンオウの後方の宇宙に再び映像が映し出される。
そこに映っていたのは遊伸と対峙する桐原。
尋常ではない表情の彼が場に召喚したカードは―――
「…デッキから《
シンオウの場に現れたのは、桐原が愛して止まない紅い眼をした黒き竜、 真紅眼の黒竜。
しかし先程のSin 青眼の白龍と同様、頭部と翼に白と黒の装甲を纏っている。
ATK:2400
「これは……桐原の”真紅眼の黒竜”!?」
「さっきの青眼の白龍といい、何で最上級モンスターをそんなに簡単に出してくんだよ! ふざけんな!」
鋼貴がシンオウに野次を飛ばすが、シンオウは笑って返す。
「フハハハ! これが我の”力”だからだ! …”真紅眼の黒竜”……青眼の白龍と並ぶ伝説の竜にして”可能性を齎す竜”……だがその可能性を活かす事が出来ねば何の意味も無い……桐原 聡真の様にな。 我は違うぞ、フフ……バトル!」
シンオウの宣言と共に、Sin 真紅眼の黒竜が攻撃体勢を取る。
「受けるがいい! 《黒炎弾》!」
Sin 真紅眼の黒竜が遊伸に向かって黒い火球を放つと、遊伸に直撃する。
「うわぁぁぁ!!!」
遊伸 LP:8000→5600
「カードを伏せてターンエンド……どうした? これで終わりではあるまい?」
LP:7600
手札:0
モンスター
・Sin 真紅眼の黒竜
魔法・罠
・フィールドバリア
・セット
フィールド
・Sin World
「遊伸!? 大丈夫!?」
攻撃を受けて膝をついた遊伸を心配して空が声をかける。
「…大丈夫! ありがとう空!」
このデュエルはサイコ・デュエルでも、デュエルエナジーを奪われる”闇のデュエル”でもない。
だから遊伸に対しての身体的、精神的なダメージは無い。
だが遊伸は今の一撃を受けて、どちらのデュエルにも無い”迫力”を感じた。
「(これが”戦いの儀”……)僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:2+1
「ドロー時に《強欲なカケラ》にカウンターを一つ乗せる!」
強欲カウンター:2
「《強欲なカケラ》の効果発動! カウンターが2つ以上乗っているこのカードを墓地へ送る事で、デッキからカードを2枚ドローする!」
遊伸 手札:3+2
「《切り込み隊長》を召喚! そして召喚成功時、その効果により手札のレベル4以下のモンスター、《X-セイバー パシウル》を特殊召喚!」
遊伸の場に切り込み隊長が躍り出ると、その後ろから続いてパシウルが飛び出す。
切り込み隊長 ATK:1200
X-セイバー パシウル ATK:100
「レベル3《切り込み隊長》に、レベル2《X-セイバー パシウル》をチューニング!」
パシウルが自身を2つの光輪に変えると、 切り込み隊長を囲み、3つの光、そして光の柱へと変える。
「十の剣に名を連ねし銃士よ! 立ち塞がる敵を討ち、勝利の号砲を上げよ! シンクロ召喚! 荒野の英雄、 《X-セイバー ウェイン》!」
光の柱から現れたのはウェイン。
赤いスカーフを靡かせながら、仮面の下の鋭い眼光をSin 真紅眼の黒竜に向ける。
ATK:2100
「ウェインの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、手札からレベル4以下の戦士族モンスターを一体特殊召喚することが出来る! 僕は手札から《XX-セイバー フラムナイト》を特殊召喚する! 《セイバーズ・テキサス》!」
ウェインが空に向かって号砲を上げると、場にフラムナイトが現れる。
ATK:1300
「(父さんと母さんはこのカードを”スターダスト・ドラゴン”と共に戦う”仲間”として創った……色々あったけど……僕はこのカードを信じる! だから……力を貸してくれ!)レベル5《X-セイバー ウェイン》に、レベル3《XX-セイバー フラムナイト》をチューニング!」
フラムナイトが自身を3つの光輪に変えると、 ウェインを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。
…
……
…………
………………
……………………
約一時間前 サテライト B.A.D地区 宝月 仁の隠れ家付近
「お待たせしました、乗り込んでください」
フレデリックがヘリの準備を終え、遊伸達5人に乗り込むように促す。
「遊伸君、待って」
遊伸がヘリに乗り込もうとすると、突然七海に呼び止められる。
「どうしたのお姉ちゃん?」
後ろの空が七海を不思議そうに見上げると、七海は少し複雑そうな表情をしている。
「ど、どうしたんだ七海さん? 具合でも?」
「いいえ、鋼貴君、私自身は何でもないの……遊伸君、もう一つ渡したいカードがあるの……これよ」
「!? これは……どうしてこのカードを七海さんが?」
遊伸は渡されたカードを見て驚く。
そのカードは七海が持っているはずのないカード、そして七海や遊伸達にとっても因縁深いカードであった。
「…城でのデュエルの後、回収しておいたの。 …遊伸君達にとって、このカードには複雑な思いがあるかもしれない……私だってそう。 …でも、このカードだって来伸さん達が未来を守る為、願いを籠めて創ったはずだから……お願い遊伸君、このカードに”役目”を果たさせてあげて!」
……………………
………………
…………
……
…
「王者の鼓動、今ここに列をなす! 天地鳴動の力、今ここに! シンクロ召喚! 紅蓮魔竜! 《レッド・デーモンズ・ドラゴン》!」
光の柱から現れたのは嘗ての強敵、 レッド・デーモンズ・ドラゴン。
使用する決闘者がサイコ・デュエリストではないからなのか、または遊伸だからなのか、現れたレッド・デーモンズ・ドラゴンには恐ろしい程の威圧感ではなく、勇ましく、頼もしく、そして激しい―――”
これこそが来伸と遊芽が思い描いた希望の炎―――本来のレッド・デーモンズ・ドラゴンである。
ATK:3000
「これ……遊伸達とテオドールとのデュエルで、ドラゴエクィテスを通して感じた”セイヴァー・デモン・ドラゴン”の光と同じ……やっぱり、これが本来のレッド・デーモンズ・ドラゴンなのね!」
空はレッド・デーモンズ・ドラゴンから湧き出る熱く、そして暖かい魂を感じる。
「バトル! レッド・デーモンズ・ドラゴンで攻撃! 《アブソリュート・パワーフォース》!」
レッド・デーモンズ・ドラゴンが右腕に炎を纏うと、それをSin 真紅眼の黒竜に撃ちつける。
Sin 真紅眼の黒竜は火達磨となって弾き飛ばされた後、燃え尽きる。
「”レッド・デーモンズ”……”この男”の象徴だったカード……フフ、いい”力”だ。 …罠カード《
シンオウ LP:7600→7000
手札:0+2
「カードを伏せてターンエンド!」
LP:5600
手札:1
モンスター
・レッド・デーモンズ・ドラゴン
魔法・罠
・セット
「さっきまでは散々手を焼かされたっていうのによ! いざ味方になるとメチャクチャ頼もしいじゃねーか! ”レッド・デーモンズ”」
鋼貴が言う様に、”レッド・デーモンズ”は遊伸の大きな”力”となったはず。
しかしシンオウの表情は変わらず、不敵な笑みを浮かべている。
「我のターン! ドロー!」
シンオウ 手札:2+1
この時、シンオウの後方の宇宙に映像が映し出される。
そこに映っていたのは鋼牙。
ランディ・ベルタンと対峙している彼が融合召喚したカードは―――
「…エクストラデッキから《サイバー・エンド・ドラゴン》を除外し、《Sin サイバー・エンド・ドラゴン》を特殊召喚!」
シンオウの場に現れたのは最強の機械龍、サイバー・エンド・ドラゴン。
先の2体と同様、翼と中心の頭部に白と黒の装甲、右の首は黒い装甲、左の首は白い装甲がそれぞれを覆っている。
ATK:4000
「こ、今度は兄貴の”サイバー・エンド”!?」
「”サイバー・エンド・ドラゴン”……龍を模倣して作られた”最強の人工龍”にして、セキュリティが保有する”正義の象徴”……”圧倒的な力”こそ、我が正義だ。 バトル! レッド・デーモンズ・ドラゴンを攻撃! 《エターナル・エヴォリューション・バースト》!!!」
Sin サイバー・エンド・ドラゴンの3つの首から巨大な赤い光弾が3つ放たれると、レッド・デーモンズ・ドラゴンを跡形もなく吹き飛ばす。
「レ、レッド・デーモンズ・ドラゴン…!?」
遊伸 LP:5600→4600
「ハハハハ! ターンエンド! …幾ら我に対するカードを揃えようとも、我の前では無力! 無駄なカードだ……」
LP:7000
手札:2
モンスター
・Sin サイバー・エンド・ドラゴン
魔法・罠
・フィールドバリア
フィールド
・Sin World
「無駄なんかじゃない! ”レッド・デーモンズ”も、”スターダスト”も……僕のカードには父さんと母さん、そして皆の思いが詰まっているんだ! 僕はこのデッキで必ずお前に勝つ! 僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:1+1
「…宝月も抜かしていた”絆”などという戯言か。 …そんな物に縋っている時点で、お前は我に及ばん」
「そんな事はない! ”絆”は何にも負けない”力”になる! 自分の墓地に《X-セイバー》と名のついたモンスターが2体以上存在し、自分の場のみにモンスターが存在しない場合、このカードを手札から特殊召喚する事が出来る! 来い! 《XX-セイバー ガルドストライク》!」
遊伸の場に赤いマントを靡かせながら、ガルドストライクが躍り出る。
ATK:2100
「行け遊伸! あれは……あれは”サイバー・エンド”何かじゃねぇ! あんなふざけた”サイバー・エンド”なんかぶっ壊してくれ!」
遊伸は鋼貴に振り返って頷き、続けてモンスターを召喚する。
「さらにチューナーモンスター《ブライ・シンクロン》を召喚!」
続けて遊伸の場に鋼貴が勧めたチューナーモンスター、ブライ・シンクロンが現れる。
ATK:1500
「レベル5《XX-セイバー ガルドストライク》に、レベル4《ブライ・シンクロン》をチューニング!」
ブライ・シンクロンが自身を4つの光輪に変えると、 ガルドストライクを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。
「十の剣を束ねし長よ、今こそ先陣へと立ち、X-セイバーの名の下にて剛剣を振るえ! シンクロ召喚! X-セイバー最強の剣《XX-セイバー ガトムズ》!」
光の柱から現れたのはX-セイバーの総司令にして、最強の剣士、ガトムズ。
Sin サイバー・エンド・ドラゴンと睨みあい、大剣を構える。
ATK:3100
「シンクロ素材となった《ブライ・シンクロン》のモンスター効果発動! エンドフェイズ時までシンクロ召喚したモンスターの効果を無効にし、攻撃力を600ポイントアップする!」
ATK:3100→3700
「どうした? 届いてないぞ?」
「XX-セイバー ガトムズで攻撃! 《ダブルクロス・セイバー》!!!」
ガトムズは大剣を振り上げ、Sin サイバー・エンド・ドラゴンへと跳び掛かる。
「ダメージステップ時に罠カード《身剣一体》を発動! このカードは場に《X-セイバー》が1体のみ存在する場合、このカードは装備カードとなり、装備モンスターの攻撃力を800ポイントアップさせる! ガトムズに装備!」
ATK:3700→4500
Sin サイバー・エンド・ドラゴンが光弾をガトムズに放つ。
だがガトムズがそれを全て切り払うと、そのままの勢いで3つの首を一瞬にして斬り落とす。
「ほう……攻撃力4000を越えるSin サイバー・エンド・ドラゴンを倒したか」
シンオウ LP:7000→6500
「《身剣一体》の効果発動! 装備モンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、カードを1枚ドローする!」
遊伸 手札:0+1
「カードを伏せてターンエンド! どうだ! 何が来ようと打倒してみせるぞ!」
LP:4600
手札:0
モンスター
・XX-セイバー ガトムズ
魔法・罠
・身剣一体
・セット
XX-セイバー ガトムズ ATK:4500→3900
「…近衛 遊伸、一つ言っておこう。 …お前に”勝利の未来”など訪れはしない。 お前が幾ら我が僕を倒そうとも、我の更なる”力”に阻まれ続ける……我のターン! ドロー!」
シンオウ 手札:2+1
「…そして気付くのだ。 絶対に越えられない、我の”圧倒的な力”にな……絶望するがいい」
この時、シンオウの後方の宇宙に映像が映し出される。
そこに映っていたのは若き日の宝月。
宝玉獣達が光を放つ場に降臨したのは、虹色の輝きを放つ竜―――
「デッキから《究極宝玉神 レインボー・ドラゴン》を除外し、《Sin レインボー・ドラゴン》を特殊召喚!」
この瞬間、シンオウの頭上にの宇宙に、虹色に輝くオーロラが現れる。
そのオーロラの中から一体の竜が現れ、場に降り立つ。
「そ、そんな……まさか……」
その体はダイヤモンドの様に白く輝き、首に3色、胴体に4色ずつ埋め込まれた七色の宝玉を輝かせる巨大な竜。
史上最高の”決闘王”にして、初代”遊戯王”―――宝月 仁。
その最愛にして最強の切り札―――レインボー・ドラゴン。
その美しい翼は白と黒の装甲に覆われ、頭にも同様の装甲が付けられている。
ATK:4000
「…解ったか? 俺の”力”はこの竜さえも支配する……思い知るがいい! バトル! Sin レインボー・ドラゴンで攻撃! 《オーバー・ザ・レインボー》!!!」
Sin レインボー・ドラゴンが口から虹色の光線を放つと、ガトムズは光の中へと消え去る。
「うう…!」
遊伸 LP:4600→4500
「やめて! 正気に戻って! レインボー・ドラゴン!!!」
空は必死になって呼びかけるも、レインボー・ドラゴンは反応もしない。
遊伸が見ると、何時の間にかガスタ達も出てきていて、レインボー・ドラゴンに呼びかけている。
「さあ……もうお前にこの竜を倒す力は残っているか? ターンエンド」
LP:6500
手札:2
モンスター
・Sin レインボー・ドラゴン
魔法・罠
・フィールドバリア
フィールド
・Sin World
シンオウの言う通り、遊伸の場には伏せカードが一枚、手札は0、そしてシンオウを下回るLP―――強大な《Sin》モンスターとの連戦に、遊伸の手は尽き掛けている―――だが、遊伸の”闘志”はまだ尽きてはいなかった。
「…カードが……LPが……”絆”がある限り! 僕は諦めない! 僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:0+1
「モンスターをセットしてターンエンド!」
LP:4500
手札:0
モンスター
・セット
魔法・罠
・セット
「ハッハッハ! 無駄に足掻くな! 受け入れるがいい! 我のターン! ドロー!」
シンオウ 手札:2+1
「装備魔法《メテオ・ストライク》を発動! 装備モンスターが守備モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える……《Sin レインボー・ドラゴン》に装備!」
「!?」
貫通効果を与える装備魔法がSin レインボー・ドラゴンに装備されると、Sin レインボー・ドラゴンは高く飛び上がる。
「バトル! セットモンスターを攻撃だ! 《ストライク・レインボー》!!!」
Sin レインボー・ドラゴンが高い位置から虹色の光線をセットモンスター、《メタモルポット》に放つ。
光線がメタモルポットを消し飛ばすと、そのまま遊伸を襲う。
メタモルポット DEF:600
「うわぁぁぁーーー!!!」
遊伸 LP:4500→1100
「遊伸!?」
「くそ! 遊伸のLPが! …こんだけ払ったんだ! いいカード寄越せよ!」
鋼貴は効果を発動する為に薄らと姿を現したメタモルポットを拝む。
「《メタモルポット》のリバース効果発動! お互いに手札を全て捨て、5枚ドロー!」
遊伸 手札:0+5
「手札を増やしたか、だが結果は同じよ……」
シンオウが捨てたカード
・クロス・ソウル
・Sin Selector
シンオウ 手札:0+5
「カードを2枚伏せ、ターンエンド」
LP:6500
手札:3
モンスター
・Sin レインボー・ドラゴン
魔法・罠
・フィールドバリア
・セット
・セット
フィールド
・Sin World
「僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:5+1
「魔法カード《死者蘇生》を発動! 自分の墓地から《X-セイバー ウェイン》を特殊召喚!」
遊伸の場に再びウェインが現れ、Sin レインボー・ドラゴンに対して銃剣を構える。
ATK:2100
「そしてウェインをリリース! 《ターレット・ウォリアー》を特殊召喚!」
ウェインが光に包まれ、姿を消すと、その光の中からターレット・ウォリアーが現れる。
ATK:1200
「ターレット・ウォリアーの効果発動! このカードの攻撃力はリリースしたモンスターの元々の攻撃力分アップする!」
ATK:1200→3300
「バトル! ターレット・ウォリアーで攻撃! 《リボルビング・ショット》!!!」
「迎え撃て! 《ストライク・レインボー》!!!」
Sin レインボー・ドラゴンが口を、ターレット・ウォリアーが銃口をお互いに向ける。
放つのが速かったのは―――ターレット・ウォリアー。
「墓地から罠カード《スキル・サクセサー》を発動! このカードを除外する事で自分のモンスター1体の攻撃力を800ポイントアップする! 行け! ターレット・ウォリアー!!!」
ATK:3300→4100
ターレット・ウォリアーは間髪を容れずに銃弾の嵐をSin レインボー・ドラゴンへと撃ち続ける。
やがて発砲音が止むと、銃身を焼き尽くしたターレット・ウォリアーが立ち、蜂の巣になったSin レインボー・ドラゴンが地に倒れ、消滅する。
「…Sin レインボー・ドラゴンを破るとはな」
シンオウ LP:6500→6400
「(すまない……レインボー・ドラゴン…!)カードを2枚伏せ、ターンエンド!」
LP:1100
手札:2
モンスター
・ターレット・ウォリアー
魔法・罠
・セット
・セット
・セット
「レインボー・ドラゴン……」
「…おい! 遊伸はレインボー・ドラゴンを倒したぞ! これでも遊伸がお前に勝てないなんて言うつもりか!」
鋼貴が怒りを顕にしてシンオウに怒鳴る。
ここまで来ると、流石のシンオウも不敵な笑みを消していた。
「……成る程、少々見くびっていたか。 流石だ”遊戯王”。 だが……ここまでだ。 我のターン! ここで《Sin World》の効果発動! ドローをする代わりにデッキから《Sin》と名のつくカードを3枚選択、その中からランダムに1枚手札に加える……さあ選べ」
シンオウの頭上に3枚のカードのソリッドビジョンが現れる。
「……真ん中のカード!」
シンオウ 手札:3+1
遊伸が選択したカード以外の2枚が消えるが、選択したカードは消えず、空中に静止したままになっている。
「お前が選んだカード……見せてやろう!」
空中に残ったままのソリッドビジョンが表になる。
「…スターダスト・ドラゴン!?」
それは白と黒の装甲を纏ったスターダスト・ドラゴン、《Sin スターダスト・ドラゴン》であった。
「この”スターダスト”は”生贄”に過ぎん、我が”切り札”の為のな」
「な!?」
「今見せてやろう……チューナーモンスター《Sin パラレルギア》を召喚!」
シンオウの場に歯車で構成された人形が現れる。
ATK:0
「Sin パラレルギアは手札の《Sin》と名の付いたモンスター1体をシンクロ素材とする……ハハハ! 行くぞ! レベル8《Sin スターダスト・ドラゴン》に、レベル2《Sin パラレルギア》をチューニング!」
Sin パラレルギアが自身の歯車を回転させ、奇声を上げると、自身を2つの黒い輪へと姿を変え、場に現れたSin スターダスト・ドラゴンを囲み、8つの光、そして漆黒の光へと変わり、最後に漆黒の柱となる。
「次元の裂け目から生まれし闇……時を越えた舞台に破滅の幕を引け! シンクロ召喚! 現れよ! 《Sin パラドクス・ドラゴン》!」
漆黒の柱から現れたのは白と黒の装甲を全身に纏った、レインボー・ドラゴンやサイバー・エンド・ドラゴンをも越える巨大な竜。
場に降り立つと同時に、凄まじい咆哮を上げる。
ATK:4000
「シンクロ召喚…!? しかもこんなモンスターは見た事がない…!」
「当然だ、この《Sin パラドクス・ドラゴン》は我自身の”力”……全てを支配する”力”だ! 行くぞ!Sin パラドクス・ドラゴンの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、自分または相手の墓地に存在するシンクロモンスター1体を選択して特殊召喚する事が出来る! さあ来い! 相応しき主の下へ! 《レッド・デーモンズ・ドラゴン》!!!」
Sin パラドクス・ドラゴンが再び咆哮を上げると、シンオウの場にレッド・デーモンズ・ドラゴンが現れ、Sin スターダスト・ドラゴンと同様の鎧が装着される。
ATK:3000
「レッド・デーモンズ・ドラゴン!? そんな……まさか……」
シンオウの場に強力なドラゴンが2体並ぶ。
1体はシンオウの切り札、そしてもう1体は嘗ての強敵、テオドールのエースモンスター。
しかも相手の姿はテオドールそのものである。
遊伸はシンオウ、そしてテオドールの二人と対峙している様に感じ、凄まじいプレッシャーを受ける。
「マジかよ……また敵に回っちまうなんて……」
鋼貴は呆然と2体の巨竜を見上げ、空は自分のデッキを握り締めて祈っている。
この2体の攻撃が通れば、遊伸の敗北である。
「さあ……これで終わりにしてやろう! バトルだ! Sin パラドクス・ドラゴンでターレット・ウォリアーを攻撃! 《Sin・クロウ・ストリーム》!!!」
Sin パラドクス・ドラゴンが口からターレット・ウォリアーに向かって黒い波動を放つと、ターレット・ウォリアーは跡形も無く消し飛ばされる。
「うわぁぁぁ!!! …ぐっ!」
遊伸 LP:1100→400
「止めだ! レッド・デーモンズ・ドラゴンで直接攻撃! 《アブソリュート・パワーフォース》!」
レッド・デーモンズ・ドラゴンが右腕に黒い炎を纏い、遊伸に向かって突き出す。
「罠カード《ガード・ブロック》を発動! ダメージを0にして1枚ドロー!」
遊伸 手札:2+1
「…ッぶねぇーーー!!! よく凌いだぞ遊伸!!!」
「遊伸……よかった……」
鋼貴は大息を吐き出し、空は安心のあまりその場に座り込んでしまう。
だが喜んでいる場合でも、安心している場合でもない。
遊伸が危機的状況なのには変わりないのだ。
「…近衛 遊伸、この”Sin パラドクス・ドラゴン”の名の意味が解るか?」
「…? パラドクス…?」
「正確には”パラドックス”……”逆説”の事だ。 …”遊戯王”よ、正に”人間の真実”がそうではないか?」
「…人間の……真実?」
その瞬間、星空のスクリーンに映像が映し出される。
それは多くの人々が暮らす、ネオ童実野シティであった。
「…人間は平和を望み、幸福を望み、争いを嫌い、手と手を取り合う事を望んで暮らしている…」
シンオウは星空に映るネオ童実野シティに眼を向ける。
そこには楽しそうに都市を往来する人々が映っていた。
「成る程、それは正しいのかもしれん、現に多くの者がそうしている……だが違う! それは本性ではない! ”正しい”様に見えてその実は”間違い”なのだ!」
シンオウの怒声と共に映像が消える。
「”人間”とは常に優位を望む貪欲な生き物だ! 誰よりも強い”力”を望む生き物だ! その為に何でもする! ”力”無き者に勝利は無い! 勝利しなければ何も得られん! 敗北すれば奪われるのだ! ”弱肉強食”……これこそが人間の”真実”なのだ!」
再び映像が映し出される。
それは最初と同じ、デュエルの記憶。
「宝月が我に勝利したのは何故だ? …我を上回る”力”を持っていたからだ!」
スクリーンに若き宝月の姿と、レインボー・ドラゴンが映し出される。
そして次に映し出されたのは遊伸とテオドール。
「お前がこの短期間でテオドールを上回ったのは何故だ? お前にそれだけの”力”を秘めた”才能”があったからだ! 我もそうだ、自らの”才能”を活かし、”力”を追い求めたからこそ! こうして人間を越えた”力”……”永遠の力”を得たのだ! そして今! 相応しき”最強の力”も得た! 解ったか”遊戯王”? 人間とは何よりも”力”を求めるものだ!これこそが”真実”だ! 我がその頂点に立つのだ!!!」
ここまで静かに話を聞いていた遊伸は、悲しみの表情をシンオウに向ける。
「お前は……お前は何も解ってないよ! お前は宝月さんとデュエルをして何も思わなかったのか!? 僕等の事を見てきて何も思わなかったのか!? お前は……お前は何を見てきたんだ!」
「…解ってないのはお前だ。 お前こそ何を見てきた? 数え切れぬほど見てきただろう、人間の本性を……」
映像が切り替わり、今まで遊伸達が戦ってきた相手が映し出される。
「お前を倒したいが為に我の”力”を求め、数多くの人間と自分自身までもを売った”桐原 聡真”……自身の野望と闘争心を満たす為に、どんな手を使ってでも我の”力”を手に入れようとした”テオドール・ハイドフェルド”……そして数多くの者が自身の私欲を満たす為に我の”力”を求めたではないか。 …お前は”真実”から眼を背け、”絆”などと言う幻を見ているに過ぎんのだ」
「それは違う! ”力”は……”強さ”は手に入れるものでも、奪うものでもない! 勝って、負けて、成功して、失敗して……色んな事を経験して”創り上げていく”ものなんだ!」
この瞬間、遊伸の後方の宇宙に映像が映し出される。
「(何!? どういう事だ!? 近衛 遊伸の記憶がこの空間に映し出されているだと!?)」
映し出されているのは遊伸がシティに来てから、今までの記憶。
「僕はそうやって”強く”なってきた! 多くの人達との”絆”と共に!」
次に映し出されたのは遊伸が出会った人々。
親しくなった者から一度きりしか会っていない様な者までいる。
「僕は信じる! 人間はお前が言う様な生き物じゃない! 迷ったり、間違えたりするけど……必ず解り合える! 時間が掛かっても……同じ様に歩む事が出来る! 人間には”可能性”がある! そんな”未来”を……僕は創ってみせる!!!」
遊伸はシンオウの”信念”に対して、自分の”信念”を言い放つ。
遊伸とシンオウ、相反する”信念”を持つ者同士が、”記憶の間”の決闘場で睨み合う。
「…いいだろう、これについても決着を付けようではないか。 お前が言う”絆”と我が言う”力”、どちらに”真実”があるのかを! カードを伏せターンエンド!」
LP:6400
手札:1
モンスター
・Sin パラドクス・ドラゴン
・レッド・デーモンズ・ドラゴン
魔法・罠
・フィールドバリア
・セット
・セット
・セット
フィールド
・Sin World
「(皆……僕に……僕等に”未来”を!)僕のターン! ドロー!」
遊伸 手札:3+1
「…”未来”を掴んでみせる! 魔法カード《未来への思い》を発動! 自分の墓地のレベルが異なるモンスター3体を選択! 選択したモンスター3体を特殊召喚する! レベル2《X-セイバー パシウル》、レベル4《ブライ・シンクロン》、レベル5《XX-セイバー ガルドストライク》を特殊召喚!」
遊伸の場に防御体勢のモンスターが3体現れる。
X-セイバー パシウル DEF:0
ブライ・シンクロン DEF:1100
XX-セイバー ガルドストライク DEF:1400
「この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は0になり、効果は無効化される……そして僕はこのターン、エクシーズ召喚以外の特殊召喚は出来ない!」
「(そのカードは知っている……が)」
”未来への思い”は使用者が発動ターンにエクシーズ召喚を行わなかった場合、使用者のLPを4000ポイント失わせる効果を持つ。
だが今のシンオウのカードではそれを阻害出来ない。
シンオウは軽く歯噛みをする。
「《XX-セイバー ガルセム》を召喚!」
遊伸の場にガルセムが現れる。
ATK:1400
「「レベル4の《ブライ・シンクロン》と《XX-セイバー ガルセム》をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」
2体がオレンジ色の光球に変わり、現れた穴に吸い込まれる。
その穴からは金色の閃光が放たれ、1体の戦士が自らの名前を叫びながら現れる。
「エクシーズ召喚! 夢と希望……そして”絆”の戦士! 《No.39 希望皇ホープ》!!!」
ATK:2500
現れたのは希望皇ホープ。
遊伸にとって、”スターダスト”やX-セイバーが”家族との絆”なら、ホープをはじめとする”ナンバーズ”は”仲間との絆”と言える。
それだけ、遊伸達の日常には”ナンバーズ”が関わってきていた。
「ねえ鋼貴、”ナンバーズ”が無かったら、私達皆の繋がりってここまで強くなってなかった、って思わない?」
「ああ、色んな所で絡んできたからな、直接の要因かはわかんねぇが……言われればそんな気がしてきた。 とりあえずマイルさんに感謝だな……っと、それより遊伸はホープでどうするつもりなんだ?」
ホープの攻撃力では”レッド・デーモンズ”にも及ばない。
ムーンバリアを使っても、2体を相手にしてしまっては1ターンしか持たない。
エクシーズ以外の特殊召喚は出来ず、通常召喚ももう出来ない。
とても状況を打開出来るようには見えなかった。
「無駄な足掻きを……そんなモンスターで何が出来る?」
「…僕にはまだ”希望”が残されている! 行くぞ!」
…
……
…………
………………
……………………
シティを発った朝 シティ内陸部 治安維持局前
「じゃあ確かにカードは渡したよ! それじゃあ健闘を祈るよ!」
「気をつけて!」
B.A.D地区へと向かう遊伸達に手を振るマイルと友河。
この瞬間、友河が突然声を上げる。
「ああ! 待った! 遊伸君待った! 駄目ですよ所長! まだ行かせちゃ!」
「おあ! 忘れてた! 何故忘れてたんだあんな重要な事! 遊伸君待った!」
二人の声を聞いた遊伸が急いで戻ってくる。
「どうしたんですか?」
「いやね、実はもうちょっとだけ待って欲しいんだ」
マイルが遊伸に拝む。
何がなんだか分からない遊伸は友河に振り向くと、友河はなにやら落ち着かない様子。
「ど、どうしたんですか? お二人とも……」
「お、お待たせしました~!」
突然デュエル研の方角からその研究員らしき人物が一枚のカードを手に持って走ってくる。
「おお! 間に合ったか!」
マイルは研究員からカードを受け取る。
「それは?」
「君に渡す最後のカードだよ。 実は本当にギリギリでね、さっきまでこいつの印刷が終わってなかったから……でもよかった! 君はついているよ! はいこれ!」
遊伸はマイルから手渡されたカードを見て驚く。
「……これは…!?」
「大事に使ってくれよ! 君の為に創った、君だけの”ナンバーズ”だ!」
……………………
………………
…………
……
…
「…行くぞ! オーバーレイ・ネットワークを再構築!」
「何!? 再構築だと!?」
遊伸がそう宣言すると、ホープの下にエクシーズ召喚時に現れた穴の中へと入っていく。
シンオウは遊伸のデュエルを幾度と無く見てきた。
しかしこの遊伸の行動はまったくの謎、見た事も聞いた事も無い。
想定外の事にシンオウは動揺を見せる。
「ホープが戻っていく……」
「遊伸は何をしようってんだ…?」
空や鋼貴にも解らない。
不安を浮かべてその様子を見ていると、突然穴から黄金の閃光が放たれる。
「カオス・エクシーズ・チェンジ! 現れよ!」
閃光の中から現れたのは黒い希望皇ホープ。
だがそれは邪悪なものではなく、それどころか以前のホープ以上の”光の輝き”が見える。
腰には何時ものホープ剣が二振り、そして背中には一振りの大剣が背負われている。
「”混沌”を”光”に変える使者! 《
コンラード・マイル渾身の一作、窮地の遊伸に齎された新たな”希望”、”希望皇ホープレイ”の降臨である。
ATK:2500
「新しいホープ……ホープレイ…!」
「こ、こんなモンスターがいたなんて聞いてねぇぞ! …だがいいサプライズじゃねーか! 行け! 遊伸!」
新たな希望に沸きあがる空と鋼貴。
「《CNo.》だと!? ふざけるな! 同じ攻撃力2500! 何も変わっていないではないか!」
「変わらないなら変えてみせる! ”未来”を掴む為に! ホープレイ! カオス・ウィング・アーム展開!」
ホープレイの背にある二本の腕を展開させると、背負った大剣をその両腕で抜き放ち、剣身を上に立て、高々と掲げる。
「希望皇ホープレイの効果発動! 自分のLPが1000以下の場合、このカードのオーバーレイ・ユニットを1つ取り除く事で、エンドフェイズ時までこのカードの攻撃力を500ポイントアップする! 3つ取り除き、1500ポイントアップさせる! 《オーバーレイ・チャージ》!!!」
希望皇ホープレイの周りに漂っていた光球3つが大剣に吸い込まれると、ホープレイの体の大半が白く染まり、光を放つ。
ATK:2500→4000
「何だと!? ……どうした!? Sin パラドクス・ドラゴン!?」
突然Sin パラドクス・ドラゴンが呻き声を上げる。
「ホープレイのもう一つの効果! こちらの攻撃力を上げると同時に相手のモンスター1体の攻撃力をユニット一つにつき1000ポイントダウンさせる!」
ホープレイの”希望の光”によって、Sin パラドクス・ドラゴンはその”力”を急激に失った。
ATK:4000→1000
「(今助ける!)さらに魔法カード《シンクロキャンセル》を発動! その効果により《レッド・デーモンズ・ドラゴン》を僕のエクストラデッキに戻す!」
遊伸の魔法が発動すると、レッド・デーモンズ・ドラゴンに付けられていた鎧が消滅し、Sin パラドクス・ドラゴンの呪縛から逃れる。
レッド・デーモンズ・ドラゴンは高らかに咆哮を上げると、そのまま姿を消す。
「おのれ…!」
「(お帰り、そしてありがとう、レッド・デーモンズ……)バトル! 希望皇ホープレイでSin パラドクス・ドラゴンを攻撃! 《ホープ剣・カオススラッシュ》!!!」
ホープレイが腰のホープ剣を抜き放ち、背中の大剣と合わせて構える。
そして一気にSin パラドクス・ドラゴンに詰め寄ると、2本のホープ剣で斬り裂き、そして最後に背中の大剣で縦に両断する。
「ぬおぉ…!」
シンオウ LP:6400→3400
「よっしゃあー!!! 遊伸が相手のモンスターを全滅させたぞ! しかも切り札だ!」
「待って鋼貴! …なんだか様子が変……」
空が不安な表情でシンオウを指差す。
シンオウは自身の切り札を倒されたというのに、下を向いて小刻みに笑っている。
「……何が可笑しいんだ! シンオウ!」
「クックック…! 近衛 遊伸、お前は”誤った”」
「負け惜しみ言ってんじゃねーぞ! 全滅したのはお前じゃねーか!」
鋼貴の言葉を聞き、シンオウはとうとう大声で笑い出す。
「ハッハッハッハッハ! その通りだ! 我のモンスターを、”切り札”を倒した! 正しき勝利への行動……そう思ったのであろう? だがそれは大きな間違いだ!」
「また”
シンオウは笑いを収めると、邪悪な笑みを浮かべる。
「…”逆説”の道を選んだ先……お前は”絶望の真実”を知る事となる……見せてやろう! 我が”切り札”の真の姿を! 罠カード《
その瞬間、シンオウが空中に浮かび上がり、”黒い何か”に包まれる。
その”黒い何か”は膨張していき、シンオウの場を完全に覆ってしまう。
その場からシンオウの声が聞こえてくる。
「Sin パラドクス・ドラゴンが破壊された時、我が半身とLPの半分をささげる事でデッキから”真実の姿”を、召喚条件を無視して特殊召喚する事が出来る! さあ来い!」
シンオウ LP:3400→1700
場を覆っていた”黒い何か”が消え去ると、そこにはパラドクス・ドラゴンを上回る程の巨体を持った黄金の竜が現れていた。
その頭頂部はシンオウの下半身と一体になっており、シンオウが邪悪な笑みのまま遊伸を見下ろす。
「我が”全力”の化身……《Sin トゥルース・ドラゴン》!!!」
ATK:5000
「で……出鱈目だ……ここまで来て……こんな事があっていいのかよぉ!!!」
「遊伸……」
鋼貴は膝をついて地面を殴り、空はデッキを抱えて蹲る。
対峙している訳ではない二人を、Sin トゥルース・ドラゴンの威圧感が押しつぶそうとしていた。
「さあどうする”遊戯王”? このSin トゥルース・ドラゴンを前にして!」
「……カードを伏せてターンエンド!」
LP:400
手札:0
モンスター
・X-セイバー パシウル
・XX-セイバー ガルドストライク
・CNo.39 希望皇ホープレイ
魔法・罠
・セット
・セット
・セット
「ハッハッハッハッハ! 我のターン! ドロー!!!」
シンオウ 手札:1+1
「(この状況、Sin トゥルース・ドラゴンを倒すのに一番最善な方法……それは魔法・罠での除去! お前の魂胆など読めている!)」
シンオウの場に伏せられている永続罠《
遊伸がSin Forceに気付き、除去しない限り、Sin トゥルース・ドラゴンを魔法・罠で除去する事は不可能である。
「終わりだ! Sin トゥルース・ドラゴンで希望皇ホープレイを攻撃!」
Sin トゥルース・ドラゴンが口から黒い衝撃波を放つと、衝撃波がホープレイごと遊伸を包む。
「「遊伸!!!」」
鋼貴と空の叫びに応える様に、衝撃波が掻き消され、遊伸が姿を現す。
「罠カード、2枚目の《ガード・ブロック》を発動! ダメージを0にして1枚ドロー!」
遊伸 手札:0+1
「Sin トゥルース・ドラゴンの効果発動! 戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、相手の場に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する! 《ジェノサイド・トゥルース》!!!」
Sin トゥルース・ドラゴンの体から無数の黒いトゲが発射されると、X-セイバー達を貫き、破壊する。
「そ、そんな……遊伸のモンスターが……」
「全滅しちまった…!」
「…先程とは逆の状態……これが”真実”だ! カードを伏せてターンエンド!」
LP:1700
手札:1
モンスター
・Sin トゥルース・ドラゴン
魔法・罠
・フィールドバリア
・セット
・セット(Sin Force)
・セット
フィールド
・Sin World
鋼貴も空も、力なくSin トゥルース・ドラゴンを見上げる。
乗り越えても、乗り越えても、また現れる強大な”力”。
本当に”勝利”などあるのか、二人の心から希望が消えかける。
「もはや勝負はついた、お前にこれ以上の”力”はあるまい……だが何だ! その眼は!」
シンオウの怒声に反応する様に、鋼貴と空は遊伸を見る。
遊伸の顔には恐れはない、ただ真っ直ぐとシンオウを見据え、決闘場に立っていた。
「ゆ、遊伸……恐くないの?」
「恐いよ、空。 だから二人にお願いがある」
遊伸は二人に振り返り、笑顔を浮かべる。
「そんな不安そうにしないで、僕を信じてくれないか? 二人が信じてくれれば……”絆”があれば僕は戦える……勝てるんだ!」
遊伸のあまりに場違いな表情に、思わず二人の顔からも笑みがこぼれる。
「…まったくよ~……お前って奴は……ハハッ! よし、分かった! ほら空! 立て!」
「うん!」
二人は立ち上がると、力強く一斉に叫ぶ。
「「行け! 遊伸!!!」」
「ああ!」
二人の声援を受けた遊伸は再びシンオウに向き合う。
「……お前にはもう何を言っても通じぬか、”阿呆”め。 そこまで”絆”などに縋るなら、それを持って仲良くあの世へと行け! 目障りだ!」
「……シンオウ、さっき僕は言った。 ”人間には可能性がある”と……そして! その”可能性”を何倍にも広げるのが”絆”だ! 僕のターン! ドロー!!!」
遊伸 手札:1+1
「魔法カード《貪欲な壺》を発動! 墓地からモンスターを5体戻しシャッフル! 2枚ドロー!」
デッキに戻したカード
・XX-セイバー ガトムズ
・No.39 希望皇ホープ
・ブライ・シンクロン
・切り込み隊長
・XX-セイバー フラムナイト
遊伸 手札:1+2
「罠カード《シンクロ・スピリッツ》を発動! 自分の墓地のシンクロモンスター1体をゲームから除外し、この効果でゲームから除外したシンクロモンスターのシンクロ召喚に使用したモンスター一組を自分の墓地から特殊召喚する! 僕は《スターダスト・ドラゴン》をゲームから除外し、シンクロ素材の《デルタフライ》と《フォトン・スラッシャー》を特殊召喚!」
遊伸の場に デルタフライとフォトン・スラッシャーが並ぶ。
デルタフライ ATK:1500
フォトン・スラッシャー ATK:2100
「僕は多くの人との”絆”と共に、この決闘場に立っている! 魔法カード《二重波紋》を発動! 自分の場からシンクロモンスターによって決められたシンクロ素材を墓地に送り、そのシンクロモンスター2体をシンクロ召喚扱いとして表側守備表示で特殊召喚する! デュアル・チューニング!」
デルタフライが自身を3つの光輪に変え、フォトン・スラッシャーを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。
「デュアル・シンクロ! 《パワー・ツール・ドラゴン》! 《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》!」
光の柱から現れたのは2体のドラゴン。
一体は機械竜パワー・ツール・ドラゴン、もう一体は妖精竜エンシェント・フェアリー・ドラゴン。
2体は遊伸を守る様に、遊伸の側へ降り立つ。
パワー・ツール・ドラゴン DEF:2500
エンシェント・フェアリー・ドラゴン DEF:3000
この瞬間、遊伸の後方の宇宙に映像が映し出される。
そこに映し出されたのは二人の人間。
一人は男、一人は少女であった。
「おい空! ありゃ友河さんと鈴じゃないか!?」
「うん……だって、あの2体は二人との”絆”の証だから……遊伸、”絆”を繋げていって!」
遊伸はパワー・ツール・ドラゴンを一瞥し、前を向く。
「(友河さん……友河さんの尊敬するデザイナーって、もしかして”広川 遊芽”じゃありませんか?) パワー・ツール・ドラゴンの効果発動! デッキから装備魔法を3枚選択! その内一枚をランダムで手札に加える! 僕が選ぶカードはこれだ! 《パワー・サーチ》!」
シンクロ・ヒーロー
デーモンの斧
ビックバン・シュート
3枚の装備魔法が提示された後、裏返り、ランダムにシャッフルされる。
「さあ選べ!」
「どれを加えようと同じだ! 左!」
3枚のカードのソリッドビジョンが消えると、指定されたカードが遊伸の手札に加わる。
遊伸 手札:2+1
「チューナーモンスター《アタック・ゲイナー》を召喚!」
遊伸の場に小さな戦士、アタックゲイナーが現れる。
ATK:0
「レベル7《パワー・ツール・ドラゴン》に、レベル1《アタック・ゲイナー》をチューニング!」
アタック・ゲイナーが自身を1つの光輪へと変えると、パワー・ツール・ドラゴンを囲み、7つの光をパワー・ツール・ドラゴンの体面に浮き上がらせ、光の柱でパワー・ツール・ドラゴンを包む。
「世界の未来を守るため! 勇気と力がレボリューション! シンクロ召喚! 進化せよ! 《ライフ・ストリーム・ドラゴン》!!!」
光の柱が消えると、パワー・ツール・ドラゴンの機械の装甲にひびが入る。
それが弾けると、中からライフ・ストリーム・ドラゴンが現れる。
ATK:2900
「す、すげぇ! あれが友河さんから貰った”ドラゴン”か!」
ライフ・ストリーム・ドラゴンを初めて見た鋼貴は驚きながら見上げる。
「ライフ・ストリーム・ドラゴンの効果発動! 自分のLPを4000にする! さらにシンクロ素材となったアタック・ゲイナーの効果により、Sin トゥルース・ドラゴンの攻撃力を1000下げる!」
遊伸 LP:400→4000
Sin トゥルース・ドラゴン ATK:5000→4000
「小賢しい真似を! 幾ら回復しようが、モンスターを並べようが、我がSin トゥルース・ドラゴンの前では無力! 全て無駄だ!」
「無駄なんかじゃない! 一つ一つじゃ敵わないかもしれない……だけどカード一枚一枚が繋がり合えば、必ず”勝利への道”となる! 魔法カード《下降潮流》を発動! 自分の場のモンスター1体のレベルを1~3までの任意のレベルとする事が出来る! 《ライフ・ストリーム・ドラゴン》のレベルを1に!」
ライフ・ストリーム・ドラゴン レベル8→1
「シンオウ! 僕はお前には敵わないかもしれない! だけどカードの様に”絆”が繋がれば、僕はお前を越える事が出来る! お前を倒す事が出来る!」
遊伸はそう言うと、目を閉じる。
シンオウが何かを叫んでいるが、遊伸の耳にはもう届いていなかった。
信念を貫き通した先にある”揺るが無き境地”―――そこに辿り着いた遊伸の心が、”絆”で満たされていく。
「(宝月さん、マイルさん、友河さん……俊君、鈴ちゃん、雪江さん、晴男君、愛雨さん、雷蔵君、雲太郎君……)
遊伸の後方の宇宙に、人々が映っては消えていく。
「(フレデリックさん、鋼牙さん、七海さん、高尾さん、グレイグさん……燃次、冷次……)」
突如遊伸のデッキが光り始める。
まるでデッキに”力”が集まるかの様に。
「(……鋼貴、空……沢山の”決闘者”達……カード達………!)」
遊伸は覚醒した様に目を開ける。
「罠発動! 《ロスト・スター・ディセント》! 自分の墓地にあるシンクロモンスター1体を、守備力を0、効果を無効にし、レベルを1つ下げた状態の守備表示で特殊召喚する! 来い! 《X-セイバー ウェイン》!!!」
DEF:400→0
レベル5→4
遊伸の場にウェインが現れる。
ウェインを召喚した遊伸は、無限に広がる星空を見上げ、最後の二人を呼ぶ。
「……父さん! 母さん!」
遊伸が見上げる星空に一筋の流れ星が流れると、そこに二人の男女が映し出される。
男性は意地悪だが何時も自分の相手をしてくれた、懐かしい父の顔。
そして女性は―――――
「……はは、何だ、覚えてるじゃないか……母さんの顔」
遊伸は流れてくる涙を拭い、シンオウに対して構える。
「……今なら出来る! ”絆の同調”……”究極のシンクロ召喚”を!」
「究極のシンクロ召喚だと!? ふざけるな! 最強は我が”力”! それ以上の”力”など存在はしない!」
「出来る! やってみせる! 今こそこのカードを! 父さん!」
遊伸がエクストラデッキから”白紙のカード”を取り出す。
そのカードが遊伸に掲げられた瞬間、テキストと絵柄が浮き出る。
「レベル7《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》と! レベル4《X-セイバー ウェイン》に! レベル1《ライフ・ストリーム・ドラゴン》をチューニング!」
空高くまで飛び上がるエンシェント・フェアリー・ドラゴンとウェイン。
エンシェント・フェアリー・ドラゴンがウェインをその大きな翼で抱くと、ライフ・ストリーム・ドラゴンが自身を黄金に輝く一つの光輪へと姿を変え、エンシェント・フェアリー・ドラゴンを囲うと、11の光、そして決闘場―――否。
「な、何だと!?」
「うおお!?」
「遊伸ーーー!!!」
遊伸達がいる小島全てを覆う程の、光の柱となる。
「集いし星が1つになるとき! 新たな絆が未来を照らす! 光さす道となれ! シンクロ召喚!」
光の柱が消えると、遊伸の遥か頭上、広大な星空の中で、その竜は何よりも輝いていた。
Sin トゥルース・ドラゴンを上回る巨体に、”スターダスト”の系譜を思わせるような姿を持つ。
その竜は決闘場を見下ろすと、空間を揺るがす程の大咆哮を上げる。
実際に空間が歪み、その竜の周りの赤紫の宙域が元の暗く、星が存分に輝く星空へと戻る。
それにより、さらにその竜の輝きが際立った。
「進化の光! 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》!!!」
いいところで終わってしまって申し訳ありませんm(_ _)m
本当はデュエルを全部入れたかったのですが、それだと文字制限を超えてしまいそうだったので、ここで切りました。
一度やってみたかったこういう切り方(笑)
Sin Paradigm Shiftを使う意味は殆どないのですが……そっちの方がカッコイイと思ったので(笑)
次回は一気に書くつもりなので、多分次の投稿が最終回となると思います。
最後までお楽しみにm(_ _)m
今回のオリカ
映画5D'sより
・Sin Tune
・Sin Selector
・Sin Paradigm Shift(少しだけ改編)
・Sin Force
アニメ5D'sより
・シンクロ・スピリッツ
・二重波紋(アニメ仕様)