遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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*今回原作オリカを使用しています。 ご了承ください。

最終回は決着編とエピローグの2話構成です。 続けて投稿するのでどうぞ御覧ください。


第57話 決着 ~戦いの先で~

 

 

「進化の光! 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》!!!」

 

ATK:4000

 

 

現在の状況

シンオウ

LP:1700

手札:1

モンスター

・Sin トゥルース・ドラゴン(アタック・ゲイナーによりATK:4000)

魔法・罠

・フィールドバリア

・セット

・セット(Sin Force)

・セット

フィールド

・Sin World

 

遊伸

LP:4000

手札:1

モンスター

・シューティング・クェーサー・ドラゴン

魔法・罠

・無し

 

暗く広大な宇宙、その全域を照らす程の輝きを放つ竜を、誰もが声を出せずに見上げていた。

その静寂を破ったのはシンオウ。

 

「どういう事だ…ッ! この様な竜は知らぬ! 一体……一体何処から現れたのだ!?」

 

シンオウが知るはずが無い、知れたはずが無い。

来伸がどうやって”白紙のカード”の仕組みを創り上げたのかは分からない。

解る事は一つ、そこから遊伸は創り上げた――――――”究極のシンクロモンスター”を―――――”絆”と共に。

 

「凄い……まるで”神様”みたい……」

 

「うん? 空、どうやら”情報整理ゲーム”が必要みたいだな」

 

「え? 何で?」

 

「言ってたじゃねーか! 遊伸の親父さんがよ、”きっと神様って奴はいるんだ”…ってな! きっとこいつは俺達の”未来”を創る”神様”さ!」

 

そう言うと、鋼貴は笑みを浮かべてシューティング・クェーサー・ドラゴンを見上げる。

 

「装備魔法《シンクロ・ヒーロー》を《シューティング・クェーサー・ドラゴン》に装備! 攻撃力を500ポイントアップ!」

 

ATK:4000→4500

 

「これが……僕等の”絆”だ!!! バトル! シューティング・クェーサー・ドラゴンで攻撃!」

 

シューティング・クェーサー・ドラゴンが右腕を後方へ引くと、右掌に光が集まり、強烈な輝きを放つ。

 

「《天地創造撃 ザ・クリエーションバースト》!!!」

 

そして右掌をSin トゥルース・ドラゴンに向けて突き出すと、その光は巨大な光線となって放たれる。

 

「ふざけるな! 何が”絆”だ! 消え失せろ! 罠カード《次元幽閉》を発動! 攻撃モンスターを除外する!」

 

「シューティング・クェーサー・ドラゴンの効果発動! 1ターンに1度、カード効果の発動を無効にし、破壊する事が出来る!」

 

2体の竜の間に次元の穴が現れるが、シューティング・クェーサー・ドラゴンが放った光はそれを掻き消し、一直線にSin トゥルース・ドラゴンへと向かう。

 

「な、何だとぉぉぉ!!?」

 

「いけぇぇぇーーー!!!」

 

強大な光が決闘場を覆う。

やがて光が収まると、あまりの眩しさに眼を伏せていた鋼貴と空は顔を上げ、眼を開く。

 

「「あっ!!?」」

 

鋼貴は驚き、空は思わず手で顔を覆う。

二人が見たものは、合体し、下半身となっていたSin トゥルース・ドラゴンを吹き飛ばされ、上半身だけで中に浮いているシンオウであった。

 

「ぐ……おお……!」

 

LP:1700→1200

 

「……シューティング・クェーサー・ドラゴンの第2の効果! このカードはシンクロ素材としたチューナー以外のモンスターの数まで、1度のバトルフェイズ中に攻撃する事が出来る! …これで、終わりだ! シューティング・クェーサー・ドラゴンで攻撃!!!」

 

シューティング・クェーサー・ドラゴンが再び掌に光を集めると、シンオウに向けて放つ。

 

「ぐ……おおおおお!!!! 罠カード《ガード・ブロック》を発動!!!」

 

シンオウは満身創痍になりながらも遊伸の攻撃を防ぎ、カードをドローする。

 

シンオウ 手札:1+1

 

「畜生! 防がれたか! でもすげぇ…! これが”究極のシンクロ・モンスター”か!」

 

「(お願い”神様”……遊伸に勝利を……!)」

 

シューティング・クェーサー・ドラゴンは逆転された戦況を再び逆転させ、鋼貴と空の心に再び”希望の炎”を灯した。

シンオウは凄まじい形相でシューティング・クェーサー・ドラゴンを睨む。

 

「おのれ…!」

 

「ターンエンド!」

 

LP:4000

手札:0

モンスター

・シューティング・クェーサー・ドラゴン

魔法・罠

・無し

 

「おのれぇぇぇ!!! 我のターン! ドロー!!!」

 

シンオウ 手札:2+1

 

「速攻魔法《Sin Cross(シン クロス)》を発動! 自分の墓地に存在する《Sin》と名のついたモンスター1体を選択! 選択したモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する!  戻れ! 《Sin トゥルース・ドラゴン》!!!」

 

「させない! シューティング・クェーサー・ドラゴン!!!」

 

シューティング・クェーサー・ドラゴンが体から光を放つと、シンオウが発動した魔法が光の粒子となって消える。

 

「そうだ! 無効にするしかあるまい! …だが、その先にある”真実”は”絶望”だ! 魔法カード《ブラック・ホール》を発動! 場のモンスターを全て破壊する!」

 

決闘場の遥か上空に黒い渦―――ブラック・ホールが現れると、 シューティング・クェーサー・ドラゴンが光の粒子となって徐々に吸い込まれていく。

 

「ああ!? そんな……シューティング・クェーサー・ドラゴンが……」

 

「くそー!!! やめろーーー!!!」

 

空と鋼貴の叫びも虚しく、シューティング・クェーサー・ドラゴンは完全にブラック・ホールに飲み込まれてしまう。

 

「何が”絆”だ! 我を上回る”力”など存在せん! お前達の”絆”も”希望”も”未来”も……全て断ち切ってやったわ! ハッハッハッハッハ!!! ……!?」

 

シンオウはある異変に気付く。

ブラック・ホールの中心、そこから僅かに光が洩れている。

 

「馬鹿な……全てを……光すら飲み込むブラック・ホールから光が!?」

 

「……”絆”も”希望”も”未来”も……断ち切らせはしない!!! シューティング・クェーサー・ドラゴン最後の効果を発動!!!」

 

僅かな光が閃光を放つと、ブラック・ホールの中心から一筋の流星が飛び出し、星空を縦横無尽に飛びまわる。

そして遊伸が持っている”シューティング・クェーサー・ドラゴン”のカードが発光すると、2枚のカードに分裂する。

 

「このカードが場から離れた時、新たに輝く星を生み出す! 現れよ!!!」

 

飛びまわっていた流星が遊伸の場に降り立つ。

降り立ったのはシューティング・クェーサー・ドラゴンと同様、”スターダスト”の系譜を思わせる竜。

体が白く輝く装甲で覆われた、機械的な姿をしている。

 

「生来せよ! 《シューティング・スター・ドラゴン》!!!」

 

ATK:3300

 

「ふざけるな……ふざけるなァ!!! ターンエンド!!!」

 

LP:1200

手札:1

モンスター

・無し

魔法・罠

・フィールドバリア

・セット(Sin Force)

フィールド

・Sin World

 

「よっしゃー!!! ”神様”に隙はなかったぜ! やっちまえ遊伸!」

 

「ああ! 僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:0+1

 

「バトル! シューティング・スター・ドラゴンで攻撃! 《スターダスト・ミラージュ》!!!」

 

シューティング・スター・ドラゴンが手足を折り畳み、翼から光り輝く風を噴出させると、星空へと飛び上がり、一度旋回した後シンオウ目掛けて突撃する。

 

「ウオォォォ!!! 手札から《バトルフェーダー》の効果発動ォ! 手札から特殊召喚! バトルフェイズを終了だ!!!」

 

シンオウの場にバトルフェーダーが現れ、鐘を鳴らすとシューティング・スター・ドラゴンが軌道を変え、遊伸の場に戻ってきてしまう。

 

DEF:0

 

「畜生! 粘りやがるな!」

 

「通らないなんて…!(何だろう……嫌な予感がする……急いで遊伸!)」

 

攻撃が通らないからか、それとも空だから”何か”を感じたのか、空は異様な不安を感じる。

 

「ターンエンド!」

 

LP:4000

手札:1

モンスター

・シューティング・スター・ドラゴン

魔法・罠

・無し

 

「(”力”だ! ”力”を!!!) 我のターン!!! ドロー!!!」

 

シンオウ 手札:0+1

 

「(違う! これではない!) カードを伏せてターンエンド!!!」

 

LP:1200

手札:0

モンスター

・無し

魔法・罠

・フィールドバリア

・セット(Sin Force)

・セット

フィールド

・Sin World

 

「へへ! もう防戦一方じゃねぇか! このまま押し切れるぜ!」

 

「(お願い……そうなって!)」

 

「僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:1+1

 

「バトル! シューティング・スター・ドラゴンで攻撃! 《スターダスト・ミラージュ》!!!」

 

再びシューティング・スター・ドラゴンが突撃し、バトルフェーダーを打ち砕く。

 

「おのれ…! おのれ近衛 遊伸!!!」

 

「カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:4000

手札:1

モンスター

・シューティング・スター・ドラゴン

魔法・罠

・セット

 

「(こんな事が……こんな事があって堪るか!!! 頂点は我……最強は我の”力”だ! ”絆”などであっていいはずが無い!!!)」

 

シンオウは認めなかった。

自身が追い求めて、ようやく手にした”力”を上回る”力”―――遊伸達の”絆”を。

 

「(もっとだ! 何でもいい! ”力”を! 我に”力”を!!!)」

 

平静を無くし、尋常ではない様子のシンオウを見て、空の不安はますます大きくなる。

そして――――――その不安は現実となる。

 

「……お前に出来て、我に出来ぬはずが無い!!!」

 

「え…?」

 

「やってやる…! ”力の創造”を! ウオォォォーーー!!!」

 

その瞬間、シンオウのデッキが黒く光る。

 

「我のターン!!! ドロォーーー!!!」

 

シンオウ 手札:0+1

 

「魔法カード《龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)》を発動! そして速攻魔法《非常食》をチェーン発動! 魔法・罠を任意の枚数墓地へ送り、送ったカード1枚につき1000LP回復する……もはや必要は無い! 全て消え去れ!」

 

墓地へ送ったカード

・フィールドバリア

・Sin Force

・龍の鏡

・Sin World

 

シンオウ LP:1200→5200

 

Sin Worldが消滅した事により、周りの風景が通常の物に戻る。

 

「げっ! LPが遊伸を上回っちまったぞ! でもあのフィールド魔法から使ってない罠まで送っちまうとは……そんなに回復したかったのか?」

 

「……そんな事言ってる場合じゃないよ鋼貴! あれ!」

 

空がシンオウの場を指差すと、黒い渦の様なものが渦巻いている。

先程発動した魔法のようだ。

 

「創ってみせる……真の……”最強の力”を!!!」

 

シンオウは墓地から5枚のカードを取り出し、その渦へと放り投げる。

 

・Sin トゥルース・ドラゴン

・Sin パラドクス・ドラゴン

・Sin レインボー・ドラゴン

・Sin 青眼の白龍

・Sin 真紅眼の黒竜

 

「今こそ我が”力”を一つに! 現れよ! 融合召喚! 《F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》!!!」

 

黒い渦の中からとてつもない気配が溢れてくる。

その瞬間、黒い渦から五頭一体の怪物が這い出てきた。

 

「な!? 何だよこいつはッ…!?」

 

「嫌……嫌ぁ!!!」

 

それはシンオウの”力”への”欲望”――――――ただ”力”だけを求めた結果生まれた、醜悪な化け物。

Sin トゥルース・ドラゴンと同様、黄金の巨体を持った竜――――――それだけならよかった。

その5本の首、外の左右はそれぞれ青眼の白龍、真紅眼の黒竜。

内の左右はレインボー・ドラゴン、パラドクス・ドラゴン。

そして中央の首はトゥルース・ドラゴン、その頭頂部に再びシンオウが合体する。

まったく体に不釣合いな5本の首はそれぞれ勝手に動き回り、あるものはこの状態から逃れようと、あるものは遊伸に襲い掛かろうと、必死に首を動かしたり、奇声を上げたりする。

あまりにも凄惨な光景に、鋼貴は呆然とし、空は泣き出してしまう。

 

ATK:5000

 

「なんて……なんて事を……」

 

「フフフ……ハッハッハッハッハ!!! どうだ”遊戯王”! これが我が”力”よ!」

 

遊伸は怒りの眼でシンオウを睨む。

 

「シンオウ! 聞こえないのか! ドラゴン達の悲鳴が! あれじゃもうドラゴンじゃない! …いや、デュエルモンスターですらないよ!」

 

「黙れ! これは我の”力”だ! 我が”最強”だ! バトル!  F・G・Dでシューティング・スター・ドラゴンを攻撃!」

 

シンオウが攻撃宣言を行うと、5本の首は一斉に、シューティング・スター・ドラゴンに向けてそれぞれの技を繰り出す。

 

「シューティング・スター・ドラゴンの効果発動! 自身をゲームから除外して攻撃を無効にする!」

 

シューティング・スター・ドラゴンが粒子となって消えると、F・G・Dが放った攻撃は外れ、全て宇宙の彼方へと消える。

 

「逃したか! だがこれでお前のモンスターは消えた! 次で終わりにしてやる! ターンエンド!」

 

LP:5200

手札:0

モンスター

・F・G・D

魔法・罠

・無し

 

シューティング・スター・ドラゴンは攻撃を無効にした後、エンドに帰還する能力を持つ。

だが幾らシューティング・スター・ドラゴンでも、蘇生制限を満たさなければ特殊召喚は不可能。

ダメージは防げたが、シューティング・スター・ドラゴンを失う事に変わりはない。

 

「……僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:1+1

 

「(頼む……僕のデッキ。 ドラゴン達を救う為の”力”を僕に!)罠カード《無謀な欲張り》を発動! カードを2枚ドロー!」

 

遊伸 手札:2+2

 

「手札から速攻魔法《異次元からの埋葬》を発動! 除外されている《シューティング・スター・ドラゴン》を墓地に戻す!」

 

「無駄だ! 何をしようが我が”力”の集結体を倒す事など出来ん!(そして我は更に創り出す! 奴を”絶望”に叩き落すカードをな!)」

 

シンオウは遊伸を見下ろしながら笑うと、それに反応する様にシンオウのデッキが黒く光る。

おそらくは遊伸に止めを刺すカードを創り上げたのであろう。

シンオウの”力”は、既に”神”に等しいのかもしれない。

遊伸はそんなシンオウを見上げながら、手札の1枚を取り出すと、その1枚が白く光り輝く。

 

「(僕のカード達……最後まで僕と共に!) シンオウ! これが僕の……最後の”切り札”だ!!! 魔法カード《ミラクルシンクロフュージョン》を発動!!!」

 

遊伸の場に、”龍の鏡”の時とは正反対の白い渦が現れる。

 

「墓地の《シューティング・クェーサー・ドラゴン》と《CNo.39 希望皇ホープレイ》を融合!!!」

 

白い渦に二つの光が吸い込まれると、その渦の中心から波紋が広がり、中から1体の竜が姿を現す。

 

「待ってたぜ! やっぱり……遊伸といえばこいつだ!」

 

「うん! ずっと一緒に戦ってきた……遊伸の”切り札”!」

 

その竜が遊伸の場に降り立つと、その大きな槍をF・G・Dに向かって構える。

遊伸に残された最後の切り札―――

 

「《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》!!!」

 

ATK:3200

 

「何を出すかと思えば……同じ融合召喚なら何とか出来るとでも思ったのか!」

 

「同じなんかじゃない! 僕は……”絆”でモンスター達を繋ぐ! 魔法カード《破天荒な風》! さらに速攻魔法《イージー・チューニング》をチェーン発動! 墓地のチューナーモンスター《ライフ・ストリーム・ドラゴン》を除外して、攻撃力を2900ポイント、そして《破天荒な風》の効果で1000ポイント、合計3900ポイント攻撃力をアップ!」

 

ドラゴエクィテスの周りに強風が吹き始めると、その背後にライフ・ストリーム・ドラゴンが現れる。

ライフ・ストリーム・ドラゴンは自身を黄金に輝く8つの光輪へと変え、ドラゴエクィテスを囲む。

ドラゴエクィテスがその光輪を吸収すると、ドラゴエクィテスの体が黄金に輝き始める。

 

ATK:3200→7100

 

「F・G・Dの攻撃力を上回っただと!? …だが無駄だ! 我がLPは十分にある! さらにF・G・Dは戦闘では破壊されん! お前に我を倒すことは不可能だ!」

 

「変えてみせる! ”不可能”を”可能”に!  ドラゴエクィテスの効果発動! 墓地に存在するドラゴン族シンクロモンスター1体をゲームから除外し、エンドフェイズ時までそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る事が出来る! 《シューティング・スター・ドラゴン》を除外してその名と効果を得る! 《エフェクト・シンクロ》!!!」

 

遊伸の墓地から光の粒子が飛び出すと、それをドラゴエクィテスが吸収する。

 

「そしてドラゴエクィテス(シューティング・スター・ドラゴン)の効果発動! 自分のデッキの上からカードを5枚めくる! このターン、このカードはその中のチューナーの数だけ攻撃する事が出来る!」

 

「マジかよ!? …遊伸のデッキのチューナーって後何枚だ?」

 

「…幾ら遊伸のデッキがシンクロ中心の構築だとしても、デッキに入るチューナーの数は10にも満たないよ……シンオウのLP、そしてドラゴエクィテスの攻撃力から考えて、遊伸が引き当てなきゃならないチューナーの数は……3枚!」

 

遊伸のデッキに入っている全てのチューナーの内、既に半分近くは墓地に置かれてしまっている。

デッキ自体少なくなってきているとはいえ、3枚引き当てるのは難しい。

 

「”絆”だけではなく”運”にまで縋るか! 見下げたぞ!」

 

「これは”運”なんかじゃない! 僕には解る! 必ずデッキは応えてくれる! 僕は……カードを信じる! 1枚目!!!」

 

 

チューナーモンスター《X-セイバー パロムロ》

 

 

「ありえん! デッキが応えるだと? 勝利を呼び寄せるのは己の”力”だ!!!」

 

「2枚目!!!」

 

 

装備魔法《ビッグバン・シュート》

 

 

「カードを信じれば……”奇跡”は起きる! 3枚目!!!」

 

 

チューナーモンスター《X-セイバー エアベルン》

 

 

「ふざけるな! そんな……そんな”奇跡”など…!」

 

「4枚目!!!」

 

 

罠カード《聖なるバリア―ミラーフォース―》

 

 

「起こしてみせる! それが……”絆の力”だ!!! 5枚目!!!」

 

 

 

 

        チューナーモンスター

 

 

 

 

 

      《救世竜 セイヴァー・ドラゴン》

 

 

 

 

 

「ば、馬鹿な!!!?」

 

「いけぇ!!! ドラゴエクィテス(シューティング・スター・ドラゴン)! 《スパイラル・ジャベリン》!!!」

 

ドラゴエクィテス(シューティング・スター・ドラゴン)が槍をF・G・Dに投擲すると、その槍がF・G・Dの胴体に深く突き刺さる。

 

「ぐおぉぉぉ!!!」

 

シンオウ LP:5200→3100

 

「2回目の攻撃! 《スラッシュ・ウェーブ・フォース》!!!」

 

続けてドラゴエクィテス(シューティング・スター・ドラゴン)がF・G・Dとの間合いを一気に詰めると、F・G・Dの体から槍を右手で引き抜き、左掌から刃状の波動を放つ。

その波動が中心のトゥルース・ドラゴン以外の首を全て切り落とした。

 

「があぁぁぁ!!!」

 

シンオウ LP:3100→1000

 

「これが……最後の攻撃!!! 《スターダスト・ミラージュ》!!!」

 

ドラゴエクィテス(シューティング・スター・ドラゴン)は一度離れると槍を構え、光の粒子を体に纏いながらシンオウ目掛けて突撃する。

 

「あってたまるかァーーー!!!! 最強の! 最強の”力”を手に入れたはずの我が! 敗れるなど―――」

 

ドラゴエクィテス(シューティング・スター・ドラゴン)の槍が、シンオウを貫く。

 

「ぐあぁぁぁーーー!!!」

 

シンオウ LP:1000→0

 

槍に貫かれた事で、シンオウの体がF・G・Dから切り離される。

 

「……よっしゃあーーー!!! 勝った!!! 遊伸が勝ったぞ!!!」

 

「よかった……よかったよぉ~…遊伸」

 

だがその瞬間、地響きが鳴り始め、小島が崩壊を始める。

 

「な、何だ!?」

 

「あれ見て!?」

 

見ると”力”を制御していた主を失ったF・G・Dの中の”力”が暴走を始め、この空間ごと消滅しようとしていた。

 

「や、やべぇ!? このままじゃ……!?」

 

すると突然、鋼貴と空の体が浮き上がる。

二人の体は虹色の光に包まれており、二人の背後には―――――

 

「レインボー・ドラゴン!? 無事だったのね!」

 

ドラゴエクィテスの一撃により、シンオウとF・G・Dの呪縛から解放されたレインボー・ドラゴンが現れた。

レインボー・ドラゴンは二人を背に乗せると、地上を目指して飛び上がる。

 

「待ってレインボー・ドラゴン! まだ遊伸が……遊伸ーーー!!!」

 

空の叫びを無視してレインボー・ドラゴンは飛び続ける。

 

そして―――F・G・Dを中心に、”記憶の間”は光に包まれた。

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「……こ、ここは…?」

 

遊伸が目を覚ますと、そこは何も無い空間。

見渡す限り全てが白い世界。

 

「僕は……シンオウとのデュエルに勝って……」

 

遊伸はぼんやりとした意識を覚醒させ、もう一度辺りを見渡す。

何も無い空間、そこには自分と―――もう一人。

 

「何故だ…! 何故勝てなかった…!?」

 

そこには見た事も無い民族衣装を着た、荘厳な姿の男が項垂れていた。

 

「……シンオウ?」

 

それは間違いなく遥か昔に、まだ人の姿をしていた頃のシンオウであった。

 

「これがお前の言う”絆の力”なのか…? ”絆”が我の”力”を上回るというのか…?」

 

シンオウは力に任せて地面を殴りつける。

この様な空間では、そこが地面なのかすら分からない。

 

「認めん! 認めて堪るか! そんなものが”最強の力”などど認めてしまったら……我が求めた”最強の力”とは何だったのか!!!」

 

シンオウは勢いよく遊伸に振り向く。

 

「”絆”とは一体なんなのだ!? 宝月は……お前は……”遊戯王”は何故ここまでの”力”を持っているのだ! 答えろ!」

 

シンオウは遊伸に掴みかかるが、突然脱力した様に手を離す。

 

「……聞いたところで、我には到底理解できん……我は……お前達には敵わんのか…!」

 

「……僕達が持っていて、シンオウが持っていないもの……”絆”がこのデュエルの勝敗を分けた……だけど、実はそれだけじゃないんだ」

 

「何だと!? まだ”力”があったと言うのか!?」

 

シンオウが再び遊伸に掴みかかると、遊伸は少し困ったような表情をする。

 

「いや、その……”力”というか……」

 

「何だ! 言ってみろ!」

 

シンオウに迫られ、遊伸は意を決して語り出す。

 

「……僕は最初、お前の事が憎くてしょうがなかった。 自分の野望の為に多くの人々を不幸にしてきた、全ての元凶……今でもその気持ちは変わらない……でも!」

 

遊伸は突然決闘盤を構え、目を閉じる。

さっきまでのデュエルを思い出しているようだ。

 

「あんなに憎いはずだったのに……悲しくて、辛くて、命と世界の”未来”を賭けたデュエルだったはずなのに……僕はあの時……心の奥底ではとても”楽しい”と感じていた!」

 

「”楽しい”……だと……」

 

「ああそうさ! …やっぱり僕は”決闘者”なんだ! デュエルが好きなんだ! そしてあの時、とてつもなく強いお前を前にして、僕の”心”は燃え上がっていたんだ!」

 

遊伸は自身の胸に手を当てる。

そこで燃えている”火”を確かめるように。

 

「きっとシンオウが相手じゃなかったら……この”熱い気持ち”がなかったら……”絆”があっても、僕はここまで”力”を出せていなかったと思う。 シンオウが相手だったからこそ、僕は勝つ事が出来たんだ! ……さっきまであんな戦いをしていた相手に、こういう事を言うのは変かもしれないけど、言わせて欲しい―――」

 

 

 

 

楽しいデュエルを、ありがとう―――――

 

 

 

 

遊伸はシンオウに頭を下げる。

 

「……フフ……ハハハ……そうか、”楽しい”……成る程……だから”遊戯王”か……」

 

シンオウは何かを悟った様な表情で笑う。

先程までの葛藤は既に無い。

 

「……近衛 遊伸、我は冥府へと旅立つ」

 

「え!?」

 

「我が我である限り、何度復活しようともお前には勝てん……だから”0”からやり直す。 そして再びこの世に生を受け、”学習”し、覇を称える……”遊戯王”よ、お前の言う”絆”を”最強の力”と信じるならば、誓え―――」

 

 

 

我が再び生を受けるその日までに、お前が言った”未来”を創り上げてみせる、と。

 

 

 

「……ああ! 誓う! 創ってみせる!」

 

シンオウは遊伸の言葉に頷くと、上を見上げる。

 

「……どうやらお前の迎えが来たようだ」

 

遊伸が後ろを振り向くと、そこにはレインボー・ドラゴンがいた。

遊伸の体が浮き上がると、レインボー・ドラゴンは遊伸を背に乗せて飛び立つ。

 

「……さらばだ……次は我が勝つ!」

 

シンオウは遊伸がレインボー・ドラゴンと共に向かった方向の逆へと歩き始める。

その姿は白い世界へと消えていった。

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「遊伸! しっかりして! 遊伸!」

 

「う……ん……?」

 

空の呼びかけに反応し、遊伸は目を覚ます。

体を起こして回りを見渡すと、そこには鋼貴や空だけではなく、高尾や七海、フレデリック、そして隠れ家に残ったはずの宝月達全員がいた。

遊伸が目を覚ました場所、それは宝月の隠れ家であった。

 

「あれ……ここは? 皆…?」

 

「遊伸!!!」

 

目を覚ました遊伸に、空が勢いよく抱きつく。

その目には涙が浮かんでいた。

 

「もう! 心配したんだから……」

 

「ご、ごめんよ、でも何でここに……僕はあの後……レインボー・ドラゴンに乗って……」

 

「遊伸も思い出せねぇか、俺等もそうなんだ、レインボー・ドラゴンに乗ったとこは覚えてんだけどなぁ……あれ? ていうか、お前もあの時ちゃんと乗ってたんだな、安心したぜ!」

 

鋼貴が笑いながら遊伸の背を叩く。

鋼貴の後ろから高尾が進み出て、座ったままの遊伸に手を貸し、立ち上がらせる。

 

「すまない遊伸、お前の勇姿を見に行けなくて……あの後、さらに増援が来てな、こっちもフレデリックさんが来てくれて、何とか片付けられたんだ」

 

「その後、私達は階段を下っていったのだけれど……突然、大穴の中が光に包まれたの。 その中にいた私達もね」

 

七海が不思議そうな表情をする。

それでどうなったのかを、フレデリックが引き継ぐ。

 

「気付けば私達はこの隠れ家にいました。 倒れていた遊伸君達3人と共に……」

 

「一番驚いたのは俺達だぞ! 突然レインボー・ドラゴンがドアを突き破って入ってきたと思いきや、お前等を放りだしたんだからな!」

 

グレイグが胸を押さえながら言う。

そんな事が起こったのだとしたら、流石のグレイグでも驚くだろう。

 

「! そうだ、レインボー・ドラゴンは!?」

 

「遊伸……」

 

遊伸が呼ばれて振り向くと、そこには肖像画ではない、本物の”相棒”のカードを手に持った宝月が涙を流しながら立っていた。

 

「ありがとう……! 本当に……ありがとう…!」

 

「宝月さん…! よかった……」

 

胸を撫で下ろす遊伸の肩を、鋼牙が叩く。

 

「倒したんだな? ”戦いの覇者”を……」

 

「はい……もう”戦いの覇者”が復活する事は無いでしょう」

 

遊伸の言葉に誰もが驚く。

 

「ゆ、遊伸!? マジかそれ!」

 

「お前が消滅させたのか? それとも封印か? …どちらにせよ、凄い奴だな」

 

燃次と冷次が驚きと尊敬の眼差しを遊伸に送る。

 

「そんなんじゃないさ、僕等は……解り合えたんだと思う。 だから次に現れるとしたら、それは”戦いの覇者”なんかじゃなくて……”ライバルの決闘者”です」

 

「そうか……君は……奴さえも”動かした”か……来伸、遊芽……君達の息子が繋げたぞ……果てしない”未来”を……」

 

宝月は再び涙を流す。

宝月から始まった70年の戦いが、今ここに幕を下ろした。

 

「……皆さん! 全てが終わった事を報せに……そして、新しい”未来”が始まる事を伝えに……帰りましょう―――」

 

 

 

             僕等の都市へ! ネオ童実野シティへ!

 

 

 

 

 

 




ようやく決着がつきました。
色々ちゃんと効果を説明していない部分がありますが、テンポを優先させたという事で。

次はエピローグです。 よろしければどうぞ!
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