遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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こちらはエピローグとなります。 先に57話をどうぞ。
*遊伸の回想では、遊伸による一人称形式となります。 ご了承ください。


最終話 未来へ ~それぞれの道~

ネオ童実野シティ シティ内陸部 マーシャル・レッド事務所

 

 

* * *

 

近衛 遊伸の日記

 

3月△日

あの戦いから半年が過ぎた、今僕達はそれぞれの未来を進んでいる。

そんな中、僕は急に思った。 これからずっと歩いていく未来、そして過去に残していく足跡、その足跡を振り返る事が出来る様にしたいと。 足跡だって今まで歩いてきた未来だから大切にしたい、だから僕は日記をつける事にする。

 

今日の所はとりあえず、戦いが終わった後から今日までの足跡を拾い集め、ここに記していく。

 

* * *

 

 

「う~ん……何から書こうかな……」

 

ネオ童実野シティに帰った後、遊伸達は考え始めていた。

この先長い未来をどう進んで行くのかを。

遊伸は皆と話した”未来への道”を思い出しながら、日記に筆を走らせた。

 

……

…………

………………

……………………

 

「遊伸、私は誓う。 必ずこのサテライトを再びシティの一部に戻して見せると!」

 

宝月さんはアルカディア・ムーブメントを立て直し、サテライトの開発事業を復活させた。

補佐役はフレデリックさんと、そしてもう一人に僕等は驚かされた。

 

「心配ないですぜ! 何せ若い頃は俺もサテライトで大先輩並みにブイブイいわせてましたからね! 知り尽くしてますよ! サテライト開発事業! 俺がしっかりと支えてみせますよ!」

 

何とグレイグさんがマーシャル・レッドを辞めて宝月さんの元へと行ってしまったのだ。

憧れの人だったし、予想が出来なかった訳ではないけど。

 

「私としてはとても心強いが……グレイグさん、本当にマーシャル・レッドを辞めてしまってもよろしかったのですか?」

 

「いいんですよ! これが俺の昔からの夢だったし、マーシャル・レッドにはロートンも”遊戯王”殿もいますからね! 安心ですよ! 頼んだぞ! 遊伸!」

 

そう言って僕の肩を叩いた、ちょっと無責任なグレイグさんの顔はとても晴れやかだった。

 

「あはは……ところで宝月さん、サテライトの開発が終わったら、次は何をするんですか?」

 

「次、か……これだけはやり遂げるつもりだが、私の先はもう長くないだろう……」

 

「…宝月さん! まずは”想って”みるんです! そうすれば叶うかもしれない……長生きだって出来ますよ!」

 

「そうか……フフ、そうだな……開発が終わったら……その時は思いっきりデュエルを楽しんで過ごしたいな! ”相棒”と共に!」

 

レインボー・ドラゴンのカードを手に持った宝月さんは、皺だらけの顔を更にくしゃくしゃにして笑っていた。

何時までも長生きしてください、宝月さん。

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「おめでとうございます、高尾さん!」

 

「ありがとう! ここからが俺のスタートだ!」

 

高尾さんは今回の戦いで実力を認められて、治安維持局、セキュリティからの推薦により、何とプロリーグへの加盟が決定、つまりプロ決闘者となったのだ。

スポンサーはアルカディア・ムーブメントらしい。

 

「俺は……ここまで”信念”を貫いてきて本当によかった! 俺はずっとこいつ等と共に戦い続ける! ……俺の”信念”が、プロデュエルの高みをも貫いたその日には遊伸、あの時のリベンジを果たさせて貰うぞ!」

 

嬉しそうに決闘盤を掲げて見せる高尾さん。

高尾さんならそう遠くない”未来”で、今の言葉を実現させてしまうかもしれない。

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「何だか堅苦しいな~」

 

「そういうものだろう、制服なんて」

 

「二人とも、似合ってるよ」

 

燃次と冷次は4月からデュエル・アカデミアの高等部1年生だ。

しかも学費全額免除の特待生として。

何でそんな事になったのかというと―――

 

「…ぼんやりとした意識の中で見えたのだ! ”才能の輝き”が! タッグでワシを打倒す程なら、シングルの才能だってあるはずだ! あの二人を立派な決闘者に育て上げるのがワシの使命! デュエル界の”未来”の為! 全力を尽くさせてもらうぞ!」

 

元プロ決闘者にしてデュエル界の重鎮、そして第2の試練で燃次達と戦った霧島さんの計らいによるものだった。

あの戦いの後、他の決闘者と共に無事保護された霧島さんは、鋼牙さんと同じ様にデュエルの時の記憶が残っていたらしくて、操られていたとはいえ自分を倒した二人に凄く惚れ込んでしまったらしい。

新たにアカデミアの教諭となった霧島さんの下で、高等部3年間と候補生への進学、合わせて4年間の修学を条件に、二人は特別入学する事となったのだ。

 

「それにしても1年遅れだろ? 絶対浮くだろ……」

 

「周り殆ど年下だしな……」

 

「……そもそもこれだけ好条件の特待生、って時点で浮いてると思うけど……」

 

「「それもそうか」」

 

これだけ息があっている二人なら、二人で協力して何処でもやっていけると思う。

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「……ごめんね、鈴ちゃん。 嘘ついて……」

 

「ううん! 気にしないで七海さん! ……でも、本当に私が貰っていいの?」

 

「ええ……役目を終えた今、エンシェント・フェアリー・ドラゴンが一緒にいたいと思っているのは、あなただから……」

 

七海さんと僕は約束通り、一緒に鈴ちゃんへ本当の事を伝え、エンシェント・フェアリー・ドラゴンを返した。

やっぱり僕が持っているよりも、鈴ちゃんが持っている方がしっくりくる。

 

七海さんは帰ってから暫くは空と叔母さん……家族との時間を過ごしていたけど、後に本人の希望でデュエル研へ入所した。

デュエル研でサイコ・デュエルの研究をするらしい。

 

「来伸さんは”サイコ・デュエリストは世界を守る為に生まれた”って言っていたそうだけど、世界が守られた今でも、私達の”力”はまだ残っている……だからきっと、まだ何か意味があると思うの、私はそれが知りたい……」

 

アルカディア・ムーブメントはサテライト開発に専念する為、サイコ・デュエルの研究を停止。

サイコ・デュエルに関するデータは全部デュエル研に譲渡されたそうで、扱いに困っていたマイルさんは喜んで七海さんを迎え入れてくれた。

 

「七海さんの道が決まってよかったです! …でも研究の合間にでもいいので、空に構ってやってくださいね?」

 

「解ってるわ……ふふ! 10年分、埋め合わせなきゃね……」

 

空とよく似た顔で微笑む七海さん、七海さんが費やした10年分、自由に、そして幸せになれるように、僕は願う。

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「……その通りだよ、遊伸君……まさかあの人が君のお母さんだったなんてね」

 

僕はデュエル研にて、マイルさんと友河さんにあの戦いの出来事の全てを話した。

力になってくれた二人には、知る権利があったと思ったから。

 

「遊伸君の話でようやく今までの謎が解けたよ! それにして君のお爺さんが元ここの所長だったのか……何代前なのか、ちょっと調べてくるよ!」

 

マイルさんは僕の話に興奮して探求心がくすぐられたのか、調べに行ったまま暫く戻って来なかった。

 

「……友河さん、今度時間が空いている時に、僕と一緒にサテライトへ行ってくれませんか?」

 

「サテライトに…?」

 

「…サテライトには僕の父さんと母さんのお墓があるんです。 ですから、一緒に報告へ行きませんか? 僕が受けた依頼ですけど、友河さんが直接来て伝えてくれた方が、母さんもきっと喜ぶと思うんです」

 

「…そうだね、私もそうしたい。 是非一緒に行かせて貰うよ」

 

この約束を果たせば、友河さんの依頼は完了となる。

何時か母さんと会った時の話を、詳しく聞いてみたいな。

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「ごめんね、遊伸……」

 

「謝る事はないさ、逢えなくなる訳でもないし、今はそうした方がいいと僕も思う。 ……たまに遊びにおいで」

 

空も4月には2年生だ。

首席でもあるから、上に立つ上級生としてそろそろやんちゃは出来なくなってくる。

そういった理由による、アカデミアの教諭達の説得、そして何より、出来るだけ七海さんとの時間を作りたいという空の意思で、空はマーシャル・レッドを抜ける事となった。

 

「えっと……遊伸……私、必ず遊伸のところに戻ってくるから!」

 

「どうしたんだい? 大げさだなぁ…」

 

「……遊伸!!!」

 

「え!? な、何?」

 

「……え~と…………あのねッ! ……私……遊伸の事……ッ~~~やっぱりなんでもない!!! またね遊伸!!!」

 

そう言って空は走り去ってしまった。

怒らせてしまったのか、空の顔は真っ赤だった。

よく解らないが、今度あった時に謝っておこう。

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「すまない遊伸、突然辞めちまってな」

 

「気にしないでくれ鋼貴、君と僕の仲じゃないか」

 

鋼貴は鋼牙さんの推薦により、何とセキュリティに入ってしまった。

あってもおかしくない事だけれど、僕は一番これに驚いたと思う。

ずっと鋼貴はマーシャル・レッドにいるものだと、僕は思い込んでいたようだ。

何せシティで一番付き合いが長くて、お世話になったのが鋼貴だったから、これからもそうだと、それが日常だと、僕は思っていたのかもしれない。

 

「俺、今までずっとデュエルチームとしてやっていこうと思ってた。 その方が気ままだし、俺にはあってると思ってた……でも今は違う! 俺は試して見たいんだ! 自分が何処まで行けるのかを……まずは兄貴がいるセキュリティで自分を鍛え上げてから、次はプロ、そして”決闘王”……最後に”遊戯王”! ……”親友”よ! 見ててくれ! 俺は何処までも強くなる! そして……何時かお前を倒してみせるからな!」

 

「…ああ! 僕だって負けないぞ! 楽しみにしているよ!」

 

進む道は違うけど、目指す所は同じ。

僕と鋼貴は、何時までも競い合う”ライバル”であり、こうして笑いあう”親友”でいるだろう。

 

……………………

………………

…………

……

 

「ふう……後は僕だな」

 

「おい遊伸! 何してる! 仕事だ!」

 

事務所のテーブルに置かれた日記の前で筆を握りなおした遊伸に、新所長のロートンが大声で呼びかける。

遊伸が選択した道、それはマーシャル・レッドに残る事だった。

 

「え!? もうそんな時間ですか? 予定では午後じゃ……」

 

「緊急の依頼だ! 噴水広場でかなりでかいデュエルの喧嘩が起きてるそうだ! 鋼貴(セキュリティ)に仕事をくれてやる必要は無い! 騒ぎがこれ以上大きくなる前に止めてこい!」

 

「はい!」

 

遊伸は急いで日記を片付け、決闘盤を装着する。

 

「俺はグレイグとは違ってこのチームに思い入れがあるんだ、絶対に潰したくはない。 だから遊伸、お前一人でもキリキリ働いて貰うぞ。 その分給料も出す」

 

「あ、その事なんですけど、燃次と冷次が4月からバイトで入ってくれるそうです!」

 

「そうか! そりゃよかった! …だが今は3月だ、4月までお前に頑張ってもらうぞ! さあ行け!」

 

「行ってきます!」

 

遊伸は事務所から勢いよく飛び出す。

遊伸には他に二つの選択肢があった。

一つは宝月から”プロ決闘者”を勧められた事、もう一つは鋼牙を通して話を聞いた藤堂長官から、世界を救った決闘者として”治安維持局特別顧問”になって欲しいと誘われた事である。

だが遊伸はどちらも取らなかった。

 

「(僕には”約束”がある)」

 

遊伸が交わした二つの約束、一つは”誰よりも強い決闘者になる”という父との約束。

もう一つは”遊伸が信じる未来を創り上げる”というシンオウとの約束である。

 

「(プロ決闘者……それなら父さんの約束を果たす事が出来るかもしれない……でも、シンオウとの約束は難しい……それに、”狭い”。 僕はもっと広くデュエルしたい!)」

 

遊伸は考える、プロ決闘者達とデュエルして、そして”一番”になって―――それだけで”誰よりも強い”と言えるのだろうか。

世界は広い、プロデュエル界にはいない決闘者が沢山いるかもしれない。

 

「(特別顧問……治安維持局なんだから、未来を創っていくにはうってつけの仕事かもしれない……だけど、今度は父さんとの約束が守れなくなる……それに”特別顧問”なんてちょっと荷が重いよ……)」

 

この様に考え抜いた結果、選んだのが自由に行動出来るマーシャル・レッドであった。

 

「(僕が選んだ道は遠回りなのかもしれない……でも、焦らなくていいんだ。 ”未来”はまだまだ、ずっと先まで続いて行くのだから……だから、もう少しだけ待ってて……父さん、シンオウ)」

 

遊伸の中で”未来”が―――”夢”が膨らんでいく。

 

「(まずはお金を貯めて、勉強して……世界を巡る! そして色んな世界を見て、色んな決闘者とデュエルして……その経験はきっと未来を創るのに役立つ! その後は……はは! まだ考え切れないや! …いいなぁ、”未来”を思い浮かべるって!)」

 

そんな事を考えているうちに、遊伸は噴水広場へと到着する。

周りには恐がって泣いている子供、迷惑そうに遠くから眺めている大人、そしてその中心には二人の男が睨みあっており、今にもデュエルを始めそうな勢いだった。

 

「バトルロイヤルモード強制発動!」

 

遊伸がすぐに拘束装置を発動させると、男達の決闘盤が勝手に起動する。

 

「な、何だテメェ!? 邪魔する気か!」

 

「ここは皆で使う広場だぞ! 喧嘩なら誰にも迷惑が掛からない所でやってくれ!」

 

「上等だ! まずはテメェから片付けてやる!」

 

男二人が遊伸に対して向き合い、決闘盤を構える。

 

「行くぞ!!!」

 

 

 

 

 

 

               デュエル!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                遊戯王

            ~Truth of Satellite~

                 END

 

 

 

 

 

 

 

 




これにて、遊戯王 ~Truth of Satellite~は終了となります!
最後まで見ていただきありがとうございました!
今ちょっとテンションが上がりまくっているので、おかしな事を書いてしまったら申し訳ありません。

大体半年ちょっとの連載となりました。
いや~駆け抜けた駆け抜けた、中二全開で駆け抜けた(笑)
途中で減速したりしましたが、めちゃめちゃ楽しかったです! 
やっぱり妄想は溜め込むより吐き出した方が気持ちがいいです!

半年前を振り返ると、何て無謀な事をしたんだろうと思います(笑)
妄想を吐き出したいが為、デュエルと小説の知識をまったく深めないままスタートした為、最初の頃の物を見返して愕然としました(まあ今でもかなり文章能力は低いですが…OTL)。
台詞の前から名前を取っただけの台本形式と言えるほどの地の文の少なさ! ちょっとしたミスも見つけたり! 何時か最初の部分だけリメイクしようと思います(汗)

さて、実は懲りずに新連載を考えています。
これの続編と迷ったのですが、新しい妄想を発散したいという思いが勝ったので、新シリーズにしました。
とは言え、Truth of Satelliteから思いが離れた訳ではありません。
処女作ゆえ、愛着があるので、続編も不定期とかでやるかもしれません。
なんか無謀な事を口走りましたが、よろしければまた見てやってくださいm(_ _)m

さて、それでは閉めに入ろうと思います。

まずは読んでくださった皆様! お付き合いくださいまして本当にありがとうございました!

そして感想、評価、ご指摘を下さった皆様! 皆様のおかげで、エタらずここまで続けて来れました! 感想や評価は私のやる気を湧き起こし、ご指摘は私の力となりました! これからもお言葉をくだされば幸せです!

そして最後にTruth of Satellite、いかがでしたでしょうか?
よろしければ感想やご指摘をよろしくお願いします!

それでは皆様、これにて失礼します!
皆様に、楽しいデュエルがあらんことを!

荒巻高原
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