遊戯王~Truth of Satellite~   作:鬼柳高原

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第8話 ダイモン・エリア② ~爆発と駆け引き~

「…こんなとこで会えるなんてなぁ、ついてるぜ」

 

「…僕もお前を探していたよ」

 

遊伸と男は睨み合っている。

 

「あの時の屈辱…晴らしてやるぜ! デュエルだ!」

 

「待ちな、アンティ・ルールでのカード提示が先だ」

 

ダイモンが男を呼び止める。

 

「すいません、ダイモンさん、そのことで僕から提案があります」

 

「? 何だ」

 

遊伸は自分のデッキを決闘盤から取り出す。

 

「僕はこのデュエル、自分のデッキ全てを賭けます」

 

「何!?」

 

遊伸の宣言に会場がざわめく。

 

「おいおい! 良いのかよそんなに貰っちまって! 俺は構わないぜ、お前のデッキ自体レアカードの山だからな!」

 

男がそう言うと遊伸が男の方に向き、指差す。

 

「その代わりお前は僕の言ったカードを賭けろ! お前はそれを持っているはずだ!」

 

「ああ、いいぜ! 何をお望みだ?」

 

「「エンシェント・フェアリー・ドラゴン」だ! お前が小さい女の子から奪ったはずだ!」

 

男は一瞬思い出すようにしてから笑う。

 

「ああ、あのカードか、いいぜ! いまいち使い道がわからねぇから丁度この後売り飛ばそうと思っててな、今持ってるぜ」

 

お互い了承したのをダイモンが確認すると、ダイモンが叫ぶ。

 

「ではこれより第4試合! 近衛 遊伸 対 獏葉 剛(ばくは つよし)のデュエルを始める!」

 

会場から歓声が上がる。

 

「(そんな名前だったのか…)」

 

「さあ、復讐の始まりだぜ…」

 

 

「「デュエル!!!」」

 

 

先攻 獏葉

 

「俺のターン! ドロー!」

 

獏葉 手札:5+1

 

「俺は「手札断殺」を発動! お互いに手札を2枚墓地へ送り、それぞれ自分のデッキからカードを2枚ドローする!」

 

獏葉 手札:5-2+2

遊伸 手札:5-2+2

 

墓地に送ったカード

 

獏葉

サモン・リアクター・AI

メカ・ハンター

 

遊伸

スキルサクセサー

総剣司令 ガトムズ

 

 

「俺は「マジック・リアクター・AID」を召喚!」

 

場に竜の様な姿をしたマシンが現れる。

二本の腕に大きな鉤爪を持ち、腹部にはミサイルポッドが見える。

 

ATK:1200

 

「カードを一枚伏せてターンエンドだ!」

 

フィールド

 

― ― A ― ―  

― ― S ― ―

LP:8000

手札:3

 

・マジック・リアクター・AID

 

・伏せ

 

 

「僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:5+1

 

「(攻撃力1200は高い数値じゃない…罠か?) 僕は魔法カード「増援」を発動!」

 

「そこだぁ! 「フレイム・エイド」!」

 

この瞬間を待ってたと言わんばかりに獏葉は声を張り上げる。

 

「え!?」

 

遊伸が見るとマジック・リアクター・AIDからミサイルが発射され、遊伸が発動した「増援」のソリッドヴィジョンを爆破する。

 

「うわぁぁ!」

 

遊伸 LP8000→7200

 

「な、何が…」

 

「マジック・リアクター・AIDの効果、1ターンに1度、相手が魔法カードを発動した時にその魔法カードを破壊し、相手ライフに800ポイントダメージを与えることが出来る! どうだ? 爆撃の味は」

 

「(なるほど…バーンか…もたもたしてると僕のLPが尽きてしまう…なら、削られる前にこちらが削る!)」

 

遊伸は考えをまとめ、デュエルを続行する。

 

「増援の効果! デッキからレベル4以下の戦士族を一体手札に加える。 僕は「切り込み隊長」を手札に加える」

 

遊伸 手札:5+1

 

「僕は「切り込み隊長」を召喚!」

 

場に一人の戦士が現れる。

使い込まれた装備に顔の傷、そしてその貫禄は、幾多の戦場を潜り抜けてきたことを感じさせる。

 

ATK:1200

 

「切り込み隊長の効果発動! 召喚に成功した時、 手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる! 僕は「X-セイバー エアベルン」を特殊召喚!」

 

切り込み隊長が隣を剣で指し示すと、そこからエアベルンが現れる。

 

ATK:1600

 

「いくぞ! レベル3「切り込み隊長」に、レベル3「 X-セイバー エアベルン」をチューニング!」

 

「大地より生まれし騎士よ! 今こそ大地を駆け、己の敵を貫け! シンクロ召喚! 「大地の騎士ガイアナイト」!」

 

エアベルンと切り込み隊長によって作り出された光の柱。

そこから現れたのは人馬一体となった騎士。

比喩ではなく、本当に騎士の上半身と馬が一体となっていて、鎧を纏い、手にはランスを両手に構えている。

 

ATK:2600

 

シンクロモンスターの登場により客席から歓声が上がる。

 

「いけ! ガイアナイト! 「ダブル・グランド・ランス」!」

 

ガイアナイトがマジック・リアクター・AIDに槍を構え突っ込む。

 

「罠発動! 「フェイク・エクスプロージョン・ペンタ」! 俺のモンスターはその戦闘では破壊されん!」

 

「ならダメージだけでも! 速攻魔法「イージーチューニング」を発動! 自分の墓地のチューナー1体をゲームから除外し、 自分のモンスター一体の攻撃力を除外したチューナーの攻撃力分アップする! 墓地からエアベルンを除外し、ガイアナイトの攻撃力をアップ!」

 

X-セイバー エアベルン 

ATK:1600

 

大地の騎士ガイアナイト

ATK:2600→4200

 

ガイアナイトのランスがマジック・リアクター・AIDに突き刺さるも貫き通せず、衝撃だけが獏葉に届く。

 

獏葉 LP:8000→5000

 

「ぐおお! …まだ俺の罠の効果は終わってないぞ。 ダメージ計算後、自分の手札・墓地から 「サモン・リアクター・AI」1体を選んで特殊召喚する! 墓地から特殊召喚だ!」

 

場に人型の戦闘機が現れる。

両目のライトを光らせ、両肩のプロペラを回す。

 

ATK:2000

 

「僕はカードを伏せてターンエンド」

 

 

フィールド

 

― ― A ― ―  

― ― S ― ―

LP:7200

手札:2

 

・大地の騎士ガイアナイト

 

・伏せ

 

 

「やってくれたじゃねーか…俺のターン! ドロー!」

 

獏葉 手札:3+1

 

獏葉が引いたカードを確認し、軽く舌打ちをしたのを遊伸は気付く。

 

「(舌打ち? 何だ、何か待ってるのか?)」

 

「…俺はカードをセットしてターンエンドだ!」

 

フィールド

 

― ― A A ―  

― ― S ― ―

LP:5000

手札:3

左から

・セットモンスター

・マジック・リアクター・AID

・サモン・リアクター・AI

 

・伏せ

 

 

「僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:2+1

 

遊伸は獏葉の狙いを考える。

 

「(おそらく獏葉は「何か」を待っている…ダメージを受けてでもその時間を与えちゃ駄目だ!)」

 

「僕は手札から魔法カード「死者蘇生」を発動! 墓地から「総剣司令 ガトムズ」を特殊召喚!」

 

「その前にくらいな! 「フレイム・エイド」!」

 

再びマジック・リアクター・AIDからミサイルが発射され、遊伸の魔法を爆破する。

 

遊伸 LP:7200→6400

 

「くう…! これくらい! 来い!  ガトムズ!」

 

ガトムズが大剣を振るい、場に現れる。

 

「まだあるぜ! サモン・リアクター・AIの効果発動! 1ターンに1度、相手の場にモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、 相手のLPに800ポイントダメージを与える! 「サモン・リアクト」!」

 

サモン・リアクター・AIがプロペラから竜巻を起こし、遊伸を襲う。

 

遊伸 LP:6400→5600

 

「うわあぁ! くっ! …今度は召喚に…」

 

遊伸は体勢を直し、デュエルを続ける。

 

「さらに手札からチューナーモンスター「X-セイバー パシウル」を召喚!」

 

パシウルが現れ、 ガトムズに礼をする。

 

ATK:100

 

「レベル6「総剣司令 ガトムズ」に、レベル2「X-セイバー パシウル」をチューニング!」

 

「集いし願いが、新たに輝く星となる。光さす道となれ!シンクロ召喚!飛翔せよ!「スターダスト・ドラゴン」!!」

 

スターダスト・ドラゴンが場に姿を現すと、先程以上の歓声が上がる。

 

ATK:2500

 

「きやがったか!」

 

獏葉は仇を見るような眼でスターダスト・ドラゴンを見る。

 

「バトル! ガイアナイトでサモン・リアクター・AIを攻撃! 「ダブル・グランド・ランス」!」

 

「させねぇ! サモン・リアクター・AI効果発動! さっきの効果を発動させたターンのバトルフェイズに攻撃を一度だけ無効にする!」

 

ガイアナイトが突撃しようとすると、サモン・リアクター・AIが突風を起こし、足止めする。

 

「ならスターダスト・ドラゴンでサモン・リアクター・AIを攻撃! 「シューティング・ソニック」!!」

 

スターダスト・ドラゴンの一撃でサモン・リアクター・AIは粉々に吹き飛ぶ。

 

獏葉 LP:5000→4500

 

「ぐうう! くそが!」

 

「僕はこれでターンエンド」

 

フィールド

 

― ― A A ―  

― ― S ― ―

LP:5600

手札:1

左から

・大地の騎士ガイアナイト

・スターダスト・ドラゴン

 

・伏せ

 

「この…! この…! …俺のターン! ドロー!」

 

獏葉 手札:3+1

 

獏葉は大分苛立ちを募らせていたが、引いたカードを見て顔色が変わる。

 

「ふっふっふ…はははは! 来たぞ! 俺は「トラップ・リアクター・RR」を召喚!」

 

今度は違うタイプの人型戦闘機が現れる。

翼が腕のようになっており、腹部と背部にそれぞれ砲台が付いている。

 

ATK:800

 

「(もう解ってきたぞ…あれは罠に反応するモンスターだ)」

 

「お前が心配していることは起こらないぜ」

 

遊伸がそう考えていると獏葉が考えを読んだように言う。

 

「何だって? (こんな会話、最初にデュエルした時もあったな…)」

 

「もっとヤバイことになるぜ! 永続罠「リビングデットの呼び声」発動! 墓地から「サモン・リアクター・AI」を復活だ!」

 

サモン・リアクター・AIが再び現れる。

 

ATK:2000

 

「いくぜぇ! 三体のリアクターを合体させる!!」

 

「何だって!?」

 

獏葉が場のリアクター三体を墓地に送り、手札からモンスターを特殊召喚する。

三体のリアクターが変形し、合体していく。

 

「きやがれ! 俺の最終兵器! 「ジャイアント・ボマー・エアレイド」!!」

 

合体して大きな爆撃機となったリアクター、ジャイアント・ボマー・エアレイドが完成する。

 

ATK:3000

 

「(融合じゃない!? 冷次のウォーター・ドラゴンの様な物か?)」

 

「いくぞおらぁ! エアレイドでスターダスト・ドラゴンを攻撃! 「デス・エアレイド」!」

 

ジャイアント・ボマー・エアレイドはミサイルを3発、スターダスト・ドラゴンに放つ。

スターダスト・ドラゴンは振り切ろうとするがミサイルは追尾し、命中、スターダスト・ドラゴンは爆発により吹き飛んでしまう。

 

遊伸 LP:5600→5100

 

「スターダスト・ドラゴン!?」

 

そこに獏葉は追い討ちを掛ける。

 

「続いてエアレイドのモンスター効果発動! 1ターンに1度、手札を1枚墓地へ送る事で、 相手の場のカード1枚を選択して破壊する! 手札を一枚捨ててガイアナイトを破壊だ! 「デス・ドロップ」!」

 

今度はガイアナイトの頭上に移動し、巨大な爆弾を投下する。

ガイアナイトが爆風に巻き込まれる。

爆風と煙が消えるともうそこにはガイアナイトはいなかった。

 

「あーはっはっは! どうだぁ! 俺はこれでターンエンド!」

 

フィールド

 

― ― A ― ―  

― ― T ― ―

LP:4500

手札:1

 

・ジャイアント・ボマー・エアレイド

 

・リビングデットの呼び声

 

 

「僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:1+1

 

突然の逆転に客席はざわめき、そして歓声が上がる。

 

「確かに凄いモンスターだけど…僕にも手が、切り札がある!」

 

遊伸はそう言うと伏せカードを開く。

 

「魔法カード「ミラクルシンクロフュージョンを発動! 墓地の「スターダスト・ドラゴン」と「大地の騎士ガイアナイト」を除外して融合!」

 

獏葉は口元を吊り上げる。

 

「融合召喚! 現れよ! 「波動竜騎士 ドラゴエクィテス」!!」

 

空間の歪みから波紋が広がると、中からドラゴエクィテスが現れる。

 

ATK:3200

 

その瞬間、獏葉が笑い出す。

 

「馬鹿め! この俺に同じ手が通用するか! エアレイドの効果発動! 「シャープ・シューティング」!」

 

エアレイドがドラゴエクィテスに反応、捕捉すると、機銃を乱射する。

ドラゴエクィテスは撃ち抜かれ、破壊される。

 

遊伸 LP:5100→4300

 

「ドラゴエクィテス!? そんな…どうして」

 

「エアレイドの二つ目の効果、相手のターンに一度だけ、召喚、特殊召喚、セットしたカードを破壊し、800ポイントのダメージを与える! どうだ! これが俺の最終兵器の力だ!」

 

獏葉は高笑いをして言葉を続ける。

 

「これが俺の執念の力だ! これで復讐が成ったぞ!」

 

「復讐?」

 

遊伸が聞き返す。

 

「ああ! そうだ! 俺はてめぇに負けてから、てめぇをぶちのめす為のデッキを作るため、あらゆる努力をしてきた! そして完成したこのデッキで、この大観衆の前でてめぇをぶちのめせる!はっはっは! 愉快だ!」

 

「そうか…」

 

遊伸は目を閉じ下を向いて言う。

 

「解ったか? ならとっとと俺にやられちまいな!」

 

遊伸は顔を上げる。

 

「解ったよ……僕は絶対にお前には負けない! モンスターをセット、カードを伏せてターンエンド!」

 

フィールド

 

― ― S ― ―  

― ― S ― ―

LP:4300

手札:0

・セットモンスター

 

・伏せ

 

「フン! 往生際の悪い奴だ! 俺のターン! ドロー!」

 

獏葉 手札:1+1

 

「俺は手札を一枚墓地に送り、セットモンスターを破壊だ! 「デス・ドロップ」!」

 

エアレイドはセットモンスターの上に爆弾を落とす。

 

破壊されたモンスター

・X-セイバー アナペレラ

 

「おら! 直接攻撃! 「デス・エアレイド」!」

 

「罠発動! 「和睦の使者」! このカードを発動したターン、相手モンスターから受ける 全ての戦闘ダメージは0になり、 自分のモンスターは戦闘では破壊されない」

 

エアレイドが発射したミサイルは光の壁に弾かれ、見当違いな場所へ飛んでいく。

 

「ちっ! まあいい、カードをセットしてターンエンド!」

 

フィールド

 

― ― A ― ―  

― ― T S ―

LP:4500

手札:1

左から

・ジャイアント・ボマー・エアレイド

 

・リビングデットの呼び声

・伏せ

 

「僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:0+1

 

遊伸がドローした瞬間、獏葉が伏せカードを開く。

 

「おら! 駄目押しだ! 永続罠「魔封じの芳香」を発動! このカードがフィールド上に存在する限り、 お互いに魔法カードはセットしなければ発動できず、 セットしたプレイヤーから見て 次の自分のターンが来るまで発動する事はできない! …もう魔法も頼れなくなったな?」

 

「…僕はターンエンド」

 

フィールド

 

― ― ― ― ―  

― ― ― ― ―

LP:4300

手札:1

 

何もしなかった遊伸に、客席から野次や乱暴な激励が飛ぶ。

 

「ほら見ろ、お客様もお怒りだ、とっとと諦めろ! 俺のターン! ドロー!」

 

獏葉 手札:0+1

 

引いたカード

ライトニング・ボルテックス

 

「(モンスターがこねぇ!)エアレイドで直接攻撃! 「デス・エアレイド」!」

 

何も自身を守るものがない遊伸はミサイルをまともに受ける。

 

「うわああぁ!」

 

遊伸 LP:4300→1300

 

「ターンエンド! 次で最後にしようや」

 

フィールド

 

― ― A ― ―  

― ― T T ―

LP:4500

手札:1

左から

・ジャイアント・ボマー・エアレイド

 

・リビングデットの呼び声

・魔封じの芳香

 

「僕の…ターン! ドロー!」

 

遊伸 1+1

 

「! カードをセット!!」

 

遊伸は勢いよくカードを伏せる。

 

「無駄だって言ってんだろうが! エアレイドの効果で破壊だ! 「シャープ・シューティング」!」

 

エアレイドが伏せられたカードに機銃を乱射する。

伏せカードは破壊されたが――

 

遊伸 LP:1300→500

 

「破壊された罠カード「リ・バウンド」の効果発動! セットされたこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、デッキからカードを1枚ドローする!」

 

遊伸 手札:1+1

 

「ブラフか! くそ!」

 

「僕はカードを二枚伏せてターンエンド」

 

フィールド

 

― ― ― ― ―  

― ― S S ―

LP:500

手札:0

 

・伏せ二枚

 

「俺のターン! ドロー!」

 

獏葉 手札:1+1

 

引いたカード

リボルバー・ドラゴン

 

「(このまま攻撃すりゃ勝てる…だがブラフまでして伏せたあのカードは絶対罠に違いない…だがどっちだ? どっちが罠だ? どっちを破壊すればいい?)」

 

「どうしたんだ? 最後のターンじゃないのか? 僕をぶちのめすんじゃないのか?」

 

獏葉が悩んでいると遊伸が挑発する。

 

「こ、この!」

 

危うく挑発に乗りそうになった獏葉は気付く。

 

「(! そうだ! よく考えりゃあいつのLPはたったの500、一回でも召喚かセットをすればそれで終わり、だから何もできねぇ! その間に俺がバーンカードか、他のモンスターを引いて戦力を固めればいい)

 

獏葉は落ち着いた素振りを見せる。

 

「フン! 挑発に乗せようったってそうはいかん、俺はこれでターンエンドだ」

 

フィールド

 

― ― A ― ―  

― ― T T ―

LP:4500

手札:2

左から

・ジャイアント・ボマー・エアレイド

 

・リビングデットの呼び声

・魔封じの芳香

 

その宣言の瞬間、遊伸は笑みを浮かべる。

 

「何が可笑しい!」

 

「僕はお前に言ったはずだ、「最後のターンじゃないのか?」って」

 

「な、何が言いたい!」

 

「今のターンがお前の最後のターンだったからさ! 僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:0+1

 

「罠カード「異次元からの帰還」! LPを半分払って発動!」

 

遊伸 LP:500→250

 

遊伸が罠を発動させると、頭上の空間が割れる。

 

「このカードはゲームから除外されている自分のモンスターを可能な限り自分の場に特殊召喚する! 帰還せよ! スターダスト、ガイアナイト、エアベルン!」

 

遊伸が名前を呼ぶと、三体が割れた空間から降りてくる。

 

スターダスト・ドラゴン ATK:2500

大地の騎士ガイアナイト ATK:2600

X-セイバー エアベルン ATK:1600

 

「さあ! 僕は特殊召喚したぞ! エアレイドの効果で破壊するのか? しないのか?」

 

遊伸に迫られ、獏葉は答える。

 

「し、しねぇ、出来るわけねぇだろ…!」

 

エアレイドが効果を使えば、スターダスト・ドラゴンの効果、「ヴィクテム・サンクチュアリ」が発動する。

この効果はスターダスト・ドラゴンをリリースすることで、フィールド上のカードを破壊する効果を無効にし、その効果のカードを破壊する、という物であり、エアレイドが効果を無効にされて破壊されてしまうと、切り札、そして唯一の壁を失うことになる。

 

「(だがどいつも攻撃力はエアレイドより下、問題はねぇ…)」

 

「何かデジャブを感じるけど、攻撃力は勝っているから平気……そう考えているんじゃないかな?」

 

「て、てめぇ!」

 

一ヶ月前のように考えを言い当てる遊伸。

 

「言ったはずだ…さっきがお前の最後のターンだと! 墓地から罠発動! 「スキルサクセサー」!墓地のこのカードをゲームから除外する事で、 自分フィールド上のモンスター1体を選択し、 その攻撃力をエンドフェイズ時まで800ポイントアップする! ガイアナイトの攻撃力をアップ!」

 

ATK:2600→3400

 

「ば、馬鹿な!? 墓地から罠だと!?」

 

「いけ! ガイアナイト! 「ダブル・グランド・ランス」!」

 

ガイアナイトがランスをエアレイドに突き刺すと、エアレイドのあちこちから小さい爆発が起き始め、ガイアナイトがランスを引き抜き、下がるとエアレイドは大爆発を起こす。

 

獏葉 LP:4500→4100

 

「そ、そんな馬鹿な…」

 

「止めだ! スターダスト・ドラゴン、エアベルンで直接攻撃! 「シューティング・ソニック」! 「クロス・クロー」!」

 

エアベルンが獏葉を鉤爪で切り裂き、抜けて出るとそのままシューティング・ソニックが獏葉を直撃する。

 

「ぐわあああぁぁ!!」

 

獏葉 LP:4100→2500→0

 

デュエル終了のアラームが鳴ると客席から大歓声が上がった。

 

「よっしゃー坊主よくやったー! 大儲けだ!」

 

「まさか勝つとは思わなかったぜ!」

 

「くそ! ふざけんなー! 何勝ってんだ!」

 

観客の反応は様々であった。

 

「くそ…何で負けた…完璧なはずだったのに…」

 

獏葉は項垂れながらぶつぶつ言っている

 

「…お前の執念と努力は凄かった、けどそんな曲がった気持ちでデュエルをしても、カードは答えてはくれないよ…」

 

遊伸が獏葉にそう言うと獏葉は遊伸を睨み叫ぶ。

 

「意味解んねぇこと抜かすな! 次こそぶちのめしてやる! 覚えておけ!」

 

そう言うと懐から丸い物を取り出す。

 

「げ! それもしや…」

 

遊伸が言い終わる前に煙幕玉が地面に投げられる。

 

「し、しまった!? まだあの子のカードを…ゲホゲホ!」

 

しばらくして煙が晴れると、目の前には複数の男に取り押さえられた獏葉がいた。

 

「あれ! いつの間に…」

 

遊伸が不思議そうにしているとダイモンが獏葉に近づく。

 

「そんな子供騙しで逃げられると思っていたのか? あまり裏の世界を舐めるんじゃねぇぞ」

 

ダイモンは獏葉の懐を探り、カードの束を取り出す。

 

「これか…おい! 何てカードだったっけか?」

 

「え…「エンシェント・フェアリー・ドラゴン」です!」

 

ダイモンが遊伸に確認をすると、束から一枚カードを抜き出し、遊伸に渡す。

 

「こいつか、ほらよ」

 

「ありがとうございます(依頼、完了したよ、鈴ちゃん…)」

 

遊伸がエンシェント・フェアリー・ドラゴンを大切に仕舞うと、ダイモンが称賛する。

 

「それにしても中々燃えたぜ、ここまでやるとは思わなかったぞ。 案外お前一人でもランディに勝てるんじゃないか?」

 

「どうも、でも万全を期した方が良いと思います」

 

「まあそうだな」

 

ダイモンがトーナメントを確認する。

 

「あんたともう一人の方の試合は2試合目だ、それまで待機しててくれ」

 

「分かりました」

 

そう言うと遊伸は控え室へ戻る。

戻る途中、遊伸は伏せカード一枚デッキに戻し忘れているのに気付く。

 

伏せていたカード

貪欲な壷

 

「(あの時、罠なんて「異次元からの帰還」以外は無かった…あのまま攻撃されていたら僕はどうしようもなかっただろうな)」

 

遊伸はカードをデッキに戻す。

 

「(こんな心理戦が出来るようになったってことは…僕も少しは成長しているってことかな)」

 

「(次の相手は鋼貴…デュエルするのは一ヶ月振りだ、成長した僕を見てもらうぞ)」

 

遊伸は密かに闘志を燃やし、控え室へと入った。

 

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