家賃1万円風呂共用幽霊付き駅まで縮地2回   作:ウサギとくま

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俺は友達が少ない(縮地は置いてきた……これからの戦いについていけない)

 ――俺は友達が少ない。

 

 とか言うとラノベのタイトルっぽいが、実際俺には友達が殆どいない。

 20年ちょっとの人生を通して、その数は片手で数えられるほどだ(しかも妖怪人間ベムの手)

 

 その数少ない現在進行形の友人が、遠藤寺だ。

 

 遠藤寺について語ろう。一言で言うと変わった女だ。

 

 大学生にして、巨大なリボンを装備しており、私服は年中ゴスロリ。

 目つきはいつも人を観察するかの如く鋭い。

 うどんが好き。自分のことをボクとか言っちゃうボクっ娘で、実家はかなりの金持ちらしい。

 何よりも『謎』という物を愛しており、自分の周囲で起こる事件に大小問わず首を突っ込む。その生態から出身は魔界だという説が濃厚(俺の中で)

 俺のことをワトソン的な存在だと思っているのか、首を突っ込んだ事件にいつも俺を引きずりこむ。

 

 強い。事件解決時に犯人が襲い掛かってくることが多々あるが、基本ワンパンでKO。

 

 服装のせいで分り辛いが、ほどよく肉がついたむっちりとした体型(居酒屋で膝枕をしてもらった時に確信した)

 

 いい匂い。柑橘系の匂いがする。風呂にフルーツとか浮かべて入ってるらしいから、そのせいかも。

 

 ずらっと羅列してみたが、こんな感じだ。

 やはり変わっている。浮いていると言ってもいい。実際遠藤寺は大学でもかなり浮いていた。

 容姿的な意味でもそうだが、大学内で探偵業的なものをしているのもその要因の1つだろう。

 

 そんな変わっている遠藤寺が、俺のようなフツメン(顔がじゃなくて、存在的な意味ね)とどうして友達でいるのか?

 

 それこそが――最大の謎だ。

 

 よし、上手いこと言えたし、窓から大家さんを視姦しよーっと!

 おや、大家さん……木に引っかかった風船を取る為とはいえ、そんなにジャンプしたら下着が……! み、見えない……ナンデ!? 明らかに見えるくらい捲れてるのに、ま、まさか――大家さん、はいて――

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「ノーパンスタイリスト!!」

 

 というところで目が覚めた。くっそ、もう少しで夢の中とはいえ大家さんの秘密の小部屋を拝見できたのに……!

 もう1回寝るか? あ、でも同じ夢を見れるとは限らんしな……。肉屋のおっさんに賢者の石を見せつけられる夢なんて見た日にはトラウマでアズカバンに引き篭もるわ。

 

「……」

 

 と、視線を感じたのでそちら――今座っている食堂のテーブルを挟んで向かいに目を向けると、遠藤寺がいつも通りジトっとした目で俺を見ていた。

 俺は口についた涎を拭い、片手を上げた。

 

「おはよう遠藤寺」

 

「ああ、おはよう。ところで君、もしかしてだけど。もしかしてだけど、ボクの話の最中に寝ていた、ということかい?」

 

「えっ」

 

 そうだ。さっきまで遠藤寺から最近この界隈で起こっている謎の事件についての話を聞いていたんだった。

 その途中で睡魔たんがおいでおいでしてきたから、その手を握ったら寝てしまったというわけだ。

 まあ、昨日夜更かししたからしょうがない。

 エリザとおままごとしてた

 最初は普通にサ○エさん遊んでたからな。最初は軽いノリで付き合ってたけど最終的にすげえ盛り上がった。最初はサザエさん的なな世界観だったのに、最終的に銀河○英雄伝説みたいな展開に発展してしまった。深夜テンションって怖い。

 

「ね、ねてないけど」

 

「本当に? 今おはようと言わなかったかい?」

 

「それはね、お砂糖と言ったんだよ。おはようとお砂糖似てるしな、聞き間違っても仕方がない」

 

「そうかい? じゃあお砂糖遠藤寺とはどういう意味かな?」

 

 しつけーなこいつ。お前が砂糖みたいに甘くて可愛いってことだよ!とペロペロしながら叫ぼうとしたが、物理的に不可能なのでやめた。

 

「……お砂糖遠藤寺取って、って言おうとしたんだ」

 

「そうかい、どうぞ」

 

 うーん、学食のカレーに砂糖をかけちゃう困ったちゃんになってしまったぞ。

 いや、意外といけ……ないな。まあ食べるけど。せっかく遠藤寺に奢ってもらった物だし。

 

「本当に寝ていなかったのかい?」

 

「だから寝てないって」

 

「本当に?」

 

「だから本当だって」

 

「じゃあ、ボクがしていた話の内容は?」

 

 話の内容、か。

 さっぱり分からん! だって寝てたもの。いや、少しは覚えているか、プロローグ的な部分だけ。

 最近この辺りでいかにも怪しい男が、怪しい行動をしているとか。

 

 なんだ、タキシード仮面か。

 

「大丈夫だ遠藤寺。その人怪しいけど悪い人じゃないから。どちらかといえば正義の味方だから」

 

「へー、随分詳しいね。しかし奇声をあげながら忍者走りで商店街を駆け抜けていたり、小学生女子のスカートを捲り上げていたとの報告もあるんだけど」

 

「それアカン人やわ」

 

 完全にアウトじゃん、その人。セーラー戦士助ける類の変態じゃないわ。別の変態だわ。

 変態番付に乗るが議論されるレベルの変態だ。

 

「そんな変態がこの辺りにいるのか!?」

 

「ああ、その話をさっきからしていたのだけど」

 

「そ、そうだったな、うん」

 

 しかしそんな変態がいるのか。

 許せんな……大家さんを守る為にも、この事件俺が解決してやる!

 イカちゃんの顔にかけて! 違う! イカちゃんの名にかけて!

 

「しかし参ったよ。今回の事件はボクの専門じゃない。ボクは謎を解決したいんだ。変態を捕まえたいわけじゃない」

 

 遠藤寺の口から変態ってワードが出るとこう……フフ。いやいや何がフフだよ俺。遠藤寺にそういうこと言われない願望でもあるのか? ……ないとは言えないですね。

 

「でも頼まれたんだろ?」

 

「……そうなんだよ。依頼者はボクを何でも屋と勘違いしているらしい」

 

 上の方でも言ったと思うけど、遠藤寺は趣味と実益を兼ねた探偵業を行っている。

 そこそこ事件を解決してきたので、そこそこ依頼も増えているのだが、中にはこのようなお気に召さない事件もあるのだ。

 

「大変だな遠藤寺も」

 

「他人事のように言っているけども」

 

 遠藤寺はいつも通り口角を釣り上げるだけの、独特な笑みを浮かべた。

 

「当然君にも手伝ってもらうよ、相棒」

 

「変態に関わりたくないんすけど」

 

「ボクもだよ。だから今回は君に任せる。実はもう1件依頼があってね、そちらの方が実に興味深い」

 

「俺一人で変態と戦えと?」

 

 遠藤寺来ねえのかよ! 戦闘になったらどうするんだよ! 今まで戦闘面では遠藤寺のバリツに任せきりだったのに!

 つーか探偵の相棒役としての俺って、悲鳴をあげる役くらいなんだよね。あと人質にされる役。

 

「フフフ……大学の生徒会で起きた事件。生徒会長の下着が全て消失し、行方不明に。副会長が食堂で下着の繊維を発見し、そこから行方を追っているところだが……膨大な量の下着は一体どこへ消えたのか、謎だ」

 

 一番の謎は下着の繊維から会長の下着だと見抜いた副会長の鑑定眼だと思うんですけど。

 つーか、それ副会長が犯人じゃねーの?

 

「さて、ボクはそろそろ捜査を再開するよ。君も頑張ってくれ」

 

「一緒に! 一緒に行ってくれよ! 一生一緒に行ってくれや!」

 

 変態と孤独な戦いに赴く俺の動揺が、三木道さんの歌詞みたくなってしまった。

 

「……今のは胸にきた。何故かわからないけど。一生、か。フフ……君と一生を過ごすのも、考えたら楽しそうだ。フフフ……」

 

 いつも通り鋭い目で口角を釣り上げなら笑い去っていく遠藤寺。

 対する俺は泣きそうだった。

 だって怖いもん! 変態と戦うとか、そもそも俺の戦闘力はそこらの小学生並みなのに! 低学年の!

 

「エ、エリザに手伝ってもらって……イカンイカン」

 

 小学生のスカートを捲り上げる変態なんかに、エリザを会わせたくない。じゃあ別の誰かに……誰か……誰もいない。

 だって俺は友達少ないから……(タイトル回収)

 

 仕方ない、一人で行くか。いざとなったら土下座して命乞いすればいいしな。

 

 

 

■■■

 

 

 まずは情報がいる。

 とりあえず小学生女子の知り合いに会うことにした。家へ。

 

 アパートの門をくぐると、大家さんがホースで水を撒いていた。

 

「あははははっ、わーいっ、気持ちいいー」

 

 何だ天使って外界に降りてきてたのね。全裸系の天使じゃなくて残念だが……大家さんマジ天使!

 普段の割烹着の裾と袖を捲って、くるくる回りながら水を撒く大家さん。あー、浄化されるー。

 

「えーい、ウォーターブレード! ぷしゃー!」

 

 ホースの先を指で押してできた鋭い水流。それを刀のように振る。

 俺も昔よくやった。懐かしい。

 

 大家さんに近づいていく。

 一瞬、大家さんが来ている和服の袖から脇が見えた。ほんの僅かな時間だったが、俺じゃなきゃ見落としてたね。

 

「そりゃー! 『な、なんだと……禁鞭をここまで扱うとは……やはり天才か』びしびしー!」

 

 今度は鞭のように水流を振るう大家さん。セリフ付きだ。

 びしびしされたいなあと思いました。

 

 大家さんからびしびしされる妄想をしつつ、ゆっくり近づき声をかけた。

 

「楽しそうですね、大家さん」

 

「はい? い、一ノ瀬さん!?」

 

「ええ、まあ一ノ瀬さんですけど」

 

「い、いつから見てたんですか!?」

 

「ウォーターブレードの辺りから」

 

「……ぬわぁ」

 

 顔と晒した手足を真っ赤に染めて俯く大家さん。

 可愛すぎる。

 はぁ……デュエルしてぇ……。真剣デュエルで命と命をぶつかり合わせてぇよ……。

 

「ち、違うんです……一見はしゃいでいた様に見えますけど、違うんです」

 

 なおも水が流れるホースをぶんぶん振りながら、あわあわと言い訳をする大家さん。

 

「へー、ところで大家さん」

 

「子供じゃないですから! ああすれば効率よく水を撒けるからであって」

 

「うん。分かりました。で、大家さん」

 

「……あ、呆れちゃいました? いい歳してあんな風にはしゃいで」

 

「いや、正直可愛かったですけど。で、大家さん」

 

「か、かわっ、可愛かったですか! そ、そうですか……それなら、よかったかも……えへ」

 

 きっと今すげぇ可愛い表情してるんだろうなぁ。anotherなら萌え死んでるだろうなぁ。でも見えない。

 だってさっきから大家さんの出している水(意味深)が俺の顔面直撃してるから。避けても追尾してくるし。命中率高いわ。

 

 

 

■■■

 

 

 

 謝りながら俺の全身を拭いてくる大家さんに別れを告げ、目的地へと向かった。

 アパートの裏手、建物の影になっている部分に目的の少女がいた。

 白いワンピースに麦わら帽子を被ったショートカットの少女。

 格好とその容姿は夏以外のなにものでもなかった。

 

 俺はロリコンに間違われないようなオーラを出しつつ、麦わらロリ子に接近して、片手をあげた。

 

「おっすおっす。元気か?」

 

「……」

 

 影の中蹲り、アリの観察をしていたらしい少女が顔を上げた。

 ジッとこちらを見つめる。くりくりとした愛らしい瞳に俺が映った。

 

「……」

 

 少女は無言のまま傍らに置いていたスケッチブックを手に取り、さらさらとマジックを走らせた。

 笑顔でスケッチブックを見せてくる。

 

『ロリこんにちは!』

 

「……」

 

『間違った。ロリコン、こんにちは、だった! えへへ』

 

 舌をぺろりと出し、照れる少女。

 

「あのね、前も言ったけどね、俺ね、ロリコンじゃないの」

 

『え~、でもその顔どう見てもロリコンじゃん』

 

「顔のことは言うなぁ! てめぇ小学生だと思って調子乗ってると……イワスぞ?」

 

『ロリコン弱いのに、いきがるなよ。あんまり強い言葉を使うと、弱く見えるぞ』

 

 俺と少女の仲は大体こんな感じだ。

 

『で、なにか用? もう今日の分の飴はあげたよね?』

 

「ああ、ちょっと聞きたいことがあって」

 

『私の胸の大きさ?』

 

「びっくりするほど興味ない。アナ○と○の女王並みに興味ない」

 

『それは相当興味ない感じだ……』

 

 腕組みしてウムウムと頷く少女。

 こんなんでも女子小学生だ。きっと怪人物について少しは知っているはず。

 

「近頃怪しいヤツ見なかったか?」

 

『ほい』

 

 速攻で指さしてくる少女。

 

「違うよ。俺は怪しくないよ。俺はいい辰巳だからな」

 

『具体的に言って。どう怪しい感じ? 毎日近所の小学生に飴をねだっちゃうダメな大学生?』

 

「それ俺だけど、違う。小学生のスカートを捲りあげる変態がいるんだ。聞いたことないか?」

 

『かなりレベルの高い変態だな。近所に住んでいる大家さんの頭を撫でながら服の隙間から見える胸を覗く変態がいるけど……それとタメをはるレベルだ』

 

 それも俺だ。

 

「いや、覗いてないから。見えちゃうだけだから」

 

 本当にもう、大家さんの油断っぷりたるや……ねぇ。今後もその無防備を貫いていて欲しいものです。主に俺の精神安定の為に。

 

 いかんな。この小学生と話していると俺の知能レベル下がってしまう。

 

「で、見たことあるのか? 情報提供してくれたら、アイスくらい買ってやるぞ」

 

『ん? 今なんでもって言った?』

 

「言ってねーし。つーかどこでそんな言葉覚えてくるんだ?」

 

『……』

 

 そして無表情で俺を指さす、と。そうか俺が変な言葉教えてるんだった。

 汚れない少女を汚していくのはたまらんな……。

 

 今ではこんな感じだが、俺が越してきた頃はかなり内向的な少女だった。目も合わせてくれなかったし、そもそもある程度の距離まで近づくと逃げる。ちなみに俺相手だからというわけではなく、誰に対してもそうだったらしい(シュワちゃんみたいなパパが言ってた)

 

 それがいろいろあって今ではこんな具合だ。一体誰のせいなのか……責任の所在はしまっちゃおうね。

 

「で、その変態について聞いたことは?」

 

『ないなー』

 

「使えねー」

 

『でも見たことはある』

 

「マジで!? ど、どんなヤツだった? 強そうだった? 不意打ち武器アリで勝てそう?」

 

 少女はスケッチブックにマジックを走らせた。

 

「……」

 

 無言でスケッチを見せてくる。書いてあったのは矢印。

 俺を指す矢印。

 

「こっちにいるのか」

 

 矢印を避ける。

 

「……」

 

 少女がスケッチを動かし、矢印が俺を再び指す。

 俺が動く。矢印がついてくる。動く。ついてくる。

 

「犯人は……チープトリック? 俺取り憑かれてる?」

 

『たわけ。お前ですよ』

 

「犯人は……俺?」

 

 なんてこった。犯人は俺だったのか。スゴイザンシン! 探偵役が犯人の話なんて今までになかった……え、いっぱいある?

 

「俺は変態じゃない!」

 

『こないだ。わたしが転んで膝擦りむいたでしょ?』

 

「あ、もう治った?」

 

『ん』

 

 と、少女はワンピースの裾を持ち上げ、膝小僧を露出した。

 傷ひとつない、すべすべとした膝小僧があった。

 さすがに若いと回復が早い。俺なんか先週エリザの寝ポルターガイストでできた青痣まだ治ってないからな。

 

『絆創膏貼ってくれてありがと』

 

「べ、別にお礼を言われたくてやったんじゃないし!」

 

『ほら、これだろ。いやしんぼめっ』

 

 飴を手渡してくる。これマジで美味いんだよなー。あれ、餌付けされちゃってる?

 

「で、それと俺が犯人なのと何が関係あるんだよ」

 

『だから今の。今のがまさに女子小学生のスカートを捲り上げる変態の図』

 

「……え?」

 

『見る人が見る角度で見たら、完全にアウト』

 

 た、確かに。偶然通りがかった人がこの光景を見たら、小学生女子に無理やりスカートを捲らせているように見えるかもしれない。

 つまり犯人は……俺?

 

「そ、そんなバカな……」

 

『よしよし』

 

 呆然とする俺の頭を背伸びして撫でてくる。

 

『はい、これも女子小学生に体を触らせる事案ね。別に変なことしてるわけじゃないのにね。大人の誤解って怖いよね。大人になりたくないわー』

 

「……俺も」

 

 まあ、俺はもう大人になっちゃってるけど。

 子供の頃になりたかった大人とは全然違う、想像もしてなかった大人に。なりたくてなったわけじゃないんだけどな。もっと子供でいたかった。

 

『もんだいかーいけつ☆ よかったね!』

 

 影から出てキラキラした太陽の光をまとった少女を見て思う。子供だけが持つ無垢の光だ。俺もこんな風にキラキラしていた頃があったのかもしれない。

 いつからこのキラキラしたものは消えてしまったのか。今となっては分からない。悲しいねバナージ。

 

 謎の変質者については解決したので、前々から気になっていたことを聞くことにした。

 

「ところで前から聞きたかったんだけど」

 

『あっつーい。ん、なに?』

 

「答えづらかったらいいんだけどさ。……あ、いややっぱりやめようかな」

 

『お前のそういうところ面倒くさい。わたし……友達にしなくてもいい遠慮の仕方だよ、それ。だから友達少ないの』

 

「リアルに傷つくからやめて。……え、友達って」

 

『で聞きたいことって? 法に触れない類のなら、なんでも答えるけど』

 

 この小学生、俺のこと友達と思ってくれてるのか。

 嬉しいな、普通に。うん、普通に。

 

「じゃあ聞くけど」

 

『ん?』

 

「何でずっと筆談なんだ? ……その、もしかして、病気とか……いや、ごめん」

 

 このアパートに着てから彼女に避け続けられた俺だが、懲りずに彼女に話しかけ続けていた。そんなある日、ついに彼女からこちらにコミニケーションをとってくれたのだ。言葉ではなく、筆談という手段を使って。

 そこにどんな意味があるのか。遂に聞いてしまった。

 

『別に。ただの無口キャラだけど』

 

「キャラかよッ!?」

 

 俺のツッコミはアパート中に響き渡ったとさ。

 

■■■

 

 

 

「で、事件は解決したのかい?」

 

「まあな。そっちは?」

 

 何日か経って、俺と遠藤寺はいつもの場所で事件の報告をしていた。

 流石に犯人は俺だったとは言い辛かったので、犯人を見つけてボコボコにした後、2度と悪さはしないようにSEKKYOUした……と嘘の報告をしたが。

 さて、遠藤寺の方はどうだったのだろうか。

 

「ああ……凄まじい事件だった。まさか副会長が……」

 

 やっぱり犯人副会長かよ。

 俺が想像した通りだ。

 

「会長を庇って刺されるとは……」

 

「マジで!? ど、どどどどういう!? なにゆえ!?」

 

「突入した地下室で見たのは、会長の下着を触媒に召喚した悪魔……」

 

「で? んでんで!?」

 

「続きは後にしよう。それよりも今日、授業が終わってから行くお店についてなんだけど」

 

「悪魔は! 悪魔の話聞きたいんだけど!」

 

 悪魔の話の続きはWEBで。

 あとこの界隈を騒がせていた犯人はやっぱり俺だったぽいぽい。

 奇声を上げて云々は、エリザを背負ってタイムセールに向かっていた途中を目撃されたらしい。

 あまりのショックに引き篭もろうと思ったけど、エリザが笑顔で送り出してくれるから、できないのであった。


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