ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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第十二話

「これで良いのか、兄貴?」

 

「ああ、充分だ」

 

 『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』を出した事に俺が満足そうに答えると、イッセーはソレを展開したまま再びソファーに座り込む。

 

「あ、貴方の弟君が神器(セイクリッド・ギア)を宿していたのはこっちでも予想してたけれど、それがまさか二天龍の片割れである『赤き龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)』の力を宿した物だったなんて……!」

 

 余りにも予想外な事に驚き過ぎているグレモリー。

 

 まぁそりゃそうだ。自分の領地でこんな身近に今代の赤龍帝がいただなんて全く予想していなかったんだからな。いつも優雅に振舞っているグレモリーが驚くのは無理もない。

 

 因みにグレモリー眷属の三名も当然驚いている。けどその中で、木場だけが驚きながらも何か考える仕草をしてるようだが一先ず無視だ。

 

「とまあ、この通りイッセーが赤龍帝だった為、コイツの神器(セイクリッド・ギア)に宿っている龍の魂――『赤き龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)』のドライグから、そちら側の情報を聞いて色々と知ったんだ。なぁ、ドライグ?」

 

『……ああ。そして俺がこの兄弟に三大勢力の事を教えて、それを知った相棒の兄――兵藤隆誠は悪魔であるお前の事を調べあげたんだ、リアス・グレモリー』

 

 俺の台詞にドライグが少し間があったが、それでも合わせるように頷いて答える。

 

 勿論コレは嘘。ドライグにはグレモリーがもし俺とイッセーが裏に関わっている事を知った場合、俺と口裏を合わせるように前以て話しておいた。

 

 三大勢力の誰もが二天龍の片割れである『赤き龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)』ドライグの言葉を大抵信じきる。二天龍が嘘を吐く訳が無いと。

 

 現に目の前にいるグレモリー達はもう信じきってる。だから俺は裏を掻く為に、ドライグを呼び出して嘘の証言をさせた。

 

「………と、取り敢えず貴方たち兄弟が私や三大勢力の事を知った理由は分かったわ、兵藤君の弟君が赤龍帝である事も……もしかしたらこの子があの堕天使を(ボソッ)」

 

 グレモリーは前々から目を付けていたイッセーが赤龍帝であった事は知らなくても、神器(セイクリッド・ギア)を持っていた事からそれなりに納得したようだ。同時にイッセーを見て微笑んでいる。

 

 あの顔をしながらイッセーを見て小声で呟いてるって事は……多分グレモリーは何か良からぬ事を考えてるかもしれないな。イッセーは全く気付いて無いのか、グレモリーの笑みを見て少しだらしない顔になってるし。

 

 俺が不審に思ってると、グレモリーはイッセーから俺に視線を移した。

 

「弟君の事は納得したけど、私としては貴方が一番気になるわ。神器(セイクリッド・ギア)を一切持ってない人間の貴方が、どうして昨日使ってた力を使えるのかが」

 

「ははは、やっぱりそこに疑問を抱くか」

 

 まぁ、昨日俺が一瞬で光の槍を作った事がグレモリーや眷属達にとって一番気になる事なんだろう。

 

 取り敢えず此処は昨日の夜に考えていた嘘話を言っておくとしよう。

 

「俺の力についてだが、正直言って自分自身でも良く分からないんだ」

 

「分からない?」

 

 不可解そうに言うグレモリー。俺が分からない発言をすれば、そうなるのは当然だ。

 

「ああ。信じて貰えないだろうが、俺は物心付いた時から普通の人間とは違う不思議な力を持ってたんだ。しかも何故か頭の中でそれをあたかも理解してるかのように自由に使える。例えばこんな風に」

 

 俺が既に飲んだカップの上に右手を翳すと――

 

 

 ピシピシッ……パキンッ!

 

 

 触れていないのにカップが二つに割れるが――

 

 

 カタカタッ……ピトッ

 

 

 意思を持ってるかのように動くとすぐにくっ付き、何事も無かったかのように元のカップに戻った。

 

 俺の力の一片を見せると、グレモリー達は驚いている。さっきから驚きっぱなしだな、この方々は。

 

「これは……私達が使う魔力とは全く異なってるわね。と言うか、魔力その物を一切感じないわ」

 

「ま、一種の超能力と思ってくれれば良い。んで、この超能力以外にも昨日お前達が見た――」

 

 

 パチンッ!

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 別の力を見せる為に俺が右手の指を鳴らすと、俺の頭上から光の槍と光の剣が一本ずつ出てきた事によって、グレモリーを除く眷属達は一斉に構えだす。

 

 一応二つの武器の穂先は上に向けてるので、グレモリー達に狙いは定めていない。

 

「悪魔にとって最悪な武器である光の槍や剣を何故か作れるんだ、コレが。ああ、そんな警戒しなくていい。別にコレで不意打ちする気なんて一切無いから」

 

 と言っても、さっき俺が言ったように光の槍と光の剣は悪魔にとって最悪な物なので、俺は証明する為に即座に消す。

 

 その瞬間に構えは解かれたが、それでも警戒はしている様子だった。

 

「何故か身に付いてた力ね……。神器(セイクリッド・ギア)を持ってる弟君と違って、貴方の言葉は簡単に納得出来ないわね。私は未だに貴方が実は天使か堕天使なのではって思ってるし」

 

「だろうな」

 

 決定的な証拠が無いまま俺の言葉をそう簡単に鵜呑みにするなんて微塵も思ってない。

 

「突然だがグレモリー、アンタはこの町に堕天使が潜んでいるのを知ってるか? イッセーに接触してた女堕天使の事を」

 

「……本当に突然ね。その堕天使が私の縄張りに潜んでる事くらい、もうとっくに知ってるわよ」

 

「ならソイツが仲間と一緒に、この町にある教会を自分達のアジトにしている事も知ってるか?」

 

「何ですって」

 

 おや? グレモリーがこんな反応するって事は、流石に居場所までは知らなかったみたいだ。

 

 余計な事を教えてしまったと思ったが、まぁこれはこれで良いか。自分は堕天使側じゃないって証明出来るし。

 

「どう言う事? どうして堕天使が神側の教会に潜んでるの?」

 

「悪魔のアンタは立場上として教会に近づいていなかったみたいだが、俺が調べた所、あそこにはもう天使側の教会関係者なんか一人もいない上に全く使われて無い。だから今あの教会に堕天使が隠れ蓑として潜んでるのさ。因みに今この町に教会関係者はいない。もしいたら今頃、教会側はアンタ等に知られないよう密かにあの教会を奪還してるからな」

 

「………随分と詳しいのね。今は敵でも味方でも無い貴方が、どうして私にそこまでアッサリ教えてくれるのかしら?」

 

「俺が天使や堕天使のどちらにも組してないって事を証明する為に教えてるからだ」

 

 敵では無いと言う事を証明する為に。かと言って今はそちらの味方でも無いが。

 

「………………………」

 

 目を細めて訝るように俺を見てくるグレモリー。

 

 どうやら俺の情報を聞いても完全に信用はしてくれないようだ。

 

 まぁそれは当然だろう。敵か味方か分からない状況で、俺の情報をそう簡単に信じてくれるとは思えない。

 

「ま、そちらがそう簡単に信用出来ないのは分かるよ。俺がそっちの立場だったら、アンタと同じ事を考えてると思うし」

 

「………確認の為に訊くけど、堕天使は私がこの町の領主である事を知った上で潜んでるのかしら?」

 

「いいや、知らないようだ。こんな地方都市に悪魔がいる訳がないと思って、あの教会をアジトにしてるらしい。早い話アンタの事なんか眼中に無い、みたいな感じだ」

 

 

 ピシッ!

 

 

 何か(ひび)割れる音が聞こえたな。

 

 まぁ発生源は分かってる。今俺の目の前にいるグレモリーが怒気とも言える赤い魔力を迸らせているからな。おまけにさっきまでエメラルドグリーンだった瞳の色が真紅に染まってる。少し切れかかってる、と言ったところか。

 

 魔王の妹とは言え、上級悪魔のリアス・グレモリーが駒王町の領主である事を堕天使達は全く調べずに潜んでいるからな。彼女が怒るのは分からなくも無い。

 

 因みに俺の隣にいるイッセー、そしてグレモリー眷属達が彼女の怒気に少しばかり冷や汗を掻いている。

 

「………ふぅん、知らないとは言え堕天使たちは随分私の事を甘く見てるようね」

 

「まぁそう怒るな。でだ。アンタが俺達に数日ほど猶予を与えてくれるなら、その堕天使達を捕まえてアンタの所に連れて来させるよ。形としてはアンタが依頼主で、俺達は実行者。報酬は俺に対する信用、ってどうだ? 悪魔のアンタは立場上として教会に行けないなら、人間である俺達が代わりにやるって事で。グレモリーにとって悪くない話だろう?」

 

「………………」

 

 万に一つも無いが、仮に俺達が堕天使に殺されたとしてもグレモリーにとって何の損害は無い。あくまで人間の俺達が勝手にやった事だと言い逃れが出来るから。

 

 因みにこれは一種の契約だ。契約を重んじる悪魔なら、これは重要な事でもある。

 

 さて、グレモリーの返答は如何にするか。一応考えてはいるみたいだが、これでもし拒否するなら――

 

「……………良いわ、兵藤君。貴方の提案に乗るわ」

 

 おお、どうやら受け入れてくれるみたいだ。良かった良かった。

 

「言っておくけど、私はまだ貴方の事を完全に信用してないわ。それ故に、一応コッチで監視させてもらうから」

 

「ああ、是非そうしてくれ。と言うか寧ろコッチから願い出るところだったからな」

 

「……自分からそんな事を言うなんて、本当にやる気なのね」

 

「当然だ。まだ信用を得られてない状態で依頼を完遂しても、本当にやったかどうか疑われてしまうからな。だったらいっそ監視役を証人にさせたほうが手っ取り早い」

 

 疑われてこの話は無かった事に、なんてされたらコッチとしちゃ堪んないからな。

 

「……分かったわ。それじゃあ監視役は――」

 

「ちょっと待った。出来ればその監視役を、アンタの後ろにいる眷属――木場祐斗を指名させてくれ」

 

「はあ!? お、おいちょっと待て兄貴! 何でよりにもよって木場なんだよ!?」

 

 さっきからずっと黙って聞いていたイッセーが口を開くが一先ず無視。

 

 まぁコイツの事だから木場が俺達の監視役とするのは不満なんだろう。現にイッセーはイケメンの木場が嫌いだし。

 

 俺の指名にグレモリーだけでなく、木場も目を見開いている。木場もまさか自分が指名されるとは思ってもいなかったんだろう。

 

「ぼ、僕がですか?」

 

「一応理由を訊いても良いかしら? どうして祐斗を指名するの?」

 

「な~に、簡単な理由だ。女のグレモリー達や使い魔に監視をされる位なら、同じ男子である木場が丁度良いだけさ。こっちとしちゃ話しやすい相手だし」

 

 グレモリー達は自覚してるかどうか知らんが、学園では大物と言える有名人だからな。大して接点もないグレモリー女子勢と話しているなんて事を学園に知られたら面倒な事になる。

 

 逆に木場とは交流がある為、一緒に話をしても問題無い。これでも一応仲の良い先輩と後輩って事になってるからな。まぁ下らん事を考えている腐女子共にはOHANASHIする事になるが。

 

「とまあ俺の理由は以上だ。で、判定は?」

 

「……祐斗、兵藤君たちの監視をお願い出来るかしら?」

 

「僕は構いません」

 

 よし、グレモリーはOKのようだ。

 

 一先ずコレで何とか――

 

「おいコラ兄貴! 俺は反対だぞ! 監視役なら木場なんかより姫島先輩や塔城小猫ちゃんの方が――」

 

 

 バチンッ!

 

 

「へぶっ!」

 

 後でイッセーには俺から説得しておくか。

 

 って、いけね。五月蝿いから思わずイッセーにデコピンして気絶させちまった。




この話を書いたり消したりの繰り返しで、こう言う流れとなりました。

無理矢理感があると思われますが、どうかお許しを。
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