ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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一週間振りの投稿となってしまいました。

新しい仕事をやる為の研修をやって、それを覚える事に必死で書く暇ありませんでした。

見苦しい言い訳すいません。それではどうぞ!


第十三話

 交渉を終えた隆誠は気絶させた一誠を起こして何とか宥めた。そして用件を終えた兵藤兄弟はオカルト研究部の部室を出ようとする。

 

「それじゃあ、堕天使の件はお願いね」

 

「ああ、分かってる。んじゃグレモリー、俺達はこれで」

 

「いてて……り、リアス先輩、それじゃあまた……」

 

 リアスに別れを告げる兵藤兄弟。

 

「っと言い忘れてた。おい木場、待ち合わせ場所は通学途中にある公園だ。今夜の零時までに来てくれ」

 

「分かりました」

 

 隆誠がすぐに指定場所と時間を言うと、監視役の木場はすぐに頷く。

 

 兵藤兄弟が部室から出たのを確認したリアスは、すぐに窓の方へ移動した。そこに立って腕を組みながら、旧校舎から出て行く二人の後姿を眺めている。

 

「お手並み拝見させてもらうわよ、兵藤君」

 

「宜しいのですか、部長?」

 

 笑みを浮かべながら言ってるリアスに、朱乃は少し怪訝そうな感じで問う。

 

「何が?」

 

「先ほどの契約の事です。いくら契約とは言え、あのご兄弟が本当に堕天使たちを捕らえてくるんでしょうか? 弟君の方はともかくとして、兄の兵藤君は未だ何かを隠しているような感じでしたし、本当に信用してもいいのかどうか……」

 

 リアスと隆誠の会話に口を出さず黙って聞いていた朱乃だったが、兵藤隆誠を今一つ信用出来ない節があった。

 

 隆誠が自身の能力について話す際、朱乃はまるで咄嗟に考えたような作り話みたいに聞いていた。何故か力が身に付いて理解してるとは言え、それを当然のように受け入れてる隆誠の言動が信じられなかった。

 

 いくら常軌を逸した力を理解しても、唯の人間がそう簡単に受け入れられるものでは無いと朱乃は考えていた。特に彼女は自身に宿っている“ある力”を嫌っており、今はそれを全く受け入れる事が出来ない事情がある。故に隆誠が己に宿っている力を素直に受け入れ、当然のように力を使っている事に朱乃は疑問を抱いていた。

 

「そうね。私も朱乃と同じく、兵藤君の事をまだ疑っているわ」

 

「でしたら――」

 

「けれどそれはあくまで彼の能力についてだけ。契約に関しては信じても大丈夫だと私は思ってるわ。何しろあっちから契約の話を持ち込んできた上に、監視役として祐斗を指名したのよ? 自分からあそこまで言い切ったんだから、依頼は嘘偽りなくやると思うわ」

 

 契約の話を持ち出した際、リアスは隆誠の目を見てさり気なく見ていたが、とても嘘を言ってるような感じがしなかった。まるで嘘偽りなく、堕天使達を捕らえる絶対の自信を持っていると。

 

 仮にあの話が、自分達から逃れる為の嘘だと感じたら、リアスは暗示を使ってでも問い質そうと思っていた。けれど隆誠から契約に関して全く偽りが無いと分かった為に暗示を使わず、敢えて契約を成立させた。

 

 加えて嘘偽りの無い契約を持ち出されたので、契約を重んじる悪魔のリアスとしては首を縦に振らざるを得ない状況でもあった。隆誠がそれを知った上で持ち出してきたのかどうかまでは分からないが、教会側の状況を向こうが探るなら却って好都合でもある。いくら悪魔の自分が治めてる領地とは言え、教会側まで調べる事が出来ないから。

 

「一先ずこっちは静観してましょう。向こうが裏切る事をしない限りはね。祐斗、急で悪いけど二人の監視をお願いね。あと今日は貴方の依頼が入ってないから、もう先に帰っていいわよ。監視の待ち合わせに遅れないようにね」

 

「分かりました。では、お先に失礼します」

 

 祐斗はリアス達にペコリと頭を下げた後、すぐに部室を出た。

 

 妙に早足だった祐斗を見た小猫が、少しばかり怪訝な表情をしている。

 

「……部長、私の気のせいでしょうか? 祐斗先輩が少し嬉しそうな感じがしてたような気が」

 

「みたいね。聞いた話だと、祐斗は兄の兵藤君と何かしらの交流があるみたいだわ。一応私も気になって祐斗に聞いてみたのだけど、『僕と兵藤先輩とのプライベートな事なので、いくら部長でもお答えする事は出来ません』って言い返されたわ」

 

「あらあら、あの祐斗君がそんな事を言っただなんて珍しいですわね」

 

 嘆息してるリアスに、思わず面白そうに笑みを浮かべながら言う朱乃。騎士である祐斗が、(リアス)からの問いに答えれないと言われたのが予想外だったんだろう。

 

「まぁ祐斗は男友達が余りいないみたいだから、兵藤君と仲が良いのは納得出来るわ」

 

 祐斗が全学年の女子達にモテてはいるのをリアスは知っているが、男子との交友関係については大して知らなかった。と言うより、祐斗は男子についての話自体をあんまりしてなかった為、リアスが知らないのも無理はない。

 

「そう考えると、少しばかり羨ましく思うわ」

 

「部長、祐斗君が彼に盗られないと良いですわね♪」

 

「……朱乃、変な冗談は止めて。仮にそうな展開になれば……いくら兵藤君でも私の大事な下僕を奪うような事をしたら、それ相応のお仕置きをするまでよ」

 

「あらあら、うふふ。少しばかり本気が混じってるわね、リアス」

 

(……あの目は本気ですね)

 

 さっきまでリアスの事を部長と呼んでいた朱乃だったが、少し目が据わってる彼女の発言を聞いて思わず名前で呼んでしまった。 

 

 因みに小猫も、リアスの発言を聞いて本気だと言う事を感じ取っていた。

 

 リアスは自分の下僕に対して情愛を持って接し、それと同時にかなりの独占欲がある。その大事な下僕の一人である祐斗を隆誠が奪うような事をしたら絶対に許さないだろう。

 

 当然グレモリーの事を知っている隆誠は、そんな事をするつもりは無い。もとい、する気がないと言った方が正しい。隆誠は自分からリアスと敵対するような行為をするつもりは微塵もないから。

 

「それはそうと小猫。貴女にご指名の依頼が来てるそうだから、今夜頼むわね」

 

「……分かりました」

 

 この時、この場にいるリアスや朱乃、そして小猫は知らなかった。今回の小猫の依頼で兵藤兄弟から大きな借りが出来てしまう事に。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 一般人が寝静まっている深夜。

 

 俺とイッセーは目的地の公園に向かっている。

 

「何だよイッセー、お前まだ気に食わないのか?」

 

「当たり前だ。ってか兄貴、何で監視役をイケメン野郎の木場なんか指名すんだよ」

 

 いつも通り自宅に影武者用の人形を設置し、待ち合わせ場所の公園に向かってる最中、同行してるイッセーが未だに木場を監視役に指名した事が気に食わない様子だった。

 

 一応理由を言って納得させたつもりだったが、どうやらコイツにとっては男より女の方が良かったみたいだ。

 

「だから言っただろ? アイツを監視役にするのは却って好都合だって」

 

「兄貴が木場と仲が良いからなんだろ。けどそれは兄貴だけに限った話で、俺には関係ねぇよ」

 

「関係無くもないさ。グレモリーに俺達の事が知られた以上、もう今迄通りの接し方は出来ないからな。だったらいっそアイツに大きな借りを作らせておくと同時に、交流も深めておこうと思ったんだ。後この際だからイッセー、お前はグレモリー眷属達と仲良くなれ。特に同じ男子の木場を、な」

 

「何でよりにもよって木場と仲良くならなきゃいけねぇんだよ!?」

 

 俺の説明に噛み付くように叫ぶイッセー。夜中にそんなデカイ声を出すなよ。近所迷惑だろうが。

 

 因みに俺がイッセーと木場が仲良くなって欲しい理由は他にもある。イッセーには仲の良い友人の松田と元浜がいるのは良い事なんだが、あの二人は基本的に終始エロな事をばっかり考えてる連中だ。だからイッセーには木場と言う真面目な男子で、エロとはあんまり関わりのない健全な付き合いの出来る友人を持って欲しい。

 

 対する木場は木場で全学年女子にモテてはいるんだが、アイツに男子の友人と言う存在が余りいない事を知ってしまった。一応俺は木場と友人なのだが、それはあくまで先輩後輩の関係にすぎない。それゆえ木場には同年代の友人が必要だと思って、イッセーと友人関係になってもらおうと思っていた。

 

「俺は嫌だぞ! あんなイケメン野郎と仲良くなるだなんて!」

 

 けれど肝心のイッセーは木場と友人になるのは凄く嫌そうな感じだ。木場だったらすぐに首を縦に振ってくれると思うんだが、当の本人のイッセーがこれじゃあな。何か切っ掛けで仲良くなって欲しいんだが。

 

「まぁそう言うな。木場はお前が思ってるような奴じゃない。そこは俺が保証する」

 

「そんな保証なんかされてもな……。あ~それはそうと、木場の奴にアーシアの事を黙ってるつもりなのか? リアス先輩には堕天使を捕まえるって言ってたけど、アーシアの事は何も話して無かったし」

 

 木場の話はもう勘弁と言うような感じで話題を変えてくるイッセー。

 

 確かにイッセーの言うとおり俺はあの時、グレモリーにアーシアとアーシアが持っている神器(セイクリッド・ギア)について話さなかった。あくまで堕天使が潜んでいる事だけしか言ってない。

 

「あくまでグレモリーには堕天使捕縛の契約をしただけに過ぎないからな。まぁ木場にはコッチの個人的な事情でシスターを家で保護するって後で言っとく」

 

「良いのかそれで? 後でリアス先輩が知ったら何言われるか」

 

「別に嘘なんか言ってない。契約をした以上、グレモリーは堕天使捕縛以外の事に干渉しない筈だ。それに………」

 

「? それに………何だ?」

 

「…………いや、何でもない」

 

 途中で言葉が途切れたのを見たイッセーが問うと、俺はすぐに首を横に振った。

 

 イッセーには言えないが、捜索するシスターのアーシア・アルジェントは俺が責任持って保護しないといけないからな。あの子に不幸な人生を送る原因を作ってしまった『聖書の神(わたし)』が尚更。

 

 嘗て俺が『聖書の神(わたし)』として生きていた頃、システムに不思議な能力を所持者へ与える機能も作成した。その与えられる能力は様々であるが、発現するのに「使い手の善悪」は全く関係ない。しかし『聖書の神(わたし)』が作った機能であるにも拘らず、神器(セイクリッド・ギア)の存在を知る教会内の上位連中しか知らないのか、それを『悪魔の業』と誤解され迫害を受ける所有者が多い事を俺は知ってしまった。

 

 それを知った直後、俺は酷く後悔した。あの時の『聖書の神(わたし)』は自分の愛で人間達が幸せになれるようにとシステムに付けた機能だったが、それが却って逆に不幸にさせてしまったと。あの時ほど己を恥じた日は無かった。今でも時々後悔してる事がある。

 

 他にも神器(セイクリッド・ギア)を与えられて不幸になった人間はいるだろうが、今回見つけたアーシア・アルジェントには俺が何らかの償いをしようと思っていた。ローズ店長が捕らえた堕天使ドーナシークから彼女の事情を聞くまでは。

 

 何故なら彼女は――

 

「おい兄貴、公園に着いたぞ」

 

「ん? ……ああ、そうだな」

 

 公園に着いた俺は考えるのを止めて、すぐにその中に入る。

 

 そして公園の中心には、もう既に待ってるような感じで佇んでいる監視役の木場がいた。

 

「お待ちしていました、兵藤先輩」

 

「よぉ木場、集合時間の十分前なのに随分早いな。いつから此処にいたんだ?」

 

「監視役の僕が遅れる訳にはいかないと思って、集合時間の20分ぐらい前に来てました」

 

 俺達より更に早く来ていたのか。まぁ遅く来られるよりはマシだが、それでも早く来すぎなんじゃないかと……まぁ良いか。別に悪い事じゃないし。

 

「そうかい。んじゃ取り敢えず、これから三人で教会に――」

 

「あ~悪いんだけど兄貴、俺は今から別行動させてもらうぜ」

 

「何だと?」

 

 突然イッセーの別行動宣言に、俺だけじゃなく木場も目を見開いていた。

 

「ちょ、兵藤君、いきなりどうして……?」

 

「おいイッセー、お前こんな時まで」

 

「ちげぇよ。別に兄貴が思ってるような事じゃない。まぁ確かに俺は木場が気に食わないのは多少あるが、別行動するには他の理由があるんだよ」

 

「他の理由?」

 

 イッセーがこう言うからにはちゃんとした理由があるだろうから、一先ず聞いておくか。

 

「ああ。今から行く教会に堕天使の夕麻ちゃんが絶対いるって限んねぇだろ? もしかしたらあの教会以外の他にも拠点にしてる可能性があるかもしんねぇしな。三人で行くより分断した方が手っ取り早い」

 

 ………………まぁ言ってる事は間違っちゃいないな。

 

 だが既にドーナシークから堕天使共の居場所は掴んでるから、何も態々そんな事をしなくたって良いとは思うんだが。

 

「兵藤君、確かに君の言ってる事は分かるよ。だけど僕は今回君と兵藤先輩の監視役だから、勝手に動かれたらコッチとしては困るんだけど」

 

 そりゃそうだ。監視役の木場がいるにも拘らず、堂々と別行動宣言されたら困る。

 

「監視つっても、今回の契約に関しての事だろ? だったら別に俺がいなくても、堕天使たちを捕らえる事くらい、兄貴一人で充分だからな。兄貴が強ぇのはお前だって知ってんだろ、木場?」

 

「……まぁ、それはそうなんだけど」

 

「それに俺としては、兄貴が堕天使をとっ捕まえてる最中に“あの子”を探しておきたいからな」

 

「? あの子って誰のことだい?」

 

 成程。どうやらイッセーは堕天使より、シスターのアーシア・アルジェント捜索を優先したいようだ。

 

 そう言えばコイツは彼女に見惚れていた事があったな。一目惚れかどうかは知らんが、どうやらイッセーは僅かな間、アーシア・アルジェントに対して何らかの情を抱いてるようだ。

 

 加えて此処に来る前、イッセーに家でドーナシークから聞いた情報――アーシア・アルジェントがこの町に来た目的を教えた際、

 

 

『夕麻ちゃんが“そんな事”の為にアーシアを連れてきた!? ふざけんな!! そんな自分勝手の為にアーシアを連れてきたんなら、俺が絶対阻止してやる!!』

 

 

 と言って激昂してたからな。

 

 あの無類な美少女・美女好きのイッセーが堕天使のレイナーレに対して殺意を抱いたのは初めて見た。

 

 イッセーの怒り具合から見て、アーシア・アルジェントと言う存在は初デート相手のレイナーレよりも大きいんだろうな。

 

 まぁイッセーがアーシア・アルジェントの捜索を第一優先にしたいなら、好きにさせるか。ここでダメだと言ったところで、コイツはコイツで勝手に動くと思うし。

 

「………はぁ、分かった。お前の好きにしろ、イッセー」

 

「サンキュー兄貴。話が早くて助かるぜ」

 

「ちょっ、兵藤先輩!?」

 

 俺の了承にイッセーが嬉しそうに笑みを浮かべるとは対照に、木場は困惑するように俺を見てくる。

 

 取り敢えず木場には俺から教えておくか。

 

「お前の方で堕天使を見つけたら、倒しても構わんが決して殺すなよ。もしくは彼女を見つけたら速攻で俺達の家に連れて帰れ。あとそのどちらも無理な状況であれば即刻俺に知らせろ。良いな?」

 

「OKOK。んじゃ、ちょっくら探してくるわ!」

 

「ま、待ってくれ兵藤君! そんな勝手に……!」

 

 木場の制止を無視するかのように、イッセーはその場で膝を曲げた瞬間――

 

 

 ドンッ!

 

 

 何の助力も無しに跳躍し、そのまま家の屋根に着地した。

 

 余りにも突然なイッセーの行動に、木場はギョッと目を見開き動きを止める。

 

「待ってろよアーシア! 下らねぇ儀式をさせる前に俺が助けるからな!」

 

 そう言ってイッセーは再び跳躍し、あっと言う間に姿を消した。

 

 あのバカ……彼女を保護しに行くのは良いが、よりにもよってデカイ声出しながら行くなよ。

 

 ほれ、木場が怪しんだ目をしてるじゃないか。

 

「え、えっと……兵藤先輩、宜しければ説明して貰えませんか? 彼が言ってた“アーシア”とか“儀式”とか、“助ける”って一体何の話です?」

 

「………はぁっ。目的地の教会に行きながら説明するよ」




次回はイッセー視点となります。
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