ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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第十四話

「よっしゃ! 兄貴から許可を貰ったから早くアーシアを探しますか!」

 

 俺――兵藤一誠は、人様の家の屋根に着地して跳んでは人様の屋根に着地して再度跳んで……と言う事を繰り返しながら周囲を見回していた。

 

 さっき口で言ったが、俺は早くアーシアを探して見付けたかった。兄貴から聞いた胸糞悪い情報を知っちまったからな。

 

 堕天使とは言え、夕麻ちゃんが“あんな事”をすると聞いた以上、見つけたら絶対阻止させてもらう。それが例え初恋の相手だとしても。

 

『相棒、張り切ってるところ悪いんだが、探そうとしてるシスターが今何処にいるのか分かるのか?』

 

「あぁ? 何言ってんだよ、ドライグ。んなもんアーシアの気を探ればすぐに……あれ?」

 

 ドライグの問いに俺は呆れながら探ろうとしたが、兄貴から教わった探知能力を使ってもアーシアの気配が感じられなかった為に、移動してた足を止めた。

 

 おかしい。兄貴と一緒に公園に行く前までは、アーシアが持ってる神器(セイクリッド・ギア)のオーラを感じ取って何処にいるのか分かってた筈なのに、今は全く感じられねぇ。

 

 神器(セイクリッド・ギア)を持ってる人間は、一般人と違って独特なオーラを持ってるから、それを探知出来ない訳が無い筈だ。加えてアーシアは清純とも言える綺麗なオーラを持ってるから、すぐに分かるんだが……。

 

 ……なぁドライグ、ひょっとしてアーシアは自分の持ってる神器(セイクリッド・ギア)を完全制御できるのか?

 

『それは無いだろうな。俺が見た感じ、あのシスターが使ってる神器(セイクリッド・ギア)は未成熟な状態だ。あれで制御してるとはまだまだ言えん』

 

 俺の問いにドライグが速攻で否定してきた。

 

 となると、俺が感じ取れない理由としたら………あ~もう、一々考えてたらキリがねぇな。

 

 仕方ねぇ。オーラを感じ取れないなら目で探すしかねぇか。幸い、この家の屋根は周囲を見渡せるからな。

 

 そう考えた俺は『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』を展開し能力を発動させる。

 

『Boost!!』

 

 篭手に付いてる宝玉が光りながら声が出ると、そこから俺の身体に力が流れ込んできた。

 

 俺の神器――『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』は10秒毎にさっきの「Boost!」と言う掛け声とともに所有者の力を倍加させる能力を持つ。兄貴曰く「反則染みたチートな神器(セイクリッド・ギア)」だそうだ。けどコイツの能力はそれだけじゃない。

 

『Boost!』

 

 二回目の掛け声を聞いた俺は、左手の篭手を自分の顔に当てると――

 

『Transfer!』

 

 違う掛け声が出た直後、さっきまで倍増していた力が俺の両目に流れて視力が一気に上がった。

 

 これが『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』の別の能力――『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』。本来は増加させた力を他者に譲渡することが出来るが、所有者の一部分にも譲渡が可能だ。

 

 さて、視力がグンと上がって視野も結構広くなったから、周囲を見回してみるか。

 

 ……………ん~、一応見てるけどアーシアの姿が見当たんないな。

 

 お? さっき公園で別れた兄貴と木場が教会に向かって……って、兄貴の野郎。俺に見られてるのを気付いてコッチ見ながら手を振ってやがるし。しかも「早くシスターを見つけろよ」って口パクもしてる。ちきしょう。俺がまだアーシアを見つけずに、ちょっと途方にくれ気味って事まで気付いてやがるし。

 

 あ~クソッ。ホントに兄貴は俺の事を見透かしてやがるな。まぁ今はそんな事より、兄貴じゃなくてアーシアを探さないと。って意気込んでる俺だが、マジでアーシアの姿が見付からなかった。

 

 さっきまでトコトコと歩くようにアーシアのオーラを感じてたから、外に出歩いてるのは分かってた。

 

 けど今はオーラが感じ取れない以上、恐らくアーシアは今何処かの建物内にいて……あれ? 建物内にいてもオーラを感じ取れる筈だよな?

 

 建物内にいて且つアーシアのオーラが感じ取れないって事は……ひょっとして結界を張られてるから、かもしれねぇな。

 

 ちょっと探し方を変えてみるか。アーシアじゃなくて、どっかで結界張ってる建物は………あった。マンションやアパートじゃない、普通の一軒家だ。

 

 遠目から見ても分かるように、明かりが点いてないから多分家主は就寝中かと思われる。が、それはすぐに違うと分かった。何故ならあの家は電気が点いてないにも拘らず、玄関口が開いていた。しかも、あそこから凄く嫌な感じもする。例えて言うなら、警察が捜査する前の殺人現場みたいな不気味さだ。

 

 ………アーシアと関係あるかどうか分かんないが、ちょっくら行ってみるか。念の為、兄貴にメールで知らせておこう。もしかしたらマジで殺人現場かもしれねぇしな。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 一誠が公園で隆誠と合流した祐斗と別れるところから、ほんの少し遡る数分前。

 

 とある民家の中で戦闘とも言える騒音が響いていた。

 

 戦っているのは、隆誠と一誠が放課後の部室で出会った小柄な銀髪少女の塔城小猫と、神父服を身に纏って剣と銃を持った十代と思われる白髪の少年だった。

 

「あはははははっ! 中々粘りますなぁ悪魔のおチビちゃぁん! エクソシスト特製の祓魔弾(ふつまだん)を足に食らったんだから、今度はこの光の剣でバラバラに全身切り刻まれろぉ!」

 

「くっ!」

 

 少年神父――フリード・セルゼンの猛攻に小猫は防戦一方だった。

 

 小猫がこの家にいるのは、隆誠と一誠との会合を終えた後、リアスから依頼の仕事が入った為に訪れていた。

 

 しかし訪れた際、家主は既に殺されていた。目の前にいるフリードによって、罪人のようにリビングの壁に上下逆さまで磔とされ、全身切り刻まれている。そして傷口からは臓物らしき物もこぼれていた。

 

 その光景を見て戸惑っていた小猫だったが、フリードが悪魔の自分を見て早々に武器を構えて仕掛けてきたので已む無く応戦。けれど民家に来る為に魔法陣で来た時、突然現れたフリードが不意を突くように持っていた銃から放たれる光の弾丸――祓魔弾を右腿に受けてしまった為、思うように動けず防御と回避に専念せざるを得なかった。

 

 戦車(ルーク)としての特性で、小猫は馬鹿げた攻撃力と防御力を持っている。だが悪魔の弱点である光の弾丸だった為、不意を突かれてしまった小猫は防御する暇も無く受けてしまった。

 

 そしてフリードは思うように動けない小猫を見て、歪んだサディスティックな笑みをしながら攻撃を繰り出している。まるで弱者を弄ぶよう一方的に攻め続けるように。

 

「念の為にもう一度ばっきゅぅんっ!」

 

「っ!?」

 

 フリードがそう言いながら祓魔弾が篭った銃が撃たれるが、そこからは音が一切出ずに放たれた。その銃弾によって、小猫は次に左腿に当たってしまい、そのままうつ伏せとなって倒れてしまう。

 

「ううっ……」

 

 両腿に祓魔弾を撃ち込まれた小猫は立とうとするが、悪魔の弱点である光の所為か、両足に力を入れることが出来なかった。

 

「芋虫になった悪魔のおチビちゃん、お楽しみはまだまだこれからだぜぇ?」

 

 完全に立つ事が出来ない事が分かったフリードは、ニタァと嫌な笑みを浮かべて、今度は持っている光の剣を小猫の眼前に突きつける。

 

「さぁ死ね悪魔! クソ悪魔! チビ悪魔! バラバラに斬り刻まれて俺様の悦楽の為に死にやがれぇ!」

 

「くっ、すみません部長……!」

 

 振り翳す光の剣に、小猫は無念の意思を表すように両目を閉じながらリアスの名前を口にする。

 

 だが、

 

「もうお止め下さい、フリード神父! いくらなんでもやり過ぎです!」

 

「………はい?」

 

 フリードと小猫の間にシスター――アーシア・アルジェントが止めるように割って入ってきた。

 

 余りに突然とも言える展開に、思わず首を傾げるフリードだけでなく、庇われている小猫も目が点になっている。

 

 二人の反応は至極当然。聖職者のシスターが自分と同じ少女とは言え、悪魔を庇うから戸惑うのは無理もなかった。

 

「あのさぁ、助手のアーシアちゃん。これは一体何のマネかな? 何でそこのクソ悪魔を庇うのかな?」

 

 因みにアーシアはフリードの助手として同行しており、この民家に住む家主を説得する為に来ていた。悪魔との契約を止めさせる為に。

 

 だが現実そうはいかなかった。結界を張り終えてすぐ民家に入ったアーシアの視界には、民家の家主が無残に殺されただけでなく、自分と同じ少女である悪魔をフリードが一方的に甚振っていた。

 

 そんな光景を見たアーシアは最初悲鳴を上げながら震えて両足が竦んでいたが、小猫が殺されそうになるところを見て、すぐさまフリードの凶行を止めさせようと割って入った。

 

「ソイツは俺達教会の宿敵だよ? そこんところ分かってる?」

 

「分かってます。……けど、いくら悪魔に魅入られたからって、人間を裁いたり、相手が悪魔だからって酷い事をするのは、こんなやり方は間違ってます!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁああああああっ!? 何バカこいてんだよ、このクソアマ! 悪魔はクソな生き物だって、教会で習っただろうがぁ! おまえ、マジで頭にウジ湧いてんじゃねぇのか!?」

 

 

 バキッ!

 

 

「キャッ!」

 

 フリードは憤怒の表情をしながら、聞くに堪えない台詞とも言うような感じで、銃を持った手でアーシアを横なぎに叩いた。それによりアーシアは床に転んで仰向けに倒れる。しかも顔面に痣が出来始めていた。

 

 同行してる仲間とは思えない行動に、それを見ていた小猫はフリードを嫌悪するような目で睨んでいた。

 

「……ったくよぉ。堕天使の姉さんからキミを殺さないように念を押されているけど、なぁ!」

 

 

 ズバァッ!

 

 

「っ! いやぁ!」

 

 アーシアを殴ったフリードは次に、持っている光の剣でアーシアの服を下着ごと切り裂いて上半身を裸にした直後、押し倒すように覆い被さる。

 

「流石にムカつきマックスになっちまったなぁ。まぁ殺さなきゃ良いみたいだし、ちょっとばかしレ○プ紛いな事していいですかねぇ? それ位しないと俺の傷心は癒えそうにないんでやんすよ」

 

 アーシアの両腕に纏ってる袖に光の剣を刺して抵抗させないようにすると、今度は両手で露になったアーシアの胸を触り始める。

 

「グフフフフフ♪ 穢れの無きシスターが神父に思いっきり穢されるってさぁ、ちょっと良くねぇ?」

 

「いやぁあっ!!」

 

「……貴方、最低です……!」

 

 女として見るに堪えない光景に、小猫はフリードに対して汚物を見るような視線を送っている。

 

 その台詞を聞いたフリードは思い出したかのように、小猫に視線を送りながら立ち上がった。

 

「おっと、アーシアたんを犯す前にチビ悪魔を殺さないとダメダメですよねぇ」

 

 フリードは懐に仕舞っていた銃を取り出すと、すぐに銃口を小猫の額に狙いを付ける。

 

「あばよクソ悪魔」

 

 そう言ってフリードは銃の引き金を引こうと――

 

 

 パキィンッ!

 

 

「あ? 何だぁ?」

 

 した直後に、結界が割れる音がしたので思わず外を見るが――

 

「何してやがんだテメェ!!!」

 

 

 バキィッ!!

 

 

「ぶほぉっ!?」

 

 知らない男がいつの間にか民家に入っていたばかりか、自分の懐に入られて強烈なパンチを顔面にクリティカルヒットし、そのまま吹っ飛んで壁に激突した。

 

 突然の事態に小猫は驚愕していたが、割って入ってきた男の顔を見る。その人物は放課後にオカルト研究部の部室で会った兵藤隆誠の弟――兵藤一誠だった。

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