ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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第二十四話

  ~イッセーがレイナーレと戦う少し前~

 

 

 

 松田と元浜を担いで教会から抜け出した木場は、教会から少し離れた所にいるリアスと眷属達と合流していた。

 

「部長、朱乃さん、二人の容態は?」

 

「大丈夫よ。外傷も無く、ただ魔術で眠らされているみたい」

 

「一応このお二方には暗示を掛けておいたほうが良いでしょうね。万が一という事もありますし」

 

 二人を診てるリアスと朱乃の返答に木場は安堵の表情を見せる。

 

 隆誠から松田と元浜を安全な場所に連れてくれと任されていたので、木場はリアス達と合流するまで常に周囲を警戒していた。

 

 そして二人の安全が確保したのが分かった木場は、すぐに教会の方へと視線を向ける。

 

「部長、すいませんが僕は教会に戻って兵藤先輩達を援護しに行きます」

 

「そうね。あの兄弟が不利な状況になってるなんて思えないけど、一先ず――」

 

 

 ゾクッ!!

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 リアスが言ってる最中に突然悪寒が走ったかのように身体が震えた。それはリアスだけでなく、眷属の朱乃、木場、小猫も同様に。

 

「な、何なの、今のは……?」

 

 今のは悪魔としての本能とも言える震えだったと、リアスは内心考えながら少し怯えたような感じに言う。

 

 だがその原因はすぐに分かった。教会の方から凄い音がしたと同時に、エックス状となってる二つの大きな光の斬撃がそのまま上空へと向かっていく。

 

「あれは……光の剣、なのかしら? しかもあんなに純粋な光……」

 

 一切穢れの無い光を見たリアスは、堕天使が使った光ではないとすぐに判断した。

 

 堕天使の殆どは光を使う際、必ずと言っていいほど混じり気のある光が含まれている。

 

 だがそれが全く無い事に教会から放たれた光は、恐らく隆誠が放ったものだとリアスは推測した。

 

 隆誠が昨日に出した光の剣と光の槍を見て全く穢れが無く、アレを悪魔の自分がまともに食らったら消滅させられるんじゃないかと一瞬恐怖したほどだ。

 

 昨日の光と、つい先ほど見た光の質は全く同じだったので、リアスはすぐに隆誠の光だと判断したのだ。同時に何故あそこまで純粋な光を出す事が出来るのかと疑問を抱くほど。

 

「凄まじい光でしたわね。私としたことが少しばかり震えてしまいましたわ」

 

「凄い……」

 

「…………あの人、本当にただの人間なんでしょうか?」

 

 当然、それはリアスだけでなく、眷属の朱乃達も同様だった。

 

 特に木場は悪魔であるにも拘らず、隆誠が放った光を見て震えながらも何かに惹かれたかのように目で追っていた。思わず教会へ向かおうとする足を止めてしまう程に。

 

 リアスと眷属達が呆然として数分経つと、漸くハッとした木場は気を取り直してすぐに教会へ向かおうとする。

 

 だがその直後――

 

 

 グゴゴゴゴッ!

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 今度は突然地震が起きたかのように地面がグラグラと揺れ始め、リアス達は驚愕した。

 

「なっ、じ、地震!?」

 

「………いえ、これは唯の地震じゃありません」

 

「更に教会から凄まじい魔力の波動が……!」

 

 教会へ向かおうとする足をまたしても止めてしまう木場、地震ではない事に気付く小猫、オーラがどんどん上がってのを感知する朱乃。

 

「何なのよ……一体、あの教会で何が起きてるの!?」

 

 立て続けに予想外な展開が起こった事により、リアスは思わず叫んでしまう。普段学園で優雅に振舞ってる彼女らしくない行動だが、無理らしからぬ事だった。

 

 美しくも恐ろしい力を持った穢れの無い光、地震と同時に感じる凄まじいオーラの量。どれも自分の力を超えた力で手に負えない状態と徐々に思い始めていた。

 

 そして次には教会の破損して穴が開いてる屋根から赤いオーラの柱が出てきた。

 

 それを見た木場たちは余りの凄まじいオーラに驚愕してる中――

 

「………綺麗」

 

 リアスだけが違う反応をしていた。

 

(荒々しくも強く赤いオーラ……さっきの光が兄の兵藤君なら、あれは弟君――赤龍帝の彼ね)

 

 一誠が放たれるオーラにリアスは見た瞬間、身体が震えた。隆誠が放った光を見た恐怖の震えとはまた違う別の物だった。

 

 しかもリアスはそれに気付くことなく、イッセーのオーラに魅入られてるかの如くジッと見つめている。その顔はまるで恋する乙女のように。

 

(私の紅い魔力とは全然違う赤いオーラの色。なんて……なんて素敵なオーラなの)

 

 自身の家族が持つ魔力とは違う異質な赤いオーラを感じたリアスは、もっとこの身に受けてみたいと感知能力を全開にした。

 

 赤龍帝の力は女を引き寄せ魅了する。誰が言ったかは不明だが、リアスは正に赤龍帝(イッセー)の力に引き寄せられ魅了されつつあるのを未だ気付いていない。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「だぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「ひっ!」

 

 イッセーが叫ぶと同時に突進していくと、恐ろしい物を感じ取ったかのように恐怖に怯えた声を出すレイナーレ。

 

 それを無視するかのようにイッセーが拳を突き出して攻撃すると、レイナーレは咄嗟に翼を展開して空中へ逃げる。

 

「な、何なのよあなた!? 一体どうやってそんな力を!?」

 

 空中にいれば安心だと思ったのか、レイナーレは問うように叫ぶ。

 

 残念だがそれはNGだ。その甘い考えは命取りになってしまう。

 

「おりゃぁぁぁぁっ!!」

 

 

 ズドンッ!

 

 

「がっ!!」

 

 イッセーは赤い闘気(オーラ)を纏いながら跳躍して一瞬で懐に入り、すぐに拳をレイナーレの腹部に直撃させた。

 

 凄まじく強烈な攻撃だったのか、レイナーレは身体をくの字に曲げながら、口から少量の血を吐いた。

 

「ぶっ!」

 

 腹部に攻撃をしたイッセーは次にもう片方の拳でレイナーレの右頬を思いっきり殴る。

 

 その直後に殴られたレイナーレはそのまま地面に激突してうつ伏せで倒れる。

 

「……もう終わりか? まだ十秒も経ってないぞ」

 

 余りにも呆気無い展開に、俺は呆れた視線を送る。

 

 いや違うか。イッセーと力の差があり過ぎる、と言った方が正しいな。

 

「あ、あああ、ば、バカな……神器(セイクリッド・ギア)を手に入れて至高の堕天使となった私が、こんな筈では……!」

 

 どうやらあの女堕天使、アルジェントの神器(セイクリッド・ギア)を奪った程度でイッセーに勝てると踏んでたみたいだな。

 

 最早大バカとしか言いようがないバカ娘だ。「神器(セイクリッド・ギア)を手に入れる=実力が上がる」なんて事を考えてたら大間違いだっての。

 

 俺が呆れた視線を送ってると、いつのまにか地面に両足を着けていたイッセーが、倒れているレイナーレにトコトコと歩きながら近づいていた。

 

「どうしたレイナーレ? テメェの力はその程度か?」

 

「っ!」

 

 イッセーの問いにレイナーレはノロノロと立ち上がりながら対峙し、すぐにアルジェントから奪った『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』を使って治療する。

 

 その力を見たイッセーが不愉快と言わんばかりに顔を顰める。だがそんなのお構いなしな感じで、治療を終えたレイナーレは両手から赤い光の槍を形成する。

 

「こ、この……! 調子に乗るんじゃないわよ! このクソガキがぁぁぁ~~!!!」

 

 汚い言葉を発しながら、レイナーレは再び空中に飛んで全力かと思われる光の槍を思いっきり投擲する。

 

 それを見たイッセーは呆れたような顔をしていたが――

 

「かぁっ!!」

 

 

 ドンッ!

 

 

 大きな掛け声を出して気合砲を使うと、イッセーに向かって投擲された光の槍は勢いが無くしたかのように地面へ落下し、そのまま霧散していった。

 

「そ、そんな……! わ、私の、光の槍を、気合だけで……」

 

 信じられないように見ているレイナーレ。

 

 ってかあのバカ娘。驚いてる所為でまた隙だらけなんだがな。

 

 当然それをイッセーが見逃さず、今度は超高速でレイナーレの背後を取った。

 

「なっ、い、いつの間に……!」

 

「テメェみてぇな外道に羽なんか必要ねぇよ。ふんっ!」

 

 

 ブチブチィッ!!

 

 

「アァァァァァァァァ~~~~!!!!」

 

 イッセーが堕天使の象徴とも言える一対の黒い羽を思いっきり毟ると、レイナーレは苦しい悲鳴をあげながら地面に落下していった。

 

「まるでカラスみてぇに薄汚い羽だ。いや、あんな外道と一緒にしたらカラスに失礼だな」 

 

 両手で一対の羽を持ってるイッセーは宙に浮いたまま投げ捨てる。

 

 因みにアイツは闘気(オーラ)を使った空中浮遊が出来るから、あのように宙に浮く事が可能だ。

 

「あ、あ、わ、わたしの、わたしの、羽が……」

 

 痛みを堪えながらも投げ捨てられた羽を手にとって元に戻そうと『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』を使うレイナーレ。

 

「な、何でよ? なんですぐに直らないのよ!? 早く治ってよぉ!!」

 

 毟られた羽を元に戻そうと必死になってる所為で、再び地面に着地して対峙するイッセーに全く気付いてなかった。

 

 さっきまで俺達相手に優越感に浸って嘲笑していた堕天使が、今やとても情けない姿だ。思わず哀れみの視線を送ってしまったよ。

 

「……………………」

 

 イッセーも俺と同じ気持ちなのか、すぐに攻撃出来る筈なのにやる気配が無かった。怒りに身を任せたとは言え、奴の羽を毟った事によって少しばかり罪悪感を抱いてしまったかもしれない。

 

 とは言え、奴を斃さなければアルジェントの神器(セイクリッド・ギア)を取り返す事が出来ない。よって俺はすぐに命を下そうとした。

 

「おいイッセー、もういい加減にケリを着けろ。あとソイツに同情の余地が無いのは分かってる筈だ。早くしないと――」

 

「ああ、言われなくても分かってるさ」

 

 そう答えながらイッセーはドラゴン波を撃つ構えを取る。すると両手から赤い光の玉が段々形成されていく。

 

「………夕麻ちゃん。これでも俺、君のことを気に入ってたんだが……さよならだ」

 

 別れを惜しむかのように言ったイッセーは覚悟を決めてこう言った。

 

「ドラゴン波っ!!」

 

 

 ドォォォォンッッッ!!

 

 

 掌から放たれる巨大な赤い闘気(オーラ)の玉となったドラゴン波が、未だに羽を戻そうとしてるレイナーレに向かっていった。

 

「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁ~~~~!!」

 

 漸くドラゴン波に気付いたレイナーレだったが一足遅く、そのまま飲み込まれるように跡形も無く消し飛んでいく……………筈だった。

 

「はいざんね~ん♪」

 

「「っ!」」

 

 突然エリーがレイナーレの前に現れて、イッセーが放ったドラゴン波を――

 

「そのまま上に~……飛んで行きなさ~い!!」

 

 形成した大き目の魔法陣で受け止め、上空へと弾き飛ばしてしまった。

 

 何て奴だ。イッセーのドラゴン波を、ああも簡単に弾き飛ばすとは……。

 

「ふうっ、危ないところでしたね~堕天使様」

 

「え、エリー、貴女……」

 

 さっきまで俺と話していた口調とは違って、レイナーレに対してゆったりとした話し方をするエリー。

 

 全くあの女は……! ここぞとばかりに急に邪魔するように現れやがって。

 

 そしてイッセーは自分の最高の技であるドラゴン波を、ああも簡単に弾き飛ばされた事で少しばかり動揺して言葉を失っていた。

 

「くっ! エリー、貴様一体どう言うつもりだ!?」

 

 アルジェントに『治癒の光』を使いながらも、俺はエリーに向かって問いながら怒鳴った。俺の声に反応したエリーがすぐにコッチを向いてくる。

 

「ゴメンなさいね~ダーリン。赤龍帝のイッセー君に止めをさす訳には行かなかったから、ちょっと邪魔させてもらったわ~」

 

「………え? せ、赤龍帝って……」

 

「堕天使様~、知らなかったみたいだから今教えるねぇ~。あそこにいる兵藤イッセー君が持ってる神器(セイクリッド・ギア)赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)でぇ~、実は今代の赤龍帝なんですよぉ~これが。堕天使様でも名前ぐらいは知ってますよねぇ~?」

 

 エリーの言葉を聞いて、レイナーレは痛みを堪えながらも驚愕の表情を浮かべる。

 

「ぶ、ブーステッド・ギア……。それって『神滅具(ロンギヌス)』のひとつじゃない……。一時的にとはいえ、魔王や神すらを越える力を得られるという……あの忌まわしき神器(セイクリッド・ギア)が、あんな、あんな子供に宿っていたと言うの!?」

 

「そうなんですよぉ~。にも拘らず堕天使様は何故か『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』だなんて言ったから私、何を勘違いしてるの~って思ったんですよ」

 

「だったら、何でそれを私に言わなかったの!? 貴女が教えてれば私がこんな目に遭わなかったのに、この役立たず!」

 

 …………おいレイナーレ、お前分かってて言ってるのか? 

 

 今この状況でソイツを罵倒したら……。

 

「ふふふ、ゴメンなさいねぇ~。だって教えちゃったら……貴女のようなお目出度いおバカさんが最高の道化を演じてくれないじゃない。そしてこれからやる花火も見れないし」

 

「………え? 花火?」

 

 急に口調が変わったエリーがポカンと見るレイナーレの手を掴んで――

 

「ふんっ!」

 

 

 ブンッ!

 

 

 思いっきり穴が開いてる屋根に向かって放り投げた。

 

「あああ~~~!! な、何のつもりよエリーーーーー!?」

 

 羽を毟られているためにレイナーレは飛ぶ事が出来ず、そのまま上空へ飛ばされながら叫ぶ。

 

「アハハハ! 羽を失って無様な姿を晒してる堕天使なんか……生きてる価値なんて無いわ!」

 

 何の抵抗も出来ず、投げ飛ばされたレイナーレを嘲笑しながら人差し指と中指を立てながらくっ付け――

 

「死んで散りなさい!」

 

 そのまま上空へ指すように向けると――

 

「あがっ!」

 

 

 ボンッ!!

 

 

 急にレイナーレの身体が膨らんだ直後、破裂すると同時に吹き飛んだ。

 

 余りの展開に俺だけじゃなく、一緒に見ていたイッセーも呆然としている。

 

「ふっ、汚い花火ね」

 

 そんな俺達を気にしてない様に、レイナーレの身体が吹っ飛んで黒い羽が落ちていく様を眺めてるエリーだった。

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