ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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ちょっと久しぶりの更新なので、リハビリがてらに番外編を更新しました。


番外編

「リューセー、今回は私が監督役として付き添うわ」

 

 木場と剣の手合わせをした翌日の夜。

 

 今回は確実に契約を取らせようとリアスが同行すると言ってきた。

 

「何も付き添わなくたって良いだろうに。態々部長のリアス自ら監督役なんかしなくても……」

 

「念の為よ。貴方がまた悪魔としての願いを叶えずに個人でやってしまわないようにね」

 

 やれやれ、前回やったミルたんの件で俺はあんまり信用されてないみたいだな。

 

 まぁ確かに俺個人で叶えさせてしまえば、悪魔を呼んだ意味が無いのも事実だから、リアスとしても確実に悪魔としての契約を結んで欲しいんだろうな。

 

「分かった、今回はリアス部長に従うよ」

 

「………良いなぁ兄貴、部長と一緒に行けるなんて」

 

 コラコラ弟よ。何で俺を羨ましがってんだ。お前はお前でアルジェントと一緒に仕事してるじゃないか。

 

 それとそんな羨ましそうに見てると――

 

「はううっ……。やっぱりイッセーさんは私なんかより部長さんの方が……」

 

 パートナーのアルジェントが拗ねちゃうんだからな。

 

「え? あ、いや、違うんだアーシア! 俺はただ、その……!」

 

 何かイッセーが恋人(アルジェント)に言い訳をしてる光景だな、コレ。

 

「……他の女性に目移りするのはいけないと思います」

 

「うぐっ!」

 

 あ、塔城の突っ込みにイッセーが効いた様な表情してる。

 

「ダメじゃないか、兵藤君。浮気なんて以ての外だよ」

 

「あ!?」

 

 お、木場の突っ込みにイッセーは反応してギロッと睨んだ。

 

「俺がいつ浮気なんかしたぁぁぁ! 木場ぁぁぁっ! つーか俺とアーシアは付き合ってねぇ! 嫌味かゴラァ!」

 

 いや、お前が付き合ってくれと言ったらアルジェントは速攻OKすると思う。

 

「え、えっと……い、イッセーさんが嫌じゃなければ、私……」

 

 だってその証拠にアルジェントが顔を赤らめながらモジモジと満更でもないこと言ってるし。ま、当の本人が全く気付いてないが。

 

「良かったなリアス、イッセーがまだアルジェントの想いに気付いてなくて。まだチャンスは充分にあるぞ」

 

「……何の事か分からないわよ、リューセー」

 

 よく言うよ。イッセーとアルジェントのやり取りを見て面白くなさそうな顔してるじゃないか。

 

 そう思ってると、突然部室の床に描かれている巨大な魔法陣が光りだす。それは青白い光を発しながら室内を淡く照らしている。

 

 魔法陣が光りだすのは即ち、駒王町のどこかで悪魔を召喚しようとしている証拠だ。

 

 早い話、欲を持つ人間に呼ばれ、そしてこの魔法陣から依頼者の下へ転移し願いを叶えるって事だ。

 

 朱乃が魔法陣の下へ歩み寄り、調べるように手を翳す。

 

 たった数秒で確認を取った朱乃は、俺とリアスへ笑みを向ける。

 

「部長、どうやらリューセーくんでも解決出来そうな願いみたいです」

 

「わかったわ。さぁリューセー、行くわよ」

 

 報告を受けて頷いたリアスは、俺と一緒に行くよう促してくる。

 

「分かったよ。尤も、俺はその魔法陣を使えないから場所を教えてくれ」

 

「こちらですわ」

 

 分かっていたように場所が書かれてるメモを差し出す朱乃。お気遣いありがとさん。

 

 ふむふむ、此処か。今回はリアスも一緒だから、何の確認も無しに部屋に入る事になるか。

 

 確認した俺はリアスが魔法陣の中央に立って転移するのを見て、後を追うように術を使い、目的地へ転移していった。

 

 

 

 

 

 

「………何だコレ」

 

 転移した俺は一室の周囲を見渡して思わずそう言ってしまった。何故ならこの部屋の周囲には溢れかえる戦国グッズがあるから。しかも半端ないほどに。

 

 模造刀が鞘に納まったまま壁にずらっと飾ってありだけじゃなく、城のポスターもあちらこちらに張ってある。しかも戦国武将が被るであろう兜も棚の上に置かれていた。

 

 部屋中が戦国グッズだらけで、このアパートの住人は大の戦国マニアと言ってもいいだろう。

 

「リアス、本当に此処で間違いないのか?」 

 

「ええ、その筈よ」

 

 念のために確認するが、やはり此処のようだ。

 

「……そうかい。はぁっ」

 

 どうやらこの部屋の住人もミルたん同様、凄い変わり者のようだ。

 

 だってその証拠に――

 

「あ、あの……」

 

 武将の鎧を来た人物が俺達の目の前にいるからな。

 

「あ、あなたたちは悪魔の方ですか……?」

 

 顔面を覆うマスクから何やら鋭い視線を感じる。ミルたんとはまた違う意味でプレッシャーが半端じゃないな。けれど、迫力とは正反対の可愛らしい女性の声だ。ギャップがあり過ぎにも程があるよ。

 

「えっと、まぁそうですね」

 

 俺は悪魔代理なんだが仕事として行く手前、俺は悪魔で通すよう前以てリアスに言われてる。天使の力を使える悪魔って余りにもおかしいんだが、仕事と言う事で割り切ろうと気にしない事にした。

 

「ほ、本当に悪魔を呼び出してしまったんですね……私……」

 

「………失礼なんですが、念のために確認させて下さい。あなた……女性ですよね?」

 

 確認する俺に鎧武者は頷く。

 

「それにしても、驚きました……。悪魔って本当にいるんですね……」

 

 寧ろ驚いたのはコッチの方だ。部屋で甲冑を着込む女性なんて初めて見たよ。もし此処にイッセーがいたら、色々な意味で驚きまくってるだろうな。

 

「私、スーザンって言います。ご覧のとおり、趣味は戦国グッズを集めることでして……」

 

 しかも外国人の女性か。どんだけ驚かせるんだよ、この人は。

 

 ミルたんとはまた別次元の人間と言うか何と言うか……ちょっと対応に困る。

 

「こ、こんな姿でゴメンなさい……。深夜だと何かと物騒ですので、こうやってついつい鎧で身を固めてしまうんです……」

 

 俺としてはアンタの方が物騒だよ、何て突っ込んだら負けだな。

 

「そうね。異文化交流の基本はその国の特色と触れ合うこと。素敵だわ」

 

 おいリアス。何うんうんと感心するように頷いてんだよ。ひょっとしてお前、日本に対する認識どこかズレてないか?

 

「でも良かったです。出てきたのがお優しそうな悪魔さんで。も、もし恐い悪魔さんだったら、この『()神丸国重(じんまるくにしげ)』を、抜かざるを、抜かざるを得ないかとぉぉ!!」

 

 いやもう抜いてるから。

 

 何度も言うけど、この人本当にミルたんとは違う意味で凄いわ。

 

 にしても持ってる武器は刀なんだが、(見た目は別として)何故かやたらと違和感がある。刀ではなく西洋剣、もしくは『聖剣(エクスカリバー)』を持たせるとシックリくるのは俺の気のせいだろうか?

 

 まぁそれはどうでもいい考えだと切って捨てた俺は、依頼者のスーザンを落ち着かせて用件を訊こうとする。

 

「それでスーザンさん、貴女の願い事は何なんですか?」

 

 俺の問いに、スーザンは両手で(マスクを着用してる)顔を覆いながらクスンクスンと泣き出す。

 

「……私が留学している大学まで、一緒にノートを取りに行ってください」

 

 ………は?

 

「……あのぅ、それだけですか?」

 

 態々そんな事の為に悪魔に願い事を叶えさせるって……。

 

「深夜の大学って怖いんですよぅぅ!!」

 

 ………今のアンタの格好の方が怖いよ。何て言ったら負けだよな?

 

 

 

 

 

 

 取り敢えず願いである事に変わりない為、俺とリアスはスーザンの護衛と言う形で、彼女が通う大学に行く事となった。

 

 本当なら大学までノートを取りに行く位なら俺と監督役であるリアスで充分だが、スーザンが「悪魔さんたちに全部任せてしまっては申し訳ないので、私も行きます!」と泣きながら付いてきた。

 

 けど――

 

「おおおん! うおおおおおおおおん!」

 

 数メートル進む度に、スーザンが刀を振るいながら唸るように泣くので正直面倒だった。

 

 スーザン曰く、夜道が怖いんだと。俺から言わせりゃ、アンタの姿の方が一番怖いわ。

 

 こんな奇怪な行動の所為で、リアスが「人間にしておくのが勿体無いぐらいの逸材ね」と言って興味津々のご様子。凄いなスーザン、本物の悪魔に興味抱かれてるよ。

 

「ところで、その鎧着てますけど重くないんですか?」

 

 スーザンの気を紛らす為に俺は質問する。彼女は身軽そうに歩いているが、あの鎧はかなり重いから相当な体力がいる。成人の男でも大変だと言うのに。

 

「あ、それは問題ないです。ヒマがあったら鎧を着こんで運動しているので。勿論、室内での運動ですが。昔の武将は鎧を来て戦場を走り回ってましたから、私もそれぐらいの事が出来ないとだめだと思いまして」

 

 何を競ってんだか、この人は。

 

 またしてもどうでも言い事を言わせて貰うが、俺は東洋の鎧より、西洋のプレートアーマーを纏って聖剣を持ってるほうが良いような気がする。何かこの人の声を聞いてると、そっちが似合うような感じがする。

 

 っと、どうやら鎧武者スーザンとの深夜の散歩は終わりのようだ。目的地の大学が見えた。

 

「ここが私の通う大学です。ね? 雰囲気が出てて怖いでしょう?」

 

 だからアンタの方が雰囲気出て怖いって。もし深夜の大学に鎧武者が徘徊してる所を警備員が見たら、絶対に悲鳴上げて逃げること間違いないと思うくらいに。

 

 突っ込みどころ満載なやり取りだが、取り敢えず仕事は進んで依頼も問題なく終わりそうだった。

 

 

 

 

 

 

 何事も無くノートを無事に手に入れ、俺達はスーザンの自室へ戻って来ていた。

 

 やっと契約が取れるわね、とリアスは俺にそう言いながら部屋の床に帰還用の魔法陣を展開し始める。

 

「それじゃあ、俺達はこれで」

 

 リアスとは別に、俺は転移術を使ってオカ研の部室へ戻ろうとする。

 

「あ、あの……」

 

「ん?」

 

 突然スーザンが帰還しようとする俺達に、モジモジしながら話しかけて来た。

 

 普通の女の子なら何の違和感も無いんだが、鎧武者姿でそんな仕草をして声を掛けられると不気味極まりない。

 

「もう一つ叶えて欲しいお願いがあるんですけど……ダメですか?」

 

 お願い? って事はもう一つの契約をしたいんだろうか。

 

 見た目はともかくとしてスーザンは心が凄く純真だから、聖書の神(わたし)としては一応聞こうと思った。元神として放っておく事は出来ないし。

 

「と言ってるがリアス、どうする?」

 

 念の為にリアスに訊いてみると――

 

「ええ、構わないわよ」

 

 どうやらOKらしい。

 

 リアスの返答を聞いた俺は展開してた転移術を消す。

 

 それを見たスーザンは(鎧姿は別として)乙女っぽくモジモジしながら話し始める。

 

「じ、実は……こ、今度、同じ大学にいる人に思い切ってアタックしようと思っているんです……」

 

「………失礼ですが、そのアタックとは辻斬り行為じゃありませんよね?」

 

「ち、違います!」

 

 良かった。鎧姿の彼女を見て思わず物騒な事を考えてしまったが、どうやら杞憂のようだった。

 

「なに失礼なことを訊いてるのよ、リューセー」

 

 そうは言うけどな、リアス。スーザンの姿を見て十人中十人は絶対俺と同じ事を考えると思うぞ。

 

「そ、その、好きな男性がいるんです……。でも私、奥手で思いを伝えられなくて……」

 

 成程。大変失礼だけど、この人見た目とは裏腹に好きな人がいるのか。

 

 何かスーザンが好きな男となると、強面の戦国武将のような男を想像してしまうんだが。

 

 すると俺の隣で一緒に話を聞いていたリアスは笑みを浮かべて頷いていた。

 

「それは素敵なお願いね。いいわ、その願いを聞き入れましょう」

 

「ほ、本当ですか? よかった! 悪魔さんって、凄くいい人なんですね!」

 

 リアスの了承を聞いた途端、スーザンはステップする。ってか鎧でステップを踏まないでくれ。ズシンズシンと響いてるから。

 

 しかしまぁ、今回は俺の契約取りとは言え、監督役のリアスは随分と気前が良い事で。まぁ恋愛事に関しては、同じ女であるリアスとしても彼女の手助けをしたくなったんだろうけど。

 

「んで、俺達はどうすれば良いんでしょうか? こちらが恋のキューピッド役をするにしても、色々とありますが」

 

「いえ、出来れば悪魔の力とかじゃなく、自分の力で好きになって欲しいんです」

 

 ほほう。自分の力で恋を成就させたいけど、その方法が分からないから俺達に協力を求めたって訳か。

 

 彼女の発言に俺だけじゃなく、リアスも感心した表情をしている。コイツもコイツで悪魔の力とか関係なく、イッセーに惚れ込んでいるからな。

 

「じゃあ、その人に直接想いを伝えてみたらどうかしら?」

 

「そ、そんな! いきなりは無理です!」

 

 リアスの提案にスーザンは首を横へ激しく振る。

 

「なら手紙、もしくはラブレターとかは?」

 

 俺の意見にリアスが名案と言わんばかりに頷く。

 

「そうね。それが良いと思うわ。文面で想いを伝えるのも素敵なことよ」

 

「Love Letter……」

 

 流暢な英語で発音するスーザン。元は外国人だから当然だけど。

 

「わ、わかりました! やってみます!」

 

 そう言ってスーザンは部屋の一角を探り出し、何かを取り出してラブレターを書こうとする。

 

「えーと……『然したる儀にてこれ無きの条、御心安かるべく候――』」

 

「ちょっと待ってください。それラブレターに書く内容じゃないと思いますけど」

 

 書道セットを出して、書初め用紙で内容を書いてる事にツッコミを入れる俺。

 

「良いじゃない。大切なのは形じゃなく気持ちなんだから」

 

「その気持ちがちゃんと相手に伝えられるのかどうかが不安なんだが……」

 

 現にイッセーを眷族にすると言う、遠回しな告白をして失敗した誰かさんが俺の目の前にいるし。

 

「………リューセー、なにか失礼なことを考えなかったかしら?」

 

「別に何にも……」

 

 リアスの睨みに俺はそっぽを向いて逸らす。

 

「出来ました!」

 

 俺とリアスのやり取りを余所に、スーザンは手紙を書き終えたようだ。

 

 けれど、その後が問題だった。

 

「あとは彼に矢文を――」

 

「それはいくらなんでも不味いから却下です!!」

 

 何を考えてるのか、スーザンが弓で射ろうとする仕草をしてたので俺は即座に止めに入った。

 

 

 

 

 

 

 俺とリアスは公園の一角にいた。だが今俺達がいる公園は、公園とは思えない物がある。

 

 それは本陣だ。何かの家紋が刺繍されている幕とのぼりが設置され、その中央で椅子に座り込む鎧武者――スーザンの姿があった。

 

 この光景に――

 

「お母さん、あれなーに?」

 

「見ちゃいけません!」

 

 子供達の質問を無視するように立ち去ろうとする母親達に――

 

「いやはや、時代劇の収録かのう、婆さんや」

 

 時代劇のロケと勘違いしてる老夫婦がベンチに座って見守っていた。

 

 あ~もう俺、頭痛くなってきた。何でスーザンがラブレターを送った相手の返答を見守るだけで、こんなおかしな展開になってるんだよ。

 

「来たみたいだわ」

 

 リアスの発言に、さっきまで脱力していた俺はすぐに顔をあげる。

 

 俺が見たその方向には――

 

 

 ガシャンガシャン

 

 

 鉄のすれる音を出し、西洋の甲冑を全身に纏った何者かがこちらに来ていた。

 

「………………」

 

 予想外な人物の登場により、俺は言葉が出なかった。と言うかツッコミどころが満載過ぎて、もうどういえば良いか分からないと言った方が正しい。

 

「……リアス、俺もう帰って良いか?」

 

「ダメよ。ちゃんと見守りましょう。それにしても、すごいわ。武者と騎士のコラボレーションなんて」

 

「こんなコラボなんか見たくなかったわ!!」

 

 思わず俺は絶叫してしまった。

 

 このコラボが『ドラグ・ソボール』のような格闘漫画とかでの戦闘だったら話は別だが、告白シーンなんかで見たくなかった。

 

 と思ってたが俺はある事に気付いた。あの騎士が被ってる鉄兜に矢が突き刺さっていた事を。

 

「ちょっとスーザンさん! なんで矢が突き刺さってるんですか!? 俺、矢文は止めろって言った筈ですよね!?」

 

「す、すみません。色々考えたんですが、やはり私は矢文以外の渡し方ができませんでした」

 

 アレほど言ったのに、この人ときたら……! ……はぁっ、ダメだこりゃ。もうどうにでもなってくれ。

 

 もう俺がツッコム気力が無くなってると、騎士はスーザンの眼前に迫って本陣に乗り込んでいた。

 

 目の前に立ち尽くす騎士に、スーザンも立ち上がって対峙する。

 

 第三者から見れば、それは異質な空気だった。迫力が凄まじい。

 

 もし聖書の神(わたし)が知らずにこの光景を見たら、告白のシーンとは思わず決闘をすると100%勘違いすると断言出来る。

 

 そう思ってると、騎士は懐から手紙を取り出した。

 

「……手紙、読ませてもらったよ。素敵な矢文だった」

 

 ………素敵な矢文、だと?

 

「僕ともあろう者が、隙を取られて射貫かれるなんて……。大した矢文だね」

 

 ………え~っと、この西洋騎士もスーザン同様、頭がおかしいんだろうか?

 

「そ、そんな、私は夢中で射貫くことしか考えていませんでした……堀井くん」

 

 傍から聞いたら、殺す気満々な台詞にしか聞こえないんですけど。

 

 ってか、あの西洋騎士の名前は堀井くんって言う日本人なんだ。スーザンの逆バージョンみたいな人だな。

 

「ぼ、僕でよかったら、キミとお付き合いしたいな……」

 

「まぁ!」

 

「………嘘」

 

 堀井くんの台詞にリアスが満面の笑みを浮かべ、俺は信じられないように驚愕する。

 

「ほ、堀井くん……。うぅ、嬉しい……」

 

 涙声のスーザンは喜んでいる様子。想いが伝わった事に喜ぶべきなんだろうが、俺は凄く複雑な心境だった。

 

「スーザン……」

 

 泣いているスーザンを優しく抱きしめる堀井くん。

 

 その光景にリアスは羨ましそうな表情をしていた。ってかリアス、さっきからずっと思ってたんだが、何でお前は普通に見られるんだ?

 

 …………かくして、俺とリアスの目の前で武者と騎士のカップルが誕生したとさ。

 

 

 

 

 

 

「ってな事があってな……」

 

「うわぁ……。ある意味災難だったな」

 

 あの後、俺は部室のソファーに座ってるイッセーに事の顛末を教えるとドン引きと一緒に凄く同情された。

 

 もしイッセーが俺の代わりに行ってたら、間違いなく別の意味でグロッキー状態になってると思う。

 

「それはそうと兄貴、その手に持ってるランスは何なんだ?」

 

「契約の報酬で貰った物だ」

 

 スーザンのラブラブ大合戦、じゃなくてラブラブ大作戦の代価として堀井くんが持ってるランスを貰った。一応悪魔としての契約だから、代価を貰う事になってるからな。

 

 因みにスーザンからの代価は城の模型だ。ソレは今、部室に飾ってて朱乃のお気に入りとなってる。俺としてはランスが良かったから、模型の所有権は朱乃に譲った。模型を貰った朱乃は凄く喜んでいて何よりだ。

 

 んで、俺は今この手に持ってるランスを値踏みするように見ている。このランスはよく見ると、かなり精巧に作られ、武器として申し分ない代物だ。堀井くんはこんな良い武器をどうやって手に入れたんだか。

 

「………ちょっと試してみるか」

 

「? 何を試すんだ?」

 

「な~に、このランスに俺の力を与えてみようと思ってな」

 

「っ! おい兄貴、それってまさか……!」

 

 驚くイッセーを余所に、俺は持ってるランスをテーブルの上に置く。

 

 そして俺はすぐに両手をパンッと合わせ、徐々にゆっくりと手を放すと、その中心から凝縮された光の玉が現れる。

 

「さあランスよ、新しい武器として生まれ変わるがいい」

 

 そう言った途端、凝縮された光の玉は意思を持つようにランスへ向かって行き、吸い込まれて消失する。

 

 その瞬間、ランスはフワッと浮かんで煌びやかな光を発する。

 

「ぐっ!」

 

 突然の光にイッセーは目を庇うように腕で覆うが、俺はそれをせずに黙って見守っている。

 

 煌びやかな光は徐々に消えていくと、ランスは物の見事に変わっていた。

 

 柄の部分は純銀色で、ランスの円錐部分は穢れを知らないような純白色となっている。加えてランス全体からは教会関係者、天使が見たら魅了されるような美しい輝きを発している。

 

「ふむ、急造だが上手くいったようだ」

 

「……おい兄貴、何やってんだよ。いくら貰いもんだからって、勝手に自分用の武器にして良いのか?」

 

「ただ飾られるだけのランスにするのは勿体無いと思ってな。どうせなら武器として使われるほうが、コイツとしては本望だろう」

 

 本来武器は観賞用ではなく使う物だからな。

 

「……部長に何言われても俺は知らねぇからな」

 

「その時は俺が責任を持つさ」

 

「そうかよ。で? そのランスの名前はもう決まってんのか?」

 

「ん~、俺の光の槍と同じ力を与えた(ランス)だから……よし。安直なネーミングだが、『聖槍(ホーリーランス)』と銘々しよう」

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