ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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第三十七話

「リューセー、人間のあなたたちの参加に了承した私が言うのもなんだけど、どうしてあんなことを言い出したの? 今回は悪魔の身内同士の問題なのに、何もあなたたちが関わらなくても……」

 

「逆に訊くが、リアス。アンタは俺ら抜きで、あのチャラ男と『レーティングゲーム』やって勝てると思うか? アンタが初心者なのを考慮してハンデを付けさせる為に、いくら十日ほど修行期間を与えられても勝てない事ぐらい分かってる筈だが? 戦力差、実力差、経験差において全て、な」

 

「………………」

 

 俺はリアスと朱乃と一緒に、旧校舎にある部室とは別の一室で打ち合わせをしていた。

 

 あの後、ライザーが俺達の参加に了承し、取り敢えずはと言う感じでリアスも了承した。その二人の了承を訊いたグレイフィアさんはグレモリー家・フェニックス家に人間達の特別参加を報告すると決定し、リアスがゲームの初心者である為に修行期間として十日の猶予を与えた。

 

 因みにライザーが俺達から姿を消す前に――

 

『そこの不快な人間、確か兵藤隆誠と言ったな。十日の間に遺言状でも書いておくんだな! 貴様だけはこの俺自ら八つ裂きにすると決めたから覚悟しておけ!』

 

 どこぞの悪役その者みたいな台詞を言って、眷属達と一緒に魔法陣の光の中へ消えていった。

 

 んで、そこから先は部活――悪魔の仕事は中止で、俺とリアスと朱乃を除く部員達は帰宅して指示があるまで待機中って訳だ。

 

「何も言い返さないって事は、理解しているみたいだな。あのチャラ男――ライザー・フェニックスに負けるって」

 

「ですから、それを覆す為にリューセー君たちが参加する、と言う事ですか?」

 

「まぁそんなとこだ」

 

 副部長の朱乃からの問いにアッサリと答える俺に、何故かリアスがジロリと睨んでくる。

 

「私の時は逆に問い返すのに、朱乃の質問は素直に答えるのね」

 

「そう僻むなって、リアス。ただ事実確認しただけなんだからさ。ひょっとして妬いてるのか?」

 

「………………」

 

「冗談だ冗談。だからそんな怖い顔をしないでくれ」

 

 本当にリアスは短気な奴だな。ちょっとしたジョークに乗ってくれても良いのに。

 

「取り敢えずだ。今回の『レーティングゲーム』で人間の俺・イッセー・アーシアの特別参加は決まったけど……申し訳ないが俺は不参加とさせてもらう」

 

「「………え?」」

 

 リアスと朱乃が一瞬何を言ってるのかが分からないみたいにポカンとした。まぁ当然の反応だな。散々ライザーを挑発したんだから、当然俺も参加すると思っていた筈だ。そしてそれはライザーの方も然り。

 

「……ちょ、ちょっと待ちなさい、リューセー。あなた、アレだけの事をしておいて、どうしていきなり不参加だなんて言うの?」

 

「理由を聞いても宜しいでしょうか、リューセーくん?」

 

 二人が少し怖い雰囲気を醸し出しながら訪ねてくる。下手な回答をしたらお仕置きされそうな感じだ。

 

 これでもしふざけながら『メンドくさいから』等と言った直後には、リアスからは特大の滅びの魔力、朱乃からは最大出力の雷魔法を俺目掛けて放ってくるだろう。

 

 まぁそれは置いといてだ。確かに朱乃の言うように、俺が参加しないのには当然理由はある。

 

「色々とあるが、大まかな理由としては二つある」

 

「二つ?」

 

「そう。先ずは一つ目。俺がライザーを挑発する際、もし俺とイッセーだけでライザーと眷族達と真っ向勝負しても圧勝出来るって聞いたよな?」

 

「ええ、けどアレは単にライザーを煽る為の出任せじゃ」

 

「いいや、マジで倒せる。今はこうしてリアス達と協力関係だから言えるが、俺とイッセーが二人掛りで全力を出せば、ライザー・フェニックス程度は瞬殺出来るよ。そっちで分かるように言えば、俺達二人で全力のグレイフィアさんと互角に戦えるまでの実力はある」

 

「「っ!?」」

 

 俺たち兄弟二人掛りでグレイフィアさんと互角に戦える、と言うのは嘘だ。

 

 俺一人だけでグレイフィアさんに勝てる事は勝てるが、良くて辛勝、悪ければ相打ち、ってところだ。グレイフィアさんと戦うにはそれほど命懸けの戦いになるからな。

 

 因みに今のイッセーじゃ奥の手を使っても確実に負けてしまうが、それでも何とか傷を負わせるぐらいまではいける。

 

「……りゅ、リューセーとイッセーだけで、最強の『女王(クイーン)』と称されるグレイフィアと互角に戦えるなんて……嘘じゃないわよね?」

 

「嘘だったら今頃イッセーはアンタの眷属になってるよ。それでも信じられないんなら、今すぐグレイフィアさんを呼んで全力で戦ってやろうか? この町の周囲が焦土と化しても構わないなら、な」

 

「「…………」」

 

 真顔で答えている俺にリアスと朱乃は完全に青褪めた。

 

 あとこう考えてるんだろうな。はぐれ悪魔のバイサーが潜んでいた廃屋で対峙したとき、自分達は何て命知らずな真似をしていたんだろうって。尤も、俺は最初からリアス達と戦う気なんて無く逃亡の一手しか考えなかったが。

 

「言っとくけど、眷属の祐斗と小猫には言わないでくれよ。教えたら教えたで後々面倒な事になると思うからな」

 

 特に祐斗には絶対教えたくない。アイツの事だから俺の実力を知った直後、『僕を先輩の弟子にして下さい』って強く懇願してくると思うし。鍛える相手はイッセーだけで手一杯だからな。

 

「ま、グレイフィアさんと戦うなんて冗談は置いといて、だ」

 

「……そんな恐ろしい冗談はあまり言わないで欲しいのだけど……」

 

「……真顔で胆を心底冷やされる冗談はご遠慮したいのですが……」

 

「こうでも言わないと信用してくれないと思って言ったんだよ。で、話を戻すが、俺とイッセーが全力を出せばライザーと眷族達を瞬殺出来るって事は分かったな?」

 

 再度確認すると、リアスと朱乃は一先ずコクリと首を縦に振って頷く。

 

「そうなればリアスの勝ちは確定で、ライザーとの結婚破棄も確定し、晴れてリアスは自由の身となる。………が、それじゃ大して意味が無い」

 

「意味が無い?」

 

「そう。もし俺とイッセーだけでライザー達に勝ったとしても、それは人間の俺達が倒しただけに過ぎなく、悪魔のリアス達の力で勝った訳じゃない。『レーティングゲーム』は本来悪魔のメインイベントとなってるのに、それを人間の俺達による独擅場となれば、フェニックス家の面目どころか冥界にいる悪魔全体に影響が出てしまう。それを知った悪魔上層部の連中が当然黙っていない訳が無い。恐らくソイツ等は人間の俺達によって壊された悪魔の面子を立て直すために、『こんな試合は無効だ!』とか何とか言って難癖をつけて来る筈だ。そして今度は人間の俺たち兄弟を不参加、もしくは何らかの重いペナルティを課して再戦させ、そして負けさせようってのがオチだよ。悪魔が人間に負けた事を有耶無耶にさせる為に、な」

 

「「……………」」

 

 少しばかり俺の長い説明を聞いて、リアスと朱乃は聞いている内に渋い顔となっていた。

 

「………リューセー、あなたがどうしてそこまで悪魔の事情に詳しいのかは敢えて問わないけど、確かにそれはあり得ない話じゃないわね」

 

「悪魔ってのは大抵人間を下等な生物と見下しているからな。あのライザー・フェニックスなんかが良い例だよ」

 

「ですからリューセーくんは先ほど仰った危機を回避する為に、今回の『レーティングゲーム』にはイッセーくんとアーシアちゃんだけを参加させようと言うわけですね?」

 

「そう言う事だ。尤も、ライザー程度じゃイッセーだけでも充分倒せる相手なんだがな」

 

「………あなたとイッセーは、どこまで規格外なのよ……」

 

 リアスは完全に困り果ててるように手を頭に当てる。何かソレ、凄く今更だぞ。

 

「その規格外なイッセーに夢中のリアスが言うのもどうかと思うけどな。何ならこの際イッセーを諦めてアーシアに譲るか?」

 

 問いを聞いたリアスは急に俺を睨むような顔つきで言おうとする。

 

「バカなことを言わないでちょうだい。イッセーが私より強くても、私はそう簡単に譲る気なんて一切無いわ」

 

「ハハハ、それでこそリアスだ」

 

「あらあら、うふふ」

 

 絶対諦めない意思を見せるリアスに、思わず笑みを浮かべてしまう俺と朱乃。

 

「とまあ、俺が『レーティングゲーム』に参加しない一つ目の理由はさっき言ったとおりだ。ここまで何か質問はあるか?」

 

「無いわ。今のところは」

 

「私もありませんわ。今のところは」

 

 ………何だ? やけに“今のところ”を強調してるんだが……まぁ良いか。

 

 質問が無いみたいだから、二つ目の理由を教えるとしよう。

 

「では次に二つ目。一つ目の理由で言った実力云々は別として、俺自身の力が問題だ。リアスや朱乃も知ってるだろ? 俺の力の源を」

 

「……なるほど、そういうことね」

 

「確かにリューセーくんの力は色々と不味いですわね」

 

 俺の問いに少し考える仕草をするリアスと朱乃は口で言わずとも理解した。

 

「二人が考えてる通りだ。イッセーは誰もが危険視する神滅具(ロンギヌス)神器(セイクリッド・ギア)である赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)だが、アイツの力はそれによる物だと向こうは認識するから辛うじてセーフだ。だが神器(セイクリッド・ギア)を使ってない俺は違う。何しろ俺は悪魔の天敵とも言える天使の力を使う事が出来るからな。もし俺がその力をゲームで使って悪魔上層部の耳に入ったら、『悪魔側の情勢を知る為に送り込んできた天使か堕天使のスパイだ!』って言う適当な理由でゲームを中断して俺を拘束すると思うからな」

 

「………はぁっ。本当は否定したいところだけど、出来ないのが辛いわね」

 

「まぁ、悪魔は天使や堕天使を嫌っていますから、ある意味当然の行動でしょうね」

 

 またもや否定出来ない推測にリアスは重い溜息を吐き、朱乃も分からなくもないと言うような感じだった。

 

 理解してくれて何よりだよ、二人とも。

 

「と言う訳で、俺が参加しない理由はその二つだ。お分かり頂けたかな?」

 

「ええ、よく分かったわ。知りたくもなかった事実も含めてね」

 

「一応理由は分かりましたが、『レーティングゲーム』に参加されないリューセーくんはどうなさるつもりなんですか? まさかとは思いますが、イッセーくんに全て丸投げしてリューセーくんは何もしない、と言う事はしませんよね?」

 

「それこそまさかだ。ってか朱乃、君って実は俺の事が嫌いか?」

 

「まさか。私にとってリューセーくんは大事な男友達ですわ♪」

 

「………………」

 

 うふふと言って笑みを浮かべる朱乃。

 

 もしや朱乃って、実は相手をからかうのが好きなSっ気タイプだったりする? って本人に聞くのは流石に失礼だから、今度リアスにコッソリ聞いてみるとしよう。

 

「ん、んんっ! と、取り敢えず話を戻すが、『レーティングゲーム』に参加出来ない以上、俺は今回お前達のサポートに回って全面的に支援するよ」

 

「支援? 具体的には何をするの?」

 

 首を傾げなら問うリアスに――

 

「それはな……十日の間、俺がコーチ役としてお前達を徹底的に鍛える。イッセーも死んだ方がマシだと悲鳴をあげてしまいそうな修行を、な♪」

 

「「…………え゛?」」

 

 俺が笑顔で恐ろしい事を言うと、リアスだけでなく朱乃も引き攣った顔となった。

 

 この時のリアスと朱乃はこう思ってたそうだ。実は俺が人間の皮を被った苛烈な悪魔なのではないか、とな。

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