ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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第三十八話

「……なぁイッセー、どうして女の荷物ってのはこんなに多いんだろうか」

 

「いや、俺にそんなこと訊かれてもなぁ……」

 

 俺とイッセーは疑問に思いながらも、尋常じゃない量の荷物を背負って歩いていた。

 

 家でイッセーとアーシアに説明したように、俺たちオカルト研究部は現在グレモリー家所有の別荘に向かう為に山を歩いている。

 

 少し前まで、俺達が修行に行く身支度を終えた直後にリアスが現れ、山の場所を教えてくれた俺はイッセーとアーシアを連れて山の(ふもと)まで転移した。言うまでも無く、転移した麓ではリアスと朱乃たちと合流し、今はこうして山の風景を楽しみながら向かっているって訳だ。

 

 空は雲が全くと言って無いほどの青空一面の快晴で、周囲には自然豊かな木々が生い茂り、小鳥たちも元気そうにチュンチュンと鳴いていた。自然を愛する登山家にとっては最高の山登りになるだろう。にしてもこの山はどこかで見たような気がするんだが、俺の気のせいだろうか。

 

「女には必要な物がいっぱいあるのよ」

 

「女性は色々と大変ですので」

 

 背後から言い返してくるリアスと朱乃だが、俺にはどうも説得力が無いように聞こえた。

 

 だってさぁ、俺とイッセーの背中には巨大なリュックサック背負わされてるんだぞ。更に肩にまで荷物を掛けられてる始末だし。俺は自分の荷物+朱乃の荷物で、イッセーは自分の荷物+リアスの荷物を持たされてる。俺たちの荷物なんか大して無いから、比較すれば男の荷物が2で、女の荷物が8だ。一体何が入っているのやら。

 

「……あの、イッセーさん、リューセーさん、私も手伝いましょうか?」

 

 俺等が持ってる荷物を見てアーシアがそう言ってくる。

 

「大丈夫だよ、アーシア。俺はこの程度で音をあげるような事はしないから。それに、これくらい軽く持てなきゃ兄貴の修行はやってけねぇからな」

 

 何でもないよう爽やかに言い返すイッセーだったが――

 

「ああ、そうそうイッセー。今回の修行はソレ(・・)着たままやってもらうからな」

 

「おいおい、修行すんのにアレありかよ。はぁっ……」

 

 俺が言った途端にげんなりとした表情となった。

 

「「「?」」」

 

 リアス・朱乃・アーシアは揃って首を傾げていた。

 

「部長、山菜があったので摘んできました。夜の食材に……どうしたんですか?」

 

「……何かありましたか?」

 

 後方から俺とイッセーと同じく巨大なリュックサックを持っていた祐斗が涼しげに言ってる最中、首を傾げてるリアス達を見て何があったのか尋ねていた。更に俺たち以上の荷物を背負った小猫も祐斗と同じ反応をしている。

 

 ってか流石は小猫。『戦車(ルーク)』の力は伊達じゃないってところか。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 目的地のグレモリー家所有である木造の別荘へ着いた俺達。

 

 リアスの話だと普段は魔力で風景に隠れ、人前には現れない仕組みになっているが、今日から修行で使う為に姿を現しているそうだ。

 

(俺、この別荘どこかで見たことあるんだけど)

 

(奇遇だなイッセー、俺もだ)

 

 と言うか、この別荘は以前見た。

 

 あれは確か一年前だったか。夏休みに山修行を兼ねたサバイバルゲームをしようと、イッセーと修行相手のローズさんを連れて此処に来た。

 

 サバイバルゲームをやって、イッセーが『気絶したらチュウする』と言って迫るローズさんから生存本能全開で必死に逃れたり迎撃してる際、二人は途中で魔力で覆われた何かを見つけた。気になった俺は少し穴を開けて覗き見ると、そこには豪華な屋敷があった。今自分の目の前に大きな別荘が。

 

 まさか此処がグレモリー家の別荘だったとは予想外だった。グレモリー家は駒王町だけでなく、自然の山も一部占有していたとは。御見逸れしたよ。 

 

 そう思いながら別荘に入ってリビングで一旦荷物を置くと、女性陣は動き易い服装に着替える為に二階へと行った。

 

「僕も着替えないと」

 

 そう言って祐斗はジャージを持って一階の浴室へ向かうと――

 

「先輩、イッセーくん、覗かないでくださいね」

 

 途中で聞き捨てなら無い冗談を言ってきた。

 

「なぁ兄貴、今から全力で木場をぶっ殺していいか?」

 

「これから修行する相手を殺すな。祐斗も、そう言うふざけた冗談は止めてくれ」

 

 殺意全開で赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)を出そうとするイッセーを俺は阻止し、顔を顰めながら祐斗に指摘する。

 

 全く、こんな場面を学校の女子に見られたらまた騒がれるんだよな。一部の女子の間で、「イッセー×祐斗」や「俺×祐斗」、更には「俺・イッセー×祐斗」「祐斗×イッセー」等と言うBL的なカップリングが流行ってるらしい。

 

 最近の女子ってのは思考が何やらおかしな方向に進んでる。聖書の神(わたし)が生きていた頃の時代の女性は、あそこまで歪んだ思考はいなかったんだが……。これも時代の流れと言う奴なんだろうか。嫌な流れだけど。

 

 俺は昔を思い出しながら宥めるイッセーを連れて、空いている部屋で着替えだす。そこはベッドと家具一式が揃っていた。尤も、テレビなどは無いが。

 

「あ、イッセー。山登りしてる時にも言ったが、その赤シャツは着たままにしろよ」

 

 イッセーが普段着てる赤シャツに俺は着替えながら念を押すように言う。

 

「二回も言われなくても分かってるって」

 

 俺とイッセーが着替え終わった頃、リアス達はリビングへ集結していた。

 

「よし、全員揃ってるな。んじゃ此処から俺が少しばかり説明させてもらうよ、リアス」

 

「ええ」

 

『?』

 

 俺の確認にリアスが頷くと、事情を知ってる朱乃を除くイッセー達が何を説明するのかとキョトンとした顔になってる。

 

「さて、修行を始める前にお前達に言っておく事がある。昨日、リアスと朱乃には既に説明したが、俺は今回の『レーティングゲーム』は不参加とさせてもらう」

 

『っ!?』

 

 不参加宣言を聞いたイッセー達は次に驚愕する。尤も、イッセーだけは後から少し納得した顔をしてるが。

 

「りゅ、リューセー先輩、どういう事ですか? どうしていきなりそんな――」

 

「……理由を教えてください」

 

「落ち着け、二人とも。ちゃんと説明するから」

 

 すぐに質問してくる祐斗と小猫を宥めると、俺は続けて説明しようとする。因みにアーシアも俺の不参加に「どうして?」みたいな視線を送っている。

 

 そして俺が昨日リアスと朱乃に説明した参加しない理由の二つ目だけを説明すると、同じ悪魔である祐斗と小猫は納得した。人間のイッセーも小さく『成程な』と頷き、アーシアは少しポカンとしながらも理解した。

 

「と言う訳で、今回俺はお前達をビシバシと鍛える為のトレーナーに専念させてもらう。けどその前に」

 

 そう言って俺は、悪魔のリアス達に視線を向けてこう言う。

 

「リアス達の今の実力を知る為に、これから一人ずつ俺と模擬戦してもらう」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 模擬閃その1 VS木場祐斗

 

 

 

「ふむ。今までは木刀での手合わせで見れなかったが、お前の神器(セイクリッド・ギア)魔剣創造(ソード・バース)だったか。剣使いにとっては最適な物だな」

 

「はあっ、はあっ、はぁっ……! どうして、光喰剣(ホーリー・イレイザー)が効かない……!」

 

 広い庭でトントンと木刀を肩に当てながら観察してる俺に、魔剣創造(ソード・バース)で精製した『光喰剣(ホーリー・イレイザー)』を両手に持って息が上がっている祐斗。

 

 この光景にイッセーを除くリアス達は信じられない光景だと言わんばかりに驚愕していた。理由は簡単。木刀だけで神器(セイクリッド・ギア)を使ってる祐斗を圧倒してるから。リアスと朱乃は俺の実力を知っても、ここまで祐斗と力の差があるのかと更に思い知ってる様子だ。

 

 祐斗は最初、木刀だけでやる俺に少しムッとしたのか、真剣でやらせようと炎の魔剣を作って俺の持つ木刀を燃やそうとしていた。が、その目論見は大きく外れ、俺が木刀で炎の魔剣を破壊した事により、すぐに全力でやろうと思い知ってくれた。

 

 同時に俺の木刀には光の力が宿ってると見抜き、すぐに光喰剣(ホーリー・イレイザー)を作り、その力を消そうと考えて今に至る。

 

 共にかなりのスピードで剣戟を続けていたが、祐斗が所々俺の攻撃を食らってかなりへばり気味だった。光の力を纏ってる木刀と言っても、それなりに加減してるから大したダメージじゃない。尤も、悪魔の祐斗からすればかなり効くが。

 

「何故効かないかって? ん~、強いて言うなら……俺の光はちょっと特別だから、とだけ言っておこう」

 

 聖書の神(わたし)の光はそう簡単に喰われはしないよ、と内心付け加える俺。

 

「まぁそれは別としてだ。祐斗、お前の神器(セイクリッド・ギア)は確かに強力だ。その魔剣自体も凄い能力を持っている。だが――」

 

「っ!」

 

 俺が即座に祐斗の懐に入り――

 

 

 パキィィンッ!!

 

 

「っ! 光喰剣(ホーリー・イレイザー)が……!」

 

「いくら魔剣の能力が凄くても、刀身その物の造りが脆ければ意味が無い」

 

 木刀を軽く力を込めた横薙ぎで振るうと、アッサリと祐斗の魔剣を破壊した。

 

 

 

 模擬閃その2 VS塔城小猫

 

 

「成程。『戦車(ルーク)』の特徴を活かした格闘技か。見た目とは裏腹に強烈なパンチだな」

 

「……簡単に避けるリューセー先輩に言われても嬉しくありません」

 

 祐斗との模擬戦後、すぐに小猫と徒手空拳で相手をする俺は分析しながら躱し続けていた。

 

 小猫は小柄でありながらも俊敏で、強烈なパンチに鋭いキックを放ってくる。並みの悪魔なら確実にやられてしまう程のパワーだ。

 

「おっと」

 

「……隙ありです」

 

 足運びをしくじった俺がこけそうになった所を、空かさず小猫が正拳突きを打とうとして来る。

 

 正拳突きが俺の顔面に当たろうと――

 

 

 スカッ!

 

 

「っ!」

 

 するが、俺が一瞬で躱して姿を消した事により小猫は驚愕した。

 

「……どこに?」

 

「君の後ろだ」

 

「……え?」

 

 

 バチィンッ!

 

 

 顔を後ろへ振り向いた瞬間、俺は小猫の額にデコピンをかましてやった。

 

「~~~~~!!」

 

 それをモロに食らった小猫は余りにも痛かったのか、額を両手で覆いながらしゃがんでしまう。

 

 いくら『戦車(ルーク)』の特性である高い防御力があっても、俺がデコピンをやった指先に少し光の力を加えればこの通り。因みに俺が本気でやれば、小猫の頭は風船が割れたかのように吹っ飛ぶグロテスクな光景になる。尤も、そんな事をする気は微塵も無いが。

 

「小猫、君の格闘技は凄いよ。でも君は俺が躱し続けて頭に来てる所為か、攻撃が段々雑になってきてる。それじゃダメだ。君はもう少し心を平静に保ったほうが良い」

 

「……でしたら一度でもいいですから当たって下さい」

 

 痛みを堪えながら涙目で訴える視線を送ってくる小猫。

 

 そんな小猫に俺は人差し指で、自分の顔を指しながらこう言う。

 

「悔しかったら平静を保ちながらココに当ててご覧、おチビちゃん」

 

「……絶対に当ててやる……!」

 

 物の見事に俺の挑発をカチンと来た小猫はすぐに立ち上がって、激しい攻撃を仕掛けてくる。

 

 だが残念な事に、挑発によって攻撃は雑な大振りとなり、平静を保てれない今の小猫で俺に攻撃を当てるのは無理だった。

 

「小猫、悪口を言った事は謝る。だがさっきも言ったように、平静を保たないと当てられないよ」

 

 当然この後の展開は言うまでもなく、隙を見せた小猫に俺が再びデコピンを当ててアッサリとKOさせた。

 

 それにしても小猫の奴、どうして格闘技しか使わないんだろうか。

 

 小猫と相手をしながら気付いたんだが、この子は『戦車(ルーク)』の力だけじゃなく別の魔力がある。いや、魔力じゃなくて妖力と言ったほうが正しいか。

 

 どうして妖力(それ)を使わないのかは俺には知らないが、一先ず訊かないでおこう。何か特別な理由があるかもしれないからな。俺も俺で、リアス達に色々と隠してる事があるし。




中途半端に終わってしまいましたが、次回は朱乃とリアスの模擬戦です。
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