ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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第三十九話

 模擬閃その3 VS姫島朱乃

 

 

(いかずち)よっ!」

 

「おっと! 成程、確かに『雷の巫女』と呼ばれるのは納得だな。凄まじい威力だ」

 

「くっ、先ほどからのらりくらりと躱してばかり……! 小猫ちゃんの気持ちがよく分かりますわ」

 

 KOさせた小猫をリアス達のいる所まで運び、俺は休む事無く朱乃と模擬戦をやっている。

 

 魔法を主体とする朱乃に俺はさっきまでやった近接戦をやらず、朱乃の実力と魔力、そして戦い方を分析しながら魔法を躱し続けている。

 

 今回の模擬戦はあくまでリアス達の実力を測る為にやっているだけだから、俺が勝っても全く意味が無い。ソレ故、俺は敢えて朱乃と同じく遠距離戦で挑んでいた。

 

 確かに朱乃の魔力は凄まじく、さっき言ったように雷を主体とする魔法の威力も相当高い。集団戦において、強力な後衛ウィザードタイプだ。

 

 それとは別に、個での戦い方は如何せんダメだった。ただ距離を取りながら魔法を相手に狙い通り撃つ、と言う単純な戦い方しかしてない。普通に考えれば、それが魔法主体の戦い方だからと誰もが納得するだろう。

 

 だが俺みたく、近接戦を好む相手の場合はNGな行動だ。そういう相手には虚実が必ずと言って良いほど必要。けれど朱乃にはその虚実は無かった。小手先の魔法で牽制したり、囮を使ったり、相手の動きを観察したり動きを封じる、って事を朱乃は全くしてない。やってるのは主に、俺に大きなダメージを与えようとする強力な魔法を放っているぐらいだ。まぁそれでも俺が撃った光弾を魔法障壁で防御はしているが。

 

「朱乃、のらりくらりと躱されるって言うが、君の攻め方は分かりやすいんだよ。俺の位置を把握して正確に狙おうとする戦い方は決して悪くは無いんだが、それは却って相手に読まれやすい」

 

「……ならばこれはどうです!?」

 

 涼しげな顔で言い放つ俺の指摘に朱乃はカチンと来たのか、手を空に向けて大き目の魔法陣を形成する。恐らくアレは朱乃の最大威力とも言える雷魔法だろう。

 

「天雷よ、鳴りひび――」

 

「甘い」

 

 

 ピッ! 

 

 

 だが朱乃が魔法を放とうとする直前、俺は即座に左手の人差し指を朱乃に向けて光線を放つ。

 

 因みに俺は光の槍や剣だけでなく、指先から光線も放つ事が出来る。ドラグ・ソボール風に言うなら、フリーズが使っていた指から放つビームと似たようなもんだ。

 

 光の槍や剣に比べれば威力は劣るが、スピードはあって光の消費が少なく燃費が良い技だ。更にコレの光を更に凝縮して放てば威力だけでなく貫通力も増す。まぁその分の消費は多くなるがな。

 

「っ!」

 

 俺の攻撃を見た朱乃は魔法を放つのを止めて即座に躱す。

 

「な、何ですの、今のは……? 光の槍とは全く違うもの……」

 

「余所見してる暇なんか無いぞ。ほれ」

 

 

 ピピピピピピピピッ!

 

 

 今度は光線から光弾に切り替えて、それを機関銃(マシンガン)のように連続で放つと、朱乃は流石に躱せないと判断したのか、すぐに両手を前に出して魔法障壁で防ごうとする。

 

「くっ! 早過ぎて防ぐだけが精一杯なんて……!」

 

「朱乃、上を見た方が良いぞ」

 

「え?」

 

 俺の言葉に朱乃が思わず上を見上げると――

 

 

 カッ!!

 

 

 その頭上から眩い光の柱が落ちてきた。言うまでなく、その光は俺が放ったものだ。

 

 朱乃は魔法障壁を張って無数の光弾を防ぐ事で集中して見ていなかったが、俺が左手の指で光弾を放ってる最中、もう片方の右手で別の光を作っていた。さっき朱乃がやろうとしていた天雷と言う名の魔法を真似てな。朱乃が天雷なら、俺は天光ってところだ。

 

 そしてソレをモロに食らった朱乃は悲鳴を上げることなく、軽い外傷程度で気絶した。手加減しなければ今頃、朱乃は完全に滅していたからな。

 

 

 

 

 模擬閃その4 VSリアス・グレモリー

 

 

 

「さてと。最後はお前だ、リアス」

 

「くっ……。あなたの実力は分かってても、私の可愛い眷属達がアッサリと倒されるなんて……!」

 

 気絶した朱乃を小猫と同じく運んだ後、最後の砦であるリアスと対峙する。

 

 模擬戦とは言え、三連戦やっても尚疲れた様子を見せずに続けようとしてる俺を見て、リアスは悔しそうな顔をしていた。

 

「だけどせめて部長の私だけでも、一矢だけは報いさせるわ!」

 

 そう言ってリアスは全身から紅い魔力を迸らせて俺に挑もうと両手から魔力弾を作り出す。

 

「その意気だ。さぁ来るがいい……と言いたいところだが」

 

「?」

 

「リアス、お前も朱乃と同じく魔法のみを主体とした遠距離の戦い方しか出来ないだろ。違うか?」

 

「………だとしたら何なの?」

 

「やはりな」

 

 俺の指摘が図星だったのか、リアスは苦い顔をしつつも言い返してくる。

 

 どうやらリアスもウィザードタイプで遠距離戦オンリーの戦いしか出来ないか。しかも朱乃と同様に近接戦が苦手ときた。

 

 これじゃ朱乃との模擬戦を再現した結果にしかならないから、はっきり言って意味が無い。だからちょっと趣向を変えてリアスの実力を見せてもらわないとな。

 

 とは言え、変えるにしても近接戦が全くと言っていいほど苦手な戦いをしてもなぁ。

 

 リアスが得意とする物は……あ、待てよ。リアスは『紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)』って言う異名を持ってたな。確かそれが付いた由来は、リアスの髪の色とバアル家から受け継いだ『滅びの力』があるからで……よし。ちょっと試してみるか。

 

「おいリアス、お前の最大の武器――『滅びの力』を俺にぶつけてみろ」

 

「なっ!」

 

 俺の発言にリアスが驚愕するが、俺は気にせず続ける。

 

「このまま普通に模擬戦をしても朱乃と同じ結果になると思うから、いっその事お前の『滅びの力』がどれだけの物か見定めさせてもらう」

 

「ば、バカなことを言わないでちょうだい! いくらあなたが私より強くても、アレは人間のあなたが受けたらタダじゃすまないのよ!?」

 

「心配無用だ。仮にもし俺がソレで重症を負ったとしても、ちゃんと自己責任で済ませるから」

 

「そういう問題じゃ――」

 

「部長、ちょっと良いですか?」

 

 俺とリアスの会話に、ずっと模擬戦を見物中のイッセーが割って入るように声を掛けてきた。呼ばれたリアスはすぐにイッセーの方へ向ける。

 

「何なの、イッセー」

 

「兄貴が自分から言うって事は対処しきれる自信があるから言ってるんですよ。現に俺は、この前の修行で編み出したドラゴン波も簡単に弾かれましたし」

 

 そう言えばレイナーレの件が終わって以降、物の試しにドラゴン波の威力を確かめようとイッセーに本気を出させて貰ったな。ってか、簡単に弾いていないぞ。これでも少し焦ったんだからな。もしアレが奥の手を使ったドラゴン波だったら、本気で防がなければいけなかったよ。

 

「……そのドラゴン波と言うのが何なのかは知らないけれど、私より強いイッセーが悔しそうに言うってことは本当みたいね」

 

 リアスは俺よりイッセーの言葉を聞いて漸く信じたようだ。愛しい男からのアドバイスはちゃんと聞くんだな。

 

 決意したリアスは撃とうとする前に俺にこう言ってくる。

 

「だけどリューセー、一度この目で確かめる為に手加減した状態で撃たせてもらうわよ。良いわね?」

 

「それで信じてもらえるなら、どうぞ」

 

 早く『滅びの力』を使うように促すと、リアスは片手を前に出して真紅の魔法陣を出す。そこから何かが飛び出るような悍ましい紅黒い魔力を感じた。

 

 懐かしいな。あの魔力を感じるのは。聖書の神(わたし)が生きていたころ、先の三つ巴の大戦以来だ。確か悪魔七十二柱の『バアル家』が使っていたな。アレは相当警戒させられたよ。無論聖書の神(わたし)や天使達だけじゃなく、堕天使側もかなり危険視していた。

 

 それが人間に転生したこの身でこうも早く再び(まみ)えるとはな。予想外だよ。人生ってのは聖書の神(わたし)でも分からないな。

 

 っと、いかんいかん。今は昔の事を思い出してる場合じゃない。目の前にいるリアスの力をどうにかしないと。

 

「いくわよ、リューセー!」

 

 俺が頭を切り替えると、リアスは紅い『滅びの力』を魔力弾として撃ってきた。

 

 手加減してるとは言え、確かにリアスの言うとおりアレを人間の俺が食らったらタダじゃ済まない威力だ。

 

 けれど――

 

「とうっ」

 

 

 パアンッ!

 

 

 リアスの『滅びの力』は当時のバアル家の悪魔が使っていた程の威力じゃない為、片手に光のオーラを軽く纏う程度で充分に弾き飛ばせる。

 

「っ! ……………手加減して撃ったとはいえ、ああも簡単に弾き飛ばすなんて」

 

 自分の最大の武器とも言える物をアッサリ弾かれた事にプライドが少し傷ついたのか、苦々しい顔をしているリアス。

 

「これで理解しただろ、リアス? さぁ、次は全力で撃って来い。それでお前の実力が分かる」

 

「………良いわ。やってやろうじゃない!」

 

 今度はさっきと違ってリアスは全身に紅い魔力を迸らせ、両手を前に出し大きめな真紅の魔法陣を出してくる。しかも溜めているから、今度はでかい魔力波が来るだろう。

 

「ならば俺はコレで対抗しよう」

 

「っ! あ、アレはまさか……!」

 

 リアスの『滅びの力』を迎撃する為に、俺が額に右手の二本の指を当てるとイッセーが驚いたように声を発する。

 

 イッセーは気付いたようだな。俺が何をやろうとしているのかを。そう思いながら俺は額に当ててる指に光を集めようと集中する。

 

 対するリアスは俺の行動を不可解に思いつつも、自分の持つ『滅びの力』が最大に溜まったようだ。

 

「撃つ前に言っておくわ。危険だと思ったら遠慮なく避けなさい! はああっ!!」

 

 そう言ってリアスは最大の『滅びの力』を放ってきた。言うまでもなく、さっきまでとは桁違いの威力を持つ魔力波だ。

 

「その台詞はそっくりそのまま返してやるよ!」

 

 俺も対抗するように言い返しながら――

 

(めっ)(かん)(こう)(さっ)(ぽう)!」

 

 

 ズォビッ!!

 

 

 指先にある程度溜まった光を『滅びの力』に向けて放つと、そこから螺旋を纏った強力な光線が出た。

 

 滅貫光殺砲。指先に光を凝縮して溜めた光を一気に放つ大技で、『ドラグ・ソボール』でナメクジ星人のピッコルが使っていた技だ。

 

 これはさっき朱乃に使っていた光線とは違って、スピードや貫通力だけじゃなく破壊力もある。最大で放つにはかなり時間を要する欠点はあるが、今回は加減するからすぐに撃てる。

 

 そして俺の滅貫光殺砲とリアスの『滅びの力』が激突する。が、あっと言う間に勝敗が決まったかのように滅貫光殺砲が『滅びの力』を貫き消していく。

 

「んなっ!?」

 

 簡単に『滅びの力』を消された事にリアスが驚いてる最中、滅貫光殺砲は勢いよくリアスの真横を通り、そのまま大きな山に向かっていく。

 

 その直後――

 

 

 ドガァァァァァァンッッッ!!

 

 

 山に激突した滅貫光殺砲が爆発し、それで吹き荒れる爆風も俺達がいる方まで襲ってきた。

 

 幸い俺達と山の距離はかなりあった為、爆風が来てもそこまで酷いものじゃなかったからリアス達に被害は無い。

 

 爆発により発生した煙が晴れると、山の一部が貫かれたかのように無くなっていた。

 

『……………………』

 

 その光景を見たリアス・祐斗・小猫・アーシアは呆然とするように口を開けていた。朱乃は未だに気絶してるから見ていないが。

 

「あちゃ~……。加減した筈なんだが、ちとやり過ぎたか」

 

「何やってんだよ、バカ兄貴! 部長を殺す気か!?」

 

 リアス達とは対照的に、俺はポリポリと指で頭を掻きながら言ってると、イッセーが抗議するように怒鳴ってきた。

 

 うん、ゴメン。今回は本当に俺が悪いわ。

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