ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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ちょっと遅れ気味でしたので、中途半端な時間で更新しました。


第四十話

「やはりそうなったのか」

 

「はい」

 

「フッ、リアスらしいね」

 

 冥界にある一つの城――玉座の間で、玉座に座っている男にグレモリー家の使用人――グレイフィアが報告していた。その相手はリアスと同じ紅髪で端整な顔立ちをしており、温和そうな目を閉じながら苦笑している。

 

「しかし、私が選択権を与えたとは言え、今のリアスじゃ全くと言っていいほど勝ち目は無いだろうね」

 

「そうとは限らないかと」

 

「ん?」

 

 男の言葉を否定するように発言するグレイフィアに、男は目を開いて意外そうな顔をする。

 

「私の予想では、リアスお嬢さまの勝利が確定かと思われます。彼らの力によって」

 

「珍しいね。君がそこまで言うなんて。その彼らと言うのはもしや、前にリアスの報告であった二人の人間――兵藤兄弟のことかい? 確かその二人は悪魔に転生せず、人間のままオカルト研究部に入部したと聞いたが」

 

「はい、その二人です。報告では諸事情により眷属候補にしたとの事ですが、リアスお嬢さまが正式な眷属にしなかった理由が分かりました」

 

 リアスは駒王町の領主として治めているから、冥界に報告する義務があった。その時に報告したのは、兵藤兄弟とアーシアは三大勢力の事情を知っている人間としてオカルト研究部に入部、弟の兵藤一誠とシスターのアーシア・アルジェントは諸事情により眷属候補予定、とのこと。因みに実力に関してはリアスより強いと言っても、未だ全てを知った訳では無いので『未知数』としか報告していない。その為、報告を聞いたグレイフィアは疑問視していた。兵藤兄弟に実際会うまでは。

 

「弟の兵藤一誠は赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)を所持している今代の赤龍帝で、実力はリアスお嬢さまを軽く超えています。恐らく実力差があり過ぎて、眷属にすることが出来なかったと思われます」

 

「だから敢えて眷属候補にしたと言うわけだね。なるほど。いかにもリアスらしい行動だ。もしかしたら実力とは別に、同じ赤に惹かれたのかもしれないね」

 

 リアスの考えをまるでお見通しのように言い放つ男。そしてグレイフィアも男と同じ事を考えていた。そうでなければ、今頃一誠を危険視して何らかの手を打っているはずだと。

 

「もう一人はどうなんだい? 弟君が赤龍帝となれば、兄の方もリアス以上の実力があると思うがね」

 

「……兄の兵藤隆誠はリアスお嬢さまどころか、私以上かもしれません」

 

「…………今日は本当に珍しい日だ。まさか君にそこまで言わせるほどの相手とは」

 

 彼女の発言に男は本気で驚いた。最強の『女王(クイーン)』と称されてるグレイフィアが真剣な表情で言っているから、決して冗談などではないと男は少しばかり目を細める。

 

「加えて彼は実力だけでなく、人間とは思えない恐ろしい何かを感じました。それが何なのかは未だに分かりませんが……」

 

「ふむ……。どうやらその兵藤隆誠と言う人間を、少し調べてみる必要がありそうだね」

 

 グレイフィアが最大限に警戒をしている兵藤一誠に男は興味を抱き始めた。弟である赤龍帝を従え、駒王町の領主であるリアスを簡単に殺せる実力を持ちながらも、何故従うようにオカルト研究部へ入部している不審な行動に。

 

 そして同時に危惧も抱いた。今回の『レーティングゲーム』で兵藤兄弟が参加すれば、確実に不味い事になると。

 

「グレイフィア。確かに君の言うとおり、その二人が参加したらリアスの勝利は確定だね。『レーティングゲーム』は実力差だけで勝てるものじゃないが、今回のゲームで君以上の実力者が出てしまえば話は別だ」

 

「ええ。仮にリアスお嬢さまが勝利したとしても、それはあくまで人間の力によって得たものですから」

 

「そんな展開になれば、我々の家系どころか冥界の悪魔全体に影響が出てしまうね。特に、あの老人方が黙って見過ごすとは到底思えない」

 

 老人、と言う単語に男は若干不快そうに顔を顰めながら言い放つ。グレイフィアも同様に若干顔を顰めながら頷く。

 

「兄の兵藤隆誠くんには申し訳ないが、今回のゲームでは参加しないよう私のほうで手を打っておこう」

 

「それが賢明かと」

 

 この時、二人はまだ知らなかった。男――魔王サーゼクス・ルシファーが予見した展開になるのを恐れた隆誠が、初めから『レーティングゲーム』に参加しない事を。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「ちょっとしたアクシデントが起きてしまったが、取り敢えずリアス達の実力は分かったよ」

 

 すぐに無くなった山の一部を能力で修復し終えた俺は、リアス達に実力の結果を言おうとする。

 

 因みに気絶していた朱乃はもうとっくに起きていた。彼女は俺が『滅びの力』と山の一部を消した事を知らなかったので、それをイッセーから聞くとリアス達と同様に唖然としていたが。

 

 そして結果を言い渡そうとする俺に、リアス達は凄く悔しそうな顔をしていた。特に純血悪魔のリアスなんかは模擬戦とは言え、人間の俺相手に圧倒的な大敗をされたらプライドもかなり傷ついてるだろうな。

 

 酷な事を言わせてもらうが、その敗北を糧に乗り越えてもらわないといけない。この程度で音を上げるようじゃ、ライザー・フェニックスには一生勝てないからな。

 

「指摘部分については模擬戦で俺が言ったとおりだ。それとは別にリアス達に共通して言える事は………今の状態で『レーティングゲーム』をやるにはまだまだ力不足だ」

 

「「「「…………………」」」」

 

 同時に全員『宝の持ち腐れ』状態でもあるが、と内心考える。

 

 祐斗は模擬戦で指摘したとおり、魔剣創造(ソード・バース)で作った魔剣の造りが甘くて技量不足が目立ってる。あとスピードに特化しすぎてる所為で、攻撃や防御が若干脆い。

 

 小猫は格闘技のみしかやらず、妖力の類を一切使わないから戦い方が格闘戦のみ限定している。祐斗と違って攻撃力と防御力は充分あるんだが、それを重視しすぎてるからスピードが足りない。

 

 朱乃は小猫の逆で、雷をメインとした遠距離戦しか出来ず近接戦闘は一切やらない。加えて小猫と同様に本来の力――光を全く使おうともしない。どう言う理由かは知らんがな。

 

 最後にリアスは『滅びの力』を全く使いこなしていなかった。ただソレを形にして撃つ、と言う使い方だけだ。ただでさえ『滅びの力』は攻撃力が物凄く高いんだから、色々な使い方をすれば実力が上であるライザーにも充分勝てるんだが。

 

 とまあ、これが俺の分析結果だ。要するにリアス達は駒の特性と自身の能力に頼る面が強すぎて、実力を最大限に発揮してないから『宝の持ち腐れ』状態って訳だ。もしそれ等を解消していれば、人間の俺達が参加しなくても、四人だけでライザー・フェニックスとその眷属達に勝てる可能性は充分ある。

 

「他にも指摘するところもあるが、取り敢えず今は後回しだ。今のリアス達には身体能力を上げる必要があるから、先ずは俺が考えたトレーニングをやってもらう」

 

「……一応訊くけど、あなたの考えたトレーニングってどういうものなの?」

 

 恐る恐る尋ねるリアスに、俺は前以て持ってきていた鞄を開けて人数分のリストバンドとフットバンドを取り出す。

 

「お前達にこの手足用のバンドを付けてやってもらうよ。ただしコレは――」

 

 

 ドスンッ!

 

 

「重いから覚悟しておくように。まぁ安心してくれ。ちゃんとお前達に見合った重さに設定してるから」

 

「「「「………………」」」」

 

 試しにリストバンドの一つを落して重さを教えると、リアス達は物の見事に顔を引き攣らせていた。 

 

 他にも身体能力を上げる方法はあるが、今回の修行期間で手っ取り早く上げさせるには、重りを付けたままトレーニングをやってもらうしか無い。

 

「おい兄貴、まさかとは思うが、ソレをアーシアにも付けさせるのか?」

 

「………アーシアは重りをつける以前に身体能力が低すぎるから、最初は普通に基礎トレーニングをやってもらう」

 

「はうぅ、すみません……」

 

 自分が足手纏いで申し訳ないと言わんばかりに謝ってくるアーシア。

 

 ま、アーシアにはリアス達が出来ない事をやってもらうよ。回復支援と言う役割を。戦闘において回復役ほど重要な存在はいないからな。

 

 だから基礎トレーニングと一緒に聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)の性能も高めさせてもらう。部分的な治療だけでなく、体全体を治療出来るほどにな。

 

「ではリアス達、早速付けてくれ。言っとくが嫌だなんて言うなよ?」

 

 念を押して言う俺に、リアス達は渋々従うような感じで手足にバンドを付けると――

 

「「きゃあっ!」」

 

「うぐっ!」

 

「……お、重い……!」

 

 余りに重くて物の見事に突っ伏してしまった。

 

「ちょ、ちょっとリューセー……! これはいくらなんでも、重すぎるわよ!」

 

「ああ、そりゃ重いさ。その手足のバンドをセットで付けたら100kg以上は確実だ。因みにイッセーもソレと似たような物を付けてる」

 

「……リューセーくん、こんな重すぎる物を付けてトレーニングをしろと? 先ほど私たちに見合った重さに設定すると言いましたが、あれは嘘だったのですか?」

 

 俺の発言に朱乃は流石に頭に来たのか早速文句を言ってくる。暗に無理だと。

 

「嘘じゃないさ。丁度良い重さにしたいなら、全身の魔力をフルに使え。そうすれば軽くなる筈だ。ほらリアス、一回やってみろ」

 

「……本当でしょうね? まぁ、取り敢えずは」

 

 疑っているリアスだったが、一先ず全身に魔力が行き渡るように目を閉じて集中しようとする。彼女の全身から紅い魔力が発すると、バンドも反応したかのように光り出した。すると、さっきまで突っ伏していたリアスが、まるで重さが無くなったかのように立ち上がる。その行動にバンドを付けている朱乃達だけじゃなく、アーシアまでもが驚愕する。

 

「ほ、本当に軽くなったわね。それでも重いことに変わりは無いけれど」

 

「ほら朱乃、祐斗、小猫。お前達もリアスと同じく全身の魔力を使ってみな」

 

 立ち上がったリアスを確認した俺は、次に朱乃たちに指示を出す。言われたとおり朱乃達も魔力を放出するとバンドが反応したと同時に、突っ伏していた状態から立ち上がった。

 

「リアスの言うとおりですね。確かに今も重いですが、さっきまでと違って軽くなってますわ」

 

「ぼ、僕はそれでもかなり重いですが……」

 

「……私も」

 

「主に魔力を使っての遠距離戦をするリアスと朱乃ならかなり軽減されるが、近接戦を主体とする祐斗と小猫の魔力だと必要最低限程度までしか軽減出来ない。ってな訳で、その状態が今のリアス達に見合った重さって訳だ。先に言っておくが、そのバンドは魔力に反応してるから、それが無くなった途端に元の重さに戻るから注意しろ」

 

「……一つ訊きたいのだけど」 

 

「ん?」

 

 全身に魔力を迸らせてるリアスが俺に質問をしてくる。

 

「こんなフルパワーの状態でトレーニングをし続けろって言うのかしら?」

 

「………『レーティングゲーム』で無様な姿を見せたくなかったらな」

 

 未だに文句をリアスに、俺は事実を突きつけるように言い放つ。その発言にリアスだけでなく、朱乃達も目を見開く。

 

「先ずそれを付けたまま大の字で寝られるように慣れろ。『レーティングゲーム』が始まるまでにな。その頃にはお前達の身体能力はかなり上がってる筈だ」

 

「ちょ! まさかコレをずっと付けたままやれって言うの!?」

 

「ああ、そうだ。言っておくが、このトレーニング方法は人間のイッセーもやってる。ってか、人間より身体能力が高い悪魔のお前達がコレくらい出来ないでどうする。特にリアス、今回の勝負のメインはお前なんだ。一番に強くなってもらわなきゃ困る。そうでなきゃこの先ずっと、イッセーは眷属候補止まりのままだ。それでも良いのか?」

 

 かなりキツイ言い方だが、これはリアス達の事を思って敢えて鬼にして言ってる。本当にこのトレーニングをやって強くなってくれなきゃ俺としても困る。

 

 もし『レーティングゲーム』でライザー達に勝ったとしても、リアス達は『人間の力を借りなければまともに戦えない』、などと試合を見た観客の悪魔達に好き勝手言われて後ろ指をさされるしまうからな。

 

「…………良いわ、やってやろうじゃないの!!」

 

「そこまで言われたら、流石に黙っていられませんわね」

 

「イッセー君がやってるんなら、僕もこれくらいは……!」

 

「……ドスケベなイッセー先輩にだけは負けたくありません」

 

 リアスの言葉に朱乃達もやる気満々になってくれた。

 

「小猫ちゃん、俺がスケベな事は関係無い筈なんだが……」

 

 仕方ないだろう、イッセー。お前は普段学校で松田や元浜と一緒に変態行為を懲りずにやってるんだから、小猫の認識は強ち間違っちゃいないよ。

 

「よし。じゃあ早速その状態で山道を走ってもらうか。先ず手始めに軽く二十往復だ」

 

「「「「…………え?」」」」

 

「……兄貴、初心者の部長達にいきなりそれは酷じゃねぇか?」

 

 一刻も早く慣れてもらうにはこうするしかないのさ。

 

 けど鞭ばかり与えるのは確かに酷だから、何か飴になるような物を与えるように考えておかないとな。ま、それは後にするとしよう。とにかく今は走り込みだ。

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