ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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第四十三話

「ねぇリューセー、お風呂に入るからバンドは外しても良いわよね?」

 

「いや、風呂でも付けたままだ。言ったろ? それを付けたまま大の字でも寝られるように慣れろ、ってな」

 

「ちょっ! こんなの付けたままじゃ身体が洗えないじゃない!」

 

「安心しろ。そのバンドは湯浴みや身体を洗う際、ちゃんと肌に当たるよう一時的に消えるよう設定してある。言っとくがバンドが消えたからって、重さの負荷までは消えないから魔力の放出を止めるなよ?」

 

「……せめてお風呂ぐらいは外させてよね」

 

「風呂によって毎回付け外ししてたら、身体能力が中途半端な状態になるからダメだ。悪いが修行期間の間は常時付けたままやってもらうぞ」

 

「…………リューセー、あなたひょっとして悪魔じゃない?」

 

「失敬な。これでも歴とした人間だ…………表面上はな」

 

「何か言ったかしら?」

 

「別に。ほれ、そこにいる朱乃に小猫に祐斗も聞いただろ? それ付けたまま風呂に入ってくれ。以上」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「ハハハ、祐斗がぐっすりと眠ってるな」

 

「野郎の寝顔なんか見て何が楽しいんだよ」

 

 イッセーが悔し涙を流しながら俺と祐斗と一緒に風呂に入り終わってから僅か数時間後、悪魔の祐斗はすやすやと既に就寝していた。

 

 朝のトレーニングによる疲労の所為か、髪が乾いた頃に急な眠気に襲われて、うつらうつらとなりながら部屋へ戻りベッドで横になると僅か数秒で眠ってしまった。

 

 バンドによって常時魔力を放出したままだから、身体が限界に達して休眠状態となったんだろう。無論リアス達も同様に眠気に襲われて部屋に戻ってるから、恐らく祐斗と同じくベッドで眠っている筈だ。

 

 因みにバンドを付けてない人間のアーシアも部屋に戻って眠っていると思う。慣れないトレーニングや水晶玉修復をやったからな。疲れるのは当然とも言える。

 

「どれ、折角だし一枚撮るか。祐斗の寝顔写真は学園の女子から見れば滅多に無いレア物だからな」

 

 持っている携帯でパシャッと写真を撮る俺に、イッセーが呆れ顔になっている。

 

「おいおい、無断で撮って良いのか? 後で木場が知ったら怒ると思うぞ」

 

「別にコレで商売しようだなんて思ってない。あくまで記念に撮ってるだけだ。まぁバレたらバレたで何か詫びの品でも贈るよ」

 

 さて、と言いながら俺は携帯を鞄の中に入れてイッセーの方へと視線を向ける。

 

「お前にはこれから精神世界でドライグと戦ってもらうぞ。準備は良いか、ドライグ?」

 

『ああ、いつでも構わん』

 

「……ドライグ、なんかお前嬉しそうだな」

 

 確認を取るとドライグがすぐに返答する。イッセーの言うように声が弾んでる感じもするが、まぁそれはどうでもいい。

 

「んじゃイッセー、早速ベッドで横になってくれ。今からお前の意識を赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)にリンクさせる」

 

「へいへい」

 

 イッセーは言われたとおりベッドで横になり、赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)を展開してる左手を伸ばして俺の方へ向ける。

 

「よし、じゃあ始めるぞ。ドライグ、やるからには徹底的にやってくれ」

 

『そのつもりだ。俺も久しぶりに暴れさせてもらう』

 

 もしかしたらドライグの奴、肉体が無くとも昔の血が騒いでいるかもしれないな。嘗て白い龍――アルビオンと喧嘩した時の事を思い出しながら。

 

「……俺、やっぱり止めようかな?」

 

「もし修行期間の間にドライグを倒せたら、お前が以前欲しがってた激レアの無修正版エロDVDをローズさんに買ってもらうよう頼むが?」

 

「何をしてる兄貴! 早く俺を精神世界に送れ!」

 

 エロと言う名の餌を釣らせた途端、逃げ腰だったイッセーが完全乗り気になってくれた。

 

「分かったからデカい声を出すな。木場が起きてしまうだろうが。先ずは」

 

 トンッとイッセーの額に右の人差し指を当てると――

 

「あっ……zzz」

 

 イッセーはそのまま眠ったのを確認して次に、赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)に人差し指を当てようとする。

 

「ドライグ、任せたぞ」

 

『ああ。それにしても、何度も思ってる事だが』

 

「ん?」

 

『嘗て天界のトップだった“聖書の神”ともあろう者が、俺の相棒とは言え、たった一人の人間の為にここまで手を差し伸べるとはな。神であるお前が何故そこまでやるんだ?』

 

「………そんな事より、イッセーとリンクさせるから会って早々開始してくれ」

 

 ドライグの質問を無視するように、俺が力を使うと赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)が光りだした。その後は何事も無かったかのように光が無くなっていく。

 

「何故そこまでやるか、だと? ………ふっ。そんなの決まってるじゃないか」

 

 イッセーは俺の弟で大事な家族の一人だからな。無論イッセーだけじゃなく、本物の愛情と言う物を教えてくれた父さんと母さん、そして身近にいる者たちを守る為であれば俺は……いや、聖書の神(わたし)は何だってする。それがたとえ神の道に背く行為であろうとも、な。

 

 

 

――――――――――

 

 

 修行二日目。

 

 俺とイッセーを除く全員が筋肉痛となっていた。昨日のトレーニングが相当堪えたようだ。だからと言って手を抜くつもりはないがな。

 

 まぁ、二日目の午前中はリビングで勉強会だから、リアス達にとって好都合かもしれない。

 

 んで、勉強会をやる理由については、リアスが眷属候補であるイッセーとアーシア、ついでに俺にも悪魔の知識を教える必要があるとの事だ。ま、これから悪魔との関わりが深くなるから、知っておいて損は無いので俺は特に反対しなかった。

 

 尤も内容の殆どは聖書の神(わたし)が生きていた頃の知識や、人間となった俺が冥界に行って調べた情報と似ていたので復習も同然だった。主にイッセーとアーシアが勉強してるようなもんだ。

 

 悪魔の名前や事柄だけでなく、天使や堕天使たちの幹部名も知るよう勉強するが、嘗ての天使達の名前を聞いて思わず懐かしんでしまったよ。因みに祐斗が悪魔の四大魔王名を答えるよう出題した時、イッセーが答えながら女性魔王のレヴィアタンに会いたいとか言ってた。

 

 そう言えば現在のレヴィアタンは確かアレ(・・)に憧れているんだったな。ミルたんと同じアレ(・・)を。何処かの真面目な生徒会長さんはさぞかし苦労してるんだろうが。

 

 そして天使、堕天使についての勉強が終わると、今度は元教会側のアーシアが悪魔祓い(エクソシスト)についての勉強を始めた。悪魔祓い(エクソシスト)達の二種類の特徴の説明と、必携アイテムについて。

 

「えっと、悪魔祓い(エクソシスト)たちが持つ必携のアイテムは二つあります。一つはこの聖水です。これは悪魔が触れると大変なことになります」

 

 今はアイテムについての説明で、アーシアは用意した物の一つ目――聖水を持ちながら説明する。

 

 悪魔が聖水に触れたら大変な事になると曖昧な事を言ってたが、要は硫酸みたく溶かされる。加えて聖水の効力が強ければ強いほど、体力や精神までもが消耗してしまう。それだけ悪魔にとって聖水は危険な物だって事だ。

 

「役に立つかどうかは分かりませんが、製法は後でお教えします。それともう一つは聖書です。小さい頃から毎日読んでいます」

 

 アーシア、今それを読んだらリアス達が不味いから決して読まないようにな。

 

 益してや聖書の神(わたし)の目の前で読まれても困る。自分で書いた物を誰かに読まれると少し恥ずかしいからな。

 

「さて、勉強も終わった事だし、午後からは俺の時間だ。今日も頑張りましょうか」

 

「はい、頑張ります!」

 

「「「「…………」」」」

 

 そうしてる内に午前の勉強会を終えると、アーシアは元気よく返事をしてくれたが、悪魔のリアス達だけは少しどんよりとした雰囲気を醸し出していた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「さて、今日からは本格的な修行といこうか」

 

 修行して五日目の昼。

 

 初日と二日目はかなり参っていたリアス達だったが、今はもう大した疲労感を見せずに黙々とトレーニングをこなしていた。

 

 流石はリアス達と言うべきか、もうバンドの重りにある程度慣れてきていた。思わず驚いてしまったよ。

 

 こんな僅か数日で慣れるのは、元々身体能力が高い悪魔だからかもしれない。加えてリアス達は未熟でも才能があるからな。恐らくソレもカバーしてると思う。

 

 全く。人間のイッセーとは大違いだ。本来だったらもう暫く掛かるんだが、こうも早く慣れるとはな。イッセーもトレーニングをしてるリアス達を見て「やっぱり悪魔って凄いんだな」って呟いてたし。

 

 まぁこの展開は俺にとっちゃ非常に好都合なので、以降はリアス達の能力強化と移らせてもらう。本当なら欠点もどうにかしたいところだが、生憎残りの修行期間で解消する事は出来ないから今回はパスだ。

 

 因みにイッセーとアーシアはこの場にいない。アーシアは例の水晶玉修復をやってて、イッセーは朝から精神世界でドライグとガチンコバトル中だ。リアス達には俺から二人は別の修行をしてると言って説明済みだ。

 

「お前達にはこれから俺と一緒にそれぞれ別の場所へ行って修行してもらう」

 

「? あなたと一緒にそれぞれって、どういうこと?」

 

 リアスが何を言っているのかが分からない様子で訪ねてくる。

 

「言葉通りの意味だ」

 

「リューセーくん、リアスが言いたいのは、あなたがどうやって別行動してる私たちと一緒に行くのかと訊いているのです」

 

「ああ、そっちか。スマンスマン、俺とした事が肝心な事を言わなかったな」

 

 質問の意図を説明する朱乃に、俺は前提に話す事を抜けていたのを思い出した。

 

 確かに俺が別行動してる四人に俺も一緒に行くって説明しても、今のリアス達にとっては意味不明だな。

 

「まぁ口で説明してもすぐに理解しないと思うから、今この場で教えるとしよう」

 

 そう言いながら俺はリアス達から四~五歩離れた位置に立つと、その場で両腕を顔の前で交差する。

 

 そして交差した両腕を開くと――

 

「………え?」

 

「……えっと、私の見間違いでしょうか? リューセーくんが二人(・・・・・・・・・・)になってますわ」

 

 目が点になるリアスと目を擦りながら確認してる朱乃に気にせず、二人の俺が再度両腕を交差して開き――

 

「……ええ!? りゅ、リューセー先輩が四人に!?」

 

「……これは一体……?」

 

 俺が四人になった(・・・・・・・・)事に驚愕する祐斗と小猫だった。

 

「「「「これが答えだ。四人となった俺がそれぞれお前達と一緒に行くって訳だ。因みにコレは分身拳と言う一種の技で、俺達は全員本物だ」」」」

 

 分身拳。これは文字通り四人に分身するもので、『ドラグ・ソボール』の天津丼が使っていた技だ。当然コレは天津丼と同様に、四人になる事でそれぞれの力が四分の一になってしまう欠点もある。だが力が四分の一となっても俺の実力はリアス達より上なので問題は無い。

 

「「「「ってな訳で早速行くぞ。今はもう時間が惜しいからな」」」」

 

「………あなたって本当に人間なの? なんか頭が痛くなってきたわ」

 

「あらあら、これは予想外ですわね。リューセーくんが四人になるだなんて」

 

「………リューセー先輩、あなたは一体何者なんですか? 僕はもう何が何だか……」

 

「………最早人間を超えた規格外な存在としか思えません」

 

 そんな人をバケモノみたいな目で見ないでくれよ。

 

 と俺は単に大好きな『ドラグ・ソボール』の技を実現させただけの人間(聖書の神)なんだからさ。

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