ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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今回はリアスの修行メインです。


第四十五話

 ~リアス・グレモリーの修行~

 

 

「ほら、もうちょっと固めてみろ」

 

「うっ、くっ……!」

 

 別荘の庭で『滅びの力』を片手で小さい丸い玉の形へと凝縮させているリアスに、俺はもっと集中力を高めるよう促していた。だが思うように上手くいかないのか、玉を小さく凝縮してもバスケットボールサイズ並みの大きさへと戻ってしまうと言う繰り返しの連続だ。

 

(それにしても、まさかこの力がここまでの物だったとはな)

 

 嘗て俺が聖書の神(わたし)であった頃、三つ巴戦で悪魔七十二柱『バアル家』との戦いを思い出した。バアル家の大半が『滅びの力』を魔力の一撃として放つと言う単調な使い方しかしなかった事を。

 

 アレはアレで充分に脅威だったが、人間へと転生し過去を振り返っていた俺は何故あんな戦い方しかやらなかったかと疑問に思っていた。もっと工夫してバリエーションを増やせば、更に厄介な存在として危険視していた筈だったと。だがその疑問は一気に解消した。俺の間近で『滅びの力』を使っているリアスを見て。

 

 『滅びの力』を間近で観察し、その構造を分析していた俺は結論に達した。『滅びの力』は途轍もない攻撃力を持つが、使い手の魔力を大幅に消費するだけじゃなく、制御も極めて難しい諸刃の剣とも言える危険な物だと。それを踏まえて考えてみれば、そんな危険な力を簡単に扱える訳が無い。それが例え才能溢れる最上級悪魔であろうとも。

 

 嘗てのバアル家や今のリアスがあんな単調な使い方しか出来ない訳がよく分かったよ。アレは下手に手を加えてしまえば術者に何かしらの影響を与えてしまうから、ただ魔力と言う形にして放つのが精一杯だと言う事が。

 

 今回の修行ではリアスに『滅びの力』を使いこなす為に、威力や貫通力を高める力の凝縮・武器として使わせる為の物質化・魔力弾を思い通りに動かす操作などをやってもらおうとやっていた。が、それは余りにも難しい上に、今のリアスにそこまで高度な事が出来ない事が判明したので却下せざるを得なかった。

 

 加えてリアスは力押しで攻めるタイプだから、技術的な戦いはあんまり向いてない。それ故に今回は力の凝縮のみ教えるしかなかった。

 

「それにしても、ううっ……どうして、くっ……私の修行が……『滅びの力(これ)』の、凝縮なの?」

 

 かなり難しそう顔で集中しながらも途切れ途切れに訊いてくるリアス。喋るだけでも大変そうだな。

 

「模擬戦の時に見せたアレがとても情けない威力……と言うのは冗談だから、ソレを俺に向かって投げようとはしないでくれ。いくら俺でもその力は怖い」

 

 俺の冗談に青筋を浮かべて顔を引き攣らせてるリアスが、玉として凝縮している『滅びの力』を投擲しようとするので、俺はすぐに訂正して宥めようとする。

 

「まぁ尤も、今回の修行はリアスの『滅びの力』を威力上昇させる為だから強ち……お願いだリアス、また投げようとしないでくれ。ここは真面目な話だから」

 

「……私には喧嘩を売ってる発言にしか聞こえないのだけど」

 

「悪かった悪かった。頼むから今は俺の話を聞いてくれ。あとその玉も一旦解除して良いから」

 

 謝罪しながら宥めると、リアスは何とか落ち着いて凝縮していた玉を消した。次は無いわよ、と警告をされたが。

 

 全く。オカ研に入部して分かったが、リアスって意外と短気だな。まぁ怒らせた原因である俺が一番悪いんだけど。後で侘びとしてリアスが好きなお菓子(スイーツ)でも作るとしよう。

 

「先に言っておくがリアス、これは確認だから怒らないでくれよ。前にお前が最大出力で放った『滅びの力』を、俺が放った技で何故ああも簡単に負けたと思う?」

 

「…………私とあなたとでは力の差があり過ぎる、じゃないのかしら?」

 

 先日の模擬戦を思い出したリアスは苦々しい顔で答えると同時に問い返す。その返答に俺は思わず苦笑してしまう。

 

「まぁソレも答えの一つだ。けど、お前が力を溜めていた時に俺と同じく“ある工程”を加えていれば状況は変わっていたかもしれない」

 

「ある工程? ……まさか、今私がやってる凝縮のこと?」

 

「そう。ソレで勝敗が決まったんだよ」

 

 あの時の模擬戦を例えるなら、リアスは外殻だけの空砲弾で、俺は中身が充実した徹甲弾(てっこうだん)。どっちが勝つかだなんて言うまでも無い。

 

 溜めている力を凝縮すればするほど威力は桁違いに上がる。リアスが『滅びの力』を凝縮させる事が出来れば、威力だけで最上級悪魔に匹敵する事が出来るからな。

 

「凝縮の有無によって攻撃力は雲泥の差が出る。だからリアスがメインとする『滅びの力』の攻撃力を爆発的に上げようと凝縮を教えているって訳だ。残りの修行期間は短いが、今のリアスなら二~三段階まではいける筈だ」

 

「簡単に言ってくれるわね……。けれど、仮にその段階にまで行ったとしても、それってかなりの時間を要するんじゃないかしら? 戦っている相手が待ってくれるとは限らないわよ」

 

「そうだな。敵がそんな悠長に待ち構えてくれるだなんてあり得ない。だが、そこを何とかするのはリアスの実力次第だ。出来れば俺が放った滅貫光殺砲みたく、瞬時に溜めて撃って欲しいがな」

 

「……次から次へと無茶な注文を突きつけてくるわね、あなたは……!」

 

「大丈夫だ。リアスなら出来るよ。さぁ話はここまでにして、凝縮の修行を再開するぞ」

 

 話を打ち切ると、リアスは少々嫌そうな顔をしながらも再び魔力玉を作って凝縮させようとする。今の状況で全く反論出来ないから仕方なくやってる、と言う感じだ。

 

 何かこのままだと不味いかもしれない。今は大人しく言う事を聞いてくれてるが、余り乗り気じゃない修行を続けさせたら、却って無意味となってしまう恐れがある。

 

 そうさせないようリアスに何かやる気を漲らせるような飴を与えた方が良いな。いつまでも鞭ばっかり与えてちゃ、コーチ役としては失格だし。

 

 さてさて、リアスにはどんな飴を与えるべきか……。何か欲しい物を買ってあげるとか言ってもリアスは貴族のお嬢さまだから、自分が欲しい物を見つけたらすぐに買うと思うし。

 

 となればお金では絶対に買えない物が良いな。貴族のお嬢さまがそう簡単に買えない物と言っても、一体何が良いのやら……。

 

 まぁ今のリアスにとって一番嬉しいものと言えば、イッセーと相思相愛になりたい事だろうが、肝心の弟は現在アーシアに夢中だしな。まぁリアスがアーシアと同じく兵藤家にホームステイすれば状況は変わっ……て……。……よし、この手でいくか。

 

「リアス、度々申し訳ないがちょっと良いか?」

 

「……何よ」

 

 リアスは如何にも凄く集中してます、と言う顔をしながら俺を見てくる。

 

 それでも俺は気にせずでこう言う。

 

「いやさぁ、もしお前が今回の修行を乗り越え、そしてライザー・フェニックスに勝てた場合の褒賞を与えようと思ってな」

 

「褒賞?」

 

「ああ。リアスにとって今一番欲しい褒賞をだ」

 

 絶対に食いつく褒賞だと内心付け加えると、リアスは素っ気無い反応をしていた。

 

「……それで私にやる気を出させようと思っているみたいだけれど、生憎私は物で釣られるほど単純じゃないわ」

 

 そう言って俺から視界を外して修行を再開――

 

「そっか、残念だなぁ。折角リアスにはイッセーと一緒に生活出来るよう兵藤家のホームステイ権利を――」

 

「詳しく聞かせて」

 

 ――していたリアスだったが、褒賞内容を聞いた途端にいつの間にか俺に接近していた。

 

「おや? リアスさん、確か貴女は物で釣られない人の筈じゃ」

 

「今はそんな事どうでも良いわ。私がイッセーと一緒に暮らせるって本当なの?」

 

 予想通りと言うべきか、リアスは物の見事に食いついた。今のリアスはイッセー並みに単純だな。

 

「ああ、本当だ。イッセーと一緒に暮らせるだけじゃなく、毎日一緒に食事したり、お風呂に入ったり、そして同じベッドで寝る事も出来る」

 

 尤も俺は兎も角としてイッセー本人や両親が了承すればの話だがな、と付け加えながら俺は話を続ける。

 

「そうなれば現在優勢のアーシアと互角になるどころか、引き離せる可能性も充分ある。どうだ? リアスにとって決して悪い話じゃ無い筈だ。好きでもない男とその家に嫁いで一生そこで暮らすより、意中の人の家で毎日過ごす方が遥かに良いと俺は思うが?」

 

 聖書の神(わたし)としても、結婚と言うのはやはり好き合うものが良いからな。種の存続とか政略的なものが一切無い純愛な結婚が。個人的に愛の無い結婚なんて正直好かないし。

 

 特にあのチャラ男(ライザー)はリアスを個人として見てなく、グレモリー家と懇意になるついでにリアスの豊満な身体を頂ける程度しか考えてないからな。

 

「そんでリアス、返答は? 尤も、先ずは最初に凝縮の修行を乗り越えなければいけないが……」

 

 俺の問いにリアスは少し離れ、すぐに片手を胸の辺りまで上げながら不敵な笑みを浮かべる。

 

「……ふふっ。そんなの訊くまでも無いわ、リューセー。イッセーと一緒に暮らせるならこの程度の修行……軽く乗り越えてみせるわよ!」

 

 

 ゴウッ!

 

 

 おおっ。突然リアスの全身から凄まじい紅い魔力を迸らせてる上に身体能力自体も急上昇したな。

 

 更にはさっきまで梃子摺っていた玉の凝縮が段々小さくなり、バスケットボールサイズからテニスボールサイズへとなって形が維持している。

 

 好きな男と一緒にいられると言うだけで能力アップするとは……やっぱりリアスもイッセー並みに単純な奴だ。アイツなんて限定版のエロDVDを与えると知った途端、やる気に満ち溢れてたからな。

 

 まぁ人間や悪魔とか関係なく、欲しい物が目の前にあるとやる気が出るのは当然か。俺としては今回の修行をちゃんとやってくれれば問題無いし。

 

 イッセーが大好きなアーシアには悪いが、俺は今回リアスの為に頑張らせてもらうよ。

 

 アーシアに内心謝罪してると――

 

「リューセー、玉を凝縮させたけど、今度は何をすれば良いのかしら?」

 

「え、もう?」

 

 リアスがいつの間にか凝縮の初期段階を終わらせていた。

 

 さっきまで小さくさせようと数時間も格闘してたのに、褒賞を聞いた後にたった数分でアッサリ終えるって……。余りにも極端過ぎだろうが。

 

 早く終わってくれるのは良い事なんだが、それはそれで何か複雑だな。

 

 まぁ玉の凝縮を終えたんなら、取り敢えず次に片手だけじゃなく、両手同時に二つの凝縮玉作成+維持をやってもらおうか。これは地味に難しくて難易度も結構高いからな。多分明日まで掛かる筈だ。

 

 と思って指示した俺だが――

 

「出来たわよ、リューセー」

 

「……………はぁっ」

 

 一時間もしない内にこなしてしまったリアスに嘆息せざるを得なかった。呆れてしまうほどに。

 

 リアスさんよぉ。いくら褒賞があるからとは言え、そんな簡単に終わらせる事が出来るんだったら初めからやってくれよな。




褒賞を与える事によって能力上昇するリアスでした。

次回で何とか修行を終わらせますので、それまでお待ちを。
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