ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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第四十六話

 とまあ残りの修行期間はあんな風に終えたって訳だ。

 

 四人の修行結果については後々に分かるから、ここは敢えて省かせてもらう。少なくとも前よりはマシになったとだけ言っておく。

 

 んで、四人の修行ばかり見ていた俺だが、イッセーとアーシアの修行もちゃんと見ていた。尤も、イッセーの方はドライグに任せきりで殆どアーシアの方しか見てなかったが。

 

 アーシアは体力トレーニングと水晶玉修復をやり続けた結果、以前より体力が上昇し、砕けた水晶玉は半分以上までやり遂げた。

 

 半分近くまで修復できれば上々だと思っていた俺だが、まさかそれ以上いけたとは予想外だった。加えて聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)の性能も上がっている。

 

 ゲーム風に例えて言うなら、最終幻想シリーズに出てくる魔法でケ○ルからケア○ラ、竜の探求シリーズならホ○ミからべホ○ミ、と言った感じだ。回復力だけじゃなく、複数負った傷も同時に治せるから万々歳だ。

 

 今回の修行でアーシアは見事にレベルアップしてくれて何よりだ。欲を言えば何か身を守る術があったら完璧なんだが、流石にそこまでは出来なかったので諦めざるを得ないがな。

 

 さて、今の俺が一番気になるのは――

 

「それでイッセー、ドライグは倒せたか?」

 

「………くそぅ、あともう少しでエロDVDが……!」

 

 イッセーの結果だったが、悔しそうに呻くイッセーの台詞を聞いて達成出来なかったとすぐに分かった。

 

 因みに俺とイッセーは別荘から少し離れた場所にいる。深夜の真っ暗な空からの月明かりに照らされている山頂で。

 

「それでドライグ、成果はどうなんだ?」

 

 俺の問いにイッセーが左腕に展開してる赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)が反応する。

 

『ああ、今の相棒ならアレの二倍を大したリスクも無く使いこなせるようになった』

 

「それは何より。ありがとな、イッセーの修行相手をしてくれて」

 

『構わんさ。俺も久しぶりに存分に暴れさせてもらったからな』

 

「………俺を殺す気じゃねぇかって思ったほど凶暴だったぞ」

 

 俺とドライグの会話にイッセーが抗議するように割って入ってくる。

 

 イッセーがああ言うって事はドライグは相当やらかしたようだな。流石は二天龍の一角と言ったところか。

 

『ハッハッハ。そういう相棒も人のこと言えないだろうが。俺を倒せば如何わしい物が貰えると煩悩丸出しだったじゃないか』

 

「う、うっせぇ!」

 

 ドライグとは別に、イッセーもイッセーでスケベ根性の血が騒いで必死に頑張ってたって訳か。

 

 歴代の赤龍帝の中で、イッセーほど特異な存在はいない。エロい事に関する事で強くなるなんてな。ドライグから聞いた話だと、ここまで不純な赤龍帝はイッセーしかいないと言ってたからな。

 

 まぁ、赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)の中にいる思念の二人――エルシャとベルザードは面白い奴だと爆笑しながらも高評価していたが。女性と男性の歴代最強の赤龍帝二人が認めてるから、それはそれで別に良いんだがな。

 

「それじゃあ、その煩悩によってどこまで力を付けたかを……俺に見せてもらおうか」

 

 俺がパチンと指を鳴らした直後、山頂の周囲は光の結界で覆われる。別荘で就寝中のリアス達に察知されないよう、防音対策も含まれた強固な結界が。

 

「……なぁ兄貴、こんな結界を張るって事はもしや……いつものやつか?」

 

「それ以外何がある。早くアレを使ってかかってこい。あと今回は俺も少しばかり本気でやらせてもらう」

 

「っ!」

 

 本気を出す為に全身から光のオーラを放出する俺を見たイッセーが飛び退くように少し下がった。

 

「………珍しいじゃねぇか。いつも手加減してる兄貴がそんなこと言うなんてな」

 

「な~に。このところリアス達の修行メインな上に、最近お前と組み手してないから久しぶりにやろうと思ったんだ。いっそ『ドラグ・ソボール』並みのバトルでもやろうか?」

 

「……いくら離れてるからって、んな事すりゃ別荘にいる部長達が起きると思うんですけど」

 

 準備体操をしながら理由を言ってる俺に、イッセーが少し引き攣った顔をしている。

 

「だからその為に結界を張ったんじゃないか。ほれ、さっさと闘気(オーラ)を全開にしろ」

 

「け、けどなぁ……」

 

 あんまり乗り気じゃないイッセーだったが――

 

「俺との組み手で攻撃を10発当てれたら、エロDVD進呈を考えてやるが?」

 

 

 ドンッ!!

 

 

「よっしゃぁぁぁぁ!! とっとと始めるぜ兄貴ぃ!」

 

 前言撤回するように赤い闘気(オーラ)を全開にしていつでも戦える状態となった。加えてイッセーが立っている地面は、闘気(オーラ)の放出によって少し罅割れている。

 

 ホントに家の弟はエロネタに関してはすぐ食いつくな。イッセーと一緒に住める事に食いついたリアスとそっくりだ。どっちも欲望に忠実な事で。ま、その欲望のお蔭で上々な成果が出たから良いけど。

 

 それはそうと、イッセーがドライグと戦ってアレを使いこなしただけじゃなく、実力も上がってるみたいだな。これは久しぶりに楽しめそうだ。

 

 ………って、俺も何だかんだ言いながらも、『ドラグ・ソボール』を見てた事によって結構バトルマニアになったな。

 

「さて、久しぶりの兄弟バトルといこうか」

 

「おう!」

 

 (元)聖書の神(わたし)VS赤龍帝(イッセー)。もしこの戦いを何処かにいる白龍皇が見たら絶対に割って入ってきそうだ。

 

 そんな考えを余所に、オーラを放出している俺とイッセーは構えだした直後――

 

 

 ダアンッ!!

 

 

 一瞬で近づき拳と拳を激突させた瞬間に大気が震えた。

 

「いいパンチだ。並みの悪魔だったらこの一発だけで終わってるな」

 

「……そりゃどう、も!」

 

 褒めている俺にイッセーは余り嬉しくなさそうだったが、即座にもう片方の拳を繰り出してくる。

 

 その攻撃を躱す俺がお返しと言わんばかりに回し蹴りをやるも、イッセーはジャンプして回避して負けじと蹴りだしてきた。

 

 互いに相手の攻撃を躱したり反撃したりの事をしている内に――

 

 

 ドウンッ! ドガンッ! ドガガ! スガッ! ドドドッ!

 

 

「でぇりゃぁぁぁ~~!!!」

 

「ハハハハハッ! 良いぞイッセー! もっと攻めて来い!!」

 

 常人の目では追えないほどのスピードと、大気が震えて周囲にある地面や岩などが吹き飛ぶ程のパワーを合わせた戦闘を繰り広げた。

 

 この戦闘を一時間近くやり続けた事によって、俺たちがいた山頂は見る影も無く無残な姿となってしまった。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「ふうっ、久しぶりの組み手に血湧き肉躍ったなぁ」

 

「いててて……くそぅ。後数発当たってたらエロDVDが……!」

 

 組み手を終えて無残な山頂を修復した後、俺とイッセーは真夜中の森林を歩きながら別荘へ向かっていた。

 

 結果は言うまでも無く俺の勝ち。いくら赤龍帝のイッセーが強くなったからって、元聖書の神としてそう簡単に勝ちは譲らないさ。ちょっと焦ったけど。

 

 普段イッセーの修行や今回のリアス達のコーチをしてるから、自身の鍛錬なんかやる暇は無いと思われるだろうが、これでもちゃんとやっている。いくら俺が聖書の神だからって鍛錬は不要なんて甘い考えは持ってないからな。鍛錬内容については内緒にさせてもらう。

 

「ってか何で中断したんだよ。もうちょっと続けてればDVDが手に入ったってのによぉ……」

 

「あれ以上やれば結界が壊れてたからな。もし壊れれば、山にいる動物達や別荘にいるリアス達に迷惑を掛けるどころじゃ済まなくなる」

 

「だからってなぁ……」

 

「それはそうとイッセー、お前昨日の深夜にリアスと密会してたろ?」

 

「なっ、何で兄貴がそれを……あっ!」

 

 図星を突かれたイッセーがしまったと口を手で塞ぐがもう遅かった。分かりやすい反応してくれてありがとう。

 

「偶々トイレ起きで目覚めた時に、お前の姿がなくてな。トイレに行ったついでにお前を探したら、リアスと一緒にいたのを見たんだよ」

 

「べ、別にあれは密会じゃなくてだな……! 俺がちょっと水飲みたくて台所に行ったのを偶然部長に会ってだな……!」

 

 しどろもどろに言い訳をしているイッセーに俺は思わず笑みを浮かべていた。

 

「冗談だ。リアスが明日やる『レーティングゲーム』のマニュアルを読んでたところ、バッタリ会ったことぐらい分かってるよ」

 

「………分かってんなら密会だなんて紛らわしいこと言うんじゃねぇバカ兄貴!」

 

 真実を言った途端、急に冷静になったイッセーが今度は俺に怒鳴ってきた。

 

「悪かったよ。んで、リアスを見てどう思った? 特に今回の修行とかで」

 

 アイツは俺の前だと気丈に振舞ってたが、自分の脆いところを見せなかったからな。俺に扱かれて一人で気弱になってるんじゃないかと少し不安に思ってたし。

 

「……兄貴をコーチ役にした事を少し後悔してるって言ってたよ。同時に自分がどれだけ弱いかって事も痛感したらしいぜ」

 

「だろうな」

 

 流石に弟のイッセー相手には気を許したのか本音を漏らしたようだな。

 

 イッセー視点からすると、俺の修行は悪魔だろうが天使だろうが絶対に音を上げるって言ってたし。俺自身も厳しくやり過ぎたかなぁって思うところもしばしばある。でもだからって温い修行をさせる訳にはいかんが。

 

「その後からはフェニックス家の反則染みた属性を俺に説明してくれた後、少し弱気になってた」

 

「まぁ、あそこの家系は不死が強みな一族だからな。どんなに倒してもすぐに再生して傷を治されたら、誰だって戦意喪失する」

 

 フェニックス家はドラグ・ソボール風に言えば魔人プウみたいな存在とも言える。体を吹っ飛ばしても僅かに肉片があれば瞬時に再生する魔人プウまでとは行かないが、それでもフェニックスは再生するだけ厄介な存在だ。

 

「部長から聞いた話だと、ライザーって野郎はその不死属性があるせいか、『レーティングゲーム』ではかなり強ぇらしい。戦績は十戦中八勝で、残りの二敗は懇意にしている家系の配慮で態と負けたらしい。実質全勝だってよ」

 

「……成程」

 

 やはりグレモリー家はリアスの敗北を確実にする為、出来レース同然の『レーティングゲーム』を持ち出したって訳か。ついでにリアスには不死を司るフェニックスの存在がどうやっても勝てない事を分からせ、そして諦めさせようと。チェスで言う嵌め手のスウィンドルもいいところだ。

 

 そこまでしてリアスを負けさせようとするグレモリー家の考えに、俺は少しばかり失望してきている。次期当主の娘だけじゃなく、次期次期当主の孫もいるってのに更に跡継ぎを欲しがる事に。悪魔は欲望に忠実と言うが、度が過ぎれば却って身を滅ぼす事になるんだがな。

 

 そう考えていると、イッセーは何か思い切ったような表情で俺に尋ねようとしてくる。

 

「なぁ兄貴、俺――」

 

「ダメだ」

 

「……まだ何も言ってないんだが」

 

「どうせお前の事だ。リアスを自由にさせる為に初めから全力を出してライザーを倒そうって考えてるだろ」

 

「う……よ、よくお分かりで……」

 

「イッセーの考えなんかお見通しだ」

 

 確かに不死と言う存在は厄介だが倒せない事は無い。圧倒的な力で押し通すか、再生する度に何度も何度も追い込ませて相手の精神を潰すかのどちらかをやればいい。

 

 尤も、イッセーの場合だと。ライザーを前者と後者の両方で倒す事は可能だ。イッセーが奥の手を使った全力を出せば、いかにライザーが不死だろうと徹底的に叩きのめす事が出来るからな。

 

 しかし、今回の『レーティングゲーム』はあくまでグレモリー家とフェニックス家による身内同士の戦いの為、人間のイッセーが全面的に目立ってしまえば意味が無い。下手すればゲームが無効となる恐れがある。

 

「お前が頑張り過ぎたら、俺が出場しない意味が無いだろうが。いくらリアスの眷属候補だからって限度がある。ライザーを倒すにしても悪魔のリアス達じゃなければダメだ」

 

「けど、だからって……!」

 

 それでも食い縋ろうとするイッセーに、俺はある提案を出そうとする。

 

「ま、お前が派手にやったとしても、リアスに必ず花を持たせると言う条件を守るんなら構わんが」

 

「え?」

 

 俺の台詞に呆然としていたイッセーは数秒考えた途端、意図が読めたかのように苦笑する。

 

「………兄貴、何だかんだ言って部長達に勝たせようとする気満々だろ?」

 

「さて何の事やら。俺はただ単に、グレモリー家とフェニックス家の欲張った考えをどうやって改めるか思索してるだけだ」

 

「…素直じゃねぇな」

 

 そんな会話をしていると、いつの間にか別荘に着く。

 

 その後の山篭り修行合宿は漸く終わり、決戦当日を迎える事となった。




これで修行話は終わりです。

ダラダラと書いててすいませんでした。

次回は漸くレーティングゲームに入ります。
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