ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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第四十七.五話

 魔法陣による転移で観戦ルームに着いた俺の目の前には――

 

「その出で立ちと紅髪……貴方がリアス・グレモリーの兄君ですか?」

 

「そう。知ってのとおり、私はサーゼクス・ルシファーだ。妹が世話になったようだね、兵藤隆誠くん」

 

 現四大魔王の一人――サーゼクス・ルシファーが優しい笑みを浮かべながら迎えた。

 

 魔王としての威厳ある衣装を身に纏い、リアスと同じ紅髪と誰もが魅了されような端整な顔立ち。まるでリアスの男バージョンみたいだ。

 

 流石は魔王と言うべきか。見た目とは裏腹に、凄まじい魔力を持っている。今は抑えているが、もし此処で全ての魔力を解放したら周囲にいる悪魔が滅ぶどころか、この観戦ルームも確実に吹っ飛ぶだろうな。周囲の悪魔達なんかとは丸っきり桁が違う。

 

 まさか転移して早々に最強の一角である四大魔王と出会うとは。いやはや、ドッキリさせるにも程があるっての。昔の聖書の神(わたし)だったら、魔王サーゼクス・ルシファーを最大の敵として迷い無く戦っているだろうな。

 

「君の事はグレイフィアから聞いたよ。かなりの実力者だそうだね」

 

「いえいえ、貴方から見れば俺なんか大した事ありませんよ」

 

 少なくとも、今の俺の実力でサーゼクス・ルシファーに勝つ事は出来ない。どんな策を講じようとも、勝てる要素なんか全くのゼロだ。何せサーゼクス・ルシファーは最上級悪魔の上を更にいく存在――超越者の一人だからな。

 

 けれど、だからと言って怖気づくところを見せる訳にはいかない。人間に転生したとは言え、一応これでも神としてのプライドはあるから、普通に接させてもらう。

 

「ところで、俺を此処に呼んだのは――」

 

「サーゼクス様、何ゆえ此処に人間がいるのですか!?」

 

「おい貴様! サーゼクス様に対して無礼であろう! 今すぐに跪かんか!」

 

 俺が話題を変えようとした途端、観戦ルームにいる貴族悪魔達が割って入るように声を荒げていた。

 

 悪魔達が怒鳴ってくるのはある意味当然かもしれない。何しろ俺は今、観戦客の貴族悪魔達に注目されながら魔王サーゼクス・ルシファーと話している。

 

 人間の俺が魔王に向かって何の礼儀作法もしないで話しかけているから、礼儀を重んじる貴族悪魔にとっては無礼極まりない態度と認識するのは当然だ。

 

 やはり貴族悪魔は人間を下等生物と見下しているかと思っていると、サーゼクス・ルシファーは連中の行動に顔を顰めながらこう言う。

 

「止めたまえ。彼は私の大事な客人だ」

 

「し、しかし……!」

 

 鶴の一声とも言うべき魔王の発言に貴族悪魔達は荒げた声を静めるが、それでも納得出来ない様子だった。

 

「彼は本来レーティングゲームに参加するところを、私が無理を言って此処に呼んだのだ。寧ろ私が彼に謝らなければいけない立場でもある」

 

 別に謝らなくても良いんだがな。俺は元々参加する気なんか無かったし。

 

「それと余り彼を刺激しないでもらおうか? 彼は私の『女王(クイーン)』に匹敵する実力者らしいから、君たちもただでは済まなくなるんだが」

 

『っ!?』

 

 魔王の台詞に貴族悪魔達は信じられないような目で俺を見てくる。

 

 ちょっとちょっとサーゼクスさん。連中を黙らせる為とは言え、俺を余り目立たせるような発言はしないで欲しいんだが。

 

 その所為で少し離れた所から、ガッシリとした体格の野生的なイケメン君が俺を興味深そうに見てくる。俺が目を合わせてしまうと、向こうは笑みを浮かべてくる。

 

 ん? あの悪魔、魔王や周囲の貴族悪魔共と違うな。何かイッセーと似た闘気(オーラ)を持ってるような気が……少し確認してみるか。

 

 

 フッ!

 

 

「き、消えた!?」

 

「ど、何処へ行った!?」

 

 俺が超スピードで姿を消した事に貴族悪魔達が驚愕してるを全く気にせず、自分を興味深そうに注視していた黒髪悪魔の眼前に立つ。

 

「失礼、俺に熱い視線を送った悪魔さん」

 

「………これはこれは。まさか其方から出向いてくれるとは」

 

『んなっ!?』

 

 目の前にいる悪魔と会話してる事に気付いた上級悪魔達が一斉にコッチを見た。対して俺に話しかけられた黒髪悪魔は、少し目を見開きながらも普通に話してくる。

 

「我が主に何用ですか!?」

 

「手を出すな、クイーシャ」

 

 クイーシャと呼ばれる金髪ポニーテール美人女性が割って入ろうとするが、眼前の黒髪悪魔によって阻止された。

 

「兵藤隆誠、といったか。すまなかったな」

 

「お気になさらず。主を守るのが眷属としての務めだからな」

 

「そう言ってくれると助かる。それと自己紹介が遅れたな。俺はサイラオーグ。バアル家の次期当主だ」

 

「どうも」

 

 初対面にも拘らず、普通に話しかける俺を友好的に接してくる黒髪悪魔――サイラオーグ。

 

 まさかこの悪魔がバアル家の者だったとは……正直言って凄く意外だった。何しろこの男からバアル家特有の『滅びの力』を一切感じられない。

 

 あのバアル家初代がサイラオーグを次期当主として認めるとは、一体どう言う心境の変化だ? 

 

 一切の変化を求めないあの石頭老人がそう簡単に持論を変えるとは到底思えないんだが……まぁ今は気にしないでおくか。

 

「それで、貴公は一体何用で態々俺の目の前に現れたんだ?」

 

「なに、君がウチの弟と似た強い闘気を感じてな。つい間近で確認したくなったんだ」

 

「!」

 

 確認した結果、この男から発する闘気は途轍もなく強い。もしかしたらイッセーの強力なライバルになりそうだ。

 

 そして俺の発言にサイラオーグは驚愕を露にする。

 

「闘気……! まさか、貴公の弟は……」

 

「今回の『レーティングゲーム』でウチの愚弟をよく見ておくと良い。一部呆れさせる行動を取るかもしれないが、そこはスルーしてくれ。それじゃ、また後で」

 

 

 フッ!

 

 

 サイラオーグに質問をさせないよう、言うだけ言った俺はすぐに再び超スピードでサーゼクスのいる場所へ戻った。

 

「失礼、サーゼクス殿。勝手な行動を取ってしまって」

 

「いやいや、こちらとしては中々面白いものを見せてくれた。だがせめて、前以て言ってくれれば良かったんだがね」

 

「以後気をつけます」

 

 俺の行動を軽い注意だけをしたサーゼクスは、未だ呆然としてる貴族悪魔達の方へと視線を向ける。

 

「一応訊いておくが、先ほど不満を抱いていた方々は、彼の実力に対してまだ何か申し開きがあるかな?」

 

『…………………』

 

 サーゼクスの問いに、俺に不満を抱いていた貴族悪魔達は答えられずにいた。

 

 人間を下等生物と見下していた連中が、俺のスピードを目で追えなかった事にかなり屈辱だろう。

 

 因みにもしまだ不満を言う貴族悪魔がいたら、下手すれば今度は俺と戦う展開になってしまうと思い、敢えて何も言わないでいると思う。ただでさえ俺の所為で恥を掻いた連中が、これ以上失態を犯したら貴族としての面目が丸潰れだからな。

 

「無いのであれば、私は彼を正式な客人として迎えさせてもらう」

 

 この魔王様も随分と人が悪い、じゃなくて悪魔が悪いな。まだ不満を持っている連中がいると言うのに、敢えて無いように振舞うとは。

 

「では兵藤隆誠くん、ここへ座ると良い」

 

「………………」

 

 サーゼクスは煌びやかな椅子に座りながら、もう一つの煌びやかな椅子に座るよう促してくる。俺は魔王の隣に座れと仰いますか?

 

「……あの、何もそこまでしなくても」

 

「君は私の大事な客人だから、持て成すのは当然の事だ。だからここは魔王である私の顔に免じて、どうか座ってくれないかな?」

 

 ………分かってて言ってるな。流石にこうまで言われたら座らざるを得ない。ホントに悪魔が悪い魔王だな。

 

 もうこうなりゃ自棄だ。思いっきり寛いでやろうじゃないか。

 

 決意した俺は煌びやかな椅子にドンッと腰深く威厳があるように座ると、サーゼクスは少し驚いた顔をする。因みに貴族悪魔達は俺の態度を見て口をアングリと開けており、サイラオーグは面白そうな感じで見ている。

 

「これでよろしいですか?」

 

「ああ、大変結構」

 

 驚いた顔をしていたサーゼクスだったが、すぐに破顔する。

 

 しかしまぁ。元天界の長である聖書の神(わたし)と、冥界の現魔王がこうして共に座って『レーティングゲーム』を観戦するとは。ミカエルや他の熾天使(セラフ)達が知ったらどんな反応をするだろうか。

 

 そう思っていると、観戦ルームにあるモニターの画面が映像を映し出される。

 

 さぁリアス達、修行の成果をライザー・フェニックスと眷属達に思いっきりみせてやれ。そしてイッセー、家で言ったとおりちゃんとリアス達に花を持たせるんだぞ。




今回はリューセーがサーゼクスに招待された小話でした。

無駄な話を書いてすみません。

次回はイッセー視点でレーティングゲームが進行します。
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