ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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第四十八話

 兄貴が魔王ルシファー……様のいるところに転移させられて、リアス部長達は驚いていた。グレイフィアさんからの話では、「ルシファー様が個人的に会いたい」だそうだ。

 

 まさか向こうが接触するとは正直言って予想外だった。敵陣真っ只中とも言える所に転移させられる事に。

 

 アーシアは凄く心配そうな様子を見せていたが、俺は大して心配とかしてない。いくら魔王と対面するからって、そう簡単に屈したりやられたりする事は無い。俺と違って兄貴は頭良いからな。

 

 その後、俺達は兄貴とは別の魔法陣を使って転移したと思いきや、何とさっきまでいた部室だ。人間の俺とアーシアは最初、自分達の所為で失敗したんじゃ無いかと不安に駆られたが、校内放送みたく説明してる審判役のグレイフィアさんの説明によって安心した。

 

 どうやら『レーティングゲーム』をやるバトルフィールドは俺達が通う『駒王学園』のレプリカを異空間に用意したらしい。

 

 説明を聞いてて俺は思わず、部室の周囲にある飾り物の位置や部屋の壁の傷まで再現率高すぎるだろうって内心つっこんだ。

 

 けどまぁ、窓から外を見た途端、空が白いのを見てやっぱり異空間なんだなって思い知った。

 

 普段から兄貴によって色々な事を経験して大して驚く事の無い俺だったが、今回ばかりは凄く驚いたぜ。何たって異空間に俺の学校を再現したんだから、悪魔の力は凄まじいったらありゃしねぇ。

 

 そこから先はグレイフィアさんの説明で、俺達がいる部室とライザーの野郎がいる新校舎の生徒会室が本陣のようだ。当然この『レーティングゲーム』はチェスに因んだ物だから、互いの『兵士(ポーン)』が本陣まで辿り着いたら『プロモーション』が出来る。

 

 俺は一応『兵士(ポーン)』の役割だが、眷属候補の人間だからソレは無理だ。まぁそれでも赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)の奥の手を使えば、ある意味即座に『プロモーション』する事は出来るが。

 

 そしてグレイフィアさんの説明が終わり、朱乃さんからイヤホンマイクタイプの通信機器を配られて耳に付けた直後、学校のチャイムが鳴り響いた事によって『レーティングゲーム』が開始される。

 

 開始早々、部長はすぐに作戦会議を始めて眷属(+俺とアーシア)と話し合った結果、部長は先ず最初に体育館を取ろうと提案した。そこを取れば新校舎までのルートを確保出来て、新校舎と旧校舎とも隣接し、相手への牽制になるからと言う木場の意見によって。

 

 俺は特に反対する理由は無い。俺は何かしらの異常事態が起きない限り、基本的に部長達の指示通りに動くようにって兄貴に言われてるからな。いくら俺が派手にやらかして部長達に花を持たせるようにしても、自由気ままに動くわけにはいかない。尤も、俺が正式な眷属になって勝手な事をすれば、部長の『(キング)』としての器に問題有と面倒な事になってしまうが。

 

 それはそうと今現在、旧校舎の本陣は俺・アーシア、そして部長しかいない。

 

 朱乃さん、木場、小猫ちゃんは部長の指示で部室を出ている。木場と小猫ちゃんは森にトラップを仕掛ける為で、朱乃さんは森周辺と空に霧と幻術をかける為だ。いくら此処が新校舎から丸見えだからって、何の対策も施さない訳には行かないからな。どんなシミュレーションゲームでも本陣の守りは必要だ。

 

 んで、朱乃さん達が出払ってる間、今も部室に待機中の俺はソファーで――

 

「うっうっ、部長、俺最高です。感動で涙が止まりません」

 

「もう、大げさね。膝枕ぐらいで泣くなんて」

 

 部長に膝枕されてもらって感激極まりない超ラッキーイベント発生中だった。

 

 だってさだってさ、モテないエロ学生の俺が駒王学園のトップアイドルのリアス部長に膝枕されてるんだぜ? これで喜ばない男がいたら、ソイツはオカマかホモのどっちかだ。

 

 これがもし松田や元浜、駒王学園の全校生徒が知ったら嫉妬と殺意全開で俺は殺されるだろうな。世の中わからなもんだ。ああ、父さん母さん俺を生んでくれてありがとう! そしてドライグ様、貴方にも最大の感謝を!

 

『そんな事で俺に感謝されても困るんだがな……』

 

 俺の考えを読んだドライグは呆れていたが、それでも俺は感謝し続ける。

 

「ふふっ、これだけで喜んでくれるならまたやってあげるわよ」

 

 マジですか!? うひょ~~~! 部長の生の太腿の感触をまた味わえるなんて俺マジで最高だ~~!

 

 ………と思っていたんだが、向かいのソファーに座ってるアーシアが俺を涙目で見ていた。しかも頬を膨らませているし。

 

 あとなんか怒っていると言うか、とっても機嫌が悪そうなんですけど……俺、何かやったか?

 

「これ位は許してちょうだいね、アーシア? 貴女だって緊張を解す為に、家でイッセーと二人っきりでいたんでしょ?」

 

「はうっ!」

 

 部長の問いにアーシアが図星を突かれたの如く顔を赤らめる。

 

 ……ん? その質問をするって事はもしかして……。

 

「部長、ひょっとして緊張してるんですか?」

 

 今度は膝枕してる俺が問うと、部長は苦笑しながら俺の頭を撫でてくる。

 

「私だって緊張ぐらいするわよ。初めての『レーティングゲーム』だもの。だからイッセー、もうすこしこのままでいさせて。本当なら、あなたを抱き枕にして緊張を解したいのよ?」

 

 抱き枕って……膝枕以上の事じゃないですか!

 

「まぁ、このゲームに勝てたら、それが実現するけれど。毎日ね」

 

「え?」

 

「あ、あの、部長さん、それは一体どう言う意味ですか?」

 

 部長が超意味深な事を言った為に、アーシアが急に何か不安そうに尋ねるが――

 

「さぁ? どう言う意味かしらね♪」

 

 何故かアーシアに対して挑戦的な笑みを浮かべる部長だった。

 

 

 

――――――――――

 

 

「いくわよ、私のかわいい下僕たち。もう引き返せないわ。相手は不死身のフェニックス家で才児と呼ばれるライザー・フェニックスよ。さあ! 消し飛ばしてあげましょう!」

 

『はい!』

 

 こちらの準備が終えて、部長の確認に全員で返事をしたと同時に駆け出した。

 

 俺は小猫ちゃんと一緒に体育館へ向かい、朱乃さんと木場は別行動する予定だ。大将である部長と回復サポート要員のアーシアは本陣で待機。

 

「イッセーさん! 皆さん! がんばってください!」

 

 アーシアからの応援に、俺達は後ろ手に腕を上げて振ってみせた。

 

 さぁて、いっちょやりますか、赤龍帝こと兵藤一誠! 派手にいくぜ!

 

 そう思ってると、途中まで一緒だった木場と別れ、ここから先は小猫ちゃんと一緒だ。

 

「頑張ろうな、小猫ちゃん」

 

「……はい」

 

 小さく頷く小猫ちゃんだけど、凄くやる気に満ち溢れてるな。

 

 体育館に着いた俺達は裏口から侵入し、演壇の裏側に出る。演壇には幕が掛かってなく内部が丸見えだから、俺達は一応隠れるようにコソコソと動く。

 

 念の為に周囲に誰かいないか探知してみると、予想通りと言うか体育館に敵がいた。

 

「四人か」

 

「……人数まで分かるんですか?」

 

「まぁな」

 

 兄貴の修行によって、相手の魔力を探る能力が身に付いたからな。それに四人の中に、一人だけ憶えのある魔力がある。

 

「そこにいるのはわかってるわよ、グレモリーの下僕さんたち! 既にあなたたちがここへ入り込むのを監視していたんだから」

 

 あちゃ~、やっぱり見られてたか。じゃあ隠れる必要はねぇな。

 

 体育館から響く女の声に俺と小猫ちゃんが頷きあい、すぐに堂々と壇上に現れた。俺達の目の前にいるのは女性悪魔が四名。

 

 え~っと、チャイナドレスのおねえちゃんに双子、それに……。

 

 やっぱり、この前ちょっとした小競り合いをした棍使いの女の子もいるな。まさか、こんなに早く再会するとはな。しかもあの子、俺の顔を見た途端に睨んできてるし。

 

 作戦会議中に部室で敵の写真付きの説明を受けた際、あのチャイナドレスのおねえちゃんが『戦車(ルーク)』で、双子が『兵士(ポーン)』。一応知ってはいるが、棍使いの少女も『兵士(ポーン)』。

 

 『戦車(ルーク)』一で、『兵士(ポーン)』が三か。二対四で数だけ言えば俺達が不利だが、そんなことは気にしてない。こっちは初めから人数が少ないからな。

 

「さて、どうする小猫ちゃん? 要望があるなら聞くけど」

 

「……では私は『戦車』を相手しますので、イッセー先輩は『兵士』をお願いします。特に向こうの一人が、イッセー先輩を睨みつけてますから」

 

「了解。よっと!」

 

 頷いた俺は即座に跳んで、『兵士(ポーン)』三人の近くで着地して対峙する。

 

「よお、久しぶり」

 

「っ!」

 

 俺に声を掛けられた棍使いの少女は睨みながら構え始める。ありゃ俺を殺る気満々だな。

 

「気安く話しかけないでちょうだい! あなたの所為で私は……!」

 

 おお恐っ。あの時の事でこの子は相当不味い事態になったんだろうか。

 

 ってか、そっちが先に攻撃してきたんだから、恨むのは筋違いだと思いますけど?

 

「ミラちゃんミラちゃん、落ち着いて」

 

「私たちもミラちゃんの気持ちは分かる。だけど今は集中しないと」

 

「……ありがとう、イルちゃん、ネルちゃん」

 

 双子のフォローによって、棍使いの少女は冷静になったようだ。

 

 仲間思いな双子だなと思ってたら――

 

「バ~ラバラ! バ~ラバラ!」

 

「げっ!」

 

 肩に背負ってる鞄からチェーンソーを取り出して笑顔で起動させた事により、俺は思わず頬を引き攣らせてしまった。

 

 ってかバ~ラバラって、まさか俺をソレで解体する気か!? この双子、可愛い顔して恐ろしいよ!

 

 

 ドルルルルルル!

 

 

「ミラちゃんに恥を掻かせた分は」

 

「私たちがバラバラにしちゃうんだから!」

 

「おいおい……!」

 

 危険な駆動音と共に向かってくる双子。コイツら此処でX指定のスプラッターシーンをやる気満々だ。

 

 振り翳して来る双子のチェーンソーを躱そうと距離を取ろうとする。

 

 

 ヒュッ!

 

 

 その瞬間、俺の背後から何かが向けられる音がした。あのミラって子、いつの間にか俺の背後を取ってたな。

 

 俺が双子に気を取られてる間に回りこんだようだ。その隙を狙って俺に攻撃を仕掛けるってとこだろう。

 

 だが――

 

 

 フッ!

 

 

「き、消えた!?」

 

「何で消えたの!?」

 

「あの男どこに行ったの!?」

 

 棍使いの少女と双子の同時攻撃をあっさり躱されて姿が見えなくなった事に驚愕していた。

 

「お~い、俺は此処だぞ~」

 

「「「っ!?」」」

 

 俺がさっきいた場所から少し離れた体育館の隅っこから声をかけると、三人は信じられないようにコッチを見る。

 

「い、いつの間にあんな所に!?」

 

「ハッハッハッハ! この程度の事が出来なけりゃ兄貴に怒られちまうからな」

 

 あの兄貴の事だ。もし当たりでもしたら『弛んでるお前にはもう少し厳しい修行をする必要があるな』とか言って、以前やった夥しい光の剣と槍を避けさせる罰ゲームをやらせる。あんなの絶対ゴメンだ。アレはマジで死に掛けたからな。

 

 ソレに比べたら三人の攻撃は遅くて簡単に躱せる。あと躱すついでに面白い事をしてやった。

 

「ところで、ミラちゃんだったか? これな~んだ?」

 

「え? ………わ、私の棍!?」

 

 躱すだけじゃ面白くないから、さり気なく棍使いの少女が持ってる棍を拝借したんだよなぁ~これが。

 

 にしてもこの棍、相当使い込んでるな。ちょっと使ってみようかと思ったが、向こうにとってかなり愛着がある武器を使うのは良くないか。

 

「ほら、返すぜ」

 

 三人から少し離れてるので、俺は棍使いの少女に届くよう少し強めに投げると――

 

 

 ビュッ! ズドンッ!

 

 

「「「……………」」」

 

「あ、悪い。ちょっとやり過ぎちまった」

 

 力を込めすぎた所為で、棍はそのまま棍使いの少女を素通りして体育館の壁に突き刺さってしまった。

 

 その光景に三人だけじゃなく、向こうで戦ってる小猫ちゃんとチャイナドレスのおねえちゃんも思わず止めてコッチを見てる。

 

「な、なんなのアレ? 本当に人間なの?」

 

「……イッセー先輩を人間と思わないほうが良いです」

 

 ちょっと小猫ちゃん、それ酷くねぇ? 俺は歴とした正真正銘の人間なんですけど。

 

 まぁここまで馬鹿げた力を持つようになったのは、あの兄貴様からの修行によるものだからな。

 

 それはそうと、棍使いの少女と双子には悪いが、早々にケリを付けるとしよう。そのついでに……あの技を使って、ちょっとばかし三人の素晴らしいものを鑑賞させてもらうが。

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