ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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久しぶりの仕事の為に全く更新してませんでした。


第五十二話

 ~ライザーがユーベルーナに指示を出す前~

 

 

「ふっ、やるじゃないか。塔城小猫」

 

「……どうも」

 

 小柄な体格を活かす様に素早く攻撃を避けて反撃をしようとする小猫に、小猫の倍近い体格でリーチの長い攻撃を繰り出すイザベラ。互いに負けじと攻防を続けている為、二人の戦いは拮抗していた。

 

(……この人はボクシングスタイルの戦い方。まともに食らったらタダではすまない)

 

(あの体格でありながらもあの凄まじいパワー、そして的確且つ抉りこむような打撃。見た目とは裏腹に容赦のない戦い方だ)

 

 互いに相手の実力を警戒しながらも一切の油断を見せない小猫とイザベラ。

 

「正直、ここまでやれるとは思いもしなかった。一体キミは何者なんだ?」

 

「……リアスさまの下僕、ただそれだけです」

 

 イザベラからの問いに対し、何を当たり前な事を訊いてるんだと言うように言い返す小猫。その返答にイザベラは思わず苦笑してしまう。

 

「失礼した。今の質問は忘れてくれ」

 

 ところで、とイザベラは話題を変えてチラっとイッセーの方を見る。

 

「あの男は本当に人間なのか? いかに赤龍帝とは言え、美南風だけでなくリィとニィのダブル攻撃を簡単にいなして倒すなど、普通に考えてあり得ないのだが」

 

「……その質問は私では答えられません。強いていうなら、イッセー先輩はリューセー先輩によって鍛えられたぐらいしか分かりませんので」

 

「リューセー? その男は確かあの人間の兄だったな。ならば奴も相当な実力者、というわけか」

 

「……そんなことより、早く続けませんか? 私もそろそろ本気を出しますので」

 

「ん?」 

 

 会話を止めにしようとする小猫は、両手から青白い炎らしき物が出た。それはすぐに両手に纏い始めると、小猫はすぐに構え始める。

 

「それは……魔力か? 『戦車(ルーク)』のキミがそのような事が出来るとは……」

 

「……行きます!」

 

「っ!」

 

 感心そうに見ているイザベラに小猫は気にせず突進する。小猫が拳を繰り出そうとすると、イザベラは急に恐怖感を抱いた。

 

(あの攻撃をまともに受けたら不味い……!)

 

 直感したイザベラは回避に専念した。その直感が正しかったのか、イザベラが躱すと、小猫の拳はそのまま地面に当たり――

 

 

 ドゴォンッッ!!

 

 

 地面の一部が丸いクレーターとなった。

 

 自分以上の攻撃力を持っている小猫にイザベラは戦慄し、そしてこう結論する。この危険な『戦車(ルーク)』はすぐにでも倒さなければいけないと。

 

 それと小猫とイザベラの戦いとは別に、もう一つの戦いも拮抗している。

 

 すると――

 

 

 パキィンッ!

 

 

 何かが砕けた音がした。

 

 音の発生源は祐斗が持っている剣――光喰剣(ホーリー・イレイザー)からだった。刀身が闇に包まれた光を食らう剣は、先程ライザーの『騎士(ナイト)』カーラマインによって砕かれた。

 

「やっと破壊出来たか。その剣には随分と梃子摺らされたぞ」

 

 カーラマインは炎に包まれてる剣を祐斗に向けながらそう言う。

 

 しかし、カーラマインの剣の刀身部分は破損寸前の状態だった。所々に僅かな罅が入っていたり、刀身の先端が少し折れ曲がっている。

 

「だがそれでも、私の剣は貴様の神器(セイクリッド・ギア)より上回っていると証明されたがな」

 

 カラーマインの台詞に祐斗は、剣を破壊されたにも拘らず不敵な笑みを見せる。

 

「生憎だけど、僕の神器(セイクリッド・ギア)はこれで全てではないんだ」

 

「何? 見苦しい戯言はよすんだな、グレモリー家の『騎士(ナイト)』よ。その台詞は剣士としての本質を曇らせて――」

 

「――凍えよ、炎凍剣(フレイム・デリート)

 

 祐斗が低く唸るように言うと、刀身を無くした剣から何かが集束していく。

 

 それが集束されていくと、それは氷となっていく。積み重なっていく凍りは次第に、刀身の形となっていく。新たな剣が造られた事により、カーラマインは驚愕の表情を浮かべていた。

 

「貴様! 神器(セイクリッド・ギア)を二つも持っていたのか!?」

 

 そう言いながら剣を振りかざしながら祐斗に襲い掛かるカーラマイン。二つの剣がぶつかり合った直後、カーラマインの剣が急に冷えて固まっていき、パリンとはかない音を立てながら崩れて消えていく。

 

「くっ! 何の!」

 

 剣を早々に捨てたカーラマインは、腰に携えていた短剣を抜き放つ。

 

「我ら誇り高きフェニックス眷族は炎と風と命を司る! 貴様の負けだぁ!」

 

「それはどうかな!?」

 

 短剣を翳しながらジャンプして祐斗の剣を破壊しようとするカーラマインに、祐斗は迎撃するよう持っている剣で受け止める。

 

 

 パキパキッ……パリンッ!

 

 

 渾身の一撃を込めたカーラマインの短剣だったが、祐斗の剣が上回っていた事によって、それは長剣と同じく砕け散った。

 

「ば、バカな……! 私の剣がこうも簡単に……!」

 

 すぐに祐斗から距離を取り、予備の短剣を抜き放つカーラマイン。

 

「それは僕の剣が勝っていたって証拠だよ。リューセー先輩の修行によって、剣の強度をかなり高められたからね」

 

「リューセーだと? 確か私たちに勝てると豪語していたあの人間か。そいつの事をかなり尊敬してるようだな」

 

「当然だよ。確かにあの人は人間だけど、悪魔の僕たちなんか相手にならないほど凄く強い。もしあの人がいなかったら、今の僕はいないからね」

 

「貴様にそこまで言わせる相手とは……私もその者と一度手合わせしてみたいものだ」

 

 隆誠に興味を抱き始めるカーラマインに、祐斗は待ったを掛けようとする。

 

「止めたほうがいいよ。あの人は悪魔相手に容赦しないから、下手をすれば心が折られる。現に僕も何度も折られかけたからね」

 

「そんな事を言われて私がそう簡単に引き下がると思うか? 決めたぞ。貴様を倒し『レーティングゲーム』が終わった後、兵藤隆誠と言う人間に一騎打ちを申し込むとしよう」

 

 獲物が短剣しか無いにも拘らず、カーラマインは闘志が湧き上がったかのように、短剣の刀身から出てる炎が吹き荒れていた。強い相手と戦いたいと言う武士道精神が彼女をそうさせているのだろう。

 

「残念だけど、そんな機会は訪れないよ」

 

 堂々と自分を倒す宣言をしてくる彼女に祐斗は少しムッとしながら剣を構える。加えて、カーラマインが隆誠と一騎打ちをする事に祐斗としては決して見過ごせない。

 

 祐斗は隆誠がカーラマインに負ける事は微塵も思ってなく、圧勝する事は安易に想像出来た。けれど問題はその後からだ。

 

 カーラマインの性格を考えれば、恐らく隆誠に負けた後、弟子にしてくれと頼むんじゃないかと祐斗は予想している。同じ剣士である祐斗としては面白くない展開だから、それだけは絶対に阻止したかった。自分も隆誠の弟子になりたいと時々思っているから。

 

「リューセー先輩の後輩として、負けるわけにはいかないからね」

 

 そう言って武器を構えながらカーラマインに向かっていこうとする木場。

 

 だが、突然魔法陣が木場、そしてイザベラと戦っている小猫に囲むように現れて――

 

 

 ドォォォォオオオオンッッ!!

 

 

 足元が激しく振動するような爆発が二人を襲った。

 

「な、なんだ!?」

 

「これはまさか!」

 

 不意打ちとも言える展開に、二人と対峙しているカーラマインとイザベラは何事かと思いながら爆風から逃れる。

 

『リアス・グレモリーさまの「戦車(ルーク)」一名、「騎士(ナイト)」一名、リタイヤ』

 

「小猫ちゃん! 木場!」

 

 グレイフィアからのアナウンスを余所に、レイヴェル達と対峙していたイッセーが驚愕して叫んでいた。

 

 イッセーはあの爆発に見覚えがある。それをやった相手の気を探っていると――

 

「『戦車(ルーク)』、『騎士(ナイト)』、撃破」

 

 イッセーが空に向かって見上げた先には、ライザーの『女王(クイーン)』ユーベルーナがいた。

 

 朱乃と交戦中の筈であるユーベルーナが何故此処にいるのかは、少し時間を遡る。

 

 

 

 

 

 

 ヒュンヒュンッ!!

 

 

「どうしました、先程から逃げてばかりですわよ!?」

 

「くっ! まさか『雷の巫女』にこんな器用な術があったなんて……!」

 

 無くなった体育館付近で『雷の巫女』姫島朱乃とライザーの『爆弾王妃(ボム・クイーン)』ユーベルーナの戦いは壮絶だった。周囲は雷撃と爆撃によって焦土となっており、本物の戦場以上の光景になっている。

 

 そして現在、爆弾魔法を使おうとするユーベルーナに朱乃が阻止する形で右手の人差し指と中指をくっ付けた間から、鞭と思わしきものを振るっていた。それは朱乃が雷を物質化した鞭で、隆誠との修行で教わった物。相手の魔法を阻止して翻弄させる事に、朱乃は内心かなり便利だと思っていた。

 

 対してユーベルーナは、朱乃の予想外な攻撃方法をしてくる事に苛立ちを隠しきれなかった。強力な魔法を使おうにも、朱乃が振るってくる雷の鞭の所為で何度も邪魔されているから。加えて自分が前以て調べた朱乃の情報とは全く異なっているので、もう少し念入りに調べておけば良かったと後悔もしている。

 

「隙ありですわッ!」

 

 後悔すると言うユーベルーナが見せた僅かな隙に、朱乃が見逃さないとも言う感じで鞭を振るい、相手の腕に巻きつかせた。

 

 その直後――

 

 

 バチバチバチィッッ!!

 

 

「アアアアアアッ!!!」

 

 腕に巻きついた鞭から流れるように電気が流れて、ユーベルーナを感電させた。当然そうなったのは朱乃が鞭を通して雷を送り込んだ為だ。

 

 そんな朱乃の雷をモロに食らったユーベルーナは腕に巻きつかれた鞭から逃れてそのまま落ちていくが、辛うじて浮遊魔術を使いながら建物の上に着地する。

 

「まさか、ここまで厄介な相手になってるなんて……」

 

「うふふふ、まだまだ元気そうですわね」

 

 黒い一対の翼を広げて空に浮いてる朱乃は、建物に足を付けてるユーベルーナを見下ろしながら言う。状況からして朱乃が完全に有利だった。

 

 だが――

 

(本当なら彼女が落ちているところを更に追撃したかったのですが、コレは相当の集中力と魔力を……いえ、違いますわね。まだ思うように使いこなせていないと言った方が正しいでしょう)

 

 朱乃は思っていた以上に余裕は無かった。

 

 隆誠の修行によって雷を物質化する事が出来た朱乃だが、武器を使った戦いは慣れていなかった。理由は簡単。魔力を使っての武器化は思っていた以上に難しかったからだ。

 

 朱乃が雷を鞭として物質化させ、武器として使い始めたのは修行最終日ギリギリだったので思っていた以上に時間が掛かった。だから隆誠は僅かな時間で鞭としての使い方を簡単にしか教えてない。

 

 加えて朱乃は武器を使うのは全くの素人であると同時に、雷を武器化したまま維持させて使う事が慣れてない為、予想以上に魔力と集中力を使っていた。加えて朱乃本来の戦闘スタイルとは全く異なっているから、初めての戦い方で予想以上に梃子摺っている。

 

 一見、朱乃はまだ余裕な表情をしてユーベルーナを見下ろしているが、実際はかなり疲弊している。相手に弱みを見せないよう演技をしているだけに過ぎない。

 

「ですが、そろそろ終わりにさせてもらいますわ」

 

 そう言って朱乃はすぐに片をつけようと片手にバチバチッと雷撃の魔力を集束させる。

 

 今の内に倒してしまえば相手に悟られる事なく休む事が出来ると思っていたが――

 

「それはどうかしら?」

 

「? ……っ! それはまさか!?」

 

 さっきまで苦い表情をしていたユーベルーナが急に不敵な笑みを浮かべて何かを取り出し、思わず手を止めてそれを見た朱乃は驚愕した。ユーベルーナは懐から取り出したアイテム――『フェニックスの涙』を使った途端、傷と魔力が一気に回復する。

 

「ふふふ、私がライザーさまの眷族であるのだから、『フェニックスの涙』を所持してるかもしれないと言う事を失念していたようね」

 

 完全回復して朱乃と同じ位置まで浮遊するユーベルーナ。

 

「くっ……!」

 

 朱乃はユーベルーナの状態を見てかなり不味い状況と判断する。同時にフェニックスの涙を使わせる前に倒しておけばよかったと後悔もしていた。

 

 けれど今更後悔しても遅いと思った朱乃は、残り少ない魔力で何とかユーベルーナを倒そうと決意する。向こうは傷と魔力が回復した事によって、自分が優位だと油断してるから、その隙を突いて何とか倒そうと。

 

「さて、貴女がまだ何かを隠しているのかは知らないけど、即行で倒させてもらうわ」

 

 朱乃の思惑が外れたかのように、ユーベルーナは一切の油断も無く倒す姿勢だった。

 

(……ゴメンなさい、リアス。助けに行けそうもないわ)

 

 目の前にいる『女王(クイーン)』をリタイヤ覚悟で道連れにしなければいけないと思った朱乃は、内心この場にいないリアスに謝る。すると――

 

「は、はい、ライザーさま! …………承知しました」

 

 突然ユーベルーナが慌てたように返事をした。それを見た朱乃は今度は何だと不審な表情をする。

 

 自分の主の名前を呼んだ後に何か頷いているから、彼女に通信をしたライザーが何か命令を下したと判断した。

 

「『雷の巫女』、このまま直接あなたを倒したいところだけど、ライザーさまの命により一旦退かせてもらうわ。その代わり、プレゼントだけは用意しておくわ」

 

 そう言って彼女は転移魔術を使って朱乃の前から姿を消した。

 

(何故……? この状況で退却だなんて。それにプレゼントって……)

 

 ライザーの命だからと言って、目の前に満身創痍とも言える自分を倒さずに退却するのかと疑問に思う朱乃。

 

 すると――

 

 

 ドォォォォオオオオンッッ!!

 

 

「っ!」

 

 運動場から凄まじい爆発音が聞こえた。

 

 朱乃は気付く。あの場には祐斗・小猫、そして一誠がいる事に。そしてユーベルーナが退却した事も。

 

『リアス・グレモリーさまの「戦車(ルーク)」一名、「騎士(ナイト)」一名、リタイヤ』

 

「やはりっ!」

 

 グレイフィアからのアナウンスを聞いて朱乃は確信する。ライザーが自分の『女王(クイーン)』を退却させたのは、戦闘に集中している祐斗達を狙う為だと。

 

「私を後回しにして、祐斗くんたちを始末させるなんて……!」

 

 すぐに一誠の援護をしなければと思った朱乃は、焦りながら運動場に駆けつけようとすると――

 

 

 バチバチィッ!

 

 

「きゃあっ!」

 

 突然何もない空間から魔法陣が現れた。それはユーベルーナが使っていた爆発の魔法陣で、朱乃に悟られないよう戦闘中密かに仕掛けていた物。

 

 朱乃は鞭を使う事に集中していた為、ユーベルーナが密かに罠を仕掛けている事に気付いていなかった。

 

(まさかプレゼントとはコレの事を――)

 

 ユーベルーナが去る前に残した言葉を理解した直後――

 

 

 ドォオンッッ!!

 

 

 爆発が発生して、直撃を受けた朱乃はダメージを負って落下していくのであった。




かなり無理矢理な展開かと思われるでしょうが勘弁願います。
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