ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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第五十三話

「またてめぇの仕業か! ライザーの『女王(クイーン)』!!」

 

「ふふふ、今度は人間のボウヤじゃないほうを狙わせてもらったわ」

 

 忌々しげに叫ぶ俺に、魔道師は愉快と言わんばかりに不敵な笑みを浮かべていた。

 

 俺ならまだしも、真っ向勝負中の小猫ちゃんと木場を狙いやがって……!

 

「てめぇ! 二人の勝負に横槍入れてんじゃねぇ!!」

 

「何か勘違いしてないかしら、ボウヤ? これは『レーティングゲーム』で各陣営の駒と戦う集団戦よ。個人の戦いなんて関係無いわ」

 

「ぐっ……」

 

 ………確かにあの魔道師の言う通りだ。誰かが戦ってる間に漁夫の利を得ようとするのは当然とも言える。言っちゃ悪いが、周囲の警戒を怠って目の前の相手に集中していた小猫ちゃんと木場が悪い。

 

 頭では分かっちゃいるが、ああも横から掻っ攫うのを見ると思わず頭に来る……!

 

「ユーベルーナ殿! 一体これは何の真似だ!?」

 

「私たちが信用できないと言うのか!?」

 

 だが、俺と同じ事を考えているのは二人いるようだ。ライザーの『騎士(ナイト)』カーラマインと『戦車(ルーク)』イザベラ。

 

 いくら『レーティングゲーム』とは言え、自分達の真剣勝負を邪魔されたら流石に不満があるようだ。二人の不満を予想していたのか、魔道師は黙らせるようにこう言ってくる。

 

「二人とも、これはライザーさまからの命令よ。いかに不満があろうと、ライザーさまの命は絶対。それが分からない貴女たちではないでしょう?」

 

「「………………」」

 

 ライザーの名前が出た途端に黙るカーラマインとイザベラ。不満が残りつつも、主に逆らう訳にはいかないようだな。敵とは言え少しばかり、あの二人には同情するぜ。

 

「ユーベルーナ、貴女が相手をしていた『雷の巫女』はどうしたの?」

 

 二人の不満を余所に、急に余裕な表情を見せるレイヴェルは魔道師に尋ねてくる。さっきまで驚きの顔ばっかしてたのに、小猫ちゃんと木場がやられた途端に優勢になったから余裕綽々ってか?

 

「ライザーさまの命令で中断しました。ですが去る前に私が仕掛けた地雷に引っ掛かりましたので、アナウンスは未だ流れていませんが最早戦える状態ではないかと」

 

「ふーん。だそうよ、赤龍帝さん」

 

 朱乃さんがやられただと? ………確かに魔道師の言うとおり、朱乃さんの魔力が会った時と比較にならないほど小さくなっていた。ここまで小さいって事は相当のダメージを負って瀕死状態って訳か。

 

 そうなれば朱乃さんが此処に来て援護しに来るって考えは捨てたほうが良いだろうな。くそっ。まさかこんな結果になるなんてな……嫌になるぜ。あの時に俺が魔道師を倒しておけばよかったって後悔の念が強くなってきやがる……!

 

「残念だったわね、ボウヤ。あなたがあの時私を倒していれば良かったのに。私を『雷の巫女』だけに任せた、ボウヤの甘さが招いた結果よ」

 

 人が考えてる事を一々口に出して言うんだな、あの魔道師は。相手が美女と言えども、今回はちょっとばかり頭に来るな。

 

 俺の怒りを余所に、レイヴェルは嘲笑うような感じで俺に言ってくる。

 

「そう言えばあなた、自分が愚かな行動をして味方を失ったら責任を取ると言ってましたわね。もうこちらの勝ちは見えてますけど、あなたにはこの場で責任を取っていただきましょうか」

 

「あ? ………ちっ。完全に囲まれたか」

 

 俺の周囲には『騎士(ナイト)』二人、『戦車(ルーク)』一人、『僧侶(ビショップ)』一人、そして『女王(クイーン)』がいた。『兵士(ポーン)』の代わりとなってる俺にとっては絶体絶命な状況に等しかった。尤も、向こうのカーラマインとイザベラは不服そうな顔をしているが。

 

「兵藤一誠、と言ったな。私としてはお前と一対一の真剣勝負をしたかったが……すまない」

 

「我々としては気が乗らないのだが、ライザーさまの駒である我々はただ従うのみ。故に恨んでもかまわん」

 

 俺を気遣うように言ってくるカーラマインとイザベラ。態々敵の俺にお気遣いどうも。

 

 そう思ってると、レイヴェルは更に調子付いた感じで言ってくる。

 

「お分かりいただけたようですわね。いくら赤龍帝のあなたでも、この面子を前にもう勝ち目はありませんわ」

 

「………ああ、そうだな。確かに俺一人じゃ無理だな」

 

 少なくとも、今の状態の俺じゃあな。

 

 レイヴェルは俺が何かしらの反論をすると思っていたのか、少し予想外な反応をしていた。だがそれは一瞬で、すぐに不敵な笑みを浮かべてくる。

 

「ふふっ、負けを認めるのは結構ですけど、そうしたところで容赦はしませんわよ。何しろあなたは私たちフェニックス家を愚弄したんですからね」

 

「私たち?」

 

 そういやこの子は初めて会った時から気になってたんだが、魔力が何となくライザーと似てるんだよな。

 

「じゃあやられる前に教えてくれないか? 『僧侶(ビショップ)』のお前から何故か魔力がライザーと似た感じがするんだが、どうしてなんだ?」

 

「? おかしな事を訊いてきますのね。似てるも何も、私はライザー・フェニックスの妹ですもの。尤も、私はカタチとしての眷族悪魔ですけど」

 

 ……………………は?

 

 この美少女ちゃんが? あの焼き鳥野郎の妹、だと? ………ええええええええええええええええええええええええええっっ!!

 

 ……おいおい、マジかよ。あの野郎、自分の妹を眷族にしてバトルに参加させてんのかよ!

 

 本当に変態でバカなんじゃないか、あの焼き鳥野郎は。だがしかし、妹をハーレムに加えたい気持ちは分からんでもないが……。

 

 って、違う! 今はそんな事を考えてる場合じゃない! こんなバカなことを考えてたら、この試合を見てる兄貴に怒られそうな気がする。ともかく集中集中。

 

「ああ、そうかい。教えてくれてあんがとよ。んじゃ分かったところで、お前達全員……俺が纏めて倒してやるよ!」

 

 人間の俺は悪魔の朱乃さん達を活躍させる為の脇役だが、この場に俺しかいない以上もうそんな事を気にしていられない。

 

 俺はこのゲームで部長を勝たせたい。部長があのいけ好かねぇ焼き鳥野郎と結婚なんかすんのは正直見たくねぇ。

 

 それに……部長は自分が認めた好きな人と結婚したいって合宿の夜に言ってたからな。部長が俺の知らねぇ誰かと相思相愛になって結婚するのは非常に気に食わないが、それが部長の望みなら俺は叶えさせる。貴族とか悪魔とか関係なく、好きな相手と結婚したいのは当然だからな!

 

「私たちを倒す、ですって? この状況でまだそんなことを言いますの? 今更ですけど、リアスさまやあなたの相手は『不死鳥』ですのよ。いかに『紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)』や『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』が強力な力を持っても、不死身が相手ではどうしようもありませんわ」

 

「……不死身、ねぇ」

 

 もしココに兄貴がいたら、『それがどうした?』って言い返されるだろうな。その後は相手の精神を追い詰めるために大量の光の剣と槍のシャワーを浴びさせるか、何故かやたらと上手い聖歌を聴かせるかのどっちかやると思う。悪魔にとって最悪な拷問と言っても過言じゃねぇと思う。

 

 けど生憎それらは俺じゃどっちも出来ないから、圧倒的な力で追い詰めさせてもらう。ドライグ、久々にやるぜ。

 

『ああ、いつでも良いぞ。不死身だけが取り柄のフェニックス如きが、赤龍帝(おれ)を甘く見た事を後悔させてやれ』

 

 どうやらドライグの奴、レイヴェルの言葉に少し頭に来てたようだな。

 

 思わず内心苦笑しながら、今まで出さなかった赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)を左腕に展開させる。そして俺はこう叫ぶ。

 

「兄貴ぃ~~!! 悪いが俺はこっから力を解放させてもらう! 俺はどうしてもコイツ等に勝ちてぇんだ! だから言いつけを破った罰は後でいくらでも受ける! それで良いだろ!?」

 

『?』

 

 俺の叫びに周囲が訝っているが、それでも俺は気にせず上空に向かって叫んでいた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「好きにするがいい。但し、やるからには何が何でも勝て」

 

「ほう」

 

 イッセーの叫びに俺は了承するように警告してると、隣にいるサーゼクスが興味深そうな表情をしていた。すると、俺とサーゼクスとは別に観戦している貴族悪魔達が嘲笑し、イッセーを面白そうに見ている。

 

「ふっ、愚かな人間だ」

 

「あの状況で虚勢を張るとは、やはり人間というのは見苦しい生き物だ」

 

「まぁ人間風情があそこまで戦ったんですから、よくやったと褒めておくべきでしょうな」

 

 さっきまで散々驚いていたのに、イッセーが不利な状況になった途端にコレか。呆れた連中だ。やはり悪魔の大半はとことん人間を下等な存在と見下したいようだな。

 

 ま、精々今の内に見下してるといいさ。あとちょっとしたら、あの連中が一体どんな面白い顔をするのか楽しみだし。

 

 そんな中、サーゼクスは貴族悪魔達の事なんか全く気にせず俺に尋ねてくる。

 

「君の弟くんはまだ本気じゃなかったのかい?」

 

「あれが本気でしたら、俺は今頃イッセーを『レーティングゲーム』に参加させてませんよ」

 

「今までの戦いだけでも充分に凄いんだけどね」

 

 キッパリと言う俺にサーゼクスは少々苦笑気味に言ってくる。

 

 確かに相手が下級とは言え、人間が神器(セイクリッド・ギア)を使わず悪魔相手に圧倒しているのは充分凄い。

 

「ここからが面白い事になりますよ、サーゼクス様。先に言っておきますが、イッセーを自分の眷族に迎え入れようだなんて事はしないで下さいね」

 

「ははっ。君は随分と弟思いだね」

 

「ま、アレでも一応大事な家族なので」

 

 尤も、妹のリアスに対するシスコン魔王のサーゼクスには負けるが。

 

「そうそう。家族といえばつい最近、家に妹が出来たんですよね。お宅のリアスより可愛い妹が」

 

「む? 待ちたまえ。それは聞き捨て――」

 

 

『はぁぁぁぁぁ……!』

 

 

 さり気なく妹の事に触れてみるとサーゼクスは物の見事に食い付くが、急に画面の方からイッセーの声が聞こえた。それを聞いた俺とサーゼクスが見てみると、吹き荒れた赤い闘気が身構えてるイッセーの全身を覆っていた。無論それだけじゃなく、赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)が発動する度に画面がグラグラと更に揺れ始める。

 

「これは……!」

 

「あ~らら、赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)を使って闘気(オーラ)を上げるか。これはかなり荒れそうだ」

 

 爆発的に闘気(オーラ)を上昇させているイッセーに、流石の魔王サーゼクス・ルシファーはかなり驚いているようだ。まぁ当然といえば当然かもしれない。いくら赤龍帝とは言え、まだ人間――高校生の少年があそこまでの力を持っているのは滅多にいないからな。

 

 因みにさっきまでイッセーを見下していた貴族悪魔達は急に開いた口が塞がらない状態となっている。そして――

 

「何という闘気。これが今代の赤龍帝の力か……! 戦いたい、今すぐにあの男と戦いたいぞ……!」

 

「さ、サイラオーグさま、どうか落ち着いてください!」

 

 観戦してるサイラオーグをチラッと見たが、物の見事に闘志に火が点いたようだ。目なんかもうぎらついて、完全にイッセーを自分の獲物と見なしている。

 

 やっぱりアイツはイッセーのライバルになりそうだと思いながらも、俺は画面の方へと視線を移した。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「っ! 何だ!?」

 

「これはまさか……!」

 

「……い、イッセー、さん?」

 

 新校舎の屋上にいるライザーとリアス、そしてアーシアは力の波動を感じた事に発生源である運動場へと視線を向ける。ライザーは信じられない力に驚愕し、リアスは嘗て感じたイッセーの力を思い出し、アーシアは何となくだがイッセーの闘気(オーラ)だと分かった。同時に新校舎だけでなく空間全体がグラグラと地震のように揺れている。

 

「きゃあっ!」

 

「アーシア、私に掴まりなさい」

 

 余りにも酷い地震の揺れにアーシアが転びそうになるところを、リアスがそう言いながら一対の悪魔の羽を出して飛ぼうとする。

 

「ぶ、部長さん……。これって、イッセーさんの力、ですよね?」

 

「ええ、そう。イッセーの力よ。あの時とは比べ物にならないほどの途轍もない力……」

 

 アーシアの問いに答えながらもリアスは以前の事を思い出す。イッセーがレイナーレと戦う際に力を解放し、教会から赤い闘気の柱を放出した事を。

 

 けれど今は違う。リアスが言ったように、以前と違って途轍もない闘気(オーラ)の放出だった。リアスは余りにも力の差が違うと認識しながらも、またもやイッセーの闘気(オーラ)に魅了されかけていた。まるで恋する乙女のような表情で。

 

「凄い……やっぱり私、彼が欲しい……」

 

「? 部長さん、何か言いましたか?」

 

「え? あ、な、何でもないわ、アーシア……」

 

 イッセーの闘気(オーラ)に魅了されていたリアスだったが、自分に掴まっているアーシアからの問いで正気に戻る。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁ……!」

 

『Boost! Boost! Boost! Boost! Boost!』

 

 俺が闘気(オーラ)を最大に出してる際、赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)も発動している。あともう数回チャージさせれば俺のフルパワーが完了だ。

 

「な、何ですのこれは!?」

 

「空間全体が、揺れている!?」

 

 レイヴェルや魔道師の他に、イザベラやカーラマイン、そして『騎士(ナイト)』と思われるワイルドなお姉さんが俺を信じられないような目で見ていた。

 

 向こうからすれば、さっきまで本気で戦ってたと思っていたんだろう。だが生憎、俺はまだ全然本気を出しちゃいない。

 

 あの重い赤シャツを脱いで本気を出したと思われるだろうが、ソレはただ俺の身動きとある程度闘気(オーラ)の放出を抑える物に過ぎない。だからソレを脱げば、俺本来の全力(フルパワー)を出せるって訳だ。

 

『Boost! Boost! Boost! Boost! Boost!』

 

 よし、溜まった!!

 

「だぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!!!!!!!」

 

『explosion!』

 

 

 ドンッ!!

 

 

 赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)のチャージが溜まった俺は即座に解放して自身の力が高まった途端、全ての闘気(オーラ)を放出した。それにより闘気を発している俺の身体からは突風が吹き荒れる。

 

「「きゃあっ!!」」

 

「「「ぐっ!」」」

 

 俺の周囲にいるライザーの眷族達は吹っ飛ばされそうになるも何とか踏ん張っていた。空を飛んでるレイヴェルと魔道師は体勢が崩れかけているが。

 

「ふぅぅぅ~~~~……何度も待たせて悪かったな。これが俺の全力(フルパワー)だ!」

 

 俺を覆っている闘気(オーラ)は今でも放出してるが、俺の周囲に留めているので大した消費はしてない。寧ろこれは俺の鎧とも言える。

 

 だから――

 

「き、危険だわ。この男は危険すぎる! 今すぐ始末しなければ! はああっ!!」

 

 

 ドゴォォンッッ!!

 

 

「…………ライザーの『女王(クイーン)』、今俺に何かしたか?」

 

「そ、そんな……! 私の最大出力なのに……!?」

 

 魔道師の爆発魔法を防いでくれるんだよな。

 

 さて、あの魔道師には散々苦汁を飲まされたからな。少しばかり仕返しさせてもらうとすっか。

 

「こんなチャチな爆発じゃぁ俺は倒せねぇよ。それと爆発って言うのはなぁ、こうやるんだよ……はぁぁぁぁ」

 

 

 バチバチッ! バチバチッ!

 

 

 俺は胸の前で両腕を交差して闘気(オーラ)を溜めると、レイヴェルたちは不可解な表情をしている。

 

「こ、今度は何をするつもりだ……?」

 

「………っ! まさか!」

 

 カーラマインは俺が何をするか分かってないようだが、イザベラは気付いたようだ。

 

「いけない! あなたたち! 今すぐにその場から――」

 

「もう遅ぇ! 食らいやがれっ! 赤龍帝の怒り(ブーステッド・バースト)!!」

 

 魔道師が地上にいるカーラマイン達に指示するも、俺が交差した両腕を思いっきり伸ばした瞬間――

 

 

 カッ!! ドガァァァァァァァァァァァァァァァンッッッッッッ!!!

 

 

 運動場全てが覆うように大爆発が起きた。




いつまで戦闘は続くんだと思われるでしょうが、あともう少しで終わる予定です。あくまで予定ですが。
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