とりあえずどうぞ!
『…………ら、ライザー・フェニックスさまの「
爆発後、俺の周囲にあった運動場の設備は全て吹っ飛んで一種の更地状態となった。それを確認したと思われるグレイフィアさんは少し呆然としながらも、ライザーの眷族達が退場したアナウンスをする。
「ふぅ、スッとしたぁ」
溜まっていた物が一気に無くなったかのように俺は安堵の息を吐く。すると、
『相棒、随分と派手にやらかしたな。少しばかりやり過ぎじゃないか?』
ドライグが呆れたような感じで問いかけてくる。
「しょうがねぇだろ。俺だってまさかここまでの威力だなんて思わなかったんだよ。つーか、そういうドライグだって俺のやる事にかなり乗り気だったじゃねぇか」
『宿主の思いに答えるのが
「ついさっきだ」
『…………』
今までの不満や怒り(特に夕麻ちゃん――堕天使レイナーレの件も含めて)放出するんだったら、それを
因みにこの技は空孫悟のライバル――ベジターが使ってた技を参考にさせてもらった。名称は無くて爆裂波か爆発波のどっちかは知らんが、自分の周囲にいる敵を倒すには打って付けの技だ。尤も、この技は敵味方関係なく吹っ飛ばしちまうから、味方がいる時には使えない。もし小猫ちゃんか木場のどっちかがいたら使う気なんて無かったからな。
だがそれをあの魔道師が二人を倒しちまったから、俺は遠慮なく使った。俺の周囲に誰も味方はいないしな。つまり魔道師のやった事は却って自分から不利な状況を作っちまったって訳だ。
ってかドライグの奴、何か急に黙っちまったな。どうしたんだ?
『………相棒、何でこういう技を最初に思いつかなかった? 「
ほっとけ! アレはアレで俺の自慢の技なんだよ!
ったく。何でドライグは理解してくれないんだよ。俺の数少ない才能で編み出した最高の技を。確かに『
『それが男相手にも出来れば良いんだがな』
冗談じゃねぇ! 服を弾き飛ばした野郎の裸なんか見たくねぇよ! んなもん誰得だ!? ってか考えるだけでも悍ましい事を言わないでくれ、ドライグ。
『はぁっ、全く相棒は……。それはそうと、まだ向こうに生き残りがいるみたいだな』
「ん?」
嘆息したドライグが急に話題を変えた事によって、俺は二つの魔力が感じる空へと向ける。
「はぁっ、はぁっ……! あ、あと少し遅かったら……」
「な、何ですの、これは……?」
そこには結界を張ってる魔道師と、その魔道師に守られながら信じられない顔をしてるレイヴェルがいた。
「へぇ、あの瞬間に防御結界を張ったのか」
さっきグレイフィアさんのアナウンスで『
だがそれでも、それなりのダメージは食らってるようだ。その証拠に魔道師の両手は火傷を負い、全身の所々服が破けて掠り傷が出来てる。加えて杖もボロボロだ。
レイヴェルの方は……無傷か。ま、あの魔道師が庇うようにレイヴェルの前に立って結界を張ったからな。いくらレイヴェルが『
「さて」
「「っ!」」
「なんだ? さっきまでの強気な態度はどこへ行った?」
俺が二人と同じ位置まで宙に浮くと、魔道師とレイヴェルは急に怯えるような表情をする。
何か俺がこれから女二人を甚振ろうとする悪役みたいな感じだが、コッチは味方をやられたんだ。特にあの魔道師にはな。
「折角
ドンッ!
「ああっ!」
俺は右手を魔道師に向けて気合砲を放った。結界が壊れた直後、魔道師はすぐさまレイヴェルから離れて吹っ飛ぶ。
「ゆ、ユーベルーナ!」
急に引き離された事にレイヴェルは心配そうに見る。
「くっ! こ、これは完全に誤算だったわ。あのボウヤがまさかこれほどの力があるなんて……!」
今更後悔しても遅ぇよ。小猫ちゃんと木場、そして朱乃さんの分はキッチリと……ん?
ヒュンヒュンッ!
「なっ!?」
突然魔道師の背後から二つの鞭らしき物が現れると同時に、魔道師の両腕に巻き付いた。
鞭の出所に魔道師だけじゃなく、俺も見ると――
「はぁっ、はぁっ……。うふふふ。イッセーくんに気を取られ過ぎてしまいましたわね、『
「い、『雷の巫女』!?」
「朱乃さん……」
両手を使って鞭を出している満身創痍な朱乃さんがいた。
「あ、あなた、あの地雷を受けてまだ……!」
「咄嗟に防御結界を張って辛うじて凌いだのです。それでもかなりのダメージを受けましたが……」
魔道師の爆発を食らった今の朱乃さんは傷だらけでかなり痛々しい姿になってる。服が破けてる事で俺の大好きなおっぱいが片方見えるが、余りの姿に凝視する気なんか微塵も無かった。寧ろ目を背けたい気分だ。
けれど朱乃さんが瀕死でありながらも、こうも必死に魔道師に食らいついてる。その姿に俺は手助けするべきかどうか判断に迷った。
「……イッセーくん、勝手なお願いですが手は出さないでもらえますか? せめてこれだけはケジメを付けさせてください……」
俺に気付いたのか、朱乃さんは必死な表情でコッチを見てこう言ってきた。
「…………分かりました」
「ありがとう、イッセーくん」
俺の返答を聞いた朱乃さんが優しい笑みを浮かべると、魔道師へ視線を向けた途端――
「では………私の全ての魔力を!」
バチバチバチバチバチィッッッッッ!!!
「アアアアアアアアアァァァァァァッッッッ!!」
両腕に巻きついてる鞭から凄まじい電流が流れた。そしてそれをモロに食らった魔道師は痛ましい悲鳴をあげている。
防いだとは言え、俺の
そして電流が流れ終えると、魔道師は余りの痛みに気絶してしまい、そのまま落下していく。だが落ちていく最中に魔道師の姿が消えていき――
『ライザー・フェニックスさまの「
グレイフィアさんのアナウンスが流れた。
これで残るは『
だが――
「はぁっ! はぁっ! ケジメは、付けさせて……あっ……」
「朱乃さん!」
全ての魔力を使いきった朱乃さんが落下していった。俺はすぐに駆けつけ、落下する朱乃さんをお姫様抱っこの要領でキャッチする。
「い、イッセー、くん?」
「全くもう。無茶し過ぎですよ、朱乃さん」
「……申し訳、ありません。あんな大見得を切っておいて、こんな無様な姿を……」
「そんなわけ無いじゃないですか。凄くカッコ良かったですよ」
「………お世辞でも、嬉しいですわ」
お世辞を言った憶えはないんだけどな。多分兄貴も朱乃さんを見て、見事だって褒めてると思う。
「後は俺達に任せて下さい。絶対に勝ちますから」
「……不思議ですわ。その言葉を聞くだけで――」
朱乃さんが言ってる最中、突然消える。
『リアス・グレモリーさまの「
その直後、グレイフィアさんのアナウンスが流れて朱乃さんの退場が決まってしまった。
朱乃さんが話してる最中に消えないで欲しかったんだが。ま、それは後で聞くとしよう。
「………さて」
フッ!
頭を切り替えた俺はレイヴェルの方へと視線を向けた瞬間、超スピードでレイヴェルの間近に現れる。
「ひっ!」
「あとはおまえだけだが、どうする? このまま俺と戦うか?」
俺は怯えた表情をするレイヴェルに気にせず問う。が、向こうは余りにも予想外が事が起きて余裕が無くなってるようだ。さっき俺がやった
「あ、あ……」
「何だ、
「っ! あ、あなたなんか、こ、恐くなんて、あ、ありませんわ!!」
「そう言ってる割には震えながら下がってんじゃねぇか」
口では虚勢を張ってるレイヴェルだが、俺から距離を取ろうと下がっていた。だがしかし、俺は逃がすまいと向こうと同じスピードで浮遊移動をしているから無駄な事だ。
「そ、それ以上来たら、も、燃やし尽くしますわよ!?」
レイヴェルはそう言いながら全身から炎を出して俺を威嚇している。
俺に対する恐怖の所為か、炎の力が中途半端だった。アレで俺を燃やし尽くすのは無理だ。
「ご自由に。出来るもんなら」
「っ!」
威嚇を無視する俺が近づくと、レイヴェルは全身に纏っている炎をコッチに目掛けて撃ってきた。
ゴウッ!!
炎は俺を燃やそうとするが、俺が放出してる
「そ、そんな!」
自分の炎が全く効いてない事に驚愕してるレイヴェル。それでもまだ炎を撃ち続けているが――
「かあっ!」
ドンッ!
「きゃあっ!」
いい加減鬱陶しくなったから、俺が軽く全身に気合を入れて一瞬で炎を消した。それによって、レイヴェルは炎を撃つのを止めて怯む。
「もう分かったろ? お前の炎程度じゃ俺は倒せない。俺に恐怖してる時点でな」
「っ! だ、だれが! あなたみたいな人間如きに恐怖なんか――」
「
「いやぁぁぁぁっ!!」
「何だよ。やっぱ恐がってんじゃねぇか」
「………え?」
「~~~~! だ、騙しましたわね!?」
「おう。まさか泣くほど恐がっていたとは思わなかった。悪い、ちょっと悪ふざけが過ぎた」
「っ! な、な、泣いてなんかいませんわ!!」
聞き捨てならないと言わんばかりな剣幕で俺に抗議してくるレイヴェル。何かコイツ、からかい甲斐があって面白ぇな。
「そうか? んじゃ、その目から流れてる物はなんだ?」
「こ、これは、その……!」
誤魔化そうとするも言葉が浮かべられない様子だった。それでも隠そうと、手を使って拭おうとしている。
「……はぁっ、ったくよぉ」
「なっ!」
一瞬で近づいた事にレイヴェルは驚くが――
「ほら、これで拭け」
「…………へ?」
俺がズボンのポケットから白いハンカチを取り出し、ソレを差し出した事で間の抜けた顔をした。
いくら悪魔だからって、手で目の辺りを擦るのは良くないからな。
「……ど、どういう、つもりですの? わ、私は、あなたの敵、ですのよ?」
「生憎、とっくに戦意喪失してる相手と戦う気なんかねぇよ」
「っ! わ、私はまだ戦意喪失など――」
「それに俺は女の子の涙ってものに弱くて見るに見かねてな。折角の可愛い顔が台無しだぜ?」
「か、かわっ……!」
俺の台詞にレイヴェルは何やら顔を赤らめてる様子。俺、何か変なこと言ったか?
「に、人間が何をふざけたことを……!」
「ふざけてなんかねぇよ。本心を言ったまでだ。ほら、コレやるから早く拭きな。って事で、俺は部長のところに行かせてもらう」
何でか知らないが、部長とアーシアが何故か新校舎にいるんだよな。しかも二人の近くにはライザーの魔力もあって、激突してるような魔力の争いも感じる。多分部長がライザーと戦ってるんだろうな。けれど部長だけじゃライザーに勝つのは難しいから、一刻も早く援護しに行かないと不味い。
「お前がライザーの手助けをするんだったら、それはそれで構わない。そうなったら今度は容赦なく倒させてもらう。まぁ出来れば――」
そう言いながら俺はレイヴェルにハンカチを渡した後、すぐに背を向けて――
「部長ほどじゃないが、おまえみたいな俺好みの可愛い女の子とあんまり戦いたくないがな」
「んなっ!?」
そのまま部長達がいる新校舎へ飛んでいった。
――――――――――
「……なんですの、あの人間は……?」
新校舎へ向かって飛んでいく一誠を見たレイヴェルは呆然としながらそう呟く。
今回のレーティングゲームで彼女は予想外な展開が立て続けに起きて、頭がパニックになっている。
一誠が重い赤シャツを脱いで身軽になり、その途端にドラゴン波を使って一瞬で同じ『
空間全体が揺らぐほどに恐ろしい力を出した直後、イッセーの周囲から途轍もない爆発を出して『
等々の事があり、極め付けには――
「私、どうして……こんなおかしな気分になってますの……?」
ハンカチを渡されて口説れた事により、レイヴェルは自分の心臓がドクンドクンと強く脈打っていた。
「あ、あんな、あんな下等な人間なんかに、どうして、どうして……!」
最初は圧倒的な力を見せた赤龍帝に恐怖していたレイヴェルだったが、今は別の感情が芽吹こうとしている。
それは――
「ありえませんわ! どうしてあの人間の顔を考えるだけでおかしな気持ちになりますの~~~!!!???」
笑顔で口説かれた一誠の顔を想像する事で顔を赤らめてしまうと言う、種族を超えた恋愛感情が少しずつ芽吹き始めていた。
「あのバカ、敵相手に何やってんだよ……」
「ハッハッハッハ。どうやらリアスのライバルが増えたようだねぇ」
当然観戦ルームで見ている隆誠とサーゼクスに筒抜けなのは言うまでもない。
隆誠は一誠の行動に思いっきり呆れ、サーゼクスは面白くとても興味深そうに一誠を見ていた。
因みに――
「むぅ……。もしレイヴェルにその気があるのなら、赤龍帝をフェニックス家の婿養子に迎えることを考えておく必要があるかもしれんな」
今回のレーティングゲームの主催者の一人――フェニックス家当主がそう呟いていた。