ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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今回はリアス側の話です。


第五十四.五話

 イッセーが赤龍帝の怒り(ブーステッド・ギア)を使った辺りまで少し時間を遡る。

 

「うおっ! な、なんだ!?」

 

「「きゃあっ!!」」

 

 新校舎の屋上にいるライザーとリアス、アーシアは運動場から凄まじい爆発音と爆風に襲われていた。

 

 ライザーは顔を守るように片腕で覆いながら体勢を崩すまいと踏ん張っている。リアスは必死に掴んでるアーシアを放すまいと防御結界を張っていた。

 

「あ、あのガキ、一体何をしやがった!?」

 

 爆発の発生源がイッセーだと分かっていたのか、ライザーは防御体勢を取りながらイッセーに対して毒を吐く。

 

 そして漸く爆発と爆風が止み、三人は運動場の方へ視線を向けた途端、そこは更地と化していた。

 

「ば、バカなっ!!」

 

「う、運動場が……」

 

「……な、無くなっちゃってます」

 

 運動場にあった周囲の設備が綺麗さっぱりとなくなっており、新校舎の一部も吹っ飛んでいる。

 

『…………ら、ライザー・フェニックスさまの「騎士(ナイト)」二名、「戦車(ルーク)」一名、リタイヤ』

 

 余りの惨状に絶句している三人だったが、途端にグレイフィアからのアナウンスが流れた。それを聞いたライザーが信じれらない顔をする。

 

「くっ! やってくれたな、あのガキ……!」

 

 忌々しいと言わんばかりに歯軋りするライザー。ここまで予想外な展開になるとは思わなかった事に、さすがのライザーも苛立ちを隠せない様子。

 

 リアスもリアスで、一誠がかなりの実力を持っている事に驚いていた。強いのは知ってはいたが、自分の惚れた男がここまで実力差があったとは思いもしなかったようだ。

 

 そして更に両者からにとっての凶報が入る。

 

 それは――

 

『ライザー・フェニックスさまの「女王(クイーン)」、リタイヤ』

 

「何だと!?」

 

 ユーベルーナの敗退の直後――

 

『リアス・グレモリーさまの「女王(クイーン)」、リタイヤ』

 

「朱乃っ!?」

 

 朱乃の敗退によるアナウンスだった。

 

 二人の『女王(クイーン)』がさっきの爆発によって力尽きたか、もしくは相打ちとなったかは二人に分からない。

 

 けれど今言えるのは、この状況でライザー側はライザーと『僧侶(ビショップ)』のレイヴェルのみ。対するリアス側はリアスとアーシア、そしてイッセー。

 

 数だけならばリアス側が有利な立場となっている。最初は圧倒的に不利な状況から完全に一変した。

 

「ちっ! まさかあのユーベルーナまでやられるとは……っ!」

 

 自慢の『女王(クイーン)』も敗退するのはライザーにとって完全に誤算だった。リアスの眷族達がここまで自分達を追い込んでくる事にも。

 

 目の敵のように運動場を睨みつけているライザーに、リアスはいつまでも呆けている訳にはいかないと思いながら告げようとする。

 

「ライザー、私の可愛い下僕たちとイッセーを甘く見すぎたようね! 降参するなら今のうちよ!?」

 

 相手を牽制しようとするリアスだったが――

 

「………はぁっ。もう止めだ」

 

「え?」

 

 急にライザーが溜息を吐きながらそう言った事に不可解な表情をした。そしてライザーは何かを諦めたかのようにリアスの方へと視線を向ける。

 

「本当ならもう少し遊んでやろうと思ったが、そろそろリアスに現実を教えてやるよ」

 

「それはどういうことかしら、ライザー?」

 

「そんなの分かるだろ? 答えは……こう言うことだ!!」

 

「「っ!?」」

 

 突然ライザーが手から炎の塊を出してリアスとアーシアに飛ばしてきた。それを見たリアスは躱すようにすぐ屋上に着地する。

 

「随分なご挨拶ね」

 

「リアス、悪いがすぐにケリをつけさせてもらう」

 

「そう。私を倒すってことは相当焦っていると思っていいのかしら?」

 

「まさか。単にもうお遊びに付き合う気が無くなっただけだ。このゲームの後には結婚式が控えてるからな」

 

 自分の勝利は揺るがないように言ってくるライザーに、リアスは顔を顰めた。そんなリアスの様子を気にすることなく、ライザーは再度炎を出そうとする。

 

「それにもう充分に味わっただろ? 束の間の優越感ってやつを、な!」

 

「アーシア! 私から離れて!!」

 

 リアスはそう言ってアーシアを引き離すと、すぐに全身から紅い魔力を迸らせた。自分に向かってくるライザーの炎を即座に防御結界で防ぐ。

 

 その後、お返しと言わんばかりに魔法陣を展開し、『滅びの力』が含んだ魔力弾をライザーに向けて放つ。

 

「っ!」

 

 すぐに迎撃される事を予想してなかったのか、ライザーは驚愕しながらリアスの『滅びの力』を受けて右腕が消滅した。

 

 だがそれは束の間だった。消滅したライザーの右腕は巻き戻しをするかのように再生され、何事も無かったかのような状態となる。

 

「へぇ。あの咄嗟に迎撃するとはやるじゃないか、リアス」

 

「それはどうも!」

 

 ライザーの賞賛を余所に、リアスは再度『滅びの力』を展開した。今度はさっきと違って放たれるのには若干間があり、凝縮されたと思われる複数の魔力弾がライザーに襲い掛かる。

 

「ちっ!」

 

 凝縮された魔力弾となってる『滅びの力』を見たライザーは流石に不味いと感じたのか、受けようとはせずに背中から炎の翼を展開して飛んで回避した。

 

 そして魔力弾はそのまま新校舎屋上の出入り口に激突する。その直後には爆発が発生して、屋上の出入り口は跡形も無く消滅した。

 

「おいおい、随分と物騒なものとなったな。リアス、これがキミの修行の成果か?」

 

「この程度で驚くのはまだ早いわ!」

 

 再び『滅びの力』を使おうと魔法陣を展開し、少し間がありながらも魔力弾が放たれる。

 

(中々やるな。どうやらリアスの方も相当力を付けたようだな)

 

 攻撃を避けながらも、ライザーはリアスに対する評価を改めた。たった十日程度の修行期間で、リアスがここまで『滅びの力』をある程度使いこなせている事に。

 

 ライザーが知っている情報では、『滅びの力』を使えるとは言っても、まだまだ未熟な火遊び程度のものだった。いくら『滅びの力』の威力が高くても本人の技量が未熟であれば、不死を備わってるライザーからすれば恐れるに足らなかった。攻撃を受けてもすぐに再生出来ると思っているから。

 

 だが今は違った。先程から放っているリアスの『滅びの力』は情報とは違い、凝縮された物となって放たれ、攻撃力が格段と上がっている。しかも凝縮されてることで爆発も兼ねているから、ライザーと言えど少々厄介だった。凝縮されてる爆発付きの『滅びの力』を受ければ、消滅した部分を再生させるのに少しばかり時間が掛かる。何度も食らってしまえば、いかに不死のライザーでも再生に支障がきたしてしまう。それ故にライザーは回避しながら炎で反撃するが、リアスは攻撃だけじゃなく防御結界もそれなりに固く少々梃子摺っていた。

 

(確かにリアスの実力は上がった。まぁそれでも、俺に勝つのはまだ無理だな)

 

 しかし、それでもライザーはまだ余裕な表情をしている。

 

 リアスが攻撃に移って『滅びの力』を展開する瞬間、ライザーはすぐさま炎を放つ。

 

「くっ!」

 

 ライザーからの攻撃に、リアスは攻撃を中断してすぐに防御に回った。その行動を見たライザーは笑みを深める。

 

「クククッ。リアス、随分と腕を上げたようだが、まだまだ青いな。キミは『滅びの力』を凝縮して撃つ際、少しばかり溜めが入ってしまう。そこさえ突けばどうってことはない」

 

「……さあ、それはどうかしら?」

 

 強気に言い返すリアスだったが、内心当てられた事に舌打ちをする。

 

 リアスは隆誠からの修行で、『滅びの力』の攻撃力を高める為に凝縮させる事に成功はしていた。だが、それを行う溜めの短縮までは出来ず、凝縮する際は溜めが無ければ撃てないのが現状だった。

 

 いかにリアスが才能があるとは言っても、扱いが難しい『滅びの力』を使いこなすにはまだまだ時間が必要だった。勿論それは隆誠も承知の上により、今回の短い修行期間では敢えて力の凝縮までしか教えてない。

 

(やはりライザーを倒すには、アレを使うしか……)

 

 そう思ってるリアスだったが、すぐに行動を移す事はしなかった。

 

 そんなリアスの心情を知らないライザーは、すぐに炎を放とうとする。今度はさっきまでの炎の塊と違って、魔力波のような炎だった。

 

「ぐぅっ!」

 

「リアス、投了(リザイン)するんだ。キミの弱点が分かった以上、もう俺に勝ち目はない。早くしないと後悔することになるぞ?」

 

 棄権を勧めようとするライザーの発言に、リアスは防御結界を張りながらも睨む。

 

「ふざけないで、ライザー。私はまだ諦めてないわ! 弱点が分かっただけで、もう勝った気にならないで!」

 

「そうか。なら仕方ないな」

 

 ライザーはリアスに炎を放ちながらも、避難しているアーシアへと視線を向ける。

 

「あっ……」

 

「確か情報だと『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』と言う回復系の神器を持っていたな」

 

「っ! ライザー、あなたまさか……!」

 

「とりあえず、回復は封じさせてもらうとしよう。その子がいるから君は今でも強気になっているんだろう?」

 

「アーシア! すぐにその場から逃げて!」

 

 狙いを定めてるライザーにリアスは逃げるよう指示する。

 

「で、でも、それだと部長さんが……」

 

「私のことはいいから! あなたにもしもの事があったら私はイッセーに顔向け出来ないわ! 早く!」

 

「残念だが、そうはさせん!」

 

 逃亡を阻止しようと、ライザーはもう片方の手で炎の玉を形成し、そのままアーシアに向けて放つ。

 

「あっ!」

 

「アーシア!」

 

 リアスは駆けつけようとしても、目の前にはライザーから放たれてる炎を防いでいるから叶わなかった。

 

「すみません、イッセーさん……」

 

 自分に向かってくる炎の玉を見たアーシアは、もう無理だと諦めてそのまま目を閉じると――

 

 

 ギュンッ!

 

 

「やらせねぇよ!!」

 

「え?」

 

 

 パァンッ!

 

 

 突如何かを猛スピードで横切るように自分の目の前に現れた何かが、ライザーが放った炎の玉を弾き飛ばした。

 

「無事か、アーシア!?」

 

「い、イッセー、さん……?」

 

 自分を案じるように問いかけてくる赤い闘気(オーラ)を纏っている一誠に、アーシアは呆然としていた。

 

「い、イッセー!?」

 

「貴様!」

 

 一誠が突然現れた事により、リアスとライザーは予想外と言うように驚いていた。

 

「おいテメェ! アーシアだけじゃなく、部長にまで何してやがんだぁ!!」

 

「ちぃっ!」

 

 一誠が片手から放った赤いエネルギー波を見たライザーは、リアスへの攻撃を止めて回避する。

 

 そしてソレはそのまま飛んでいき、空間の壁に激突すると――

 

 

 ドガァァンッ!! ピシピシッ!

 

 

「な、何だと!?」 

 

 爆発しただけじゃなく、空間に亀裂が入った。

 

 その現象を見たライザーは驚愕する。しかし一誠はそんな事を気にしてない様にライザーを睨んでいた。

 

「随分と面白ぇことしてたようだな、ライザー」

 

 そう言いながら一誠はリアスの前に立ち――

 

「俺の大事な女を傷付けようとした分、きっちりテメェに返してやるよ!!」

 

「っ! だ、だ、大事な女……!?」

 

「はうっ! い、い、イッセーさん、そ、それって……!」

 

 全く自覚してない発言をした事により、リアスとアーシアは戦闘中にも拘らず顔を真っ赤にした。

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