ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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番外編Ⅱ 前編

 ライザーとの『レーティングゲーム』から数日。

 

 自殺したいほど羞恥心に駆られていたイッセーが漸く立ち直り、再びいつも通りの生活に戻った。

 

 とは言え兵藤家には現在、アーシアの他にリアスも同居しているから、いつも通りの生活とは言い難い。何しろ普通の一般家庭の家にアイドル級の美少女二人が同居しているからな。

 

 リアスが矢鱈とイッセーにアプローチをしており、それを見たアーシアが対抗する様にリアスと同じくイッセーにアプローチしていると言う生活が続いている。美少女二人に振り回されてるイッセーは満更でもない様子だ。

 

 毎回ソレを目撃している父さんや母さんは『孫が出来るのは時間の問題』とか言ってイッセーを優しく見守っており、俺は俺で青春してるなぁって面白そうに見ていた。

 

 けれど、家だけでなく学園生活でも変化は訪れていた。

 

 それは――

 

「おい兵藤! お前んとこのエロ弟が最近リアスさんと一緒に登下校する事が多くねぇか!?」

 

(あまつさ)え! 腕を組んで歩いていると言う噂まであるぞ! 是政(これまさ)に言語道断だ!!」

 

「どう言うこと!? どうしてリアスさまがあんなケダモノといつも一緒にいるの!?」

 

 イッセーがリアスと一緒にいる事により、男女問わず俺のクラスメイト達や他のクラスの連中が猛抗議するように詰問してた。それもほぼ毎日。言うまでも無くすっごい鬱陶しい。

 

 まぁコイツ等がこうなるのは無理もない。我が学園のトップアイドルであるリアス・グレモリーが、変態三人組筆頭であるイッセーと仲睦まじく登下校していること自体、駒王学園にとって大事件にも等しい事だからな。

 

 加えて美少女転校生のアーシアもイッセーと一緒に登下校してる。リアスも含まれた事により、男子からは果てしない嫉妬と怨嗟の声が、女子からは悪夢と言わんばかりに慟哭する奴もいた。それだけイッセーの評価が物凄く低いって事を改めて認識したよ。

 

「落ち着けよ、お前等。ってか何回説明すれば気が済むんだ? 噂の真意がどうであれ、俺達がどうこう言える立場じゃないだろう」

 

 俺は適当に誤魔化して連中を納得させているんだが、リアスがイッセーと一緒にいる事で再び詰問してくる始末だ。正直いい加減にして欲しい。

 

 しかし、今回ばかりは流石に俺の口から真実が言えなかった。

 

 もしこの場で『リアスはちょっとした事情でイッセーと同居している』なんて言った瞬間、イッセーだけでなく俺まで要らんとばっちりを食う事になる。一応俺もリアスと同居してる身だからな。これ以上面倒な事は避けたい。

 

「そうは言うがな、兵藤」

 

「俺たちとしてはお前のエロ弟がリアスさんと一緒にいること自体受け入れられないんだ……!」

 

「こんな理不尽を認めたら俺の頭が壊れちまう……!」

 

「もしあのケダモノがリアスさまの綺麗なお身体を穢したら……私はショックで寝込んでしまうわ」

 

「お前等な……」

 

 本当はリアスがイッセーに心底惚れて、アイツが勝手にアプローチしてるだけなんだが……。まぁそう言ったところで信用出来そうにないか。今のコイツ等に真実を言っても『絶対嘘だ! そんな事は断じてあり得ない!!』って言い返すだろうし。

 

 取り敢えず目の前のコイツ等をどうにか宥めようと、俺はまたいつもと同じく誤魔化す事にした。

 

 あ、そう言えば今日も放課後に補習だったな。俺がリアスと朱乃の三人だけで補習してるから、クラスメイトが物凄く鬱陶しいんだよなぁ。俺の代わりに補習を受けてやるとか、一緒に補習を受けさせろとか言ってくるから。

 

 

 

――――――――――

 

 

 放課後。補習が終わった俺達オカルト研究部員はある場所へ来ていた。

 

「なぁリアス、本当に使い魔を持たせて良いのか? 使い魔は本来、悪魔が持つ筈なんだが」

 

「ええ。イッセーとアーシアは人間でも私の眷族なのだから、使い魔は持たせないとね」

 

 俺の問いに頷きながら答えるリアス。

 

 使い魔とは、悪魔にとって手足となる使役すべき存在。主の手伝いや情報伝達、そして追跡にも使える。現代風で言えば秘書みたいな存在だ。

 

 因みにリアスの使い魔は紅い色のコウモリで、朱乃は手乗りサイズの愛嬌ある小鬼、小猫は白い子猫、祐斗は小鳥だ。

 

 そう言ったのをイッセーとアーシアに持たせる為、俺達は使い魔が生息している使い魔の森へと来ている訳だ。

 

 けれどさっき俺が言ったように、使い魔は悪魔が持つべきもの。いくらイッセーやアーシアが眷族候補とは言え、人間が使い魔を持たせるのは色々と不味いと俺は思うんだが。

 

「大丈夫よ。二人が使い魔を持たせる事はお兄さまから許可を貰ってるわ。『レーティングゲーム』で活躍した二人には、是非とも使い魔を持たせるべきだって言ってたし」

 

「……まぁ、魔王様がOK出すなら」

 

 サーゼクスめ。イッセーとアーシアを悪魔側へ引き入れる為に色々と手を打ってるようだな。特に赤龍帝であるイッセーを。

 

 尤も、それはサーゼクスに限った話だけじゃなく、グレモリー卿やフェニックス卿にも言える事だけど。あの二人は何としてもイッセーを自分の家の婿にしようとしてるからな。グレモリー卿はリアスの婿に、フェニックス卿はレイヴェルの婿に、ってな感じで。

 

 元はと言えばイッセーが無意識に二人を口説いたのが原因だから、兄の俺は二人の行動を強く咎めれない。もし相手の意思を無視した結婚だったら話は別で、俺が即座に阻止させて貰うが。

 

 まぁそれはさておき、魔王サーゼクスが許可を出したなら、イッセーとアーシアが使い魔を持つことに今後何か面倒な事が起きても大丈夫だろう。もしそうなれば、許可を出したサーゼクスが何とかするだろう。アイツとて、それ位の責任は取る筈だ。

 

 そして肝心の二人は――

 

「こんなに暗いのか。兄貴が術を使ってくれなかったら、全然見えなかったな」

 

「ちょ、ちょっと不気味ですね。イッセーさん、手を繋いでも良いですか?」

 

 初めて来る使い魔の森の暗さに戸惑い気味だった。

 

 確かに此処は人間の俺達にとっては凄く暗い。やたらと背の高い巨木が周囲に生えているから、日の光は全然届いてない。暗闇の中でも目が利く悪魔なら問題ないが、人間の俺達にとっては歩きにくい。

 

 けれどそこは大丈夫。イッセーとアーシアには俺が前以て対暗闇用の術式を施しておいたので、二人の視界は悪魔のリアス達と同じく普通に見れる。

 

 因みにアーシアがイッセーと手を繋いでる事に、リアスがちょっとばかり面白く無さそうな顔をしてる。本日はアーシアがちょっぴり優位だな。

 

 リアスの可愛らしい嫉妬に俺が面白げに見てると、前方から誰かが近づいて来た。

 

「ゲットだぜ!」

 

「きゃっ!」

 

 突然の大声にアーシアは驚いて、身体が飛び上がった。その後すぐにイッセーの後ろに隠れる。

 

 目の前に現れたのは、帽子を深く被り、ラフな格好をした悪魔の青年だった。

 

「アンタがこの森の案内人か。確かマサ○タ○ンのサ○シって言うポ○モンマスターを目指してる悪魔だそうだな」

 

「ちげぇ! 俺はマダラタウンのザトゥージで、使い魔マスターを目指して修行中の悪魔だ! 会って早々に失礼な兄ちゃんだな!」

 

「ちょっとリューセー、私が教えた名前とは全然違うわよ」

 

 憤慨してるザトゥージにリアスが俺を注意する。

 

 全然違うって言うけどさぁ。だって目の前にいるこの悪魔はどう見ても、現在アニメで放映してる某テレビアニメのパクリキャラにしか見えないんだが。イッセーもイッセーで俺の考えを同調するようにウンウンと頷いてるし。

 

 まぁ、失礼な事を言ったのは変わりないから謝るとしよう。

 

「これは失礼しました、ザトゥージさん」

 

「ったく、もう間違えないでくれよ兄ちゃん。んで、兄ちゃんがグレモリーさんの紹介で来た男子かい?」

 

 俺の謝罪にザトゥージはすぐに受け入れると、早速本題に入ろうとする。

 

「違うわ、ザトゥージさん。彼じゃなくて、この子たちよ」

 

 と、リアスがイッセーとアーシアをザトゥージに紹介する。

 

「へぇ。そこの兄ちゃんと違って冴えない顔の男子と金髪の美少女さんか。OK! 任せろ! 俺にかかればどんな使い魔もゲットだぜ!」

 

「冴えない顔で悪かったな!」

 

 随分と「ゲット」と強く発するな、この悪魔さんは。あとさり気なくイッセーに失礼な事を言ってるし。

 

 リアスの話だとザトゥージは使い魔に関してのプロフェッショナルとは聞いていたが、大丈夫なんだろうか。

 

 俺の疑問を余所に、ザトゥージがフレンドリーに言ってくる。

 

「さて、一体どんな使い魔がご所望かな? 強いの? 速いの? それとも毒持ちとか?」

 

 イッセーが使い魔を持つなら、俺としては戦闘系じゃなくて支援系がオススメだと思う。

 

 まぁイッセーにそんな考えは持ってないだろう。コイツとしては――

 

「ん~、俺としては可愛い使い魔とかいいっスね。特に女の子系とか」

 

 スケベ目的の為に自分好みの使い魔を持とうとしてるからな。

 

 そんなイッセーの要望に、ザトゥージは途端に不機嫌な表情で舌打ちする。

 

「これだから素人は困る。いいか? 使い魔ってのは有用で強いのをゲットしてナンボだぜぃ。即ち個体の能力を把握して且つ自分の特性を補うような――」

 

 何か急に独自の理論を語り始めたな。イッセーがウザそうな顔してるし。

 

「あの、私もかわいい使い魔が欲しいです」

 

 と、アーシアがイッセーの背中から顔を覗かせて言った途端――

 

「うん、わかったよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 さっきまで持論を止めて、アーシアに向かってだらしない顔をしながら即返事をする。

 

「……なぁ兄貴、あの悪魔を消し飛ばして良いよな?」

 

「気持ちは分からんでもないが、取り敢えずドラゴン波を撃つのは止めろ」

 

 少しキレ気味になってるイッセーを俺が宥める事となった。

 

 俺も俺で、この悪魔は本当に使い魔のプロフェッショナルなのかどうか疑問を抱いているが。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 イッセーとアーシアの要望に応えようと、ザトゥージは俺達をある精霊がいる泉へと案内する。

 

「この泉には水の精霊『ウンディーネ』が住み着いているんだぜ」

 

 眼前に広がる透明度の高い泉だった。光り輝き、いかにも神聖な泉と呼ぶに相応しい。

 

「おおっ、水の精霊! これは期待出来そうだ!」

 

 イッセーが物凄く嬉しそうな顔をする。まぁそれは当然の反応とも言って良いだろう。

 

 水の精霊であるウンディーネは清い心と美しい姿を併せ持った乙女の姿をしている……筈なんだよなぁ。

 

 この場でウンディーネの真実を言った方が良いんだが、期待感が最高潮に高まってスケベな妄想をしてるイッセーに教えたらどうなる事やら。

 

「おっ、泉が輝きだした。ウンディーネが姿を現すぜ」

 

「っ!」

 

 ザトゥージが言った途端、イッセーは即座に泉が輝いてる箇所を瞬きせずに凝視する。

 

 泉から現れたのは、光り輝く水色の髪と透明な羽衣を身に纏った巨躯の存在。

 

 凄まじく太い上腕に太い足、鉄板を仕込んだようにも思える分厚い胸板、極め付けは顔が歴戦の戦士の如く傷だらけだった。

 

 と言うかもう、ぶっちゃけローズさんやミルたんのような存在と言ってもおかしくないだろう。

 

「………………え? あ、あれ? へ、変だな。俺の目がおかしくなっちまったか?」

 

 ウンディーネの姿を見たイッセーは現実逃避をするように何度も何度も目を擦る。

 

「な、なぁ兄貴、悪いけど俺にかけてる術を解いてくれねぇか?」

 

「解いたところで変わらん。あれがウンディーネだ」

 

「…………嘘だぁぁぁぁぁ~~~~!!!!!」

 

 まるでこの世の終わりのように両手で頭を押さえながら悲鳴をあげるイッセー。多分、さっきまで抱いていた幻想が一気に崩壊してるんだろう。

 

 それにしてもウンディーネがあそこまで変わっていたとは。聖書の神(わたし)が生きていた頃はイッセーが抱いてた幻想のような姿だったんだが……これも時代の流れと言うやつか。

 

「頼む兄貴! 嘘だと言ってくれ!! アレはどう見ても水浴びにきた修行中の格闘家だろ!? いや、アレはもしかしたら変装したオカマのローズさんだ! あの筋骨隆々な肉体をしてるのはローズさんしかいない!」

 

「イッセー、此処にローズさんはいない。ってか、いい加減現実を受け入れろ」

 

 確かにローズさんと同じく筋骨隆々な肉体をしてるが、それでもアレはウンディーネである事に変わりない。

 

 因みにリアス達は俺とイッセーの会話で『ローズって誰?』みたいな顔をしてる。そこは気にしないでくれ。

 

 そんな中、ザトゥージはウンディーネについて説明しようとする。

 

「運が良いぜ、少年。アレは中々レア度が高い。打撃力に秀でた水の精霊も悪くないぜ」

 

 説明を聞いたイッセーは即座にザトゥージをキッと睨む。

 

「悪いわ! 何だよアレは!? 癒し系じゃなくて殺し系じゃねぇか! 打撃力の高い癒し系の精霊なんていらないんだよ、俺は!」

 

 無念の涙を流しながら慟哭するイッセー。ご愁傷様としか言いようがないな。

 

「でも、アレは少年が望んでいた女性型だぜ?」

 

「最も知りたくない事実でした!! おおおおおおおおっっ!!」

 

 完全に幻想が砕かれてしまったのか、イッセーは次に顔を手で覆いながら号泣した。

 

「でもまぁ、案外あのウンディーネを使い魔にするのは悪くないかもな。イッセーの今後の修行相手として――」

 

「止めて兄貴!! んな事したら俺は即行で龍帝拳使って最大出力のドラゴン波で消滅させるから!!」

 

 そこまでするかよ、おい。まぁ確かに今のコイツは本気でウンディーネを全力で殺しそうだから止めておくか。

 

「でもあの子、清い瞳をしています。きっと心の清らかな女の子に違いありませんね」

 

「あのねアーシア、頼むからアレを女の子と呼ばないで」

 

 アーシアは事実を受け入れてるってのに、このバカはまだ受け入れられないか。本当にしょうがない奴だ。

 

「あ、もう一体のウンディーネが現れましたわ」

 

 朱乃がそう言った途端、イッセーは今度こそと言うような感じで期待の眼差しを向けるも――

 

 

『ふんがぁぁぁぁ~~~~!!』

 

 

 さっきと全く変わらない筋骨隆々なウンディーネだった。

 

「うぅ、うおおおおおおおおん………」

 

「い、イッセーくん。そんなに嗚咽を漏らすほどなのかい?」

 

「あのなぁ木場ぁぁぁ、お前には分かんないだろうがなぁぁ。俺は、俺はファンタジーに夢を見ていた。幻想的な美を求めていた。なのに……何で俺はあんな総合格闘技の登場シーンみたいなものを見なけりゃいけないんだっ!! 嫌いだっ! ファンタジーなんか大嫌いだ!! なぁ神様! もし此処にいたらあのウンディーネを俺が求めてた姿にしてくれ!!」

 

「い、イッセーさん。主にそのようなお願いをしても多分困ると思いますよ?」

 

 ハハハ~。アーシアの言うとおりだよ、イッセー。残念ながらそれは無理だ。いくら聖書の神(わたし)でもそこまで面倒は見きれんから。

 

 すると――

 

 

 ゴッ! ドゴッ! バゴッ!

 

 

 二体のウンディーネがいつの間にか壮絶な殴り合いを演じ始めていた。

 

 神聖な雰囲気を醸し出していた精霊の泉から、最早闘技場となっている。

 

 因みにこの光景を見たイッセーは、もう完全に打ちのめされてるようにKO状態となっていた。




本当でしたらギャグ要員としてオカマのローズを出そうかと思ってましたが、話の都合上出せませんでした。
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