The Black α&White Ω   作:オパール

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IS熱が何故か今になって再加速
思い出補正と言われればそれまでだけど、でも円盤や原作見直してみたらやっぱり面白かったので

そしてサイバースルゥースは良作だった


Stand by Ready ~準備は整った~
序章:1


幾何学的な紋様が走る世界を、白と黒が塗りつぶしていく

白の騎士は左腕から伸びた紅蓮の大剣を振るい、黒の隠士は右手に握った巨大な斧剣でそれを受け流していく

 

「くっ……『アルファモン』!」

「まだ迷っているか、『オメガモン』」

「当然だ、かつて共に戦った者と、何故このような!」

「言っただろう、私は、私の為すべきを為すべきだけだと」

「だが……!」

「人間が愚かなだけでないことは私もわかっている。だが、だからこそ!」

「ぐっ!?」

 

黒──アルファモンがその手の剣、「究極戦刃王竜剣」の一閃で白──オメガモンを弾き飛ばす

返しに放たれたオメガモンの右腕の砲撃は、アルファモンのマントを掠めるまでに留まった

 

「……私は往かねばならない。改めて、真実を見極める」

「アルファモン!」

「止めたいと言うならば、お前も来い。そうすれば……」

 

そう言い、背を向けるアルファモン

オメガモンは、その背に大砲を構え……そして、撃たなかった

 

「……わかっている。私も、このまま見過ごすつもりは……」

「……ならば」

「だが、それでもお前のやり方を認めるつもりもない!」

「では往くとするぞ。寄り代になら困らんからな」

 

言って、アルファモンが手をかざす

その先に現れた深緑の魔法陣、その更に先に、巨大な亀裂が現れた

 

「……私は先に往く」

 

アルファモンの背部のスラスター、光の翼が煌めき、青いマントを羽ばたかせ、その姿は亀裂の向こうに消えていった

 

「……止めてみせる、この命に代えても……!」

 

それに少し遅れ、赤きマントを翻しながら白き聖騎士もまた、その姿を消した

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

Infinite Strats(インフィニット・ストラトス)、通称をIS

ある一人の天才科学者が開発、発表した新世代のパワードスーツ

現行兵器の全てを鉄屑へと貶めたそれは、宇宙空間での活動という本来の意義を離れ、戦争に利用されることを恐れた各国により、競技用の道具へと姿を大きく変えていた

だが、それでもその力は大きく、それを利用したテロや破壊活動も活発に行われているのもまた現実にある

 

そして、ISには「女性にしか扱えない」という決定的な欠陥がある

 

これにより世界中で「ISを使えない男など無価値」という風潮が蔓延、それが人類の共通認識となってしまった

 

──「ISを起動した男」織斑一夏が現れるまでは

 

──そして、ISを本来在るべき形に戻そうと願いながら、諦めの中で叶わぬ夢に足掻く男が、一つの出会いを果たすまでは

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

アメリカ合衆国、ワシントンDC

その都市中心部から外れた場所にそびえ立つ、一つの巨大な研究所(ラボ)

「オーランド・ラボ」と記されたそこに、着崩したスーツを纏った一人の男と、白衣の男、それを囲むように多くの女性が立っていた

 

「ほう、これがオーランドの新型ですか」

「ええ。と言っても、完成にはまだ数日を要しますが、起動だけならば可能です」

「相変わらず素晴らしいですわ、博士。貴方たちの手腕は。流石は我らステイツの誇る、ISの開発、研究機関です」

「恐縮です」

「して、この機体の名は?」

「暫定ではありますが、「ラプター」と」

「今は廃れましたが、かつて栄華を誇った戦闘機(ファイター)。まさしく時代を先取る機体にピッタリね」

「……感謝しています。男である我々親子を、こうしてISに深く関わらせて頂けたことを」

「気にすることはありませんわ。貴方の奥様やお父様には、我々もお世話になりましたし、何より実力も才能もおありなのに、それを無駄にするなど愚の骨頂ですから」

「……ありがとうございます」

「いいえ」

 

「親父、向こうのはどうする?」

 

「っと、では、そろそろ」

「ええ。これからも期待していますわ。……それで、あちらが?」

「はい。息子の、クリスです」

 

言って、白衣の男性がスーツの男を手招きする

 

「クリス、挨拶を」

「わかった。……クリス・オーランドです」

「まぁ、わざわざご丁寧に」

「このラボが存続しているのも、偏に皆様のおかげだと伺っておりますので」

「ここにはアメリカその物が期待していますからね。支援は当然です」

「そうですか。では、自分は作業の続きがありますので、これで」

「あら、それは邪魔をしたわね」

「いえ。失礼します」

 

「……申し訳ありません。あいつは少々気難しいところが……」

「多少若くても才能があるのでしょう?別に気にしていないわ」

「……助かります」

「いいのよ。それではね」

 

言って、女性達は次々とその場から去っていった

 

「……女狐どもが」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「………」

 

薄暗い工房と思しき部屋の中

そこに、スーツから着替えたクリス・オーランドの姿があった

 

「……IS」

 

ぽつりと呟いて、その装甲に触れる

ひんやりとした金属の感触と、何かが流れる感覚が掌から伝わっていく

 

「……お前たちは、何がしたい?どうありたいんだ?」

 

答えは無い

今触れているものと、その隣にもう一機、だが、物言わぬ兵器には答える術がない

 

「……だめ、か」

 

嘆息と共に立ち上がる

そこへ、通信が入ってきた

 

「親父?」

『おう、どうだ、ラプターと「ガール」の様子は』

「どうもねぇよ。万事オッケー、異常無しだ」

『そうかい』

「ああ」

『……まだ、「聴こえない」か』

「……もう諦めてる。期待してねぇよ」

『……そうか。それで、だ。早速で悪いが頼みが……』

 

 

 

瞬間、爆音と振動がラボを襲った

 

「!?」

『なんだぁ!?』

『主任!!』

『どうした!』

『カメラに映りました!見たことのないISが!』

『ISだぁ!?何だってここに!』

『わかりません、恐らく、ラプターかガール、もしくはその両方を……』

『ちっ、クリス!お前はそこを守れ!』

「えっ」

『隔壁閉じて、籠もってろ!軍が来るまでそこだけは死守しとけ!』

「でも、親父……!」

『いいな!!』

 

通信が切れる

何度かけ直しても、繋がることは無かった

 

「Shit!籠もってろって、相手はISなんだぞ!」

 

愚痴りつつも、室内の施錠、封鎖を行っていくクリス

それを終えると、再び二機のISに向き直る

 

「……」

 

無言で見つめる先には、完成間近のラプターと、ガールと名付けられたまだまだ未完成のIS

 

「なんだって、こんな……」

 

クリスの胸中に怒りが沸いてくる

本来なら、このような破壊活動に使うべきではないものをこんなことに利用する者に

恐らくは、私欲のために次世代を担うISを奪う、または破壊しようとする者に

 

そして、それでも尚、何もできない、諦めて受け入れて流されるしかない、無力な自分自身に

 

「……せめて、聴かせてくれ。お前たちは……」

 

その問いにも、誰も何も答えない

聞こえてくるのは、徐々に近付いてくる破壊と死の音だけだった

 

そして

 

「ぐっ!?」

 

隔壁、部屋の壁が破壊され、そこから一つの人影が現れた

 

「……っ!?」

 

黒と金、その神々しいまでの輝きがクリスの目に飛び込む

 

(これ、ISなのか……?)

 

それは、ISと呼ぶには余りにも人間的すぎだった

全身を覆う黒と金の、重厚な鎧とも呼べる装甲

背部に伸びた巨大なスラスター

何よりも、本来は必要ないであろう、その長大な青いマント

それ以外に余分なものは一切無い、彫像のような、完成された美しさだった

 

「……お前、誰だ?」

『………』

 

問いには答えず、ただその右手をかざす

 

「っ!?」

 

現れた深緑の魔法陣、そこから、無数の閃光が放たれた

 

「うあっ!」

 

それは壁や天井、部屋のあらゆるものを破壊し尽くし

 

残ったのは、クリスと一機のIS───未完成の、ガールだけだった

 

「……狙いは、ガールなのか……」

『……オメガモン』

 

その漆黒は呟く

そして、右手に白く煌めく、薄透明な剣が現れた

 

(オメガ、モン?)

『どけ』

 

瞬間

漆黒の蹴りがクリスの胴を薙いだ

 

「はっ……!!」

 

宙を舞ったその身体は、瓦礫を飛び越え残された壁へと叩きつけられる

 

「が、う……」

 

肋骨が折れたのか、その口から鮮血が滴り落ちる

その間にも、漆黒は一歩ずつガールへと近づいていく

 

「この……!」

 

何故、こんなことをするのか

何故、あの未完成品を狙うのか

何故、ここまでするのか

 

何故、ISをこんなことに使うのか

 

「ふざげんじゃ……ね゛ぇぇぇぇぇっ!!」

 

その場から飛び出し、脇にあったコンソールを操作

クレーンが動きだし、それが漆黒を弾き飛ばす

 

『っ……!』

 

さすがにそれには耐えられなかったのか、大きく吹き飛ばされた漆黒は施設の外へと消えていった

 

「はぁっ、はぁっ」

 

咳込み、血を吐き出しながらもガールへと近づくクリス

その足下に辿り着くと、その装甲に拳を叩きつけながら叫び出す

 

「……お前、お前っ!お前を狙って、こんなこと!お前みたいな未完成を狙って!オメガモンって何だよ!お前にいったい何があるってんだ!!」

 

それは八つ当たりに近い罵倒

拳の皮膚が裂け、血が流れても尚続く

 

それは、これまで溜めた怒りや鬱憤を晴らす、ただの八つ当たり

 

「お前等みたいな奴が、世界を変えたからこんなことになった!お前らを道具としか見ない奴らが、お前らを利用して!それで……!」

 

背後に、漆黒の気配

が、それに構わずクリスは言葉を紡ぎ続ける

 

「……哀しいよな」

『……?』

「こんなことのために生まれたわけじゃないのに、身勝手な奴らの欲望の食い物にされて、こんな目にあって」

 

殴り続ける腕は止まり、叫びは嗚咽となり、零れるものは血から涙へと変わっていた

 

「……なぁ、教えてくれ。お前たちはどうしたいんだ?俺達人間と、どうありたいんだ?」

 

その手を触れながら、クリスは語りかける

優しく、静かに

 

「……少なくとも、俺はお前たちと共にありたい。もっとお前たちを知って、共に進みたい」

 

「お前たちを、宇宙に往かせてやりたい」

 

『……』

 

無言のままだった漆黒が、その手の剣をゆっくりと振りかぶる

 

「……だからっ!俺も、お前もこんなところで終われない!終わっちゃだめなんだよ!」

 

「俺にはお前は使えない!でも、お前を本当の目的のために飛ばしてやることはできる!」

 

「だから、お前は俺が守る!こんなところで、終わっちゃだめなんだ!!」

 

そう言い捨て、ガールを背にして立ち上がる

剣を振り上げた漆黒、絶対的な死を前にしても、その瞳は真っ直ぐだった

 

「ガール!お前は俺が、宇宙に連れて行く!それが……!」

 

そして、振り下ろされ、迫る剣

世界が酷くスローに映る中でも、クリスは叫ぶ

 

 

 

 

「それが、俺の夢だっ!!」

 

 

 

───あぁ

 

───君(貴方)は

 

───なんて優しい

 

───なんと寂しい

 

───なんて

 

───尊い人

 

 

 

「………え?」

『これは……!』

 

閃光が走る

背後、ガールから放たれたそれは、ゆっくりとクリスへと近づいていく

 

「ガー、ル?」

『オメガモン……対話を済ませたか!』

 

───ありがとう、優しい人

 

───ありがとう、強き人間

 

───私の、私たちの力を

 

───君に………!

 

「これは……!」

 

光り輝く機体は強く煌めき、クリスと一つに融け合っていく

 

(……あぁ、わかる。聞こえるよ、ガール。お前の声が)

 

かつて聞こえた、機械の声

いつしか失っていた、夢への架け橋

 

それが、今………

 

「……ありがとう」

 

───それを言うのは、こちらだ

 

(ガール?いや、お前は……)

 

───人間は、やはり強い。そして、愚かだが……美しい

 

(誰なんだ、お前は……?)

 

───人間よ

 

───我が名は

 

 

 

───オメガモン

 

 

 

『………っ!』

 

光が晴れ、その場にいたのは

 

白く光る装甲、だが右腕は青、左腕は橙

黒い長剣と長大なライフルを構えたその姿

 

男、クリス・オーランドが、ISを装着していた

 

「……名前、決めなきゃな」

『……オメガモン、お前は……』

 

言って、漆黒がその右手をかざし、深緑の閃光を放つ

 

「ふぅっ」

 

一呼吸と共にそれを避け、右腕のライフルを撃ち出す

 

「オメガモン……終わりの意味のΩと、無垢なガールじゃあ、バランス悪いよな」

 

弾かれた弾丸は彼方に消え、それを行った漆黒が剣を手に斬りかかる

 

「だから、お前は……」

 

その剣を左手の巨剣で受け止め、合わせてその胴を蹴り飛ばす

 

『っ……』

 

「オメガ・プリンセス。それが、お前の名前だ」

 

【機体名認証、登録】

 

【以後、オメガ・プリンセスとして設定】

 

Are you Ready Sanova bitch?(準備はいいか、クソアマ)

 

Here we GO!!(さぁ、行くぜ)




序章は二部構成
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