The Black α&White Ω   作:オパール

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筆が乗った+時間が取れたので二話目
もうちょい気合い入れたい


再会

「……さて」

 

簪に自らの秘密を話し終えたクリスは、寮の自室を出て一夏とシャルルの部屋へと向かっていた

 

「織斑の奴にはきちんと礼言っておかねぇとな」

 

医務室で、自分の行くべき道を改めて決意させてくれた言葉

まだ不安は残るも、それでも迷いをある程度振り払う切っ掛けになったのは確かだった

なお、それを言ったら簪もなのだが、ついさっき突拍子も無いことを話したばかり

そんな状態で話しに訪ねる勇気などクリスには無かった

 

「あっ、クリス先生だっ」

「わざわざ生徒の寮にどうしたんですかー?」

 

授業から解放された生徒達の姿もちらほら見られる廊下

無論、ピシッとした制服なぞ着てるはずもなく、寝間着な者もいれば霰もない下着姿に限りなく近い格好の生徒もいる

 

(ったく……)

「ああ、ちょっち織斑に用があってな」

「織斑君に!?」

「こんな夜に自分から訪ねに行くなんて……!」

「やっぱり時代は教師攻めの生徒受け!深夜の個人レッスンktkr!?」

 

一夏を訪ねるというだけでこれである

思春期真っ盛りの女子というのはかくも姦しいものなのかとクリスは改めて内心で嘆息した

 

 

 

コンコンッ

 

「織斑、いるか?」

 

1025室

織斑一夏とシャルル・デュノアが住まう部屋

ノックをしても返事は無い

 

「?」

 

耳をすませてみると、何やら騒がしい音が響いてくる

 

「……何やってんだあいつら」

 

「わあああああっ!?」

 

「!?」

 

甲高い悲鳴

突然の事態に一瞬固まるも、すぐに扉を開け放って中へと突入する

 

「今の声デュノアだな!何があっ」

 

「……へ?」

「た……」

 

そして、見た

手に女物の下着を握ったまま伸びる一夏

足を振り抜いた姿勢の、下半身丸出しのシャルル

 

そんなシャルルの、コルセットに覆われた胸部を

 

「………」

「………」

「……あ、お邪魔しましたー」

 

ぱたむ、と静かに扉を閉じる

そのまま身体を預け、手で顔を覆いながら天を仰ぐ

 

「……BINGO」

 

微かに抱いていた疑念が的中してしまった

シャルル・デュノアは紛れもなく……

 

「あ、あの……」

 

ふと、背後の扉が開かれ、中からシャルルが顔だけを覗かせていた

 

「おう」

「い、今、見ましたか……?」

「………」

「っ……!」

 

無言なままのクリスに、シャルルの顔が目に見えて青ざめていく

そんなシャルルの肩に、そっと手を添えるクリス

 

「……安心しろ、誰にも言わねぇよ」

「え……?」

「ああ。お前が……」

 

「女物の下着を好んで着ける変態野郎だってことはな!!」

「ちょっと部屋入ってくださいっ!!」

 

現実逃避の冗談だったが、顔色を反転させて真っ赤になったシャルルに部屋に押し込まれるクリスだった

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「……と、いうわけなんです」

「……なるほど。織斑はこの事……知ってるだろうな」

 

未だ気を失ったままの一夏はベッドに寝かされており、クリスは椅子、シャルルはベッドに腰掛け、シャルルが男装してまでIS学園に来た理由について聞いていた

 

「……先生に知られちゃった以上、さすがにどうしようもありませんよね」

「………」

「一夏は、秘密を知っても僕を庇ってくれました。もしバレたら、自分もただじゃすまないのに……」

「………」

「……明日にでも、出て行きます。国家の干渉は受けないけど、学園内じゃ、その限りじゃありませんから」

 

瞳に涙を溜め、悲しげに、諦観した表情で話すシャルル

その瞳は、眠りについている一夏を見つめていた

 

「……そうか」

「………」

「……それが本心なら、俺は何も言わないけどな」

「え……?」

 

顔を上げたシャルル

視線の先のクリスは、表情を変えないまま続ける

 

「ま、確かに教師としちゃ見過ごすわけにはいかねぇがな。生憎、今の俺は就業時間は終わってる」

「………」

「んなクソッタレな、帰りたくもねぇ場所に帰らすほど俺は真面目じゃあねぇの」

「先生……」

「……それに」

「?」

 

「この国には、「命短し、恋せよ乙女」なんて言葉もある。離れたくねぇんだろ、そいつと」

 

「っ……」

 

一瞬にして顔全体を朱に染めるシャルル

それを微笑ましげに見つめ、クリスは立ち上がる

 

「そういうわけだ。俺も隠し通すさ。だから、安心して男子生徒続けな、シャルル・デュノア」

「……ありがとう、ございます……!」

「そいつが起きたら伝えてくれ。「ありがとう」って、俺が言ってたって」

「はい……伝えます、必ず……!」

 

涙混じりにそう口にしたシャルルに手を振り、クリスは部屋を後にした

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

そして翌朝

 

「ねえねえ、あの噂ってホントなの?」

「マジもマジよ、大マジ。学年別トーナメントで優勝したら、クリス先生の特別個人授業に加えて、織斑くんと……!」

「こーら、何を廊下でくっちゃべってんだー」

「「「わひゃうっ!?」」」

 

始業前に廊下で雑談に興じていた生徒達

注意を促した途端、顔を真っ赤にしながらそれぞれの教室に駆け込んでいった

 

「なんだ?」

「……広まってるわねー、意外と」

「?」

 

ふと、隣から聞こえてきた声の元を見やれば、そこには二年の黛薫子がいた

 

「……お前、何か知ってんのか?」

「へっ?い、いや、別に何も知りませんよー?」

「………」

 

ゴシップを志す者にしては、ポーカーフェイスが甘すぎる

冷や汗をかきながら視線を逸らす薫子

訝しげな視線を向けていると、ふと逃げ出すように少しずつ後ずさっていく

 

「……おい」

「はっ、はい?」

 

肩を掴み、僅かに力をこめて壁に押しつける

逃げられないように左側に腕を押しつけ、覗き込むように顔を近づける

 

「かっ、かべ、かべ、壁、ドン……!?」

「……教えては、くれねぇか?」

 

なるべく、優しい声音で要求する

抗えるはずもない少女は、首を縦に振る以外の選択肢を見つけられなかった

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

(いかれてるなぁ)

 

時は流れ、学年別「タッグマッチ」トーナメントの日がやってきた

先日の一夏やラウラ達の私闘の影響により、より実戦を想定しての訓練を兼ね、二人一組という形へと変更となった

クリスが思うのは、薫子に聞いた噂

 

(優勝した奴が織斑と付き合って俺の特別個人授業とかどういうことなの……)

 

恐らくはどこかの誰かから端を発したことが、背鰭尾鰭を伴ってこんな形になってしまったのだろう

 

「はぁ……」

「先生?」

「あぁ、いや、何でもない」

 

学園外から来た、来賓達でごった返す中、クリスと話すのは簪だった

しばらく時間を起き、頭の整理がついた簪は、クリスと今まで通りに接することができていた

 

「……悪かったな」

「え……?」

「専用機、間に合わなくて」

「あ、いえ……先生のせいじゃ」

「でも、来月の臨海学校には絶対間に合わせる。そうすりゃ、もっと色んなことができるようになる」

「……はい」

 

どことなく楽しげな簪

そんな彼女の表情に微笑むクリス

 

ふと、クリスの目に見知った人影が見えた

 

「ん?……え?」

「先生?」

「悪い、ちょっと……」

「え、あの……」

 

簪から離れ、クリスは人混みをかき分けながら走る

少し遠くに見える、艶やかな金色の髪の女性

 

 

 

「ナターシャ!」

「え?」

 

ナターシャ・ファイルス

アメリカのテストパイロット

クリス・オーランドの心を占める、彼にとって最も親しいと思える女性

 

「クリス……この学園の教師になったって聞いてたけど、本当に……」

「んなことより、お前、なんでここに……」

「おじさまの、付き添いで。それと、イーリが来れなくなったから、代わりにって」

「おじさまって、親父か……?」

「ええ……」

 

沈黙

最後に話した日から実に三ヶ月弱。

思いもよらぬ場所での再会に、二人は何を話せばいいのかわからなかった

 

「あー、と」

「………」

「……時間、まだあるよな?」

「え?えぇ……でも……」

 

ふと、ナターシャが視線を向けた先には壮年の男性

クリスの父、ヴィンセント・オーランドが他国の来賓と話をしていた

ふと、視線に気付いたヴィンセントが、矢鱈といい笑顔でサムズアップしていた

 

「……いいみたいだな」

「……みたいね」

「……行くか?」

「……ええ」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「………」

 

更識簪は、どことなくざわついていた

クリスが走り去った先にいた、金色の髪を持つ綺麗な女性

その人と話すクリスの顔は、今までにないほどに楽しそうで、ISの整備をしている時とは、また別の感情が感じられた

 

(なんで……?)

 

何となく、妬ましい

指にはめた、待機形態の打鉄弐式に思わず力がこもる

 

(クリス、先生……)

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「しっかし、こうして話すのも久しぶりだよな」

「そうね。軍にいた時も色々あったし」

「だな」

 

人気の無い場所

ベンチに腰掛けた二人は、この三ヶ月間についてのことを主に話していた

 

「……そういえば、貴方の機体はどうしたの?」

「あー、それな。こないだちょっとヘマしてな、没収されちまった」

「……専用機持ちから機体を取り上げるなんて、どれだけのことしたのよ」

「ははっ……」

 

ジト目なナターシャだったが、クリスにつられて思わず笑みを浮かべる

そんな、何気ない時間

端から見れば、仲睦まじい恋人同士のような二人の姿

それは、本来あるべきはずだった、二人の姿でもあった

 

「……あら、そろそろ時間ね」

「ん?……ホントだ」

「今日は楽しかったわ。またいつか……」

「ナターシャっ」

 

立ち上がり、立ち去ろうとしたナターシャの手を、クリスは思わず掴んでいた

 

「えっ……」

「あ……悪い」

 

自分が何をしたのか、一瞬遅れて理解したクリスは、すぐに手を離す

握られていた手をもう片方の手で握り、ナターシャは薄く染まった頬のままクリスを見つめる

 

「……ナターシャ」

「……ばか」

 

そう言い残し、ナターシャは逃げるように走り去る

後に残されたクリスは、手に残るナターシャの手の感触と温もりを確かめるように、握ったり解いたりを繰り返していた

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

遥か上空

そこを飛ぶ、一機の輸送機

 

「あれの調整はどうなっている?」

「問題ない。中の機体、操縦者共々正常だ」

「しかし、あのようなデータをどこで?ISのコアに直接取り憑いて、機体の形を変容させてしまうなんて……」

「去年の暮れ辺りにどこからか流れてきた。まぁ、おかげで我々の任務も楽になってきたからな」

 

薄暗い管制室のモニターを見ながら、複数の女性達が話している

 

「しかし驚きです。まさか、機能はISそのものだというのに、エネルギーは無尽蔵だなんて。文字通りの、【(インフィニット)】ですね」

「そうだな。さぁ、そろそろ時間だ」

「了解。射出の準備を開始します」

 

言って、モニターに映る一つの機体を見やる女性達

 

そこに映し出されていたのは、到底ISとは呼べないもの

 

銀色の全身装甲に覆われた巨体

目を引くのは、背中の二門の巨大な砲塔と、三本爪の左腕

ドリルの如く尖った右腕と、腹部からは背部の砲塔に向けて赤と青の二色のケーブルが伸びている

獰猛な、まるで竜のような頭部

目には光は宿らず、広がっているのはただ闇だけ

 

───かつて、電脳世界で破壊の限りを尽さんとした、ムゲンのエネルギーを持つドラゴンの姿が、そこにあった




色々考えた結果

ナタル、イーリ、簪のヒロイン三人にデジモン憑かせることにしました
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