ちょっと駆け足気味、説明不足などあるので少し注意
後の話で補完する予定です
「おおおおおおっ!!」
気合いと共に吶喊するクリスとオメガ・プリンセス
左手の剣を振るい、眼前の漆黒に斬りかかる
『……』
漆黒はそれを難なく左手の剣で受け止め、右手の魔法陣を押し付ける
「チッ!」
閃光が放たれる直前、クリスは離脱
それと同時に、右手に構えたライフルから弾丸を連射していく
が、漆黒はそれを左手に展開した魔法陣で防御した
「この……!」
───クリス
「ガール?いや、プリンセスか!」
───相手をよく見ろ。奴の癖は知っている
「今度は、オメガモンって奴か!?あぁ、もう二人分はキツいぜ流石に!」
頭に直接響く二つの声、それを聞き入れながら、漆黒の攻撃を捌いていく
「ここじゃ狭いな……着いて来やがれ!」
そう言うと、クリスは破壊された天井から外へと飛び出す
一拍空けて、漆黒もそれを追った
「オメガモンって言ったか。あいつの癖知ってるって、どういうことだ?」
───IS、確かあの機体をそう言ったな。あの姿は私の知る者の姿だ
「?」
───すまないが、詳しい説明は後にさせてくれ。来るぞ、プリンセス!
───はい!
「!?」
背後から閃光、その一発がプリンセスの背部装甲を掠める
「チッ、んのアマァ!」
───クリス、今は回避と防御に専念して!
「え?」
───まだフォーマットとフィッティングが済んでないの。ファースト・シフトすれば、今よりマシになるから!
「あ……そうか、そもそも動くってだけでまだ未完成だもんな、これ。なら!」
───来るぞ、八時の方向!
「おう!」
オメガモンの指示に従い、漆黒の剣を防ぐ
時折ライフルで牽制しながら、一定の距離を離して戦いを続けるクリス
「プリンセス、あとどのくらいだ!?」
───あと、一分!
「だったら!」
───迂闊に飛び込むな、クリス!
「せあぁぁぁっ!!」
高速で接近しながらライフルを乱射、その装甲を貫かんと、左の剣を前に全力で突き出す
その時
ガクッ、と、途端に機体がその制御を失った
「なんだっ!?」
【警告:背部スラスター、及びPICに問題発生】
「これって……整備出来てなかった箇所かよ!?こんな時に……!」
───クリス!
「しまっ……」
意識を向けた先には、右腕をクリスの胸にあてがった漆黒の姿
そして、至近距離での閃光が、プリンセスの装甲を穿った
「がぁぁぁぁぁっ!」
───うっ、ううぅぅ!
地上に向けて加速しながら、漆黒の攻撃は止まらない
クリスの目の前で、ISの稼働を司る、シールドエネルギーが加速度的に減っていく
「こん、の……!」
『!』
「粋がってんじゃねぇぞオラァァッ!!」
閃光に晒されながら、クリスはライフルを漆黒に押しつけ───その引き金を引いた
『ぬっ、ぅぅぅぅっ!』
「墜ち、ろぉぉぉっ!」
深緑の閃光と、赤いマズルフラッシュが空から大地へと墜ちていく
だが、エネルギーと装甲の消耗は僅かにオメガ・プリンセスの方が早く、残り三割を切っていた
───クリス!準備完了したよ!
「Niceだプリンセス!」
───どけぇぇぇっ!!
そして、左腕で掲げた剣を、漆黒の顔面へと叩きつけた
『っ!?』
寸前で頭を横にずらしたことで、本来の狙いを外れた巨剣
が、それでもその兜を僅かながら破壊することに成功した
「行くぜ、一次移行!」
───認証!
瞬間、爆ぜるような輝きが、オメガ・プリンセスから放たれる
その光の中で、姿が徐々に変容していく機体
剣は細くなり腕と一体化、ライフルは、一回り巨大になり、ミサイルの発射管と思しきものが追加され、こちらも腕と一つとなる
機体色はより白く、艶やかな光沢を放つものへと変わっていた
「……さぁ、Finishだ」
『………』
互いに武器を構え、しばし睨み合う
───クリス。エネルギー残量が心許ないよ。だから
「狙うは……」
───一撃必殺!!
「うぅおおおおおっ!!」
【電磁加速ライフル:炸裂凍結弾装填】
「食らえぇぇっ!」
ライフルから紫電が迸り、発射された弾丸
高速で飛び回る漆黒だが、続けざまに放たれた内の一発が、その半身を捉えた
『!?』
命中した箇所から、徐々にその体が凍り付いていき、その動きが、僅かに停止する
「もらったぁっ!」
【モードシフト:レーザーカノン】
ライフルが形状を変化、砲身が広がり、そこから青い稲妻が迸る
『くっ!!』
「ぶち抜けぇぇぇぇぇっ!!」
放たれるは、蒼碧の巨大な光線
回避の間に合わない漆黒は、その奔流を直にその身に浴びた
「………どうだ?」
───やった、の?
───いや、もし奴が私の知る通りなら、恐らく
【警告:敵機にロックされています】
「っ!」
───やはり!
煙の中から迫り来る、深緑の閃光
まともな移動が出来ないオメガ・プリンセスは、その奔流をモロに喰らった
「ぐっ、うぉあああっ!!」
【エネルギー残量42】
「くっそ、このままじゃ……!」
【別IS、急速接近】
「あぁ!?こんな時に新手かよ!?」
───待ってクリス、これは………!
「そこまでだクソ野郎がぁぁぁぁっ!!」
烈昂の気合いと共に、
───あれは……
「アメリカの第三世代、ファング・クエイク……ってことは、米軍か!」
その一撃を皮切りに、次々と現れたIS部隊が漆黒を包囲、危険対象と判断されたそれに、次々と攻撃が撃ち込まれていく
「絶対に逃がすなよ!とっ捕まえて絞り上げてやる!」
『『Yes ma'am!!』』
弾幕は止まらず、銃声と爆音は鳴り止まず
やがて、視界が悪くなってきたところで、それは止まった
「………」
ファング・クエイクの操縦者も、IS部隊も、そしてクリスも、その場の全員が警戒を解かず、ただ爆煙の向こうを注視している
そして
『……なるほど』
『『『!?』』』
「あいつ、まだ……!」
そこにいたのは、装甲が僅かに罅割れただけの漆黒だった
「どんだけ堅ぇ装甲だよ。どこの新型だ……!」
「………」
ファング・クエイクの操縦者が毒づき、部隊員たちが戦慄く中、漆黒を睨み続けるクリス
『……次を楽しみにしているぞ、オメガモン』
そんなクリスを一瞥し、漆黒は右手を頭上に翳す
「っ!全員、撃てっ!!」
───待て、アルファモン!!
瞬間、IS部隊の一斉射が始まる
が、クリスだけは、それより一瞬早くその場から姿を消した漆黒───アルファモンの姿を見逃さなかった
「……アルファモン。それが、あいつの名前か」
───そうだ。私と対を成す存在……私は、奴を追って来たのだ。この世界に
「この世界?それってどういう……」
「……どういうことだ」
「え……」
かけられた冷たい声に振り向く
そこには、クリスに向けて武器を構えるIS部隊の姿があった
「ちょちょ、ちょっと待った!何で俺まで!」
「悪いが撃つかどうかは返答次第だ。聞かせてもらうぜ」
「何で、男がISを使えてる?」
◇◆◇
「……そうか。ラプターは壊されちまったか」
「……悪ぃ」
「気にすんな。データは残ってるし、粉々になったってわけでもねぇ。人間と違って、替えはきくからな」
「……親父」
「……すまん」
漆黒の襲撃者が去ってから数時間後
軍部による事情聴取を終え、クリスは一応の応急手当を受けて、今は父親と語り合っていた
「しっかし、お前がISを動かしちまうとはなぁ。先月にジャパニーズの坊主が動かしたっつって大騒ぎになってるが、続けざまかよ」
「……親父、それなんだけど」
「……「聴こえた」んだな」
「あぁ。また、聴こえるようになった」
「……そうか。6年ぶりくらいか」
「あぁ……」
沈黙が、しばし流れる
それを破ったのは、クリスだった
「……俺達、これからどうなるんだ?」
「……今までみたいに、ってのは厳しいかもな。とりあえず、お前は色々検査されるだろうし、俺達ラボの人間はガール……いや、オメガ・プリンセスだったか。そいつのデータ収集や追加装備や装甲の開発なんかが主流にされると思う。何せ、機体も操縦者もうちのラボ所属なんだからな」
「……悪い、俺のせいで」
「気にすんな。少なくとも、今まで俺とお前でやってきたことは続けられるはずだ」
「……ISの本格的な宇宙進出」
「本気で取り組んでんのは俺達だけだがな。でも、ま、だからこそ成功させたら俺達は歴史に名を刻むぜ?」
「ははっ……」
親子の、静かな会話
死闘の後の僅かな一時
だがそれもいいつまでは続かない
「失礼する」
そう言って、入ってきたのは一人の女性
その声色から、クリスは彼女こそがファング・クエイクの操縦者だと理解した
「お疲れのところ、悪いな。アメリカ国家代表IS操縦者、イーリス・コーリングだ。クリス・オーランドと、ヴィンセント・オーランド博士、だな?」
「……はい」
「……クリス・オーランド。お前さんの今後が決まった」
「………」
「お前さんは、正式にアメリカ、オーランド・ラボ所属のIS操縦者に任命。同研究所は、その支援開発に当たることになった。これは合衆国の決定だ。……悪ぃが、拒否権は無いものと思ってくれ」
「……了解っす」
「……随分早い決定だな。まだ数時間しか立ってねぇのに」
「ここに視察に来てた連中の中に、政府の人間も一部混じってたみたいだったからな。その辺の伝達は早かったみたいだ」
「そうか……」
「……機体の方は?」
「元々未完成だった上に、こいつが無茶させちまったからな。修理と整備、その他諸々やって……フルでやって、10日前後ってところだ」
「……了解だ。それじゃ、詳しいことは追って連絡が来ると思う。……クリス・オーランド」
「……はい」
「二週間後に迎えにくる。準備の方、頼むぞ?」
「………」
それに、クリスは無言で頷いた
「……よし。それじゃあ、私はこれで失礼する」
「あぁ、今日は助かったよ」
一つ敬礼をして、イーリスは退室していった
「………」
「……長い二週間になりそうだな」
「……親父。俺、ちょっとプリンセスのとこ行ってくる」
「おいおい大丈夫か?」
「あぁ」
◇◆◇
「……さぁ、話してくれ、オメガモン」
───わかった。その前に、プリンセス。私の姿をモニターに出せるか?
───うん。少し待って
数秒後、クリスの眼前に、白き異形が映し出された
「っ……お前が、オメガモン……?」
『そうだ。私はオメガモン。『デジタルモンスター』の一種だ』
「デジタル、モンスター?」
『デジタルモンスターとは、その名の通りデジタル、データの集合体で構成された生命体のことだ。本来ならば、我々だけの、デジタルワールドと呼ばれる世界でのみ存在できるのだがな』
「………」
『……済まない。混乱しているだろう』
「あ、あぁ……」
『だが、信じてくれ。私は断じて嘘を言うつもりは無い』
「………」
『……クリス』
「……よし、大丈夫。頭の整理はつけた。聴かせてくれ、オメガモン。何で、お前がそのデジタルワールドとやらじゃなくて、ここにいるのか。お前の目的は、何なのか。あの黒い奴は何なのか」
『……信じて、くれるのか?』
「今更だろ?お前は、俺の声に応えて、力を貸してくれた。なぁ、プリンセス?」
───うん。だから話して、オメガモン
『……ありがとう』
これは、異なる物語
人格を宿した兵器と、姿形を取ったデジタル生命体
それと出会ったのは、夢を諦め、人生を諦めの中で生きていた一人の男
諦めを、絶望を乗り越え、足掻き続ける無力な男と、彼と共にある「白き終焉の聖騎士と姫君」
対するは「黒き始原の隠士と女帝」
一つの小さな世界を舞台に、男と少年少女たちの物語は紡がれる
その果てに待つ、夢の果て、デジタル生命体がもたらす人類の進化とは
Infinite stratos×Digital Monster
The Black α&White Ω
以上
Q.なんで動かしたばっかなのに渡り合ってんの?
A.プリンセスとオメガモンが色々教えてくれたんだよ、きっと
そんなわけで序章はここまで
次回からちょっとキンクリしますけど不足してる説明はきちんとします、はい