The Black α&White Ω   作:オパール

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サイバースルゥースを今度は女主で初めてみた

可愛すぎてどうにかなりそうだった(KONAMI)




『クリ……オーランド先生!無事でなによりです……!』

『悪い、山田先生。後にしてくれ』

『………』

『……察しはついてるみたいだな、織斑先生。なら話は早い』

 

『オメガ・プリンセス、返してくれ』

 

『オーランド先生、それは……!』

『………』

『この状況を見ろ。確かに、俺はこの学園の教師としてやっちゃいけねぇことをやった。けどな、あの時とはシャレにならないレベルのことが起こってる』

『……機体の没収は主に学園の上層部で決められたことだ。私の独断では覆せない』

『なら全部俺におっ被せればいいだけだろ。不意を突かれてぶん取られたとか何とか言えば。あんたの言葉なら、疑う奴は出てこない』

『………』

『片が付いたらすぐに返す。一番守るべきなのが何なのか、わからないあんたじゃあないだろ』

『……教師になってまだ数ヶ月の若造が、ずいぶん大きく出たものだ』

『年齢的にはあんたとそこまで差、ねぇだろ』

『……だめです』

『山田先生?』

『危険すぎます。あの黒い機体だって、今でこそ協力してくれていますが、Dとの繋がりも否定できないんですよ!?そんな所にオーランド先生を……!』

『教師部隊以外に、動けるIS操縦者は何人いるんだ?二年と三年の三人はどうしてる?』

『あっ……』

『凰とオルコットは無理、織斑とデュノアはボーデヴィッヒを止めてるし、たぶんエネルギーも底をつく頃だ。ほら、俺以外に誰がいるよ』

『それ、は……けど!』

『心配してくれてありがとな、山田先生』

『………』

『……織斑先生、頼む』

『……非常事態故の、緊急措置だ。終わったら返せよ?』

『もちろんだ』

『……生徒達を、任せた』

『了解だ』

『……オーランド先生……』

『……そんな顔すんなって、大丈夫だから』

『……ご武運を、クリスさん』

 

『Thank you、真耶』

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「更識、逃げろ!」

「は、はい……!」

 

へたり込んでいた簪が、ゆっくりとだが駆け足で去っていく

その途中で振り返り、クリスに向けて叫ぶ

 

「き、気を、つけて……勝って、ください……!」

「……ああ。任せろ。飛ばすぜ、相棒!!」

 

───待ってましたぁ!

 

───………

 

長剣で竜……ムゲンドラモンの爪を防ぎながら、背部のスラスターを全力で噴かすクリス

かなりの重量を占めるその巨体が、少しずつ後方へとさがっていった

 

『この、出力は……!?』

「Round 2は表でやろうぜ!」

『このぉ……ナメるなぁ!!』

 

が、両足を踏ん張って耐えるムゲンドラモン

ずり下がっていたその動きが、停止する

 

『少し焦ったぞ、だが、貴様が機体諸共でてきてくれて』

「黙っとけ」

『なっ……!』

 

次の瞬間、クリスは両腕を身体の前で交差させ、そのまま再び瞬時加速に匹敵せんばかりのスピードで突撃した

 

『ぐぁっ……!?』

「くっ、うぉおおお……!」

 

限界を超越する勢いで推進力を爆発させ、ムゲンドラモンを、壁や隔壁をぶち抜きながら押しやっていく

 

「おおおおああああああああッ!!」

 

その叫びと共に、最後の外壁を突破

勢いのあまり大きく吹き飛んだムゲンドラモンを見やり、クリスはその場に着地する

 

『おの、れぇ……!』

「……プリンセス」

 

───うん

 

「オメガモン……」

 

───………

 

「オメガモンが気に病むなよ。そんなつもりがあったんじゃあないんだろ?」

 

───しかし……

 

「今は、こっちに集中してくれ。頼む」

 

───ああ、すまない

 

「……行くぞぉッ!!」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「さっきから何なんだよ、この揺れは!」

「わからない……でも、きっと只事じゃない……!」

 

場所を移し、アリーナのピット

暴走を起こしたシュヴァルツェア・レーゲンとラウラを制圧した一夏とシャルル

機体のメンテと一夏が負った傷の手当て、そして発令された非常事態宣言のために、そこでの待機を命じられていた

 

「クソっ……外はどうなってるんだよ……」

「一夏……」

 

拳を握り締める一夏

エネルギーが底をついている今、出来ることは何も無い

 

それでも、何か無いのかと、一夏は考えを巡らせていた

 

「箒……セシリア、鈴……千冬姉も……」

「……ねぇ、一夏」

「……ん?」

 

「停学になってもいいって覚悟、ある?」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

大きな閃光と轟音が轟き、一瞬遅れて着弾点から爆発が巻き起こる

絶え間なく続くそれを避けながら、クリスもライフルから弾丸を放ち続ける

が、そのムゲンドラモンの持つ装甲はかつての鉄塊と同じか、それ以上の硬度を誇っていた

 

「だったら、溶かす!」

 

【ナノマシン起動】

【シフト:フレイム】

 

長剣を振りかぶり吶喊するクリス

空気との摩擦に触れたそれから、赤く揺らめく炎が吹き荒れた

 

「これなら……どうだぁっ!!」

 

振るわれた長剣を、ムゲンドラモンはその左の爪で受け止めようとする

それは、超高熱の斬撃の前に、一閃された

 

『っ……!?』

「行ける!」

 

───でも、思った以上にエネルギー使うから!

 

「みたいだな……!」

 

───その前に、決めるぞ!

 

「おうよ!」

『さっきからごちゃごちゃと!!』

 

再度振りかぶった炎熱剣は避けられ、鋭利に尖った右腕が腹に叩き込まれる

 

「ぐっ……!」

『シャアアアアッ!』

 

そして、その顎が、クリスの左肩を捉えていた

 

「ぎっ、あ、アアアアアアアアッ!?」

『五体満足で捕らえてこいとは言われていないのでなぁ……腕の一本はご愛嬌というやつだ!』

「こん、の……!」

 

【炸裂凍結弾、装填】

 

「いっ、でぇんだよぉ!!」

 

零距離で炸裂する凍結の弾丸は、その顎に

一瞬だけ緩んだ拘束から肩を外し、その頭蓋に長剣を叩き付けた

 

『づっ……!』

 

頭部装甲の一部が欠け、その奥に操縦者の瞳が見えた

 

『……さすがに、やってくれるな』

「いってぇ……骨まで届いてねぇだろうなこれ」

『だが、底は見えた。貴様では、この【フィアー・ドラグ】(恐怖の竜)は突破できん』

「上等……その余裕ごと、ぶち抜いてやるよ」

『フッ……だったらその小生意気なビッグマウスを……っ?』

 

背中の大砲を構えた途端、その動きが鈍くなった

 

「……?」

『これ、は……なんだ?制御が……』

【……ヴヴヴヴ】

 

───セ

 

「っ……!」

 

ギギギ、とまるで全身が錆び付いたような

そんな動きの悪さに合わせて、その欠けた口から上がる低い唸り声

そして、クリスの脳裏に届いたノイズ混じりの声

 

───コワセ、コワセ

 

───コワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセスベテヲコワセェェェェェェ!!

 

【ガアアアアアアアッ!!】

『ぐっ、どうしたフィアー・ドラグ!私の言うことを……!』

「なっ……オメガモン、これは!?」

 

───ムゲンドラモンのデジコアは、あの機体と一体化しただけではない……

 

───それって……!

 

───奴は、私やアルファモンとは違う……完全に、あの機体のコアを侵蝕してしまった……!

 

「それ……やばいんじゃねえのか?」

 

───ムゲンドラモンは、無差別な破壊を行うためだけに生み出されたデジモンだ。その本能のままに、ISという力を使えば……!

 

「……!」

 

深く考えずとも、想像に難くないことだった

この学園に留まらず、恐らくは世界中でその武装と装甲、無尽蔵のエネルギーを用いて破壊を繰り返すことになるだろう

 

「……なら、ぶっ壊しちまえばいいんだな」

 

───クリス

 

───それは

 

「ただの破壊兵器になんてさせねぇ……中のデジモンを倒してでも、止めてみせる!」

 

『止まれ、止まれフィアー・ドラグ!お前は私の……!』

【グガアアアアアアアッ!!】

 

───来る!

 

『……クリス・オーランド』

「……アルファモン」

『……もう、その名で呼べばいいさ』

 

背後から降り立ってきた、アルファ・エンプレス

その手に王竜剣を握り、構える

 

『言っておくが、ここからは短期決戦を心掛けろ。奴のエネルギーが尽きぬ以上、長期戦ではジリ貧になる』

「言われるまでもねぇよ。テメェこそ、後ろから撃つなんて真似すんなよ?」

『フンッ』

 

【ヴヴヴヴ……∞キャノン……!!】

 

そして、その背から先ほどまでとは比べるべくもないほどの高出力で砲弾が放たれる

速度もまた比較にならず、真っ直ぐにクリスとアルファモンへと向かっていく

 

「チッ……!」

『……!』

 

 

 

 

 

「オ、ラァッ!!」

 

それは、割り込んできた純白により、二つに叩き斬られた

 

『お前は……』

「織斑!?」

「クリス先生!……と、黒いIS!」

 

白式を纏った一夏が、雪片弐型を構えて、そこにいた

 

「お前、どうして……」

「シャルルが協力してくれました」

「デュノアが?」

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

『……なぁ、シャルル。本当にやるのか?』

『みんなが心配なんでしょ?大丈夫、僕も一緒に怒られてあげるから』

『……にしても、訓練機の余ったエネルギーを勝手に持ち出すなんてよく思い付くよなぁ』

『非常事態だからね。訓練機なら、専用機と違って特別な手順はいらないはず……よし、いける』

『……悪いな、シャルル』

『もう。僕がやりたくてやってるんだから、気にしないで。それと、謝るんじゃなくて?』

『……ありがとう』

『どういたしましてっ』

 

 

 

 

 

 

 

「……と、いうわけです」

「後で説教な」

「はい……」

『……そろそろ、いいか?』

「「アッハイ」」

 

アルファ・エンプレスに言われ、即座に構えを取り直す一夏とクリス

律儀に、観察するように見ていたムゲンドラモンが、再度雄叫びを上げた

 

【オオオオオオオオオッ!!】

 

「……すぅ……はぁっ」

 

 

 

 

「Go Die Go!!」

 

 

 

クリスが叫ぶと同時、アルファ・エンプレスと一夏が左右から斬りかかる

王竜剣と雪片をかわし、一夏には欠けたままの爪、アルファ・エンプレスに背中の砲塔を向ける

 

「させねぇよ!」

 

そこへ、クリスが徹甲貫通弾を装填したライフルを発砲

肩と腹から伸びるケーブルの一本に命中する

 

【グゥ……!】

 

「もう、一丁ー!」

 

怯んだ隙を突き、再度雪片を振りかぶる一夏

だが、それは右腕を振り上げたムゲンドラモンに阻まれ、僅かに肩を掠めるだけに留まっていた

 

『デジタライズ・オブ・ソウル!』

 

アルファ・エンプレスが右手を翳し、そこから深緑の閃光が放たれる

それはムゲンドラモンに命中し、装甲のいくつかを欠損させた

 

「Large Size、行くぞぉっ!!」

 

───レーザーカノン!

 

───撃て、クリス!!

 

「こいつで、どうだぁっ!!」

 

最大出力で放たれたレーザー砲

それは青白い軌跡を描きながら、ムゲンドラモンへと走っていく

 

【ヴヴ……ヴアアアアアッ!!】

 

そこへ放たれる、∞キャノン

同様に最大出力のそれが、レーザーと正面から衝突した

 

「ぐっ、おおおおおお!」

【ヴヴヴヴヴヴ!!】

 

「ぶち込め、お前らぁ!!」

 

「零落白夜、全・開!!」

『断ち斬るぞ、王竜剣!!』

 

震動と衝撃波を潜り抜けながら、一夏が、アルファ・エンプレスが三度突撃する

袈裟懸けに振り下ろされた雪片と、横一線に振り抜かれた王竜剣

零落白夜はシールドエネルギー諸共肩から腰、その直後に、王竜剣は胴を一閃していた

 

【ガッ、カ……】

「先生!」

『シメは譲ってやる!』

 

「任せろぉぉぉぉぉっ!!」

 

灼熱の炎を宿した長剣を振りかぶり、ライフルに弾丸を装填する

 

───コワ、ス。コワサナ、ケレバ

 

「……ごめんな。でも、もう……眠れ」

 

───コ、ワ……

 

王竜剣で裂かれた箇所を、炎熱剣で再度斬りつける

そして、胴へと押し付けたライフルを……一瞬の躊躇いの後、連射した

 

【ガッ、カ、ヴアアアアアッ!!】

 

断末魔

そう呼んで差し支えない叫びを上げ、ムゲンドラモンは、静かに崩れ落ちた

 

「……ふぅ」

「終わりましたね……」

「……いや」

『ああ、まだだ』

 

そう呟いたアルファ・エンプレスは、静かにクリスへと歩み寄り

 

「……は?」

 

そのまま素通り、ムゲンドラモンの前に立つ

 

「あいつ、何を……?」

『………』

 

次の瞬間、アルファ・エンプレスは王竜剣でムゲンドラモンを斬りつける

そして、縦に裂けた装甲の中から操縦者を引きずり出した

 

「……あれって」

「まだガキじゃねぇか……」

 

操縦者は、まだ年端もいかぬ少女

IS学園の一年生と、さほど変わらない栗色の髪の少女だった

ムゲンドラモンの動きとクリス達の攻撃の苛烈さに耐えられなかったのか、今は気を失っている

 

『………』

 

が、アルファ・エンプレスは少女を乱暴に投げ捨てると、機体の胴にその手を突き入れた

 

「あっ、おい!」

「………」

 

一夏は少女に駆け寄り、クリスはアルファ・エンプレスの動向を見守っている

 

『………』

 

引き抜かれた手の中に、鈍く銀色に輝く菱形の物体が握られていた

 

「あれは……ISのコア……」

 

───ねぇ、まさか

 

───!まずい、止めろクリス!

 

「あの野郎……やめろテメェ!!」

 

駆け出したクリスを一瞥し……アルファ・エンプレスは、その物体を粉々に破砕した

 

「あっ……!!」

 

───あ、アアアアアアアアッ!?

 

───ギ、ギィィィィィィィィ……

 

クリスの耳に届いた二つの声

一つは、甲高い女性のような

もう一つは……先程まで聴こえていた、ムゲンドラモンのもの

 

アルファ・エンプレスは、ムゲンドラモンと共にISを……世界に467機しかない内の一機を、粉々に破壊したのだ

 

「……なんで」

『?』

「なんで、コアまで壊しやがったぁぁぁぁっ!!」

 

雄叫びと共に、長剣を振るうクリス

が、それを避け、ISコアの破片を投げ捨てたアルファ・エンプレス

 

『あのままではどの道破滅していた。IS程度(・・・・)では、デジモンの力を十全に扱うことは不可能だ』

「なんだと……!」

『だからこそ、こんな不完全な玩具で遊ぶ人間を野放しにしておくわけにはいかない。貴様のように……進化の戸口に立たせるわけにはいかない』

「テメェ……テメェの使命は、確かオメガモン達ロイヤルナイツの抑止力なんだろ!それが何で俺たち人間を……!」

『察しの悪い奴だ。わからんのか?』

「なに……!?」

 

 

 

『そのロイヤルナイツが、そもそもの原因だというのだ』

 

 

 

「……は?」

『オメガモンは忘れているようだがな』

 

そう言い捨て、アルファ・エンプレスはクリスに背を向ける

 

「待ちやがれ!」

『貴様もいずれ思い知る。ではな……救世主』

 

右手を高く掲げたアルファ・エンプレス

クリスがライフルを放った次の瞬間には、その姿は跡形もなく消えていた

 

「……何が、どうなってんだよ!!」

 

そんなクリスの叫びは、夕暮れに染まる空に呑まれ、空しく響き渡った




今回と次回で原作二巻終了予定

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