聖杯戦争。魔術師と英霊による戦争。そこで呼び出されたのは英雄ではなかった。そこに呼び出されたのは。

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零崎曲識の人間人間を買った勢いで書きました。


零崎豪識の人間聖杯

 肉体は全てに於いての根幹だ。肉体があるからこそ全ての動作が行われる。

 運動を。食事を。睡眠を。

 趣味を。道楽を。快楽を。

 練習を。訓練を。特訓を。

 それらは全て肉体が有るからこそ可能な事。

 そして、連動しながら殺人も。

 

 暗い地下室。此処は冬木のとある屋敷の一室だ。つたに覆われた不気味な屋敷。近所の人間たちからは悪評しか囁かれない間桐の屋敷。そんな悪評すら吹き飛ぶ悪意のみで構成された部屋。

 今夜、この屋敷の地下室である儀式が行われる。英霊の降霊。人間の高位存在。霊長最強の魂を聖杯の力を持ってこの地に引きずりおろす。それこそがこれから行われる儀式の正体。そして、これからその儀式を行う青年と、青年の形ばかりの師である翁がそこに居た。

 青年は無理な修行によって半身を麻痺させて黒髪を白髪にして、今にも死にそうな体を支えて。反対に翁は邪悪な笑みとともにその青年を笑いながら見ていた。

 

 「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。

 繰り返すつどに五度

 ただ、満たされる時を破却する。

 ―告げる。

 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 聖杯の寄る辺に従い、この意、この理従うならば答えよ。

 誓いを此処に。

 我は常世全ての善と為る者

 我は常世全ての悪を敷く者」

 

 聖杯戦争。それは召喚した英霊の魂と召喚した魔術師7組による殺し合い。今複雑な召喚陣の上で詠唱をし続けている人物こそが今回間桐の参加者(マスター)。しかし彼はマスターとしての格が低すぎる。魔術師となって一年程の修業期間。その無茶な修行の結果、彼の命はあと一か月。それしか残らない。それでもなお、彼は戦うために、より強い英霊を召還するために詠唱を変える。狂った存在を呼び出すために。

 体の半分は既に魔術によって麻痺しておりまともに動かすこともできない。僅かしかない魔術回路をを酷使しながら彼はたった一つの思いを胸に詠唱を続ける。彼女を、桜ちゃんを救いたいという思いだけで。

 

 「されど汝はその瞳を混沌に曇らせ侍るべし。

 汝、狂乱の檻に囚われし者。

 我はその鎖を手繰る者―」

 

 その詠唱は禁断の詠唱。英霊には7つのクラスがある。剣の騎士(セイバー)弓の騎士(アーチャー)槍の騎士(ランサー)騎乗兵(ライダー)魔術師(キャスター)暗殺者(アサシン)狂戦士(バーサーカー)。その内、この詠唱は必ず狂戦士のクラスに英霊を変えてしまう呪文。これにより降ろされた英霊は理性なく暴れる事しか考えなくなる。いや、考えもしない。考える理性を奪われて戦闘力に変える。

 

 「汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天杯の守り手よ―!」

 

 召喚のための魔法陣から凄まじいまでの魔力が放出される。魔力は暴風となって辺り一帯を吹く。それを瞳から血を流して激痛に苛まれながらもマスターは最後まで詠唱を行った。 

 そして、彼が召喚した英霊はそこに居た。

 

 「俺を呼んだのはお前か?」

 

 声が聞こえた。狂っていなければならない英霊の声が。

 

 「莫迦な! 狂戦士の英霊化は確かに組み込まれたはず!! それに貴様は何―」

 

 それを見たマスターの師である翁は驚愕に思わず声を漏らしてしまった。目の前にいるのは英霊などとは決して呼ばれる存在だとは知らなかったが故に。

 

 「え?」

 

 彼は目の前で起きた現象を信じられなかった。何せ、あれだけ長い間自分たちを苦しめていた翁が汚らわしい蟲の集合体となり死んでいたのだから。

 

 「しまった。うっかり殺してしまった。

 まあ、良いか。此奴はマスターじゃ無いみたいだからな」

 「あ、ああ?」

 

 困惑の只中にいる彼は何も考えられない。

 

 「一つ訪ねるがお前がマスターだろう? そろそろ名前くらい教えてはくれないか?」

 「あ、ああ? な、名前?」

 

 目の前で自分がした惨状を興味が無いとばかりに扱う目の前の英霊を彼は見続けるしかなかった。

 

 「そう、名前だ。お前という存在を他社と見極めるために必要な記号だ」

 「ま、間桐……雁夜」

 「雁夜か。良い名前だが一つだけ聞きたい事が有るんだが」

 

 目の前にいる英霊とはとても思えない青年を雁夜は見る。

 ダボダボな真っ赤なパーカーを着て、手の所には黒い光沢を放つ手袋をつけている。髪の毛は中途半端な長さで揃えており、短髪とも長髪ともとれる。だが一つだけ言えるのは目の前の人間が真っ当な存在ではない事だ。その瞳には燃えるような殺意が、全ての人間を殺さんばかりの殺意のみが詰まっている。自分が何度もあの翁に向けていた殺意と同じ、いやそれを何度も濾して憎悪を抜いて純粋な殺意にしたようなものが滾っている。

 

 「さて、俺を呼んだ理由は? 金か? 不老不死か? 栄誉か?」

 

 尋ねられたことに正直に答えなければならないだろう。でなければ殺される。嫌な確信だが雁夜は間違いなくそう確信して答えた。

 

 「桜ちゃんの為だ」

 「桜ちゃん? 誰だ、それ?」

 「葵さんの、遠坂の娘だ。彼女を助けたくって俺はこの聖杯戦争に参加したんだ」

 

 雁夜の目的。それをただ聞いていた彼は突然笑い出す。

 

 「きゃはきゃはきゃは!!

 成程! 確かに触媒なんかよりもはるかに俺達を呼び出す条件は適している。家()の為か! 良いね。もしこれで如何しようもなく下らない願いだったら今此処で打ち鳴らしていたところだ!

 喜べ、マスター。お前を認めよう。俺は殺人鬼(マーダー)のサーヴァント、零崎豪識だ。今此処で誓おう。マスターが家賊のために戦う限り俺は目の前の人間を殺し続けることを」

 

 ああ、分かった。今分かった。此奴を呼べた理由が。触媒なんて関係ない。俺と同じようにこいつは家族を愛しているんだ。桜ちゃんという家族を救いたい俺の気持ちに答えてここに来たんだ。

 

 「さあ、零崎を打ち鳴らそう!!」




クラス  殺人鬼<マーダー>
マスター 間桐雁夜
真名   零崎豪識
性別   男
身長   173cm
体重   68kg
属性   混沌・悪
ステータス
筋力:B 耐久:C⁺ 敏捷:C 魔力:E 幸運:E 宝具A⁺
クラス別スキル
殺戮行為:EX 一賊に対する家賊愛:EX
固有スキル
対呪いA 異常発達A⁺
宝具
終末事故<デッドエンド>
種別:対人宝具
レンジ:1
最大補足:2
豪識が常に着けている黒い手袋。罪口商会によって作られた形状記憶合金の繊維を編んで作られた。之を付けた豪識に殴られた存在はまるで交通事故に合ったかのように原型が残らない。
殺戮行為
生きている者を殺し続けた集団に所属していた者にのみ付与されるスキル。このクラスだと生きている人間ならどんな存在でも殺す事が可能になる。
一賊に対する家賊愛
零崎一族を殺した相手とその関係者との交戦時のみ魔力と幸運を除いた全てのステータスが2ランクアップする。
対呪い
生前呪い名を殺した際に会得したスキル。大概の魔術、呪術、呪いを防ぐことが可能。
異常発達
生前筋肉が異常発達しやすい体質だったことによって所持しているスキル。筋力を常時2ランクアップさせる。

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