人間で在りたい神殺し 作:鎌鼬
熱さで頭がトロケソウ…………おかしいところが出てくるかもしれないです。
「っと神社?ここにあいつが探してる物があるのか?」
「…………間違いない。私の中にいる彼女はそう言っている。ここに自分の半身がいると」
ルナの案内でバイクを走らせて着いたのは『七雄神社』という名称の神社。風貌とかから察するに異国の神だというのに日本の神を奉る場所に置くとは皮肉が効いているな。
「どうする?今から突っ込んで奪うか?」
「…………いいや、夜の方が良い。彼女は月の女神、そして今日は満月」
「だから夜の方が良いってか?分かったよ」
夜の方が神様にとって都合が良いというのなら逆らう訳にもいかない。それに個人か組織か分からないがまつろわぬ神の一部を持って極東と言われる日本まで来る相手だ、それなりの守りは用意しているだろう。それなら出来るだけ憂いを無くした状態で望みたい。
「良し、ちょっくら見に行くか」
「…………話聞いてた?」
「ドンパチ始める訳じゃないから良いだろ?それに神様の探し物がどんなのか気になるしな」
「…………行くなら一人で、私は待ってる」
「あいよ」
バイクに座って足をプラプラさせてるルナを残して七雄神社の鳥居をくぐる。神域だからなのかピンと張り詰めた空気が身を包む。この程好い緊張感が心地良い。階段を登って社の前に行くと…………そこには五人の男女の姿が見られ、その内の一人が黒い石板の様なものを持って一人の巫女服少女に叱られていた。
なるほど、あれが神様が探していた物なのだろう。あの石板から出ている気配がさっきファミレスで会った時の神様のそれに酷く似ている。離れたところから話を聞いていると…………どうやら黒髪の少年が金髪の少女に言われた通りにあの石板をイタリアから日本に持ってきたらしい。
なんというか…………怒り通り越して呆れてしまうな。ホイホイ言われるままにまつろわぬ神の一部を持って日本に帰るとは。あんなのが同類とか泣きたくなってくる。
「邪魔するぜ?」
呆れを隠さないまま、ひとまず神社に来たので参拝しようと社の真ん前で騒いでいる奴らに一言断りを入れて退いてもらう。そして財布から五円玉を取り出して賽銭箱の中に投げ入れて二拝一礼。手堅く無病息災辺りでも願っておこう。
そして見るもの見てやることやったのでルナのところに戻ろうとしたとき、巫女服少女が俺の顔を見て驚いているのに気がついた。
「どうした嬢ちゃん、俺の顔に何かついてるか?」
「…………黄昏…………約束の地を守りし者…………穢れを一身に受け止める蛇…………その蛇の友…………」
「ーーーーーーーーーーへぇ」
霊視、という奴なのだろう。神話と縁のあるものを見ただけでその神話を読み解ける程の霊視能力、巫女服少女が見ているのは俺が殺したまつろわぬ神の姿だろうな。
「もしや…………御身は神殺しなのですか!?」
「だったら何か?」
否定とも肯定とも取れるような曖昧な態度を取ってやると石板を持っている黒髪の少年以外の四人がこちらのことを警戒する姿勢になった。気配から察するに巫女服少女と金髪の少女、あとはスーツのオッサンは術者がそれに準ずる者。金髪の野性味溢れる少年と未だに状況が理解できてなさそうな黒髪の少年が神殺しってところか。
「まぁまぁ落ち着けよ。別に殺りに来た訳じゃねぇんだからさ」
「なら何故この場に?」
「神社に来てすることと言えば参拝だろ?それ以外に何がある?」
本当のことは言っていないが嘘を言っているわけでもない。だがそれでも信じられないらしく、四人からの警戒は続いている。
まぁ…………神殺しって言ったらまつろわぬ神に対抗できる存在だがそれと同時に好き勝手やり放題やる奴でもあるからな。特にドニの馬鹿とバトルジャンキーのじいさんとか。迷惑なことしかやってない奴ばっかだからな
「なぁ、帰って良いか?連れ待たせてるんだけど?」
「いや、待て」
帰ろうとしたところ、金髪の少年が止めに入った。ギロリと鋭い目で俺のことを見定めるような…………懐かしいな~その目付き、じいさんと初めて会った時のことを思い出す。
「何か?同類さん」
「実はな、そこの神殺しの
「力を貸せ、ねぇ」
話方は乱暴だが共闘しようと金髪の少年が言ってきた。神殺しは倒したまつろわぬ神から権能を簒奪することが出来るがそれは一人だけ、それもパンドラから認められなければならない。上面から正々堂々と戦えとか言ってくるんだよなぁ、あのキチガイBBA。
たぶん共闘で倒したとしてもキチガイBBAは認めないで権能を得ることは出来ない。そうなるとこいつの目的は権能じゃないのか?
「傍若無人のはずの神殺しが共闘だぁ?何が目的だ?」
「何、この国は俺の生まれた国であり俺の物でもある。国を荒らす者を処するのは王の勤めであろう?」
「え、王様?王様キャラなの?濃いなぁおい。厨二病が治ってないのか?あと人様に頼むにしても頼み方があるだろ?分からない?教えてやるよ、土下座だよ土下座。地面の上に座って惨めに頭下げろよ、そうしたら考えてやるから」
「ふ、ふふっ…………王たる俺に向かってその物言いとは…………死に急いだな!!」
気分で煽っていたら王様キャラにキレられた。王様キャラの背後には黄金の渦が現れてそこから武器の切っ先が顔を見せる。あれが王様キャラの権能か…………
「お?オコなの?オコなのか?喧嘩売るっていうなら買ってやるよぉ!!」
それに対応して俺も呪力で編んだ大型の拳銃、いわゆるデザートイーグルを二丁手にする。神殺しとかまつろわぬ神ならもう一つの方が相性が良いんだが残念なことに条件を満たせていないので使えない。
そうして一触即発な空気の中で俺たちは睨み合いーーーーーーーーーー
「おい待て!!止めろよ!!」
今まで傍観していた黒髪の少年に口を挟まれた。
「王理落ち着けって!!それにあんたもだ!!こんなところでやり合おうだなんて正気かよ!!」
「…………ふん」
黒髪の少年に口を挟まれたことで王様キャラはやる気を削がれたのか黄金の渦を消した。俺もやる気が無くなってしまったのでデザートイーグルを消す。
「えぇっと、草薙護堂とか言ったっけ?お前、自分のしたことの責任どうするつもりなんだ?」
「俺のしたことって…………俺はエリカに言われてこれを持ってきただけだ」
あっ、こいつ俺嫌いだわ。狙ってじゃなくて無自覚で責任転嫁してやがる。煽り目的で俺もやるときはあるがそれはわざとだし、責任の小さい物だけだ。なのにこいつはまつろわぬ神を呼んだっていうどうしようも無い問題を招いたっていうのに責任感も罪悪感も感じてるように思えない。そう言えばローマの方でコロッセオが壊れたとかニュースやってたな…………こいつか?こいつならやりそうだ。
ちらりと王様キャラの方を見ると明らかにこいつのせいで不機嫌になってる様子だった。
「なぁんか萎えたな…………帰るわ」
「ちょっと待て!!話は終わってないぞ!!」
「話すことなんて無いのに何を話せと?お前さ、何がしたいの?
あ~なんかムカムカしてきた。こいつと話してると不愉快不快だ。もう用事はないからさっさと帰ろう。
「じゃあな王様キャラ、無責任な神殺し、その他の人々、願うことなら会いたくないものだな」
そう言って俺は神社の階段から飛び降りた。一般人なら怪我をすること間違いなしだが生憎と俺はその枠組みからは外れているので怪我することなく着地することができる。
「待たせたな、ルナ」
「…………気にしてない」
別れた時と変わらずバイクの上に座って足をプラプラさせてるルナにそう言ってからバイクに跨がり、エンジンをかけてその場から去った。いつまでもあそこにいたら面倒ごとになりそうな予感がしたからな。
「…………見つかった?」
「神様と同じ気配のする石板を見た。たぶんあれだろうよ」
「…………そう」
「だけど気を付けろ、あそこに神殺しが二人いた。金髪の方は分からんが…………黒髪の方は最悪だ」
「…………どうして?」
「神様の半身とやらを日本に持ち込んでいるくせして罪悪感が欠片も感じられなかった。そういう風に育てられたのか、元からそういう性分だったのかは知らないがあぁいうタイプは総じて思い込みが激しいんだよ。一度敵認定されたら粘着質なストーカーのように着いてくるぜ?」
「…………わかった、彼女にも伝えておく」
にしても…………日本人で神殺しが三人もね…………あれが最近こっち側で噂になっていた新人の魔王だろう。金髪の方はキャラ作りなのか知らないが王様って感じだったし、神殺しとしての役割も自覚している様だった。
でも黒髪の方はダメだな。神殺しになったというのにまだ自分は一般人だと勘違いしてやがる。あいつは多分尻に火でも付けられないと戦いそうに無いな。
「あぁ、うん、俺嫌いだわ、あいつ」
確認するように呟かれた言葉は五月蝿いエンジンで掻き消されたのでルナに届くことはなかった。
龍紀、原作組+αと邂逅でした。
+αとはもちろん転生者、彼の権能を当ててみよう!!分かるかな!?(震え声)
そして龍紀は草薙護堂に嫌悪感を持ちます。まぁ厄介ごとを運んできたというのにその自覚も責任も感じてないようなやつを好きにはなれないですね。
そして熱さからかルナたんに踏まれたいと思い始めてきた…………これはいったい…………
感想、評価をお待ちしています。