人間で在りたい神殺し 作:鎌鼬
「ーーーーーーーーーー妾は謡おう。三位一体を為す女神の歌を…………!!」
七雄神社に封印されていた『ゴルゴネイオン』を取り戻したアテナは全身から呪力を撒き散らしながら空に浮かぶ。
動けるのは戦闘能力を持たない裕理と、戦える者を全員縛っている龍紀だけ。裕理はアテナの呪力に圧されて身動きが出来ず、戦える龍紀もアテナの姿を眺めているだけで動く素振りを見せない。それはそうだ、龍紀はアテナが真の姿に戻るために動いているのだから戻ろうとしているところを邪魔する訳がない。
「我が名はアテナ、かつては命育む地の太母なり…………!!
かつては闇を束ねし冥府の主なり…………!!
かつては天の叡智を知る女王なり…………!!」
アテナの体が二つに別れ、その内の一つが幼い姿から成長する。
「ここに誓う!!アテナは再び、古きアテナの姿を取り戻さん…………!!」
歌うように、祈るように、讃えるように、言霊が紡ぎ出されるに連れて別れたアテナの姿は変わっていく。可憐だった少女の姿から端麗な乙女へと。外見は17、8歳程か。現代の服装からいつの間にか古風な白い長衣になっている。
「まつろわぬ…………アテナ…………!!」
完全な姿を取り戻したアテナを見て、裕理は霊視によってアテナの本質を理解した。
ここにいるのは大いなる地母の末裔。
ここにいるのは死と闇を従える暗黒の支配者。
ここにいるのは天と地と闇を統べた落魄せし女王。
ここに、まつろわぬアテナが元の姿を取り戻した。
「ヒュ~♪なかなかの美人じゃねぇか。今のあんたにファミレスでされた提案もう一度されたら間違いなく承諾するぜ?」
元の姿を取り戻した神様を前にして俺は素直な感想を口にした。戻った神様の姿は美しさと可愛らしさを併せ持った外見になっている。ガキの姿で考えてたからあの提案断ったけどこれなら受けておいた方が良かったかもな。
「ふふっ、そうか龍紀よ。しかし一度は断ったのだ。やり直しは効かんぞ?」
「そいつは残念だ」
元の姿を取り戻したからか、ルナから離れた神様は眠っているルナを横抱きで抱えながら地面に降り立った。神様からルナを受け取るが見たところ気を失っているだけで他の要因は見られない。これならば数時間もすれば目覚めるだろう。
「にしても…………ルナと似てるな。ルナが成長したらそのまま神様になるんじゃねぇか?」
「妾も初めて巫女を見たときは驚いた。何せ妾とまったく同じ顔だったからな。だから妾は巫女の体で休むことが出来たのだが」
「ふーん、何かしらの繋がりがあるかもしれないな」
まぁだがこれで見たかった神様の元の姿を見ることができたわけだ。これからどうしようかな~なんてことを神様と話ながら頭の片隅で考えてたいたのだが…………
「ふぅん!!」
バキンっと音がして、王様キャラを縛っていた鎖が砕かれた。神様が神格を取り戻したことで正式にまつろわぬ神として為ったらしく、神殺しを戦える状態にまで持っていく力が使えるようになったらしい。つまり、その場凌ぎで作った『
「我が国を犯したな…………!!まつろわぬアテナよ!!その罪、万死に値する!!」
王様キャラの背後から黄金の渦が現れ、その中から武器が顔を覗かせる。そして…………武器が高速で放たれた。なるほど、そうやって使うのか…………なんて感心しているものの俺の手は残念ながらルナで埋まっている。このままだと串刺しになってしまうので逃げようと足に力を籠める。
「ーーーーーーーーーーなるほど」
いざその場から逃げようとしたとき、黒い鎌を持った神様が放たれた武器をすべて弾いた。俺も出来なくはないがあそこまで簡単には不可能だ。それを考えるなら流石は神様だな。
「サンキュ神様。それともアテナの方がいいか?」
「好きに呼ぶがいい、貴方には妾の真の姿に戻るために手を貸してくれた恩がある。余程のことでなければ如何なる無礼も許そう」
「太っ腹だな、じゃあ今まで通りに神様呼びさせてもらうわ。そいで、知恵の神様はあの神殺しの権能の正体が分かったりしたの?」
「ふむ、あれは武器その物が権能によって作られた物ではない。あやつが持つのはそれらを納められた蔵だ。それほどの財を集め、それすべてを納められる程の蔵を持つ者など妾は一人しか知らぬーーーーーーーーーーウルクに人としての初めての王となった男、ギルガメッシュ。それが貴方が殺めたまつろわぬ神とみた」
黒髪の少年と、二人の少女が目に見えて分かるほどに動揺しているのが分かる。たった一度のぶつかりで権能を簒奪した神の名を看破されるなんて…………これは王様キャラが迂闊だったのか、それとも神様が凄いのか…………どう見ても後者だな、普通あれ見ただけで名前まで分かるかよ。
「しかり、貴様の言う通りだ」
しかし看破されても王様キャラはぶれなかった。堂々と胸を張って看破されたことをそれがどうした?と言った態度だ。まぁ、実際まつろわぬ神の名前が分かったところでその神に対して絶対的に優位に立てるとは限らないからな…………名前が分かることで優位に立てる権能でも無い限りは。
「俺が殺した神の名はギルガメッシュ。神代の時代において人として初めて王となり、この世すべての財宝を集めた男。その財を使えるのが我が権能だ。しかし…………それが分かった程度でこの俺に勝てるつもりか?」
「そうとは思わん。だが…………神からの支配から解放され、人の世を作る始まりとなった男。そしてその神を殺めた神殺し…………闘神として語られる神話を持つからか、妾は是非とも貴方と戦いたいと思っている。我が戯れに付き合え、原初の王を弑殺せし王よ」
あーあ…………元の姿に戻ったからか神様ったら完璧スイッチ入ってやがるな。まぁ確かに?元の姿に戻れてテンション上がる気持ちは分からないでもないけどよ、そのテンションに任せて暴れても後悔するだけだぜ?俺も死にかけて宿儺を殺して生き返って上がったテンションのままバイク走らせたら事故って後悔した経験談持ちだからよ。
「戯れ…………?ようは遊びだってことかよ…………!!」
神様の言葉が何か琴線に触れたのか黒髪の少年の方と王様キャラと同じように鎖を引きちぎった。ふぅん…………さっきまで話し合いで解決しようとかいう風体だったのに今じゃ好戦的な雰囲気を漂わせやがって…………何がしたいんだか、こいつは。
戦いたいなら剣を握れ。
嫌だというのなら剣を捨てろ。
剣を握って戦いたくないなどほざくなよ?
「おいお前…………エリカの鎖を解きやがれ…………!!」
「あぁ、良いぜ?」
下手に反論してしまえば下らない言い争いになるのは目に見えて分かっていたので黒髪の少年のいう通りに鎖を解いてやる。元々神様の邪魔をさせないための鎖だから神様が元に戻ったら不要だしな。
「一対二か」
「いんや、俺も混じるから二対二だな」
「何?」
俺がそう言うと神様が驚いたような表情になる。元がいいからどんな顔しても絵になるな。眼福眼福。
「妾との契約はもう終わっている。これ以上貴方が肩入れする理由はないはずだが?」
「知り合いの美人が野郎二人に襲われそうになってる。それだけで手ぇ貸す理由になりそうだけど?」
「…………感謝するぞ、龍紀」
「そいつはどうも…………でだ、メフィストのオッサン!!どうせ覗き見てるんだろ!!出てこいよ!!」
「ウ~ム、やはり気が付いてましたか。流石は龍紀クンデスね」
俺の隣にまるで始めからいたかのようにタキシード姿のオッサンが現れる。神殺しの二人はもちろん、神様ですらオッサンが現れたことに驚いているようだった。
「オッサンのことだから覗き見してると思ってかまかけてみたが正解だったみたいだな」
「…………なるほど、異国の悪魔か」
「そういう貴女は異国のまつろわぬ神デスか?それも…………夜、いや冥府の女神と見ましたが?」
「クククッ!!龍紀よ、貴方は面白いな!!異国の悪魔と知り合っているとは!!」
「そうか?えっと…………神殺しが二人に、メフィストのオッサン、それと妖怪…………改めて数えてみると混沌とし過ぎだな」
神様に指摘されて俺の交遊関係を指折りながら数えてみるとまともなやつが誰としていなかった…………いや、常識キャラはいるよ?大半が常識殴り捨ててるけど。
「そうだオッサン、こいつのことよろしく頼むわ」
「フム、まつろわぬ神の巫女でしょうか?しかし…………ミーのことを知っている龍紀クンなら、ミーにお願いしても無意味だとは存じていると思いますが?」
「秘蔵のロマネ・コンティくれてやるよ」
「オーケー、命に変えてでも」
握り手が髑髏の杖を振るうとルナの体が一人でに浮かび上がり、ゆっくりとオッサンの近くに移動した。
「内容は『このまつろわぬ神の巫女の護衛』、報酬は『龍紀クン秘蔵のロマネ・コンティ』。契約はこれでよろしいデスかな?」
「『戦いが終わるまで』と付け加えといてくれ。あと、その娘に手を出すなよ?」
「悪魔よ…………もし妾の巫女に危害を加えるのなら…………妾の命に変えてでも貴様を討つぞ?」
「ハッ!!見くびらないでいただきたいものデスなぁ、まつろわぬ神。悪魔にとって契約とは美学であり信念でもある。なら、私が契約を破るのはあり得ないことだ」
「心配しなくてもいいぜ神様、メフィストのオッサンだけじゃなく悪魔すべては契約を重んじる。目先の利益に飛び付いて裏切ることもある人間よりも信用できるのさ」
わざわざオッサンを呼び出した理由はそれだ。内容に相応しい対価を与えている限り悪魔は裏切らない。悪魔と繋がりを持てるのは契約だけ、ドライな関係と言われるかもしれないがそれが良い時があるのだ。
「メフィストのオッサンは契約を絶対破らない。ルナに手ぇ出されたときには…………俺の首をくれてやるよ」
「…………貴方がそこまで言うのならば信用しよう」
「やれやれ、そこまで言われたのならこの契約、例え万のまつろわぬ神が攻めてこようとも果たしましょう…………それと、これはついでです」
オッサンが腕を一振りする。それだけで、周囲の景色が入れ替わった。神域であった神社の境内から、人工的な自然が見える土地に。
「神殺したちと貴方方を『浜離宮恩賜庭園』に移しました。私からのアフターサービス、そして人払いの魔法もかけてあります…………なので、思う存分に力を振るいたまえ」
そう言ってオッサンはルナを連れてその場から姿を消した。居なくなってはいるがオッサンのことだから近くのビルの屋上にでも行って観戦しているのだろうよ。
「龍紀よ、あの黄金の神殺しは妾の獲物だ。貴方は」
「黒髪の方だろ?分かってるよ。だけど、あいつ倒したらちょっかいかけるかもな?」
「ならば妾は貴方が勝利するよりも早く勝利してみせよう」
「抜かせよ、貴様らは罪人である。俺の下す裁定を受け、疾く去ぬるが良い」
「カンピオーネもまつろわぬ神も、どいつもこいつも好き勝手やりやがって!!傍迷惑なんだよ!!てめぇら!!」
「さてと、今夜は気分が良いんだ…………レスト・イン・ピースを送ってやるよ」
今宵ここに、カンピオーネたちとまつろわぬ神の戦いが行われる。
悲報、ロリ神様がロリで無くなる。これは
龍紀はロリモードの神様よりも成長した神様の方が良いみたいです。そこら辺は好みに別れますね。
あと、龍紀と知り合いの悪魔登場。私の好きな漫画から引っ張ってきたメフィスト=サンです。どの作品か分かるかな?メフィスト=サンは純粋な悪魔でまつろわぬ神とは違うジャンルに当てはまります。
そして踏み台(演技)の権能発表。倒したのはAUOことギルガメッシュでした!!分かる人がいたかな?(白目)
感想、評価をお待ちしています。